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スティーブ「クリーパー殺すナリよ〜」

1 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 02:32:16.79 ID:rxOJCkpD.net
クリーパーは例によって自室に籠りプロジェクトテーブルに向かって難しい顔をしている。
今日も日本トップクラスの難関Modの工業製品に四苦八苦している、といった所であろう。
マインクラフ都内でも有数の進学校に通っているとはいえ、中学生が解く問題ではない。
しかし、ものの数分も経てば、彼はレシピの本質を捉え、そして閃き、カーソルを走らせ、制作へとたどり着くだろう。
私には手を付ける事さえ億劫になってしまうようなレシピも、彼にとっては赤子の手を捻るよりも容易いものなのだ。

本当に憎い。ダイア剣を握りしめた右手に力が入る。
小さく開けたドアの隙間から覗き見える、挫折を知らない背中が何よりも憎い。
私は大きく息を呼吸を置いて、もう一度スティーブの後ろ姿を眺めた。
瞼を下ろし、その背中に握ったダイア剣の突き立つ姿を想像する。
迸る鮮血、驚き震えるクリーパーの怯えた眼。そして私はそれを落ち着いた気持ちで眺めている。

それは手にとる事が出来そうな程にリアルだった。
大丈夫だ、私は今日、初めてクリーパーに勝利する。

2 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 02:32:48.43 ID:rxOJCkpD.net
クリーパーは何でも出来た。
それは大袈裟な表現や行きすぎた誇張ではなく、彼は本当に何でも出来る人間だったのだ。
火薬の回転が速く、勉強はもちろん得意で、ユーモアがあり話も面白い。
私は彼よりも一つ年上だが、腕っぷしも強く、兄弟喧嘩で勝った事は一度もない。
運動神経は抜群で、地元のアスレチックチームでは一年生にして早くも試合に出場することがあるらしいし、
彼に告白してきたスケルトンは芸能事務所に所属していて、時折テレビのCMや雑誌に顔を出す。

私にない全てを彼は持っていて、そして私は悲惨な程になにも持っていなかった。

3 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 02:33:36.07 ID:rxOJCkpD.net
クリーパーは完璧な自分に自惚れる様子はない。
どんなにテストの成績が良くても、Shotbowでどんなに爆発しても、自慢はしないし、
私がどんなに至らないかを知りながら、嫌味を言う事も無い。

私と話すときは私の低さまで目線を下げて話を合わせる。

私は悔しかった。彼は良い奴には違いないのだろう。
ただ私には、その折られた膝が、下げられた目線が、屈辱以外の何物でもなかったのだ。

「お前の弟って凄いんだろ?なんでお前はそんなんなんだよ、ハァン」村人の声。
「クリーパーは本当に凄いなあ!…スティーブも、まあ、もう少し頑張れよ」エンダーマンの父の声。
「お前はダメな奴だ。生まれてくるべきじゃなかった。もうどうしようもないよ」僕自身の声。

私は鉱山に通うのをやめた。声を出すこともやめた。誰も私に寄り付かなくなった。

4 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 02:34:22.84 ID:rxOJCkpD.net
決めたのは朝だった。

コンコンというノック音は母親が朝飯を持ってきたときの合図だ。
大して腹が減っているわけでもなく、いつもは空腹を感じるまでドアの外に放置しておくのだが、私はドアへと向かっていた。

それは気配を感じたからであり、その気配は私が最も嫌いな人間が発するものであり、ドアを開けると案の定、
嫌な奴が、クリーパーが立っていた。

「兄さん、もう三ヶ月になるよ…。行こうよ鉱山。こんな兄さん、見たくないよ。なんなら僕も一緒に…」

言い終わらないうちに私は感情に任せて拳を振り抜いた。洋一がよろめく。

「待って、兄さん。これを」

クリーパーは何かを差し出したのが見えたが、私は構わずドアを叩きつけるように閉めた。


分かっていない。あいつはなんでも出来て、なんでも持っていて、なんでも知っているようで、本当に何一つ分かっていない。

こんなのは、今日で終わりだ。今日で終わらせる。今日、殺す。

ゆっくりとドアを引いてクリーパーの部屋へと入ると、クリーパーは驚いた顔一つ見せずこちらを振り返った。

「よ、クリーパー、今朝は悪かったナリね、当職も少し感情的になってたナリ。」

「いやいや、僕も悪かったよ。僕が余計なことしたから」本当に申し訳なさそうにクリーパーは話す。

「クラフト頑張ってるナリね。これは差し入れナリ」怪しまれないように淹れてきたドリップポーションをクリーパーに差し出す。

「…。兄さんは優しいね。ありがとう。」クリーパーはそれを受け取ると、俊敏のポーションでも飲んでいるかのようにおいしそうに啜る。

「それじゃあ当職はこれで帰るナリ。勉強頑張るナリよ」ありがとう、という声がして、クリーパーがプロジェクトテーブルに戻る。

ドアまであと少しという所でゆっくりと振り返った。
クリーパーは先ほどまでと同じように机に向かっている。
あとはその背中に、憎い背中に、ダイア剣を突き立てるだけだ。

駆け出す体勢と呼吸を整え、両手にゆっくりと力を入れる。
そしてイメージする。私が勝つ場面を、そして上からの景色を。

正に駆け出す瞬間に、クリーパーがもう一度振り返った。

「やっぱり、兄さんは優しいよ。」

5 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 02:35:43.20 ID:rxOJCkpD.net
私はダイア剣の刃を彼に向け、それを彼の背中に突き刺そうと駆け出す体勢のまま固まっていた。

心臓は飛び出さんばかりに大きく音を立てていて、動かし方を忘れた体はピクリともしない。嫌な汗が額を伝った。

部屋にあるすべてが止まって見えた。
電気かまども、ME分子組み立て機も、金のモニタも、プロジェクトテーブルも。

けれども時間は確かに、ゆっくりとその間を流れていて、
それを貫くようにクリーパーの視線が私をじっと捉えていた。

何か言わなければ、何か動かさなければ、何か───。

脳の必死の警告には全身が耳をふさいだ格好で、、
私は目を見開いてクリーパーから目を逸らさずにいることで必死だった。溜まった唾を飲み込むことさえ出来ない。

「僕は兄さんが離れていくのが怖くてたまらなかった。」

クリーパーはひどく落ち着いて話す。
刃物を手にして殺気立った私を目の前にしても、彼は呼吸ひとつ崩さず、私の淹れたポーションを啜っている。

「何よりも怖かった。どんどん温度を無くしていく兄さんの態度が、蔑むように僕を見るその瞳が。」

クリーパーは悲しい目をしていた。
それは私が今まで目にしたものの中で最も冷たく、いくら手を伸ばせど届かない遠さにあった。

「そろそろだろうなって、思ってたんだ。だから分かったんだよ。」

6 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 02:37:17.46 ID:rxOJCkpD.net
「当職が、洋一を守るナリ!」


まだ何も知らなかった頃の夏。
まだこの世界が優しかった頃の夏。

父の田舎は空気が澄んでいて、それを透かして照りつける太陽は肌にジリジリと心地良い。
土やジャングルの木の匂いが山猫の声と共に風に乗って私に伝わってくる。
私は父の田舎の夏の匂いがこの世の何よりも好きだった。

けれどもそこに行くとクリーパーは居心地が悪そうで、いつも怯えや不安が綯交ぜになったような目をしていたのを覚えている。

「兄さんはさ、本当に僕を殺せるって、思っていたの?」

私はクリーパーを睨みつけた。
思っていたさ。お前の背中にカッターナイフの突き立つ、その姿を何度もイメージしていた。
体はまだ固まったままだ。

「そんなカッターで後ろから僕を刺そうとしても、僕が気付いて少しでも急所からずれたら計画は台無しだよ」

クリーパーは私を見ている。

「兄さんは決して力の強い方じゃないし、僕が抵抗でもしたどうするつもりだったの?」

そんな事は知らない。私はただ、終わりにしたかったのだ。
このふざけきった日常に、何か変化を与えたかったのだ。

だから───
だからクリーパーを殺すのか?それで何が変わる?
私への陽を遮るようにそびえ立つその背中を崩し落とせば、私のところにクリーパーに当たっていた陽がそのまま私を照らすのか?

私は感情に振り回されて、ただそれを撒き散らしたかっただけだ。
私はやはり至らない。何をしても駄目だ。
私は、私は本当に

「馬鹿じゃないよ。優しいんだ」

そう言って洋一は机の方に振り返った。

「ポーション、僕は好きだよ。丁度欲しかったんだ。ありがとう。おいしいよ、兄さん」

クリーパーはポーションをもう一度啜って見せた。

7 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 02:38:03.22 ID:rxOJCkpD.net
父の田舎で過ごす夏の数日は私の心に安息と癒しを与えてくれた。

祖父や祖母の昔話に耳を傾けたり、新鮮なジャガイモで彩られたマッシュドポテトに舌鼓を打ったりするのが私のその夏の楽しみだったのだけれど、
一番楽しみはなんといっても親戚の子供たちで行うジャングルの探索だった。

新鮮な空気を肺一杯に貯め込んで、私達はそびえ立つ木々の間をずんずん進む。
「スティーブ兄ちゃん!これ、どっち進んだ方がいいかな?」
「スティーブ兄ちゃん、歩き過ぎて疲れた…。おんぶしてよ!」

私は探検隊の隊長で、みんなの頼れるリーダーだった。

クリーパーの姿はそこには無かった。
いつも扇風機の前で何かに隠れるように風に当たっていた。
私は本当にもったいない事だと思った。
一度外に出てみれば、風も緑も土も山猫も、みんな味方になってくれるのに。

「クリーパー、行くナリよ!」

クリーパーは困った顔をしている。
だけどもう決めたのだ。今日はなんとしても連れて行く。

「大丈夫ナリ!当職が付いているナリよ!」

「僕は父さんと血が繋がってないんだよ。」

クリーパーは何を言っているというのだろう。全く笑えない。
ただクリーパーは気の利かない冗談を言っている様子ではなかった。

「分かるんだよ。なんとなくだけどね。父さんは僕にどこかよそよそしい。」

そんなはずはない。
そう言ってやりたい。安心させてやりたい。

「だからあの場所は怖かったんだ。最初はね。」

だけど声はまだ、出ない。

「そしてそれは似ているんだ。『他人』が出す雰囲気って、分かるんだよ。嫌という程にね。」

そう言ってクリーパーは机の上に並べられた手紙のようなものを私に見せた。

「僕は勉強のために毎日机に向かっていたんじゃない。これを読んでいたんだ。」

私は二の句を継げないまま、その紙をただ見つめていた。

8 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 02:38:45.05 ID:rxOJCkpD.net
外の世界に出かけても、洋一はまるで楽しそうじゃなかった。
何もかもが私たちにはこんなにも優しいのに、クリーパーの心はどこか別のところにあるみたいだった。

「クリーパー…。何がそんなに気に入らないナリか?土を踏みしめればとても柔らかくて、空気を吸えばそれはとても澄んでいておいしいナリ。」

「…。僕には怖いんだ…。何もかもが。この場所は、僕を受け入れようとしてくれない。怖いんだ。それが…。」

クリーパーはそういってしゃがみ込んでしまった。
震える背中が痛々しく私の記憶にこびりつく。

「死ね」「殺すぞ」「爆弾魔」…。
そこには目を覆いたくなるような罵詈雑言が紙一杯にずらりと並んでいた。

「僕には友達が居ないんだ。一緒にご飯を食べたり、トイレに行ったり、そういう人たちは沢山居るんだけどね。」

理解できない。
トモダチガイナイ?
脳の中で音だけが反射して響いている

「これが毎日のように僕のバッグパックやプロジェクトテーブルの中、かまどや道具箱なんかに投げ込まれてるんだ。筆跡は一定じゃない。」

それは想像もしなかったクリーパーの一面だった。

「何人もの人間がこれをやってるってことさ。」

私はパニックになっていた。

「僕はいつも必死だった。全て繋ぎとめておくのに。自分で言うのもなんだけど、辛い努力をいくらでもしんだ。僕は天才なんかじゃない」

呼吸さえもおぼつかない。胸がきつく締め付けられるのを感じる。

「でもそれは逆効果だったみたいだ。或いはそれは全く関係ないところで問題があったのかもしれないけど…。
 とにかく、僕の側にはもう、誰もいないんだ。」

クリーパーはそんな素振りをひとつも見せた事がなかった。
全てを持っている彼に、私は激しく嫉妬を覚えるばかりだった。
それは彼の拙い演技だったのだ。
私は、それすらも見抜けなかった。

「兄さんだけが味方だった。だけど、その兄さんさえ僕は怒らせてしまった。僕にはもう価値なんてない。」


クリーパーが手に不気味に光るナイフを持っているのが見えた。

「兄さんの手は汚さない。僕の終わりを兄さんは願った。一瞬でもね。僕はそこで終わりなんだ。最後は自分で責任を持つよ。」

私は、溜まりに溜まった唾をやっとの事で飲み込んだ。

9 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 02:39:50.63 ID:rxOJCkpD.net
「クリーパー!怯えるのはもう終わりナリ!」
私はしゃがみ込んだクリーパーの足を無理矢理に引っ張って立たせた。
その瞳を見つける。

「でも…」
弱気なクリーパーを私は遮る。
全てが敵に見えるなら、それから守るものがあればいい。

「クリーパーの側に居る当職が居るナリ。当職がずっと側に居るナリ。
 喉が乾いたら当職に言うナリ。お前が好きな飲み物をすぐに持ってきてやるナリ。
 腹が減ったら当職に言うナリ。お前が好きな食べ物をすぐに持ってきてやるナリ。
 お前を苛める奴がいたら、当職がこらしめてやるナリ。」

私は自信満々に言った。兄とはそういうものなのだ。

「本当…?」

クリーパーの目から怯えが消えていくのが分かった。本当さ、お前は私が守る。

「世界中がクリーパーの敵になっても、当職がクリーパーの味方になるナリ!」

「ありがとう、分かったよ。兄さんは…本当にやさしい。」

「当職が、クリーパーを守るナリ!」

私の手を握るクリーパーの手にぎゅっと力が入るのが分かった。


動かし方は忘れたままだったけど、私は無理矢理に筋肉を動かした。
壊れても良い。間に合わなければ、終わる。

「クリーパー!やめるナリ!当職が…お前の味方ナリよ!」

クリーパーの首の辺りから勢いよく火薬が噴き出すのが見えた。
空しい音がしてクリーパーが地面で発破する。

「ありがとう」
クリーパーがそう言った気がした。気がしただけかもしれない。
私がそういう終わり方を望んだだけだ。

10 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 09:53:26.54 ID:QOL+cs8J.net
おしりの穴は夜開く

11 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 10:41:48.85 ID:jGcY1vKm.net
立てたり落としたりしろ

12 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/12(月) 11:11:18.09 ID:rxOJCkpD.net
どれくらい経っただろうか。
部屋にあるすべてはまた同じように動き出していた。
電気かまども、ME分子組み立て機も、金のモニタも、プロジェクトテーブルも。

ただひとつ、すっかり冷たくなってしまったクリーパーだけを取り残して。


私は何もできない人間だけど、
ただ一つの、忘れてはいけない、やらなければならない使命を持っていたのに。

分かっていないのは私の方だったのだ。
クリーパーは何でも出来るようで、なんでも知っているようで、なんでも持っているようで、本当に何も持っていなかったのに。

「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」

私はやっと発することが出来るようになった声を振り絞って叫んだ。
窓に見える外に向かって吠えた。そのまま泣いた。体にある全てを外に吐き出すつもりで。

そしてその夜、私は決めた。もうこんな悲劇は繰り返さない。
待っているだけでは幸せは訪れない。
私が創り出すのだ。

サーバーBANなんてない、本当に優しい世界を。

13 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/13(火) 15:50:18.17 ID:FNxp9O1H.net
吐きそうになった、起訴

14 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/13(火) 23:41:52.05 ID:n+i5rz1K.net
駄目です

15 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/01/29(木) 02:27:51.83 ID:ty2HQ6Ln.net
よくわかんないけどstrength1のポーション飲んでsharp2以上のダイヤ剣使えばワンパンだよ

16 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/03/26(木) 16:01:32.86 ID:sOHXza+4.net
洋一って誰?

17 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/04/07(火) 21:55:30.84 ID:ycD1iDrm.net
minecraft路線はすきだけど、

長過ぎて読みづらいのが難点。  

次はコンパクトなのでたのむナリ

18 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/08/12(水) 16:26:56.63 ID:HsIaIcX+.net
うわぁ・・・べんぞうさんの中・・すごくあったかいナリ・・・

19 :名無しのスティーブ@\(^o^)/:2015/08/12(水) 19:27:47.68 ID:8AV09o6f.net
>>6からダイヤ剣じゃなくてカッターナイフになってるんですがそれは

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