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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【244】

121 :第六十三回ワイスレ杯参加作品:2023/12/16(土) 15:00:50.69 ID:OFUt2bnP.net
 雪山には横風がビュウビュウと吹いている。
 真っ白でなにも見えないよ。旅路のクマさんとウサギさんは慌てて、頭を抑えた。
”このままだと凍死しちゃうかも……!?”
”そんな!”
 一頭と一羽は栗色のモフモフの毛皮につつまれているけれど、この寒さだとそろってカチンコチンになっちゃうだろう。
 暖かい森が恋しいよ。どうしよう……。そのとき、クマさんの頭上に電球がまたたいた。
”そうだ、冬眠してやりすごそう!”
”でもでも、冬眠する場所なんてどこにも……”
”穴をほるんだっ!”
 ズコココ……。前足で雪をほりだしたクマさん。つづいて、ウサギさんも一生懸命に雪をほる。
 サクサクサク! だけど風が強くて、みるみるうちに穴は覆われていく。小さなウサギさんの体はだんだんカチコチしてきた。
”さむい、さむい……”
”がんばるんだ、ウサギさん!”
”あれ、暑い? あついよう”
”そんなわけ!”
 寒さのあまり錯乱し、毛皮を脱ごうとする一羽。だけど自前の毛皮なので脱げない。
”ふんぬーー!!”
 クマさんは全力で穴をほって、どうにかウサギさんが入れる大きさにした。
”さあ、入って!”
 穴のなかにウサギさんをつめこみ、ふうと息をつく。
 これでウサギさんはだいじょうぶ。でも力を使い果たしちゃって、自分の入れる大きな穴は掘れそうにないよ。このまま一頭ぼっちで凍っちゃうのかな……。
 クマさんはさみしくなった。
”さむい、さむいなあ……。あれ、暑い……ふしぎだなぁ……”
 そんな中、脳内にこれまでの記憶がほとばしった。
 こんなときにどうして。走馬灯かな?

 お肉ぎらいだった子供時代。
 クマの群れを追い出されて。ウサギさんと出会った。ふと見ると、いつも自分のウンコを食べていたウサギさん。
”新鮮なウンコは栄養たっぷり! たべないの?”

 こまっちゃったけど、楽しかったなぁ……。
 そのとき、足元が振動していることに気付いた。ズコココ……。
 首をかしげるクマさん。
”地震? なだれ? ……?”
 直後に足元に大きな穴がひらいて、暗い場所に落っこちた。
 やわらかいモフモフでおしりを受け止められる。
 ふぎゅ! と、聞きなれた声が響いた。
”ウ、ウサギさん!?”
 お尻の下から這い出てきたモフモフは、ウサギさんだ。
”穴、大きくしたよ! いっしょに冬眠しよう!”
”……うん!”
 穴はほどよい大きさと寒さだ。これなら、凍死せずに冬眠できそう。モフモフの一頭と一匹はは身を寄せ合って目をとじた。
 すやすや、すぴすぴ。そろって木苺ばたけの夢を見る。
 暖かくなったら、新鮮な実をいっぱい集めてあげるね――。

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