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経済書

1 :無名草子さん:2012/03/11(日) 23:07:52.99 .net
新刊、話題作、古典的名作。
経済について書かれた本を語ろう。

72 :無名草子さん:2012/03/15(木) 18:07:02.52 .net
>>53
>大恐慌からのデフレ脱出劇を勘違いしてるっぽい。

『レジーム・チェンジ』で中野剛志がその辺りをどう書いているのかというと、
岩田規久男『デフレと超円高』の主張を要約したうえで、このように疑問を唱えている(p179-181)。

  しかし、この「インフレ・ターゲティング」論については、ふたつの懸念があります。
  ひとつ目に、中央銀行がインフレ目標を宣言して、金融緩和をしただけで、人々がイン
 フレになるという予想を抱くとは限らないということです。
  岩田氏は、自説を補強するため、1930年代の世界同時デフレ不況を例に挙げていま
 す。当時、多くの国が金本位制を採用していました。金本位制は固定為替相場制であり、
 為替レートを一定に維持しなければならないので、大不況になっても金融緩和政策を採用
 することができません。これに対し、日本の高橋是清蔵相やアメリカのフランクリン・
 ルーズヴェルト大統領は、金本位制からの離脱を宣言し、金融緩和政策を採用し、デフレ
 不況を克服しました。これについて、岩田氏は「「金本位制から変動相場制下の金融政策
 へのレジーム転換」が民間経済主体のデフレ予想をインフレ予想に転換させることに成功
 したから」だと主張しています。
  たしかに、日本やアメリカが金本位制から離脱し、自国本位の金融緩和政策を実行でき
 るようになったことは、世界恐慌からの脱出に際して決定的に重要です。また、金本位制
 からの離脱が人々の心理に与えた影響も大きなものがあったと察せられます。なぜなら、
 金本位制が正しいという考えは、当時の正統の貿易理論に基づく強固なイデオロギーであ
 り、したがって金本位制の放棄は大事件だったからです。しかし、中央銀行がインフレ目
 標を設定するという政策レジームが、金本位制からの離脱という政策レジームほど、人々
 の将来予想に大きな影響を与えるとは限りません。(つづく)

73 :無名草子さん:2012/03/15(木) 18:07:44.07 .net
  ピーター・テミンとバリー・A・ウィグモアは、岩田氏と同様、ルーズヴェルト大統領
 のニューディール政策が、人々のデフレ予想をインフレ予想へと転換させたとしていま
 す。しかし、彼らの研究によれば、政策レジームの転換は、金融緩和政策のみによって行
 われたのではなく、もっと大々的に行われていました。
  
   焦点は、国際協調から国内の景気回復へ、デフレからインフレへ、金融市場重視か
  ら経済への直接介入へ、財政健全化から財政刺激策へとシフトした。為替の切り下げ
  が、財政金融政策の変化とそれに対する責任の変化と連動した。政府の宣言や世論の
  トーンも急激に変化した(*12)。

  たしかに、高橋蔵相もルーズヴェルト大統領も、金本位制からの離脱と金融緩和だけで
 はなく、大規模な財政出動など政府による積極的な経済介入を実施し、また世論のトーン
 を変えるべく言論にも訴えかけました。彼らを表舞台へと登場させた「政権交代」による
 人々の心理の変化もあったかもしれません。いずれにせよ、政府が先頭に立って、デフレ
 を脱却するために必要なあらゆる政策を総動員することではじめて、人々のデフレ予想を
 逆転させることができたのです。

*12 Peter Temin and Barrie A. Wigmore“The End of One Big Deflation", Working
Paper, Department of Economics, MIT, 1988, pp. 12-3.  

>>53
>金融緩和というコストが低く歴史的にも確かな方法を蔑ろにしたいのかもしれない

金融緩和を蔑ろに、というのは違うんじゃないかな。
「デフレ脱却のために金融緩和が必要であるのはそのとおり」(p188)とし、
インフレ目標も人々の予想に影響を与える手段のひとつにはなるかも、としていて、
ただしそれだけでは十分ではない、と言ってる。

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