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【ひよこ太陽】田中慎弥18【泉鏡花文学賞】

920 :吾輩は名無しである:2024/01/12(金) 02:16:04.89 ID:A8dwwMkN.net
BOOKOFFに行ったのは絶妙なタイミングだと思った。流れる島の怪物と海が1500円で売っていた。私はその本を手に、買おうか買うまいか迷った。あと半月もすれば、この半値で買えるのではなかろうか、という邪な思いがあったからだ。
翌日も、また翌週も、本は売れ残っていた。値段はなかなか値崩れしなかった。私は半ば刈り入れを待つ農夫の気持ちで、BOOKOFFに行ってはその本を手に取り、値が下がる日を心待ちにしていたのだ。なぜならば私には金が無いからだった。1500円の古本を買うなら、500円の弁当にお茶を付ける事ができる。それが昼と夜続けて買えるなら、私は弁当を選びたかった。700円まで待とう。私はそう心に決めた店を出た。
翌日、案に相違し、件の書は忽然と姿を消してしまった。誰かが買ったのだ。田中慎弥をわざわざ買う人がいるとも思えなかったが、これは深くだった。

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