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とある魔術の禁書目録V 379冊目
- 537 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で :2018/11/17(土) 02:07:59.00 ID:woBE38+Ea.net
- >>521
「良い度胸である」
後方のアックアはそれだけ言った。
そうして、五和の見ている目の前で、恐るべき一撃が放たれた。鋼鉄で作られた、全長五メートル以上もの巨大なメイスが横に振るわれ、少年の脇腹へ容赦なく突き刺さる。
人体にぶつけるものとは思えない轟音が炸裂し、橋を作る鉄骨の柱とメイスの間に挟まれた少年の体から、全ての力が奪われた。決死の思いで握られた拳は、アックアに向かって放たれる事すらなかった。
今度こそ完襞に意識の消えた少年の体が、巨大なメイスに寄りかかる。まるで布団を干すような格好になった少年を見て、アックアは笑う。
敗北者の奮闘を讃えるように。
少女のために死地へ赴いたその勇気を、認めるかのように。
「一日待つ」
アックアは、意識を失った少年を引っ掛けたまま、腕一本で緩やかに巨大なメイスを振り回す。
「麻酔もなくここで引き抜かれるのも酷だろう。義手の準糒でもしておくが良い。期限までに騒乱の中心―――その元凶たる右腕を自ら切断し、我々に差し出すと言うのならば、その命は見逃してやるのである」
それだけ言うと、アックアは無造作にメイスを横へ薙いだ。 『神の右席』にして、聖人としての資質をも兼ね備えた怪物の一撃。
メイスに引っ掛かっていた少年の体が、砲弾のような速度で鉄橋から飛んだ。
手すりを飛び越した体は数百メートルも真っ直ぐ突き進み、暗く冷たい水面に激突すると、そのまま沈まずに跳ね飛んだ。
あまりの速度に少年の体は二回、三回と水面の上を跳ね跳び、最後には川を流れていたクルーザーのすぐ横に沈み、まるで爆風のように川の水を盛大に撒き散らす。
ドッバァァン!! という轟音が少し遅れて炸裂した。
詳しい生死を確かめもせず、後方のアックアは五和に背を向ける。
彼は最後に、もう一度言った。
「一日待つ」
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