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このはな綺譚 第5譚

293 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で :2017/11/24(金) 07:41:26.94 ID:GPrjAG0s0.net
すこしはなれた山の中に、「柚」というきつねがいました。
柚は、ひとりぼっちの小ぎつねで、しだのいっぱいしげった森の中に穴(あな)をほって住んでいました。

(ry

兵十は、立ち上がって、納屋(なや)にかけてある火なわじゅうを取って、火薬をつめました。
そして足音をしのばせて近よって、今、戸口を出ようとする柚を、ドンとうちました。
柚はばたりとたおれました。兵十はかけよってきました。
家の中を見ると、土間にくりが固めて置いてあるのが目につきました。
「おや。」と、兵十はびっくりして柚に目を落としました。
「柚、お前だったのか。いつもくりをくれたのは。」
柚は、ぐったりと目をつぶったまま、うなづきました。
兵十は、火なわじゅうをばたりと取り落としました。青いけむりが、まだつつ口から細く出ていました。(おわり)

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