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アルスラーン戦記 22

194 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で@\(^o^)/:2015/05/17(日) 22:28:26.21 ID:55cL9mIB0.net
<原作より抜粋>

ルシタニア国王イノケンティス七世は、強大な征服者のようにも悪虐な侵略者のようにも見えない。
背が高く肉付きは良いが、血色が悪く、皮膚には生気が欠けている。両眼は熱っぽいがその熱は地上に向けられたものではなかった。

彼は模範的なイアルダボート教の信徒だと言われていた。酒を飲まず、肉を食べず、一日三回の礼拝を三十年にわたって一日も欠かさない。
十歳の時に大病にかかり、異教徒の大国を滅ぼしてその都にイアルダボート教の神殿を建立するまで結婚せぬと誓い、四十歳の今日まで独身であった。

「聖典の教えに背く全ての淫らな書物を焼きつくし、地上から異教徒を一掃する」
ことは彼の一生をかけた理想であった。彼の在位は既に十五年に達しており、その間に三百万人の異教徒を──赤ん坊まで含めて──殺し、
魔術や無神論や異国文化の書物を百万冊ほど焼いた。
「神など存在しない」ととなえた学者は舌を抜かれ、寺院の礼拝を怠って密会した男女は、真っ赤に焼けた巨大な鉄串で「2つの身体をひとつにされた」

そのような狂信家の国王が、異教徒の王妃を遇する道があるとすれば、最も残酷な刑死があるのみ、のはずであった。

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