ハピネスチャージプリキュア！ ++HAPPINESS CHARGE PRECURE!++ 139

まずい。奴等に墓場の存在を知られてしまった。これまで、あの
場所に足を踏み入れ、無事に元の世界へ帰れた者は、一人も
いなかったというのに。奴等は、必ず捕らわれたプリキュア共を
救いにくるだろう。それだけは、何としても阻止しなければならない

ミラージュ様への忠誠心と俺自身の欲望を満たす為、
プリキュアを倒す格闘術を極めたこの俺には、
たった１つだけ、達成できずにいることがあった

それは……、敗北したプリキュア最後の抵抗。俺の仕事を
完璧なものにすることを阻む忌まわしき存在。プリキュアが
変身能力を失った時に身に纏う、謎のバスタオルだ
アレを破壊するにはどうすればいいのか。俺が知り得る
全ての能力や手法を用いても消し去ることができなかった

長年続けた研究に転機が訪れたのは、あるプリキュアを
倒したときのことだった。同様にプリキュアの研究を
続けていたであろう化学者の娘であった彼女の持ち物から
あのタオルに反応する化学物質に関する資料が入手できたからだ

しかし、その薬品をもってしてもタオルを分解することは、
容易ではなかった。一体どれだけ、この俺の手を焼かせれば
気が済むというのか。薬品の濃度を濃くしてもタオルが
溶ける量は、極々僅かでしかなかった。が、俺は諦めなかった

こうして、編み出された技が敗北者を幽閉するエターナルケージだ
この檻の中は、特別に調合された例の薬品で満たされている
閉じ込められたプリキュアは、タオルを１年に１ミリずつ
誰にも邪魔されることなく、腐食させていくのだ
タオルの厚みは、およそ１センチ。最後にプリキュアを葬ったのは、
数週間前のこと。あと10年。俺は、墓場を死守しなければならない
絶対に……、だ