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リニア中央新幹線 55

377 :名無し野電車区:2024/05/06(月) 10:40:41.61 ID:ijSFDwWV.net
Vol.78 No.1 2021.1
超電導磁石の故障を未然に防ぐ

◼クエンチと熱暴走
超電導磁石の運用中に、超電導コイルの温度が局所的にでも上がってしまえばその場所の電気抵抗はゼロでなくなり(常電導転移)、電気抵抗がある区間を電流が流れることで発熱します(ジュール発熱)。
そして、そのジュール発熱によって周りの線材も常電導転位してさらに発熱します。
この連鎖は低温超電導体を用いて巻かれたコイル(以下、低温超電導コイル)ではクエンチとよばれます。
ただし、高温超電導コイルでは、この現象の振る舞いがだいぶ違っており,クエンチではなく熱暴走とよばれています。
図1に低温超電導コイルのクエンチと高温超電導コイルの熱暴走のイメージを示します。

超電導コイルで局所的な発熱があったとき、低温超電導コイルでは即座に常電導転移が伝搬します。そのため、コイル全体が常電導体になり発熱します。さらに、低温超電導コイルは液体ヘリウムで冷却されていることが多く、その場合クエンチによって液体ヘリウムが急激に気化・膨張して安全弁から放出されます。

これに対して高温超電導コイルでは、常電導転移はコイル全体に伝搬しません。これは超電導コイルの比熱が影響しています。物質の比熱は温度によって異なり、銅を例にとると40ケルビンでは4ケルビンのときの約600倍になります。常電導転移があっても初めは温度上昇がわずかで、熱があまり周りに伝わらないのです。ただし、わずかな温度上昇であってもそれに応じて発熱は少しずつ大きくなり、冷却とのバランスが崩れたところで温度が急上昇します。
これが熱暴走とよばれる現象で、最終的には発熱箇所で超電導線材が焼損してしまうこともあります(図1)。

図2にクエンチと熱暴走時のコイル電圧の一般的な挙動を示します。
ジュール発熱にともなって電圧が発生しますので、低温超電導コイルのクエンチにおいては電圧がゼロ(超電導状態)から瞬間的に電圧が跳ね上がります。
その一方で、高温超電導コイルでは徐々に電圧が上昇し、熱暴走に至ったところで電圧上昇が加速します。

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