無職と美しい四季の話

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春
ドアを開けて無職は出かける　
町内会の綺麗なつつじが笑う
一回も町内会には参加したことがない
消えてしまいそうな春の風に不安を覚えて
今日も今日とて今日が終わる

夏
夏はギラギラの太陽を背負ってやってきた
何も背負うものがない僕はそんな夏に寄りかかる
すると夏は嫌そうな顔をして大きな雨雲を連れてきた
背負うものも頼るところもない僕は孤独に意味を失う
今日も今日とて今日が終わる

秋
秋は冬に憧れまだ見ぬ顔を見せる
恋に焦がれた紅葉に憧れを抱く無職を
誰が裁くというのだろうか
あの風もこの風もただあるだけで
頬をさす冷たい空気がどこかへ行ってしまいそうで
今日も今日とて今日が終わる

冬
霜が降りた土の硬さを無職の足に伝える日
冬は濁り一つない美しい雪を持ってきた
働かない理由も見つからず
ヒビの入ったゴムワイパーに夜雪が今日も腰をかける
今日も今日とて今日が終わる