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君のセンス5段階+αで評価するよ[vol.113]

819 :名前はいらない:2015/06/10(水) 23:40:43.61 ID:KVmCNViG.net
「斜陽」

北関東のはずれにある古びた駅のホームを
優しくなでるように照らす6月の夕暮れ。
眼前にはどこまでも広がり続ける田園風景。
あそこの美しく四角い入口へと飛び込んで
僕は違う世界へと消え去ってしまいたい。

なんとなくドピュッシーの詩に耳を傾け
この景色を写真に収めようとする女の子。
潤んだ夢幻に体中を撃ち抜かれたまま
あそこの煌めく透明な入口へ飛び込んで
僕は違う世界へと消え去ってしまいたい。

駅のホームで何度も見たあの飢えた白猫は
いつからか、つま先立ちでブロック塀の上を
まっすぐに歩けなくなってしまっていた。

彼女はこの美しいオレンジ色の没落のように
いつからか、コンクリートの上に沈み込んで
ゆっくりと生きることを諦めていった。

美しく四角いオレンジ色は
煌めく透明なオレンジ色は
ほんとは入口なんかじゃないんだろう。

ゆっくりと、ゆっくりと、諦めていこう。

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