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君のセンス5段階+αで評価するよ[vol.113]

174 :名前はいらない:2015/04/06(月) 21:38:01.61 ID:NxsrVN53.net
「まがいもの」
憧れていたあのロックスターは、
履き古した、鼠色のブーツ
汚れなんて気にせずに、いつも
TVで歌いながら履いていた。
ギター片手に、花柄のシャツ着て
高そうなネックレス付けていても
汚れなんて気にせずに、いつも
TVで歌いながら履いていた。
ただ正直に、歌いながら履いていた。

そんな姿を眺めながら、彼の歌声を聴きながら
どんなまがいものも、まがいものらしらを
正直にさらしてみれば、ほんものになれるのかと
ほんの少しだけ、思い込んでしまったよ。
彼と僕は、多分おんなじなんじゃないかと
憧れなんかじゃなくて、すごく近いところに
彼は立っているんじゃないだろうかと
ほんの少しだけ思い込んでしまったよ。

必死で気取って見せた、こだわりらしきものは
ゆっくり、この郊外の町のよどんだ空気に
流すように、置き忘れるように捨ててしまった。
国道沿いに、立ち並ぶ無機質な大型店舗、
次から次へと、古いものは捨てられていく。
そんなものに、このまま飲まれていくのだろう。

コンビニで買った安い酒と、チキンを味わい、
特に何に思いをはせて暮らすわけでもなく、
だけど僕はまだあの人の歌に、かろうじて耳を傾けている。
冷たいプラスチックのような、感情の束が
やけに愛おしく見えるのは、希望なのか絶望なのか
だけど僕はまだあの人の歌に、かろうじて耳を傾けている。

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