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後味の悪い話 その183

891 :本当にあった怖い名無し:2021/06/21(月) 00:27:37.03 ID:fCnbP+CU0.net
そこで、かつてトランペットを売却したレコード店にて、1900が捨てた筈のレコードが置かれていた
親友は夜中にレコード店に忍び込んでレコードを手に入れようとする
しかし店主に発見され、ショットガンを突き付けられることになり、親友は事情を説明するために、1900の物語の後半を店主に語っていく

そして店主の赦しを得て、親友はレコードを持って船へと走り、船内でレコードを再生した
そして、ついに彼が姿を現した
二人は再開を喜び、あれからどうしていたのかを互いに語り合った

1900は、大戦中も船の上でピアニストを続け、死にゆく傷病兵達のためにチンコん歌を奏でていたのだと言う
「多くの兵士が助からずに命を落とした。それでも、せめて最後の瞬間だけは安らかに逝けたと思う」

親友は、間も無くこの船が爆破解体されることを1900に告げ、この船から降りて陸地で生きるよう説得しようとする
1900は、一度船を降りようとしたあの時、どうして船を降りなかったのかを語る
タラップに立って、アメリカの大都市を眺めた時、1900の目には、都市の未来、国の未来が見えた
いや、厳密に言えば「見えなかった」のかもしれない
船の上という限定的な狭い空間で生まれ育った1900にとって、この世界に存在する全ての存在には必ず「限り」と「終わり」が有った
ピアノの鍵盤には限りが有り、曲にも終わりが有る
だが、アメリカには限りも終わりも無く、ただ「無限」が有った
際限無く、無限に発展していく都市、無限に発展していく国
限られた世界で生きてきた1900は、その「終わり無き世界」の中で生きていくことが怖かったのだ
「無限の選択肢が有る世界で、何を食べて、何を着て、どんな曲を奏でろって言うんだ・・・?」

親友は1900の意思を尊重して自決を認めることにし、彼と別れる
そして船は大量の火薬を積んで沖へと流され、1900は船と最後を供にした

レコードショップへと戻った親友は、「1900を救えなかった」と言って涙を流す
店主は、「これは君が持っているべきだ。代金はいらない」と言って、トランペットを彼に渡した

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