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後味の悪い話 その183

796 :本当にあった怖い名無し:2021/06/06(日) 18:07:43.24 ID:o1OF3Mdv0.net
話に興味を持った早瀬は彼と連絡先を交換し、何かあったら教えてくれと頼む。
そしてある夜、例の男性から着信が。
出てみると彼は電話口で嗚咽を漏らすばかりで何も言えない様子。
まさか遂に殺ってしまったのか、と慌てて会いに行くと、彼は泣き崩れていた。
「殺せなかったんだよ」
彼は涙ながらにこう語った。
殺害方法を絞殺にすると決め、麻紐を準備した。
しかし当日の朝、目の前に息子の幽霊が現れたのだという。
「やめて、お父さん」
息子はそう訴えた。
あの子は復讐など望んでいなかったのだ。
犯罪に手を染めて地獄へ堕ちるよりは、人生を全うして天国で再び息子と会いたい。
男性は自然とそう考えるようになり、社会復帰を目指すことに。
早瀬もほっと一安心しそれを応援した。

それからしばらく経ち、早瀬は再び彼から連絡を受け取った。
ホームレスをやめて自動車整備工場に就職したらしい。
見掛けも逞しくなり、ホームレス時代とは別人のようだった。
彼は「また目の前に息子が出て来てね」と話し始めた。
「『お父さん、殺してよ早く』って言ってるんだよね」
驚く早瀬に、彼は捲し立てるように言い募る。
「君、取材してたでしょ?今あのホームレスどこにいるか知らない?殺してやりたいんだ。今も言ってるんだよ息子が、『殺してくれ』ってさ」
「息子が『やめて』って言ったのは『麻紐じゃ殺せない』って意味だったんだよ。絞殺って10分以上も絞め続けなきゃいけないんだって。あの時は力も無かったから失敗してただろうな。でも今なら凶器も色々用意出来るからさ」
「ねぇ、あのホームレスどこに居るの?知ってるんでしょ。教えてよ早く。ねぇ。ねぇ!」
早瀬が知らないと答えると、彼は期待外れとばかりに帰って行った。
以来彼から連絡はない。

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