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後味の悪い話 その183

599 :本当にあった怖い名無し:2021/04/30(金) 14:36:40.98 ID:ViUvdj0+0.net
某直木賞作家の食に関するエッセイから

僕(=作家)の家は父子家庭だった
父は僕たち兄弟に不自由な思いはさせまいと外での仕事と家事に力を注ぎ
僕たちもできるかぎり自分のことは自分でこなしていた
毎日の生活はなんとかなったけれどある年の秋のこと
遠足のお知らせが配られ、僕は「お弁当はお父さんの手作りがいい」と頼んでみた
前の年の遠足のときは父子家庭となったばかりでまだ父は料理に慣れておらず、仕方なく市販の菓子パンで昼食を済ませたのだった
父は「そうか、父さん頑張るよ、楽しみにしててな」と約束し、当日は夜明け前から起き出して台所で調理を始めた
僕が起き出したときにはもうお弁当は包まれていて「中身は昼になってからのお楽しみだぞ」と渡された
昼食時になり、みんなで輪になっていざ蓋を開けると
僕は号泣した
何種類もの色とりどりの手の込んだおかずはぼくの好物ばかりで、作った父の手間はどれほどのものだっただろう
だが開けた瞬間異臭が漂った
全部腐っていた
弁当を作ったことがなかった父は「冷ましてから蓋をしないと傷む」ということを知らなかったのだ
僕は先生と友達になだめられながらみんなにちょっとずつ分けてもらったおかずを食べ、泣く泣く父のお弁当は現地のごみ箱に捨てた
その夜父は笑顔で「弁当うまかったか?」と聞いてきたが僕は「うんありがとう」としか言えなかった
真実が言えるわけがない

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