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後味の悪い話 その183

346 :本当にあった怖い名無し:2021/02/25(木) 21:28:29.87 ID:2GjGqFXb0.net
ある作家の取材時のエピソード
その作家は太平洋戦争で日本軍のとある成功した作戦についての取材で元海軍大佐P氏の家を訪問した。
P氏はその作戦で敵の出方に備えて行ったとある任務に携わっており、敵が来なかったので直接は戦果は上げる事はなかったが彼の行動は大胆なもので驚異的だった。
取材が終わったため作家が帰ろうとするとP氏は酒の誘いをして作家を帰したがらないように見えたが作家はやんわりと断った。
理由は訪問時からP氏の家族の作家への素っ気なさだった。P氏は戦後戦時中の体験談を繰り返し話し、年老いてより傾向が激しさをましてP氏の家族は露骨な態度でP氏を無視しているのだろうと想像できた。帰り道作家はP氏に対して悲哀を感じた。氏は海軍のとある分野の権威だったが戦後の平和時代には活用できるものではない。戦後は海軍大佐という箔も剥がれ、家族にとっては荷厄介な存在になった。氏は戦時の記憶を頼りに細々と生きてきたのだろうと作家は暗澹たる気持ちになった。
数日後作家はP氏の家に取材した話の追加の細かい点の質問があったので電話をした。若い女性が電話に出たが用件を聞くと「そんな話は結構です。刺激しないでください!」と甲高く答えて電話を切った。作家は想像が事実であることを知った。P氏は普段そんな家族の中で息を潜めていたところに作家が来て元気付けられて家族に体験談を繰り返したようだった。一週間後P氏から葉書が来た。
「あれから何も連絡が無いが不明点があれば答えるので聞いてほしい」という内容で家族は何も伝えてないのだった。
しばらくしてから作家はふとP氏の事を思いだし消息を調べた所、P氏は葉書を送った一ヶ月後に死亡していた。

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