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海・山にまつわる怖い話・不思議な話 2

730 :本当にあった怖い名無し:2019/06/12(水) 23:05:46.40 ID:9wfdyvFV0.net
石じじいの話です。

ある人が話してくれたそうです。
その人は、まあまあの大きさの商家に生まれました。
彼の母親は非常に厳しいひどだったそうです。
礼儀作法を厳しく躾けられました。
農繁期になると、そのあたりの農家に預けられて農作業もさせられました。
自分のうちは農家でもないのに。
まるで他人のような、まったく母親としてのやさしさを見せない母親に対して、子供心に失望感や嫌悪感が生まれたそうです。
学校のことについては、ほとんど無関心。
お小遣いもくれず、欲しいものも買ってもらえない。
子供の世界で、彼は肩身の狭い思いをしたそうです。
彼は、学校を卒業するとすぐに別の大きな商家に奉公に出されました。
一年に一度、実家に帰りましたが、邪魔者扱いされて、すぐに母親に追い返されたそうです。
厳しい奉公でしたが、それで鍛えられて、いっぱしの商人になれたのです。
奉公の期間中に父親が亡くなりましたが母親は彼を呼び戻すことなく、若い男を新たに店員として雇って昔からの使用人とあわせて三人で店を切り盛りしたそうです。
このため、彼は、自分の母親が父親とは別に「男」を作っていたのではないか?
そのために、邪魔な自分を追い出したのではないか?
と思い悩んだそうです。
ある正月、実家に戻っていた彼が奉公先に戻って二日して、母親の死が伝えられました。
いつもどおりの、愛情のない母親との正月だったが、二日前のその時が母親と過ごした最後だったのか、と思いましたが、別に悲しさはなかったそうです。
そして、彼は実家の商店を継ぎました。
じじいにこの話をしてくれたとき、彼は非常に裕福で、自分の事業を拡大しておおいに成功していました。。
「おかあさんが良かれと思うて、あんたをそがいにきびしゅう育てたんかのう?おかあさんの本心はわからんかったんかな?」
じじいは尋ねましたが、彼は、答えたそうです。
「いや、わからん。まったくわからんのです。わしを愛して、親として厳しゅう育てたんか?それか、ほんとうに好いてもろうとらんかったんか?」
「臨終を看とれんかったし、書いたもんも残してくれんかったけん、母親の気持ちはわからんのです。」
「そやけど、いつも、墓参りのときにはおかあちゃんに甘えるんです。」

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