経験したはずのない記憶

本当にあった怖い名無し

みんなは経験したはずのない記憶とかないか？
俺には一つだけある。
小学生の頃に防波堤から自分と同じ歳くらいの男の子を突き落として殺した記憶。
この記憶が時々薄っすらと頭の中に浮かび上がってきて
怖くなってなって別のことを考えてかき消すようにしている。
これが実際に経験したことなら理解できるのだけど
全く身に覚えがない。
まず自分は生まれも育ちも海がない内陸県で有名な奈良県で
生まれて初めて目の前で本物の海を見たのが
高校の時に友人達と行った三重県の鳥羽白浜海水浴場なんだ。
親に子供の頃家族旅行で海に行ったか聞いても行ったことはないと言う。
そもそもうちは貧乏だったので家族旅行なんてものは一度も経験したことがない。
もしかして修学旅行先かと思ったが
小学校の修学旅行先は長野の山中だった。
当時のクラスメートや友人にも確認を取ったが
学校行事で海に行くようなイベントは一度もなかったと各々がそう答えた。

じゃあこの記憶は一体何なんだ？

防波堤の上で遊んでいる小学生の頃の自分、そして同年代の男の子。
その子は紺の短パンに、同じく紺のサスペンダーを付けて白いシャツを着ている。
髪型は多分おかっぱっぽい感じ。
何となく生まれも良く品の良さそうな男の子だ。
顔は何故か分からない。
顔はあるのだがどういうわけかぼんやりと肌色の霧がかかっていて認識できない。
遊んでいるとその少年が防波堤の上で転倒するんだ。
そして立ち上がってきたところを背後から俺が突き落とす。
記憶はいつもここで途切れている。

思い出したくない、でもこの記憶が何なのか知りたい。
俺と同じような、経験したはずのない記憶が存在するやつ他にいないか？