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百物語2017

286 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2017/09/13(水) 01:55:14.40 ID:C/buxdx90.net
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飲み会の帰りにタクシーを拾った
自宅マンションの場所を告げて発車して早々に「ラジオつけていいですか?」と運転手から声をかけられる
最近は客の希望がなければつけないことになってる会社が多いと聞いたことがある
「ええ、構いませんよ」と答えたはいいが、結構デカいボリュームで流し始めた
しばらくはガマンしてみたものの、こっちはうたた寝するつもりだったので
「すいません、すこし音小さくしてもらえますか?」そう告げると運転手は申し訳なさそうに音を小さくしてくれた

車内に流れるラジオの音が減って気づいたんだが、運転手が独り言を言っている
ラジオと会話でもしているのかと思ったがそうではない
全く繋がりのない意味不明な独り言を、こちらに聞こえるか聞こえないか位の小さな声でボソボソと呟いている
注意深く聞き取れたところで何の話をしているのか全く理解できなかった
酔いも醒める勢いで気味が悪くなったが飛び降りる訳にもいかず、目を閉じて自宅までの二十分ほどスルーを決め込んだ

「着きましたよ」と自宅マンションの前についてミラー越しに視線を向ける運転手はまったく普通の様子
というか愛想のいい丁寧な応対で、酔っ払いである自分に足元を注意するよう促しながらお釣りを渡してくれた
さっきのは何だったんだろう……運転手がおかしかったのか、自分が酔っていたせいなのか
自信がなくなってしまい何の気なしに振り返ると、姿勢よく背筋を伸ばした運転手が車を発進させるところだった
その運転手側の後部座席、自分がさっきまでいた座席の隣におばさんが乗っていた
膝の上にのせた手さげカバンの取っ手を両手で持ち、ちょうど運転手に顔を寄せるように前傾姿勢で前を向いている
その耳元に何かをささやきかけるおばさんを乗せたまま、タクシーはゆっくり走り去った
さっきまで聞こえていたのはアレの声だったのか
あの愛想のいい運転手はきっとラジオを付けるのだろう
「大変な仕事だなぁ」思わずそうつぶやいた


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