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後味の悪い話 その163
- 784 :3@\(^o^)/:2016/07/11(月) 23:05:54.06 ID:fvXHjBtxO.net
- ベルタの話しが終わるとすっかり夜も更けていた。 友人ヴァルターはこんな感想を言う。
「奥さま、お話ありがとうございました。あなたや奇妙な鳥の様子がありありと目に浮かぶようです。
それにあなたが小さな“シュトローミアン”に餌をやっているお姿も」
妻と友人が部屋に戻って休んだ後も、エックベルトはまだ広間を行ったり来たりして考え込んでいた。
エックベルトはヴァルターの言葉が、あんな打ち明け話の後のわりにはあまり心がこもっていなかったことが気になっていた。
ヴァルターを信用して話したのは間違いだったかもしれない。あの話を悪用したり、財産を狙われるかもしれない。
エックベルトは不安の為、その夜はほとんど眠れなかった。
翌朝、ベルタは昨夜の話のせいで神経が高ぶって熱を出し、顔を見せなかった。
しかしヴァルターはあまり気にしていない様子で、エックベルトにもかなりそっけなく別れを告げて帰った。
その晩以降、ヴァルターが城を訪れることはめったになくなり、エックベルトはますます不安をつのらせていく。
ベルタの病はますます重くなった。彼女はずっと気にかかっていることを話した。
それは小屋で飼っていた犬の名前を自分はずっと忘れていてどうしても思い出せなかったのに、ヴァルターが確かに「シュトローミアン」と名指ししたことで、もしかしたら彼はベルタの運命に何らかの関わりがあるのかもしれないというのだ。
今やたった一人の友人が唯一自分を苦しめる人間になってしまったことに、エックベルトはますます思い悩む。
ある冬の日、エックベルトは気晴らしに狩りに出かけた。なかなか狩りの獲物に出会えずにいた時、遠くで動くものを見つけ、狙いをつけようとして、それがヴァルターの姿だと気付くが、自分でもなぜか分からないまま、彼に矢を放ってしまう。
ヴァルターはこちらを脅すようなしぐさをしていたが、矢が当たると雪の上にどっと倒れた。
エックベルトは恐怖に教われ、慌てて城に戻ったが、留守の間にベルタは死んでしまっていた。死ぬ前にうわごとのようにヴァルターや老婆のことを話していたという。
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