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後味の悪い話 その160

641 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/12/24(木) 13:42:18.64 ID:ahh2TUOaO.net
創元推理文庫の分厚いアンソロで読んだような。
作者は探偵小説畑ではなくプロレタリア文学畑の人だったような。

戦前、炭坑だか工場だかのタコ部屋?劣悪な環境で重労働を強いられていた労働者。
参事官が視察に来るから余計なことを言うでない、と工場長に命令というか脅されて渋々従う。
現れた参事官はゆったりとした様子のいかにも頼り甲斐のある男。
工場長と配下にぺこぺこされて視察を終え、何か意見はないかと労働者に訊く。
遠慮はいらない、お前たちの生の声をお上に伝えるのが自分の仕事、とも言う。
労働者のボスが何か言いかけると工場長が叱り飛ばすので、参事官は工場長を一喝する。
これに力を得た労働者が口々に訴えるのを一通り聞いてから、
「やいやい引っ掛かったな阿呆どもめら。俺様は参事官でも四時間でもねえやい。何を隠そうこの俺様は社長の忠実な部下」
ボスはその場で殺されたんだったか連れ去られてそれっきりだったか。

数時間後に現れた本物の参事官が促しても労働者は何も言わなかった。
当工場(炭坑)の労働者きわめて従順にして温和、労働環境に恵まれたる者達。と参事官は報告書を書いた。

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