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ほんのりと怖い話スレ その113

251 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/12/11(金) 06:06:23.80 ID:RrF40Iz50.net
日曜日の昼下がり、ぼんやりとテレビを眺めていると、チャイムが鳴った
玄関へ行きドアを開けるとそこには、黒一色のワンピースを着て頭に赤いカチューシャをはめた
四十代後半ぐらいの女が立っていた
「お届けものです…」女は籠に入った何かを唐突に俺に突きつけてきた
「えっ、なんすかこれ?」
という俺の至極当然の問い掛けを女は完全に無視して「これにサインか印鑑を」と言った
「いやサインって、これ新聞紙じゃないですか、しかも雑に破いた…」と俺が困惑を露わにすると
女は「ちっ」と舌打ちし、「早くしろよ…」と小声で呟いた
うわ…なんかあぶない女だな、下手に逆らわない方が身のためだなと思い
思い付きの偽名を適当に書き彼女に手渡した
女は「まいどあり」と目も合わさずに新聞紙を俺から引ったくると
竹ボウキを引きずりながら玄関から立ち去った
一体何なんだよあの女…と暫く呆気にとられていたが籠の中身が気になったので
恐る恐る被せてあった布を取るとそこには、ビチョビチョに濡れた食いかけのパイが入っていた
『あたしもこれ嫌いなのよね』という走り書きのメモが添えてあった
表からクラクションの音や邪魔なんだよ!といった怒声が聞こえる
気になって玄関から通りを覗き見ると
ホウキに跨って動かない女のせいで酷い渋滞が発生している
暫くすると遠くからサイレンの音も聞こえてきた。どうやら誰かが通報したらしい。
俺はグチャグチャのパイを女に投げつけて泣いた。飛べない俺達のために一晩中泣いたんだ

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