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後味の悪い話 その159

69 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/09/23(水) 23:23:25.24 ID:rXr9+MbS0.net
猫漫画アンソロジーに載っていた男性漫画家による短編

数万年前、イエネコの先祖である山猫は狩をして暮らしていた
だが次第に、より大型のヒョウ等や、群れを作る狼の仲間や
何より道具と不思議な鳴き声を使って群れで連携する人間という生き物に
獲物を奪われて飢えていた

ある時、兄山猫のところへ弟山猫が大喜びでやってきた
しかもかなり大きな肉の切れ端を口にくわえてきた
どうやって手に入れたと驚く兄山猫に弟山猫が説明する

弟山猫はマンモス肉のおこぼれでも得られないかと一か八か人間に近づいた
肉を持っていた人間のメスに驚かれ、悲鳴を何度も上げられたが
その悲鳴は何故か、弟山猫を見てとても喜んで上げているのだ
まるで人間の子供にでも接するかのように笑顔を向けられ撫でられ抱き上げられ
弟山猫がニャーと鳴くたびに人間のメスも喜んで何やら複雑な鳴き方をする

弟山猫は、これは自分達山猫族の新しい生き方になるのではないかと気づいた
つまり人間についていって人間が喜ぶ事をすれば狩をしなくても餌を食べられる!

世紀の大発見に興奮しながら夢を熱く語る弟山猫に、兄山猫は引いた
孤高を望む兄山猫は人間に媚びる気になどなれなかった
しかし弟がその生き方を心から望むのであれば、兄は止めようとも思わなかった
もう会う事もないかもしれないが、互いの幸せを祈りつつ兄弟の山猫は別れた

その後、弟山猫はしばらくは人間の群れの中で楽しく暮らしていたようだが
人間の群れが狩に失敗する時期が続いて飢えた時、人間達に食われてしまった

のちに人間達が農耕を始め、農作物を食い荒らすネズミに困った
兄山猫の子孫はネズミ取りという役目を持って人間に近づいたため今度は生き延びた
だが兄山猫の子孫ゆえ、現代の猫もどこか完全には人間に気を許さないのかもしれない

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