後味の悪い話　その157

456 ：本当にあった怖い名無し＠＼(^o^)／：2015/06/29(月) 16:48:35.93 ID:mYSrCQ6B0.net

明里はビルの隙間で一人で子供を出産し、産れた子供に「忘れないで」と願った
子供が無事に養護施設に保護されたという確認がとれた後、大金の隠し場所を白状した
それ以来、照彦が明里に食料を届けに来ることは無くなった
それでも明里は幸福だった。心の中で、子供と会うことが出来たから

琢馬の正体は、明里と照彦の間に産れた子供で、康一たちが追っている殺人犯だった。琢馬が殺した相手は照彦の共犯者
琢磨は【本】に記された【事故】や【自殺】の記憶を他人に見せる事で、他人にも全く同じ体験をさせて重傷を負わせることが出来るのだ
【本】によって自身の出生の秘密を知った琢馬は、母を殺した父への復讐を企んでいた
照彦の娘である千帆は琢馬とは腹違いの兄妹だった。琢馬は、兄として妹の千帆に情を感じてはいたが、それと同時に憎しみも感じていた

康一の仲間たちは、殺人犯の正体が琢馬であることを突き止め、琢馬を捕まえようと戦いを挑む
主人公【仗助】との死闘により、琢馬は頭部に重傷を負う
それと同時に、琢馬の能力である【本】が崩壊し始め、ページがバラバラと千切れて飛んでいく
それは琢馬の記憶が崩壊しつつあることを意味していた
「母の死体を拾いに行った」
琢馬は、忘れぬために言葉にする
「父に復讐するために生きてきた」
琢馬は、仗助に最後の攻撃を仕掛けるも、敗北し、死亡した

千帆の家は火事で全焼していた
焼け跡から照彦の死体は見付かったが、千帆の死体は見付からなかった
照彦の死因は、焼死ではなく、刃物で刺されたことだった
刃物には千帆の指紋が付着しており、警察は千帆の身元を追っている
あの日、千帆と照彦の間に何があったのかは分からない

康一たちには琢馬の事情などは殆ど分からなかったが、琢馬の最後の言葉から推測するしかなかった

数か月後、康一は偶然にも千帆と再会する
千帆は妊娠しており、それは琢馬との子だった。琢馬が企んでいた照彦への復讐とは、千帆を孕ませることだった
千帆は、琢馬が実の兄であること、復讐のために自分に近付いたということを察していたが、それでも琢馬を恨むことなく、お腹の子を産むと決意していた
「そうすれば、あの人の人生が無駄ではなかったと思える気がするから」