2ちゃんねる スマホ用 ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

後味の悪い話 その155

179 :2/2@\(^o^)/:2015/02/03(火) 03:22:30.23 ID:PfiGEmhkO.net
エレベーターで乗り合わせた、育ちの良さそうな青年が女をちらちら見ていた。
「…ごめんなさい、つい見とれてしまいました。もっと一緒にいたいけど、それじゃあんまりあつかましい。いつかまたお会いできたら…」
青年は名残惜しそうに歩き去った。

注射には、これまでの人生観を忘れさせる作用があった。
青年は「美的変化サービス」のサクラで、いわば雑草を刈り取った空き地に花を植えるのが仕事だった。自己暗示。

女は美しい女のように自信たっぷりに歩き、それがよかったのか背筋がのび、あるべき所にやわらかい曲線を残したまま痩せた。
顔色は冴え、表情も声もやわらかく澄んだものになった。自己暗示。
女は美しくなり、受付嬢に抜擢された。

ひとつ気がかりな事があった。DMには「ある一定期間」とあったし、美的変化サービスの医者は注射の効果は一時的なものだと言っていた。
あたしは本当に美しいのかしら、みんなからかっているのではないかしら。と疑心暗鬼になる。
イケメンから飲みに誘われても断り、美人なのに自意識過剰じゃないのは珍しい、変わった女だと言われればどうせあたしなんかとむくれる。
アパートで鏡を覗きこみ、あたしは本当に美しいのかしらと涙を流す。
…女の目は少し濁り、まぶたは少し腫れぼったくなった。

総レス数 1013
443 KB
新着レスの表示

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
read.cgi ver 2014.07.20.01.SC 2014/07/20 D ★