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後味の悪い話 その153

522 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/10/24(金) 00:27:25.72 ID:u1/J+sAV0.net
昭和10年代の半ば、私の父が5歳のとき、七五三のお祝いで、羽二重の紋付き羽織袴の晴れ着を作った。
当時、普通の勤め人家庭であった我が家はあまり豊かでなく、父方の祖母はその晴れ着を作るために大変な苦労をしたという。

その後、昭和20年代初め、祖母の知り合いの和裁屋にその晴れ着の仕立て直しを頼んだところ、いつまで経っても品物は帰ってこず、和裁屋も要領を得ない返答をするばかりだった。
祖父母も思い入れのある品であり、結構高価な物であったので、和裁屋を問い詰めると、技術的に難しいところがあったため、その和裁屋の師匠筋にあたる仕立屋に助力を頼んで晴れ着を預けたという。
ところが、その仕立屋は経営不振に陥って倒産してしまい、預けた晴れ着も戻ってきそうにないと、困り果てたように和裁屋は打ち明けた。
祖父は「なぜそんな未熟な和裁屋に頼んだのだ」と祖母を叱り付け、祖母はこの不始末に大層悔しい思いをしたため、後年になっても、「あのときのあの羽二重は・・・」と繰り言することもあった。

それから時は経ち、昭和50年代半ば、私は小学生で、父方の祖父は既に亡くなり、父方の祖母と同居していた。
ある日、母方の祖父が遊びに来た。そのとき家にいたのは、私と父方の祖母だけ。

祖父は、祖母とひとしきり世間話をして、和気藹々と時を過ごし、「それではそろそろおいとまします」という頃合いになった。
祖父が「実は、私の仕立屋のときの弟子がこの近くで○○屋という和裁屋をやっていまして、このあと久しぶりに訪ねてみようと思っているのです」と言った。
それを聞いた祖母が「ずっと前、その方に晴れ着の仕立て直しを頼んだことがあって・・・」という話をした。
祖母によれば、そのとき祖父の顔色は変わり、慌てるように席を立ったというが、私には別段変わったところは見えなかったと記憶する。
それ以後、母方の祖父がうちに遊びに来ることはなかった。

祖父はその頃、地元の市役所を退職して数年経っていたが、若い頃は家業の仕立屋で働いていた。
この一連の話は、今から十数年前に祖母から聞いたのだが、祖母が数年前に亡くなった今に至るも、母にはこのことは言っていないし、母はおそらくこの話を知らない。
母と祖母の折り合いが悪かった一因には、このこともあるのかなとなんとなく思う、私にとっては激しく後味の悪い話でした。

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