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百物語 2014  本スレ

1 :いそえ ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 18:56:12.68 ID:2yX9zsEM0.net
2014年夏。今年もこの季節がやってまいりました。
こちらは『2chオカルト板百物語2014』の本スレです。
今宵の百物語を楽しむために、以下をご一読ください。

□■□■□■□■□■□■□

百話目終了まで、このスレでの雑談はご遠慮願います。
語り部の受付・雑談等は下記の専用スレをご利用下さい。

受付スレ:語り部希望・エントリー済み語り部の点呼はこちらです。
     http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/22553/1408782381/
雑談スレ:お話の感想や雑談はこちらでお願いします。
     http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/22553/1408782644/
代理投稿メールフォームはこちら↓
     http://form1.fc2.com/form/?id=927159
また、ねとらじ朗読のURLはこちら↓
http://std1.ladio.net:8000/100monogatari.m3u
まゆ ◆DWysPbgK.. 様、よろしくお願いいたします!
【ルール】
○進行は、age進行です。
○本スレは進行役がご案内します。進行、非常時にも指示等はお任せ下さい。
○飛び入り語り部さん、飛び入り受付大歓迎です。まずは、受付スレにお越し下さい。
○本スレの進行の妨げにならぬよう、雑談は雑談スレにてお願いします。
○変なものが見えた際には、雑談スレでご報告するか、一話語ってみませんか。
○当企画中に起こった事象に関して、当方は一切の責任を負いません。自己責任でお願い致します。

【投稿の際の注意点】
★投稿する文章は、メモ帳等に全部書き終えてから一気に投稿してください。
★書き込む前にリロードして更新チェックをお願いします。
★お話を投稿していただける方は、このスレには書かず、『受付スレ』へお越しください。
★何か不測の事態が起きた場合は即座に『受付スレ』へご報告をお願いします。

2 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/08/23(土) 18:57:04.12 ID:b5mYxBE60.net
よく似た次元の場所が発現しており、ときたまそちらのほうへ迷い込まれるお方がいるようです。
参加者の方は、一度こちらの扉をお通りください……。
http://maguro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1408787772/

開宴は19時からとなります。
どうぞ今しばらくお待ちください。

3 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:00:24.43 ID:b5mYxBE60.net
 
 
                     2ちゃんねる オカルト板百物語2014
 
 
 
 
 
 
                       まもなく "怪" 幕いたします
 
 

4 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:00:50.13 ID:b5mYxBE60.net
:::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:. .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: .: . . . . . . . . . . . . . . . . .
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:::::::::.夕立過ぎて 風そよぎ . . . . . . . . .
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:::.:. .: .: .: . ━━━━━━━━━━
:;.:. .: .: . . . 夜の帳がおりるころ
:.:, .: . . . ..━━━━━━━━━━
:.:, .:, . . . .
             ━━━━━━━━━━
              百の蝋燭持ち寄りて  
             ━━━━━━━━━━ 
                      
                    ━━━━━━━━━━━
                     語り部たちが集まりぬ
                    ━━━━━━━━━━━

5 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:01:25.94 ID:b5mYxBE60.net
 ━━━━━━━━━━━━
  蝋燭の火は ゆらり揺れ
 ━━━━━━━━━━━━

     ━━━━━━━━━━━━
       怪宴を待つ あまた影
     ━━━━━━━━━━━━

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             人ばかりでなくあやかしも   . . . . . .: .: .:.::
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                 . .━━━━━━━━━━━━ .:.:.:.::::::
           . . . . . . .仲間求めて 群れ集う.:.:.:.:.:::::::::
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6 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:02:43.04 ID:b5mYxBE60.net
 
 
 
 
 
 ━━━━━━━━━━━━━ー─────‐ ‐ -

        2ちゃんねる オカルト板 百物語 2014

                  開 演

           - ‐ ‐─────一━━━━━━━━━━━━━
 
 
 
 
タメ人参◆i.m1cVbrghngさん、第一話をお願いします…
 

7 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:04:59.45 ID:2yX9zsEM0.net
【第1話】 タメ人参 ◆i.m1cVbrghng 様
『ラブホテル』

(1/2)

俺が以前働いていた建設で体験した話です
その日の現場はラブホテルの耐震補強工事の後片付けでした
現場へは俺とAさんBさんの3人でいきました
Aさんはこの現場には初期から
俺とBさんはこの現場はこの日が初めてでした
休憩時間となり
俺とBさんは仮設トイレを探したが見つからず
仕方なくAさんに仮設トイレの場所を聞くことにしました
Aさん曰わく
この現場の仮設は作ってなくて、ホテル内の既存トイレを仮設として使ってると
そのトイレは4Fにあると
その日はトイレ行くために4Fまでいちいち階段を上って
次の日も同じメンバーで同じ現場だったんですね
それでAさんに聞いたんですよ
何でトイレ4Fしかないんですか?と
そしたら実は以前は2Fの方を仮設トイレとして使ってたが監督から4Fの方を使ってくれと言われたと
じゃあ2Fは使えないんですか?
と聞いたら一応は使っても大丈夫という事だったので、次から2Fに行く事にしたんですよ 休憩時間となりBさんと
2人で2Fのトイレへ
まず俺が先に入ってると
トイレ内の電気が急に消えたんですよ
初めはBさんのイタズラかと思い
やめて下さいよ?とか言ってたら電気ついたんですね

8 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:05:48.68 ID:2yX9zsEM0.net
(2/2)
トイレから出てBさんに言うと、そんな事はしてないと
Bさんも、ようを済ませ地上に
次の小休憩時に
Bさんが2Fのトイレに行ったんですね
Bさんトイレから帰るなり
B「おい俺、電気消えたわ
しかも消えた間、換気は止まらなくて電気だけ消えてた
でな、気のせいかも分からんが女の声がしてな
出た時にスイッチいれたら電気普通についたわ
おかしいぞあのトイレと」
次の小休憩に俺1人で2Fのトイレへ
ドアを開けると
水が流れてるんですよ
ジャーと
今しがたまで誰かいたように
ホテル内は見通しがいい通路なんで人がいればすぐ分かるんですよ
もう慌てて地上へw
その時からは4Fに変えました(笑)
この話には続きがありまして
次の日
俺が会社につくなりBさん

B「おはようさん
おい俺、ハズレひいたわ」

俺「おはようごさいます
ハズレってなにがですか?」

B「昨日な家でトイレしてたら電気が消えたんや」

【了】

9 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:06:44.97 ID:JSbHM1NW0.net
1本目の蝋燭が消えました・・・
タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、ありがとうございました


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タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、第2話をお願いします
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語り部希望は>>1の【受付スレ(したらば):ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/22553/1408782381/】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ(したらば):ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/22553/1408782644/】でお願いします。

10 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:08:32.07 ID:2yX9zsEM0.net
【第2話】 タメ人参 ◆i.m1cVbrghng 様
『逃げるシミ』

(1/2)

これは友人から聞いた話です
その友人が中学生時代に体験した話を書きます
友人をAとします
Aには当時、親友が1人いました
その親友をBにします
夏休みのある日
BがAに家の近所にある心霊スポットにいこうと誘ったらしいです
Aは軽い気持ちで返事をしてBと共に
その晩、心霊スポットに行く事になったそうです
その心霊スポットとは、一軒家で1人暮らしをしていた男性が数ヶ月前に自殺をした所だそうです
いつしか近所から
その家から夜に声や物音がするとか
二階の窓に人が立っていたという噂が流れたそうで、それをBが知った訳です
当日の夜
AとBは問題の一軒家に忍び込みました
薄暗い中、ビビりまくりなAをよそに
意気揚々とBは二階にあがっていったそうです
突然
B「おいAちょっとこいよ」
とBの呼び声
AはビビりながらBの待つ部屋へ
Bがニヤニヤと
B「これ見てみろよ」
Aが言われた先を見ると壁に人の形をした大きなシミがあったそうです

11 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:09:07.05 ID:2yX9zsEM0.net
(2/2)

声が出ないAをよそにBはなんと
その大きなシミに
オシッコをかけだしたんです
Aは止めましたがBは全然気にして無い様子
その日はそれで家に帰る事になったそうです
Aはその晩に夢を見ました
夢の内容は
薄暗い中、人型の黒い何かがAに近づいてくるというもの
翌朝Aは早速Bに昨晩見た夢の話をした所、Bは昨日の人型のシミに間違いないと、自分の夢に出てくるならまだしも
友人の夢に出てくるとは許せない
そう行って、またAを連れて、あの家へ行ったそうです
またBは部屋へつくとシミに向けてオシッコを…
その晩はAもBも夢は見なかったそう
でもBは何故か次の日もAを連れて、あの家へ
部屋へつくと何とシミがBのオシッコをよけている(笑)
シミが動いてオシッコをよけてるんです(笑)
AとBはそのあまりの光景に大爆笑
そしてBはオシッコをかけてAと共に帰宅
その晩とうとうBの夢に黒い物体が出てきた
その物体はBに近付くと
シミ「頼むから家には来ないでくれ(泣)」
と涙ながらに懇願したそう
可哀想になったBはシミがAにした事を許し
家には行かない事を決めたそうです

【了】

12 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:09:22.69 ID:JSbHM1NW0.net
2本目の蝋燭が消えました・・・
タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、ありがとうございました


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成 ◆0ute.wyqdY さん、第3話をお願いします
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語り部希望は【受付スレ:したらば】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

13 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:09:47.35 ID:b5mYxBE60.net
『ねむる』

(1/2)

後輩に聞いた話です
彼女の両親は共働きで、近くに住む祖母の家に預けられることが多かったそうです
彼女の祖父は彼女の父親が子供の頃に亡くなっていたそうですから、長いこと独りで暮らしていた彼女の祖母のためにも
なっていたのでしょう
祖母が大好きだった彼女ですが、彼女が特別楽しみにしていたのは夏休み
遠い都会から、叔父一家が祖母の家に泊まりにくることだったそうです
兄弟のいない彼女には、年の近いいとことのその夏休みは貴重なものでした

夏休み中のある日、いつものように祖母の家に訪れた彼女は首をかしげました
あまりにその小さな一軒家は、静まり返っていたのです
履物はあるのに、呼んでも誰も出てこない
けれど田舎特有の防犯意識の低さから、鍵は開いていましたから、彼女は黙って上がり込みました
居間のソファで本を膝にのせ、老眼鏡もそのままに、祖母がうたた寝をしていました
二階の部屋で、まるで神経衰弱でもするようにトランプを散らばして、いとこがすやすやと寝息をたてていました
いつもならこの都会っ子は、トランプの一人遊びなんて目もくれず携帯ゲームに夢中でしたから、彼女は不思議に
思いました
おばあちゃんを起こしてこよう
彼女はそう思い、部屋を出ようとしました
そのとき
ぱたん
軽い音が、部屋の中から聞こえました
振り向くと、いとこが寝転んだまま、裏返しのトランプをひっくり返していました
その目はかろうじて開いていたものの、手元を見ている様子はなく、むしろ何を見ているようでもなく、虚ろでした

14 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:10:14.02 ID:b5mYxBE60.net
(2/2)

ぱた、ぱたん
ひっくり返されるトランプを、彼女は何気なく目で追っていました
ハートのエース
ダイヤの10
ダイヤのキング
ハートの5
ぱたん、ぱたん、と紺地の模様が白くなっていく中で、彼女はふと気がつきました
全て、赤の札なのです
5枚、10枚、15枚、20枚
ゆっくりと、紺は赤に変わっていきます
恐ろしくなった彼女は慌てていとこの体を揺さぶりました
ぱちりと瞬きをひとつして、いとこは彼女を見上げました
「あれ、来てたの?……うわ、なにこのトランプ。片付けないと怒られちゃうよ」
そう言ういとこはいつもの顔で、彼女は心からほっとしたそうです

いとことカードを拾い集めていた彼女は、何気なくカードを数えてぞっとしました
表を向いているカードは、ハートが13枚、ダイヤが12枚
いとこを起こすのがあと一瞬遅れていたら、赤いカードが全て表を向いていたら、一体何が起こっていたのでしょうか

【了】

15 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:11:25.54 ID:JSbHM1NW0.net
3本目の蝋燭が消えました・・・
成 ◆0ute.wyqdY さん、ありがとうございました


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妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、第4話をお願いします
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語り部希望は【受付スレ:したらば】へ
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16 :妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:12:36.33 ID:YcYHo/b60.net
【第四話】「サリー」

(1/2)

叔父が幼い頃、よく学校近くの路面や空き地に色々な露天商が来ていたそうな。
大抵はひよこなどの動物や子供だましのおもちゃなどだが、その時は珍しく人形を売っていて、覗いてみたらしい。
指人形を初め、小さな人形が並んでいたが、一つだけぽつんと大きな人形があったのが印象的だった。
その人形は30センチくらいの大きさの布製のもので、外国人の女の子を模した可愛らしい物。
目を模した石が宝石のようにキラキラと青く輝いていて、その石だけ欲しいな、なんて不謹慎なことを考えた。
人形の値段は500円位だったと記憶している。
しかし、当時の子供たちのおこずかいは一日数十円程度で、1月分のおこずかいを使うには高すぎるし、親などにプレゼントとして買ってもらうには安すぎるということで、誰もその人形は買わなかった。
次の日も、また次の日も人形売りは現れたが、相変わらずその人形は売れ残っていた。

人形売りが現れてから五日後、ついにその人形を買った者がいた。
それは、叔父と同じクラスの女の子で、仮に名前をマリちゃん、とでも呼ぼうか。
マリちゃんは偶々、親戚が遊びに来て臨時のおこづかいをたっぷり貰ったとかで、ずっと気になっていたその人形を買ったのだという。
人形はサリーと名付けられ、マリちゃんの一番の友達となった。
一番の大物が売れて満足したのか、次の日には人形売りはいなくなった。

しばらくして。
マリちゃんが病気になった。
手足が硬化してしまうと言う難病に侵され、周りが気付いた時にはもう足が殆ど動かなくなってしまっていた。
それでもマリちゃんは車いすで健気に頑張っていた。

17 :妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:13:09.93 ID:YcYHo/b60.net
それからまたちょっと経って。
マリちゃんが死んだ。

家の鴨居から首を吊っていたらしい。
足の不自由なマリちゃんが、どうやって……なんて疑惑もあったみたいだけど、結局自殺として処理されることとなった。
ご両親の憔悴っぷりったらなかったそうだ。
叔父も親に連れられお葬式に参加したのだが、特に母親は声を掛けても無反応で呆然と座り込んでいたかと思うと、突然棺にしがみついて泣き出したりと、見ていられない程だったという。
仲のいい女の子たちは泣きながらマリちゃんの棺に手紙やプレゼントを入れてあげていた。
それを見た父親も、祭壇に飾っていたサリーを棺に入れてあげて、みんなで最後のお別れをして出棺をした。

そしてお葬式から1週間くらい経ったころ。
町でマリちゃんの母親を見かけた。
なぜかマリちゃんの車椅子を押して、にこやかに笑っていた。
車椅子には、あの時棺に入れたはずのサリーがちょこんと座っていて、ぞっとしたらしい。

大人は、マリちゃんを亡くしたショックで母親の頭がおかしくなったのだろうと言っていた。
けれども。
足が人形の様に動かなくなったマリちゃん。
マリちゃんの代わりに車椅子に座っていたサリー。
もしかしたら、最初からサリーとマリちゃんを入れ替えるのが目的だったのでは……。

あの人形は結局何だったのか。
確かめようにも、しばらくしてマリちゃんのご両親はどこかへ引っ越してしまった。
そしてその後、一度もあの人形売りを見かけることはなかった。

【了】

18 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:13:41.64 ID:JSbHM1NW0.net
4本目の蝋燭が消えました・・・
妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、ありがとうございました


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ハンズ・ポチ◆2DtjuJLYoI さん、第5話をお願いします
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語り部希望は【受付スレ:したらば】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

19 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:15:00.13 ID:2yX9zsEM0.net
【第5話】 ハンズ・ポチ ◆2DtjuJLYoI 様
『知らない女』

(1/2)

ひいおじいちゃんの家の2階には、知らない女がいる。

初めて見たのは幼稚園の頃。
正月のお祝いだったかな、従兄たちと遊んでいたら膳のまわりで騒ぐなと怒られて。
3人集まって気が大きくなっていたのかもしれない。普段なら絶対近づかない2階への階段を駆け上がった。
2階の窓は家具で遮られ、昼間でも真っ暗の状態。

俺たちは急に怖くなって、上がったところで立ちすくんだ。
だって、ほんとに一寸先は……って感じで、進むのもやだし背中を向けるのもやだったんだ。
そんなに時間はたってなかったと思うけど、ひいおばあちゃんが「ごはんよ」と階下から声をかけてくれた。
何だかほっとして、俺は勢いよく駆け下りた。従兄たちも同じような気持ちだったと思う。先を争って下りたから。

ひいおばあちゃんに「お菓子ある?」なんて聞きながら、なんでそうしたかわからないけど俺たちは後ろを振り向いた。
最初に言ったよね。知らない女がいるって。その彼女がさ、2階からじっと見てたの。
俺たちはぎょっとして、それから叫び声をあげて親のところに逃げてった。そこからはパニックですよ。
「女の人がいる!女の人がいる!」って。

あの時はごまかされたけど、高校に入った頃親父が打ち明けてくれた。
自分が高校の頃2階に寝起きしていた時があって、知らない女の人に顔を覗き込まれたことがあるって。
子供たちが騒いだとき、まだいるんだなってぞっとしたんだって。

これでおしまい、って言いたいところだけどこの話には不名誉な続きがある。

20 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:16:16.49 ID:2yX9zsEM0.net
(2/2)

高校を卒業する前に、ひいおじいちゃんの家は主を失った。
そこで相続問題が持ち上がったわけだけど、ひいおじいちゃん達の子供はもう皆亡くなってて、
相続人は親父と親父のお兄さんだけ……じゃなくて、もう一人いたんだ。
ひいおじいちゃんと前の奥さんの息子さん。

親父のお兄さんって強欲な人でね、親父にウソを言い、その人にもウソを言ってひいおじいちゃんの
財産を総取りしちゃったのね。
もちろんあの家も。
ひいおじいちゃんの家はすぐに壊され、おじさんは新居に招待してくれた。
家には手を付けない。おじさん自身が言ってた事だった。
うちの女どもは怒り狂ってたから、親父は俺を引きずって挨拶へ。そこにはあの人までいた。
「彼が父に一番似ましたね」って苦笑いしてた。

ところであの家の周り、新築ラッシュで影の具合がずいぶん変わったんだね。昔とはまるであべこべだ。
おじさんの家に入ると、2階にあふれた太陽光がスポットライトみたいに階下に降り注いでいる。
ごちそうが一杯並んでいたけど、薄暗いリビングではあまり美味しく感じられない。
あの人がおじさんの顔をじっと見ている。下りてきた彼女と一緒に、熱心に。

彼女は祟るようなものかな?
ちょっとわくわくしながら、俺は家路についた。

【了】

21 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:18:06.87 ID:JSbHM1NW0.net
5本目の蝋燭が消えました・・・
ハンズ・ポチ◆2DtjuJLYoI さん、ありがとうございました


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妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、第6話をお願いします
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22 :妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:18:53.20 ID:YcYHo/b60.net
【第六話】「濡れてる」

(1/3)

「なんかw怖い話とか知らないすかwwww」
百物語に向けてネタを探していた俺は、飲み会でそう切り出してみた。
結構みんなノッてくれて、中々の収穫があったのだが、今回はその中でも特に印象に残ったN先輩に聞いた話をしたいと思う。

N先輩は学生時代の夏休みに、夜間警備のアルバイトをすることにしたそうだ。
配属されたのは古い製薬会社のビルで、詰所に詰めるのとは別にベテランのOさんと二人でローテーションを組み、日に二度、定期的にビルの巡回を行うこととなった。

アルバイトを始めてから1週間程経ち、慣れて来たN先輩は一人、深夜のビルの巡回に出向いた。
そして、2階の廊下の突当りで、妙なものを発見した。
「あれ、濡れてる」
ちょうど一跨ぎで飛び越せるかどうか、くらいの大きさの水たまりがあったそうだ。
N先輩はどこかで掃除道具でも探して拭こうかとも思ったんだけど、なんか危ない薬品だったら嫌だなと、一旦そのままにして巡回を終わらせ、Oさんに判断を仰ぐこととした。

「Oさん、廊下に水たまりがあったんですけど、薬かなんか撒いてあるみたいな報告ありました? 拭いた方がいいなら行ってきますけど」
そう問いかけた途端、Oさんの顔色が変わった。
「どこで見つけた!?」
「へ? いや、2階の廊下の突当りですけど。 やっぱりあれ薬品かなんかだったんですか?」
「そうか……。いや、アレは触らんでいい。今後見つけても絶対に近寄るな。」
Oさんが苦い顔で念を押したので、Nさんはそんなにヤバい薬品だったのか、触らなくて良かったと胸をなで下ろした。

23 :妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:19:35.33 ID:YcYHo/b60.net
(2/3)

しかし、次の晩も、また次の晩も、N先輩は巡回中に水たまりを見つけた。
場所は様々で、玄関ホールにある時もあればトイレの中にあるときもある。
大きさも形もいつも同じくらいで、軽く匂いを嗅いでも無臭だし、色もない。
段々N先輩はこの水たまりがなんなのか気になって仕方がなくなってきてしまった。
そこである晩、ついにアクションを起こすことにした。

その日、巡回中にいつもの水たまりを発見した。場所は奇しくも最初に発見した2階の廊下の突当りだった。
N先輩はポケットに忍ばせていた物を取り出した。
用意していた、スポイトとビニール袋だ。
これでこっそり液体を持ち帰り、薬学部の友人にでも分析をしてもらおうという算段である。
跪いてスポイトを水たまりの中央に突っ込む。意外に深い。

すると突然、スポイトがぐい、と強い力で引っ張られた。
N先輩は驚いてバランスを崩してしまい、水たまりに伸ばしていた手を着いてしまう。
ところが、手は床に触れることなくひじの辺りまで突き抜けてしまった。
そして。
何かが手首を掴んだ。
そのままもの凄い力で、水たまりの中に引っ張られる。
(なんだこれなんだこれなんだこれなんだこれ)
パニックになりながらも、N先輩は必死に引きずり込まれまいと腕を引き抜こうともがく。
まるで手首にロープを巻き付け、何人もの人が引っ張っているかのようだった。
(もう、ダメだ……)
肩まで引き込まれ、諦めかけた瞬間、パシャン、と何かが水たまりに落ちた。
胸ポケットに差していたボールペンが、弾みで落ちたらしい。
ボールペンはそのまま、すぅっと水たまりの中に消えていく。
その直後、引っ張られる力が不意に弱まったのを感じた。
「うごおおおおおおおおおおおお!!!!!」
渾身の力を込めて、N先輩は腕を引き抜いた。

24 :妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:20:00.56 ID:YcYHo/b60.net
3/3)

「それで、どうなったんすか?」
「それで終わり。詰所に逃げ帰って、また次の日から普通にそのバイトもしてたし、やっぱり水たまりは色んなとこに出来てたな。まあ、流石にもう近づけなかったけど。」
淡々とそんなことを言うN先輩はちょっとおかしいと思う。
「でもさ、俺、見ちゃったんだよね。」
「何をです?」
「暗かったし、ほんの一瞬だったから見間違いかもしれないけど」
N先輩はぐびりとビールに口をつけると、意を決したように教えてくれた。
「腕を引き抜いた瞬間、俺を引っ張ってたやつが見えたんだよ。消炭みたいに真っ黒で、なんかもの凄い長かったけど。
アレ、人の手だった。」

【了】

25 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:21:37.59 ID:JSbHM1NW0.net
6本目の蝋燭が消えました・・・
妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、ありがとうございました


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備担◆.1AOTdzS5s さん、第7話をお願いします
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26 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:24:05.46 ID:2yX9zsEM0.net
【第7話】 備担◆.1AOTdzS5s
『神隠し』

同僚とはよく実家の田舎っぷりを自慢しあう。まあ自虐のふりをした郷土自慢みたいなものだ。
あるとき私は、兄が神隠しにあったことを話した。結論から言えば、捜索範囲が広大だった単なる迷子の話。
しかし同僚は、ふっと真顔になり、ぽつぽつと話始めた。

地元の集落で「お山」と呼ぶ山がある。小さなお社があったり、山頂近くには古い墓石のようなものが並んでいたり
するけど、いまはその云われはわからない。山腹には集落からも見えるような目立つ大きなクスノキがあった。
根本には小さな祠もあって、年寄りは大クスノキ様と呼んで拝みに行ったりしていたらしい。

あるとき、未就学の年齢の同い年の子供が居なくなった。
集落じゅう総出で、田んぼや畑を探してもどこにもいない。
夏の長い日も暮れて、集会場に集まった大人たちが、やれ明日は朝から山狩りかと話していると、その子がひょっこり
戻ってきた。

聞くと、大クスノキに木登りして遊んでいた。気が付いたら日が落ちていて、木から降りられないし暗くて怖くて泣いて
いた。すると、知らない老人が木から降ろしてくれて、お八つをくれ、ここまで送ってくれたという。

半ば呆けた年寄りは大クスノキ様のお陰だと合掌したが、他のものは首を傾げた。というのも、大クスノキは
半年前の落雷で木が裂け、危険だからということで切り倒され、今は切り株だけになっていたからだ。

「にっぽん昔ばなしみたいだよね」と同僚は続けた。
その子も今はやはり集落を出て、そこで世帯を持って普通に暮らしているという。

【了】

27 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:25:44.36 ID:JSbHM1NW0.net
7本目の蝋燭が消えました・・・
備担◆.1AOTdzS5s さん、ありがとうございました


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28 :妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:26:49.11 ID:YcYHo/b60.net
【第八話】 「上下さん」 

(1/2)

赤マントって知ってる? 昔流行った都市伝説なんだけど。
なんでも、トイレに入っていると「赤いマントほしいか」って聞かれて、イエスと答えると首を切られて殺されて、まるで赤いマントを着ているように見えるって話なんだけど。
地域や年代によって赤いちゃんちゃんことかちり紙とか色々派生形があるみたい。

最近俺が聞いたのが「上下さん」
うちの近所に古い大学があるんだけど、そこのエレベーターに一人で乗っていると
「上か下か」
ってしゃがれた老婆の声が聞こえるんだって。
「上」って答えると、髪の毛を切られる。
「下」って答えると、足首を切られる。
何も答えないと、異次元に連れて行かれる。
だから、必ず「上」って答えなければならないんだって。

ここからが本題。
その大学の生徒が、ある晩酔っぱらったノリでその話を試してみようってことになったらしい。
7〜8人いたのかな。深夜こっそり大学に侵入してさ。
卒論時期だったからか残って作業してる人もいて普通に這入れてしまったんだ。
で、全員で一番上の階までまず上がって、一人づつそのエレベーターで下に降りることにした。
まあ、ちょっとした肝試しだよね。
それで、一人、降りてはまた一人、と間隔を置きつつも次々降りていった。
でも何も起きなくって、さっさと帰ってまた酒盛りするかってなったんだけど、最後の一人が中々降りてこない。
携帯鳴らしても通じなくて、誰かちょっと見に行けよって話が出始めた時、エレベーターが動きだした。

29 :妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:27:17.39 ID:YcYHo/b60.net
(2/2)

4階



3階



2階



1階

ポーンと音がしてエレベーターが開いた。
真っ赤だった。
中に凄まじい量の血が飛び散っては流れ、最初から赤い壁紙が貼ってあったかのように濡れていた。
そしてそのエレベーターの真ん中で、その最後に残った奴が倒れている。
腰の辺りで、まるでペンチでぶちんと捻じ切ったように千切れて真っ二つになって死んでいたらしい。
その後は警察とか色々大変だったらしいんだけど、結局迷宮入りしそうって聞いたな。

で、上下さんの噂に新しい伝説が付くことになった。
どうもその学生、上下さんに聞かれてこう言ったらしいんだ。

「真ん中」

【了】

30 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:29:01.29 ID:JSbHM1NW0.net
8本目の蝋燭が消えました・・・
妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、ありがとうございました


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31 :妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:29:52.02 ID:YcYHo/b60.net
【第九話】 「青い影」

(1/2)

私は数年前、連日の激務に耐えきれず体を壊し、職を失った。
暫くは休息期間だとぐうたら過ごし、例にもれず昼夜逆転生活になってしまった。
夜通し起きてゲームやネットをし、日が昇ってから眠りに着く日々。
ただ、部屋に籠りきりは流石に体に毒だと散歩だけは毎日することにした。

朝方4時過ぎ。
その日も日課の散歩に出かけた。
辺りは薄明るく、耳が痛くなるほど静かである。
ふらふらと歩いていた私の目に、ふと色鮮やかなものが飛び込んできた。
道路の上に、真っ青な部分があるのだ。
地面にのっぺりと張り付いたそれは人の形をしていて、まるで青い影だけがそこに取り残されているかの様だ。
誰かがペンキで落書きでもしたのだろうか。
私はその影の横を通り過ぎようとした。
と。
おぞましいことに気が付いてしまった。
動いているのである。
青い影がぶるぶると、小刻みに震えているのである。
私は、見なかったことにしようと小走りで影の横を通り抜けた。
しかしつい、後ろを振り向いてしまい、ぞっとした。
着いて来た。
影が、私の方へするすると向かって来ていたのだ。
捕まる!!
私は言い知れぬ恐怖に一瞬にして囚われた。
そしてその場から全速力で逃げだした。

32 :妖場K ◆j0mz2iQVTQAR @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:30:24.49 ID:YcYHo/b60.net
(2/2)

だが、何度振り返っても影は私の後方数メートルの位置を維持し、ぴったりと着いて来る。
走る。走る。
体力の限界が近づいてくる。
当てもなく角を曲がると、大通りに出た。明るく光る、コンビニが見える。
私はすがるような気持ちで、コンビニの中に滑り込んだ。

背後で、自動ドアが閉まる気配がした。
肩で息をしながら、私はゆっくりと振り返った。
直後。
べちゃり。
閉まった自動ドアに、追いかけて来た青い影がぶつかった。
影はドアに張り付いたまま、その場でうねうねと身を捩る。どうやら入っては来れないようだ。
暫くして諦めたのか、影はずるりと地面に落ち、そのまま何処かへと消えていった。
へたり込んだ私を見て、店員が奇妙な顔を向けていた。彼にはあの影が見えなかったのであろうか。
私は完全に日が昇るまでそのままコンビニで時間を潰し、人が何度も出入りしているのを確認してから漸く外に出ることができた。
影は何の痕跡も残してはいなかった。

それから、私は散歩を止めた。
少しして新しい職を見つけて規則正しい生活に戻り、早朝に出歩くことはなくなった。
あの影は2度と見ていないし、あれが何だったのかもわからない。
しかし、あれに捕まっていたら一体どうなっていたのだろうと、今でも恐ろしく思うのだ。

【了】

33 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:32:18.67 ID:JSbHM1NW0.net
9本目の蝋燭が消えました・・・
妖場K ◆j0mz2iQVTQAR さん、ありがとうございました


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サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、第10話をお願いします
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34 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:34:57.92 ID:2yX9zsEM0.net
【第10話】 サンズリバー ◆QNxpn.SauU様
『憑依、そして命拾い』

(1/2)

1995年1月16日、兵庫県の某ドーナツショップで勤めていた私は、21時から翌朝7時迄の夜勤だった。
出勤時、大きく赤い不気味な満月を見たが、そんなに気にしなかった。

仕事を始め、23時に閉店。しかし、その日に限って洗い物等の作業がとても面倒くさく感じ、
食器類を所定の棚に並べずに、洗ったまま洗浄機のカゴごとラックの奥に仕舞い込んだ。

日報を作成後、清掃業務があったが、やる気なく手を抜いて終わらせ、長めに休憩をとった。
日付が変わり1月17日午前4時30分に仕込みを開始、気が進まないながらもドーナツを作り始めた。
約40リットル・温度190℃の油で満たされたフライヤーに、機械でカットしながら生地を落としていく…。
フレンチクルーラーをフライしていた。

すると突然、飛行機が離陸する時の様な感覚が身体を襲った。
そして一瞬にして、自分の思考回路が完全に停止し、誰かに操られる感覚に陥った。
亡き母が乗り移った様な気がした。操られるまま機器の電源を切り、キッチンから外へ走り出た。

35 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:36:15.55 ID:2yX9zsEM0.net
(2/2)

六甲山辺りか、それとも瀬戸内海辺りか分からないが、空が稲妻の様に明るく光った。
ほぼ同時に激しい揺れに見舞われ、街頭も駅の電気も全て消えた。電柱は45度に傾いていた。

映画を観ているのだろうと思っていた。幸いにして、店内は非常灯が点いていた。
キッチンへ行くと、高温の油がほとんど床に巻き散らかっていた。フレンチクルーラーと共に…。

そこで、ようやく我に返り、事の重大さに気付いた。
あの時、肉体や意識を亡き母に乗っ取られていなければ、私は全身が高温の油で焼けただれて、
今こうして、ここに書き込む事はなかったと確信している。

お分かり頂けたであろう…。それは「阪神淡路大震災」、震度7。
発生直前からその直後の体験である。
霊的には助けられたが、リアルでは恐ろしく地獄絵図の出来事であった。

【了】

36 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:37:39.84 ID:JSbHM1NW0.net
10本目の蝋燭が消えました・・・
サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、ありがとうございました


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白孔雀 ◆EiiyoouYFo さん、第11話をお願いします
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37 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:38:52.50 ID:HxZdyY1N0.net
【第11話】 白孔雀◆EiiyoouYFo 様
『金縛り』

今年になってからの話。

その日いつものように布団で寝ているとキ―ンと音がして体が動かなくなった。
隣に寝ている夫を起こそうとしたが声が出ない。金縛りだ。
もがいていると『何か』が寄って来る気配がした。
私は必死で目を閉じ、その『何か』を見ないようにした。

目は閉じていたのだが、私はそれを人のようなものだと感じた。
なんというか、寝ている自分とは別の眼で周囲の映像をとらえている、そんな感じである。

近づいてきた物の背丈は子供くらいで、顔はわからない。
黒い影のようなそれは、私の顔をのぞき込むと、せかせかと布団の周りを落ち着きなく歩きはじめた。
早くどこかへ行ってくれないだろうか…動かない体でそればかり考えていた。

やがて朝が来た。いつの間にか気配は消えて金縛りは解けていた。
私は夫に「昨日怖い夢を見てあなたを起こそうとしたのに起きなかったのよ」と言った。
でもそれ以上のことは言えなかった。
金縛りだ、幽霊だなんて笑われてしまいそうで。
そして私は気配の主に心当たりがあった。なんだか遠方に住んでいる叔父に似ている気がしたのである。
叔父は最近足を悪くしたそうだ。単なる気のせいだと思いたいのだが…。

【了】

38 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:40:35.17 ID:JSbHM1NW0.net
11本目の蝋燭が消えました・・・
白孔雀 ◆EiiyoouYFo さん、ありがとうございました


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タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、第12話をお願いします
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39 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:41:45.43 ID:HxZdyY1N0.net
【第12話】 タメ人参 ◆i.m1cVbrghng 様
『軍事病院』

(1/2)

軍事病院というものをご存知ですか?
戦争があった時代に主に兵士であったり戦争によって傷を負った人が運ばれる所
今は使われず廃病院になっています
そんな軍事病院
未だに取り壊されずに残っているんですが
やはり病院というのは生死が日常の場所
戦争のあった時代ともなれば尚更
やっぱり出るんです
夏になると誰かが言い出す
軍事病院に肝試し行こうと
この話は友人が10代の夏に体験した話です
軍事病院のある場所は山でして、行くまでには少し困難な場所にありました
友人は3人で肝試しに行くことにしたんですね
A、B、C君にします
軍事病院に着いて中に入ると空気が明らかに変わったとAは後に言っていました
3人は院内を一緒に行動しながら見て回ってたそうです
もう想像以上に気味が悪かったらしく
早々に帰ろうという事になりました
その時ふとBが
B「Cがいない…」
AとBは怖いことも忘れて必死に探したけどCが見つからない
もう俺たちでは無理だ
でも不法侵入になるから警察は呼べない
でも意を決して警察に電話したそうです

40 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:42:37.20 ID:HxZdyY1N0.net
(2/2)


警察が来て事情説明をして、応援の警察きて廃病院と付近の大捜索が始まりました
でもCは見つからなかったそうです
AとBは警察署で事情聴取、Cの親も来てたそう
その日から約1週間
警察は懸命に捜索をしたけど結局Cは見つからなかった…
警察が捜索の範囲を変えようとした頃
Cの実家に電話がかかってきたんです
Cの母が受話器をとると

謎の声「C君のご自宅ですか?」

母「はい、そうです」
謎の声「C君の手術が終わりました」

それで電話が切れたそうです

C君の母は不謹慎なイタズラ電話だと憤慨したけど、念のため警察に相談をしたそうです
警察も話しをうけ
翌日もう一度廃病院を捜索したら
ずっと気付かなかったけど、二階に上がる階段の近くに地下に行く隠し扉が見つかり、
地下にC君の遺体があったそうです
数年たった今でも犯人が見つからず
電話の声の相手も分からないまま
今も未解決のままです

【了】

41 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:43:50.31 ID:JSbHM1NW0.net
12本目の蝋燭が消えました・・・
タメ人参 ◆i.m1cVbrghng さん、ありがとうございました


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、第13話をお願いします
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42 :海猫@\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:44:43.47 ID:W3yKSUXf0.net
お父さんが登山好きでいろいろ道内を縦走してたんだけど
トムラウシ山で三角テント張ってビバークしてた時の話

晩ご飯食べてウイスキーのんで寝ようかって思ってたら
テントの周りをザッザッて何かが徘徊する音が10分ほど続いた
お父さんはてっきり食物の匂いで羆が来たかと思ったが
よく聞くと登山靴履いた音っぽい(特殊な靴なんだよね)

んでお父さんも寝たいし気になるしで試しに
「お前も明日早いんだろ、寝ろよ俺は寝るぞ」
って声かけたら立ち去る靴音もなくすっと足音が消えたんだって

20年前の話だけど最近聞いて背筋ぞっとした(´・ω・`)

43 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:44:58.39 ID:HxZdyY1N0.net
【第13話】雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『人形屋敷』

(1/3)

後輩の話。

彼女の家の近所に、一軒の家がある。
T字路の突き当たりに位置する、古い洋館だ。
そこへ嫁いだ女性の様子がおかしくなり、気狂いになったと言われた。
その後、その嫁が目撃される時には、いつも人形を抱えているようになった。
ビスクドールと呼ばれる類いの古い人形らしく、結構高価な代物だったらしい。

話を交わした近所の人によると、嫁は奇妙なことを述べていたという。
「この人形は、目を離していると、凄く悪いことや、凄く酷いことをするの。
 だから、見張るために、こうしていつも、抱いていなくちゃいけないの」
焦点が合っていない目で、途切れ途切れにそんなことを言うのだと。

祖母にこの話題を振ったところ、気持ち悪そうにこう言った。
「あそこの家、前に来た嫁さんもおかしくなっちゃったんだけど。
 その人もいっつも、あのお人形さんを抱えていたんだよねぇ」

44 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:45:43.52 ID:HxZdyY1N0.net
(2/3)

彼女自身は他所の家ということもあり、大して心を配ってはいなかったのだが、
学校の課題で地元史をまとめている最中に、気になる写真を見つけてしまった。
着物姿の若い女性が人形を抱えているという、古い白黒写真だ。
気になったのは抱えられている人形。
あの家の嫁がいつも持っている人形そっくりに見える。
抱いている女性の目は焦点が合っておらず、何処を見ているのかわからない風で、
嫁の表情を思い出させたという。

「この写真って何の写真なんですか?」
近くにいた先輩にそう尋ねてみた。

「あぁ、これね。人形屋敷って呼ばれた館に由来する写真なんだって。
 何でもその館には呪われた人形があって、家人を祟っていたというの。
 祟られるのは嫁に入った女性だそうで、子供を産んだ後は大抵おかしくなって
 早死にしていたんだって。
 まぁオカルトめいた話。
 こんな小さい田舎町にもそんな話ってあるんだね」

嫌な考えが浮かんでしまう。
「ひょっとして、その人形屋敷、私の家の近所なんじゃないですかね?」
恐る恐るそう聞いてみた。

「いや、もうないよ。
 戦後間もなく、火事で焼け落ちちゃったんだって。
 残ってる写真なんかも、これくらいしかないみたいだし。
 え、場所はどこだったかって? さぁそこまでは知らないなぁ」

45 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:46:20.96 ID:HxZdyY1N0.net
(3/3)

件の嫁は段々度が外れた言動が増えていき、やがてその姿を見せなくなった。
噂では遠くの病院に入れられたとか、実家に帰ったとか。
正確なところは不明である。

現在、残された旦那さんが祖父と協力しながら子育てをしているようだ。
あの人形がまだそこにあるのか、今も彼女はひどく気になっている。

「旦那さんもお爺さんも普通の人で、きちんと挨拶も会話もしてくれるんです。
 でも聞けないんですよねぇ。
 もしも、何か得体の知れないモノが本当にあったとしたら。
 それが自分をターゲットにしたらとか、そう考えたら怖くて堪らないんです」

「……それと、あそこの家の子供さんって男の子なんですよね。
 この子自身はすごく良い子なんですけど。
 将来、お嫁さんを貰った時、またあの人形が出てくるんじゃないかと……」
それがすごく不安なのだという。

【了】

46 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:48:27.27 ID:JSbHM1NW0.net
13本目の蝋燭が消えました・・・
雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、ありがとうございました

さあさあ異界より迷い混まれたあなた、どうぞ受付スレにお越しくださいませ
あなた様の席を設けさせていただきます


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成 ◆0ute.wyqdY さん、第14話をお願いします
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47 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:49:51.88 ID:b5mYxBE60.net
『母の話』

この間たまたま機会があったので、百物語のことは伏せて、親に夏だし何か怖い話でもない? って聞いてみたんだ。
そうしたら母は、えー……と少し考えた後で思い出したかのように
「怖い話というか、不思議な話ならあるよ」
というので、どんな話? と聞いてみた。それが、今から書く話。
……それにしても、私の話とは思わなかったから、少し驚いたよ。

3人兄弟の末っ子長女だった私は、実によく泣く子供だった。
幼稚園の頃も、小学校に上がってからも、兄がいじめたといっては泣き、お菓子が少ないといっては泣き、
誰も構ってくれないといっては泣き。
そんなふうだったから、私が泣いたからといって誰ももう困ったり焦ったりはしなかったのだ。
それがまた、私が泣くことに拍車をかけていたのだけれど。

夏休みのある日、母がパートから帰ってくると、兄ふたりは近所の友達とゲームをして遊んでいて、
私が違う部屋でひとりで遊んでいるのを見つけたのだそうだ。
いつもならこんなときは兄たちが仲間に入れてくれないとめそめそしているのに、その日に限って、
たった一人で楽しそうに遊んでいたらしい。

「今日は泣いてないね?」
母は思わずそう尋ねて、それから失敗したと思ったそうだが、私は笑って頷いたそうだ。

「ないてたから、かわってあげたの」

それから私はまるで別人になったかのように泣かなくなったそうだ。

実は私は小学校低学年以前のことは断片的にしか覚えていない。それも、兄や母から聞いたエピソードばかりだ。
もし、「かわってあげた」のだとしたら、元の私はいったいどこにいってしまったんだろう?
今の私は、いったいどこの誰なんだろう?

【了】

48 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:51:29.32 ID:JSbHM1NW0.net
14本目の蝋燭が消えました・・・
成 ◆0ute.wyqdY さん、ありがとうございました


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釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、第15話をお願いします
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49 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:53:51.35 ID:HxZdyY1N0.net
【第15話】 釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA 様
『夜釣り』

(1/2)

これは去年の春の話。
この年も3月くらいから春のミズイカ狙いで毎週末、仲間と佐賀・長崎方面に釣行にでていた。
今回は平戸・生月方面に向かうこととなり、参加は俺と師匠の2人、金曜日朝出発で土曜日のお昼〜夕まづめ〜深夜まで釣りをし、
仮眠をとり、日曜日の朝まづめを狙い、帰路につくという予定であった。
木曜日に師匠から『土曜日急用ができちゃったから、
土曜日深夜に合流する。酒買い込んで行くから合流したら酒盛りしよう 』という連絡があった。

師匠が遅れて合流するってことで俺はひとりで出発した。お昼過ぎにお目当ての釣場に着き、釣りを始めた。
ミズイカは2はい釣れたが、根掛かりしての海藻をその数十倍釣り上げていた。
リールを巻きながら海藻の固まりが海面に上がってくると、
人間の髪の毛に見えるので、深夜にひとりだとかなりビビるよ。
深夜12時もすぎ、ロッドにぐぐっと負荷がかかる。
また、海藻かと思いきや、海面に上がってきたものは、なんと長靴ではないか。
ため息をつきながらタモを出し、ルアー(エギ)を回収しなければならないため、長靴ごとタモ入れしすくい上げた。

長靴に引っ掛かったルアー(エギ)を取ろうとした瞬間、長靴の中(足をいれる部分)から
ひょいって手が出てきてルアーを取ったと思ったら、エギを握ったまま長靴の中に手かは戻っていった。
私は、いきなりなことに腰を抜かし、道具も置き去りにして、這いつくばりながら、車まで逃げ帰った。
なぜに長靴から手が?寝ぼけていたのか?
車に逃げ帰ってから数分のドキュメンタリーが過ぎたと思うが、
コンコン、コンコンと車の運転席側のガラスを叩く手が、長靴の手がここまで追ってきたのかと思いブルブル震えていたが、
それはなんと師匠の手であった。遅れていた師匠が到着したのであった。

50 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:55:01.79 ID:HxZdyY1N0.net
(2/2)

師匠と釣場に長靴を確認するために戻ることとなった。
ぶっちゃけ明るくなるまで戻りたくはなかったが、高価な道具もあったんでやもえずね。
現場に戻ると長靴はタモの中にあり、ロッドから伸びるラインは長靴の中に入っていた。
恐る恐る長靴の中も覗きこんだが中には例の手は潜んでいなかった。
やっぱり目の錯覚だったのか、寝ぼけていたのか・・・
師匠が、なんだこれ?指差す方をみるとタモ脇に濡れた掌の後が4跡、
防波堤際までついているのを発見した。やつは海に戻っていったのか?

長靴の中に伸びたラインを引っ張りルアー(エギ)を取り出そうとしたところ、
『ジャラジャラ』と、自分のエギに古びた錆び付いた十数個のエギやルアーが絡み付いて、一緒に出てきたのであった。
あの手はルアー集めをしていたのか?
まあ気持ち悪いよな(笑)長靴の中のルアーは全部海に捨てることにした。

釣りをしていると根掛かりでルアーをロストすることがあるが、もしかすると・・・
いや間違いなくあの手の仕業なだろうと酒盛りをしながら師匠が納得するのであった(汗)

【了】

51 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 19:57:02.77 ID:JSbHM1NW0.net
15本目の蝋燭が消えました・・・
釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、ありがとうございました


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備担◆.1AOTdzS5s さん、第16話をお願いします
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52 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:01:40.66 ID:HxZdyY1N0.net
【第16話】 備担◆.1AOTdzS5s 様
『父の入院』
(1/2)
祖母が亡くなって四十九日も経たないうちに父が倒れた。
原因は祖母と同じ、脳卒中だった。相当悪かったらしく病院に行くなり即入院、その日のうちに手術という流れだった。
術後の説明で主治医は「ほんとうにどうなるかわかりません」と言った。医者っていうのは普通、むやみに希望を
持たせることは言わないもんなんだけど、この場合はつまり、駄目でも諦めろって予防線をはったわけ。

私は父も祖母も好きじゃなかった。祖母は、田舎の農家にありがちな長男溺愛タイプで、早くして夫、つまり私の祖父を
亡くしてからはその傾向に拍車をかけたらしい。その結果甘やかされた父は、酒を飲んでは癇癪を起こし、箪笥の財布
から金を抜いてはパチンコにいくようなダメ人間になっていた。
だけど、そんなダメ人間でも母にとっては夫で、だから母の動揺は大変なものだった。

麻酔が切れても、父は眠ったままだった。次の日も、次の日も、その次の日もずっと。
座薬を入れても熱が40度代から下がらず、体中浮腫んでパンパンで、親類は祖母が父を連れて行くんじゃないかなんて
噂してた、まぁ無理もないけど。母は連日病室に泊まり込んでいたけど、体力的にどうかと思ったのでさすがに
一週間も続いたころ強いて家に帰らせた。私が代わりに泊まるって条件で。

病室に簡易寝台もあったけど、ナースステーションの隣にあるベンチで寝ることにした。消灯時間になれば人はめったに
通らないとはいえ、廊下からまる見えの場所で落ち着かないし慣れない場所でもあるしで、夜半過ぎても寝付けず。
明りを付けることもできないから、目を閉じて時が過ぎるのをじりじり待っていたんだけど、そのうち寝落ちしたみたい。

53 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:03:25.63 ID:HxZdyY1N0.net
(2/3)

ふっと目が覚めると、私のすぐ横の廊下を誰かが歩いて、エレベーターのあるホールから病室のほうに向かっていった。
トイレかなぁなんて思ってまた寝ようとしたときに、ふと気づいた。並び順として、ホール→ベンチ→ナースステーション
→トイレ→病室なわけで、ホールから病室のほうに向かって歩くのは、外から来た人しかいないわけ。
入院患者がエレベーター使ってどこかに行って戻ってきたってこともありうるけど、脳外科患者のいる病棟だから、
ほとんどは車いすか介添え付きで移動する。
あれ?と思って見ると、暗いからよくわからないけどナース服着てる感じじゃない。

その人はナースステーション近くの病室に入った。ちなみに父の病室もそのあたり。
やっぱり入院患者だったのかなぁなんて思いながら寝なおそうとして、でも目が冴えてしまったんで、トイレに行くついで
に父の様子を見に行くことにした。仮眠中なのか、ナースステーションに看護師の姿はない。深夜の病院の廊下は、
床も壁も天井もグレーの濃淡で、非常灯の緑色の明りだけが唯一といっていい色彩。人影もないし、まともに見ると
ちょっと怖い。なので、あまりきょろきょろせず病室をひょいと覗た。
4人部屋で、父は右側の奥のベッド。

起さないように静かに…と思ってたら、ぐぐぅというか、へんな声が聞こえた。
イビキかと思ったら、小さな咳っぽい音もする。
ん?と思った。私は喘息持ちなんだけど、その音、気管が炎症起こして息ができないし咳をする体力もない時に出る
咳っぽいのに似てたんだよね。そうっと病室に入って確認すると、音の出所は右側の奥のベッド、つまり父だった。
暗かったけど、酸素のマスクが少しずれているのが見えた。

54 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:04:23.17 ID:HxZdyY1N0.net
(3/3)
後は、深夜のひと騒動。
ナースコールのボタンを押すと、看護師がふっとんできて、当直の医師もふっとんできた。医師は父の口をこじ開け、
咽喉の奥を見て、器材を口の中に突っ込み、何かを引っ張り出して、金属の皿の上に置いた。
どろどろの体液にまみれた、ぱっとみ軟骨のような、直径3,4cm程度の薄い円盤状のもの。
これが父の咽喉を塞いでいたらしい。

その軟骨っぽいのが何時父の咽喉に入り込んだのか。
手術したのは脳だから手術のときに紛れ込むわけはないし、食事をとれる状態でないから飲み込む機会があるわけでも
ない。
何より、それの正体が何だかわからず、医師も首を捻るばかり。

ともかく、処置は済み、父の呼吸は元通りになった。
それから三日程度して父は目覚め、半年後には完全に退院した。

私が見た人影と、父の咽喉に詰まった物との関連はわからない。
主治医はそれを調査に出すと言っていたけど、聞くタイミングを逃したし、彼は今は別の病院に移動したという。
【了】

55 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:06:34.74 ID:JSbHM1NW0.net
16本目の蝋燭が消えました・・・
備担◆.1AOTdzS5s さん、ありがとうございました


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ヤプール ◆v0h8dExI/ytY さん、第17話をお願いします
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56 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:08:44.22 ID:HxZdyY1N0.net
【第17話】 ヤプール ◆v0h8dExI/ytY 様
『気まぐれなカーナビ』

(1/2)

大学時代に友人のSから聞いた話。
お盆の少し前、彼の地元の友達が遊びに来たとき。

Sの友人の一人が、近くに最近テレビで紹介された心霊スポットがあるとの情報を入手し、
SとSの彼女、地元友人2人の4人でその心霊スポットへ肝試しに行くことにしたそうだ。

友人の一人がだいたいの住所まで調べてきたので、Sの車のカーナビに目的地を登録して出発した。

だがこのカーナビ、かなり旧式のもので、新しい道がまだ登録されてなかったり古い道がまだあったりと、
かなり使い勝手の悪いものだった。
それでも最終的につけばいい、という考えのSは使い続けていたが、目的地到着までかなり寄り道させられることも多かった。
さらには電波も入りずらいのか、ちょっと山奥に入るとそのままフリーズ状態になることも多かった。

そしてその日も、山に入るとすぐにフリーズしてしまった。
一応地図も持ってきたものの、初めて行く場所だし道も複雑だしでかなり迷ったそうだ。

30分ほどさまよったとき、ふいにカーナビが
「目的地周辺です、音声案内を終了s目的地周辺です、音声案内を終了s…」
と、壊れたようにしゃべりだした。さっきまではフリーズしたままだったのに。
ほかの3人は驚いていたが、Sは、「まぁもう寿命だから、こんなこともあるか」程度にしか考えなかったそうだ。

車を止め、周囲を見回すと、前方に廃墟らしき影が見えた。
おそらくここが目的地だろうと思い、4人は中を探索することにした。
Sの彼女と友人の一人はそれぞれカメラを持ち、何かうつりそうな場所を見つけては写真を撮っていた。

そして、ある程度進んだところで、カメラのチェックをしていたSの彼女が
「あ、これやばいかも…。」とつぶやいた。

57 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:10:04.04 ID:HxZdyY1N0.net
(2/2)

なにがやばいんだよ、とSたちが近づこうとすると、彼女は出口に向かって一目散に逃げて行ってしまった。
何やらやばい空気を察した彼らは彼女を追いかけ、そのまま車に乗り込みその場を後にしたそうだ。

「…で、この場所に一緒に行ってほしいと?」

Sの彼女は逃げる時にカメラを落としてしまい、それを一緒に見つけてほしいとSから依頼が来た。
Sの彼女はもうあそこに行きたくないそうだし、地元の友人たちは帰ってしまい一人で行くのも気が引けるらしい。

「これがそのカメラなんだけど…。」
Sがその廃墟で撮られた写真の一枚を見せてきた。
ぶっちゃけ、ガッツリよからぬものが写っていてカメラどころではなかったが、Sは触れなかったので私もそっとしておくことにした。

翌日、今度はちゃんと道順を調べてきたSとともに例の廃墟へ向かった。
一応カーナビにもダメもとで目的地設定したが、今回はあっけなく到着した。

しかし、到着したSは第一声「…違う。」と言い放った。
「俺が来たのは、この廃墟じゃない…。」

暗くて見間違えたんじゃないの?という私にSは一枚の写真を手渡す。
「あの夜とった廃墟の全体像だ。全然違うだろ…。」

目の前にある廃墟は二階建ての木造のこじゃれた家。
しかし、写真に写っているのは、暗くてはっりは見えないがどうもコンクリート造りのようだ。
少なくとも、今目の前にある家とはまるで別物。
辺りを見渡すが、ほかに建物らしいものは見当たらない。

結局その場所はわからずじまい。カメラも当然見つからず、写っていたものがなんだったのかも結局不明。

あの気まぐれなカーナビは、あの夜彼らをどこに連れて行ったんだろう…。
【了】

58 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:11:10.52 ID:af0oyBtJ0.net
17本目の蝋燭が消えました・・・
ヤプール ◆v0h8dExI/ytY さん、ありがとうございました
                      γ
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釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、第18話をお願いします
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語り部希望は【受付スレ:したらば】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

59 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:13:21.06 ID:HxZdyY1N0.net
【第18話】釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA 様

『虫の知らせ』


俺がガキの頃の話なんだけど、当時、母方の婆ちゃんが入退院をくりかえしていた。婆ちゃんはあまりよくない病状だった
らしい。お袋は4人兄弟の末っ子で婆ちゃんからはかなり可愛がられたとのこと。あっお袋の母ってことな。
ある日寝室で寝ていたお袋は明け方近くに金縛りにあった。そして閉めてあった寝室のドアがすーってゆっくり開いた
らしい。
でも人の気配はなかったんだって。数秒後、電話が鳴った。その電話で金縛りはとけ急いで電話を出たところ電話は母の
実家からで婆ちゃんが亡くなったって連絡だったんだって。
婆ちゃんが自分の娘のところに亡くなる寸前に会いにきたんだろうな。

【了】

60 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:14:21.93 ID:af0oyBtJ0.net
18本目の蝋燭が消えました・・・
釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、ありがとうございました
                      γ
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かーん ◆UiIW3kGSB さん、第19話をお願いします
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61 :かーん ◆UiIW3kGSB. @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:16:05.83 ID:MZyfIGDL0.net
【第十九話】 
『ずっと前からそこにいた』
(1/2)

私が夏休みを利用して父の実家近くの教習所に通っていた時の話。
進路の決まった高校生や夏休みの学生が合宿を利用して通ってくる、いわゆる繁忙期の前に入校した私は
ほぼ毎日学校に通いあっという間に路上での実習が始まっていた。
当然車に慣れたともいえないまま他の運転手に混じり道路を走る五十分間は
その頃の私にとって常に緊張と恐怖との戦いでした。
そして初めてのトンネルの走行時に私は有得ないものを見てしまったのです。

「昔はこの辺りも事故が多かったんやけど、工事してからはもうすっかり」
道路開通に合わせて数年前に対面から二車線に変えたこのトンネルは時間帯もあって車が通っている気配もない。
そうは言っても山を切り開いて作ったトンネルの入り口出口は中々の急カーブ。
一人緊張感をつのらせる私に気付かず指導員は話し続ける。
助手席の指導員が話す他の2種の教習者のライトの説明に耳を傾けながらハンドルを握る私が見たものは
こちらに近づいてくる対向車のライトでした。
「えっ」
「ん?」
「いや、前…あっと…いえ、何でも…」
思わず声を出した私にのんびりした声でどうしたと返されてしまったのでつい横を見てしまう。
がちがちにハンドルを握っていた為に車が揺れ自分が車を運転していることを思い出す。
車体をまっすぐにする為に前を見た時にはライトもなければ前を走行する車もありませんでした。
パニックになる気持ちを静めて何でもないと返すだけで精いっぱいでした。
不意に蛇行運転なんかした私に指導員は笑いながら早く慣れなよと言われ
復讐項目にハンドル操作とバッチリ書かれてその日は何もなく終わりました。
きっと不必要なほどに緊張していた私の頭が勝手に作り出したものとその時はスルーしていたのですが

62 :かーん ◆UiIW3kGSB. @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:18:12.45 ID:MZyfIGDL0.net
(2/2)

そんな出来事からしばらくたったある日。
路上での運転にもそれなりに慣れた頃の学校の帰りに興味深い話を聞いたのです。
単発の送迎バスに一人乗り帰途に着く道すがら運転手さんと話していた時の事。
「お。そうそうこの前ね。とうとう見たよ」
「何ですか?サルですか?」
「サルはここらへんどこにでもおるよ。そうでなくて、前は影も形もなかったけどね
 …このトンネル出るようになったらしいんだわ」
「出るって幽霊ですか?マジで?」
「まあ幽霊言うてもライトだけや。トンネル入ってしばらく走ると向こうからライトが近づいてくるっていう」
「それってこのトンネルなんですか?」
その話は場所は違えど私が先日体験した話に酷く似ていました。
聞くとその車は赤だったり白だったりスポーツカーであったりワゴンであったりと様々なようですが
決まってライトが近づいてくると思った瞬間消えてしまうのだそうです。
「ここ最近は大きな事故もなかったのに何でそんな噂が出るかねと仲間と話しとったんやけどね」

その時何故だか私は話に乗る気になれなくて、不思議ですねと簡単に返し違う話をしてしてしまいました。
きっと姿を確認できるようになったのがつい最近というだけなのだろうと思ったのです。
彼らはきっとずっと前からそこにいて、でも気付かれなかっただけなのだと。
対向車のなくなったトンネルではきっとよく見える。
そして…当然私たちが使っているこの車線にもきっと、運転する私たちに紛れるように…
彼らはずっと前からここにだっているのかもしれません。

【了】

63 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:19:36.47 ID:af0oyBtJ0.net
19本目の蝋燭が消えました・・・
かーん ◆UiIW3kGSB さん、ありがとうございました
                      γ
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サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、第20話をお願いします
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雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

64 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:22:41.03 ID:HxZdyY1N0.net
【第20話】 サンズリバー ◆QNxpn.SauU 様
『幽体飛行』

(1/2)

一昨年まで祖母の介護を独りでしていた。ある日、彼女の体調が急変、緊急入院となった。
最初は治療も順調だった。3月中旬、いつも通り見舞いに行ったが、瞳が今までにない程澄んでいて、
僕の顔を無言で見つめた。

  ●深く深く 澄みて清らな大き眼に 菩薩宿れりぢっと見つめる

もう、半月も持たないという直感が働き、覚悟して一旦帰宅した。

数日後、病院から「もう危ない」と電話があり、大急ぎで向かった。まだ意識のあった祖母の第一声は
「私は死ぬる事になっとる。苦労かけて…。」幼少期に両親と死別した僕は、初めて祖母の前で泣いた。
約10日間、病院に寝泊まり、最期は添い寝して看取った。

  ●吾が手首程の太腿さすりつつ 幾度握り計りしてみる

「嬉しい」と「ありがとう」が最後の言葉。
うっすら目を開け、僕の顔を見て静かに息を引き取った。

  ●限られし命に主治医 優しかり事のみ せめて嬉しかりける

65 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:24:21.37 ID:HxZdyY1N0.net
(2/2)



月日が流れ穏やかになるかと思いきや、幽体離脱が頻繁に始まった。まず身体から魂が抜け浮遊する。
壁や窓、扉まですり抜け空中を飛び交い墓地へと向かう。そして我が魂を入れ込もうと試みるが、
祖母が光りに囲まれて跳ね返し、現世に戻ってしまう。
ある時は、家の仏壇から我が魂を送り込もうとするが、結果は同じ。
これらの現象が2年に渡り続いている。しかし、その間は安堵感で満たされている。

ある日、友人が来て言った。「もう一人いる。おばあさんやね。」
別の日、別の友人が言った。「俺らの話し、おばあちゃんに聞かれてる…。ここにいるよ。」
近所の人たちが口々に言う。「おばあちゃんに護られてるね、幸せになるよ。」

これらの現象は、全て事実で現在進行形である。ほら、今日も……。

【了】

66 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:32:26.42 ID:af0oyBtJ0.net
20本目の蝋燭が消えました・・・
サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、ありがとうございました
                      γ
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二十の怪異が語られました
皆様緊張でお疲れではございませんか?
ここから少々の休息とまいりましょう
うっかり暗闇に近付いてそのまま囚われたりなさらぬよう、重々お気を付けて…

それではまたしばし後に

67 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:38:16.15 ID:af0oyBtJ0.net
皆様ご無事でいらっしゃいますか?
それは良うございました
百が終わるまで、どうぞ皆様揃ってお付き合い下さいませ



それでは百物語2014 続きとまいりましょう

かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM さん、第21話をお願いします
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68 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:40:10.07 ID:zA3/GSW60.net
【第21話】かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM
『ガリ、ガリ…』

(1/5)

臨死体験をご存知でしょう。
死に面した人間が、息を吹き返す。
そして死と戦っていた間、その意識の端に焼き付けた景色。
ぽつり…ぽつりと、物語る…。

ある科学者が、臨死体験者に統計をとった。
それによると、臨死体験として語られる映像に、その人の意識が深く関わっている、というのはほんとらしい。
生まれた国と染まった文化、信じた宗教によって、語られる景色にはクラスタがある。
日本だと三途の川。キリストの国では、長い白い階段…。

所詮、朦朧とした意識の中で見た、深層心理の夢のようなものにすぎないと、ときに乱暴に片付けられる、ひそかな伝説。

それが、臨死体験。
果てのないトンネルの闇、いつかは己が吞み込まれて行く、その闇の、向こう側を、恐れ、ときに憧れて…。

では、そのあべこべは?
言うなれば、「臨生体験」。

死者が噂し合う、生者の世界の記憶…。
もっとも、古くから盆には死者が”黄泉帰り”、生者の世界に里帰りすると言いますから、死者達にとって故郷は死の世界であって、生者の世界は思いつきの旅行でしかないのかもしれません。
それでも僕らがそうであるように、旅から戻ったあとに、それぞれの旅した場所を肴に退屈をしのいでいるかもしれませんよ。
闇の帳から、死者たちの囁き声が聞こえてはこないでしょうか。

ガリガリ…ガリガリ…。

69 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:40:47.37 ID:zA3/GSW60.net
(2/5)

東大阪の画材屋に、絵の具を買いに行った帰りでした。
一見、ありふれた道でした。現場の変形は僅かなもので、そこにある違和感といえば、色彩だけでした。まるでチューブからひねり出したかのように血の飛び散ったガードレール。
今でも忘れられません。
兄はまだ二十歳でした。

兄には、恋人がいました。

2人について知っていたことは、そう多くはありません。
一度だけ、家の玄関にいたそのヒトを、ちらと見かけたくらいでしょうか。
兄の通夜の席で、喪服に身を包んだそのヒトと、二時間ほど話をしました。
2人の出会い。
つき合いだして二年だったこと。
彼女が引き継ぐ家業のこと。
兄が語った夢のこと。

お腹に宿した命のこと。

兄はいつも街へ出ていた。
兄のいない、キャンバスと、iMacと、粘土と、いろいろの作品のあるだけの空っぽの部屋は、だから普通の部屋のはずだったけれど。
僕にはそうは思えませんでした。

――部屋が寂しく思えたんじゃない。
感じるんだ。
布団に腰を埋めていると、背中に兄の息づかいを……。
もしかしたら生きていたときより、ずっと生々しい……――

葬儀も終わって大分落ち着いてきたとき、あのヒトにその話をしました。
彼女は何も言わなかったけれど、話を聞くその瞳は誠実でした。

70 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:41:25.97 ID:zA3/GSW60.net
(3/5)

彼女が母の家事を手伝っている間に、僕は兄の部屋に上がると、あの絵の描かれた画用紙を外しました。

晩ご飯を一緒にしながら、彼女に絵の話をしました。
絵のおおよそは出来上がっていたようでした。
だから僕にも、描かれているのが京都のある有名な寺の景色らしいことは分かっていました。
僕にとっての謎は、絵の具についてでした。
絵の中の、濃密な緑の世界に、バーミリオンを施すような余地は、どこにもないように思われました。
そして兄は絵を始めた子供の頃から、一度に二つの作品に取りかかることは決してしませんでした。

玄関でその絵を見せると、彼女は欲しいと言ってくれました。
僕は油絵の具のそこら一面に散らばったパレットと、まだそこに加わっていないあの赤い絵の具を渡しました。あのヒトもまた、絵描きでしたから。

ある晩、僕は彼女と2人で話をしました。
ずっと兄を憎んでいたことを。
母との喧嘩を治めるために包丁を持ちだしたことがあることを。
勉強をまともにやらず、母を泣かせてばかりいた兄を見下していたことを。
ある日を境に、口をきかなくなったことを。

僕が中学に上がった辺りの頃から、隣の兄の部屋からはガリガリと、何かを削る音がしていたことも、話しました。
彼女は、その音は多分油絵の具を削っている音だと言ったけれど、僕はそれの正体を、結局知らずじまいだった。
その頃から、僕も母も、兄の部屋をノックすることはなくなっていたから。
僕はただ、蛍光灯の下で、静かに兄を呪っていました。
食事も別々にとるようになっていたから、兄に対する憎しみとは、もはやその音に対する憎しみでした。不思議なことに僕はその音を、兄が家を開けることが多くなってからも、空のはずの部屋の向こうから、時折聞いたのでした。

二週間後、彼女は入院しました。
そしてひと月も経たないうちに、死産しました。
赤ん坊の、世界への扉は少しだけ開かれて、むなしくも閉ざされたのです。
死んだ赤子は、僕らの世界に何を見て、何を持ち帰ったのでしょう。

71 :かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:42:27.33 ID:zA3/GSW60.net
(4/5)
少しして、僕と母は彼女の実家に招かれました。
襖で仕切られただけの畳の空間が、古い農家における、彼女のプライバシーでした。
あの絵が額縁に嵌って、部屋の仕切りのところから僕らを見下ろしていました。
彼女は椅子を持ってくると、その上に立ちました。シャツから背中が見えるくらいに背伸びをしたあのヒト。
代わりにやりますとは言えずに、僕はただ見ていました。
彼女は絵を下ろし、部屋の障子を少しだけ開けると、光の差した壁に立てかけました。
絵は生まれ変わっていました。

対比の技法。
色のグラデーションを描くと、ぐるりと輪になる。
この環を色相環<しきそうかん>といいます。
色相環の、それぞれ反対側に位置する色同士を補色といって、お互いを引き立て合う。
そして、緑の補色は、赤。

彼女はあの赤い絵の具で、新緑の寺の風景のところどころをなぞったのでした。
それだけで、葉っぱの一枚一枚が魔法がかけられたかのように命を宿したのです。
描かれた景色の瑞々しい空気が、こちら側に流れ込んでくるかのようでした。

僕らは洋服を着たまま和室に八の字に正座したまま、しばらくの間、このすこしちぐはぐなこの時を過ごしました。
僕は気付かれないよう、横に視線を流しました。
通夜の席での、あどけない顔に似合わない喪服に身を包んだ彼女の、しかし黒の中で不思議と鮮やかに見えた彼女の、あの表情を思い浮かべていました。
彼女の横顔は薄暗くてよく見えなくて、線香の匂いと古い家の匂いに混じって、今風の香水の匂いがほんのわずかに漂っているだけでした。

彼女が学生としてこうして絵を描いていられるのも、もう長くはないのだと、ふと僕は思いました。
その日は九月でしたが、あの人の人生もまた、夏を終えようとしていました。
部屋照らす日の光が、赤みを帯びてきました。遠くで虫が鳴いています。
実りの秋が近づいていました。

72 :かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:44:39.58 ID:zA3/GSW60.net
(5/5)
この家と田んぼを1人で継いで子を育てていく、彼女の将来のことを思いました。
暗闇の中に沈んだ彼女の横顔を、じっと眺めました。
彼女の白い横顔と、赤い唇を、じっと見つめました。
汗がぽたぽたと畳に垂れる音を、彼女は聞こえていたでしょうか。
ジーンズの上から太ももをつねって、獣の衝動と闘っていました。
背中から、彼女の名前を呼ぶ声がしました。
雨はいつの間にか止んでいました。
庭の木々や土のそれに混じって、飯の匂いがしてきました。
釜で炊いたであろうその匂いは、都会育ちの僕には、不思議と現実離れした、嗅ぎ慣れぬものに思えました。
彼女に続いて縁側へと歩きながら、振り返りたいという欲求を僕を押しとどめました。
あの絵はまるで、死と生を繋ぐ窓のようにも思えました。
けれど。どちらが生の世界で、どちらが死の世界なのでしょうか。
しわがれた声が僕らを呼んでいます。
僕は彼女の少し後ろを続きながら、彼女をろくに見ることができずに、庭のほうを眺めながら、兄の部屋から、生々しい”匂い”が消えたんです、と言いました。
死を見失うということは、生を見失うのと同じことなのかもしれません。
あの絵の緑が、赤い絵の具で息を吹き返したように。
明日の朝、この田舎の山道を駅まで歩いて行くことを、僕は思いました。待ち遠しいと思いました。
人生で一番清々しい朝になると、予感していました。
彼女と、兄の遺骨に手を合わせました。
いつものように呪いの言葉を吐き終わった後、少しだけ、兄に感謝をしました。
――ありがとう。僕は変われたよ。
きっと誰かが。
誰かが僕の緑のキャンバスから、赤い絵の具を削っていたのです。
ガリガリ、ガリガリ、と。その音がいつしか消えて。
チューブから、赤い絵の具がひねり出された。呪いは終わりました。
僕は、生まれていたことを知ったのでした。

あれから一年が経ちます。
あの日を迎えたら、僕は必ず、しかしこっそりと、こうつぶやくのです。
ハッピーバースデー。

73 :かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:45:49.46 ID:zA3/GSW60.net
                         【了】

74 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:47:10.04 ID:af0oyBtJ0.net
21本目の蝋燭が消えました・・・
かいじゅうのこども ◆dxakKNa1zM さん、ありがとうございました


                      γ
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サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、第22話をお願いします
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75 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:49:08.27 ID:2yX9zsEM0.net
【第22話】 サンズリバー ◆QNxpn.SauU
『神か死神か…』

(1/2)

一昨年、祖母を看取ってから、周囲の高齢者の人々が旅立っている。
祖母が他界したのは春の彼岸の中日。四十九日・初盆を終え、秋の彼岸になった。
近所の友人のお父さんの体調が悪化し、救急搬送された。お母さんは早くに海で転落死しており、
病気で入院中の兄しか家族がいない。そこで、私が付き添う事となり、救急車の後を車で追った。

病院に着くと、即座に様々な検査が始まった。
友人のお父さんは、夏前に一度体調を崩し治療を受けており、その時も私が付き添い喜んで頂いた経緯がある。
自宅療養中、私が背中をさすった時に不思議な言葉を発していた。
「○○さん(私の名)の手には不思議な力がある。まるで神の手だ。」という内容だった。
私は笑いながら「この手で元気を送ってるからね。」と、冗談めかしに返答した。

更にこの救急搬送される数日前には、「貴方と話しをすると、頭の中の霧が晴れたみたいだ。もうワシは長くない。
感謝してるよ。」と言われた。悟っていると感じた私は無言で頷くだけだった。

この様な事が頭の中を駆け巡っている間に、検査が終わり主治医との面談が始まった。
今夜は付き添って泊まり込みして欲しいという内容だった。私は快諾し、書類にサインをした。
お父さんは意識はあるが、酸素マスクをして、もはや話す事ができない。しかし、しっかり目を開け私の顔をジッと見た。
澄み切ったとても美しい瞳だ。そして彼はベッドに横たわりながらも、三度お辞儀をし目を閉じた。

一夜を越え夜明け前、友人のお父さんは旅立った。そして、他人の私が葬儀の手配をするという異例の事態となった。
離れた土地から帰郷した親族に感謝されつつ、無事に葬儀を終えた。

76 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:50:59.82 ID:2yX9zsEM0.net
(2/2)


月日は流れ12月上旬、私は歯医者の帰りに、見知らぬお婆さんが道路で倒れるのを目の当たりにした。
慌てて駆け寄って声をかけたが、全く反応がない。通りすがりの男性に声をかけ手伝ってもらい、すぐ119番通報した。
幸い近くに医者があり、AEDを持ってきてもらったが、ショックの必要なしとのガイダンス。
心臓ではなく脳だと直感したが、救急車が到着するまで20分以上かかり、お婆さんは意識を取り戻す事なく他界した。
親族は御礼をしてくださったが、複雑な気分だった。

年が明け4月。親戚の叔母の訃報の連絡が入った。3月に会った時にはとても元気だったので、耳を疑った。
叔父は既に他界しており、子は息子一人だけ。また葬儀だ。関わった人たちが次々に亡くなり、精神的に参ってしまった。
「俺は死神かもしれん……」と思うようになった。
葬儀が終わり自宅へ帰ってベッドに横たわった。ウトウトしかけると金縛りに合い、また離脱した。
先祖の眠る墓へ飛んで行こうとするが、大きな力が邪魔をして家から出られない。いつもは簡単にすり抜けるのに…。
「また、ばあちゃんか…」と思ったが違っていた。亡くなった身内が総出である。こんなの初めてだ。
母が一歩近づいて言った、「安心しなさい。後は私に任せなさい。」……そして元に戻って眠った。

近所の高齢者の人たちは言う。「○○君(私の名)は、人を見送る運命なのよ。それが貴方の役割。」
友人のお父さんが言った"私の神の手"でも、命を救えなかった。神か死神か…、答えは未だ見つかっていない。
もしかしたら、答えは私があの世に行ってから、遺った人が出すんじゃないかと最近ふと思う。

【了】

77 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:53:22.34 ID:af0oyBtJ0.net
22本目の蝋燭が消えました・・・
サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、ありがとうございました
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白孔雀 ◆EiiyoouYFo さん、第23話をお願いします
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78 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:56:16.36 ID:2yX9zsEM0.net
【第23話】  白孔雀 ◆EiiyoouYFo 様
『指先』

私が高校生の時の話です。

夏だというのに毎日勉強で忙しい日々でした。
時々父が「映画を見に行こう」と誘ってきてもタイミングが合わないくらい。
そのせいか私と父が顔を合わせることなんて休日以外なかったような気がします。

その日はどういう訳か、昼から父が家にいたのです。遠方の祖母もなぜか一緒でした。
学校帰りの私は二人に誘われるままに父の車に乗り込んだのです。
私はどこかへ食事にでも出かけるのだろうと思っていました。

車に乗ると父と助手席の祖母が談笑しています。
目的地までには思ったより距離があるようでした。車でゆられているうちに私は瞼が重くなってしまいました。
そして眠りに落ちる寸前、すーと何かが私の頬をかすめたのです…。

目が覚めて車から降りてみるとそこは山奥の墓地でした。
今日の外出は曾祖母の墓参りが目的だったのです。
そして私はその葬式に、学業が忙しいという理由で出席していなかったことを思い出しました。

私の頬を撫でたのは死者の指先だったのでしょうか。

【完】

79 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 20:58:12.70 ID:af0oyBtJ0.net
23本目の蝋燭が消えました・・・
白孔雀 ◆EiiyoouYFo さん、ありがとうございました
                      γ
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釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、第24話をお願いします
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80 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:01:26.53 ID:2yX9zsEM0.net
【第24話】釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA 様
『人面魚』

35年前くらいに、ワイドショーなんかで人面魚が話題になってたよね。
結構各地の池で人面魚が発見されてて、俺の地元の庭園の池でも人面魚を発見されたのよ。

たぶん20年前くらいかな、飲んだ勢いだったんだけど、その地元の池の人面魚釣っちまおうって話になって、
3人でその発見された庭園に忍び込んだのよ。
すんなり忍び込んで、マルキューの練り餌さ練って釣り始めたんだけど、全然釣れないのね。
釣れないもんだから、しまいにはタモですくいあげて、20ひきくらいかな、
すくいあげちゃって確認したんだけど、全然人面模様ないのよ。

とりあえずその庭園には池が3箇所あったんで、次の池に行こうとさっきの20ひきの鯉を元の池に戻したんだけど、
戻した瞬間池の水面が逃がした鯉が暴れて波だったのね。
その瞬間、うなり声のようなのが聞こえたと思ったらその波立った水面に、ハッキリと大きな顔が浮かび上がったのよ。
それを3人共にはっきり見ちまって。怒った武士っぽい顔立ちだったのを今でも思い出す。ありゃなんだったんだろうな?

そういやあん時、竿持って慌てて逃げ帰ったんだけど、タモと練り餌さは忘れてきちゃってさ。
庭園の入口に忘れ物って貼り紙貼ってタモがあったのを後日見た時は笑っちまった。
あっさすがに練り餌さは忘れ物コーナーに置いてなかったわ(笑)

【了】

81 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:04:25.31 ID:af0oyBtJ0.net
24本目の蝋燭が消えました・・・
釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、ありがとうございました
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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、第25話をお願いします
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82 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:07:37.15 ID:2yX9zsEM0.net
【第25話】 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様
『あついよー!』

知り合いの話。

彼女が以前住んでいた町には、小さな公園があった。
家の近所にあるその公園は、夕暮れになると焦げくさい臭いがしていたという。
と言っても、臭いを感じていたのは、家族の中でも彼女だけだったらしいが。

ある夜、遅い時間にそこを通りかかると、これまでにないほど強い焦げ臭がした。
吃驚して公園内を見ると、真っ黒焦げの人型が、よろよろとこちらに向かってくる。
所々に赤い燦めきが見えるのは残り火であろうか。
あまりのことに、彼女は立ち竦んでしまった。

「あついよー!」

人型はいきなりそう叫ぶと、彼女に向かって走り出した。

必死で逃げ出したそうだ。
家に辿り着き、わんわんと泣く彼女に驚いた家族は、公園へ確認しに行ってみた。
何も怪しいモノの姿はなく、焦げた臭いも感じられなかったという。

その後すぐに別の町に引っ越したので、その公園が今どうなっているのかは、
家族の誰も知らないのだそうだ。

【了】

83 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:10:41.35 ID:JSbHM1NW0.net
25本目の蝋燭が消えました・・・
雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、ありがとうございました


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ヨサック ◆skAMDOCpdQ さん、第26話をお願いします
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84 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:13:31.19 ID:2yX9zsEM0.net
【第26話】 ヨサック ◆skAMDOCpdQ 様
『お気に入りのワンピース』

(1/2)

知人の祖母・Nさんが若い頃体験した話だ。

Nさんにはお気に入りの服があった。生成り地に小花が少し刺繍された、可愛らしいデザインのワンピース。
Nさんはその日も、お気に入りのワンピースを着て買い物に出かけた。
そして帰宅後はすぐに着替え、ワンピースをハンガーに通して鴨居にかける。湿気を飛ばしてからしまう為だ。
そうしている内に、外出の疲れからか、ついうたた寝をしてしまったのだそうだ。

しばらくして目が覚めたNさんは、ぼんやりとあたりを見回した。
すると、鴨居にかけたワンピースが、風もないのに揺れているではないか。
不思議に思い目をこらすと、裾から見え隠れする物がある。
生成りのワンピースより、もっと白い何か。
それは音もなく降りて来た。

人の爪先であった。

凍りつくNさんをよそに、白い脚はゆっくりと降りて来て、その姿を現して行く。
爪先から甲、くるぶし、ふくらはぎ…
だがいつまでたっても膝は見えず、それが更に不気味だった。
とうとう、力なく垂れた足先が床まで届いた。
その途端、脚全体がぐにゃりと曲がった。まるで飴細工の様だったという。
脚はなおも伸び続け、白く長く、畳に二筋のとぐろを巻いている。

85 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:14:19.52 ID:2yX9zsEM0.net
(2/2)

これは一体何なのか。
恐る恐る視線を上げたNさんの目に飛び込んで来たのは、
今まさに、ワンピースの襟元から出て来ようとしている、真っ黒な頭だった。
Nさんは我に返り、這う様に逃げ出したという。

このワンピースは、結局捨ててしまったそうだ。

【了】

86 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:17:19.08 ID:JSbHM1NW0.net
26本目の蝋燭が消えました・・・
ヨサック ◆skAMDOCpdQ さん、ありがとうございました


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釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、第27話をお願いします
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87 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:22:31.44 ID:2yX9zsEM0.net
【第27話】 釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA 様
『タクシー』

昔、通ってた釣り場付近での話です。
時間は22時を過ぎていたと思います。前を走るタクシーが賃走になっていたので
こんな田舎なのにタクシー乗る人いるのかなって不思議に思ったんです。
無性に気になってしまって赤信号で止まった時に右折車線に入って並んでみたんです。
それでタクシーの方を覗き込んだんですけどお客さんは乗ってなかったんです。
屋根上の表示灯も消えていて、助手席のダッシュボードのところの表示も賃走になってたんですけど。

後で聞いた話なんですがその近くに自殺で有名なスポットがあって、タクシーが自殺者の霊を乗せてしまうことがよく
あるらしいです。
またまたそんな場面に出くわしてしまったのかもしれませんね。

【了】

88 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:25:32.56 ID:JSbHM1NW0.net
27本目の蝋燭が消えました・・・
釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、ありがとうございました


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ヤマカガシ ◆c3a1zy1rE2 さん、第28話をお願いします
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89 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:27:35.05 ID:2yX9zsEM0.net
【第28話】ヤマカガシ ◆aATRQSwClI 様
『無題』

今日あった話なんだが
職場の休憩中に食堂で一人テレビを見てたんだわ
有吉と竹山とかが出てたやつ
一人だけ休憩時間が違うのは法律的にどうなのかは置いといて
仕事の都合でそうなっていたわけだが
ふと音と共にドアというか扉がゆっくりあいたんだ
風でも吹いたかと、ちらりと見てテレビに目線を戻したわけだが
また音をたてたので、ちらりと見たら黒い髪が扉の隙間から見えて扉が閉じた
それは前にネット上でちょっと話題になった、
不動産の写真で少し開いた物置に髪が写っちゃったやつあったやん
あんな感じ
まあ誰かがちらりとこちらを見て閉じたんだろうけど
ただその扉は半透明のガラスの部分が全体にあるやつで
人がいるような動きはなかったんだよね
まあ職場の幽霊話はそこそこあるようだし、もしかしたら幽霊かもね

90 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:30:52.24 ID:JSbHM1NW0.net
28本目の蝋燭が消えました・・・
ヤマカガシ ◆c3a1zy1rE2 さん、ありがとうございました


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備担◆.1AOTdzS5s さん、第29話をお願いします
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91 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:33:16.03 ID:2yX9zsEM0.net
【第29話】 備担◆.1AOTdzS5s 様
『郷土資料館』

会社の先輩は、地元で生まれ育ち、地元の学校に進学し、地元の会社、つまり、当時自分が働いていた会社に入社した
生粋の地元っ子だった。自分が住んでいた場所の近くに、地方の小さな町にありがちな郷土資料館があったのでその話を
したら、なんと彼は、そこでバイトをしたことがあるという。深夜の警備の仕事だったそうだ。

郷土資料館って名前からわかるように、そんなに大した展示品はなくて、埴輪の欠片や、価値があるのかどうかも
わからない古文書が少々。ただ、郷土資料館そのものが城跡に建ってることからわかるように、それなりの歴史はある
地方で、鎧一式が何個か展示されていた。

で、その先輩、真顔で言うんだよ。「あそこ、ヤバイよ」って。
夜に見回りにいくと、ラップ音がひどいんだと。特に鎧のあたりが。ちょっとびっくりしたわけよ。先輩、オカルト
じみたこと言い出すような人じゃなかったから。だから「落ち武者の幽霊でも見れるんですか」って、冗談のつもりで
聞いてみた。

「う?ん、落ち武者というか、あれは女性じゃないかな」
「はい?」
「なんていうか知らないけど、時代劇に出てくる裾を引きずる着物着てたんだよ」
「えっ、それって幽霊ですか?」
「どうだろ。階段のほうに消える着物の裾っぽいのしか見てないしさ。ただ…」
先輩いわく、それを追っかけてみると、上り階段に張ってある立ち入り禁止の紐がゆらゆらと揺れてるんだそうだ。
だから、たとえあれが幽霊だったとしても実体があるもんじゃないのかなと笑っていた。

【了】

92 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:36:12.53 ID:JSbHM1NW0.net
29本目の蝋燭が消えました・・・
備担◆.1AOTdzS5s さん、ありがとうございました


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サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、第30話をお願いします
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93 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:39:32.37 ID:2yX9zsEM0.net
【第30話】 サンズリバー ◆QNxpn.SauU 様
『ばぁばと佛』

(1/2)

僕の亡き祖母が元気だった頃の話しである。

祖母は、自分の子二人を病気で失い、気丈に振る舞いながらもどこか淋しげだった。
それ故か、とても信心深く、自分の命以上に佛様を大切にし、墓参りも欠かさない人だった。
そして更に、明晰夢も度々見ていたようだった。必ず自分の亡き子や兄弟が出てきていたようだ。
そう、感も勘も鋭かった。

ある真夜中、祖母が突然起きて仏壇の前に座った。「佛様が起こっている!」と叫んだ。
今の仏壇の祀り方が気に入らないと、ご先祖が伝えたと言う。
認知症はなく、1ヶ月に20句近い俳句を詠んでいた程だから、間違いないだろう。

僕が休みの日にホームセンターで壁紙を買い、仏壇周りをリフレッシュした。
祖母は大層喜び、僕も嬉しくて記念に写真を撮った。
しかし……、そこには白い靄がかかり、ハッキリと写っていないのだ。
試しに別の場所で撮影したが、鮮明に写った。一瞬ゾクッとした。
その写真はお蔵入りである。祖母にも見せないままだった。

毎朝毎晩と供養を続けて先祖の御霊を慰め、盆・正月・彼岸もきちんと行っていた。

94 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:40:02.40 ID:2yX9zsEM0.net
(2/2)

それから数年が経ち、一昨年祖母は大往生した。
最後の約束は、僕が佛様を受け継ぎ祀り続けるという事だ。
勿論、一日たりとも欠かしていない。それよりも、更にグレードアップした程だ。

昨年、僕はタブレット端末を新しく購入した。
そして再び仏壇を撮影した。そこには……、白い靄がかかっている。
あの時と同じようにしたが、結果は全く一緒だ。
いつも仏間兼居間は澄んでいるし、離れた所からも肉眼ではハッキリ見えている。
写真だけが、どうしても靄に包まれるのだ。

もう、仏壇の撮影は封印した。二度と写す事はないだろう。
そして、この事は解明されない方が良い。
もう決して失礼な事はしないからね、ご先祖様…。
そして、どうか見守ってください。僕がそこへ行く迄ずっと……。

【了】

95 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:43:30.91 ID:JSbHM1NW0.net
30本目の蝋燭が消えました・・・
サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、ありがとうございました


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ヤプール ◆v0h8dExI/ytY さん、第31話をお願いします
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96 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:45:21.21 ID:HxZdyY1N0.net
【第三十一話】ヤプール ◆v0h8dExI/ytY 様

『タイムシフト』

去年の百物語での話。

私は今年同様、去年もこの百物語の朗読を行っていた。
放送形式は今年と異なりニコ生だが。

最初は一人で読み続けることに不安を感じていたが、始まってみると20話くらいまではスムーズに読み続けることができた。

しかし、20話過ぎたあたりで急に疲れが押し寄せてきて、
ちょうど「神隠し」多発で朗読が追い付きそうだったので休憩をとることにした。

休憩中、タイムシフトを利用して自分の朗読を聞いていた。
朗読とかしたことある人はわかると思うが、自分の声というものは自分が思っているものとは大きく異なって聞こえるものだ。

しかし、ちょうど休憩に入る前の枠での自分の声は今までの自分の声とも自分が思っているものとも異なっていた。

なんか前枠より遠くでしゃべっているような…。

さらに、しばしばノイズが入ってくる。というより、自分以外の誰かが話に相槌を打っているような…。

そして枠の最後、ががががっと大きめのノイズが4つ入った。

詳しくは聞き取れないが、「あ、え、い、え」と何かしら訴えているような声が聞こえた。

休憩前の私は、単純につかれてるだけだったんだろうか…。

【了】

97 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:48:31.17 ID:JSbHM1NW0.net
31本目の蝋燭が消えました・・・
ヤプール ◆v0h8dExI/ytY さん、ありがとうございました


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ヨサック ◆skAMDOCpdQ さん、第32話をお願いします
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98 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:50:55.30 ID:HxZdyY1N0.net
【第三十二話】 ヨサック ◆skAMDOCpdQ 様
『緑』

(1/2)

知人の女性・Sさんは数年前に父親を亡くした。
通夜だ葬式だ初七日だ、と忙しかった日々も一段落してしばらくした頃、
Sさんは急に深酒をする様になったのだという。
元々酒が好きではなかったので、おかしい、やめようと思うのだが、
意に反して夜になれば酒をあおり、酔いつぶれるまで飲んでしまう。
亡くなった父親は大酒飲みであったので、さては父の仕業かと思い至った。
だが仏壇に酒を供え、止めてくれるように手を合わせても、まったく効果がない。
実家を離れていた妹さんもSさんの異変に気付き、遠まわしに病院に行ってみないかと勧めてくる。
それもそうだな、と受診を考え出したそんなある日の事だ。

また酔いつぶれ居間で眠っていたSさんは、ふすまが開く気配で目を覚ました。
見ると、亡くなった父が立っている。不思議と恐怖は感じなかった。
父の方も久しぶり、等とごく普通にふるまう。向かいに座った父にSさんは尋ねてみた。
「お父さん、私の体借りてお酒飲んでるでしょう?」
「うん…すまんな」
「体が辛いから、もう止めてもらえない?お酒はお供えするから」
「分かったよ」
ばつが悪そうに頭を掻く仕草は、生前の姿そのままだった。

しばらく他愛もない会話をしていたが、夜が明けるのを見た父は、そろそろ行くかと腰を上げた。
Sさんも外まで見送るよ、と一緒に玄関に向かう。
だが、父が開けたドアの外は、いつもの景色ではなかった。
見知らぬ何処かの住宅街が広がっている。でもそれだけではない。

99 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:52:46.56 ID:HxZdyY1N0.net
(2/2)
緑。緑。
色セロハン越しに眺めたように、世界中が緑色に包まれていた。

ああ、この人とはもう住む世界が違うんだ。
そう感じた途端、急に恐ろしくなり足が竦んだ。
「…それじゃあな」
父は軽く振り返ると静かに扉を閉めた。Sさんはどうしても外に出る事が出来なかった。
この日を境に、Sさんの深酒はぴたりと止んだそうだ。

父親の四十九日、その朝の出来事だという。

【了】

100 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:55:45.17 ID:JSbHM1NW0.net
32本目の蝋燭が消えました・・・
ヨサック ◆skAMDOCpdQ さん、ありがとうございました


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むよ ◆x/HUavFqms さん、第33話をお願いします
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101 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:57:54.89 ID:HxZdyY1N0.net
【第三十三話】 むよ ◆x/HUavFqms 様
『もやもや』

(1/2)

私はC県C市にあるクリニックに務めています。お陰さまで、かなり沢山の方にご利用いただいております。
クリニックはビルの中にあり、一階と二階がクリニックの施設になっています。
一階はオペ室や安静室、小さめの待合室、ラボなどがあります。二階が診察室やメインの待合室になっています。
院内には四ヶ所にセキュリティカメラがあり、その映像は診察室の机の脇にあるモニターで常時確認できる状態に
なっています。
ある冬の日のことです。午後7時近くになり、院内には殆ど患者はいませんでした。
たまたま診察介助の当番になっていた私は、診察室の中にいました。医師も書類作成等を行っており、診察室の机に
座っていました。
少々手持ち無沙汰になっていた私は、見るともなしにセキュリティカメラのモニターに目をやりました。
モニターは四分割されており、一階のオペ室前の待合室のカメラの映像が下段右側に映っていました。一階にはもう
スタッフ及び患者はいないようでメインの電気が消されており、非常口を示す緑色の明かりと、ラボの常夜灯だけが
ついていました。
薄暗いのですが、待合室の様子などは確認できます。ぼんやり映像を見ていた私は、自分の目を疑いました。つい
先ほどまで何ら異常を示していなかった映像の中に、もやもやとした白い煙のようなものが映っています。
クリニック内には煙探知機がありますが、それが反応している様子はありません。また、煙ならば空気の動きに影響
されますが、モニターに映っているその白いもやもやは、一点に止まったまま動こうとしません。

102 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 21:59:46.90 ID:HxZdyY1N0.net
(2/2)

多分、一分近くモニターを凝視していたと思います。医師が何となく異常を感じとったのか、顔を上げました。
「先生、一階のモニターに…」私の言葉を聞いて、医師がモニターに目をやりました。
その間も、モニターには白いもやもやが映っています。二人で無言のままモニターを見つめていました。30秒ほどして、
医師が言った言葉は「確認してきて」でした。
私は怖さよりも不思議さが先にたち、一階に続く階段を降りました。
階段の先には、薄暗くはありますがいつもと変わらない待合室がありました。モニターに映っていた、あの白いもやもや
はありませんでした。
私は診察室に戻り、医師に異常は無かったことを伝えました。モニターに目をやると、白いもやもやは消えていました。
医師は「あのあとすぐに消えたよ」と言っていました。
当クリニックは開院当初より、一人も院内で亡くなった方はいらっしゃいません。
ただ、毎週2〜5例は、D&Cを行ってはおりますが…。

【了】

103 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:02:39.90 ID:JSbHM1NW0.net
33本目の蝋燭が消えました・・・
むよ ◆x/HUavFqms さん、ありがとうございました


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釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、第34話をお願いします
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104 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:03:48.84 ID:HxZdyY1N0.net
【第三十四話】 釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA 様
『冬の波止での話』

そこの波止に到着したのは21時くらいになる。車が1台停まっていたので、先行者がいるようでした。
ギャフもだしショルダーバッグを肩にかけロッドを持ち波止めを歩き始めた。
波止めは100mくらいの長さで真ん中から先端が実績があったため、真ん中くらいから始めた。
『ジッジッ』『ジッジッ』小気味よく私のロッドをしゃくる音が響いた。ふとすると、すぐ横で『ヒュンヒュン』ロッドが風を切る音が聞こえた。
あっ先行者の方だなと思っていると、隣から話しかけられた。
先行者『どうですか、釣れましたか?』
私『今、きたばかりなので・・・』
私『そちらはどうですか?』
先行者『今いたばかりですよ』
会話を交わしながら釣りをしていました。
次の波止移動しようと思い、
私『そろそろ行きますわ。頑張ってください』と声をかけ、
先行者『私は後少ししたらいきます。気をつけて』と返ってきました。
私はその波止めを後にした。

数日後、その波止で夜釣り中に海に落下し亡くなられた方がいることをニュースで知りました。私の隣で釣りをしていた方のようでした。
そう言えば会話の中で『今いたばかりなので』って『今逝ったばかりなので』と言っていたんですかね?

【了】

105 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:08:48.39 ID:af0oyBtJ0.net
34本目の蝋燭が消えました・・・
釣師官兵衛 ◆vW7zauZqAA さん、ありがとうございました
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タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、第35話をお願いします
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106 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:11:01.64 ID:HxZdyY1N0.net
【第三十五話】 タメ人参 ◆i.m1cVbrghng 様
『深夜のカップル』

(1/2)

もう7年くらい前の話なんですが
当時から両親とは別々に暮らしてまして、金がなく、お腹空いたんで実家にご飯を食べさしてもらいに行こうと思ったんです
深夜に(笑)
距離にして自転車で40分くらいの距離
でも自転車がパンクしてて徒歩だったんですトホホ(スイマセン)
季節は真夏の蒸し暑い深夜
汗だくになりながら人気のない橋を歩いてました
歩いてると自転車に2人乗りした若いカップルがゆっくり通り過ぎたんですね
大体気配ありますよね
人が自分の横の位置くらいまでこられると
通り過ぎるまで全く気付かなかったんです
その時はあまり気にもしませんでしたが
橋を渡り切り大きな道路に出ました
俺の歩いてた道はほぼ直線で向こうの方まで見渡せる道路横の歩道を歩いてました
歩いてると
ふと道路を挟んだ反対側の歩道を見たんですね
先ほどの自転車に乗ったカップルがゆっくり自転車こぎながら僕より後方にいるんですよ
その時も俺は、カップルはどこかで降りて喋ってて俺が気付かない内に追い越したのかなぁくらいに思ってました
また自転車で追い越される俺…その道にはコンビニとかはないんですね
飲食店もありませんし
またトコトコ歩く俺

107 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:12:14.77 ID:HxZdyY1N0.net
(2/2)


しばらくして反対側の自分より後ろの方の歩道を見ると
またいるんですよ
そん時は、えっ?ってなりまして
この時点で二回も俺を追い越してるんですよ
曲がり門なんてないし寄る所もないんですよ
止まるしか、また自転車に追い越されてしばらく歩きます
ふと反対側の俺より後ろの方の歩道を見たら自転車に乗ったカップルがいるんです
この前の時点で反対側の歩道は意識してましたから自転車が止まり俺が追い越せば気付きますし
俺の後ろなんて事はないはずなんです
もう見ないようにして実家についてから
落ち着いて思い出したんです
初めカップルが通り過ぎた時、彼らには影がなかったんです
皆さんも人とすれ違う時は影があるか確認してみて下さい
ひょっとすると影がないかも知れないですよ…

【了】

108 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:15:35.03 ID:af0oyBtJ0.net
35本目の蝋燭が消えました・・・
タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、ありがとうございました

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コソコソ ◆.PiLQRq.0A さん、第36話をお願いします
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109 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:17:10.69 ID:HxZdyY1N0.net
第三十六話  コソコソ ◆.PiLQRq.0A 様
『死神』

(1/4)

群馬県に住む叔母は、カカア天下を地で行くような人だったのだが、
60の坂を超えた頃から胃腸や心臓などを悪くしており、多くの病院にかかっていた。
しかし、多くの病院をはしごするのも疲れてきたので、総合病院一つでまとめてしまおうと考え、
今年の春に各病院への挨拶回りも兼ねて紹介状を貰って回っていた。

叔母が受診していた多くの病院の一つ。
2014年8月23日現在、絶賛営業中の病院なので名前は伏せるが、消化器内科を専門にしている病院である。
個人病院ではあるが、バブル期の真っ只中に立てられたこともあり、三階建てで中庭を有する立派な病院らしい。
二階以上は以前は入院施設として使われていたようだが、医師の減少や経営の悪化に伴い縮小され、
現在は入院患者の受け入れを止めており、一階の診察室の一つのみが機能しているとのことだ。

その病院を訪れた叔母は、病院を変える経緯を説明し、紹介状を貰えることになった。
その時、医師から「胃カメラを前倒しでやってみてはどうか?」と提案されたそうだ。
以前に胃潰瘍を患った叔母は、半年に一回、定期健診で胃カメラを受けていたらしい。
幸い、その日は患者も少なく、希望すればすぐにでも胃カメラを受けることができるそうだ。

あまり胃カメラが得意ではない叔母は一瞬迷ったが、胃カメラ挿入の際の苦痛は医師の腕によるところも大きい。
――転院先の病院で下手は医者に当たるくらいなら。
叔母は結局、その日胃カメラを飲むことを決めた。

胃カメラは思っていたよりもすんなりと終わった。
もう何度か経験して叔母のほうもコツが分かってきたのか、全く苦痛はなかったと言う。
胃カメラを飲むのが苦手な叔母は、毎回苦痛を軽減するために鎮静剤を使っていたらしい。
――こんなことなら局部麻酔でも良かったかも。
鎮静剤はぼうっとするので、自分で運転して家に帰るにはしばらくの間病院で休まなければならなかった。

110 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:18:08.01 ID:HxZdyY1N0.net
(2/4)

叔母は電話で家人に帰りが遅くなることを告げ、待合室のソファに座り、何をするでもなくぼうっとしていると、
「二階にベッドがありますけど、そちらで休んでいかれます?」
そう看護師が声をかけてきた。
一旦は辞退したが「胃カメラの後はベッドで休まれる人も多いですから」という看護師の言葉に
「そういうことなら」と腰を上げた。正直なところ、横になって一眠りしてしまいたかった。

看護師に連れられ、二階へ上がる。
経営が苦しい病院とはいえ、待合室には世間話をしている老人が居て、受付には看護師が居た。
それとは打って変わって、二階は静まり返っている。
節電のためか、窓の無い、暗い廊下の両脇には緑色に光る非常灯だけがぼんやりと浮かび上がっていた。
階段を上がってすぐ左手の扉を看護師が開けながら、叔母を招き入れる。
「こちらのベッド、どれでもいいんで使ってください。しばらくしたら呼びに来ますから」
そう言って看護師は忙しなく階下へと降りていった。
叔母はそれを見送ると、入り口から一番遠いベッドに横になって目をつぶり、すぐさま眠りに落ちた。

……ガラッ、という音で叔母は目を覚ました。
病室の窓から差し込む光がオレンジ色になっており、
――あ、大分時間が経ったみたいだし、看護師さんかな
まどろみの中で叔母はそう思った。
一瞬覚醒した意識がまた眠りへと引き込まれそうになったとき、カツ、カツ、カツ、カツ、という足音が部屋の中を回り始めた。

――何をしているんだろう?
なんとなく起きるタイミングも眠りに落ちるタイミングも逸してしまった叔母はそのまま足音に耳を傾けた。

111 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:19:32.33 ID:HxZdyY1N0.net
(3/4)

カツ、カツ、カツ、カツ、カツ。

――あれ、この音、看護師さんじゃない。
――看護師さん、スニーカーだったし、こんな硬い音はしない。
胡乱な頭が思い至った瞬間、叔母の寝ているベッドのすぐ脇で地面を蹴る硬い音が響き、叔母は思わず目を開いた。

叔母の目の前、それこそ息も掛かりそうなほど近く、
サングラスをして、白髪をオールバックにした初老の男の顔があった。

悲鳴を挙げようと叔母は息を吸い込む。瞬間、叔母の鳩尾の辺りを男が強く押した。
叔母の喉から「ぐぇっ」と声が漏れ、吸い込んだ息が押し出される。
必死になって手を退けようと叩くが、男は全体重をかけるようにしてなおも叔母の鳩尾を押し込んでくる。
腕を引っかき、両手で揺さぶって、必死になって男を退けようとするが、男はびくとも動かない。

――殺される!
叔母は本気でそう思った。必死で抵抗する叔母の顔を見つめ、サングラスの奥で男の目がぐにゃり、と歪んだ。
――この人、普通の人じゃない!
必死で抵抗する叔母が拳を握り締め、男のサングラスめがけて叩き込んだ。
叔母の拳が当たり、男が倒れる。叔母はすぐさま立ち上がって、転げるように階段を下りた。

血相を変えて待合室に飛び込んだ叔母はそこにいた看護師に事情を説明した。
「もう診療時間は終わってますから、患者さんは誰も残っていないですよ」
看護師がそう言って、叔母の居た病室を見に行ったが、部屋はもぬけの殻だった。
結局、寝起きに悪い夢でも見たのだろうという笑い話になり、叔母は恥ずかしい思いをしながら家路へと着いた。

112 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:20:45.17 ID:HxZdyY1N0.net
(4/4)

それからしばらくして、総合病院へ転院した叔母は定期健診を受けることになった。
胃カメラは例の病院でしていたため、医師からは「今回はやらなくても良い」と提案があったが、
例の一件以降、どうにも胸焼けがする叔母はレントゲンを撮ってもらうことにしたと言う。

検査後、叔母は複雑な表情を浮かべる医師の前に呼び出されていた。
「胃の上部に影が見られます。詳しく検査してみないと分かりませんが……」
数週間前の胃カメラでは全く映らず、今回のレントゲンで見つかった影。
「恐らく何かが映りこんだんだと思います。レントゲンを見れば、胃の入り口まで影は来ている。
 これが腫瘍だとすれば胃カメラで見落とすことはまず無いし、その時の胃の内部写真にも異常はありませんでした。
 数週間でここまで腫瘍が肥大化することもありえませんし……」
医師も首を傾げながら説明し、叔母はその日の内に再び胃カメラを飲んだ。

影はガンだった。

この夏、叔母は胃の殆どを切除する手術を受け、すっかりやせ細ったにも拘らず、軽快に「死にはしないわよ」と笑っていた。
「だって、ガンを身体に入れている最中の死神を殴り飛ばしたんだもの」

【了】

113 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:25:03.26 ID:af0oyBtJ0.net
36本目の蝋燭が消えました・・・
コソコソ ◆.PiLQRq.0A さん、ありがとうございました

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杏仁 ◆1YN5ZdoG2w さん、第37話をお願いします
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語り部希望は>>1の【受付スレ:したらば】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

114 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:27:00.71 ID:HxZdyY1N0.net
【第37話】 杏仁 ◆1YN5ZdoG2w 様
『無題』

(1/3)

これは、私が高校3年の時に実際に体験した話です。
7月の終わりに差し掛かった頃。時間は深夜の1時。
そろそろ寝ようかと布団に入りました。
うとうととしていたその時、体が急に縛り付けられた感覚に陥り、全く自由がきかなくなってしまいました。

金縛りです。

これまで一度も体験したことがなかったので、(お!これが金縛りってやつかっw)なんて、のんきな事を考えて
いました。

それからしばらく、体が動かないという状況を半ば楽しんでいた時です。

コンコン、コンコン、、、

私の寝ている枕の上の方にある窓をノックする音が聞こえてきたのです。
(親かな?でもこんな時間に外から?おかしいな…)
依然として体が動かない私は、その音に不信感を抱きながらじっとしていました。

コンコン、コンコン…

再びノックをする音が聞こえてきました。
その音は次第に大きくなり、やがて、
ドンドンドンッ!ドンドンドンッ!

115 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:28:10.27 ID:HxZdyY1N0.net
(2/3)

窓を思いっきり叩く音に変わっていました。
(窓の向こうに得体の知れない何かがいる…!)
私はそう直感しました。
さっきまでこの状況を楽しんでいた自分が嘘のように、一気に恐怖感が襲ってきました。
なおも金縛りは続いています。
私はどうする事もできないまま、ただただ部屋中に広がるその「音」に耐えていました。

………

音が止んだ。

と、その時、

ガラガラガラッ!

なんと窓が開く音が聞こえてきたのです。
私は心臓が飛び出しそうになりました。

そしてその「何者か」が、私の寝ている布団に近づいてくる足音が聞こえてきたのです。
(どうしようどうしようどうしよう…)
とてつもない恐怖で震えている私の方へ、そいつはゆっくりと近づいてきます。

………………

116 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:28:57.27 ID:HxZdyY1N0.net
(3/3)

どれくらい時間が経ったでしょうか?
ものすごく長い時間が経過したように感じましたが、あることに気がつきました。
金縛りが解けています。
金縛りの間、恐怖でぎゅっと目をつぶっていましたが、うっすらと開けてみました。
そこにはなにもいませんでした。

あとあとになって考えてみると、これは金縛りになった際に聞こえてきた幻聴だったのでしょう。
その時はそんな事を考える余裕など全くありませんでしたが。

これが、私が唯一経験した心霊体験です。

【了】

117 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:33:09.11 ID:af0oyBtJ0.net
37本目の蝋燭が消えました・・・
杏仁 ◆1YN5ZdoG2w さん、ありがとうございました

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コソコソ ◆.PiLQRq.0A さん、第38話をお願いします
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118 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:40:00.94 ID:2yX9zsEM0.net
第38話  コソコソ ◆.PiLQRq.0A 様
『自殺者の末路』

(1/3)

自殺した者の魂は浮かばれない、という話を良く聞く。
賽の河原で延々と石を積むとか、成仏できないまま現世をさまよい続けるだとか、色々な話がある。
毎夏、怪談が好きな人間を集めて怪談会を開いているが、今年は何の流れだかそういう話になった。
「自殺はやっぱ駄目だね」と場が収まりかけたとき、その中の一人が神妙な面持ちで話し始めた。
「自殺者の末路ってさ、ちょっと違うと思うんだけど……」と前置きをして。

この話をしてくれたSという男の知り合いに梶という男がいた。
梶は弱いくせにギャンブルが好きで好きで仕方なく、いつもどこかに借金をしていた。
そのくせ、プライドは一人前以上に持ち合わせており、『いつか俺はビッグになる』と信じているような奴だった。
当時、梶は都内の割と広いマンションに住んでいたと言う。
しかし、そんな男だから、家賃や光熱費などは滞納し放題。ついには管理会社から立ち退きを命じられてしまったらしい。
梶は新しい部屋を探すとき、彼が不動産会社に出した提案は『とにかく安く、とにかく洒落ていて、都内のマンション』だったそうだ。
不動産会社は最初の内はくつか安い物件を紹介していたが、梶の無茶な要求に対して、
「決してお勧めではないんですが、もうこれくらいしか……」と、一つの物件を紹介した。

都内の一等地、広さは前に梶が住んでいたマンションよりも広く、家賃はなんと10,000円だと言う。
ただし、確実に「出る」と紹介された。

梶は即座にこの物件に決めた。
再三バツが悪そうに止める不動産会社を振り切って、部屋の中を見ることもなく、その場で契約を結ぼうとしたそうだ。
しかし、不動産会社は契約するためにある条件を出した。
『その部屋に梶が一週間泊まり、その間毎日、不動産会社へ連絡を入れること』
梶は二つ返事で頷いた。

119 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:41:02.50 ID:2yX9zsEM0.net
(2/3)

一日目、梶は一週間の宿泊に必要な物を持ってそのマンションを訪れた。
玄関を入るとダイニングキッチンがあり、曇りガラスがはめ込まれた仕切戸の向こうには広々としたリビング広がっていた。
梶は荷物を置くやいなや早速パチンコへ出かけ、帰ってきたのは深夜0時に近い時間だった。
缶ビールを何本か空け、不動産会社が用意してくれた布団に身体を預けた。

どれくらい眠ってしまったのかは分からない。『ドスンッ!』と言う大きな音で目が覚めた。
音の出所に視線を向け、梶は思わず息を呑んだ。
リビングとダイニングキッチンを隔てる曇りガラスの仕切戸に影が映っていた。
最初は何か分からなかった梶も、しばらく見ているとようやくその正体が分かった。

――首吊りだ。
それは地面から数十センチほど浮きあがり、頭を垂れている人間の影だった。
首を支点にして左右にゆらゆらと揺れ動き、その度に『ズリ…ズリ…ズズッ……』という縄がこすれる音が辺りに響く。
梶はまんじりともせず、その影を睨み付けていた。
徐々に影の振れ幅は小さくなり、こすれる音が止むと同時に影は消えた。

二日目、梶は昨夜に体験したことを不動産会社で夢中になって話した。
不動産会社からは『やめておきませんか?』と何度も薦められ、他の物件も紹介されたが、
『特に何をされるわけでもないから』と梶は首を横に振り、その部屋に泊まり続けることを決めた。

その夜も次の夜も、梶の眠りは首吊りの音で妨げられた。
しかし、四日目ともなるとさすがに少しは慣れ、梶はその音が決まって深夜2時に鳴ることに気がついた。
――じゃあ、その時間、部屋にいなければいいじゃないか。
五日目、そう思い立ち、0時近くに部屋を出て安い居酒屋で酒を煽っていた。
頃合を見て部屋へ戻り、何事もなく朝まで過ごすことが出来た。
――こりゃあいい
梶はそれから毎日、飲み歩くようになった。

約束の一週間が過ぎ、梶はなおも渋る不動産会社から部屋を契約した。

120 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:42:22.41 ID:2yX9zsEM0.net
(3/3)

「でね、ここからは俺の想像なんだけど……」
そう前置きをして、酒を舐め、Sは話を続けた。

「梶はもともと金が無い奴だし、さすがに毎日飲み歩くわけにも行かなくなったんじゃないかな。
 しばらくは知り合いの家に泊まったりしたのかもしれない。
 でも、それも出来なくなって、仕方なくあの部屋に戻ったんだと思う。
 それで、多分また見たんだよ、首吊りの影」
 
「俺さ、自殺者の末路ってさ、賽の河原で石積みでも浮遊霊になって彷徨うんでも無いと思う。
 きっと繰り返すんだよ、自殺を。死んだ瞬間からずっと。
 だから『死ねば楽になる』なんて絶対嘘だと思う。死ぬ思いってのが延々と続くんだし。
 死に続けて、死に続けて、もう何がなんだか分からないようになって……
 代わりを見つけて、引きずり込むんだろうなぁ」

Sはそう言って話を終えた。
梶の訃報が届いたのは、Sが都内の不動産会社を辞め、地方で再就職をしてから四日後のことだったそうだ。

【了】

121 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:44:49.19 ID:af0oyBtJ0.net
38本目の蝋燭が消えました・・・
コソコソ ◆.PiLQRq.0A さん、ありがとうございました

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仮の人 ◆sFvsmjhswAfh さん、第39話をお願いします
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122 :卍3286卍ss@\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:44:55.39 ID:NF0S3q2R0.net
「2時20分」

あの出来事は 高校受験が終わり やっと肩の荷がおりた 中学3年生の時の出来事です...

何時ものように午前0時を回った頃 当時買ったばかりのステレオで音楽を聴きながら寝るのが日課になっていました。
自分の部屋は自宅二階の北側にあり 脇の倉庫によじ登り屋根伝いに窓から出入り出来る状態で 悪友達が急に
夜中に窓から遊びに来ることもしばしばで それが普通になってました。

ある夜 仰向けで寝ているところを逆さまに頭から覗かれた感じがして 目が覚めました...
オレは夜中よく遊びに来ていた友人が来たのだと思い 起き上がりながら「Sなのか?」と声をかけましたが そこに友人の姿は無く
「何だ...ユメか...」って感じでまた直ぐ寝ました。

翌日学校でS君に「昨日の夜 ウチに遊びに来なかった?」と聞いたところ。。
「オレ昨日は行って無いよ 誰か違う奴じゃないの?」とS君に言われ そうなのかナって感じで深く考えませんでした。。

その夜 何時もの様に音楽を聴きながら眠りにつくと 夜中に目が覚め 寝ながらステレオのデジタル時計を見ると「2時20分」
それと同時に ゾーッともの凄い殺気に襲われ 足元を見ると暗闇に誰かが立っている...
誰だっ!っと思ってもカラダは動かず声も出ない... だんだんボンヤリと青緑色の姿が近づいてくる...
「これはいったい何なんだ?」と心の中で叫ぶが 声にならない...
動けない状態のオレに そいつは徐々に足元から覆い被さってくる...
「ヤバイ...人間じゃ無い...」幼い頃から不思議な体験が多かったせいか 直ぐに判った。。

「どーすりゃいいんだ? 」恐怖で半分パニックになりながら考えるがどーにもならない...

123 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:51:40.58 ID:af0oyBtJ0.net
>>122
おやお客様  いえ、迷い人でしょうか?
狐狸妖怪に惑わされたのか、入り口とお席が違うようでございます

どうぞこちらの入り口http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/22553/1408782381/
からお入りになって下さいませ

124 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:54:05.04 ID:xjoFQ2ov0.net
【第三十九話】
『幽霊実験』

(1/2)

A子さんはある晩、テレビで心霊番組を観ていたそうだ。
その時やっていたのが、自分の部屋に幽霊がいるかどうか調べる方法というものだった。
やり方は、
1、自分の部屋の玄関をイメージする
2、そのまま部屋に入り、窓を開けていく
というもので、その間に誰かがいればそれが部屋にいる幽霊だ、とのこと。
お手軽だしちょっと面白そうだと感じたA子さんは、自分でも試してみることにした。
一人暮らしの自分の1ルームマンションの玄関をイメージする。
ドアを開けると右手にキッチン、左手にトイレとバス。誰もいない。
さらにドアを開き、狭い自分の部屋を見渡す。

誰か居る。

部屋の右奥、ソファーの真横。天井まで頭が付きそうな程背の高い、全身真っ黒な男が俯いて立っていた。
「きゃっ!」
驚いて目を開け、その場所を振り向く。もちろんそんな男はいない。
多少気味は悪かったが、心霊番組を観ていたせいで変なイメージが残っていただけだろうとA子さんは納得することにした。

その日の深夜。
A子さんは寝苦しさで目が覚めた。
どうも視線を感じて眠れない。頭の中に先ほどの黒い男のイメージが浮かび離れない。
怖いテレビ見たから。気のせい、気のせい。
そうやって何度も自分に言い聞かせ、その日はどうにか眠ることができた。

125 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:54:32.97 ID:xjoFQ2ov0.net
(2/2)

しかし、次の日からふとした時に部屋の中のあの場所から視線を感じるようになった。
毎日というわけではない。だが、気味の悪さは抑えきれない。
しかも、日が経つにつれその視線を外でも感じるようになってきてしまった。
ふとした瞬間の電柱の影。職場のロッカーの隅。電車の窓の向こう側。
気が付くとあの男の姿が見える気がしてA子さんは精神的にまいってしまっていた。
あんな実験したから。あんな部屋に住んでるから。
友人に愚痴をこぼすと、「じゃあ、引っ越したら?」と軽い返事。
でも、案外いい考えかもしれない。
このままだと気が狂いそうだし、そういえばそろそろマンションの賃貸契約の更新があった。ついでにもっと職場に近い所に引っ越そう。

引っ越しの日、A子さんは久しぶりに晴れ晴れとした気分で新居の荷物を解いていた。
疲れたな。ちょっとソファーで横になろう。
ごろんと横になり、目を閉じて休憩していたA子さんが再び目を開いた時、自分を見下ろすあの男の姿があった。

【了】

126 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:56:57.02 ID:af0oyBtJ0.net
39本目の蝋燭が消えました・・・
仮の人 ◆sFvsmjhswAfh さん、ありがとうございました

                      γ
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ロクイチマル ◆5wVJdkoU4E さん、第40話をお願いします
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127 :ロクイチマル ◆5wVJdkoU4E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:57:30.72 ID:fYC5LdIC0.net
【第四十話】『怖い夢』

[1/2]
夢っていうものは大概、見ている最中はまるでそれが現実のように感じられて、目が覚めた瞬間は内容を鮮明に覚えているのに、
起きて顔でも洗っているうちに頭に霧でも掛かったみたいにそれがどんな夢だったかを忘れてしまう、そんなものだと思う。
俺が普段見る夢も大抵そういう感じなんだが、昔見た夢で、その内容の隅々まで克明に覚えているものがある。

それは俺が小学1〜2年生くらいの頃に見た夢だった。
はじめ、当時小学生の俺は、壁一面に変な象形文字みたいなものが書かれた古代エジプトの遺跡の中で、
無機的な表情のマネキンみたいなお化けに追いかけられていた。
(同年代の人には分かると思うけど、寝る前に読んでた某カードゲーム漫画の影響を多大に受けてるw)
そこまではしょっちゅう見るようなありふれた怖い夢だったんだけど、マネキンお化けから逃げるうちに、
ふと俺はそれが夢であることに気づいた。
何かきっかけがあったわけでもないんだけど、何故か「あ、これ夢だ」って分かったんだ。
自分が夢を見ていると気づいた瞬間、いつのまにか俺は古代エジプトの遺跡ではなく、
背丈と同じくらいの高さの草(芦?)が生えた土手みたいなところにいた。
そして不思議なことに、まだ何かに追いかけられているという実感があった。
さっきみたいにマネキンお化けの姿は見えないが、逃げなくてはいけないという気持ちに駆られた俺は、
それが夢だと分かっていながらも何となく怖くて、草をかき分けながら走り続けた。

走って逃げいている途中で、何人かの大人が立っていた。
もちろん俺は助けを求めるために話しかけたんだが、そこに立っていたモブキャラみたいな大人は皆、
顔がムンクの叫び?とは少し違うけど、そんな感じの人間とは思えない形相をしていた。
俺は走りながら、懲りずに何度も出会う大人の顔を覗き込むけど、揃いも揃ってムンク状態。
そうして逃げているうちに、俺はなんとなく、この夢はこのままずっと覚めることがないんじゃないか?
という予感がしてきた。
それに気づいた時はマジで怖くなって、誰でもいいから助けて、と泣きながら立ち止まってしまった。

と、そこで後ろから、俺の肩にポンと手が置かれた。

128 :ロクイチマル ◆5wVJdkoU4E @\(^o^)/:2014/08/23(土) 22:58:40.57 ID:fYC5LdIC0.net
[2/2]
ヤバイ、捕まった。
そう思った俺は怯えながらも、反射的に後ろを振り向いた。
だけど、その手は俺のことを追いかけていた「何か」ではなかった。
後ろに立っていたのはお婆ちゃん。しかもその顔は、他の大人みたいなムンクの叫びじゃなくて、
凄く穏やかな表情だった。
え?誰?
そう思った次の瞬間には、俺は自分のベッドの上で寝ていた。

で、なんでこんな昔の夢の話を今しているかというと、理由がある。
今は大学生で一人暮らしをしているんだけど、つい先月の末頃、ひい祖父ちゃんが死んで、その葬式で地元に帰った。
ひい祖父ちゃんは天寿を全うして静かに往生したんだそうで、お通夜も物悲しい雰囲気は全然なく、
親戚が集まった食事会みたいな感じだった。
そこで田舎の婆ちゃん(ひい祖父ちゃんの娘、祖母の姉)が、ひい祖父ちゃんの写ってるアルバムを持ってきて、
一同で思い出話が始まったんだが、そこにあった一枚の集合写真を見て、俺はギョッとした。
写真に写っている一人に、まさに俺の夢に登場したあの婆ちゃんがいたんだ。
聞いてみるとその人は、ひい祖父ちゃんの妹で、20年くらい前に病気で死んでいるらしい。
写真が撮られたのは今から26年前で、俺は生まれていない。
俺はその日、写真ではじめてその婆ちゃんの存在を知ったはずなのに、俺が小学生の頃に見た夢の婆ちゃんと間違いなく同一人物だった。
よく聞いてみると、その婆ちゃんは俺が生まれたばかりで首も据わらない頃に一度だけこっちに来て、
俺を抱っこしてくれたことがあるらしい。(もちろん俺は覚えていないけど)
今思えば、きっと親戚のよしみで婆ちゃんが俺のことを助けてくれたんだなって思う。
見てから10年以上経っても、登場した婆ちゃんの顔の詳細まで鮮明に覚えているあの夢。
そもそもなんだか「忘れてはいけない」ような気がしていたんだけど、不思議なことってあるんだなって本気で思ってる。
そしてあの夢で、婆ちゃんが俺のことを助けてくれなかったら一体どうなっていたんだろう、と思うと、
今でもどうしようもなくゾッとする。

【了】

129 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:01:10.17 ID:af0oyBtJ0.net
40本目の蝋燭が消えました・・・
ロクイチマル ◆5wVJdkoU4E さん、ありがとうございました

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四十話まで参りましたが…もはや怪異に見舞われているお客様もおられるようで
半ばにも達しておらず、時刻も百物語にとっては宵の口ですのに
百話を終えたら一体どうなってしまうのでしょうねえ…

あまり画面ばかりを見つめていては、妖しのものどもにつけこまれやすくなるのかもしれませんね
この辺りで一息入れてみましょうか


10分後に再びご案内を開始致します
それまで皆様、どうぞごゆっくり            お気を付けて

130 :卍3286卍ss@\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:05:07.70 ID:NF0S3q2R0.net
「2時20分」A

そうこうしてるうちに 完全に乗っかられた状態になり 首を絞めてくる...
オレは直視出来ず 薄目を開けながら苦しむのが関の山。。
そいつは首を絞めながら「殺・し・て・や・る ...」と聞いた事も無いような 低いダミ声で囁く...
オレは恐怖におののき 隣の部屋で寝ている兄貴に助けを求めようとしたが 苦しくて全く声が出ない...

そいつは片手で首を絞めながら もう一方の手で頬を掴まれ口があくような状態にさせられた...
怖い... とにかく怖い...
次の瞬間 そいつの口から水のようなものがオレの顔に吐き出された...!!!
「何だ!何なんだ! どーなってんだ!」オレは心の中で叫び続ける...

131 :卍3286卍ss@\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:07:46.21 ID:NF0S3q2R0.net
>>123
すいません 受け付けルールがあったんですネ...
よく読まず 連投してしまい失礼しました。

132 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:12:07.22 ID:xjoFQ2ov0.net
どうやら異界から迷い込まれた方がいらっしゃったようですね

はてさて皆様、ご無事でしょうか
背後の確認はお済みでしょうか
百の言葉が尽きるまで、どうぞこのままお付き合いを……



それでは百物語2014 続きとまいりましょう

ロクイチマル ◆5wVJdkoU4E さん、第40話をお願いします
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語り部希望は【受付スレ:したらば】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

133 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:14:24.54 ID:xjoFQ2ov0.net
大変失礼いたしました
私過去へ飛んでいたようです

ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、第41話をお願いします
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語り部希望は【受付スレ:したらば】へ
雑談、感想は【雑談スレ:したらば】でお願いします。

134 :ぬこ ◆RMw3.cMGUE @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:19:40.70 ID:0yX1QsY/I.net
【第四十一話】『足が欲しい』
大学時代、一つ上の先輩(♀)から聞いた話。
小学4年生の頃、学校から帰るときいつもある脇道からでてくる中年の男性がいた。しかも常に彼女がその脇道を通りかかる時に出てきてぼんやりと立っていたという。
幼心ながら不気味に思っていた先輩はそのことを母親に相談した所しばらく車で送り迎えをすることになった。
1ヶ月ほど車で送り迎えを行った後、もうそろそろいいだろうと言いことになり再び徒歩での登下校になった。そして実際、それからしばらくは何も無かった。

しかしその男は再び現れた。彼女がいつものように帰り道を歩き例の脇道にさしかかったときだった。ヌッと誰かが脇道から出てきた。
あの中年の男だった。そしていつも黙って立っているだけだった男は彼女の方をみてこう言った。
『足が欲しい』
気がつくと彼女は自宅の前にいた。しかしその間の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまっていた。それ以降、その男には一度もあっていないという。
そういえば、そのおっさん腰から下がどんな風だったか全然思い出せないんだって
と先輩は話の最後にそう語った。

135 :ぬこ ◆RMw3.cMGUE @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:23:59.06 ID:0yX1QsY/I.net
すいません、【了】 とつけるのを忘れていました。

136 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:25:02.12 ID:xjoFQ2ov0.net
41本目の蝋燭が消えました・・・
ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、ありがとうございました


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ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、第42話をお願いします
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137 :ぬこ ◆RMw3.cMGUE @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:31:47.13 ID:0yX1QsY/I.net
【第四十二話】 『足が欲しい 二』
同じ先輩がやはり小学生の頃に体験した話。
その日は風邪気味で学校を休んでおり自宅の2階にある自室で布団にくるまっていた。
ぼんやりと外を眺めていると家の前にある道に喪服のような黒い服と帽子をまとった髪の長い女性が俯いて立っていることに気がついた。
何故かその女性のことが気になり彼女はベランダに出ていった。(なぜそのようなことを考えたのか後になって振り返ってみてもよくわからないという。)すると彼女がベランダに出ると同時にその女性がふっと顔をあげた。
その顔は雪のように白かった。比喩ではなく本当に肌が真っ白だったのだ。
そしてつぶやいた。そのつぶやきは離れているはずの彼女にもはっきり聞こえたという。
『足が欲しい』
気がつくと彼女はベランダで倒れていた。時計をみると気を失った時から2時間ほどたっていた。

ちなみにその先輩は今でも五体満足で生活している。また20数年の人生の中で手足を失うような病気や事故が起きたこともないという。
彼女が幼い頃に遭遇したものがなんだったのかは未だにわからないそうだ。
【了】

138 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:32:59.92 ID:xjoFQ2ov0.net
42本目の蝋燭が消えました・・・
ぬこ ◆RMw3.cMGUEさん、ありがとうございました


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ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、第43話をお願いします
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139 :ぬこ ◆RMw3.cMGUE @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:37:35.15 ID:0yX1QsY/I.net
【第四十三話】『転落』

職場の同僚(♀)から聞いた話。

彼女が通っていた小学校のすぐ隣には昼間でも薄暗い森があった。
ある日、何を思ったのかそこを探検してみたいと思い、昼休み一人で森へ入っていった。
一応、道らしきものはあったためそこをたどりながらしばらく歩いていくと開けた空き地に出た。そこの真ん中にはこじんまりとした祠と小さな地蔵があるのみだった。

なんだつまらないと思い、そこを後にした。残りわずかになった昼休みの時間は校庭のすみにあるジャングルジムに登ってそこでぼんやり校庭を眺めながら過ごすことにした。
ジャングルジムの頂上で校庭や、さっき行ったばかりの森を眺めていると突然何かに背中を押された。
気がつくとジャングルジムとは反対方向の校門前に倒れていた。
ズボンをみればボロボロにすれていた。まるで何かに引きずられたかのように…
ちなみに校庭には彼女の同級生もいたはずなのだが誰も彼女学校ジャングルジムから校門前に異動するのをみていないという。

そういえばウチの学校の前、結構車とおるんだよね。と彼女はこの話を語った時、最後にそう付け加えた。

【了】

140 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:38:21.37 ID:xjoFQ2ov0.net
43本目の蝋燭が消えました・・・
ぬこ ◆RMw3.cMGUEさん、ありがとうございました


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会計 ◆QAI42rkje6 さん、第44話をお願いします
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141 :会計 ◆QAI42rkje6 @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:39:04.72 ID:gGSU/C180.net
【四十四話】会計 ◆QAI42rkje6
『法事』

これは妹が小学五年生くらいの時に体験した出来事です。
当時はお盆の時期で、法事をしていました。
始まる前にお坊さんが餓鬼の話をして「部屋の隅には霊が出やすい」と言ったので、
母が「こっちくる?」と言いましたが私はそのままでした。(特に深い意味はありません)
それが終わってからお経が始まりました。
そして、お経を唱えている最中にクラッとしたと同時に目の前が何も見えないくらい
真っ暗になりました。(正座のままで倒れたりはしていなかった)

「    」

暗くなっている間に左ななめ後ろ(母や祖母や坊さんは右斜め前あたり、私は
母たちから見て左ななめ後ろの部屋の角にいた)から耳元で何か聞こえたんです。
お経が聞こえたとしても近すぎだったし、耳元に直接話すようなかんじでした。
体感時間は3秒くらいだったけど、一秒もたってないくらい一瞬でした。
それは男性の声の様だということ以外分からなくて、何を言ったのかもわかりませんでした。
家に帰るまで恥ずかしかったのか言わず、家について車を降りてから母に言ったら
「おじいちゃんが来てくれたんやわ」
といいましたが結局わからずに現在を過ごしています。体の方もこれといって
なんともないし害はなさそうだったんですが、
あれは何だったのか…
ただの眩暈だったのか…
餓鬼の話をしていて霊が寄ってきたのか…
本当に祖父が来てくれたのか…
おそらく一生分からずに過ごしていくのでしょう。

【了】

142 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:42:36.03 ID:xjoFQ2ov0.net
44本目の蝋燭が消えました・・・
会計 ◆QAI42rkje6さん、ありがとうございました


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ヨサック ◆skAMDOCpdQさん、第45話をお願いします
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143 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:47:09.75 ID:ALSJsfvd0.net
第45話 ヨサック◆skAMDOCpdQ様
『旅館の旧館』(1/2)

真夏のある日、涼を取る為にと上司のKさんがこんな話をしてくれた。

今から30年程前、新入社員だったKさんは、慰安旅行でとある旅館に泊まる事になった。
当時Kさんは、社長の親族である先輩からパワハラを受けていた。本当は旅行になど参加したくない。
しかも部屋は修学旅行のような大部屋。どうしても先輩と顔を合わせてしまう。だが断る事が出来なかったそうだ。

夜も更けて、酒の回った先輩は案の定絡んできた。Kさんと同僚の二人で肝試しをして来いと言うのだ。
場所は宿泊している旅館の旧館。
渡り廊下で新館と繋がってはいるものの、「立ち入り禁止」の看板があり封鎖されている。
流石にまずいでしょう、と説得するが先輩は聞く耳を持たない。
部屋に備え付けの懐中電灯を持たされて、とうとう旧館まで連れて行かれたという。

旧館は昔ながらの日本旅館といった様子だった。当然ながら玄関や雨戸も開かない。
これは無理ですよ、戻りましょう、とKさん達は口を揃えるが、先輩は入れる場所があると言う。
新館からは見えない方向に回り込むと、雨戸が壊れている所があった。ガラス戸は割れ、鍵が開いている。
ほらな、ここから行ってこい。先輩の言葉に二人は顔を見合わせた。
先輩は常識を欠いたところがあり、よく無茶な行動に出る人だった。
まさか雨戸を壊し、ガラス戸を割ったのは…
疑念を抱いたが何も言えず、結局強引に中に入らされたのだそうだ。

旧館の中は明かりひとつ無く、懐中電灯を頼りに板張りの廊下を進んだ。
しばらくすると曲がり角に差しかかった。もうこの辺で帰ってもいいんじゃないか、
そう同僚と話していると、奥から足音が聞こえてきた。
まずい、旅館の人だろうか。慌てて側の障子を開け、物陰に身を潜めた。
見つかったらただ事では済まない。緊張する二人がいる部屋の方へ、足音はどんどん近づいて来る。
明かりを持っているのか、障子にうっすらと影が映った。細身で長い髪。女性のようだ

144 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:48:00.94 ID:ALSJsfvd0.net
(2/2)
しかし、この世のものでない事もすぐに分かった。
その女は逆さまになり、天井を歩いていたからだ。

息を殺して見つめる中、女はゆっくりと部屋の前を通り過ぎた。
ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間、またすぐにぎしり、ぎしりと音がする。
さっき姿を現した方から再び、女が天井を歩いて来るではないか。
女は同じ方向からやって来ては、部屋の前を通り過ぎるのを繰り返し続けた。
これでは部屋から出るに出られない。しかも、もしここに入って来たら…
そんな不安に、Kさん達はひたすら耐えたのだそうだ。

どれだけ時間がたったろうか。部屋の中は暗いが、耳をすますと外から鳥の囀りが聞こえる。
朝だ。いつの間にか女の往来も止んでいる。二人は涙ながらに喜びあったそうだ。
怯えながらも何とか侵入口まで戻り、やっとの思いで表に出たその時だった。
―――背後の暗がりから「ちがう」と女の声がした。

もう闇雲に走った事しか覚えていない、とKさんは言う。
気付くと新館の大部屋で、同僚も一緒に戻って来ていた。
早朝に大騒ぎで駆け込んで来た新人二人。睡眠を妨害された先輩はKさん達を怒鳴りつけた。
もちろん事情を説明しようとしたが、先輩は一言「知るか」と言って寝直してしまったそうだ。

慰安旅行から帰ってすぐにKさんは辞表を提出し、その後現在の会社に入社した。
同僚の方はそのまま勤め続けたそうで、しばらくの間Kさんと交流があった。
彼から聞いた所によれば、先輩は旅行後一年程で退職したらしい。

退職前の先輩はよく、天井を見ては怯えていたそうだ。

【了】

145 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:48:39.70 ID:xjoFQ2ov0.net
45本目の蝋燭が消えました・・・
ヨサック ◆skAMDOCpdQさん、ありがとうございました


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葛 ◆.zethFtqnU さん、第46話をお願いします
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146 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:50:10.09 ID:ALSJsfvd0.net
【第46話】 葛 ◆.zethFtqnU様

『肝試し』
(1/2)

先輩はよく、一番仲のいい友人と一緒に、あちこちの心霊スポットを巡っていた
でも一度も霊を見たことは無かったそうだ
そして怖いもの知らずの先輩たちは、ある日とうとう、地元にある全国的に有名な心霊スポットに足を踏み入れた

車のライトに照らされた山道は舗装されておらず、轍跡を雨水が削り、剥き出しの岩がごろごろ転がっていた
封鎖されたゲートをくぐり、道なき道を進んで辿り着いた先は、トンネルの前だった
トンネルは通れないよう、入り口にバリケードが築かれ、中を窺い知ることはできない
車を下りた時、辺りは一面の深い霧に包まれ
湿気を含んだ山の空気は、真夏であるにも関わらず身震いするほど冷たかった

深夜2時。先輩と友人は、懐中電灯を手に、辺りを散策し始めた
深い夜霧のせいか、星のまたたき一つ、月明かりさえ見えない。そしてこの霧。
先輩たちは、「今度こそ何かあるんじゃないだろうか」と期待しながら、付近をぐるりと一周した
だが期待に反して、何もなかったし、何も起こらなかった。獣の鳴き声に驚くことさえ無い
二人はガッカリしながら、悪態を吐きつつ車に戻った
運転は先輩。助手席には友人
先輩が車を発進させようとしたその時だった

車の前に、誰かが居る

147 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:51:01.65 ID:ALSJsfvd0.net
(2/2)

一瞬にして、先輩の全身から冷たい汗が吹き出した
ライトに照らされ、車の前に立っていたのは、女だった
丈の長い白いワンピースから覗く足は、山中であるにも関わらず、裸足だった
俯いているのに加え、長い黒髪のせいで表情は見えない
先輩は口の中がカラカラに干上がって、身動き一つ取れない
一秒が一時間にも感じられるような長い時間。女がゆっくりと顔を上げる……
「うわあああああああ!!!!!」
突然、先輩の隣で友人が悲鳴を上げる。その声で、呪縛が解かれたように先輩が我に返った
友人は助手席で、半狂乱になって手足をばたつかせながら女を指し、先輩に向けて叫んだ
「轢(ひ)け!轢(ひ)き殺せ!!」
言われるがまま、先輩はアクセルを踏み込んだ
車が急発進し、ドンッと強い衝撃があってから、車が停まる
荒い息を繰り返し、ハンドルに寄りかかって、先輩は呼吸が落ち着くのを待った
「ハハハ……幽霊殺(や)ってやったぜ……やった……」
しばらくそうしていた先輩は、ふと気になって顔を上げた
気付くと女はいなくなっていた
だが、女が幽霊だったのなら、さっきの衝撃は何なんだろう
そしてふと気付くと、助手席の友人がいない
扉が開く音はしなかったはずだ。だとしたら、友人は何処へ……?
「……」
先輩は、何かに誘われるように車を下りた
恐怖は既になく、妙に頭が冴えていた
その時には霧は晴れていた、そして車の前方、ライトに照らされた先で、友人が冷たくなっていた

事件は警察沙汰になり、先輩は殺人の罪に問われ、刑務所に入ることになった
先輩は今でも、刑務所の中で叫び続けている

「俺じゃない!霊がアイツを殺したんだ!」

【了】

148 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:51:33.24 ID:xjoFQ2ov0.net
46本目の蝋燭が消えました・・・
葛 ◆.zethFtqnUさん、ありがとうございました


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 はーい ◆1MYw3QRraoさん、第47話をお願いします
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149 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:56:38.90 ID:ALSJsfvd0.net
【第四十七話】はーい ◆1MYw3QRrao様


一台6人で霊感のあるDを含め6人でとある廃トンネルへ行くことになりました

トンネルの前まで着き運転手がみんなに「着いたよーほんとに中までいく?怖くない?」と、
入りたくない気持ちはわかりましたが「行くー!!大丈夫だよなにも怖くないよ」と私はワクワクしながら返事をし、
1度トンネルを通り抜けUターンをしてトンネルの真ん中でエンジンとライトを切ってクラクションを二回鳴らしました

『バンッ!バンバンバンッッ!!!』

突然車を激しく叩く音がして急いで車を走り出しました。するとDが「気持ち悪いから外の空気を吸いたい」と。
急いで車を止めみんな外に出て「さっきのなんの音だろう?怖かったー」ワイワイキャーキャー言っていたらDが

「誰か私を呼んでる!!!早く行かないと!ウワァァァア・・・・」

突然山の中へ走り出しました。そのあとを急いで追いかけて引き止めていたんですが
Dの興奮がおさまらないまま車へと連れ戻されてきました

力の強い友達がDを押さえつけ30分くらいで冷静さを取り戻しました。そのあと突然すごい速さで真っ暗な山へと走り出し

「お願い・・・・ちょっと待っててぇぇぇぇええ!!!待っててねぇぇえ!!!!!!痛いよぉおおおお」

私は急に尿意を催し真っ暗な山へ枝で足に傷をつけながら急いでみんなから見えないところまで行きおしっこしました

とてもスッキリした顔で車へ戻り山を降り明るいところへいって車をみると車内から凄い数の手形がありました。
Dの記憶はトンネルから全くないみたいです・・・・

【終わり】

150 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/23(土) 23:58:33.73 ID:xjoFQ2ov0.net
47本目の蝋燭が消えました・・・
はーい ◆1MYw3QRraoさん、ありがとうございました


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マダム ◆eHH0iBizH6 さん、第48話をお願いします
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151 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:03:14.67 ID:JeOcyvlKi.net
【第48話】 マダム ◆eHH0iBizH6様
『函館までドライブ』

北海道の道央自動車道(高速道路)が、札幌ー苫小牧までしか無かったころの、昔の話です。
ある夏の夜、友人2人が札幌から函館までドライブに行きました。
当時、函館までは普通に運転してだいたい6時間位かかりますが、
午後9時頃に出発して現地に着いたのは午後11時半頃だったといいます。
近道があるわけではないし、時速200キロでノンストップで走ってたとしても
到底たどり着けない時間です。
道中はカーラジオを聞きながら(その時間帯にかかる番組を聴いていたので間違いがない)
飛ばすこともなく普通に走っていたそうです。
もちろん本人達が一番不思議がって、到着時間は何度も確認したそうです。

絶対にありえない事なので今でも不思議な話として心に残っています。

【了】

152 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:04:40.58 ID:xjoFQ2ov0.net
48本目の蝋燭が消えました・・・
マダム ◆eHH0iBizH6さん、ありがとうございました


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 怪人 ◆fAwBJYVS5Qさん、第49話をお願いします
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153 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:07:42.05 ID:JeOcyvlKi.net
【 第四十九話 】怪人◆fAwBJYVS5Q様
『W駅の怪』

これは都の西北のそばにある駅構内のお手洗いでの話
24時頃、飲み会の後、大きいほうの便意をもよおした私は駅のお手洗いに駆け込みました
小さいお手洗いですが、幸いなことに洋式の個室が空いており、そこにこもりました
しかし、私が入ったすぐ後、駆け足の音がすると、一息ついて、その足音の主は私の個室の扉にどん、と寄りかかったのでした
あぁ、一足違いだったな、と思いながら用を足していました
扉の前の方には悪いけど、便の通りが悪くなかなか終わりません
そのうちどこかに行くかな、とも思っていたのですが、その方も緊急事態なのか扉の前から動きません
扉一枚隔てて、足踏みや息遣いが聞こえます
すこし苛立っているような気もします
私もなるべく早く終わらせると、
「どうも」
などとすまなそうにして、会釈しながら個室を出ました
誰もいない
「えっ」
と思わず声が出てあたりを見渡したが、もとより、お手洗いは一瞥して見渡せるような大きさである
向かいの和式個室は空で、洗面所にもだれもいない
改札口へ向かう廊下へ飛びだしたが、人影はない
気のせいかなと思い直し、洗面所へ戻り手を洗っていると、
私が入っていた個室の横にもう一つ個室があることに気付きました
なあんだ隣の個室に誰か入っていただけか、と思うのもつかの間、
よく見るとそれは大の個室ではなく、細く小さな用具入れでした
全身、総毛立ちました
私は急いでその場を立ち去りました
あのとき、あの用具入れを覗いていたらどうなっていたのか、何を見ることになったのか
今では、気のせいだったんだと自分に言い聞かせるようにしています

(了)

154 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:08:55.76 ID:ixm8gm6D0.net
49本目の蝋燭が消えました・・・
怪人 ◆fAwBJYVS5Qさん、ありがとうございました


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抜歯太郎 ◆ZMA13fr.0s さん、第50話をお願いします
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155 :抜歯太郎 ◆ZMA13fr.0s @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:10:38.34 ID:ZDQhoG2gi.net
【第五十話】 おもちゃの電話と消えた訪問者

第18話と少し似たことを私も体験いたしました。
15年以上前の話になりますが、
私の曾祖母(祖母の母)がなくなった時に起こった
不思議な現象のお話をいたします。

曾祖母が亡くなる数日前から危篤の知らせが入っていましたが
曾祖母の入院先が北海道、祖母は私達と長崎県に住んでおり、
遠方であることと、経済上の事情もあいまってすぐに向かうことは出来ませんでした。

そんなおり、17時頃、学校から帰った私が一人で留守番をしていると、
突然、物置部屋に使っている部屋から
「プルルルルル」「プルルルルル」と、電話に似た音が突然聞こえてきました。

家族の携帯電話がなっているのかと思い、
見に行きましたが、それらしいものは見当たりません。

「プルルルルル」「プルルルルル」

そもそも物置部屋に携帯電話があることがおかしいのですが、
音のする場所を探っていると、ダンボールの中で音がしています。
中を開けると弟が昔遊んでいた携帯電話型のおもちゃが鳴っていました。

何かの拍子に、ボタンが押されたんだろうな・・・そんなことを思いながら
ボタンを押して電源を切ろうとしたのですが、音が鳴り止みません。

???困っていると

1/2

156 :抜歯太郎 ◆ZMA13fr.0s @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:12:06.33 ID:ZDQhoG2gi.net
ガラガラガラと、隣の居間の窓が開けられた音がしました。
「Sちゃんいるかい?」とお年寄りの声が聞こえました。

Sちゃんとは祖母の名前で、町内会の人が用があって訪ねてきたのかと思い
慌てて居間に向かったのですが、誰もおらず、窓が開けっ放しになっているだけでした。。
外を伺っても誰も居ません。

おかしいな、と思いながら物置部屋に戻ると、さっきまで鳴っていたおもちゃの電話が止まっていました。

なんだったんだろう・・釈然としませんでしたが
おもちゃの電話をダンボールに戻そうとしたところ、ぞっとしました。
おもちゃは電池で動く仕組みなのですが、電池が入っていなかったのです。

ちょうど、祖母が帰ってきたので
先ほどのおもちゃと消えた訪問者の話をしました。

「実はね・・」

親戚から、先ほど曾祖母が亡くなったとの知らせがあったばかりだったそうです。

「きっと私に会いに来てくれたんだろうね」

それ以後、おもちゃの電話が鳴ることは2度とありませんでした。
あれは、虫の知らせというやつだったのでしょうか。

2/2

【了】

157 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:12:41.84 ID:ixm8gm6D0.net
50本目の蝋燭が消えました・・・
抜歯太郎 ◆ZMA13fr.0sさん、ありがとうございました


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マダム ◆eHH0iBizH6 さん、第51話をお願いします
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158 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:13:10.43 ID:iVpQyD8K0.net
【第51話】 マダム ◆eHH0iBizH6
『道路でお絵かき?』

結構昔の話になりますが
ある夏の日、夜中に友人と二人でドライブしていました。
簡素な住宅街の、上り坂の幹線道路を走っていると
前方の車道に子供がいるのが見えました。
這いつくばって、道路に何かを描いている風です。
当時は、チョークで地面や道路に落書きするなんていう
子供の遊びが珍しいものでは無かった時代です。

先ほどからこの付近を走っているのは私たちの車だけで、
対向車も後続車も見当たらず道路は閑散としてましたが
それにしても危ない。
しかもその子は、私たちの車が近づいても避けることなく
ずっと下を向いてお絵かき?を続けていました。
蛇行してその子を避けて通り過ぎましたが
まるで、周りのことは意に介さずという感じで
顔を上げるわけでもなく自分の行為に没頭しているようでした。

通り過ぎてから振り返ってもまだそこに居ました。
車が遠ざかって見えなくなりましたが
白いランニングで短パン、小学校中学年くらいの少年。。。
人通りも車通りもまったくと言っていいぐらい無いこんな路上で
しかも時刻は深夜2時過ぎ。。。

生のある人間としか見えなかったのですが
この世ならざるものだったのかも知れません。
どっちだったとしても薄ら寒い経験でした。

【了】

159 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:13:33.04 ID:Dh7XLcnW0.net
51本目の蝋燭が消えました・・・
マダム ◆eHH0iBizH6 さん、ありがとうございました

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UTF16 ◆IIYCd0pMW6 さん、第52話をお願いします
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語り部希望は>>1の【受付スレ(したらば):ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/22553/1408782381/】へ
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160 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:15:43.65 ID:iVpQyD8K0.net
【第五十二話】UTF16 ◆IIYCd0pMW6 様

『気がつくと』
(1/2)

以前派遣現場で一緒に仕事をしていた福本君の話。
ある夜、福本君はずっと残業続きのクタクタの状態で、乗客もまばらな終電近い電車に転がり込んだ。
あいにく電車は各駅停車だったが、とにかく座りたかった彼は、まぁいいや、と思いながらぐったりと座席に沈み込み……
それからの記憶が無い。
どれくらい時間が経ったのかはわからない。
意識が無くなっていたのは一瞬だった様な気もする。
なんだかやたら寒くて冷え込んでいるのにふと目を冷ますと、何故かあたりは真っ暗だった。
「……え?」
反射的に寝過ごした、とハッとなったが、事態はそういう状況ではない様だった。
福本君は電車の中ではなく、どうやら屋外にいる様だった。
どこかの小さな駅のホームの様だが、全く見覚えのない駅で、しかも明かりも人の姿も全く無い、真っ暗なベンチに座っていた。
「どこだ、ここ?」
まだぼんやりとした頭のまま彼はあたりを見回したが、やはりまるで知らないところだった。
月明かりの下、腕時計を見ると、すでに午前2時を回っていた。
季節は晩秋だったがやけに寒く身体が冷え切っており、コートを身体に巻き付けてガタガタと震えた。
どうしてこんな事に、とまだ混乱しながらもとにかくどうやって帰ろうかと思っていると。
向こうの方に、改札口の様なところが見えた。
真っ暗で無人だったが、ここがどこかはわかるだろうと見に行くと、
改札口の様なところの向こうは何故か急な下り斜面になっており、コンクリートで舗装されている斜面にはレールが敷かれて、
ずっと下の方にまでレールは延びている様だった。
福本君がいたところは。

161 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:16:31.03 ID:iVpQyD8K0.net
(2/2)

某私鉄の小さな支線の、観光地になっているケーブルカーの終点だった。
福本君が乗り込んだのは地下鉄で、その私鉄とは連絡していない。
しかも、その観光地のケーブルカーは夜遅くまで動いてはいない。
「……」
福本君は自分がどうしてこんなところにいるのかさっぱりわからず、あたりをウロウロとしてみたが、
小高い山のてっぺんにある観光地の駅の周りには、
ひとけの無い真っ暗な展望台とシャッターの閉まった土産物屋と神社があるだけで、近くには人家も無い。
また、駅から下りて行こうにも、ハイキングコースの様な山道を行くしかない様だった。
夜の暗いハイキングコースを下りてゆく気力も体力も、福本君には残されていなかった。
それゆえ仕方なく、福本君は改札口の、駅員が立つボックスの中で丸くなって朝を迎えた。

それから福本君は酷く風邪をひき、高熱を出して一週間仕事を休んだ。
どうやったら真夜中にあのケーブル線の山の上の終点にたどり着けるのか。
いまだにわからないという。

【終わり】

162 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:18:28.82 ID:Dh7XLcnW0.net
52本目の蝋燭が消えました・・・
UTF16 ◆IIYCd0pMW6 さん、ありがとうございました

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りんご酢 ◆.un5wFVaHw さん、第53話をお願いします
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163 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:20:48.65 ID:iVpQyD8K0.net
【第53話】 りんご酢 ◆.un5wFVaHw 様
『無題』

(1/2)

6年ほど前の夏に体験した話です
その日私は彼氏の運転する車で高速を使い東北に向かっていました

午後4時くらいだったと思います
彼がトイレ休憩したいということでパーキングエリアに入りました
そこはトイレと自販機だけの簡素な場所で売店などはありません
そのせいか利用客は私たちだけでした

私も行っておこうと思い私たちはそれぞれトイレに向かいました
他のサービスエリアなどと違いここのトイレは個室が6つしかありません
なるべくきれいな所を使いたかったので私は中を見つつ奥へ
結局どこも変わり映えしなかったので6つ目の個室に入りました

用を足しているとコツコツと足音がして、前の方に入る音がしました
私は用が住み個室から出ると、一番前のドアが閉まっていました
中からは「うぅっ」と唸り声
相手も旅行中かは分かりませんが大変そうだなと思いつつトイレを去りました

外に出ると車にもたれてタバコを吸ってる彼がいました
あとは広い駐車スペースにセミの鳴き声が響いているだけ…
利用客は私たちだけ
後から他の利用客は来てないんです

164 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:22:01.86 ID:iVpQyD8K0.net
(2/2)

だとしたらさっきトイレに入った人はどこから?
場所は高速道路です
徒歩で来る人なんているわけがない

何かおかしいと思ったのでそのことを彼に話しました
「ドアが壊れてて勝手に閉まっただけじゃない?誰かいると思ったからすきま風が人の声に聞こえたんだろ」
と言われもし変質者とかだったら気味が悪いし、そういことにしておくことしました

私も彼も車に戻り出発しようとした時です
彼が「なんかいる」とトイレの方を差しました
トイレの小さな明かり取りの窓
ちょうど一番前の個室のあるあたりに青白い顔のようなものが張り付いていました
すり硝子越しにもこちらを見ているのが分かります
瞬時あれは生きている人間ではないと感じました

彼は慌てて車を発進させ私たちはそのパーキングエリアを去りました

今もそのパーキングエリアはあるようです

【了】

165 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:22:26.30 ID:Dh7XLcnW0.net
53本目の蝋燭が消えました・・・
りんご酢 ◆.un5wFVaHw さん、ありがとうございました

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チャゴ ◆ePOonrVZq6 さん、第54話をお願いします
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166 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:24:02.42 ID:iVpQyD8K0.net
【第54話】 チャゴ ◆ePOonrVZq6 様

『のっぺらぼう』
(1/3)

あるとき、会社の飲み会でとある同僚の隣になったことがありました。
飲み会はだいぶ盛り上がって、寝始める人や帰る人もいる中、
お酒が強い私と同僚はほとんど飲み比べのようになっていました。

しばらくして、ふと同僚がグラスを載せる紙の丸いコースターに
人の顔を描いていることに気がつきました。
ずいぶん子どもっぽいことをするなあと思った私は、
「それ何してるの?」
と同僚に訊ねました。

すると同僚は、ああ、と返事をして、
「酔っていると思って聞いて」
と言いました。
「鼻からそのつもりだよ」
と私が答えると、同僚はこんなことを言い始めました。

「実はさ、俺むかしからしょっちゅうのっぺらぼうを見るんだよ」

同僚の地元は温泉街で、家にあるお風呂に入るよりも
近所の温泉に行くことの方が多いような土地だったそうです。

同僚は毎日夕方になると近所の同級生たちと温泉に行っていたのですが、
温泉は朝の5時から開いており、たまに朝風呂に行くこともあったのだとか。

167 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:25:15.98 ID:iVpQyD8K0.net
(2/3)

そんな彼が小学生のとき、朝風呂に行くと一人のおじいさんが身体を洗っていました。
同僚が「おはようございます」と背中に声をかけると、おじいさんは
「あーい、おはよう」と答えました。

その声としゃべり方で同僚は、近所のあのおじさんだ、と分かったそうで、
自分もお風呂に入って身体を洗うことにしました。

しばらくして同僚が湯船に浸かろうとしたときでした。おじいさんがふと
「きれいになったか?」
と聞いてきたそうです。

声につられておじいさんを見ると、おじいさんは眼も鼻も口もなかったそうです。

怖くなった同僚は慌ててお風呂を出て、一目散に家に逃げ帰ったとのことでした。

この話を聞いて私が
「狐にでも化かされたんじゃないの?」
と言うと、同僚は
「それなら良かったんだけど……」
と歯切れの悪い言い方をしました。

168 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:26:12.07 ID:iVpQyD8K0.net
(3/3)

気になって話を聞いてみると、実はそのおじいさんはその日の夕方警察に捕まったのだとか。
なんでも前の日の夜、奥さんと口論になって殺してしまったそうで、
同僚と一緒にお風呂に入っている時にはすでに奥さんを殺した後だったとのこと。

「ニュースにもなったからビックリしてさ。それから俺なんか分かんないけど
○を見ると怖くなるっていうか、どうしても顔を描いちゃうんだよね」

そんなことを良いながらコースターに顔を描いている同僚に、
「へえ、不思議なこともあるね」
と言っていたのですが、私はあることが気になっていました。

それは同僚が最初に言った台詞。
「実はさ、俺むかしから『しょっちゅう』のっぺらぼうを見るんだよ」

殺人を犯した人が、同僚にはのっぺらぼうに見えるのだとしたら、
彼は今までどれくらいの「のっぺらぼう」を見てきたのでしょうか。

【おわり】

169 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:27:23.19 ID:Dh7XLcnW0.net
54本目の蝋燭が消えました・・・
チャゴ ◆ePOonrVZq6 さん、ありがとうございました

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蓬莱◆hB4rS4et48Vf さん、第55話をお願いします
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170 :蓬莱 ◆hB4rS4et48Vf @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:31:47.05 ID:eHuULVV/0.net
「第五十五話」『たどり着けない聖地』

(1/4)
これは友人との会話を文章にしたものです。
彼は霊は一切感じない、むしろそれを楽しんでいる感じのタイプ。
ある日、いつもの居酒屋で飲んでる時に心霊の話になった…

「お前は心霊とか信じるか?」
「富士の樹海にテントを貼って、数日過ごしたら面白いかもなあ(笑)」
って本気で言ってる人間で、聞いてみるとけっこう悪さもしてた。

「霊なんて見えないから怖くないって。子供のとき夜中に墓場に行って、
お墓の前で丑三つ時にカッターを歯に仕込んで鏡を見たら後ろにヤバいモノが見えるって怪しげな儀式をきいて試したんだ」
「でも結局、何もなかったし、そのとき歯ぐきにカッターの刃が刺さって血が止まらなかったのは困ったな」
「腹が立ってお墓にオシッコかけてきてやったな(笑)」

「あと、むかしコックリさんが流行ってる時に、わざと十円玉の指を強引に、
“み・な・ご・ろ・し”って動かしてやったら、参加してた女子生徒の何人かが本当に具合が悪くなって、
その子たち一週間ほど学校を休んでたっけ(笑) 俺はそれを見て腹の中で笑ってたなー。要は「集団ヒステリー」ってやつだ」

そうやってケタケタ笑うを友人をみてこいつは一生、霊とは縁がないなって思った。
しかしふっと思い出したように彼は、
「でも…今でも何故か不思議だな〜って思う出来事があるなあ…ユタって…知ってるか?」
「ユタ?霊媒師のことだろ?」

・ここからいわゆる体験談になるのです。

彼は沖縄出身で、知らない方もいらっしゃると思うので、
彼女ら“ユタ”とは沖縄の独特の霊能者の呼称です。
「巫女」とか「シャーマン」と呼ばれる人たちのことです。
まれに呪術めいた事を行なったりすると聞きました。
彼にとって「ユタ」は意外に身近な存在だったらしいですが…

171 :蓬莱 ◆hB4rS4et48Vf @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:33:40.48 ID:eHuULVV/0.net
(2/4)
小学6年生のとき、「ユタの聖地」に興味本位で行ってみたくなって、そこで何か起こったらそれを
夏休みの自由研究にしようと思い立ったんだ。
要はユタの女性たちが修行場で使っていた所なんだけど、そこって男子禁制って云われてる場所で、
地元の特にお年寄り連中は絶対に場所を言おうとしないんだ
でも色々と情報を集めて、ある程度ここだなって場所は割れたんだ、で
とりあえず計画を立てて、お金を貯めて、いざ「聖地」へ行こうって時の3日前に、
友人たちとグラウンドでサッカーをしてる最中に、ボールを蹴るつもりが地面の出っ張った所を思い切り蹴って左足を骨折してな
そのまま病院へ運ばれて、レントゲンを撮られてギブス付けられて痛み止めを処方されたけど、
じつは俺は薬のアレルギーがあって、
薬アレルギーの旨をドクターに告げたんだけど、たまたま同じ苗字の人物がいて、ぜんぜん合わない薬を処方されて、
そのショックで2日間意識不明になってな
あと5分処置が遅れてたら助からなかったと言われて…、その年はそれで聖地巡業は断念したんだ。まあ偶然だろうな。

2年目の年の、中学1年生の夏休みに、また自由研究で例のユタ聖地に行こうと思ったんだ
でも行くと決めた前日に、俺を含める家族全員が食中毒になったんだ、未だに原因は分からない、
またまた入院してしまって、夏休みラスト4日目だったし、下痢はひどいし仕方なくその年も断念した。
ま、これも偶然だろうな

3年目…中学2年生の夏休みに、今年こそは絶対に行くぞ!って決めて、また例の場所へ行こうと綿密な計画を立てたんだ
行くと決めた日の5日前に、家族で車でドライブに出かけてて俺は後部座席に座っていて、
そのドライブ中に、俺の後ろの座ってた席に横から狙い撃ちするように、ホロの付けたトラックが追突してきて、
シートベルトしてなかったから思い切りガラスに頭を痛打してな気を失って、額から血がダラダラ流れて気を失ってな、
気がついたらまたも病院のベットの上だったんだ。
2週間ほど入院して、退院の時はすでに学校が始まってから、その年もユタの聖地巡礼は断念するかたちになってしまったんだ。

172 :蓬莱 ◆hB4rS4et48Vf @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:36:28.93 ID:eHuULVV/0.net
(3/4)
4年目…中学3年生の夏休み、今年こそは何もないように、早めにきちんと計画を練ってその年は前回のこともあって、早めに計画を立てたんだ
その時は友人にも声をかけて、行こうと意気込んでた心霊好きな友人2人を誘えることに成功した。
出立2日前に、余裕があったし、俺を含め一緒にその行く友人と関係ない2人、全員5人で近くの浜辺でBBQして海水浴をしていたんだ。
その海でみんなで泳いでいて、一緒に行く2人が同時に溺れたんだ。しかも肩が付く程度の浅瀬でな…
俺ら3人は必死に救助して、浜辺に引き上げたら2人の両足首にくっきりとミミズ腫れができてた
沖縄はクラゲもいるから、それに刺されたと思ったけど、他の友人は手の跡に似てるとか騒いでたよ
そのおかげで2人ともビビって聖地行きはキャンセルしたけど、おれは一人でも行くぞ!って意気込んでいたよ

で、当日はもしやの沖縄独特の、台風が来るかもしれない天気だった
まあ大丈夫だろうと思って部屋で寝てたんだ
いきなりドーンって感じの衝撃があって気がついたら、部屋の柱が落ちてきて、
壁に穴が空いていて、屋根も一部壊れてて、それは庭のヤシの木が折れて俺の部屋だけに倒れてたんだよ
柱に挟まれ動けなくなったけど、どうにか抜け出して家から家族で祖母の家に避難してな、台風が去った次の日
ヤシの木をどかして部屋の片付けをしてたんだ。部屋には行くための準備をしていたリュックがあったんだけど
中には食料とか、衣服などを入れてて、行くまでのバス乗り継ぎ、タクシー代として6000円だったから、カンカンの中に入れてたんだ
でもなぜかリュックはあるのに中から、カンカンだけがそっくり消えていて辺りを探しても見当たらなくって、また仕方なく断念したんだ
次の年に、高校を中退して上京したから結局は行けずじまいでな…

173 :蓬莱 ◆hB4rS4et48Vf @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:37:40.33 ID:eHuULVV/0.net
(4/4)
「たしかに偶然ぽいといえばそうだが、余談があってな…」

じつは…4年目に聖地に行こうって誘った友人のうちの1人だけど、あの後すぐ家族に不幸があってな
とつぜん父親が倒れたんだ
で、介抱していた母親が疲労から卒中になって半身不随。
ちょっとして弟が家の前で突然車の交通事故
家を出た途端に、とつぜん車に跳ねられて重症でそのまま入院。
あまりにも不幸が続いてたので大騒ぎになって、なにかの呪いかと噂になってしまって、
結局ユタを呼ぼうって事になったんだ
内容はよくわからないけど、お祓いしてもらったときに、その儀式で鶏の首をはねたらしい
たぶん身代わりなんだろうな…
まあ結局、不幸は収まっんだけど働き頭の父と母は亡くなってしまった…
その後、父が隠していた借金が発覚してな、家を差し押さえという状態になってしまった
友人は借金返済のために働き詰めになってな、
3年くらい頑張ってたかな…、友人は借金返済のため頑張っていたけど…あと2、3ヶ月で差し押さえ期限が近づいてたんだけど
その最中に、そいつは車で事故死。たまたま助手席に座っていたらしいんだけどな
幸か不幸かそいつは生命保険に入っていて、おかげでその金でどうにか借金は返済できたんだ
でな…その依頼したユタってのが、例の聖地で修行を積んだ人物だったんだ……

【了】

174 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:38:26.57 ID:Dh7XLcnW0.net
55本目の蝋燭が消えました・・・
蓬莱◆hB4rS4et48Vf さん、ありがとうございました

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葛 ◆.zethFtqnU さん、第56話をお願いします
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175 :みかん山 ◆.TybZR8Ddk @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:39:50.20 ID:8PvyQZd70.net
【第五十六話】黒い神様

(1/2)
自分の祖母が生まれた東北の漁村の話
昔そこの村に信心深いおばあさんがいて、どこからか拾ってきた白木のエビス像を家の離れの祠に
祀っていた。
その像を祀って以来、おばあさんは翌日の天候や漁の具合を頻繁に予言し、それがよく当たるので
いつしか村の人たちは おばあさんとおばあさんが祀っているエビス像を崇めるようになっていった。

昭和20年頃そのおばあさんは亡くなり、おばあさんのエビス像は地区を見下ろす丘の上に
お堂を作って安置された
村の者たちはよくそのお堂に手を合わせていたそうだ
しかし数年たった頃から、お堂の中の真っ白だったエビス像が黒っぽくなってる事にみんな気付いた
木でできた物だからそういうこともあるだろう、と思っていたが
像の黒ずみは年々ひどくなって、ほとんど灰色に近い像になってしまった。
さすがに村の人たちも気味悪がって「何か不吉なことが起こるんじゃなかろうか」と思い始めた。

176 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:40:01.04 ID:Dh7XLcnW0.net
失礼致しました

みかん山◆.TybZR8Ddk さん、第56話をお願いします
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177 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:41:54.99 ID:8PvyQZd70.net
(2/2)
ある時、通りすがりの旅の山伏が、「この像は多くの厄を吸い過ぎて厄の塊になっておる」
「祈祷して厄を浄化しないと村に災いが起こるだろう」と言ってきた
祈祷を頼んだところ、当時としては高額な金額を要求されたが、丸一日の祈祷の結果、
エビス像は見事に元の白い像に戻った。
みんな大変驚き、信心深い村の人たちは「こりゃ大したものだ」と満足していた。

それから数年は何事もなかったが、ある年の春、またエビス像の様子がおかしいなってきたので
調べてみると、エビス像の表面が剥げてきているのが分かった−あの山伏は像の表面に白い塗料を
塗っただけだったのだ。
村の人たちは憤慨したが、それ以上の問題があった
塗料の剥げた下から出てきたエビス像の肌は以前に増してどす黒い色に成り果てていたのである。

いよいよ不吉な予感が高まる中、5月になってエビス像の置いてあるお堂が深夜に急に発火した
村の人たちは大変だとお堂に駆け付けたが既にお堂は全焼でエビス像は真っ黒の炭になってしまった
突然の火事に驚いた村人が段々と集まってくるうちに周囲が変事が訪れた
突然、轟音とともに巨大な津波がその地区を襲ったのだ。
周囲の村が大きな被害をだし、その村も多くの家が倒壊したが、住人は丘の上のお堂に集まっていたため
死者はほとんど出なかったという。

津波の原因は外国の地震だったそうだが、村人の日頃の信心にエビス像が応えてくれたのかもしれない。

【終わり】

178 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:42:29.32 ID:Dh7XLcnW0.net
56本目の蝋燭が消えました・・・
みかん山◆.TybZR8Ddk さん、ありがとうございました

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葛 ◆.zethFtqnUさん、第57話をお願いします
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179 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:43:31.84 ID:iVpQyD8K0.net
【第57話】 葛◆.zethFtqnU 様

『声』

普段はメールでやり取りしているのに、その時だけは何故か電話で話をした

『でさ?、この御時世(…ザザッ…)に、仕事があるだけいいのかもしれないけど、(…ザザッ…)毎日残業でさ、
 帰るのいつも10時(…ザザッ…)くらいになってさー』
その日はやけに彼女の声に混じってノイズがひどく、聞きづらかった
そのうち、ノイズがどうも人の声のように聞こえてくるので、彼女に聞いてみた
「……今、テレビかなんかつけてる?」
すると彼女は、『あ、またかぁ?』とあっけらかんとして教えてくれた
『ここ(…ザザッ…)最近さ、電話して(…ザザッ…)るとよく言われ(…ザザッ…)るんだ。
 「今テレビつけてる?」と(…ザザッ…)か、「後ろ、誰かいる?」とか』
他にも、電話でなくても「今何か言った?」と最近になってよく聞かれるようになったと彼女は言う
その時ちょうど会話が途切れて、ほんの少し沈黙が下りた
『……ザザッ……ザザッ……ボソボソ……ザザッ……』
やっぱり人が喋っているように聞こえる。こちらが聞き取ろうとしているのを察してか、彼女も息をひそめる
耳を澄ませ、受話器の向こうに神経を尖らせると、
『ボソッ……、……ロ、…ゲ…、……ザザッ……、……』
聞きづらいノイズに混じって微かに聞こえた一つの単語
「……気のせいかもしれないけど、この声『逃ゲロ』って言ってない……?」
恐る恐る切り出すと、怒るかと思った彼女はむしろ持ち前の明るい声で、
『ヤだ、怖いこと言わないでよ。「逃げろ」って、一体何から「逃げる」って言うのよ。そもそも何処に逃げればいいのよw』
「そう……だよね。やっぱり気のせい……かな。ごめんね、変なこと言って」
そう言って他愛のない話をしてから電話を切る

2011年3月7日
それが、彼女の声を聞いた最後になった

【了】

180 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:45:34.32 ID:Dh7XLcnW0.net
57本目の蝋燭が消えました・・・
葛 ◆.zethFtqnUさん さん、ありがとうございました

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UTF16 ◆IIYCd0pMW6 さん、第58話をお願いします
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181 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:46:06.36 ID:iVpQyD8K0.net
【第五十八話】UTF16 ◆IIYCd0pMW6 様

『クワッ』

弟の友人の野崎君は学生時代、倉庫作業のバイトをしていた。
運送会社の倉庫の中で、ダンボールに入った商品の詰め替えをしたり、出荷時に入れ忘れた付属品などを入れたり、
商品規格が印刷されたシールを延々貼り付けたり、といった作業内容だった。
ある日も倉庫で、炊飯器の入ったダンボール箱をひたすら開封する作業をしていると。
箱の中に、炊飯器ではない妙なものが入っていた。
それは人の頭ほどの大きさで丸い形をしており、縁が白くて真ん中あたりは濃い茶色で、その中心は黒い……
はじめは何かわからなかった。
が、どうやらそれは大きな目玉であるらしかった。
ダンボール箱の中いっぱいに収まっている大きな目玉は、
野崎君をよく見ようとでもするかの様に、真ん中の黒い瞳の部分がクワッ、と拡大した。
「……!」
野崎君は声にならない声をあげた。その後の記憶が無い。
どうやらそのまま昏倒してしまった様で、
様子を見に来た倉庫会社の社員にダンボール箱の中で倒れているところを発見され、事務所に担ぎ込まれた。
野崎君が事務所で意識を取り戻すと、社員たちが貧血でも起こしたのか、救急車を呼ぼうか、と言うので
「何か変なものがダンボール箱の中にいた様な」
とまだぼんやりとした頭でこたえると
「ああ……そう」
と社員たちは顔を見合わせそれきり何も言わず、その日の帰り間際に
「これ、取っときな」
と何故か課長が五千円札の入った封筒をくれた。

現場にはいくつかの倉庫があったが、以降、目玉を見た倉庫では、野崎君が作業をする事は無かった。

【終わり】

182 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:47:34.99 ID:Dh7XLcnW0.net
58本目の蝋燭が消えました・・・
UTF16 ◆IIYCd0pMW6 さん、ありがとうございました

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いそべ ◆8JXCKM3oNw さん、第59話をお願いします
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語り部希望は>>1の【受付スレ:したらば】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

183 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:48:49.51 ID:iVpQyD8K0.net
『観葉植物の話』

あるとき、父と母と私、家族3人で近所の大型スーパーに行った。
ちょうどなにかのキャンペーンをやっていて、1人1つずつ観葉植物がもらえた。
3人それぞれの分として、リビングの日当たりのよいスペースに並べて置いた。

1週間後に母が倒れ、まもなく死んだ。
持病もなかった母との、突然すぎる別れだった。
時を同じくして、母の植物は枯れた。
母が倒れる直前まで青々としていた葉っぱが、見る見るうちに枯れた。

それからしばらく経ち、今度は父の植物に元気がなくなってきた。
やがて、父から打ち明け話をされた。
交際している女性がいるという。
父は家族ではなくなった。
父の植物も、すぐに枯れた。

家族がいなくなるたびに、家族でもらった観葉植物は消えていく。
それとも、自分自身が他のもののエネルギーを吸い取ってしまっていたのだろうか。
悪いオーラのようなものを、自分の周囲にまき散らしてしまっていたのだろうか。
1つだけ残った私の観葉植物は、部屋の片隅でぽつんとしながらも、今でも不自然なほどに元気で成長を続けている。

【了】

184 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:51:37.28 ID:Dh7XLcnW0.net
9本目の蝋燭が消えました・・・
いそべ ◆8JXCKM3oNw さん、ありがとうございました

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酒カス ◆H5txFPpUg2 さん、第60話をお願いします
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185 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:52:44.93 ID:Dh7XLcnW0.net
5が次元の彼方に飛んでいました
59本目の蝋燭が消えたところでございます

186 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:53:23.33 ID:iVpQyD8K0.net
【第60話】 酒カス ◆H5txFPpUg2 様
『東京オフ』

2chの心霊スポットオフで心霊スポットへ凸した時の話。
その日は都内で待ち合わせして現地へ向かったんだけど、ひとり待ち合わせ時間に間に合わないのがいて、先に
出ちゃったんだ。一応、遅れたヤツには待てないので出発することを捨アドで伝えました。
1箇所目、2箇所目ってスポットを回っていた時に、その遅れたヤツからメールがきたんですね、
「現地待ち合わせしたいです。」とか「次は何処にいきますか?」って。
最初は断りの返信をしてたんだけど、こっちは車で相手は電車だから到底スポットで待ち合わせすることが難しいの。
もう終電の時間も過ぎてたしね。釣りだろうなってことで返信するのはやめました。

深夜3時に千葉最恐の東金の○○廃ホテルに憑き、俺はユーストで配信始めてぐるぐる回り始めたんだけど、
2階にいる時に何人か女性の声聞いたりとか1階の時は2階で足音が聞こえたりとか。
配信見てた人からは女性の声が聞こえる、配信してる人の隣に霊らしき者いないかってコメントが入ってきて。
俺もビビりながら前後左右確認したんだけど、まったくわからず。動画にも何も写ってないようだった。

同行者には話してないんだけど、廃ホテルを出た後に携帯をチェックしたら捨アドにメールが10件ほどきていた。
遅れたヤツからのメールだった。全部は確認しなかったのだが3時頃からの3メールくらい確認したら、
「○○廃ホテルに着きました。もう中にいますか?」
「今、あなたの隣にいます。」
「早く気づいてください。」とかって内容だったんでびっくりしちゃって。
2chスレでもユーストでも凸時は通報対策でスポット名伏せてたから遅れたヤツが○○廃ホテルに俺達がいることって
わかるはずないんだよね。
配信中に俺の横にいた霊らしき者ってその遅れたヤツだったのかな。俺、霊とメールのやり取りしてたってこと?
気持ち悪かったんで使ってた捨アドのアプリは削除したよ。

【了】

187 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 00:54:18.40 ID:Dh7XLcnW0.net
60本目の蝋燭が消えました・・・
酒カス ◆H5txFPpUg2 さん、ありがとうございました

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ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、第61話をお願いします
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188 :ぬこ ◆RMw3.cMGUE @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:00:19.83 ID:UA2hn1p9I.net
【第61話】『飛ぶもの』
これは私が唯一体験した不思議な出来事。
今から5年ほど前の早春の黄昏時、私は自転車をひきながらトボトボと家路をたどっていた。
時刻は5時半ごろだっただろうか。あたりは薄暗く大気もひんやりと冷たかった。
ふと空をみあげると白い光点が空を飛んでいるのがみえた。一瞬、飛行機かな?と思ったがよくみると動きがおかしかった。
その光点は左右にふらふらと移動しながら飛ぶという奇妙な動きをしていた。
それは東の空から西の空へと飛んでいきやがて私の視界から消えていった。
あの光は何だったのか、あれから5年たつが今でもわからない。
【了】

189 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:01:25.37 ID:Dh7XLcnW0.net
61本目の蝋燭が消えました・・・
ぬこ ◆RMw3.cMGUE さん、ありがとうございました


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UTF16 ◆IIYCd0pMW6 さん、第62話をお願いします
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190 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:02:09.34 ID:bIEXoD6G0.net
【第六十二話】UTF16 ◆IIYCd0pMW6様

『作業現場』
(1/6)

派遣現場で一緒に仕事をしていた中尾君から聞いた話。
以前、中尾君は某個人商店のプ
ログラム作成を担当していた。
開発作業場所に提供されたのは、商店裏庭の二階建て倉庫の二階の、六畳程の狭い部屋だった。
そこにリーダー、設計者、プログラマー、テスト担当者、
といつも6、7人の20代から30代の男性ばかりがひしめいて作業していたという。
プログラムの多くは自社ですでに作成されていたが、
それを本番環境に乗せて調整するのに手間取り、本番稼動日を目前に毎日終電帰りを余儀なくされていた。
本当なら徹夜の突貫作業をして遅れを取り戻したいところだったが、その現場では出来なかった。
その現場は半端なく<出る>ところだったので。
商店のオーナーたちもその事はよくわかっており、
「そこにはあまり遅くまでいない方がいいよ。徹夜作業をするのはいいけど、何かあってもうちは知らないから」
とはっきりと釘を刺されていた。
商店のオーナーや家族たちも、同じ裏庭の敷地に建てられた家や店舗の二階に住んでいたが、
そこでは妙な事は起こっていない様だった。
作業場所に提供された倉庫というのは古い、木造モルタル建ての建物で、元々は倉庫として建てられたものではなく、
普通の住まいとして建てられたらしい家だった。
実際、建物のあちこちには生活臭のあるテーブルや箪笥や本棚や子供の玩具や、
オークションに出せばレトロ品として売れそうな古いテレビやラジオが乱雑に置かれており、
箪笥の引き出しには、埃まみれになって変色した衣類がきちんと畳んで詰まったままになっていたという。

191 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:03:06.62 ID:bIEXoD6G0.net
(2/6)

そういった物を隅に押しやって、商店のイベントの看板や景品の残りや、
もう使わない様なものがまた乱雑に積み上げられているだけの、倉庫とは名ばかりのガラクタ置場の様なところだった。
「酷いでしょ。そんなとこで作業させるのって。もちろん本番稼動でパソコンやプリンター置くのはお店の事務所なんですけど。
 その事務所が狭くて僕たちが座る場所が無くって、準備作業はボロ倉庫でやる事になったんです。
 作業してたのがまた真夏の暑い時期で。
 クーラーはとりあえずありましたけど、これまた年代物の古ーい、昼間はほとんど冷えない様なボロで。
 狭い部屋に野郎ばっかりひしめいて、汗ダラダラかきながらプログラム作ってたんですよ。それで痩せましたもん、僕」
と中尾君はブツブツ言っていた。
「で、そこで毎日同じ時間の頃に見られたのがね」
中尾君たちが作業していた部屋には、高さ1メートル80センチ、幅1メートル程のスチール製の本棚があり、
棚にはプログラム仕様書の分厚いファイルや環境設定マニュアル本などがぎっしりと並べられていた。
それが夜の8時くらいになると

ドッスンドッスン
ガタガタグラグラ

とひとりでに、派手に動くのだという。
「百キロニ百キロのもんですよ。それが勝手にガタガタ音をたてて動くんです。それも縦揺れ横揺れ斜め揺れ入り乱れて。
 みんなの見てる前で。やかましいわそのたんびに本が落ちて散らばるわ。
 初めはびっくりしましたけど、しばらくしたら慣れちゃって。時間になったらコンビニで買ってきた弁当食べながら
 『そろそろはじまるぞ……ほれ、はじまった』
 ってみんなで見物する様になっちゃいました。


 中にはカリカリきて『うるせー!やめろ!』とか『散らかるだろ』とか言って
 棚が動いてる前で本を拾った奴もいましたけど、他には何も起きませんでした」
また、怪異はこれだけではないらしく
「これも決まった時間なんですけどね」
と中尾君は続けた。

192 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:04:33.85 ID:bIEXoD6G0.net
(3/6)

「倉庫の裏には細い路地があって、その向こうにはよその家が建ってて、路地と倉庫の間は生け垣になってるんですけどね。
 夜中の11時を過ぎると、そこの路地を下駄でカラコロ歩く奴がいるんです。
 ただ歩いて通り過ぎるんじゃなくて、僕たちがいる倉庫のあたりを何度も何度もずーっと行き来し続けるんですよ」
 路地は舗装されていない土が剥き出しの道で、昼間でも通る者はほとんどいない。
 夜中であたりが静かだとはいえ、地面が土なのだから下駄の音もそんなに聞こえるわけでもなさそうなのにやけに響き、
 うるさいなぁ、と窓を開けてみると誰もいない。窓を開ける直前まで、そのカラコロという音は路地から聞こえていたのだが。
「僕は電車通勤だったらその時刻まではあんまりいなかったんですけど。でも何回か聞きましたよ。
 はじめはね、僕たちが遅くまで部屋の明かりを付けて作業してるから、
 近所の人が何か文句を言いたくて来てるのかと思ってたんです。でも、窓を開けてもいつも誰もいないし。
 で、いつだったか僕が帰った後に、作業してた奴の一人がいきなり窓を開けて
 『うるさいッ!』
 って怒鳴った事があったらしくて。そしたら」
窓を開けた時にはやはり路地には誰もいなかったが、しばらくすると、自分たちがいる二階の部屋の窓の真下の、一階の壁が

ドンドンドンドン!

ともの凄い勢いで叩かれたという。
その音に部屋にいた者たちは顔を見合わせて
「怒ったぞ」
「あ、あんな事言うから」
などと言ったが、もう後の祭である。そう言っている間にも、元々ボロ屋の倉庫の壁が砕けそうな勢いで壁を叩く音は続いている。
音は深夜のご近所に鳴り響いており、
騒ぎを聞きつけた商店のオーナーたちが来てくれないかな、などとも思ったがその様子は無さそうだった。

どうしよう、とみなで顔を見合わせ、いい歳をした男たちがおびえまくるものの音は依然として鳴りやまず、
揃って青い顔をしているとやがて壁を叩く音がふっと止み、代わりに

ガリッ

と、壁を引っ掻く様な音が聞こえてきた。

193 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:05:51.33 ID:bIEXoD6G0.net
(4/6)

それに
(何だ?)
とまたも顔を見合わせていると

ガリッ、ガリッ、ガリッ……
と。その音はどうやら近づいて来ている様だった。
一階から、自分たちがいる部屋の窓へと壁を這い上って。
(……!)
みなは目を見開け、いいっと歯を食いしばった表情でお互いの顔を、そして音が近づいて来る窓を一心に見つめた。
と、次の瞬間、路地に向かってうるさいッ!と怒鳴った同僚が部屋にあった電気ポットを持ち上げ、蓋を開けると、
窓の外を見ないように顔をそむけたままいきなり窓をガラッと開けて
ポットの熱湯を窓の真下にぶちまけた。

音はパタリと止んだ。

窓の外には何もおらず、同僚は顔をそむけたまますぐに窓をピシャリと閉めた。部屋にはポットを持ったままの同僚の、
荒い息だけが響いた。
その夜はさすがに作業を切り上げ、みなで逃げ出したという。
それからも路地での足音は変わらず毎日聞こえたらしいが、もう誰も相手にはしなくなった。

「他にもホンットに色々あったんですけどね。物はよく無くなったし。確かにそこにあったのに、
 ちょっと目を離したら無くなっててとんでもないとこに移動してるとか。作業してたら肩を叩かれたとか。
 トイレで用を足してたら後ろから押されたりとか。
 一階の玄関の扉が開いて誰かが入ってくる音とか、階段を上ってくる足音がして、
 僕たちが作業してる部屋のあたりまで来るんだけど、見てみたら誰もいないとか。
 一階には誰もいないはずなのに誰かがドタバタする音がしたり、子供の声がしたり。本当にキリがないとこでしたよ。
 どこから持ち出したのか知らないけど、僕たちが帰ろうとしたら玄関のたたきのところに、
 でかい洋服箪笥が斜めに突っ込んであったり。そんな事商店のオーナーたちはやらないし、何人かでないと出来ないし、
 でもそんな物音は全然しなかったし。で、リーダーと、他の何人かはね……」

194 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:07:02.20 ID:bIEXoD6G0.net
(5/6)

倉庫の戸締まりは、商店側から予備の鍵を渡され、中尾君たちが行っていた。
ある日も午前0時近くまで作業をして、現場リーダーと2、3人の者が戸締まりをして最後に玄関を施錠して帰ろうとした。
玄関の戸はやはり時間が止まったままの様な、真横にガラガラとスライドさせて開閉する古びた木とガラスの引き戸で、
現場から出る時は玄関の明かりも消してしまうので真っ暗になり、
鍵をかける時は鍵穴のあたりを懐中電灯やペンライトで照らしていた。その日も
「ほいリーダー、見えますかぁ?」
「お、さんきゅ」
と手元を照らしてもらいリーダーが鍵をかけていると、ガラス戸に映る、同僚が照らしてくれている明かりの輪が、何か
ぼわん
といきなり大きくなった。
が、リーダーは気にせず、そのまま鍵を鍵穴から抜き取って振り向いた。そして
「じゃ、帰りま……」
と言っている同僚たちの後ろに
大きな白い光の球が、こちらへと向かって飛んで来るのが見えた。
「う、うわわわわわ!」
それを見てリーダーがわけのわからない声をあげると、同僚たちも振り向き、すぐに気付いて
「げっ!」
「ぎゃっ!」
などと悲鳴をあげてそれぞれに逃げ出した。
リーダーもすぐに逃げようとしたが、その時まだ、玄関の施錠確認をしていない事を何故か思い出し、
この非常事態だというのに、ガラス戸の鍵がちゃんとかかっているかどうか後ろ手で戸をガタガタと動かして確認……
しているすぐ真横を1メートルはありそうな巨大な、しかも車のヘッドライトの様に強烈な白い発光体が
ガラス戸を突き抜けて、建物の中へと入って行った。
光の球の中には何か人影の様なものも見えたが、そんな事はどうでもよかった。
リーダーは大きな発光体を目の前で見ながら施錠を確認し、飛んで逃げた。
「もし施錠し忘れてたら、責任問題だろうが。俺の立場としてはそっちの方が怖いから。幽霊よりも」
と後にリーダーはぼやいていたという。

195 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:08:21.93 ID:bIEXoD6G0.net
(6/6)

「結局なんとか納品できましたけどね。まずはメインの部分だけ。
 でも本番に乗せてからも普通なら考えられないバグやエラーが出まくるし、ディスクも何度か飛ぶしプリンターも何台か壊れるし。
 買ってきたばかりの新品のケーブルがどういうわけか壊れてるとか、マウスの中のボールがいつの間にか割れてるとか。
 もうお手上げでしたよ。僕は本番が動きだしてから他の現場の担当になりましたけど。
 ホント、あらゆる意味でとにかく早く逃げ出したかったです」
その商店は今も営業しており、裏庭の倉庫もまだあるという。

倉庫についてのいわくは
<聞くな>
と会社から命令されていたので、わからずじまいだそうだ。


【終わり】

196 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:08:57.27 ID:ixm8gm6D0.net
62本目の蝋燭が消えました・・・
UTF16 ◆IIYCd0pMW6さん、ありがとうございました


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ら年 ◆9w6FQlB7l1rE さん、第63話をお願いします
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197 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:10:32.34 ID:bIEXoD6G0.net
【第63話】 ら年 ◆9w6FQlB7l1rE 様
『先輩が一人旅でしばらく滞在した某地方で、夜中に鬼ごっこなどした話。』

(1/5)

先輩が一人旅でしばらく滞在した某地方で、夜中に鬼ごっこなどした話。

先輩は宿代を浮かそうとして、山村の掘建て小屋のようなもんを安く借りた。
小屋にガスと風呂はなかったが、電気も水道もあり、トイレは水洗だし、
寝具一式には新しいカバーをかけてあったので、先輩は全く不満はなかった。
到着は夜で、小屋から少し離れた所につくねんと電灯が灯っていた。
ぽつぽつと民家があるようだったが、他に灯りは見えず、ほぼ真っ暗で寂しいところだ。
先輩は早々に布団に潜りこんだ。季節は春、しかし山の夜はやはり寒かった。

最初の晩はそうして過ぎた。

198 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:11:47.62 ID:bIEXoD6G0.net
(2/5)

翌朝、先輩は小屋を出ると、起伏の多い道を歩いて少し山を下り、バス停へ向かった。
人影はない。しかし明るくなってみると、辺りは昨夜とは見違えるような印象だった。
民家はまばらだが、どの家にも美しい生け垣があり、所々鮮やかな花の色がこぼれていた。
それらを新緑が大きく包むような、いかにものどかな山村の風景だ。
やがて路線バスが来て、先輩はそれに乗って観光に出かけた。

そして晩に小屋に戻り、隅に布団を敷いて寝ようとすると…

「おおおおおぉぉお」

奇妙な音が鳴り響いた。
電気も消して寝る寸前だった先輩は、布団の中で飛び上がった。
サイレンや警報などではない。しかし何かが、小屋の外で音を立てている。
「おおおおぉおおぉお」「ぉおおおぉおおぉぉぉ」
少なくとも人間の声とは思えなかったと言う。人間だったら逆に怖い。

…が、割と図太い先輩は、疲れて眠い!という理由で、そのまま寝ることにした。
しばらくの間その音は続いたが、先輩は布団をかぶって無視して眠った。

二日目の晩はそうして過ぎた。

199 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:13:07.33 ID:bIEXoD6G0.net
(3/5)

翌日、先輩は温泉巡りに出かけ、晩に戻って来て寝ようとすると、また、
「ぉおおおぉおおお」
…野犬か、何か獣の吠え声か?脅かしてやるから逃げてくれ。
先輩はそう願って、声のする方の窓を勢いよくガラッと開けた。

何もいなかった。
しかし、
「ぉおぉおぉおぉおおぉおおおぉおお」
声は近くから聞こえ、一層大きく響いた。
小屋にあった懐中電灯で窓の外を照らしてみたが、木々と茂みの他は何も見えない。
イタズラか?ムカッと来た先輩は後先考えずに、懐中電灯片手に表に飛び出した。
「おおぉおお」「おおぉおおお」「おぉぉおお」「ぉぉおおおおぉおお」
姿は見えないが、声はさらにけたたましくなった。
数歩近付くと、何かがすっと下がる気配がした、「ぉぉぉお」
数歩退くと、今度はすっと寄って来る気配だ、「おぉおぉお」
何なんだこいつ!?と、先輩は小屋の周りをぐるぐる回って追っかけたが、
向こうは付かず離れずの距離を保ち続け、それ以上近付くことは出来なかった。

結局正体はわからず、小屋から離れるのもさすがに怖かったので、
いい加減あきらめて、戸締まりして布団かぶって寝ることにした。
窓の外ではおぉおぉがしばらく聞こえていた。

三日目の晩はそうして過ぎた。

四日目の早朝、
「…ぉぉ…ぉぉぉ…ぉ…」
そんな、遠くから聞こえるような音を耳にして、目が覚めたそうだ。
しかしこれは夢だかどうだかわからない、と先輩は言う。

200 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:14:24.67 ID:bIEXoD6G0.net
(4/5)

そしてその四日目の晩、電気を消して寝ようとすると、待ち構えたかのように、
「おおおおおおおおお」
「おぉおおおぉおおおおおおおお」
またか、うるさい。先輩はうんざりして、もう起きるのもめんどくさかったので、
横になったまま思いっきり壁ドンした。
ドンドンドンドン。
「おおおおおおおお」
ドンドンドンドン。
壁を叩き続けるうち、妙な事に、壁ドンとおぉおぉが交互に続く、
という、掛け合いのような展開になっていった。

ドンドン。
「おおおお」
ドンドンドン。
「おおおおおお」
ドン。
「おお」
ドッ。
「おぉ」
ド。
「お」
トトトト。
「ぉぉぉぉ」
ト。
「ぉ」
…。
「…」

…四日目の晩はそうして静まった。

201 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:22:47.32 ID:JeOcyvlKi.net
(5/5)

そして五日目の晩からは、何の物音にも悩まされず、寝る事が出来たそうな。
他に怪異に遭遇する事もなく、先輩は無事滞在先から帰って来た。

「アレが動物か何かわからないが、多分かまって欲しかったんだと思う」
と先輩は言う。
 アレ は、相手をしてもらえたので、満足して去ったのだろうか?…
また先輩は「最終的に、壁叩いてる時、俺もちょっと面白かった」とも言った。

そんな先輩は後にバンドを組んで、ドラムを叩くようになり、
今も趣味のセッションを楽しんでいるそうだ。

【了】

202 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:23:24.15 ID:ixm8gm6D0.net
63本目の蝋燭が消えました・・・
ら年 ◆9w6FQlB7l1rEさん、ありがとうございました


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ガタロー ◆l7Mb16VB82 さん、第64話をお願いします
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203 :ガタロー ◆l7Mb16VB82 @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:23:50.38 ID:5HvraHkU0.net
【第六十四話】『奇妙なオジサン』

幼少の頃、奇妙なオジサンと遊んでいた
俺が3歳か4歳くらいの頃だったと思う。両親は自営業で自宅の隣に店を出して働いていた。
まあすぐに行き来できるから俺が自宅の部屋に一人で遊んでることもよくあった
その時に現れるのがそのオジサン。うろ覚えだが憶えてる限り書くと、現れる時はいつも押入れから出てくる。
そのオジサンは常に四つん這いで動く、そしてそれ以上に奇妙なのは首が180度上を向いてて背中から上を見る状態でいる事。
俺は最初怖くて泣き叫んでたが、オジサンは普通にやさしく接してくれてすぐに慣れて一緒に遊んでくれた。
そしていなくなる時は突然に、毎回いつの間にか消えていた。だがその時は不思議とそんなものだと俺は思っていた。
オジサンについては、名前は聞いたけど忘れた。首は怪我して立てなくなってこんな状態らしい。
そのオジサンの事を親に話ても仕事が忙しい事やいい加減な性格であまり真剣に聞いてくれなかった。
オジサンと一緒に居る時はおもちゃで遊んだり、話をしたりした。お菓子はあげたけど俺が食べなと言って食う事は無かった。
話については、どこどこの誰が生まれた、誰が死んだってのが多かったが、子供だったのでそれが誰なのかは全く分からなかった
ただ、夕飯とかで両親が話し込んでる時に聞く名前もあったので実在の人物なのだろうとは思った。
結局そのオジサンは1ヶ月もしないうちに仕事で遠くに行く、また会えるかもなと言って握手してくれた後
初めてトイレに行くと言ってトイレに入ってそれっきり。トイレを開けてもそこには誰もいなかった。
それが子供の作り出した幻覚なのか、家々を行き来する座敷童や疫病神の類なのかは分からない。
この間飲み屋で隣の客が似たようなオジサンの話をしてて何故か今の今まで忘れててイキナリ思い出した話

【終】

204 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:24:43.15 ID:ixm8gm6D0.net
64本目の蝋燭が消えました・・・
ガタロー ◆l7Mb16VB82さん、ありがとうございました


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、第65話をお願いします
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205 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:28:22.28 ID:JeOcyvlKi.net
【第65話】 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM様
『挨拶』


知り合いの話。

彼女は山菜を採るため、近場の山へちょくちょくと出掛けている。
途中にいつも腰を下ろして休憩している石があるのだが、そこで休んでいると
「やぁこんにちは。今朝も元気そうですね」
決まってそう挨拶をしてくる何者かがいるのだと。
しかし、周りには人っ子一人見えない。

彼女はいつものように
「はい、こんにちは。そちらも元気そうですねぇ」
と何もいない空中に挨拶を返してから、山の奥へ向かうのだそうだ。

声の主については、彼女は特に気にしていないという。
「姿が見えないのはアレだけど、声の調子からすると、悪いモノじゃないよぉ」
そう言って笑っていた。

【了】

206 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:28:55.23 ID:ixm8gm6D0.net
65本目の蝋燭が消えました・・・
雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、ありがとうございました


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ころげっと ◆8Tb0.jWhUc さん、第66話をお願いします
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207 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:30:55.47 ID:2cZ/9YcqO.net


208 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:34:42.43 ID:JeOcyvlKi.net
【第66話】 ころげっと ◆8Tb0.jWhUc 様
『守護するもの』

(1/5)
これは昨年の冬も近いころ、私自身に起きた出来事です。
酒の席での恥のため顰蹙を買いそうですが、お話しします。
酒嫌いの方には、あらかじめ謝ります。ごめんなさい。

会社で仲の良い後輩が、同じ会社の長年片思いしていた男性に告白したところ、ふられて失恋。
落ち込んでいる彼女を放っておけず、ちょうど私自身も仕事でストレスがあり、
お互い酒好き同士だったため、翌日仕事が休みの日を選び、さしで飲む事にしました。
とはいえ、奥手で恋愛に疎い私。
良いアドバイスも出来ず、うまい励ましの言葉も出ず、ひたすら思いのたけを聞くしか出来ません。
注いで注がれるまま、ちゃんぽんで飲み続けました。
最後には、お店の人にストップをかけられるぐらいで。
お互い帰りは逆方向だったため、後輩とは店の外で別れました。

別れてすぐ、マズイと思いました。
後輩の前では自制心が働き平気だったのですが、一人になった途端に酔いが回って来たのです。
とにかく家に帰らなくては。一刻も早く家に帰って休みたい。
帰巣本能というのでしょうか。私の頭にあったのは、その一心。

209 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:35:28.29 ID:JeOcyvlKi.net
(2/5)
二つ上の兄と住むマンションは、幸い、電車で一本のところです。
座れたのと、車内は明るく、人も乗っていたため、なんとか正気を保ち、最寄り駅で下車。
十五分の道のりを歩いて帰る自信はありませんでしたが、
遅くに兄に迎えに来てもらうのも気が引けましたし、
こんな状態では、口の悪い兄の事ですから、何を言われるかわかりません。
それに、兄の到着を待っている間に倒れ込んでしまう予感もあり、一人で歩いて帰ろうと決心しました。
とはいえ、ひょっとすると、兄は帰りの遅い私を心配してくれているかもしれない。
だとしたら、メールぐらい出そうかと携帯電話を取り出すべく、バッグをあさりました。
しかし、どこへしまったのか、携帯が見つかりません。
探すのもめんどうになり、連絡するのを諦めた瞬間、
なぜか、ここから記憶がすっぽりと抜け落ちています。

次にある記憶は、自宅の便器にしがみついているところです。
誰かが背中を強くさすっています。
「吐けよ。吐かないと死ぬぞ。お前、死にたいのかよ。俺、この年で、お前の葬式出すの嫌だからな」
遠くから聞こえる兄の声。
という事は、自力で帰れたのでしょう。
その日、私の着ていた服は、一目ぼれして買ったばかりのウールのワンピースでした。
やだ、お兄ちゃん、強くさすらないでよ。ワンピースが毛羽立っちゃうじゃん。
なんて、緊張感なく考えていた覚えがあります。
やかんの口の先を突っ込まれ、ひたすら水をがぶ飲みさせられました。
「飲んで全部吐き出せ」
「いやだ! 苦しいよう。コン、コンッ」
息苦しくて咳きこみ、ここで、また記憶が飛びます。

210 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:36:10.85 ID:JeOcyvlKi.net
(3/5)
その次の記憶は、ベッドの中です。
すでに外はすっかり明るく、時計を見ると十三時を過ぎていました。
例のワンピースを着たままです。
頭がガンガンし、胸もムカムカします。当然ながら、二日酔いです。
なぜか、顔がヒリヒリしていました。鏡を見ると、うっすらと赤いすり傷が数本出来ています。
兄は仕事に出かけており、家には私一人。
キッチンのテーブルに、一本のリ○ビタンDが置かれていました。傍には兄の手書きのメモが。
「これでも飲んでゆっくり休め。疲れているんだろう。たまには休めよ」
兄はろくに寝ずに仕事に出かけたんだろうと思うと、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

痛む頭を取り替えたいと、ベッドの上でのたうち回っていたら、自宅の電話が鳴りました。
兄からでした。
「そろそろ起きる頃じゃないかと思って。大丈夫か、生きているか?」
「うん、だいじょぶ。頭、痛いけど。気持ちも悪いけど」
「お前、ほんとバカだなあ」
「うん」
いつもなら言い返すのですが、大人しくうなづきました。
「今夜はメシ作らなくていいぞ。なんか適当に買ってくから」
「うん、分かった。ありがと」
「やけに素直で気持ち悪いな。昨日は本当にビビったぜ。お前が死ぬんじゃないかと思って。
吐けっつっても、なかなか吐こうとしないし。こいつ、死にたがってるんじゃないかって。
なーに、俺よりいい男が見つからないからって、人生、悲観する事はないぜ」
「バッカじゃないの」
「あはははっ。元気が出てきたな。安心したぜ。
そういや、昨日のメール、あれ、何だよ。マジでビビった。こいつ、とうとう気が変になったって」
「メール? 何の事?」
「あの、訳わかんないやつだよ。お陰でウトウトしてたのに飛び起きたわ。そんで、慌てて迎えに行ったんだ。
タバコ屋の前の生垣に頭突っ込んで倒れてて。叩き起こしたら、いきなりすごい咳きこむの。コンコンって。
まあ、いいや、横になれ。今日は、俺、早く帰るから。帰ったら、土下座して感謝しろよ」
立っているのもやっとだったため、これ幸いと、すぐにベッドに戻りかけましたが、兄の言葉が気にかかります。

211 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:37:10.74 ID:JeOcyvlKi.net
(4/5)

携帯のメールを見ようと、バッグの中の携帯を探し始めました。が、ありません。
ワンピースも探しましたが、飾り用のポケットがあるだけで本物はついていませんから、当然ありません。
家の中? 自宅電話を使って鳴らしても反応なし。
ひょっとして、歩きながらカバンをゴソゴソやった時、落としてしまったんじゃないか。
駅までの道を歩きましたが、落ちていません。
駅前交番、駅の事務室にも確認しましたが、ダメでした。
タバコ屋前で倒れている時に、カバンから盗まれた?

半泣きで家に戻り、玄関のカギを開けようとしていると、またもや家の電話の鳴る音が。
靴を脱ぎ捨て、急いで出れば、聞き覚えのない爽やかな男性の声。
「携帯電話を忘れておられませんか?」
昨晩飲んだ居酒屋の店員さんでした。
私たちが店を出てすぐ、テーブルに携帯が置き忘れられているのに気が付き、
追いかけたものの、すでに姿は見当たらなかったそうです。
二日酔いもすっかり吹き飛び、居酒屋へ急ぎました。
応対してくれたのは、電話で話した男性。拾ってくれたのも彼でした。
何度も何度も頭を下げて、携帯を受け取りました。
「すぐにご連絡すればよかったんですが、片付けやらなんやらで忙しくて、
俺もだけど、皆、忘れちゃってたんですよ。で、今日仕事来て思い出して。すみませんでした」
謝るのはこちらの方だと伝え、丁重にお礼を言って、店を出ました。

212 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:39:19.39 ID:JeOcyvlKi.net
(5/5)
さっそく、兄への送信メールを見てみました。
そこに書かれていた文章を読み、わさわさわさっと全身に鳥肌が立ちました。
書かれていたのは、こうでした。
「ヤバイじゃん今またいやばい! シヌカ」

支離滅裂な言葉の羅列。
酔っぱらって書いたのかと思いましたが、送信時刻と状況から考えて、私が書いたものではありません。
だとしたら、誰が?
ふと、中学生の時、友人とやったコックリさんで、守護霊を尋ねてみたのを思い出しました。
十円玉が動いた先の文字は、「シ、ロ、イ、キ、ツ、ネ」でした。
確かに実家の裏には神社があり、白狐が祀られていました。
兄や友達と遊ぶ約束をしていない日は、一人でその境内で遊んでいました。
一人でも不思議と怖くありませんでした。

これが、私の経験した守護霊は本当にいるのかもと思った出来事です。
こんなダメ人間でも助けてくれるなんて、ありがたい事です。

それはそうと、完全なる余談ですが、後日、お礼を兼ねて、あの居酒屋に客として訪れました。
もちろん、今度は節度を保って飲みました。
そして、あの爽やか店員さんと親しくなりたいと、守護霊にお願いしてみたのですが、
何も起こりませんでした。
それぐらい、自分で何とかしろよって事なんでしょうね。

【了】

213 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:40:21.18 ID:ixm8gm6D0.net
66本目の蝋燭が消えました・・・
ころげっと ◆8Tb0.jWhUcさん、ありがとうございました


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かーん ◆UiIW3kGSB さん、第67話をお願いします
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214 :かーん ◆UiIW3kGSB. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:41:05.41 ID:NhStOnDC0.net
【第六十七話】
『作り物の怪』
(1/2)

私が小学生の頃学年内で結構長い怪談・心霊ブームがきた。
放課後PC室に忍び込んで色々やらかしたのもこの頃の話である。
びっくり系のフラッシュや読んでも読んでもなくならない怖い話。
インターネットのおかげで私たちは実にたくさんの怪談やオカルトな知識を得ることが出来た。
いつの間にか読むだけ、見るだけで物足らなくなっていた私たちは自分達で実践する方向にシフトしていっていた。
こっくりさんやトイレの花子さんの呼び出し…みんなが持ち寄った情報を片っ端から実践していた。
しかし大抵は空振り。こっくりさんで少し不思議な体験をした程度だった。
いつの間にか実践からまた怖い話を集めることに熱を出した私たちはとんでもないことをしてしまう。
始めは学校のすぐそばにある児童館に併設された三角公園で遊んでいた男の子が事故死して彷徨っている…
という実際にそんな事があれば怪談として伝わる前に学校から注意喚起が広がるようないかにも創作といった話でした。
それではつまらないと私たちは「アレンジ」を加えてしまったのです。

この話を聞いた人は一週間以内に7人にこの話をしないと男の子が足を奪いにくる

この一文を言うだけでみんなの反応は180度変わってくる。このニセ怪談は瞬く間に学校中に広がっていた。
私たちはその結果に大いに満足していたのだが次第におかしな展開に広がっていった。

「この話をきいたAちゃん、信じてなくて7人に言わなかったから骨折したんだって」
「B君は3人からその話を聞いたから21人にその話しなくちゃいけなくなって怖くて学校休んじゃったよ」
7人に言わなくたって男の子は来ない。だって私たちが付け足したものだから。
それなのにだんだんと足に不調を抱えた子が増え始めたのだ。
校庭で鬼ごっこをしていて転んでしまったのも怪談で足を挫いたのもすべてその男の子の仕業となっていた。
こうなってしまっては嘘が嘘でなくなってしまう。
そこで素直に全てを白状すれば良かったもののまた余計な事になってしまったのだ。

215 :かーん ◆UiIW3kGSB. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:43:10.13 ID:NhStOnDC0.net
(2/2)

一週間以内に言えなくても三角公園を三周すれば呪いは解ける

それを人伝に聞いた時には流石に信じる人はいないだろうと笑ってしまったのだが
暫くの間それほど広くない三角公園は小学生でいっぱいになっていた。
そして三角公園を三周しない私を一緒に「アレンジ」をした友人までもが心配をし始める。
そうなるとなんだか私も右足が痛い気がしてくるのだ。
それまでそんなデタラメと切り捨てていた子まで足を掴まれたなんて言い出して
まだノロイをといていない子がみんなから責められるおかしなことになっていた。
しかし偽物のノロイに屈するのは負けた気がして意地でも三角公園には行かないと決めていた。

結果を言うと、私はノロイに勝てず、
運動会の組体操中、ピラミッドのいちばん上に上がる最中に逆側から崩れ私は足をひどく捻挫した。
それでも行かない私の代わりにみんなが三角公園を三周し無事ノロイは解けたようだが改めて怪談の力を思い知ったのだった。
小学生のトンデモ理論と怪談は抜群に相性が良いようだ。

【了】

216 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:43:43.48 ID:ixm8gm6D0.net
67本目の蝋燭が消えました・・・
かーん ◆UiIW3kGSBさん、ありがとうございました


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りほ ◆aZ4fR7hJwM さん、第68話をお願いします
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217 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:45:48.72 ID:JeOcyvlKi.net
【第68話】 りほ ◆aZ4fR7hJwM 様
『群生轢死』
(1/3)

不思議系の話を一つ。
確か小学生になったばかり位の頃。
当時の記憶なんてほとんど薄れてしまっているが、一つ強烈に焼き付いているものがある。

夏の時期だった。
今は亡き祖父と共に山へ行き、祖父は畑仕事、俺はその間辺りを探検という名の散歩をしていた。
アスファルトで舗装された細い道路を川へと向かう。
多種多様な生き物が数多く住まう山の中、道路上には色々な生き物の轢死体がポツポツと散らばり蟻の餌となっていた。
毛虫の死体を見つけては気持ち悪がり、クワガタ、カブトなら勿体無いと悔しがり、蛇を見ればスゲえ!と声をあげつつ
進む中、ふと先を見ると今まで灰色だった道路がとある区間だけまるで枯葉を散りばめた様な色となっていた。
範囲としては30〜50mてとこだろうか…
あそこだけどうして?と気になり走って向かったところ、近づくにつれそれの正体が分かった。

バッタだ。
トノサマ、ショウリョウ、イナゴ、オンブ、キリギリスにウマオイetc
大小種類様々なバッタの轢死体が一面隙間なく広がり、更にその上をもぞもぞと生きてるバッタ達が蠢いていた。
童心にも異様と感じれる光景に呆気にとられてる最中、1台の車が通過していったのだが、バッタ達はジャンプして逃げ
る事もなくただプチプチと潰され、道路に新たな模様を刻み続けていた。

道の脇は草むらなのになんでそっちに逃げないんだろう?
草むらに行きたくないのかな…そうだ!きっとこの草むらにはカマキリが沢山いてそれでバッタが怖がって行きたがら
ないんだ!

何故かその光景を見た時にバッタ達が草むらを恐れ、道路に逃げ出しているという確信があった為、バッタが怖がる=天敵
がいる=カマキリというアホな方程式が組み上がり、嬉々として藪の様な草むらに飛び込み、夢中で探し回ったのだが、
そんな思惑も虚しく結局見つける事はできなかった。
なんでいないんだ!と悔しがると同時にふと、違和感に気付いた。

218 :50@投稿代理 ◆4gJVpc7IX. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:46:46.61 ID:JeOcyvlKi.net
(2/3)

カマキリどころではない、草むらに生物の気配が全く無いのである。
本来夏山の草むらに飛び込もうものなら、小さな羽虫達が一斉に飛び立ち、逃げ惑うはずなのだが、それが一切無い
のである。

自分の知ってるものと違う生気の無い草むら、道路一面に広がるバッタの死骸と蠢く姿を思い出すと気持ち悪くなり
帰ろうと思ったのだが、気付けば大分深くまで来てしまったようだ。
一度道路まで出て戻ろうとしたが、そこはもうバッタ絨毯のど真ん中。
通るものなら死骸や生きてる奴らをブチブチ潰しながら歩かなくてはならない。
生物大好き少年と言えど、さすがにそれは気持ちが悪過ぎる…
諦めて草むら伝いに戻る事にしたのだが…おかしい。

草むらが長過ぎるのだ。夢中になっていたということを考慮しても本当にこんな歩いたのか?と疑問に感じる程で
あった。
周りを見渡したところで子供の背丈では鬱蒼と生い茂った草しか見えない。
おそらく自分が進んで来た軌跡であろう、かすかに沈んだ草の跡だけを頼りにひたすら進むのだが、永遠と続く様な
草むらにもしかして迷って帰れないんじゃないかと不安になる。
動揺と恐怖で泣き出しそうになっていると、突如目の前を小さなものが横切った。
思わず目をやりじっと見ると、どうやらそれは米粒程の小さなバッタのようだ。
自分以外に動く物を見つけた嬉しさに先の奇怪な光景や恐怖も忘れてバッタの方へと向う。
草むらの中で近づいては逃げられるという追いかけっこを繰り返えしていくうちに、突然周りからそのバッタ以外の
虫達が飛び上がった。

飛び交う虫達を見た途端、出られた!と直感し、そのまま道路まで出ると一目散に祖父のもとへ逃げ帰った。
祖父はなんの収穫もなしに走って帰って来たのを見て怪訝そうな顔をしていたが、先の話を伝えるとしばらく考えた後に
「きっと誰か薬でも撒いたんだな。それで虫どもは嫌がって道路に出てたんだろう。
それに帰りは登り道だし、怖い時や嫌な時ってのは時間が長く感じられるもんだ。
まぁ、体に薬がついたかもしれんから風呂に入るぞ」
と、言うと小屋に向かい、そのまま冷水で丸洗いされ、衣服は同上の理由により畑で燃やしていたのを覚えている。

219 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:49:24.85 ID:jSil/F2Bi.net
(3/3)

当時は祖父の説明で納得したものだが、周りの環境も理解できるようになり、改めて思い出すと様々な疑問が生じる。
あの道路周辺には所々に畑や田んぼがあり、周りに広がる恐れがある為、基本薬品類は撒かずに除草するにしても刈払い
機を使うのが常識となっている。
例外的に外来種の毛虫等、木々の被害が酷過ぎる時には使用することもあるが、その場合付近に薬品散布の目印を立てる
上、薬品が滴る様な散布直後の状態でもない限りは虫が全くいないという状況はない。
仮にとんでもない劇薬を撒いたのだとしたら植物にも影響はでるはずだ。
そもそもあんな放置された草むらにわざわざ手を入れる必要性もなければ、逆に手を入れるべき畑や田んぼは普段と変わ
らず生き物が湧いていた。
道路に蠢くバッタ達にしろ、あの区間のみに集約してただけで、その年に大量発生したということでもない。
そしてそれらの疑念は他でもない、祖父自身が一番に分かっていたはずだ。
子供の戯言と相手にしなかったのか、それとも他に何か理由があったのかは今となっては知る由もない。

その後も毎年夏に何度となく近辺を通る事があったが、同じような情景にあう事は無く、草むらも現在は整地され畑と
なってしまった。

だが、道路一面に広がりただ潰されていくだけのバッタ達、青々としているが生気を感じることのない草むら、そして
笑いながらも有無を言わせない強い力で小屋まで一直線に俺を引っ張っていく祖父の姿…

あの夏の思い出だけは20年近く経つ今でも鮮明に焼き付いている。

【了】

220 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:51:12.73 ID:ixm8gm6D0.net
68本目の蝋燭が消えました・・・
りほ ◆aZ4fR7hJwMさん、ありがとうございました


                      γ
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葛 ◆.zethFtqnU さん、第69話をお願いします
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221 :◆.zethFtqnU @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:52:03.78 ID:4Bnkoi68O.net
トラック-1/2

ちょっとした小旅行も兼ねて、一泊の予定で片道5時間かけて友達のところに遊びに行った
……というのに、急遽予定が変わったせいで結局、深夜だというのに運転して帰る羽目になった
主要国道を繋ぐバイパスになっているせいで昼間は交通量の多い県道も、午前2時ともなるとすれ違う車もなく、しんとした空気が降りていた

しばらく走っていると、バックミラーにライトがちらつき始めた。どうやらトラックのようだ
……と思っていると、ライトはあっという間に背後に迫っていた。どうも、かなり急いでいるようだ
パッシングされたわけでもないし、まだ少し距離はあったのだが、ちょうど避けやすいスペースがあったのでそこに避ける
トラックは減速することもなく、横を通り過ぎて行った
激しい風圧で車が揺れる

みるみる小さくなるトラックを見送って、車線に戻る
……また数分走ったところで、バックミラーにライトがちらつき始めた。どうやら次もトラックのようだ

(深夜は飛ばすトラックが多いなあ……)
ちょうどバス停があったので、少し早いがそこに避ける
するとトラックは、減速することもなく横を通り過ぎて……
「……ん?」
今のトラックは、さっき追い越して行ったトラックに似ていたような……?
特に意識していなかったので、ハッキリ「似ている」とは言えないけれど……
(……同じ会社なのかな?)
見る間に小さくなるトラックの、背後に書かれた『○○運送』の文字を見ながら車線に戻る
ものの数秒足らずで、トラックはライトさえ見えなくなった

またしばらく走ったところで、背後にライトの明かりが見え始めた
早い段階で路肩に避けて停車し、近付いてくるトラックを見る
……うん、やっぱり似てる
追い越していくトラックの背後に書かれた『○○運送』の文字
今度はナンバーもしっかり記憶した
既に小さくなったトラックを見送って、発進する

222 :◆.zethFtqnU @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:54:32.31 ID:4Bnkoi68O.net
2/3

……数分後。案の定、見覚えのあるトラックが近付いてくる
今度は早めに避けず、近付くのを待つ
バックミラー越しに読み取ったナンバーは、記憶していたものに一致した
それを確認してから、ぶつかるほどに幅寄せしてくるトラックを、減速して路肩に寄せながら追い抜かさせる
続けざまに、追い掛けるように発進したが、すぐにトラックとの距離は開いていく
トラックがあっという間にカーブの先に消える
慌てて自分もカーブを曲がる……が、カーブの先にトラックの姿は、影も形も無かった
いくらトラックが飛ばしていたといっても、今回はすぐに追い掛けたのだから、そんな、見えなくなるほど距離は引き離されていないはずだ
半ば呆然と前を見つめて運転していると、後ろからトラックが近付いてくる……

追いつかれては追い抜かせ、追いつかれては追い抜かせ。もう何度目かわからないやり取りを繰り返していると、あるT字路に差し掛かった
右に曲がれば、高速のインターがある。そのT字路のちょっと手前で避けた自分を、トラックが追い越し、

トラックが交差点に入った瞬間、ふっ……とトラックの姿が、まるで幻であったかのように掻き消えた
「!?」
驚いて周囲を見るが、トラックの姿はどこにも見えなかった

223 :◆.zethFtqnU @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:56:35.23 ID:4Bnkoi68O.net
3/3

まるで悪い夢でも見ていたような気分で、その先のコンビニに立ち寄った
よほど青い顔をしていたのだろうか。店員さんがちょっと探るような笑みを向けてくる
「どうしました、お客さん。幽霊でも見ましたか」
そう言われて反射的にビクっとなる自分に、店員さんは理解を示すような表情を浮かべる
「それってもしかして、トラックの幽霊じゃないですか」
「……知ってるんですか?」
ホットのコーヒーを買いながら問いかけると、店員さんが頷く
「昔、そこのT字路で事故があったんすよ。会社が結構無茶な運送やらせてたらしくて。赤信号に突っ込んでそのまま……だったらしいっす」
それ以降、深夜に走るそのトラックが現れるようになったのだという
他にお客も居ないので、店員さんは親切に教えてくれた
「幽霊だと気付かないで煽ったりしてたヤツらが、結構そこの交差点で事故ったりするんすよ」
……お客さんは無事で良かったですね
そう言った店員さんに礼を言って店を出ると、T字路に差し掛かったトラックが、ふっ……と姿を消したところだった

運転手は今でも運転を続けては事故を繰り返しているのだろう
いつまでも、いつまでも



224 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 01:57:26.82 ID:ixm8gm6D0.net
69本目の蝋燭が消えました・・・
葛 ◆.zethFtqnUさん、ありがとうございました


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サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、第70話をお願いします
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225 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:05:34.69 ID:iVpQyD8K0.net
【 第70話 】サンズリバー ◆X0uk49LcEU 様

『真夜中のドライブ[関西編]』
(1/2)

いつの日だったか、運転免許取得記念ドライブを僕と友人3人の計4人で決行。
18歳だったと思う。場所は滋賀県の比叡山ドライブウェイ。初めての真夜中のドライブで、みんな大興奮だった。

比叡山から奥比叡へ行く予定を立てた。まだカーナビなど無い時代だから、地図を片手に…。
まずは友人Aが運転し、みんなで交代しながら各々の好きなミュージックをかけるという決まり。
僕はMadonnaと松田聖子のカセットテープを用意していた。
他にはサザンオールスターズや自作のマイベスト等、人それぞれでワクワクしていた。

道のりは順調そのもので、スナック菓子を食べながら、とても盛り上がって楽しんでいた。

比叡山ドライブウェイも難なくスイスイ走り抜けていた。
途中で道が分かれていたが、地図の事などすっかり忘れ、感覚で突き進んで行った。
友人Aが僕に言った。「なぁ、そろそろ疲れたから、運転代わってーなー。」
僕は「おう、ええで!」と即答し、どこかキリのいい所で代わる事にした。

しばらく走ると自動販売機が見えたので、そこで缶ジュースでも買って休憩し、運転を代わる事にした。
車を一旦止め、みんなで缶ジュースを買い、再び車に乗り込んだ。
次の運転は僕なので、もちろん運転席に座った。

ドンドン!  皆「ヘッ!?」  ドンドンドン…  「ハッ!?」
ピカーッ!! ……対向車はない。
みんな口々に「しょうもない事すんなや?」 「誰やねん?」

226 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:06:08.11 ID:iVpQyD8K0.net
(2/2)

僕が「はよ行かなヤバいんちゃうか?」と言った矢先に金縛りに遭った。人生初の金縛りである。
友人達は「オイ!オイ!!」「どないしてん!?」と口にするが、僕は応えられない。
あっという間に車内は静まり返った。勇気を出して目を開けると、みんなが硬直状態である。
しかし、あの光もなく自動販売機以外は暗闇の中だ。人影も何も見えない。

どのくらいの時間が経ったのだろうか、僕達の身体は元に戻った。しかし放心状態である。

不思議な事に、記憶はここで途絶えている。後日、何度かこの出来事について話しをしたが、
みんな同じように途中からの出来事を思い出せず、また、どうやって無事帰ったのか覚えていない。
僕達は、この話しは自然と封印してしまった。
それ以来、比叡山へは行っていない。あれは何だったのか今でも謎である。

【完】

227 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:06:36.10 ID:ixm8gm6D0.net
70本目の蝋燭が消えました・・・
サンズリバー ◆X0uk49LcEUさん、ありがとうございました


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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、第71話をお願いします
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228 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:07:42.53 ID:iVpQyD8K0.net
【第917話】 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様

『温泉街の按摩士』
(1/3)

元同僚の話。

仕事の元請先に誘われて、温泉旅行に出かけたのだという。
温泉と料理を一頻り堪能して「さぁ寝るか」という頃、仲居さんに声を掛けられた。
「お休みになる前にマッサージはいかがですか?
 ここにはとびきり腕の良い按摩士がいますよ」

彼は肩凝りが酷く、それが原因での偏頭痛にも悩まされていた。
それを仕事仲間に零しているのを、どうやら仲居さんに聞かれたらしい。
「腕が良いっていうのならお願いしようかな」
という訳でマッサージを頼むことにした。

やって来た按摩士は、壮年の男性だった。
佇まいに何というか雰囲気があって、
「あぁこれは確かに腕が良さそうだ」と感じられたのだそうだ。
マッサージを受ける前に色々なことを聞かれたが、なぜかそれだけでかなり凝りが
取れたように感じられた。
「肉をリラックスさせて柔らかくするのも技術の一つですよ」と按摩士は笑う。

「おぉ、確かにこれは随分と硬いですね。一回だけじゃほぐれないかもなぁ」
施療に入った按摩士は、彼の身体に手を触れるとそう口にした。
しかし技倆は確かなようで、揉みほぐされる部位からどんどんと強ばりが取れていく。
ほぅと息を吐きながら身を任せていると、その内おかしな事に気がついた。

229 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:10:14.38 ID:iVpQyD8K0.net
(2/3)

按摩士の動きが変だ。
揉んだり押したりするのはわかる。
しかし時々、指を肉の中に突っ込んで、何かを抜き取るような動作をしているのだ。
俯せになっているので何をしているのか見えないが、どうにも気になる。
やがて仰向けに体位を変え足を揉む段になり、初めて按摩士の行動を確認できた。

施療しながら、按摩士は彼の身体から何か黒い物を引っ張り出していた。
非常に小さくてジタバタと暴れている何かを。
黒くぼやけていてはっきりと見ることが出来ない。
それが抜かれると、ふーっと身体が楽になった。

じっと見ている彼を気にも止めず、按摩士はそれをサッサと手元の袋に押し込んで、
平然とマッサージを続けている。

我慢が出来ず、問うてみた。
「今さっき、一体何を抜き取ったんですか? まさか生き物じゃないですよね?」

按摩士曰く、
「あぁ、アレが見えますか。
 あれは疲労と悪い念とが混じって、凝り固まったものですよ。
 勤め人の抱える業とでも言いますか。
 肉だけじゃなく頭まで柔らかくなると、動いて見えることもあるのです。
 一種の錯覚というか、脳が視覚情報としてそう捉えるのでしょうな。
 見えない人にはまったく見えないらしいのですが。
 勿論、生き物なんかじゃありませんよ」

230 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:11:15.74 ID:iVpQyD8K0.net
(3/3)

何となく、上手いこと誤魔化されたような気がする。
「霊が見える人」などと同様に、肩凝りの元も「見える人」と「見えない人」とが
いるとでもいうのだろうか。

腑に落ちないまま、なおも尋ねてみる。
「その抜き取ったヤツ、ええと業ですか。それ、一体どうするんです?」

按摩士は返答した。
「食べるんですよ。人間の業っていうヤツは、堪らないほど美味なんです」

マジマジと見つめたところ、按摩士は、
「あれ、真に受けられましたか?
 嫌だなぁ、冗談ですよ、冗談。
 単なる田舎按摩士のつまらない手妻だと思って下さい」
と笑いながら手を振って話を終わらせた。

その後は特に変わった話題も出なくてなり、やがてマッサージは終わった。
腕は確かに素晴らしくて、長年悩んでいた凝りが嘘のように取れたという。
しかし今でも、あのもぞもぞと動く何かが気になって仕方がないそうだ。

【了】

231 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:13:01.05 ID:ixm8gm6D0.net
大変失礼いたしました。
ただいまのお話、第七十一話でございます。
どうやら未来からのメッセージがあった模様・・・

71本目の蝋燭が消えました・・・
雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOMさん、ありがとうございました


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チャゴ ◆ePOonrVZq6さん、第72話をお願いします
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232 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:14:58.45 ID:iVpQyD8K0.net
【第72話】 チャゴ ◆ePOonrVZq6
『隙間の眼』

(1/3)

これは高校時代に部活の顧問の先生から聞いたお話です。

先生のお母さんの実家は四国にある小さな漁村でした。
母屋の他に、小さな道を挟んで二階建ての古い建物があり、
昔はその建物で民宿を営んでいたそうです。
親戚が帰ってきたときなどは、その元民宿に泊まるというのが決まりになっていました。

さて、そんな先生が中学生だった夏休みのこと。
先生のお母さんが風邪をこじらせて入院してしまい、
夏休みはお母さんの実家に預けられることになりました。

先生のおばあちゃんはそんな先生をとても優しく迎えてくれたそうで、
先生もきれいな海とのんびりした雰囲気の田舎暮らしを楽しみにしてました。

先生が実家に到着した夜のことです。
先生は母屋ではなく例の元民宿に寝泊まりすることになったのですが、
押し入れから布団を引っ張り出して、畳八帖もある広い部屋の真ん中に敷いてみると、
途端に大きな建物にひとりぼっちだということに気がついて怖くなりました。

「テレビと部屋の電気を点けたまま寝よう」

先生は布団のそばにテレビを持ってくると、そのまま布団に入って寝ることにしました。
長旅で疲れていたのでしょう。眠気はすぐにやってきました。

233 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:16:05.50 ID:iVpQyD8K0.net
(2/3)

どれくらい経ったでしょうか。
ふと、先生が目を覚ますと、点けていたはずのテレビと部屋の電気が消えていました。

「きっとおばあちゃんが消してくれたんだろう」

そう思った先生が寝返りを打ったときです。

布団が入っていた押し入れが少しだけ開いているのです。

「おかしいな。確かに閉めたはずなのに」

ぼんやりする頭の中でそう考えながら先生はその隙間を見ていたそうです。

すると、ぽっと赤い火のような灯りが隙間の中に見えました。
「あれは何だろう?」
先生が眼をこすりながらよく見てみると、

それは人の片眼だったそうです。

その眼はじっと先生を見据えていました。
怖くなった先生は慌てて眼を離そうとしますが身体がいうことをききません。

やがて、その眼はゆっくりゆっくり、まるで怒っている人のように
吊り上がってきたそうです。
「ああ、怖い!」
そう思った先生がやっと布団を被ることができると、
次に気がついた時にはもう朝になっていました。

234 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:17:30.48 ID:iVpQyD8K0.net
(3/3)

母屋にいたおばあちゃんに先生がその話をしたところ、
おばあちゃんは次のような話をしてくれたそうです。

「ずっとむかし、この漁村にものすごく大きな台風が来たことがあってね。
可哀想に小さな女の子が波にさらわれて、助けようとした母親と一緒に亡くなったんだよ。
その親子はあの民宿に泊まっていたんだけれど、それ以来、妙な話を聞くようになってね。
もう民宿はやってないから最近は聞かなかったけど、お前も見たんだね」

お前も、という言い方が気になった先生は、
「おばあちゃんも見たの?」と訊ねました。

「ああ、見たよ。お前のお母さんもね。実はあの眼をみた女はね、女しか生めなくなるんだよ」

その瞬間、先生は鳥肌が立ったそうです。
おばあちゃんは全部で6人の子を産みましたが、すべて女ばかりだったのです。

この話をしていた先生とは、私が高校を卒業してからしばらく会っていません。
噂ではもう結婚して子どももいるそうですが、
私は怖くて、その子が女の子なのか聞けずにいます。

【了】

235 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:18:07.48 ID:Dh7XLcnW0.net
72本目の蝋燭が消えました・・・
チャゴ ◆ePOonrVZq6 さん、ありがとうございました

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仮の人 ◆4zKtBm.faU さん、第73話をお願いします
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雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

236 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:18:49.91 ID:ixm8gm6D0.net
【第七十三話】 

『蔵に住む者』

(1/3)

K子さんが子供の時分の話だ。
夏休みになるとH県にある母の田舎で2週間程過ごすのが毎年の慣習となっていて、その年もK子さんは母に連れられ、田舎に帰省することとなった。
しかし、K子さんは不満だった。
年の近い親戚の子たちはみんな男の子であまり一緒に遊べないし、毎年遊んでくれていたお姉さんは今年はアルバイトがあるとかでこちらに帰って来ないらしい。
K子さんは殆どの時間を一人で過ごすこととなった。
はじめは近くを散策したり、一人遊びをしてみたがすぐに飽きた。
持ってきた宿題も終わらせてしまって、さあ、やることがない。
そこでK子さんは思いついた。
K子さんが滞在している祖父母の家には、古い蔵がある。
古い農具などを仕舞っているから危ないと、絶対に入ってはいけないと口をすっぱくして言われていた蔵だ。
そこを冒険しよう!
思いついたら吉と、蔵まで走る。しかし当然のことながら、蔵の扉には鍵が掛けられていた。
暫くガチャガチャやってみたが、古い錠前は意外に丈夫で開けることはできない。
そこで止めていれば良かったのだが、K子さんは諦めきれず、鍵を探すことにした。

次の日。
遊びに行ってきますと家を飛び出したK子さんの手には蔵の鍵が握られていた。
几帳面な祖母がまとめて管理していたおかげで、あっさりと鍵は見つかり、こっそりと拝借してきたのだった。
辺りを見回し、蔵に入り込む。電気がちゃんと生きていてほっとする。
蔵の中には様々なものが溢れていた。ガラクタと骨董品と用具が入り混じっており、それを眺めるだけでもワクワクする。
その日から、蔵はK子さんの秘密基地になった。

237 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:19:36.50 ID:ixm8gm6D0.net
(2/3)

蔵に入り浸るようになってから数日後。
K子さんは蔵の奥に大きな屏風を発見して、それをもっと広げて見てみたいと奮闘していた。
1辺が畳1畳分程のあるそれは結構重い。そこで、後ろから押してみたらどうだろうと屏風の裏に回り込んだ。

「あれ、ドアがある」
今まで屏風で隠されており気が付かなかったが、閂の掛けられた木製の黒い扉がそこにはあった。
表面には黄色く変色した紙が貼ってあり、なにやら書かれていたが、当時のK子さんには難しい漢字で読めない。
K子さんは少しだけ躊躇った後、扉を開くことにした。

ぎいぃぃぃぃぃ。
鈍い音を立て、扉が開く。カビ臭い。
暗闇の奥で、何かが動いた。
「……だれ?」
震える声で問いかけると、その問いに応じるように影がゆっくりとこちらに向かってきた。
やがて姿を現したのは、真っ赤な服に身を包んだ、髪の長い女だった。
「……だれ?」
K子さんがもう一度同じことを聞く。
女は答えず、K子さんに向かって腕を伸ばした。K子さんの首に手が掛かる。――――氷の様に冷たい手だった。
女が蛇のような細い目で笑った。

「いやあああああああああああああああ!!!!!!」
K子さんは声の限り叫ぶと、女を突き飛ばして駆けだした。
もつれる足でなんとか蔵の外に飛び出すと、その場でへたり込んで泣き出してしまった。
泣き声を聞きつけ、祖父が駆け寄ってくる。その顔を見てほっとしたK子さんは更に泣いた。

238 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:20:03.57 ID:ixm8gm6D0.net
(3/3)

漸く泣き止んだK子さんが何があったかを話すと、祖父は青い顔で、
「そうか、まぁだいたんけぇ」
と呟き、じい様に聞いた話だが、とこんな話をしてくれた。

この蔵がまだ建てられた直後、子供が行方不明になる事件が相次いだ。
犯人は若い女で、この蔵で子供の首を絞めているところを発見され、そのまま蔵の奥に閉じ込めてしまった。
暫く経って見に行くと、飲まず食わずのはずなのに女はまだ生きている。
また閉じ込めて、もう死んだだろうと見に行くが、まだ女は生きている。
それが何度も繰り返され、何年経っても、何十年経っても、女はその時のままの姿で居るそうだ。
そして、もう殆どの人が女を忘れた今でも、暗い蔵の奥に女は閉じ込められたままなのだと。

「大丈夫だぁ。なんでかはわからんが、あいつはあっこから出てこれはせん」
祖父は、ぽんとK子さんの背中を叩くと蔵の中に消えた。奥の扉を閉めに行ったのだろう。
戻って来た祖父がなんでもない顔で蔵の鍵を閉めると、やっとK子さんは安心することができた。
その後蔵の鍵は厳重に保管されることになり、誰も蔵には入れなくなった。
このまま蔵が朽ち果てるまで、そのままにするのだと言う。記憶のまま消えてしまうのが一番良いのだと。

しかし、あれから十数年が過ぎた今も、K子さんは思い出す。
今もあの蔵の中に、あの女はいるのだろうか、と。

【了】

239 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:20:56.06 ID:Dh7XLcnW0.net
73本目の蝋燭が消えました・・・
仮の人 ◆4zKtBm.faU さん、ありがとうございました

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まんじゅう ◆PP2Ugyol5s さん、第74話をお願いします
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雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

240 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:21:21.35 ID:iVpQyD8K0.net
【第74話】 まんじゅう ◆PP2Ugyol5s 様

『千葉県S駅』
(1/2)

現在は改装が済み、明るくお洒落な雰囲気の駅ですが、以前は怪しげな話をよく聞きました。

Cさんは地区のPTA会長をしている女性で、S駅を日常的に使用していたそうです。
その日も、いつも通りS駅からU線の地元駅行きの各停電車に乗り、
なんとなく夕暮れの窓の外を眺めていると、ふいに違和感を感じました。

いつもと同じ景色、車内の筈ですが、やけに薄暗い。
乗り込んだ車両の電気が切れたのかと周りを見渡せば
前後の車両の灯りもなく、真っ暗な電車がスピードを上げて進んでいます。
車内を照らすのは、景色とともに流れていく外の頼りない光だけでした。

自分の感じた異変を、他の乗客も感じているのだろうか?
列車は空席が目立ちましたが、十数人は同じ車両に乗っています。

Cさんは自分以外の乗客に目を向けた途端ぞっとしました。
老人・若者・ビシネスマン、全ての乗客が体を折りたたむかのように、深く俯いているのです。

真っ暗な車内、俯いたまま微動だにしない乗客達、重苦しく凍りつくような沈黙に包まれた異様な車内。
CさんがS駅から乗り込んだ際は、間違いなく、何の変哲もない普通の電車だった筈なのに。

Cさんに聞こえるのは自分の荒い吐息だけで、
パニックに陥りそうになる自分を必死に抑え、早く次の駅に着くよう必死に祈りました。

そんな願いと裏腹に電車はいくつかの駅を通り過ぎ、随分時間が過ぎた頃、
ようやくスピードを緩め、ゆっくりホームに止まりました。

241 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:23:26.10 ID:bIEXoD6G0.net
(2/2)

一目散に電車から降りたCさんは、
明るいホームにへたへたと座りこんでしまい、声を掛けられた途端飛び上がってしまいました。

青い顔をした初老の女性は、Cさんと同じく酷く動揺しているようで、

「あ、あなたもですか。絶対今のおかしかったですよね…」

彼女も先程の電車に乗り合わせた乗客で、全く同じ体験をしており、更に信じられない事をCさんに言うのです。

「私、S駅からU線に乗ったんですよ。確かに。でもこの駅…O駅ですよね?K線の」

地元民でないと分かり辛いのですが。O駅にCさんが乗ったU線から行くには、最低1回は乗換が必要です。
そもそもS駅からO駅には直通の路線はありません。

何で何で…とオロオロする女性に、
愕然としたCさんはかける言葉もなく、しばらくホームに2人立ちすくんでいたそうです。

【了】

242 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:25:36.39 ID:Dh7XLcnW0.net
74本目の蝋燭が消えました・・・
まんじゅう ◆PP2Ugyol5s さん、ありがとうございました

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葛 ◆.zethFtqnU さん、第75話をお願いします
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243 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:26:17.92 ID:bIEXoD6G0.net
【第75話】 葛◆.zethFtqnU 様
『山登り』
(1/2)


山は身近な異界と言うけれど、確かに山登りをしていると、たまに妙な出来事に遭遇する

「こんにちはー」
向こうからやってきた男性は朗らかに挨拶し、笑顔で会釈してきた。こちらもぺこりと頭を下げる
「この先に行かれるんですか?」
「の、予定です」
「そうですか。この先には『扇岩』ってのがあって、それを目印にして左に曲がるんですが、
 その手前によく似た『偽扇岩』っていうのがあるので間違えないよう気をつけてください」
『偽扇岩』を目印にして左に曲がると遭難してしまいますよ、と男性はちょっと脅かすように声をひそめた
「ありがとうございます。気をつけます」
そう返して互いに会釈し、男性と別れる
数歩進んだところで違和感を覚えてふと後ろを振り返ったが、既に男性の姿は見えなかった

数年経って、また同じ山に挑戦した
頂上から見た景色の雄大さをまた見たいと思ったからだ
同じルートを通って、山を登る
すると以前男性と出会った所で、また同じ男性と遭遇した
その時、以前感じた違和感の理由を理解した
その男性は、いかにも冬山登山といった姿をしていたのだ
自分が登るのは夏山ばかりなので、そこに違和感を覚えたのだ

244 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:27:40.59 ID:bIEXoD6G0.net
(2/2)

「こんにちは」
朗らかに挨拶され、ぺこりと会釈される
「……こんにちは」
「この先に行かれるんですか?」
「……の、予定です」
「そうですか。この先には『扇岩』ってのがあって、それを目印にして左に曲がるんですが、
 その手前によく似た『偽扇岩』っていうのがあるので間違えないよう気をつけてください」
ああ、と思った
この男性はきっと、間違えて『偽扇岩』で曲がってしまい、遭難したのだろう
そして後続の者が間違えないように、警告してくれているのだろう
そう思うと切なかった
「あ……りがとう、ございます……気をつけます……」
「いえいえ。では頑張ってくださいね」
互いに会釈し、すれ違う
すぐに振り返ってみたが、男性の姿は既になかった

あれから更に数年が経ったが、男性は今でもきっと、登山者に注意を促しているのだろう


【了】

245 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:28:39.71 ID:Dh7XLcnW0.net
75本目の蝋燭が消えました・・・
葛 ◆.zethFtqnU さん、ありがとうございました

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mk ◆AUR35tiBoI さん、第76話をお願いします
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246 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:29:58.72 ID:bIEXoD6G0.net
【第七十六話】 mk◆AUR35tiBol 様
『花火大会の夜』

職場の上司Kさんから聞いた話。

数年前の夏のこと、仲間たちと花火大会を見に旅行した。
海辺で行われるその花火大会は大変な人出だが、Kさんたちはその人混みからちょっと離れて、
近くの小さな山の上に宿をとり、花火はその山の中腹で観賞していた。
ふつう花火って見上げるようになるけど、高いところで見るのでちょうど目の高さに花火が打ち上がるように見えるのだそうだ。

で、花火大会が終わって山の上のホテルに帰るんだけど、山のしたのほうはやっぱり人混みでいっぱいなのだが、
山に登ってくる人はほとんどいなかったそうだ。
そんなわけでひと気のない夜の山道を男友達数人と歩いて登っていたらしい。

街頭もまばらな山道を登りながら、ふと後ろを振り返ると遠くの街頭の下にに白い服を着た人影があるんだって。
まあ花火の帰りの人かな?と思って最初は気にも留めなかったんだけど、後ろに人がいるってわかると気になるもので、
しばらく歩いた後にもう一度振り返ってみるとちょっと近づいてきてる。
仲間の一人が「なあ、後ろにいるやつ近づいてるよな?」と言うなりいよいよ気味が悪くなってきて、もう一度振り返ってみる。
また距離が近くなっていて、その人の様子もかなり見えるようになった。白い服を着た女性だった。
でも歩き方もどうもフラフラしてるし、こんな時間に一人きりで山道にいるのってだいぶ異様だしでかなり気味悪く感じていた。
もう後ろが気になってしょうがない。
もう一度振り返ると、その女が全速力で駆け上がってくるところだった!
いい年した大の大人が全員叫びながら山を登り、振り返りもせず一目散にホテルに駆け込んだ。
で、怖いし、明るい人のいるところにいたいしでロビーでみんなで今あったことについて言い合っていたんだけど、
そいつらしき女はついにホテルには来なかった。
その道の続きってそのホテルか、お城?しかないんだけど、お城は夜やっていないし、
その女も来るとしたらホテルしかないはずなんだけどね。

【了】

247 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:32:14.93 ID:Dh7XLcnW0.net
76本目の蝋燭が消えました・・・
mk ◆AUR35tiBoI さん、ありがとうございました

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タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、第77話をお願いします
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248 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:34:17.22 ID:bIEXoD6G0.net
【第七十七話】 タメ人参◆i.m1cVbrghng 様
『真夜中のタクシー』

(1/3)

六年ほど前の話です
季節は1月で冬真っ只中の本当に底冷えする寒い時期でした
その日は仕事終わりに友人と居酒屋で飲んでまして、飲みが終わったのは2時頃でした
友人とは帰る方向が真逆という事で友人とは別々のタクシーに乗って帰る事にしました
居酒屋からタクシーを呼んで一台先に着たので友人を先に
僕は次のタクシーを待っていました

タクシーが着いたという事で僕は足早に表に出ました
もう寒い寒い
急いでタクシーに乗り込みました
ハァーと一息ついて…
ですが、ドライバーさん中々ドアを閉めない
タクシーの中には寒い風
いい加減イライラしたので僕が言おうとした時、ドアは、ようやく閉まりました

ドライバー「どちらまでいきましょう?」
僕「○○の○○付近までお願いします」

ドライバー「かしこまりました」

居酒屋から自宅付近までは約20分ほど
僕は仕事の疲れと酒の酔いでボーとしてました

249 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:35:29.50 ID:bIEXoD6G0.net
(2/3)

少し車を走らせた所で
ドライバー「お疲れですね
ご苦労様です」

僕「最近残業とか休みもなくて疲れがたまってますね…
寝ちゃいそうです(笑)」

と、遠回しに話しかけないでと言ったつもりだったんですが
もうドライバーさん
喋る喋る(笑)
関西っていう事もあるのかな
1人で喋ってる
僕は頷くだけ(笑)
でもね突然ドライバー黙りだしたんです

ようやく静かになったかと安堵した俺
でも急に黙るから気になるじゃないですか
後ろからドライバーさんの顔覗きこんだんです
そしたらドライバーさん
汗だくになってて目がウルウルしてる
何事かと

僕「どうしたんです
具合悪いんです?」

ドライバー「い…いえ大丈夫です…」

250 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:36:39.43 ID:bIEXoD6G0.net
(3/3)

気になりますよね
やはり俺も関西人
つっこみます

僕「何かあったんですか?
どうしたんです?
具合悪いならここで降ろして貰って構わないですよ」

ドライバー「大丈夫…なんですがいやあの〜」
しどろもどろのドライバーさん

ドライバー「実はお客さんのお連れ様の方が…突然…いなくなられまして…」

これ聞いた瞬間ドライバーさんに無理言って逃げるように降りましたよ
何なの本当
一気に酔いがさめましたよ

【了】

251 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:37:49.09 ID:Dh7XLcnW0.net
77本目の蝋燭が消えました・・・
タメ人参◆i.m1cVbrghng さん、ありがとうございました

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仮の人 ◆sFvsmjhswAfh さん、第78話をお願いします
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252 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:38:22.45 ID:ixm8gm6D0.net
【第七十八話】 

『異物』

みなさん、餅つきってやったことあります?
お正月にやるあれですよ。
幼稚園のイベントでその餅つきをすることになったんですね。
と言っても、子供が突くのは危ないと言うことで父兄が交代で突くことになってるんですけど。
それで、私も参加することになりまして。
突く方じゃなくてお餅をひっくり返す方になりました。

ぺったん、よいしょ、ぺったん、よいしょ。
杵が持ち上げられたタイミングでお餅をこねります。
ぺったん、よいしょ、ぺったん、よいしょ。……ぐに。

突然手に異物感。

うん?ゴミでも入ったのかな。
突くのを止めてもらい、手探りでその異物を探します。
「あったあった」
探し当て、掴み上げた異物は…………目玉。
ピンポン玉大で、大きさからいって恐らく人の目玉のようでした。

「うげえっ!」
思わずお餅の上に投げつけてしまいます。
すると、どうでしょう。
その目玉はぎょろりと私を一睨みした後、ぷるん、と、身震いするかのようにお餅の中に潜り込んでしまいました。
その後、いくら探してもその目玉は見つからなかったのです。
あれは、なんだったのでしょうか。

【了】

253 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:41:42.32 ID:Dh7XLcnW0.net
78本目の蝋燭が消えました・・・
仮の人 ◆sFvsmjhswAfh さん、ありがとうございました

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木造 ◆R8AXMlbca. さん、第79話をお願いします
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語り部希望は>>1の【受付スレ:したらば】へ
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254 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:42:51.90 ID:bIEXoD6G0.net
【第七十九話】 木造 ◆R8AXMlbca. 様
『アパート』
(1/4)

それは今から数十年前のこと。
自分(M)は大学生で親元を離れて独り暮らしをするために、古ぼけたアパートに引越しをすることになりました。
バイパス道路沿いにある築20年の2階建ての木造アパートでしたが賃貸募集の部屋は2階にあり、
車の音は少々聞こえるものの当時は貧乏学生だったので家賃が安かったことが何よりも魅力だったのです。

ただ一つ、その部屋には問題がありました。
前の居住者が家賃を滞納したまま、夜逃げ同然で姿をくらましてしまったらしく、連絡が全く取れないそう・・・
部屋の中には荷物が置きっぱなしで、その荷物を処分しなければならないとのことでした。
ただ大家さんの話によると、自分が賃貸契約を結んでくれるのなら、警察に相談して荷物は撤去すると話してくれました。
その旨もキチンと契約書に一筆添えるということで、自分は納得したのです。

数日後、不動産屋さんと大家さんを挟んで契約を済ませると、大家さんはこう言いました。
「一週間後が引越しの期日ですので、それまでに部屋の荷物は片付けておきますから」
自分は返事をして、その日から引越しの準備に取り掛かり、一週間が慌しく過ぎていきました。

引越しの当日、大家さんから連絡が入りました。

「大変申し訳ないのですが昨晩、行方不明だった前の借主が連絡をしてきたんですよ。
それで部屋の荷物を早急に撤去してくれとお願いしたら、一週間待ってくれと言ってきかないんです」

大家さんの話によると、前の借主は女性らしいのだが、結構な衣装持ちで荷物もかなり多いとのこと。
全てを処分することは可能だったが、できることなら自己処理をして欲しかったのだろう・・・
ついつい女性の言い分を聞いてしまったというのだ。

「これでは契約違反じゃないか?」

自分はそう言い掛けたが、大家さんはこう付け足してくれました。

255 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:44:32.59 ID:bIEXoD6G0.net
(2/4)

「もちろん、Mさんも今日が引越し日ですので、このままじゃ困ると思います。
ですので、契約をされた下の部屋が空いていますので、良かったらそちらで一週間ほど待ってくれませんか」

自分が契約した部屋は2階の部屋、その真下の1階は同じ間取りではあったが
アパートの前に幹線道路があったため、窓を開けると2階よりも車の走る音が少々うるさいのだ。
しかし大家さんはこう続ける・・・

「代わりといっちゃ申し訳ないのですが、今月のお家賃は半額にしますから・・・」

貧乏学生にとって、この「半額」という言葉は殺し文句だった。
僕は大家さんの提案を呑み、一時的に契約した部屋の真下に自分の引越しの荷物を運んだのです。

4、5日過ぎた深夜、部屋の上から聞こえる物音で目が覚めました。
ベッドに横たわったまま天井を見つめると

「ゴトゴト・・・ズズズズ・・・」と音が響いてきます。

時計は深夜の3時過ぎ・・・

「こんな時間になんて迷惑な・・・」

自分はそう思った瞬間、ふと大家さんの言葉を思い出しました。

「2階の人は大荷物で・・・」

そうか、きっと昼間に出入りしづらいのかもしれない・・・
だからこんな夜中に夜逃げのような引越しをしているのかも?

そう考えてる間にも例の音は聞こえてきます。

256 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:46:11.25 ID:bIEXoD6G0.net
(3/4)

「ゴトゴト・・・ズズズズ・・・」
昼間のバイトで疲れていた自分は、上から聞こえる物音に少々イライラしながらも
契約した2階の部屋が無事に空く事を期待して、そのまま眠りについたのでした。

ところが、その翌日の晩のこと。
再び深夜の3時頃に2階から物音が聞こえてくるのです。

「ゴトゴト・・・ズズズズ・・・」

昨晩と同じような何かを引きずるような音でした。
さすがに2日連続となるとイライラも募ります。
自分は天井に向かって、軽く長い棒のようなモノで「ドンドン」と突いたのです。

それは「深夜なのだから、静かにしてくれ」と軽く注意を促す程度のものでした。

するとそれまで響いていた2階からの音がピタッと止まったのです。
それっきり音は聞こえなくなりました。
自分はホッとして、そのままベッドで再び眠りについたのです。

翌日、そろそろ約束の一週間が近づいてきた日のことです。
昼間、外が異常に騒がしいのでふと玄関の扉を開くと、そこには警察官が数名が大家さんと話をしていました。
周囲にはロープが張ってあり、パトカーも止まっています。
「何事か?」と思い、同じアパートの住民に訪ねてみると、こんな話を聞かされたのです。

自分が契約していた上の階の部屋の女性が自殺をしていたというのです。
話を聞いて、自分は飛び上がるほど驚きました。
だって昨晩、荷物を整理していたはずなのに・・・
まさか、自分が天井を「静かにしてくれ」と突いたから??
そんなことを考えていたのですが、真相はもっと驚くべき内容だったのです。

257 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:48:58.77 ID:jSil/F2Bi.net
(4/4)

数時間後、大家さんから聞いた話はこういったものでした。
上の女性は首吊り自殺をしていたということ。
そして遺体から推測された死亡推定日時は約5日ほど前・・・
大家さんが「2階の借主と連絡がついた」と話した翌日、
つまり、それは自分が引っ越したその日の夜のことだったのです。

それじゃあ自分は5日間、女性がぶら下がっている真下で生活していたということに・・・
でもでも、そうなると、あの音はいったい何の音だったのでしょう?

「ゴトゴト・・・ズズズズ・・・」

本当に女性が亡くなった期日が5日前だとしたら、あれは女性の霊が何かを探す物音?
それとも誰かが自殺に見せかけて、女性を上の部屋で紐で吊っていた物音?
いずれにせよ、気味の悪い話です。
大家さんは自分にこう言いました。

「こんなことがあった後で大変申し上げにくいのですが・・・
一応、2階の部屋はキチンと掃除をして綺麗にしておきますので
Mさんさえ良かったら、上の部屋、、、いかがでしょうか?」

自分が暫し無言でいると、大家さんはこう付け加えてきました。


「2階の方が静かですよ・・・」


その部屋は丁重に断りました。
もちろん数日後、自分はそのアパートから、逃げるように引越しをしたのでした。

【了】

258 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:49:21.07 ID:Dh7XLcnW0.net
79本目の蝋燭が消えました・・・
木造 ◆R8AXMlbca. さん、ありがとうございました

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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、第80話をお願いします
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259 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:50:14.17 ID:jSil/F2Bi.net
【第80話】 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM様
『真っ暗な部屋』

友人の話。

ある夜、独り暮らしをしているマンションへ帰宅した時のこと。
鍵を開けてリビングに入ったところ、何故か違和感を覚えた。

部屋が真っ暗なのだ。
いつもは向かいの建物の明りが、カーテンの隙間から覗いているのに。
「そんなにピッチリと閉めたかなぁ」と訝しみつつ、窓に近よる。

するといきなり目の前に、白い光の筋が現れた。
普段の帰宅時に目にしている、カーテンの隙間から洩れてくる明りだ。
「あれっ?」
驚いて足を止めたすぐ横を、何か生暖かいモノが通り抜けていった。
硬直している彼の背後で、ドアがガチャリと開く音がして、そして閉まった。

我に返るや否やドアに走り寄り、廊下を確認してみた。
明るく長い廊下のどこにも、動くものの姿は見えなかったという。

「それって、誰かが暗い部屋の中で、カーテンの前に立っていたってこと?」
そう私が聞くと、彼は顔を顰めた。
「いや、もしもそうだとしたら、人型がうっすらと、カーテン越しの明りで
 見えていた筈なんだよね。
 遮光カーテンとはいえ、まったく光を通さない訳はないんで。
 それ以上は何も起こってないけど、気持ち悪いよなぁ」

現在彼は、毎日のようにベランダと玄関に盛り塩をしているそうだ。

【了】

260 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:52:48.83 ID:Dh7XLcnW0.net
80本目の蝋燭が消えました・・・
雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、ありがとうございました

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K ◆IZLbs9qZm. さん、第81話をお願いします
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261 :◆IZLbs9qZm. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:54:33.91 ID:JoeU4egI0.net
(1/4)
パチンコ屋で知り合ったオッサンに、万発超えをしたから美味いものでもご馳走してやると誘われて何人かで一緒に寿司を食いに出かけた。

リストラの憂き目に遭ってギャンブルに溺れ、退職金を使い果たして女房と子供に見捨てられたと云うオッサンは、
数ヶ月程前から随分と羽振りがよくなっていて、その頃は随分頻繁に酒や食事をご馳走になった。
その日も俺や他にも常連を二、三人連れて寿司を食い、何件か飲み屋をはしごしていたものの、
一人減り二人減り、とうとう俺だけが残されて、ぐでんぐでんのオッサンを家まで送っていく事になった。

家には帰りたくない。まだ飲もうと唸るオッサンを説得し、住まいを聞き出しタクシーで向かう道中でオッサンが急に胸を押さえて丸くなったままヒクヒク痙攣し始めた。

心臓発作か何かだったか覚えていないが、持病があるというオッサンの言葉に驚き、一旦は運転手と最寄の病院へと進行方向を変えようかなどと話していたが、
家はもうすぐそこだというし、頓服のようなものがあるので取ってきてくれと頼まれて、俺はオッサンをタクシーに残し鍵を借り、薬と保険証とを取ってくる為に家へ入った。

262 :◆IZLbs9qZm. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:56:10.22 ID:JoeU4egI0.net
(2/4)
オッサンの家は小さな平屋で、生活スペースも6畳程の茶の間に凝縮されているようだった。
敷きっ放しの布団にコタツ、壁際に小さな茶箪笥がひとつあり、指示された引き出しを開けた瞬間に俺は誰かと目が合った。
まったく馬鹿な話だが茶箪笥の30センチ四方も無いだろう小さな引き出しの中に、みっちりと言った感じに折りたたまれた子供が此方を向いているように見えたのだ。

思わず声を上げ視線が逸れて、もう一度そこを覗いた時には言われた通り、保険証やら診察券が輪ゴムで一括りになって収まっている。
酔っていたのだし、見間違いなのは確実だ。
自分にそう言い聞かせて俺は保険証と薬を手にしてその家を出た。

オッサンを病院に送り届けて、そのまま家に帰った俺は妙な違和感に苛まれながら眠りに付いた。
一人の筈の家の中に誰か居るような気配がしていて、そいつはじっと自分を見ているように思える。
案の定その日は悪い夢を見て目が覚めた。

どことも知らない薄暗がりを、大勢の恐ろしい何かに追われて必死に逃げる。
追いかけてくる何かの正体はまるで分からず、夢の中の自分は何度その夢を見ても夢の中ではそれが夢だと気付かないまま汗だくになって逃げ回り、酷い頭痛と胃袋が裏返るような吐き気と共に目が覚める。
そんな事が繰り返し起きるようになり、俺は段々オッサンのように家に帰るのが嫌になってきた。
仕事が終わるとパチンコや雀荘に行き、勝った金でキャバクラや風俗に通い詰めていた。
幸い外では恐ろしい夢を見る事もなく、資金が尽きる事もなかった。
パチンコに行けば連荘が止まらず、さほど強くも無い麻雀でさえ勝ちが続いた。

ただ、誰かに見張られているような妙な気配はいつまでたっても収まらなかった。

263 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:56:58.01 ID:K4jMnVlV0.net
突然だけど今朝、朝寝坊してしまってさあ
それで会社に行くのやめたんだけど…

脱線してしまったよ…
ぼくの話はスレ違いだったかな?
じゃあ話を戻すけど朝寝坊して本当によかったよ、本当に…
さあ百物語を続けてください

『朝寝坊』

264 :◆IZLbs9qZm. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 02:58:07.94 ID:JoeU4egI0.net
(3/4)
ある日、着替えの為に家に戻って風呂に入っている時だった。
やっぱり誰かの視線を感じ、風呂桶の中に目を遣ると湯沸かし器と繋がっている穴の中に目玉が見えた。
その瞬間に、ガツンと頭を殴られたような痛みがあって、もう一度そこを覗くと目玉は消えてなくなっていた。

目玉はいつも俺を見ている。

全体が見える事は殆ど無かった。
カーテンの隙間。ほんの少しだけ開いた襖の向こう。換気口。
ありとあらゆる暗がりや、隙間の向こうから俺を見ている。
そして目が合うたびに、ドスンと何か重いもので殴られたような痛みに襲われる。
それは腹だったり、顔面だったり、その都度息が止まって蹲る程に酷い痛みでとても我慢できるようなものではなかった。

誰かに相談しようかと思ったが、やめた。
その時にはもう、何となく自分がパチンコや麻雀で勝ち続けている幸運と、この目玉の主との関係に気付き初めていたからだ。

一度だけ、目玉の主の全身が見えたことがある。
台所のシンク下、普段開ける事なんか滅多に無かった観音開きの物入れを開けた時だった。
そこには不自然に身体を折って、首を真横に傾けながら此方を見ている全裸の子供が収まっていた。
ひどく痩せこけて、肌の色は灰色がかり、頭と目玉だけが妙に大きく見える程に骨ばった性別さえも分からない子供のカサついてひび割れた唇が裂けるように開き、節がやけに目立つ指が顔を覆って耳を劈くような悲鳴を上げながら俺を睨んだ。
鳥のような猫のような、人間とは思えない耳障りな悲鳴と共に俺はこれまで味わった事も無いような痛みを感じて気を失った。

265 :◆IZLbs9qZm. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:00:04.21 ID:JoeU4egI0.net
(4/4)
その時俺は、ようやくあの子がオッサンの家の茶箪笥の中に居たものなのだと気が付いた。
探し出したオッサンはひどく痩せこけ、数ヶ月の間に何年も歳を取ったように老け込んでいて、素人目にも容態が良く無い事が分かった。
それなのに気味が悪い程ギラギラした目でパチンコを続け、台から視線を離そうとしない。
闇金から金を借り、あの幸運の日々が忘れられずにパチンコを打ち続けている。

俺もああなってしまうんじゃないか。
初めて現実の恐怖を感じた俺は、あの子供から逃げる事にした。

方法ならもう分かっている。
誰かが俺の家であの子供を見つけてくれさえすればいい。
例え今までの事が全て幻覚だったとしても、その時はそうする事が一番のように思われた。

俺は友人を家に招いて、探し物を頼む事にした。
案の定友人は探し物と同時に子供を見付け、子供は友人と共に出て行った。
俺はパチンコで勝つ事も麻雀で勝つ事も滅多に無くなってしまったけれど、平穏な暮らしを手に入れた。

今でもたまに、隙間から誰かに覗かれているようで落ち着かない事がある。
それに他人の家に上がるのはなるべく控える事にしている。
特に探し物を頼まれた時は決してどこかをあけたりはしない。

【了】

266 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:00:31.83 ID:Dh7XLcnW0.net
81本目の蝋燭が消えました・・・
K ◆IZLbs9qZm. さん、ありがとうございました


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白孔雀 ◆EiiyoouYFo さん、第82話をお願いします
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267 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:00:51.69 ID:jSil/F2Bi.net
【第八十二話】 白孔雀◆EiiyoouYFo  
『よかったね』

数年前の話。いい話系なので苦手な方はパスして下さい。

先輩からバイトの話を貰った時のことです。
ちょうど前のバイトを辞めたばかりで、次のバイトを探していた私はその話に飛びつきました。
辞めた時期が悪かったのかあまり募集がなくて、いろんな方に頼んでもなかなか見つからなくて…という状況でした。

行ってみたらとても条件の良いバイトだったんです。場所は駅から近いし時給も良いし。
内容といえば前の方(Aさんとします)の仕事を引き継げば良かったんです。
そんな条件の良いバイト、なぜこんな中途半端な時期に辞めるんだろうと思いましたが
理由はすごく単純なことでした。
私を案内してくれたAさんのお腹が大きくて…つまり妊娠されて仕事を辞めることになったんだそうです。
聞いてみるとAさんもかなり次のバイトの人を探してたそうなんです。
困っているうちにお腹も大きくなっていって…そしてやっと私が見つかったそうなんです。

そのせいでしょうか。初めてAさんと会った時

ママ、よかったね

と子供の声が聞こえたんです。少年の。
でもその場には女性しかいなかったし、私にだけ聞こえていたようなんです。
私には霊感がないのに、とても不思議な体験でした。

数ヵ月後、Aさんが無事に出産したと聞きました。勿論、男の子でした。

【完】

268 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:01:44.86 ID:ixm8gm6D0.net
82本目の蝋燭が消えました・・・
白孔雀 ◆EiiyoouYFoさん、ありがとうございました


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葛 ◆.zethFtqnU さん、第83話をお願いします
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269 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:02:36.16 ID:jSil/F2Bi.net
【第83話】 葛 ◆.zethFtqnU様

『落とし物』
(1/2)

祖母の話
小さい頃、祖母の話を膝の上で聞くのが好きだった

「昔々、婆ちゃんがお前と同じくらいか、まだ小さかった時の話だ。……ちょうど梅雨の時期でナァ、
 3、4日ほど降り続いた雨が上がったけん、裏山に遊びに行ったんよ」
そうしたら、山のてっぺんで妙な物を見つけたのだと言う
それは、ススキの生い茂った中にあったそうだ
「最初は、ススキに「何かついとう」思うて近寄ってみたら、茅に透明な寒天のようなもんがついとってな」
祖母は最初、それをキノコの一種か何かだと思ったらしい
「珍しいけん、他にも無(ね)ぇか思うて辺りを見たら、寒天のいっぱいついた腕が落ちとった」
その腕は、雨蛙の緑をもっと透明にしたような、透き通った緑色をしていたそうだ
「形は人の手と変わらんけど、でっかい水掻きがついとうけん、『こら河童の腕や』思うて、
 慌てて腕を持って山を下り始めたんよ」
何か考えがあって腕を持って下りたわけではなく
とにかく『大事(おおごと)だ。大変なことだ』と大人の意見を聞かなくてはと思った、と祖母は言う
「で、池の端まで下りた時に……昔は山ん中でも、ちょっとでも水気がありゃあ田んぼ作っとったけん
 山ん中でもため池があったんよ。そこまで来た時に、声がしてな」
すみません、すみませんと泣きそうな、祖母曰く「高いのに野太い」声が聞こえて、祖母は足を止めたそうだ
「姿は見えんけど、ため池から『すみません、すみません。腕を返してください、腕を返してください』ち言われてな」
返してくれと言われても、別に取ったわけでもないのに、と祖母は釈然としなかったそうだ
「でも返さんわけにはいかんからな。河童を怒らせると大水が出るというし。
 ……けど、返そうとしている相手が本当に河童なのか心配になったんな」
渡して大丈夫な相手なのか。不安になった祖母は、池に向かって「姿を見せろ」と言ったらしい
すると池の中から「姿は見せられん」と返されたそうだ

270 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:03:23.44 ID:jSil/F2Bi.net
(2/2)

なら「河童だという証拠を見せろ」と言うと
「そうすっと、池の真ん中から、切れている腕と同(おんな)し腕が出て来たけんなあ
 手に持ってた腕を池ん中に投げてやったんや」
河童は「ありがとう、ありがとう」と言い、
「お礼を山ん入り口の榊の木の下に置いとうけん使ってくれと。それは、『どんな悪いものもたちどころに治してくれる』と」
その代わり、今日のことは大人に言わないでくれ、と言われて祖母は了承したそうだ
「山を下りてから、言われた通り榊の下に草で編んだ小さな箱があってな」
それは恐らく茅で編んだもので、大きさは幼かった祖母の手の平より少し大きいくらい、形は六角形だったらしい
「同じく草で出来た蓋を開けるとな、中には馬の油のような白っぽい軟膏が入っとった」
どんな悪いものでもたちどころに治す、という河童の言葉を思い出し
試しに擦り傷に塗ってみると、文字通り瞬時に傷が消えたそうだ
「こりゃあ大変なものを貰(もろ)うた。大事に使わにゃ」
使った分がまた増えるということもなかったため、それ以降、祖母は薬を大事に保管しておいたそうだ
「不思議なことに、草でできとる箱はいつまで経っても綺麗な緑色のまんまじゃったナァ」
大事に使わないと。そう思いながらも、一度だけ誘惑に負けそうになったらしい
「婆ちゃん、頭が良くなかったけんな。頭に塗ったら頭良くなるん違うかと思うたけど、ちぃとも良(よ)うならんかった」

まだ残っていればお前にあげたんだがナァ、と祖母は言う
「爺サンが屋根から落っこった時に全部使い切ってしもうたんよ」
まあ、爺さんが助かったからお前が生まれたんだけどな、と言って祖母は笑っていた

それにしても、何で腕なんて落っことしたんだろう。それを聞き忘れたことが、祖母にとって人生最大の後悔らしい

【了】

271 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:04:01.13 ID:ixm8gm6D0.net
83本目の蝋燭が消えました・・・
葛 ◆.zethFtqnUさん、ありがとうございました


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白孔雀 ◆EiiyoouYFo さん、第84話をお願いします
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272 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:05:37.95 ID:jSil/F2Bi.net
【第八十四話】 白孔雀◆EiiyoouYFo様
『無題』

友人Yさんの話。

Yさんがまだ学生だった頃、あこがれの先生がいた。K先生と呼んでおこう。
K先生は奥さんと離婚して娘が一人いる。
でもそんなことはYさんにとって気にならないことだった。
ある日Yさんは思いを告白するためにバレンタインのプレゼントを用意した。
勿論K先生に渡すために。
結局その日はK先生には会えず、明日こそ渡そう…Yさんはそう思っていた。

その夜、Yさんは夢を見た。

ある人がお坊さんのような人にしきりに頭を下げている。顔は見えない。
「そこをなんとか…」
お坊さんは無言で、それはできないとばかりに首を横にふっていた。

目が覚めた後、Yさんは夢の中のお坊さんは自分のご先祖様ではないかと思ったそうだ。
そして頭を下げていた方はK先生のご先祖様だとも。

その夢を見たとたん、YさんのK先生へのあこがれは嘘のように消えてしまったとか。
Yさん曰く「だってあの後もっと素敵な人が現れたのよ」

でも、もしあの日YさんがプレゼントをK先生に渡していたら、あの夢を見ていなかったら
Yさんの人生はどうなっていたんだろう。

【完】

273 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:07:27.01 ID:ixm8gm6D0.net
84本目の蝋燭が消えました・・・
白孔雀 ◆EiiyoouYFoさん、ありがとうございました


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木井 ◆nHfn.6fl9E さん、第85話をお願いします
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274 :木井 ◆nHfn.6fl9E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:10:12.86 ID:HNgMpfvd0.net
【第七十五話】 「神様じゃない!」 

(1/2)
僕が小学校4年の時のことです
当時の学校内では「怪人物」というのがの噂になっていました
怪人物とは学校の近くの道に夕暮れ時に出没する正体不明の人物で、見たという人も相当いました
噂では怪人物は夕方あそんでいる子供を襲う、さらう、血を吸う、など色々言われていましたが
僕と友人のOとYはこの噂に興味津々でした
この友人Oですが、授業中に突然服を脱いだり、窓を指して神様が見えると言いだすやつでしたが
成績は意外と良く、なんというか変人でした

Oは何の根拠もなしに怪人物を「あれはきっと神様だ、神様に違いない」と言っていました
そして、ある土曜日の夕方、僕らはついに「怪人物」に遭遇することことになったのです
3人で学校の敷地内で遊んでいたら、体育館の前で自転車に乗ってる男の人がいました
西日で顔は見えないのですが、自転車でのろのろと走るその姿に、僕らは妙なものを感じました
近づいてくるにつれ その人は首を左右にやたら激しく振りながら走っているのがわかりました
これは絶対に普通じゃない、そう思った僕らは「怪人物だ!」と恐怖に駆られて後ろにダッシュ
したはずでしたが、Oだけは逆に怪人物の方に向かって行ったのです。

275 :木井 ◆nHfn.6fl9E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:12:25.61 ID:HNgMpfvd0.net
(2/2)

逃げ出した僕らの後ろからOが「神様やー、神様やー!」と喚くのが聞こえました。
僕らはOに構わず走って校舎の塀の裏側に来てようやく止まりました
さっきの場所からOの絶叫が聞こえました
「ちがう、神様と違う、こいつ違う、うわー!!」先ほどとは違い必死に助けを呼んでいます
僕らは焦りましたが今からあの場所に戻るのは絶対に嫌だったのです
やがて声がしなくなりました
周りも暗くなってきたので、僕とYは、Oが心配でしたが、Oが勝手に行ったんだから
あいつの責任だ、と言い合って家にそそくさと帰りました

次の日曜日に恐る恐るOの家に行ったら誰もいなくて鍵がかかっていたので戻り、次の月曜日に
Oは学校に来ませんでした。
その次の日、母からO君は富山県に引っ越した、と聞かされました。
驚きましたが、富山には彼の祖父母が住む実家があったのだそうで、こんどそっちの方に
引っ越したということでした。

しかし事前にクラスの者にも知らせず突然の引っ越しはやはり不自然で、あの日の事もあって
僕とYには腑に落ちない不安が残りました。
あれから10年、あの自転車の男は本当に怪人物だったのだろうか?Oに何かしたのだろうか?
本当にOは富山県に行ったのだろうか?

−おわり−

276 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:13:24.89 ID:ixm8gm6D0.net
おやおや、またもや過去からの声が届いたようです・・・
失礼いたしました
ただいまのお話八十五話となっております

85本目の蝋燭が消えました・・・
木井 ◆nHfn.6fl9Eさん、ありがとうございました


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まんじゅう ◆PP2Ugyol5s さん、第86話をお願いします
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雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

277 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:23:12.14 ID:jSil/F2Bi.net
【第八十六話】まんじゅう ◆9Pz/WjWQOI様
『千葉県S駅(其の二)』

現在は改装が済み、明るくお洒落な雰囲気の駅ですが、以前は怪しげな話をよく聞きました。

S駅には地下1階から地上2階まで上がれるエレベーターがあります。どの駅にもあるような至って普通のエレベーターです。

ある日、Fさんが1階から2階に上がろうとそのエレベーターに乗ると、地下から乗った母娘と乗り合わせました。

娘は中学生くらいで、Fさんの娘さんと同年代くらい。母親の方はFさんより少し年上でしょうか。

2人を背に操作盤の前に立ったFさんに、後ろの会話が所々聞こえてきました。

「このS駅って幽霊が出るんだって」娘のそんな言葉に母親が「えぇ本当?」などと答えており、Fさんも、
そういえばこの駅何だか雰囲気暗いのよね。と思いながらエレベーターが着くのを待ちました。

2階に着いたエレベーターの開ボタンを押し、母娘が降りのを待ったFさんですが、2人が降りる気配はありません。

自分に気を遣っているのだろう、と思い、先に降りる様促そうとしたFさんは後ろを振り返りました。

しかしエレベーターの中はFさん1人だけ。背後にいた母娘の姿はありませんでした

278 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:24:28.71 ID:jSil/F2Bi.net
失礼いたしました

(完)  です

279 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:26:34.23 ID:ixm8gm6D0.net
どうやらお話が神隠しにあっていた模様
皆様もゆめゆめ連れて行かれぬよう・・・

86本目の蝋燭が消えました・・・
まんじゅう ◆PP2Ugyol5sさん、ありがとうございました


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会計 ◆QAI42rkje6  さん、第87話をお願いします
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280 :会計 ◆QAI42rkje6 @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:26:56.86 ID:y69JNzJP0.net
【七十一話】会計 ◆QAI42rkje6
『引っ越し』

(1/2)

これは従姉から聞いた話です。
従姉が就職で引越しをしたんですけど、その部屋が『出る』部屋だったんです。
引越しが終わった夜、彼女がくたびれ果てて寝てたらいきなりドンって人が伸し掛かってきてびっくりして目を覚ましたそうです
彼女は最初、上に飛び乗ってきた感じがあまりにもリアルだったので痴漢か泥棒かと思ったらしいんです。
しかし、部屋が真っ暗だったので、何者かが馬乗りになっているのはわかっても、姿までは見えなかった。
声を出したり、暴れたりすればかえって危険なことになるんじゃないか・・・彼女がそう躊躇っていると、
フフッと、女の含み笑う声がしたんです。
えっ、と思ったのと同時に人の乗ってた感触が消えて、彼女は飛び起きて灯りを点けたんですけど、
部屋には誰もいないし、戸締りだってしていました。しかも以来、それが毎晩続くんだそうです。
それで、彼女の知り合いにたまたま霊能者というかそういうことに強い人がいたんでその人に相談したんです。
そしたらその人がお札をくれて、「これを布団の四隅の下に敷いて寝なさい」って言ってくれました。
彼女は言われたとおりにして休みました。その頃は彼女はすっかり不眠症になっていて、
お札を敷いたもののやっぱり眠れなかった。

281 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:34:33.52 ID:jSil/F2Bi.net
(2/2)

そしたら夜中、足元かの方から足音が聞こえてきたんです。そっちは壁しかなかったのに。
まるで隣の部屋から壁を通り抜けてきたみたいに人の足音がして、それが布団の足元で止まるんです。
彼女は身構えたんですけど、この日はその人、飛び乗ってこなかったんです。
暫く足元に立って、まるで困ってるみたいにじーっと彼女の方を見てるんです。
それから布団の周りを歩き出したそうです。まるで様子をうかがってるみたいにして、何度も何度も。
でも暫くして、ぱったり足音がしなくなったんです。彼女はほーっといきをして・・・
そしたらすぐ枕元から、はっ!、ってバカにしたような声がして・・・

「こんなの効かへんわ!」って。

従姉はその後すぐに引っ越したそうです。

【了】

282 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:35:11.91 ID:ixm8gm6D0.net
本年は過去や未来からの声が多いですね
ただいまのお話、第八十七話です
そしてご本人は異界へ連れ去られてしまったようです
皆様はちゃんと現世におりますでしょうか・・・

87本目の蝋燭が消えました・・・
会計 ◆QAI42rkje6さん、ありがとうございました


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ら年 ◆9w6FQlB7l1rE さん、第88話をお願いします
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283 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:37:49.17 ID:jSil/F2Bi.net
【第88話】 ら年 ◆9w6FQlB7l1rE 様
『『掴む手』あるいは『正体』あるいは『空気を読む』あるいは 、よくある話。』

(1/2)

『掴む手』あるいは『正体』あるいは『空気を読む』あるいは 、よくある話。

ある夏のこと、数人で集まって雑談中に、肝試しやお化け屋敷の話題になった。
すると一人が、こんな恐怖体験を語りだした。

「子供の時友達と遊園地に行って、お化け屋敷に入ったのね。
 私怖いから、友達につかまって、目をつぶって何も見ないようにしてたの。
 でもなんか、グニュって腕をつかまれる感じがして、
 えっ?てそっちの方を見ちゃったら、なんか陰の所から手が伸びて来てて、
 その手が私の腕をつかんでたの…
 もうびっくりして、声も出なくって…
 後で友達に話したんだけど、『そんな仕掛けないはずだよ?』って言うの、
 『人間のお化け役はいなくて、全部機械だよ?』って。
 じゃあ私の腕つかんだのって何!?あんなとこに人間いるわけないじゃん…
 お化け屋敷って、本物の幽霊出るって言うよね…
 ほんとだよ、気が付いたら離されてたけど、私ほんとに腕つかまれたの!」

語り手の口調は真に迫り、むろん皆、その『腕を掴む手の幽霊』の話を信じた。

284 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:38:17.85 ID:jSil/F2Bi.net
(2/2)

つかまれたのは本当に違いない、私もそう思いながら、ふと別の話を思い出した。
以前他で聞いた、ある人の体験談だ。

「子供の頃お化け屋敷で、途中でカートから降りたら係員にバレてさ…
 怒られたね!…うん、途中で降りて中を探検するんだよ、面白かったな。
 物陰に隠れたりとかしてさ…ほら!子供の頃やった事あるだろう?」

私はやった事はない。
だがなるほど、『掴む手』の正体がどんなものだか、わかったような気がするよ。

…雑談中の皆はまだ、『腕を掴む手の幽霊』を怖がっている。
むろん私は黙っていた。だって本当のことはわからないじゃないか。

【了】

285 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:42:17.57 ID:ixm8gm6D0.net
88本目の蝋燭が消えました・・・
ら年 ◆9w6FQlB7l1rEさん、ありがとうございました


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サンズリバー ◆X0uk49LcEU  さん、第89話をお願いします
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286 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:46:04.75 ID:jSil/F2Bi.net
【第89話】 サンズリバー ◆QNxpn.SauU様

『真夜中のドライブ[四国編]』
(1/2)

僕は8年前、都会(関西)での生活を終え、生まれ故郷の四国へ帰省した。
何もかもが懐かしく、都会生活の慌ただしさから解放されて気分爽快だ。
仕事人間で完璧主義を貫いてきた自分にとって、心安まる日々を満喫した。
まずは半年間は仕事をせず、これまで休む間もなく働いてきた身体と心をリフレッシュした。
その間、大好きなドライブを楽しんだ。

とある喫茶店のカウンター席で、若い女性と隣り合わせになった。
話しをしていくと、同じ神戸で住んでいて、僕と同様に帰省したとの事だった。
その上、僕が勤めていた兵庫県の某ドーナツショップの常連客だった事も聞いて驚いた。
本当に奇遇というか世間は狭いと感じた。もちろん、すぐに意気投合し、お互い連絡先を教え合った。

ある日、ドライブに行く事となり、夕食を共にして山間部へと向かった。
色々と共通の話題で楽しみながら車を走らせた。

最初は夜の森林浴という、訳の分からない名目で行った。
街中を通り過ぎ山道へと入り、「自然はいいね。」等と話しながら車を進めた。
女性を乗せているので、運転には気をつけていたが、突然彼女が言った。
「ちょっと飛ばしすぎ!!」そんな感覚はないとスピードメーターを見ると、100km近く出していて驚き、
スピードを落とした。普段なら有り得ない事だ。

287 :いぼっ@\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:47:55.02 ID:E6hG+SrtI.net
男嫌いでオタクという設定にすれば食いつくんだろスレ
http://wc2014.2ch.net/test/read.cgi/voice/1405767952/l50

お前らのんきにイベント行ってる場合じゃないぜ
身を守りたかったら99要チェック
あ?何だ109は?
補足情報120
犯罪暴露か?131、132、135、136
こいつなんでこんなに書かれてるんだ?
160、161どうしたもんかね?本人じゃね?

288 :50@投稿代理 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:48:49.34 ID:jSil/F2Bi.net
(2/2)

どんどん奥へ行くと道が細くなっていった。彼女は今度は悲壮な声で叫んだ。
「早く引き返して!!」
僕が「何で?真っ直ぐ行った方が近道やで。」と答えたら、彼女はこう言った。
「危ない!気配がある!取り憑かれる!恐い……。」
僕は「誰ちゃおらんちや。(誰もいないよ。)」となだめたが、彼女は首を横に振り涙目になっていた。

僕は、あのスピードの事を思い出し、すぐ引き返すことを決めた。
今度は安全運転を心掛けたのだが、彼女は「急いで!」とさっきと逆の事を言う。
しかし、緩やかな下り坂でアクセルが効かなくなり、ブレーキを踏んでいるかのようにスピードが落ちていく。
危ないと思い車を道の左に寄せながら、アクセルを踏み続けたが空ぶかしになり、とうとう止まってしまった。
何度アクセルを踏み込んでも動かない車、半べその彼女。

一度エンジンを切り外へ出た。誰もいないし何の気配もない。
僕は彼女に言った。「俺は(亡き)お袋に守られちゅうき、何ちゃ起きんで!(…守られてるから、何もおきないよ)」
とにかく安心させてから、再度エンジンをかけゆっくりアクセルを踏んだ。すると、正常に走り出した。
それから無事に街中へ戻り、彼女は落ち着きを取り戻した。
時計を見ると午前2時を回っていた。彼女を家まで送り、僕も自宅へ帰った。

あれは、何だったのだろう……。僕の身には何も起きていないし、何も感じなかった。
再び訪れ確かめる勇気はなかった。それにしても山という場所は不思議だ。
いったい何が潜んでいるのだろうか……。

【完】

289 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:53:55.62 ID:ixm8gm6D0.net
89本目の蝋燭が消えました・・・
サンズリバー ◆X0uk49LcEUさん、ありがとうございました


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異邦人 ◆VrA878BIoc さん、第90話をお願いします
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290 :異邦人 ◆VrA878BIoc @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:57:59.54 ID:EUH1XGhf0.net
【第90話】 異邦人 ◆VrA878BIoc 


パリの思い出(4-1)

実に、8年ぶりのパリでした。
8年前の僕は、欧州最大の夏のイベント 「ツールド・フランス」を観戦するために、
パリへやってきたのでした。
「ツール・ド・フランス」とは毎年7月にフランス全土を使っておこなわれる、自転車ロードレースです。
真夏の23日間の期間中、選手はアルプスやピレネーの過酷なやまみちにも挑戦しなくてはなりません。また、全世界の自転車メーカーがこのときとばかりに、自社の製品をアピールする機会でもあります。
僕は、8月初旬にパリに到着したため、終盤のレースとシャンゼリゼ大通りでのゴールの
瞬間を観戦できました。
その時、ツアーのコンダクターをしてくれたのが、カトリーヌだったのです。
彼女は、レースが行われる要所要所の町に宿を手配し、僕のためにやまみちでも安心のランドクルーザーをチャーター、運転手もしてくれました。
こうして、あの年の夏の一週間は、彼女カトリーヌと過ごしたのでした。

翌日、凱旋門の前でカトリーヌが用意してくれた観覧席で、ぼくは、ランス・アームストロングひきいるアメリカチームが歓喜の7連勝のゴールテープを切る様子を興奮のなかで、
観ていました。
隣の席には、見知らぬ観客がいるだけで、カトレーヌの姿はありませんでした。
今朝、観覧席のチケットを僕に渡すと彼女は、車を返しに言ったまま戻っては来なかったのです。

291 :異邦人 ◆VrA878BIoc @\(^o^)/:2014/08/24(日) 03:59:24.55 ID:EUH1XGhf0.net
【第90話】 異邦人 ◆VrA878BIoc 


パリの思い出(4-2)

あれから8年経ったいま、あの日の思い出を追って、またパリにやってきたぼくは、今度は一生忘れられない恐ろしい体験をすることになろうとは、思いもよりませんでした。
 
 空港から真っ先に僕が向かったのは、モンパルナス駅ちかくにある旅行代理店です。
8年前、カトリーヌが勤めていた会社です。まだ彼女がいることを期待して飛び込んだその店には、カトレーヌの姿は無いばかりか、彼女のことを知っている人は誰もいませんでした。
 仕方なく、最後に泊まった、あのカルチェ・ル・ラタンのホテルをとりあえず、今夜の宿に決めると、荷物を降ろし、シャワーを浴びていました。

 すると、懐かしい声がドアの向こうから聞こえてきました。
そうです、カトリーヌの艶やかな声です。間違いありません。
ぼくは、ぬれた裸のまま、バスルームのドアをあけていました。
そこには、すでに、いっしまとわぬ姿のカトリーヌが僕を見上げるように立っていました。
ぼくは、かのじょの髪の毛を頬を唇を愛撫し、口付けをしました。
そして、バスタブのなかで、かのじょの体のすみずみをぼくの唇で、あの日と同じように
愛撫してゆきました。

292 :異邦人 ◆VrA878BIoc @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:00:43.32 ID:EUH1XGhf0.net
【第90話】 異邦人 ◆VrA878BIoc 


パリの思い出(4-3)

その後は記憶がとぎれて思い出せません。
しかし、意識が戻ったとき、ぼくが横たわっていたのは、バスタブではなく、真っ暗な地下室のような場所に置かれている箱の中でした。
ぼんやりとした頭でも、そこが、どんな場所なのかは想像が出来ました。
いま、ぼくの入っている箱は、間違いなく柩で、となりに寝そべっている硬いものは、
ガイコツにちがいありません。
裸のままのぼくでしたが、べつに寒くは感じませんでした。もしかすると、ぼくも死体になってしまったのか?そう思えたほどです。
しかし、触ると、ぼくの体にはまだ肉が付いていました。
起き上がって、壁を辿ってゆくと、鉄の扉が半開きになっていました。思い切って、
大きく開けてみると、そとから薄い明かりが漏れて中を照らし出しました。
心臓が飛び出しそうな光景を見てしまいました。
おびただしいガイコツやしゃれこうべが、このへやの床に積み上げられているのです。
そのなかで、ミイラのようになって箱の中から、僕を見つめている死体がありました。
髪の毛は抜け落ちて、めだまも皮膚もありません。しかし、その死体は、確かにこう言いました。
「見て欲しくなかった! わたしのこの姿 このよみの世界を!」
そして、柩から起き上げってこようとしています。

293 :異邦人 ◆VrA878BIoc @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:02:33.43 ID:EUH1XGhf0.net
【第90話】 異邦人 ◆VrA878BIoc 


パリの思い出(4-4)

ぼくは、ただ、ただ恐ろしくなって、部屋の外に出て、扉を強く押し閉めると、明かりの見える方向に走り出しました。
どぶのような悪臭のする地下の通路を走り続けました。
とても長い間、走ったような気がします。
ようやく、通路の天井の隙間からお日様のあかりが見えるようになり、さらに進むとマンホールの鉄はしごがありました。そこをよじ登って、マンホールの蓋を開けてみると、
見覚えのある建物がみえました。地上の石畳の上に仰向けになっていると、一人の浮浪者のような姿の男が近づいてきて、一枚のシーツを裸のぼくにかけてくれました。
「ここはどこ」 礼を言う前に男に尋ねていました。
「ここは、シテ島、目の前がノートルダム寺院じゃ」男はやさしい声でそう答えると、
つづけて、
「あんたは、セーヌ川の下のカタコンブから逃げてきたのじゃね  生き返ったのじゃよ
おめでとう 」そう言って、大声で笑い、去ってゆきました。
 
 その後、寺院の救護室に案内されたぼくは、そこで、牧師さんから、対岸のカルチェ・ル・ラタンで、8年前におお火事があって大勢の犠牲者が出たことをしりました。
 カルチェ・ル・ラタンの名の通り、僕の宿のあった地域は、ラテン系の国々を始め、
世界から文化都市パリに集まってくる若者の町でした。
 おお火事があっても、犠牲者の大半は身元がわからず、無縁仏として、セーヌ川の地下にあるカタコンブと呼ばれる墓地に押し込められたのだと牧師さんは教えてくれました。
 8年前のあの日、彼女は僕の宿のあったカルチェ・ル・ラタンにもどったのだろうか?
そうだとするとなぜ? ぼくは未だにその訳がわかりません。
 

【了】

294 :仮の人 ◆sFvsmjhswAfh @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:05:41.95 ID:ixm8gm6D0.net
90本目の蝋燭が消えました・・・
異邦人 ◆VrA878BIocさん、ありがとうございました


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さて、九十話まで参りました
ここらで一つ、休息の時間に致しましょう
百の蝋燭が消えるまであと10本
果たしてどんな怪異が訪れるのか
ふふふ、皆様今のうちに心のご準備を・・・

15分後に再びご案内を致します
それまでどうぞご無事で・・・

295 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:22:04.58 ID:Dh7XLcnW0.net
お待たせ致しました
さあさあ皆様方 − …ご無事でいらっしゃいますか?
意識を睡魔に攫われるくらいでしたらまぁ、よろしいのですが ね…
皆様お揃いでおられる事を願っています

それでは百物語2014 再開です

 百話まで あと 十話

会計 ◆QAI42rkje6 さん、第91話をお願いします
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語り部希望は>>1の【受付スレ:したらば】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

296 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:23:52.57 ID:bIEXoD6G0.net
【第91話】会計 ◆QAI42rkje6様
『だるまさんがころんだ』

みなさんは「だるまさんがころんだ」という怖い話を知っていますか?
内容はお風呂で髪を洗っているときに「だるまさんがころんだ」と口にしてはいけない、という
話です。
私はその話を見て好奇心からかやってみようと思いました。
で、髪を洗っているときに「だるまさんがころんだ」と言ったんです。
でも何も起こりませんでした。
「ああ、やっぱりな」と思って顔をあげると、鏡に映っていたんです。
顔が隠れている髪の長い女の人の姿が…。
バッとふり返ると何もなくて、もう一度鏡を見るともう何も映ってはいませんでした。
これが、私が昨日体験した話です。
鏡に姿が映った以外特に害はないと思うので大丈夫だとは思っているんですが。
やっぱり、おもしろ半分でこういうことはすべきではないですね。

【了】

297 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:26:12.63 ID:Dh7XLcnW0.net
91本目の蝋燭が消えました・・・
会計 ◆QAI42rkje6 さん、ありがとうございました

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雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、第92話をお願いします
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語り部希望は>>1の【受付スレ(したらば):ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/22553/1408782381/】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ(したらば):ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/computer/22553/1408782644/】でお願いします。

298 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:28:27.72 ID:bIEXoD6G0.net
【第九十二話】 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM 様

『「みーつけた」』
(1/2)

同級生の話。
学生時代、彼は頻繁に引っ越しを繰り返していた。
よほど居を移るのが好きなのだなと思っていたが、どうもそうではなかったらしい。

引っ越しの話題になった時、彼はおかしなことを宣った。
「大学生になって、一人暮らしを始めてからなんだけどね。
 俺って、見えない女に取り憑かれたみたいなんだ」と。

初めは夜寝ていると、いきなり足首がギュッと強く掴まれたのだという。
驚いて目を覚ますと「みーつけた」と女の声がして、同時に掴む感触が消えた。
眠いのでそのまま寝てしまったが、朝起きて確認すると、足首に青痣が出来ていた。

299 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:30:01.64 ID:bIEXoD6G0.net
(2/2)

「それからなんだよね、部屋に何かが居着いた。
 動いていると、目に見えないけど柔らかい何かにぶつかることがある。
 寝ていると、足や髪を掴まれて起こされるなんてしょっちゅうだ。
 風呂に入っていると、誰かが同じ浴室内で「うふふふ」と笑いかけてきやがる。
 狭いユニットバスだから、俺以外は誰も入っていない筈なのによ。
 しかし慣れって凄いもので、気にならなくなって熟睡出来るようになったんだ。
 まぁ、相手の姿が見えなかったっていうのもあるんだろうけど」

「でもそのまま放っておいたら、何かどんどんとパワーアップしちゃってさ。
 夜にドアというドアが勝手に開いたり、テレビや電灯が独りでに点いたり、
 水道が出っ放しになったりするもんだから、ほとほと困ってしまったんだ」

「お祓いも何度か受けてみたけど、アレはアレだね。効果は無いね。
 いや本物に払ってもらえば効くのかもしれないけど、そんなの伝手無いし。
 だからもう諦めて、サッサと逃げることにした。そう、引っ越し」

「新しい場所に引っ越すと、しばらくの間は大過なくいけるんだ。
 残念ながら今のところ、保って半年なんだけどね。
 大体それくらい経つと又「みーつけた」って、ギュッと掴んでくる。
 まぁ俺自身も引っ越しは嫌いじゃないから、何とかなってるけどさ」

「人外には凄くモテるんだね」
感心した私がそう感想を述べると、なぜか彼は押し黙り、それからしばらく話相手に
なってはくれなかった。

ちなみに彼は大学を卒業後、遠くの県で就職したのだが、見えない女もそこまでは
追ってきていないということだ。

【了】

300 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:33:00.09 ID:Dh7XLcnW0.net
92本目の蝋燭が消えました・・・
雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM さん、ありがとうございました

                      γ
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葛 ◆.zethFtqnU さん、第93話をお願いします
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301 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:34:39.33 ID:bIEXoD6G0.net
【第九十三話】 葛◆.zethFtqnU 様
『オルゴール』

自分の祖母は、小物を集めるのが好きだった
自分も雑貨好きなので、よく祖母のものを見せて貰っていたのだが、その中で特にお気に入りだったのが、オルゴールだった
木製のピアノの前に、ブリキの人形が腰掛けているもので、ネジを回すと人形がまるでピアノを弾いているような動きをする。
曲はディズニーの「小さな世界」
子供の頃はことあるごとに祖母の部屋に入ってそのオルゴールを聞いていたが、大人になるにつれて次第に回数は減っていった

中学の時、祖母が亡くなった
大往生だったので、あまり『悲しい』という感じでもなかった
久しぶりに覗いた祖母の部屋は、物を大切にする祖母らしく、綺麗に整頓され、どれも良い状態で保管されていた

ふと思い出して、オルゴールを手に取った
ブリキの人形は変わらずに可愛らしかった
ネジを回して机に置く
すると、何故か「さくら さくら」の曲が響き始めた

桜は祖母が好きだった花だ
それを聞いた瞬間、無性に悲しくなって、大泣きした
泣いて、泣いて。泣き疲れてそのまま祖母のベッドで寝て、起きた時にはオルゴールの曲は「小さな世界」に戻っていた

あれはきっと、九十九神みたいなものが、大事にしてくれた祖母の死を悼んでくれたんじゃないかと思ってる
そのオルゴールは今、自分の部屋に在る
自分の時には、曲を変えて貰えるだろうか。だとしたら、どんな曲だろうか
少しだけ、気になっている

【了】

302 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:37:44.63 ID:Dh7XLcnW0.net
93本目の蝋燭が消えました・・・
葛 ◆.zethFtqnU さん、ありがとうございました

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サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、第94話をお願いします
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雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

303 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:40:16.03 ID:bIEXoD6G0.net
【第九十四話】 サンズリバー ◆X0uk49LcEU 様
『列車のおはなし』

(1/2)

私が関西にいた頃、行きつけの飲み屋さんで某大手私鉄の運転手さんと仲良くなった。
その人から聞いた話しである。

列車には、車と同じように車両毎に異なった番号が付けられる。
関西では4桁が基本らしく、古い物から1000→2000→3000とタイプ別に付けられるらしい。
これが俗にいう「○○系」という訳だ。
そして更に、ある決まりがあるという。
その決まりとは、3000の次は5000になるという事だ。私は冗談めかしに「4(死)の番号を避けてる?」
と聞いたら、返答は「その通り!」だった。そして「人の命を預かってるからね。」と付け加えた。
科学や技術が進んだ現代でも『縁起担ぎ』があるのだと思った。ただ、それ以外では4も使うとの事だった。

その人は、まぁまぁベテランで、人身事故等も経験している。
人がホームから飛び込む時は、「エイッ」とジャンプしてくるものではないという。
そして、通過する駅でスピードを出していても、事故に遭いそうな時は何か違和感があるらしい。
飛び込もうとしている人を何かが招いているといった感じだ…と言っていた。
だから、フワーッと何かに引き寄せられるように落ちてくるという。

304 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:41:51.20 ID:bIEXoD6G0.net
(2/2)

遺体の処理は、警察が来ても触らず、鉄道会社の職員が行うと言っていた。
その方法とは、………………[ピーーー]…………[ズギュン ズギュン]………………である。

そして遺体搬送が終わると、列車を車庫へ入れる。
事故車は直ちに検査を受け、必要に応じて修理や部品交換が施され、見た目には事故車と判らなくなるらしい。
しかし、列車の番号は変わらないため、その番号がずっと記憶に留まるとの事だった。
車庫には沢山の線路があるが、一般には公表されていない人身事故を起こした車両専用のレーンがあるという。
その車両は、そこで一定期間「休車」として置かれると言っていた。

その後、神主により御祈祷が行われ、試運転をした後にダイヤに戻るとの事だ。
また『縁起担ぎ』かと思ったが、そうしなければ、その車両は続けて人身事故を起こすそうだ。

どこまで本当の事かわからないが、現代科学では解明されない「何か」があるのだろう。
今、貴方が利用している列車が事故車でない事を祈る。
仮に事故車で、もし御祈祷を受けていなければ、それは人智の知る由ではないかもしれない………。

【完】

305 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:42:22.09 ID:Dh7XLcnW0.net
94本目の蝋燭が消えました・・・
サンズリバー ◆X0uk49LcEU さん、ありがとうございました

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ら年 ◆9w6FQlB7l1rE さん、第95話をお願いします
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306 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:43:26.44 ID:bIEXoD6G0.net
【第95話】 ら年 ◆9w6FQlB7l1rE 様
『先輩が一人きりのキャンプ場で食い意地を発揮し、後でぞっとした話。』

(1/3)

先輩が一人きりのキャンプ場で食い意地を発揮し、後でぞっとした話。

先輩は本格的アウトドア派ではなかったが、たまにキャンプに行く事があった。
一人きりでテントを張り、火を焚いてぼーっと眺めるのがいいんだそうな。

ある時先輩は、シーズンオフを狙って某キャンプ場へ行ったが、団体の先客がいた。
彼らはバーベキュー&カラオケ大会で騒がしく、先輩は大変迷惑したと言う。
けれども彼らが焼いている肉だけはうらやましかった。
どうしても焼肉が食いたくなった。

それで翌日、先輩は奮発して肉を調達しに行った。
ところが戻って来ると、テントに木の枝が刺さり、大きく裂けてしまっていた。
肉を買った上に痛い出費だが、しょうがないのでバンガローを借りた。
それから気を取り直して、夕飯の焼肉の仕度を始めた。
前の晩騒いでいた団体はもうおらず、今火を起こしているのは先輩一人きりだ。
これぞ真の一人焼肉、と先輩は肉を焼いては食い、食っては焼いた。
満腹すると後始末をして、残った焼肉とおにぎりを包んでバンガローに戻った。

307 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:44:46.40 ID:bIEXoD6G0.net
(2/3)
辺りが真っ暗になった頃、先輩は狭いバンガローでごろごろしていた。
その晩風は穏やかで、チリチリと鳴く虫の声が……止まった。
と、表から扉が叩かれた。
コン、コン。
ハッとして耳をすます。
コン、コン。
空耳ではなかった。しかしこんな時間に管理人や誰かが来るわけがない。
そのままじっとしていると、しばらくして、また虫が鳴き出した。
割と図太い先輩だが、この時はなぜか嫌な感じがしたと言う。
ついでに言うと、このバンガローには内鍵が付いていなかった。

再び虫の声がやんだ。今度は扉の向かい側にある窓から、
コン、コン。
窓はガラスではなく、戸板を窓枠にぶら下げたような代物だ。
今は閉めてあるので、表は見えない。
コン、コン。
先輩は窓の戸板を見ながらそーっと立ち上がった。そしてちょっと考えた。
…表に、何かいるとして、そいつは、割とデカいやつだ…
しばらくしてまた扉から、コン、コン。
無視して寝ようにも、戸締まりがないのは精神衛生上よろしくない。
外開きの扉とは不安なものだ、と実感したと言う。

先輩は、扉の取っ手にテント用ロープを結びつけると、それを引っ張って
窓の金具に引っかけ、扉と窓がロープで引っ張り合うように工夫した。
どうせ気休めだけど、やらないよりはマシだろう、
と思ったその時、ギッ と扉が音を立て、ロープがピンと張った。
そしてふっとゆるんだ。
…先輩はなるべく音を立てないようにロープを二重三重に補強すると、
荷物をまとめて靴を履き、懐中電灯と十徳ナイフを持って、
壁に寄りかかって座って寝ることにした。
いつの間にか、また虫が鳴き出していた。

308 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:47:08.09 ID:bIEXoD6G0.net
(3/3)

それからノックの音はやみ、ロープがいきなりピンと張る事もなかったが、
先輩はほとんど眠れずに朝を迎えた。
とりあえず焼肉とおにぎりを腹に詰め込んで、表の様子をうかがうと、
急いで管理事務所へと向かった。受付はまだ閉まっていて誰もいない。
が、そこで荷物を降ろすと気がゆるんだのか、座って眠りこけてしまい、
気が付くと、出勤して来た管理人のおっさんに揺り起こされていた。

先輩の話を聞いたおっさんは、「出たか」とつぶやいた。
「出たか…ここ二十年は出なかったんだがなァ…」


…そいつは熊でしょう?危なかったですよ!と私が言うと、先輩は、
「ホントは食糧とか捨てて退避した方がいいんだってね?
 熊と焼肉取り合ったらなぁ、絶対に負けるよなぁ…」
それからふと、「熊というのは律儀にノックするものなのか」と言った。

その後、先輩が一人でキャンプに出かけたという話を聞いた事がない。
野生の脅威みたいなものを感じて怖くなったのか?と思いきや、
「よくよく考えてみると、変質者とか殺人鬼が出て来たら絶対負けそうで怖い」
という理由だそうな。

【了】

309 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:47:38.98 ID:Dh7XLcnW0.net
95本目の蝋燭が消えました・・・
ら年 ◆9w6FQlB7l1rE さん、ありがとうございました

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りほ ◆aZ4fR7hJwM さん、第96話をお願いします
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語り部希望は>>1の【受付スレ:したらば】へ
雑談、感想は>>1の【雑談スレ:したらば】でお願いします。

310 :OMT@投稿代理 ◆lkP/qpIb6E @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:51:25.74 ID:bIEXoD6G0.net
【第九十六話】 りほ ◆aZ4fR7hJwM 様
『倍以上返し』
(1/2)

春も過ぎ、初夏も間近という5月始めの頃だった。
雪は消えてもまだまだ寒い日が続くある日、急な用事で知人宅へ向かう事になったのだが、
移動は車だし良いだろうとジャージの上にパーカー、足元はサンダルという軽装で出かける事になった。

用事も終わり、森に囲まれた帰り道を進む途中、ふとあるものが視界に入って来た。
枯葉の中で一際目立つ黄緑の群、車を止めて確認すると思った通りフキノトウの群生であった。

本来シーズンは過ぎてるはずだが、日陰で解け残った雪のせいで今頃生えてきたんだろう。
まぁ、ともあれ今晩のメニューの一つだなと取りにいくべく森に入って行ったのだが、
「痛っ??」
と、突然足下に鋭い痛みが走った。

どうやら栗のイガを踏み抜いてしまったようである。
慌てて周りを見ると辺りには数本の太い栗の木が生えていた。

栗のイガってのは中々タフなもので、秋に落ちたものが鋭く硬いまま雪解けと同時に出てくる。
この感じではそこらじゅうに散らばってるだろうなーと、ペラペラのサンダルで来た事を後悔したが、
どうせ戻っても踏みそうだからとそのまま進む事にした。

注意しながら歩いても枯葉の下に潜むイガを見つけるのは至難の技である。というか全くわからない。

枯枝で道筋を作ったりと工夫はしたてみたものの、森の中には悲痛な声が響き渡っていた。
何回目だろうか?また栗のイガが薄いサンダルを貫通し、思わず声をあげた時である。

「いだぁ!」 ?「イ゛ィッ!」
「んんっ?!」

ハモった。確かに自分のあげた声に対して甲高い声が重なったのである。

311 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:55:46.43 ID:iVpQyD8K0.net
(2/2)

思わずネズミでも踏んづけたか?と思い調べるが、足下にあるのは落ち葉と小枝、そして一際丸々とした栗のイガだけである。
だが、確かに声は聞こえた。

「踏んだ…せいか?」

一瞬悲鳴をあげるイガの絵が脳裏をよぎり、んなアホなと自笑するも、聞こえた以上は…やはり気になる。

バカバカしいと思いつつも枝で小突いたり転がして調べてみる。
どうみてもなんの変哲もないイガだ。

ちょっと考えた後、
もし仮にこいつが音を出したのだとしたら踏みつけられたからだよなと思うも流石に試せば自分も痛い…よし!

近くにある太く長い枝を手にとり、ふんっと思いっきりイガに振り下ろす。
イガはちょっと地面にめり込むと…

次の瞬間、まるで壁にゴムボールを叩きつけた時の様な凄い勢いで顔にぶつかってきた。
雄叫びの如き悲鳴をあげ、痛みに悶えながらもその元凶の方へ目をやると、イガが消えてる。
いや、よく見れば5m位離れた場所に転がっていた。

いつのまにあんな場所まで!
いや、その前になぜめり込んでたやつがおかしな角度で顔に飛んで来るんだ??と疑問だらけではあったが、
痛みと顔に刺さったイガの破片でそれどころではない。
結局フキノトウすらとらずに手当の為、急いで車まで逃げ戻った。
同じ道を引き返したにも関わらず、行きより遥かに多いイガを踏むというオマケ付きで。

単に偶然が重なった結果だったのかもしれないが、
自然相手に下手にちょっかいは出すべきものではないなと痛感させられるには十分な出来事であった。

【了】

312 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 04:56:35.00 ID:Dh7XLcnW0.net
96本目の蝋燭が消えました・・・
りほ ◆aZ4fR7hJwM さん、ありがとうございました

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異邦人 ◆VrA878BIoc さん、第97話をお願いします
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313 :異邦人 ◆VrA878BIoc @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:04:21.14 ID:EUH1XGhf0.net
【第97話】異邦人 ◆VrA878BIoc

英国戦勝記念日(4-1)

普段は、すっかり記憶の彼方に消し去っているのですが、
毎年、8月15日がやってくると思い出してしまう僕の悪夢のような体験があります。

それは、いまから5年前、2009年の夏のことでした。
この年、まだサラリーマンだった僕は、夏にまとめて長期の休暇を取り、ヨーロッパに、
旅行に出かけました。
欧州を列車で気ままに旅をするため、出発前に日本で2週間有効のユーレイルパスを
購入して、まずは、JALの飛行機に乗りパリに旅出ちました。
そして、スイスのジュネーブ・インターラーケン・ユングフラウ、イタリアのミラノ・ベネチア・ローマ・カプリ島、
オーストリアのザルツブルク・ウィーン、ドイツのミュンヘン・ローテンベルク・ケルン、オランダ、ベルギーを経由して、
イギリスのロンドンに特急列車で向かっていました。
 しかし、ロンドンでの宿はまだ決まっていませんでした。
 さっそくロンドンの玄関ヴィクトリア駅に到着すると、駅構内の案内所に飛び込みましたが、
言われるままにパスポートを窓口の人に提示し、宿の紹介を頼んでも、ホテルはどこも満員で日本で民宿にあたるB&Bも
空きは無いとの答えでした。
 もう、日は落ちて夜8時近くになっていました。仕方なく、案内所を出て、旅行会社の
代理店を探してみましたが、どこも、すでに閉まっていて人影もみえません。
 意を決して、ヴィクトリア駅に隣接したペンション街の中の小綺麗なプチホテル
「ナイト・バタフライ」に飛び込んで今夜の宿泊を申し込んでみましたが、やはり、フロント嬢の答えは、即座に満室。
 途方に暮れて、出口に向かおうとしたその時、フロントの奥から、つややかな女性の声で「ちょっと待ちなさい」。
 振り返ってみると、落ち着いた上品な姿の女性が立って、僕を手招きしていました。

314 :異邦人 ◆VrA878BIoc @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:05:34.03 ID:EUH1XGhf0.net
【第97話】異邦人 ◆VrA878BIoc

英国戦勝記念日(4-2)

「明日は8月15日なのよ  知っているでしょ ロンドンでは記念行事があるの  
対日戦勝記念日。 だから、ロンドン中のホテルもうちみたいなペンションも日本人はとめることが出来ないの。
  イギリス人のお客さんは今夜から大騒ぎをして祝うから、トラブルになるでしょ だから、敬遠するのよ
  ここでも、もうすぐレストランで祝杯があがるから、ここにはお泊めできないけれど………………………………..
お困りでしょ
少し待っていてね。」そう言ってその女性は、奥に戻るとスタッフにいくつか申し付けて、
再び、フロントのあるロビーに現れた。



 私服になったその女性は、先ほどよりもずっと若くみえ、キーラ・ナイト・レイのように輝いてみえた。
 女性は僕の先に立って、高級店が並ぶナイツブリッジを通り、ハイドパークの南まで来たとき、
こだちに囲まれた瀟洒な邸宅の門の前で立ち止まり、堅牢に設えたレンガつくりの門の鉄扉を自分で押し開け、
そして、僕を中庭に招きいれてくれたのでした。
 そこには、広々とした大きなバラ園が綺麗に整備されていて、丹精にガーデニングを
楽しむ家主の上品な趣味が伺われるほどの立派な庭園でした。
 その時、外灯の灯りに照らし出された美しいバラの苑が発する芳醇な香りに、気を奪われていなかったら、
かすかに土の中から聞こえるささやきを聞き逃すことは無かったでしょうに。
 さて、その後、この豪奢な邸宅に招き入れられた僕は、今夜の宿としてこの屋敷の2階のひと部屋を与えられたのでした。
ここは客間らしく部屋の広さもゆったりとしていて、豪華な刺繍を施したビクトリア調の家具にもエレガントなセンスが
感じられました。ただ、彼女から靴を履き替えるように言われ、室内用のスリッパのような靴が部屋のドアの前に置かれて
いました。 
 

315 :異邦人 ◆VrA878BIoc @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:07:52.34 ID:EUH1XGhf0.net
【第97話】異邦人 ◆VrA878BIoc

英国戦勝記念日(4-3)

そして、急遽、用意してもらった簡単な夕食を食堂で済ませると、この家のご主人が
姿を現しました。
 初老の穏やかな風貌の紳士でしたが、車椅子に座った下半身は大きな膝掛けで覆われていました。
 「ようこそお出でくださいました。なんのおもてなしも出来ませんが、ゆっくりしていってください。
 どうです しばらくの間 お泊り戴いては、なあエリザベス」
そう言って、私を招いてくれた女性を振り返った。
 「そうね わたしもそう考えていたところなの いいアイデアだわジョージ」
僕が返事に詰まっている時、二人は顔を合わせて微笑んでいました。
それが、なんのサインだったのか その時は全く知る由もありませんでした。
 ご夫婦が食堂から去ると、つづいて僕も部屋にもどり、シャワーを使った。
この旅は夜行列車を何度も利用したこともあって、毎日、ホテルでバスやシャワーを使うことが出来なかったので、
熱い湯がとても嬉しかった。そのうえ大きなバスタブまであって、ゆっくり風呂を楽しむことが出来て極楽気分に浸っていた。
 その時だった。
 ドアノブがゆっくりと回って、ドアが静かに開く音がした。
 僕は一瞬驚いたが、「お湯は熱すぎない」というエリザベスの声が聞こえると安心して、ふたたびリラックスを取り戻した。
 「ちょうど良いかげんですよ」ちょっとおどけた口調で返すと。
すぐさま、「じゃ わたしも一緒にお風呂しちゃおうかな〜」の声が終わらないうちに
エリザベスはバスの部屋のドアを開け、そこでタオルを脱ぎ捨てて、全裸の姿になって、
広いバスタブの湯に体を沈めてきた。
 広いといっても、彼女の体の半分は無防備な僕の裸体の上に乗っている。
 豊満なうれた女性の肉体がぼくの局部を圧迫し、押しつぶした。反応は抑えようが無かった。
彼女はこんどはうつぶせになって、たわわな胸をぼくの顔から下半身に擦り付けて
僕を挑発してくる。
 そこからは僕の理性はどこかへ飛んでしまった。
 その後の二人は動物の発情そのものだった。

316 :異邦人 ◆VrA878BIoc @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:12:14.78 ID:EUH1XGhf0.net
【第97話】異邦人 ◆VrA878BIoc

英国戦勝記念日(4-4)

快楽の海の中で寝入ってしまった僕は、数時間後、目が覚めると、またさっきのが妄想であるような感覚に襲われました。
 もちろん、エリザベスの姿は部屋にすでに無く、窓から見えるあたりの景色は真っ暗です。真夜中の1時でした。ぼくは、このとき、強いのどの渇きを覚え、そっと階段を下りてキッチンへ言って水を飲もうとしていました。
 すると、居間の方から2人の声が聞こえてくるのでした。
 「もうじゅうぶん楽しんだかい エリザベス」
 「ありがとう あなた でも もうじゅうぶんよ ジョージ」
 「じゃ 今夜あたり、始末するかい?」
 「もう 昼間、あのかたが出かけた時に、穴は用意しておいたわ」
 「靴は残すなよ」
 「大丈夫 いつものように階段の下の納戸にしまったわ」 

ぼくは、恐ろしさに床を這いながら階段のところまで戻ると、納戸の戸をそっとすこしだけ開けてみました。
 すると、そこには男物の靴が山のように積み上げられていました。
 ぼくは、自分のトレッキングシューズをそのなかから見つけると。荷物をもって2回の窓から庭園の芝生の上に飛びおりて、バラ園のなかを出口の門にむかって一目散に走って逃げようとしました。
 すると、バラ園の中から、「おれも、連れて行ってくれ〜」「薔薇の肥やしになってゆく〜」「たすけてくれー」
といった叫びがあちこちから聞こえて来て、足がすくみましたが、
体じゅうに薔薇のとげを刺したまま逃げ帰りました。    
 
 

317 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:17:41.42 ID:Dh7XLcnW0.net
97本目の蝋燭が消えました・・・
異邦人 ◆VrA878BIoc さん、ありがとうございました

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50 ◆4gJVpc7IX. さん、第98話をお願いします
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318 :50 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:18:43.27 ID:jSil/F2Bi.net
【第九十八話】50◆YJf7AjT32aOX

『クローゼット』

僕の部屋の話をしたい。
僕の部屋は実家の2階6畳+クローゼットの南向きの部屋。
日当りもよく風通しも良い。おそらく2階の部屋で最も快適であろう部屋なのだが、何故かそんな部屋にいるのが気持ち悪いのだ。常になにかに「みられている」ような気持ち悪さを感じる。その視線の元は、クローゼット。
夜眠る時になると意識せざるをえなくなる視線と気持ち悪さに、どうしても扉を開けたままにしていられなくて隙間も無いようきっちり閉めたことを確認してから眠りにつく毎日だった。

そんなある日、ふと夜中に目が覚めた。
何かの気配を強く感じたのだ。
それは、ベッドの丁度向かい側、クローゼットの方からだった。
その日は仕事が忙しく帰りが夜中になったため、意識朦朧としながらなんとかベッドにたどり着いた状態で、クローゼットの扉がちゃんと閉まっているかなんて確認する余裕も無かった。

319 :50 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:20:44.11 ID:jSil/F2Bi.net
(2/3)

そのせいか、暗やみのなか目を凝らすとほんの少しだけ両開きの扉と扉の間に隙間がある。

その間から目が出ていた。

電気も何もついていない真っ暗闇のなか、それが見えることなどある筈がないのだが、
確かに目があった。
何をするでもなく、じぃっと見つめられるだけ。
とてもじゃないが、扉の中を確かめる勇気もない。
どうすることも出来なくて布団を頭からかぶってなんとか平気なふりをすること何十分、
気付いたころにはその視線も気持ち悪さもどこかへ行ってしまい、
その日はそのまま寝落ちてしまった。その後も目が現れることは無くも、
きっちりとしめたクローゼットの中から気持ち悪さを感じることはあったのだが月日は過ぎ、
理由になりそうな問題を発見したのはその年の年末になってからだった。

320 :50 ◆YJf7AjT32aOX @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:22:17.44 ID:jSil/F2Bi.net
(3/3)

年末の大掃除で神棚の掃除を父がしていたのだが、ふと神棚の上を見ると、
そこに「雲」の字が無いことに気が付いた。
神棚の上の天井には「雲」の字を書いて貼り、2階があったとしても、
神様の上に何かがあることの無いようにするのが当たり前だと思うが、
我が家の神棚にはそれがしてなかったのだ。我が家にある神棚は、
備え付けのタンスの上にあらかじめ専用の部屋が用意されている形で、そのタンスの上、
2階の部屋の場所にあたるのが、まさに僕の部屋のクローゼットだったのである。
ということは、クローゼットの中に入るたびに僕は神様の頭をふんづけていたという訳で。

ひょっとしたらあの日、クローゼットの中から僕を見つめていたのは我が家の神棚にみえる神様だったのかもしれない。
真偽のほどはわからないが、とりあえず、失礼の無いようにはしておきたいと心に誓った。

(完)

321 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:22:48.91 ID:Dh7XLcnW0.net
98本目の蝋燭が消えました・・・
50 ◆4gJVpc7IX. さん、ありがとうございました

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会計 ◆QAI42rkje6 さん、第99話をお願いします
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322 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:27:51.81 ID:iVpQyD8K0.net
【99話】会計 ◆QAI42rkje6 様
『背中に・・・』

これは私が物心つく前の事です。
私は当時の事を覚えてなくて、この話は叔父が話してくれました。
小さい頃、私は両親の仕事が忙しかったので田舎の叔父の家に遊びに行ったり、泊まったりしてたそうなんです。
ある冬の日、その日も私は叔父の家に遊びに行って当時飼ってたた犬(幸助)と
母が迎えに来るまで遊んでました。
しかし、いつも母が迎えに来る時間になってもこず、心配していると叔父に母から電話がかかってきて、
「今向かってるけどすごい渋滞でなかなかそっちに行けそうにないから、娘を泊まらせてもらえないだろうか」という
連絡でした。
そして私は叔父の家に泊まることになったんですが、それは起きました。
お風呂もすまして、いざ寝よう!ってなったときにインターホンが鳴ったんです。
叔父が、こんな時間に誰だぁ?と疑問に思いつつドアを開けると、そこには一人の男が立っていました。
いつからか降り始めていた雪を頭や肩に積もらせ、男がこう言いました。
「今夜一晩泊めてくれないか?」と。
叔父は私が泊まっていたのでどうしようか悩んでいると、幸助が部屋から出てきて、男の顔を見るなり吠えだした
そうです。
その声につられてか、私も起きてきて幸助と同じ様に泣き出したそうです。
幸助と私がいきなり泣き出したので叔父はびっくりして私たちをなだめようとしていると、男は
「やっぱりいいです。お邪魔しました。」
と逃げるように立ち去っていきました。叔父は意味が解らず呆然としていると、しばらくして男が立ち去った方向と逆の
方から警察が来て「ここに男が来ませんでしたか?」と聞かれたので、叔父は素直に男が向かった方を指しました。
警察はすぐに礼をいった後すぐに追いかけていったので、叔父はいまだに泣いていた私に「どうして泣いてるんだ?」
と聞くと
私は泣きながら、
「はじめにきたおとこが、せなかにちがいっぱいでてるおんなのひとおぶってた」
と言ったそうです。
後日聞いた話だと、ちょうど男は近くの大通りで轢き逃げ事故を起こしてたそうです。
被害にあった人は女性で即死だったとか・・・。

【了】

323 :進行マモ ◆100mD2jqic @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:28:54.08 ID:Dh7XLcnW0.net
99本目の蝋燭が消えました・・・
会計 ◆QAI42rkje6 さん、ありがとうございました

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いよいよ最後の一話

会計 ◆QAI42rkje6 さん、第100話をお願いします
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324 :会計 ◆QAI42rkje6 @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:30:21.40 ID:y69JNzJP0.net
【百話】会計 ◆QAI42rkje6
『遭難』

これは叔父が大学時代に体験した話です。
当時、叔父は登山にはまっててよく友達と山に登ってたそうです。
その日はある雪山に登ってたんですが、途中で天候が荒れて遭難してしまったそうです。
しかし、運が良いことに小さな小屋を見つけてそこに避難したんですが、途中で怪我をしてた一人が亡くなってしまったんです。
仲間だし、死体を外にほっぽりだすのも気が咎めて、とりあえず中央に安置したんです。部屋の隅でもよかったんですが、
ゲームの邪魔になるので中央に置いたそうです。
雪山で遭難したとき『寝たら死ぬぞ!』ってあるじゃないですか?しかし歩いてきて疲れもピークな叔父たちは寝たかったので、
4人で部屋の四隅に座って、壁伝いに歩いて隣の人を起こして場所を交代する・・・ってゲームをしたそうです。
一度起こしたらその場に座って一巡するまで眠れるんです。
そして、それを朝まで捜索隊が来るまで滞りなく続けて叔父たちは生き残れたそうです

【了】

325 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:40:43.59 ID:dV4OCdlM0.net
百本目の蝋燭が消えました・・・
会計 ◆QAI42rkje6さん、ありがとうございました

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これにて今年のお話は全て語られました……

今宵の宴に、幕が降ろされようとしています。

326 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:41:12.13 ID:dV4OCdlM0.net
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:::::::.ひとつひとつと火が消えて . . . . . . . . .
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:::.:. .: .: .: . ━━━━━━━━━━
:;.:. .: .: . . . あたりが闇に沈むたび
:.:, .: . . . ..━━━━━━━━━━
:.:, .:, . . . .
             ━━━━━━━━━━
              あらぬ気配が増えていき  
             ━━━━━━━━━━ 
                      
                    ━━━━━━━━━━━
                     ありし気配が消えていく
                    ━━━━━━━━━━━

327 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:41:44.59 ID:dV4OCdlM0.net
     ━━━━━━━━━━━
    全ての明りが消えうせて
     ━━━━━━━━━━━
                  ━━━━━━━━━━━
              丶   語る声すら止んだとき
                 ━━━━━━━━━━━
                ィケ  ト、
               /{'⌒'} ` ━━━━━━━━━━━
                     ヽiノ   仲間を望みし闇のもの
                 ,r'┴'ヽ.. ━━━━━━━━━━━
              .    ,イ::''n::::,f'
                i:: ll::iYll!       . ━━━━━━━━━━━
                !:: :l:: : :l       .誰かをきっと連れて行く
                l::l l:: l ll        ━━━━━━━━━━━
                 {i l:: . l!
     ━━━━━━━━━━━━
      開きし眼に映る世に
     ━━━━━━━━━━━━
                l...::::::..ll
          .. .:.:. -- . ━━━━━━━━━━━
       r''"´:;:;:;:;:;'   ,何の変わりも見えずとも
       `丶、:.:_  .:;:;:; ━━━━━━━━━━━
       ......:.:.`ヾ" '' :.:.―---―.:.: '' 7"´
    . . .:.:.:.:.:.:::::::::::::丶、:::::::::::::::::ノ:::::.:.:.:.
    : : : :.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.

328 :いそべ@投稿代理 ◆8JXCKM3oNw @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:44:28.92 ID:iVpQyD8K0.net
 
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                     どこか歪みしその世界
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                   ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
                  ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
                  (  _   ,、'"    ̄
                   `ー--─'"
 

329 :かーん ◆UiIW3kGSB. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:44:39.12 ID:UaM7l77g0.net
 
 
                                γ
                                (
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          .             l| !|      i""!|
                    ━━━━━━━━━━━━
                     どこか歪みしその世界
                    ━━━━━━━━━━━━
                   ,、-,、'         ハ- 、
                   ( .( '、_    _ ,ノ  ノ:i   )
                  ,、'""`ー---‐'"フ、_ - _,、' -'"
                  (  _   ,、'"    ̄
                   `ー--─'"
 
 

330 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:45:07.62 ID:YoEBwFpK0.net
おわったおわった

331 :かーん ◆UiIW3kGSB. @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:46:43.11 ID:UaM7l77g0.net
 
 
 
 
 
 
                 ━━━━━━━━━━━━━━
                  気付かぬことこそ 不思議なれ
                 .━━━━━━━━━━━━━━

332 : ◆ElPl8xGQc2 @\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:47:30.64 ID:GvFqJTPq0.net
皆様、お疲れ様でした

http://youtu.be/GpXK7GBg6pA

333 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/24(日) 05:58:12.68 ID:opWxdXqR0.net
8888888888888888

334 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/27(水) 01:37:30.20 ID:21YtaH0Z0.net
http://i.imgur.com/NEVP5fY.jpg

335 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/27(水) 02:19:33.05 ID:+lSxS1Ge0.net
>>334グロ
オエーー!!!! ___
    ___/   ヽ
   /  / /⌒ヽ|
  / (゚)/ / /
  /   ト、/。⌒ヽ。
 彳   \\゚。∴。o
`/    \\。゚。o
/     /⌒\U∴)
     |  ゙U|
     |   ||
         U

336 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/29(金) 18:51:35.32 ID:c8v14qjuO.net
>>50
"やもえず"って何だよ馬鹿
"やむを得ず"だろ
以前、"嫌がおうでも"を"やがもうでも"と書いてた馬鹿と同じ臭いがする
言葉の意味を理解してないから耳で聞いた適当な言葉を創っちゃうんだろうな

337 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/31(日) 03:40:46.52 ID:y5s2XTTI0.net
>>336
正確には「否が応でも」

それにしても、ここはパクリ多いね

338 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/31(日) 08:11:42.38 ID:POk6t1fG0.net
確かに今年はどこかで読んだ感じの多いな
そこらへんは田中さんが斬ってくれんじゃね?

339 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/31(日) 09:16:09.89 ID:ivy5QG/C0.net
>>337
だね。ほんとパクリが増えてきた
「まもえず」も単に既存の「やむを得ず」にひねりを加えたつもりかもしれないけど
しょせんは二番煎じ
もっと新しい単語や表現を創り出して欲しい

340 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/09/01(月) 06:12:37.25 ID:35uyndPQ0.net
本人が他で発表した物でもそのままコピペではなく、少しでも書き換えたら投稿してもいいことになってたからパクリや二番煎じって思うのもあるかもしれないね

341 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/09/02(火) 21:29:18.07 ID:3YDxXibb0.net
偉そうにほざくな

342 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/09/02(火) 23:59:39.54 ID:Jz0dyO1y0.net
準備スレの方より何件かまとめサイトへの転載があったとのご指摘をいただきました。
本年の百物語では語り部の皆様からお話を頂く際、以下のようにお約束しております。

・投稿されたお話についても、当日の百物語への投下以外の利用はありません
・まとめに関しては、運営およびまとめサイト作成者に収益があるような形でのまとめは行いません。
・投稿されたお話の著作権は投稿者様に帰属します。
ただし、収益の発生しない範囲で、オカ板百物語専用サイトや2ch公式wikiへまとめという形で転載する可能性がございます。
予めご了承ください

そのため、たとえsc経由であっても、収益の発生するまとめブログ等への転載についてはご遠慮いただいております。
もし転載が発見された際には、運営の者が削除のお願いに伺う場合がございます。
ご了承をお願いいたします。

343 :成@世話役代行 ◆0ute.wyqdY @\(^o^)/:2014/09/04(木) 00:56:08.24 ID:lH2yAA0B0.net
2014雑談スレのほうで「情報漏洩」という指摘が見られましたが、まとめサイトがやったのは公に公開されている情報を
転載しただけです。これらのことは個人情報保護法違反にも情報漏洩にも当たりません。
メールフォームへの投稿時のIPアドレスやホスト情報、メールアドレス等については、今も正しく管理されていますので、
ご安心ください。

転載への対応についてですが、これは窓口を一本化するために、運営へのお知らせをお願いしています。
個々の話について、語り部の皆様個人が権利を持っていることは間違いありません。
ですが、転載があった際に個々でまとめサイトへの交渉を行うとなると、その個々のお話だけを削除して他の話については
「指摘がないから削除しません」などの言い逃れが可能になってしまいます。
そしてそのような状態ですと、運営が全ての削除をお願いしても「権利者じゃないから削除しません」などと言い逃れされる
ことも考えられます。
窓口を一本化することは、ひいては語り部の皆様全員の権利を守るための措置です。
ご理解をお願いいたします。

なお運営として対処可能なのは、削除を依頼するところまでです。法的措置等の対処については、著作権所有者である
RQ社に任せる事となります。
※著作権のRQ社への譲渡といった点に関しましては、最初に2ch.netへの書き込みを行なう際必ず表示される『書きこみ&
クッキー確認』のページで詳しく書かれています。
著作権での法的措置を個々人で検討される場合は、著作権所有者であるRQ社と協議される事をお勧め致します。
また著作者人格権に関しては著作権利者に対しては行使しない旨が利用規約に定められていますので、RQ社に対し
著作人格権を根拠に対応を求めたりなさらないようご注意下さい。

344 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/09/07(日) 13:56:27.44 ID:j+Cet/MEO.net
>>80
誤>餌さ 正>餌
「えさ」で一発変換出来るのに、どうやったらわざわざ間違うんだ?
「えささ」って変換しないとそんな変な間違いしないよな…

345 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/09/07(日) 13:59:28.47 ID:tcSUI1dP0.net
釣餌、とかって普段変換してたら え → 餌 で変換する癖がついて「餌さ」と出るかも知れないね

346 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/09/07(日) 14:05:27.17 ID:UM3tzG3w0.net
そうかもしれんけど練り餌って、読み方は”ねりえ”だよね
わざわざ”ねりえさ”って入力したのか

347 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/09/13(土) 03:49:54.44 ID:pYh8DBTp0.net
ホス

348 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/09/14(日) 15:11:10.19 ID:5O/jhiU00.net
http://ent.siteintelgroup.com/
公開処刑

349 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/09/23(火) 00:09:55.08 ID:juReyvbH0.net
100話目とかひどいな

350 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/10/07(火) 19:40:35.19 ID:7cZ1qeI80!てんさい♥きんし.net
百話は怪談になってないね。
Aさん、Bさん、Cさん、Dさんがそれぞれ四隅に立つ。
AさんがB点に移動してBさんの肩を叩く。
叩かれたBさんはC点に移動してCさんの肩を叩く。
CさんはD点に移動してDさんの肩を叩く
D さんは誰も居ないA点を通過してB点まで移動してAさんの肩を叩く
ぐるりと一巡して
Cさんは誰も居ないA点を通過してB点まで移動してDさんの肩を叩く‥‥
常にA点には誰も居ないので、B点まで余分に移動しなければいけない

ただそれだけの話。

351 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/10/14(火) 00:03:56.42 ID:EnxHnk6U0.net
雪山 遭難 怪談ですぐ出るような超有名都市伝説を100話目に持ってきたあたり悪意すら感じる

352 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/11/04(火) 00:12:24.94 ID:RR3+5CVl0.net
百物語

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