後味の悪い話　その152

949 ：本当にあった怖い名無し＠＼(^o^)／：2014/09/10(水) 23:28:34.84 ID:6lMl6EKG0.net

アンデルセンの話の酒つながりで思い出しちゃったので、もうひとつ
浦沢直樹のマンガ「MONSTER」の、マルティンとエヴァの悲恋エピソード

酒嫌いで女嫌いの殺し屋が、ある秘密を知る女の警護を命じられる
アル中でいけ好かない女だが、彼は嫌々ながら上からの命令に従った

彼は貧しい母子家庭で育った
母親は、仕事の疲れと憂さ晴らしに、毎晩酒を飲んだ
幼い彼は、酔っぱらった母を、毎晩酒場から連れ帰らねばならなかった
ある雪の降る夜、母親は気持ち良さそうに道端に寝込み、
酔っ払いに嫌気がさしていた彼は、怒って母親を放って帰った
そして母親は凍死した
時がたって、彼は青年になり、恋人が出来たが、その娘は薬中だった
更正させようとしても、恋人は薬中に戻り、売人と肉体関係を持った
その現場を目撃した彼は、何も言わずに立ち去った
恋人は、私を殺してくれと泣き叫んでいた
そしてその場で自殺した
彼は戻って来て売人を殺し、恋人殺しの容疑も被って、懲役を受けた
出所した後は、犯罪組織の下っ端になるしかなかった

殺し屋とアル中女は、反発しながら接するうち、何か通い合うものを感じていた
酒を飲まずにはいられなかったわけも、理解できる
この女は、用済みになれば殺されるのだ
彼は、おびえる彼女を放っては置けなくなり、女を助けて逃亡する道を選んだ
だが、女を先に逃がした後、彼は撃ち倒された
倒れながら「彼女が俺を待っている」と、微笑みながらつぶやいた
女は、待ち合わせ場所で、ずっと彼を待ち続けていた
そして、彼はもう来ない事を知った…