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後味の悪い話 その151

337 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/07/01(火) 23:46:26.99 ID:UmxBzWr70.net
「王の食肉」という短編小説

ある村に突然異星人の王と女王が現れ、人間をバリバリ食べ始めた。
ひとりの男がなんとか意思疎通をはかり、いっぺんに食い尽くさず、
家畜のように飼育したほうがいいと進言した。
王と女王は男に人間の体から肉を切り取りその場で傷を治療する斧を与えた。
男は王たちの命に従ってある時はひとりの腕を、またある時は別のひとりの脚を、尻を、乳房を切り取ってまわった。
人々は男を羊飼いと呼んで恐れ、憎んだ。
羊飼いだけがこの村で欠けたところのない美しい肉体を持っていた。

そうして歳月が過ぎ、ある日宇宙船に乗って男達が現れた。
その船の船乗りたちは、多数繁殖してはあちこちの惑星の住人を食い尽くす
王と女王の種族を追って退治していたのだ。
この村の王と女王も逃げられないと知って自害し、人々は自由になった。
そうなると人々の憎しみは、王の手先となって働いていた人間の
兵士や料理人、そして誰よりも羊飼いに向いた。
船乗りたちは羊飼いの記憶を調べて、彼が人類を滅亡から救うべく
敢えて体の一部を切り取って生き長らえさせる方法を王たちに選ばせたこと、
やがてこの日のように救われた暁には自分は人々に殺されてもいいと考えていたことを知る。
船乗りたちは人々に、羊飼いの罪は免ぜられる、彼を殺してはならない、可能なかぎり生き長らえさせるようにと誓わせる。
船乗りたちは別の惑星を目指して旅立ったあと、そのなかのひとりが突然
「大変なことをしてしまった」と口にする。

船乗りたちが去り、何年もたち、健康な子供たちが生まれ育っている村。
人々は、年に一度花やごちそうを羊飼いのところに捧げに行く。
しかし羊飼いの体は今では、美しい頭部と脊椎、内臓しか残っていない。
人々は言う、可能なかぎり長くこの羊飼いを生かし続けなくてはならないのだと。

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