【サヨナラの意味】乃木坂46★5860【本スレ】

君の名は

地元、高崎市文化会館で迎えたライブ
大園桃子が振付ミス、佐々木琴子も相変わらずやる気を見せず惨敗だった。
空きが目立つ会場に響くファンのため息、どこからか聞こえる「やめちまえ」の声、無言で帰り始めるメンバー達の中、唯一の一期生白石麻衣(30)は独り楽屋で泣いていた
あの日、超満員の神宮で手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト…
それを今の乃木坂で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすればいいの…」白石は悔し涙を流し続けた

どれくらい経ったろうか、白石ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいパイプ椅子の感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってレッスンしなきゃ」白石は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、白石はふと気付いた
「あれ…？お客さんがいる…？」
楽屋から飛び出した白石が目にしたのは、立ち見席まで埋めつくさんばかりの観客だった。千切れそうなほどにサイリウムが振られ、地鳴りのようにアンコール響いていた。
どういうことか分からずに呆然とする白石の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「白石、出番だ、早く行くぞ」声の方に振り返った白石は目を疑った
「な…ななみん？」　「何まいやん、かずみんの物まねでも考えてたの？」
「真夏、復帰したの？」　「もう、まいやん、『制服のマネキン』の時代まで遡らないでよ」
「なぁちゃん…」　白石は半分パニックになりながら出演者を見上げた
西野七瀬、橋本奈々未、松村沙友理、生田絵梨花、生駒里奈、秋元真夏、桜井玲香、若月佑美、高山一実、衛藤美彩、齋藤飛鳥、深川麻衣、星野みなみ、堀未央奈、井上小百合…
暫時、唖然としていた白石だったが、全てを理解した時、もはや彼女の心には雲ひとつ無かった
「やれる…やれるんだ！」
今野からマイクを受け取り、ステージへ全力疾走する白石、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった…

翌日、楽屋で冷たくなっている白石が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った