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【自治議論】講談社タイガスレnituite

1 :ワセミス:2015/10/15(木) 22:13:40.95 ID:50Qj1+Ab.net
ライトノベル板で立てるべきスレだと思います。

2 :名無しのオプ:2015/10/21(水) 15:47:06.44 ID:sDFQR6cU.net
ラノベ板にはタイガスレ@とAがあるが、先に立ってる@のほうが人多いかな
ミステリー板のBのスレは、主に講談社ノベルススレの連中が住み着いてる感じ。


@ラ板
講談社新レーベル(仮) [転載禁止]©2ch.net
http://hello.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1437139778/

Aラ板
講談社タイガ [転載禁止]©2ch.net
http://hello.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1437655997/

Bミス板
講談社タイガ [転載禁止]©2ch.net
http://peace.2ch.net/test/read.cgi/mystery/1437653590/

3 :名無しのオプ:2015/10/24(土) 17:01:10.33 ID:3xyjlOAT.net
Amazon.co.jp: バビロン 1 ―女― (講談社タイガ)の ヤボ夫さんのレビュー
http://www.amazon.co.jp/review/RFGWS0UBSGPSP/


講談社があちこちのラノベレーベルから作家を集めて新レーベルを創刊するという話はだいぶ前から聞いていたけど
まさかその創刊第一弾ラインナップにこの作家が来るとは予想外!奇才・野崎まどの新作と聞いてゾクゾクしながら拝読

4 :名無しのオプ:2015/10/24(土) 17:01:33.41 ID:UyBi5/Tz.net
物語は主人公・東京地検特捜部の検事・正崎善が御茶ノ水にある製薬企業・日本スピリの東京営業所の強制捜査に
踏み込んだ場面から始まる。糖尿病治療薬「アグラス」の治療効果を巡る高恩医科大の論文に同社の社員が関わっていた事実から
不正が発覚した事で始まった強制捜査の末、正崎は膨大な押収資料を霞ヶ関の東京地検本部へと持ち帰る
立会事務官の文緒厚彦が「物読み」=証拠資料の読み込み作業、の地味さに嘆きながら一枚の奇妙なメモを見つけた事で事件は幕を開ける
事件に直接関係の無い聖ラファエラ医科大の名が記されたその資料には隅に「F」とだけ記されていたが、
その一見真っ黒に塗り潰されている様な裏面が全て何万字もの「F」という字である事に正崎は気付く
更に爪と髪、そして微量の血液が貼り付いていた事から検事の勘がささやいた正崎は直接日本スピリの不正に関わっていない
聖ラファエラ医科大の捜査に向かう。資料の表側にあった睡眠薬「セイレン」の市販後臨床試験に携わった医師・因幡信を尋ねた正崎だったが
因幡は不在、学生たちは因幡がひどく忙しそうな上、頻繁に老人と女性の二人連れの訪問を受けた事を打ち明ける
登戸にある因幡のマンションに向かった正崎と文緒は同じフロアの住人から因幡の部屋で前日から音楽が鳴り響いていると告げられ
返事が無い部屋に踏み込むが、二人が目にしたのは「カルミナ・ブラーナ」が鳴り響く中、麻酔装置のマスクのみを装着した一糸まとわぬ姿で
恍惚の表情を浮かべながらリクライニングの椅子に横たわる因幡信の死体であった…

ぶったまげた。野崎まどが普通の作家じゃない事は重々承知していたつもりだったけど、予想の遥かに上を行かれた
「アムリタ」から「2」に至るシリーズも「Know」も読んできたけど、更に野崎まどは進化していた

これまで作者が描いて来たのは私人間の極めて狭い人間関係の中で進行する物語がほとんどだったと思うのだけど
今回作者が描いたのは社会そのものである。人間が組織を構築し、組織と組織が膨大な利害関係・権力関係の中で
鎬を削り合う、そんなリアルな社会を描く小説を野崎まどが書くとは…いったい、どれだけ芸の幅が広いのだろう?

5 :名無しのオプ:2015/10/24(土) 17:02:33.23 ID:XGLT97Z+.net
物語は検事・正崎善が製薬会社から押収した資料の中から偶然見つかった異様なメモの正体を探ろうとした事から
与党の大物政治家の私設秘書の動きに気付き、その動きを追う中で八王子市・相模原市・多摩市・町田市に跨る巨大な都市開発計画
兼新型自治体「新域」の初代域長選挙に絡む与野党、各業界団体、労組、医学界、様々な勢力の奇妙な結び付き、
利害が相反する各候補勢力が手を取り合い、巨悪を暴く筈の検察庁すらもが巻き込まれた巨大なプロジェクトの実体へと辿り付き、
その中で当初は政治上の貢物と思い込んでいた女性が状況を動かすキーとなっているに事実を突き付けられ、
大切な物を失いながらもその尻尾を掴む所にまで手を伸ばすが…という社会派ミステリ的な色彩を帯びながら進行する

東京西部に全く新しい自治体というよりも一つの新しい「国」をを建設する、という構想からしてリアルな政治劇としての面を持つ本作だけども、
主人公の所属する検察庁や東京地検特捜部といった現実に存在する組織を「物読み」作業といった通常の小説では中々描かれない部分にまで
綿密に描き込み、大手新聞社の記者や所轄の刑事を絡め、医学面においては不正も交えた臨床試験の実体やドラッグラグの問題の様な有名な部分から
御茶ノ水周辺に製薬関連の企業が多いという一般人にはあまり知られて無い(逆に言うと業界関係者なら知っている)情報を盛り込んだり
はたまた川崎にある「聖」が付く私立医科大を登場させたりと徹底してリアリズム重視で描こうとしているのである

ここまで緻密なリアリズムを膨大に積み重ねているからこそ物語の中盤以降、野崎まどが「アムリタ」から「2」に至るまでのシリーズで
描いて来た「女」の得体の知れなさや一巻終盤で遂に顔を見せ始める「死の超越」という目的を掲げた組織の登場といった「Know」にも通じる
巨大なテーマが作中で浮く事も無く、地に足の着いた確かな質感と共に語られるという類稀な読後感を産み出しているのである

6 :名無しのオプ:2015/10/24(土) 17:04:19.55 ID:eyosyzw5.net
緻密な社会を丸ごと描く、という意味ではある種、日本SF界の重鎮・小松左京氏に近い物を感じた。「日本沈没」や「首都消失」の様な
政治すらも呑み込んだ様な巨大な社会の動く様を正面から描き切った作品に至れるかは正直、まだ分からないが、少なくともこの一巻を読んだだけでも
「これは並大抵のスケールの話では無い」と読者に確信させてしまうだけの「厚み」は充分に見て取れ、久しぶりにポリティカルフィクション的な
要素を含んだSFが読めるとオールドSFファンが心躍らせそうな期待を抱かせるだけのボリューム感を感じさせてくれるのである

常に読者の二手先、三手先を行く作家としての凄みを改めて印象付けられた野崎まどの新作、二巻が早くも待ち遠しい
圧倒的な「凄み」を感じた一冊だった

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