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新サクラ大戦続編のストーリーを考えた

1 :こいこい :2022/12/26(月) 20:27:59.95 ID:s2kZOMWj.net
新サクラ大戦で語られた華撃団消滅に対して新サクラ大戦の中で何も解決されてなく、続編制作のニュースも何年も待ったが無い。
愛聴しているサクラ大戦の曲達を聴く度に旧華撃団達は幻都に封印されてしまったままなんだ…。と前向きな気持ちで聴けないのが苦痛で
新サクラ大戦で描かれた様々なモヤモヤを解消する為に新サクラ大戦の続編のあらすじのストーリーを文章など書いた経験も無いのに勝手に書いた。
書いていたら結構な量になってしまったのと、続編が制作されることを願って、勝手ながらここに書かせて貰います。申し訳無い。

39 :こいこい :2022/12/26(月) 20:58:39.25 ID:s2kZOMWj.net
グリシーヌ「それでも、だ。長く、先がまったく見えない戦いの中でこうして会えた事。
本当に心強く、嬉しいよ。新生花組のみんなも、ここまで来てくれてありがとう」

グリシーヌは新生花組を見渡しながら礼を言う。
グリシーヌはすみれに向き直りながら言葉を続けた。

グリシーヌ「共に戦った時から時間は随分流れたが、立ち向かうすみれのその姿勢、時が流れてもなお、そなたは頼もしいな」

かつての仲間から投げかけられる言葉にすみれは胸が熱くなる思いがした。
二都作戦に向かう仲間を見送る時、何故自分には霊力が残っていないのか。
取り残される自分を見て、もう自分は仲間の役に立てないのだと自分を責めた事もあった。
霊力と才気に溢れ、新生花組で成長し活躍していく隊員を見るにつけ、自分の役割は彼らが思う存分振る舞える環境を整えることだと自分に言い聞かせて行動していたが、
それでも仲間と共に行けなかった自責の念はトゲとしてすみれの心に残り続けていた。
そのトゲが今、やっと取れた気がした。

すみれ「ええ…ありがとう、グリシーヌさん。そして巴里華撃団のみんな」

40 :こいこい :2022/12/26(月) 20:59:41.84 ID:s2kZOMWj.net
再会を果たした巴里華撃団を武蔵の艦橋に案内し、大和の座標の指示を受ける。
艦橋の霊子水晶に普段映っているひなたは巴里華撃団に自責の念を与えない為に姿を消している。
折角の再会に水を差さないよう、神山とさくらから移動する最中、花組の隊員にも話があったようで、姿が見えない事を指摘する隊員はいなかった。
かつての作戦に天宮さくらの母、ひなたの命が捧げられたことはいつかは言わねばならない事だとは神山もすみれも思っていたが、今だけは言えないでいた。

すみれ「ではこの方角に進路を取ればよいのですね?」

グリシーヌ「ああ。大和と同型艦ならば、早くて翌日か、翌々日といったところだ。
我々がいないことで手薄になっている大和の為にも一刻も早い合流をしたい所だ」

すみれ「そうですわね。霊子甲冑のオーバーフローの問題もあります。急がせましょう。
では、巴里華撃団の皆さんは光武の補給をしている間、少しでも休憩を。部屋の用意はありますわ」

グリシーヌ「ふむ。そうだな。お言葉に甘えよう。すみれも戦闘と指揮の両方で疲れているだろう。少しでも休めよ」

すみれ「ええ。そうさせて頂きますわ。頼りになる隊長さんもいることですし、ね?」

神山の方を見て、少しいたずらそうに問いかけるすみれ。

神山「はは、分かりました」

グリシーヌ「頼むぞ、新生花組の隊長」

すみれと神山のやり取りを見てグリシーヌは微笑みながらそう神山に言葉をかけると休息に向かう。
艦橋を出る直前すみれの方を振り返り言った。

グリシーヌ「すみれ。帝国華撃団も紐育華撃団も、みんながすみれに会えることを心待ちにしている。
無事合流出来て落ち着いたら、うんと豪勢な宴を開こう」

すみれ「ええ。本当に、楽しみにしていますわ」

その後、神山はすみれから指揮と今後の進行の引き継ぎを受け、すみれが休息を取っている間、神山が待機することになった。巴里華撃団と合流した花組の戦力を警戒してか、降魔の襲来は無かった。

41 :こいこい :2022/12/26(月) 21:00:21.15 ID:s2kZOMWj.net
すみれとの交代時間が近付く頃、船内を回る神山は前方から巴里華撃団の隊員エリカが歩いてくるのを見つけた。

エリカ「あっ!新生花組の神山さん!おはようございます!」

こちらから挨拶する前にエリカから元気一杯の挨拶を受けた。何故か両手にはマラカスが握りしめられている。
挨拶する時にマラカスの小気味よい音がシャンと響いた。

神山「おはようございます。よく休めましたか?」

エリカ「ええ!もうバッチシです!起きた時に昨日すみれさんと再会出来たのが夢だったんじゃないかと思って、
ほっぺたをつねったんですけど、ちゃんと痛かったんですよ!」シャン

神山「それは、寝起きにやっても意味がないんじゃ…?」

エリカ「それで、艦橋に行ったらすみれさんがもうすぐ起きる時間ですって聞いて、
今からすみれさんを起こしに行くんです!」シャンシャン

話す度に動作を加えるのでその度にマラカスの音が通路に響く。

神山「そうだったんですね。きっとすみれさんも大事な仲間に起こして貰ったら喜びますよ」

エリカ「ええ!それでは、すみれさんを起こしに行って来ますね!それでは神山さん!また後でー!」シャンシャンシャン

エリカはそう言うとマラカスの音を響かせながら行ってしまった。

神山「何故マラカスを持っていたのだろう…」

疑問はさておき、神山は巴里華撃団の人達を思い浮かべる。
先程のエリカもそうだが、外見は自分達の花組の隊員とそう変わらないくらいに見えた。
伝説として語り継がれる世界華撃団連盟設立前の華撃団。
資料では知っていたが、実際に会ってみると自分達と変わらないうら若き乙女達に平和は守られていたことに改めて驚くのだった。

42 :こいこい :2022/12/26(月) 21:00:55.54 ID:s2kZOMWj.net
大和に進路を取り、合流予定まで半日といった距離まで移動した武蔵。
艦橋にはグリシーヌとすみれが襲来に備えて待機していた。

すみれ「しかし、幻都に突入してからというもの、一回一回の襲来の規模が向こうの世界とは大違いですわ。
武蔵の支援や十分な物資があるからなんとか今の所凌げてはいますけれど…。皆さんはいつもこの規模を相手に戦いを?」

グリシーヌ「ああ。大和と合流してから再度詳細な説明があるだろうが、
降魔皇は現実世界から流れ込んだ魔を呼ぶ感情を増幅し、降魔を生み出しているようだ。ハッキリ言えばキリがないよ。
霊子甲冑のオーバーフローの問題もあって今は三華撃団を遊撃、防衛、整備とローテーションして対応をしているが…。
この世界に魔が溢れ過ぎて内側から封印が破られないように降魔達を減らすので手一杯だ。
最終的な目標としている降魔皇討伐までは遠いな…」

すみれ「そんな過酷な戦いを十年以上も…」

グリシーヌ「だから、この膠着して降魔皇に対して攻め手を失っている現状で、突如現れたすみれ達は私達の希望の光なのだ。
共に降魔皇を倒す仲間として、頼りにしている」

すみれ「ええ。必ず降魔皇を倒し、一緒に帰りましょう」

グリシーヌ「帰る、か…。希望溢れるいい言葉だ」

すみれ「しかし、昨日から襲撃を受けないというのも妙ですわね。合流を阻止しようと猛攻を受けると予想しておりましたのに」

グリシーヌ「確かにな。ここまで来る途中にそちらで撃破してくれた降魔達の戦力補充に向こうも手間取っているのかも知れぬ。まぁ、そう上手くは行かないだろうが」

カオル「レーダーに反応!降魔襲来です!」

グリシーヌの予想通り降魔が襲来した。
グリシーヌとすみれはお互いの顔を見て苦笑する。

43 :こいこい :2022/12/26(月) 21:01:45.37 ID:s2kZOMWj.net
すみれ「霊子甲冑のオーバーフローを考えると連続稼働が可能な花組で対応した方が良いですわね」

グリシーヌ「そうだな。二の矢、三の矢があるかも分からん。巴里華撃団はそれに備えよう。新生花組の戦い、しっかり見させてもらおう」

すみれは一つ頷くと神山に向き合う。

すみれ「神山くん。お願い出来るかしら?わたくしもいつでも出れるように待機します」

神山「了解!帝国華撃団花組、出撃だ!」

神山の号令の下、花組が出撃し、降魔達との戦いが始まった。戦闘は順調に推移し、一波を退ける事に成功する。
しかし危惧したように敵の一波を退けると敵の第二波の来襲があった。

グリシーヌ「さて、我々の出番のようだな」

すみれ「ええ、お願いしますわ」

今回は後詰めの必要もなく艦橋に待機していたすみれ。

すみれ「しかし、敵は波状攻撃を基本戦法としているようですが、何か意図があるのかしら…?」

グリシーヌ「奴らの戦法は基本それだな。向こうも霊子甲冑が連続稼働出来ないことを知っている。
こちらの消耗を待って、一気に潰せるタイミングで大攻勢をかけたいのだろう。今までは、司令達の巧みな用兵でそのチャンスは与えなかったが…」

すみれ「ではこの幻都でも連続稼働出来るわたくしたちの霊子戦闘機は相手の思惑の裏をかけますわね」

グリシーヌ「ああ、だが、今回の襲撃はいつもより少数だ。向こうも連続稼働出来る可能性に気付いて、探りを入れてきているのかも知れん。
それを向こうに教えてやる必要もあるまい。巴里華撃団、出撃だ!」

グリシーヌの号令の下、霊子甲冑に乗り込もうとする巴里華撃団達。
そこにレーダーを監視していたカオルから新たな報告が飛ぶ。

44 :こいこい :2022/12/26(月) 21:02:27.39 ID:s2kZOMWj.net
カオル「降魔集団に対して高速で向かう機体があります!数は7機!…え?ひなたさん…?…はい!
武蔵のデータベースと照合!機体は霊子甲冑スター!紐育華撃団が運用する機体です!」

姿を現さないようにひなたが照合結果をカオルに伝えたらしい。
その報告を聞いたグリシーヌが苦笑する。

グリシーヌ「紐育華撃団の面々もすみれ達を待ち切れなかったようだな…。
ここは紐育華撃団に任せておけばよかろう。巴里華撃団出撃取り止め!敵の奇襲に備える!」

その時武蔵のモニターに通信が入る。
大和で使われている回線の認証も巴里華撃団から共有されている為、音声通信だけではなく、紐育華撃団の面々がモニターに映し出される。

大河「こちら紐育華撃団です!すみれさん!グリシーヌさん!ご無事ですか?」

懐かしの顔ぶれがモニター一杯に映っている。彼らも当時の姿のままだ。

すみれ「ええ。お久しぶりですわね。大河隊長…」

すみれの記憶に彼らとの交流が蘇る。
共に霊子甲冑で戦闘する機会はなかったが、それでも世界の都市が迷宮化した時には共に戦い、二都作戦に送り出す時は世界の平和を託して送り出した。
巴里華撃団との再会から、ずっと夢のようだ。流れ去った時間の溝を飛び越えて、共に戦った夢のようだった時間の続きを見ているようだ。

45 :こいこい :2022/12/26(月) 21:03:08.82 ID:s2kZOMWj.net
グリシーヌ「巴里華撃団も余力を残し、今から出撃するところだったが、どうやら待ちきれなかったようだな?」

その言葉を聞いて大河が苦笑する。

大河「どうやら要らぬ心配だったようですね。紐育華撃団のみんなも、一郎叔父…、大神総司令も待ち切れない様子で、お迎えに上りました」

大神の名前を聞いてすみれの心臓がドクンと鳴った。

すみれ「いえ、頼りになる援軍、感謝致しますわ。折角前後で挟撃出来る形ですもの、このままお願い出来るかしら?」

動揺を顔に出さないように花組司令として作戦を共有するすみれ。

大河「了解!」

そのやり取りを聞いていた神山からすみれに連絡が入る。

神山「では花組はこのまま戦闘を続けて紐育華撃団との共同作戦に移行します。
第一波が少数だったこともあって、連続稼働出来ることを敵に露見することもないと思いますが」

すみれ「そうですわね。グリシーヌさん、どう思います?」

グリシーヌ「そうだな…、通常我々が稼働限界になる時間よりも短い時間で一波を退けているし、その心配はないだろう」

すみれ「では神山くん、ご苦労ですけど、そのままお願いしますわ」

神山「了解!」

46 :こいこい :2022/12/26(月) 21:03:41.44 ID:s2kZOMWj.net
作戦行動に移る神山達を見てグリシーヌがすみれに言う。

グリシーヌ「頼りになる隊員達に恵まれたようだな。すみれ」

すみれ「ええ。わたくし自慢の仲間達ですわ」

後方より接近した紐育華撃団が接敵する。

大河「みんな!機動力を活かして敵集団に攻撃をかけよう!」

紐育華撃団「了解!紐育華撃団 レディー・ゴー!」

その攻撃を皮切りに新生帝国華撃団と紐育華撃団の共同作戦は順調に推移していった。
紐育華撃団の高い機動力を活かした攻撃に連携を崩した敵集団を帝国華撃団が各個撃破していく。
高い機動力を隊全体で保ちつつ、戦場を俯瞰し、花組が敵を撃破しやすいように敵を分断していく紐育華撃団の隊長の指揮に神山は舌を巻く。

神山「すごいな…。隊が一つの生き物みたいだ…」

大河「帝国華撃団隊長の方!もう一度敵集団を目の前に誘い出します!お願い出来ますか!」

神山「了解しました!お願いします!」

鮮やかな機動で敵集団を分断していく紐育華撃団。それを各個撃破する帝国華撃団。
紐育華撃団自体も敵の分断だけではなく敵集団を撃破していく。その中にはナイフを主武装とする霊子甲冑もいた。

47 :こいこい :2022/12/26(月) 21:04:14.28 ID:s2kZOMWj.net
戦いは終始こちらに優勢なまま終わった。

戦いが終わった後、敵の再度の襲来に備えて空中を舞う霊子甲冑スター達を見上げる神山。

神山「変形も出来る霊子甲冑か…。司馬に見せたらさぞ喜ぶだろうな」

大河「帝国華撃団隊長の方。聞こえますか」

神山の霊子戦闘機のモニターに紐育華撃団の隊長、大河進次郎が映る。
神山とそう変わらない年齢と思われる中性的な外見だ。単身日本を離れ、頼る者のない新天地で隊長を勤め上げ、紐育の平和を守り抜いた歴戦の隊長。
資料では知っていたが、自分とそう変わらない姿に巴里華撃団と会った時と同じ軽い衝撃を覚えた。

神山「はい」

大河「申し遅れました、紐育華撃団、星組隊長の大河進次郎です。
いきなりの共同作戦でしたが上手く合わせて下さってありがとうございました。おかげで被害なく敵を撃退出来ました」

神山「帝国華撃団花組、隊長の神山誠十郎です。
いえ、紐育華撃団の皆さんが上手く敵軍団を分断して下さったおかげです。凄まじい練度でした」

大河「いえ、そちらも素晴らしい動きでした。安心して敵集団をお任せすることが出来ました。
ぼく達はまだ稼働限界まで余裕がありますのでこのまま大和に帰投しますが、そちらとしても問題ないですか?」

神山「はい、巴里華撃団のみなさんも待機して下さっているので大丈夫です」

大河「分かりました。では大和でお待ちしていますね。それではすみれさん、帝国華撃団、巴里華撃団のみなさんもまた後で!」

そう言い残すと紐育華撃団は一糸乱れぬ編隊を組み大和のいる方向へ去っていった。

巴里華撃団と紐育華撃団の戦い振りを間近に見たがどちらも凄まじい練度だった。
何度も世界の危機から平和を守り、十年以上も損害なく戦い続けてきた戦士達の凄みを感じた神山だった。

48 :こいこい :2022/12/26(月) 21:04:55.52 ID:s2kZOMWj.net
紐育華撃団との共同戦線を経て大和に進路を取る武蔵。
段々と遠くに自分達の搭乗する武蔵と同じ型の空中戦艦大和が見えてきた。
その巨体故にまだ距離はあるものの把握が可能だ。

大和見ゆとの報に沸き返る帝国華撃団の面々。すみれもモニターに映る大和の姿を感極まった表情で見つめている。
前方に鎮座する大和から回線が開く。
そこには旧・帝国華撃団総司令、花組隊長、帝都、巴里の両方で平和を守り抜いた伝説の中の伝説の隊長、大神一郎の姿があった。

大神「…前方の空中戦艦の方、聞こえますか。こちらは貴艦の進行方向にある空中戦艦大和、総司令官の大神一郎です」

神山(この人が、旧花組の隊長で、すみれさんと共に何度も戦った大神一郎隊長…。)

神山はすみれの方を見る。すみれはいつもの様に凛とした姿で立ち、返答する。

すみれ「こちらは空中戦艦武蔵、帝国華撃団司令の神崎すみれです。聞こえていますわ。…大神隊長」

すみれの返答を受けた大神が表情を崩す。

大神「すみれくん…。本当に、すみれくんなんだね…」

すみれ「ええ…、やっと会えましたわね、大神隊長…」

大神「すまなかった…。すみれくん一人に辛い思いをさせるような事になってしまって…」

すみれ「いえ、いいんですわ。やっと、やっとこうして会えたのですもの…」

大神「すみれくん…」

すみれ「大神隊長…」

二人の間に沈黙が降りる。モニター越しに見つめ合う二人。
その時、モニターに映る大神の後ろの扉から大きな声が聞こえてきた。

49 :こいこい :2022/12/26(月) 21:05:41.50 ID:s2kZOMWj.net
???「すみれと連絡が取れているだってぇ?!本当かよ?!」

???「わー!あきまへんてカンナはん!隊長が今向こうさんと色々通信中やで!」

???「そうよカンナ、もうすぐ合流出来るっていうし、邪魔になるわ」

???「うるせぃ!これが大人しくしていられるかってんだ!」

バン!と大神の背後にある扉が開け放たれる。
現れたのは旧帝国華撃団隊員の桐島カンナを始めとする、旧花組の隊員達だった。

現れた隊員達に目を丸くするすみれ。

すみれ「カンナさん…。それにみんな…」

50 :こいこい :2022/12/26(月) 21:06:17.15 ID:s2kZOMWj.net
カンナと呼ばれた大柄な女性がずんずんとモニターに近付いてくる。
武蔵のモニターにはカンナの顔が所狭しとアップになっている。

カンナ「すみれぇ!本当にすみれじゃねぇか!!ん?ちっと老けたか?!」

その言葉を聞いたすみれがこめかみをヒクつかせながら答える。

すみれ「カンナさん…?十年以上振りの再会にその言葉はあんまりなんじゃありませんこと…?」

カンナ「なんだよ!見たままを言っただけじゃねぇかよ!」

すみれ「あなたねぇ!カンナさんこそ十年以上も経っているのにその言い方!振る舞い!
山猿みたいな所がちーっとも変わってらっしゃらないじゃないの!!」

カンナ「あんだとー!おめぇだってそのサボテンみたいな言い方!ちっとも変わってねぇじゃねぇかこのサボテン女!!」

すみれ「そうさせているのはカンナさんじゃありませんの!」

カンナ「なんだとー!」

すみれ「なによ!」

突然始まった二人の口喧嘩に唖然とする武蔵の面々。
モニター越しでは旧帝国華撃団の人達が頭を抱えている。

51 :こいこい :2022/12/26(月) 21:06:57.43 ID:s2kZOMWj.net
しばらくの言い合いの後、言い合いがピタリと止まり沈黙が訪れた。

カンナ「ははは…」

すみれ「ふふっ…」

急に二人の口から笑いが溢れだす。

カンナ「はーはっはっは!変わってねぇなぁすみれ!」

すみれ「ふふ、カンナさんこそ」

カンナ「元気そうで良かったよ。安心した」

すみれ「わたくしもですわ。それにみんなも…」

カンナの後ろにいる花組の仲間達に視線を移すすみれ。
花組のみんなが変わるがわるすみれの名を呼ぶ。

マリア「すみれ、本当に元気そうで…」

すみれ「ええ、マリアさんも…」

紅蘭「すみれはん、ホンマに会いたかったで…」

すみれ「わたくしもですわ。紅蘭さん…」

アイリス「すみれが戦ってるところを見てあたし、すぐにすみれだって分かったよ!やっと会えたね!」

すみれ「アイリスがみんなに知らせてくれたって聞きましたわ。ありがとうアイリス」

52 :こいこい :2022/12/26(月) 21:07:20.41 ID:s2kZOMWj.net
織姫「すみれサン、元気そうで何よりデース!」

すみれ「ええ、織姫さんも…」

レニ「すみれのことを聞いてからみんな、すみれのことを待っていたんだ。もちろん、ボクも」

すみれ「レニさん…」

最後に、着物姿の女性が前に出る。その姿をみて天宮さくら、新生帝国華撃団花組の面々がハッとする。

さくら「すみれさん、こうしてまたお会いすることが出来て、本当に、嬉しいです…」

真宮寺さくらの目から大粒の涙が溢れる。その涙を皮切りに後ろにいた旧花組達の目にも涙が浮かぶ。
すみれも先程からずっと潤んでいた目から堪え切れず涙が流れた。

すみれ「ええ、わたくしもですわ。さくらさん…」

53 :こいこい :2022/12/26(月) 21:07:57.82 ID:s2kZOMWj.net
モニター越しでの再会を果たしたすみれと旧帝国華撃団。
大神からの指示で武蔵を大和の真横に停泊させ、二つの艦を連絡通路で接続した。

武蔵から大和に移動する帝国華撃団花組と巴里華撃団。
大和に辿り着くと、待ち構えていた旧帝国華撃団に囲まれるすみれ。

紅蘭「ホンマのホンマに、すみれはんやー!」

アイリス「会いたかったよ、すみれー!」

他の旧花組の面々もすみれをぐるりと取り囲む。

すみれ「みなさん…。わたくしも本当に、会いたかったですわ…」

すみれの目から再度涙が流れる。

カンナ「なんでぃ、また泣いていやがる」

すみれ「そういうカンナさんだってさっきも今も、泣きっぱなしじゃありませんの」

カンナ「しょーがねぇだろ。出ちまうもんは出ちまうんだ」

そう言いながら二人は抱擁を交わす。
抱き合いながらながら二人は会話を続ける。

54 :こいこい :2022/12/26(月) 21:08:30.78 ID:s2kZOMWj.net
すみれ「カンナさん、わたくしが皆さんを送り出した日の事を覚えていますか?カンナさんはわたくしにこう言って下さいました。
『お前がいなくったってあたいがお前の穴はきっちり埋めるぞ。お前がいなくなっても帝国華撃団はびくともしないぞ。だからすぐ帰ってくるからそれまで帝都で待っていろ』って…。
でもそれから時間は流れて…。待ち切れなくなってしまって、わたくし、ここまで来てしまいましたわ…」

カンナ「…もちろん、覚えてるよ、すみれ。すまなかったよ…」

すみれ「いえ、わたくしもこの幻都に来て、ここが過酷な世界だというのは十分知りましたもの。
皆さん、本当に、本当に大変だったでしょう…。今のは、ただのわたくしのイジワルですわ…」

カンナ「ああ…」

しばらく無言で抱き合った後に二人は離れた。

「すみれくん」

今まで隊員達の後ろで再会を見守っていた大神がすみれの前に来た。

すみれ「大神隊長…」

大神「本当に、ここまで来てくれてありがとう…。それと帝都の平和を、みんなの帰る場所を守っていてくれて、ありがとう」

すみれ「いえ、当然の事ですわ…」

またすみれの目にじわりと涙が浮かぶ。

大神「こんなことを幻都で言うのも、おかしなことかも知れないけど、おかえり、すみれくん」

すみれ「大神隊長…っ」

大神の胸に飛び込むすみれを優しく包み込む大神。
しばらくすみれのすすり泣く音だけがこだました。

55 :こいこい :2022/12/26(月) 21:08:55.20 ID:s2kZOMWj.net
真宮寺さくら「…あの、すみれさん?長くないですか?」

十年以上の年月を経た再会の抱擁に最初は感動的な表情を浮かべていたさくらだが、
時間が経つにつれて、頬が膨らんでいき、ついに堪え切れなくなったのか指摘した。
すみれはさくらの方を向き、意地悪そうな表情を浮かべた。

すみれ「いいえ、十年以上ですもの、これでも足りないくらいですわ。…と冗談はこれくらいにして、と」

すっと大神から離れるといつもの帝国華撃団司令の顔に戻るすみれ。

すみれ「これまでのことと、これからのことを話し合いましょう」

56 :こいこい :2022/12/26(月) 21:09:22.75 ID:s2kZOMWj.net
大和の大会議室に移動する全華撃団と司令達。
すみれは米田に真っ先に挨拶した後、他の司令達にも再会の挨拶をしていくのだった。
帝国華撃団、藤枝かえでとも再会を喜んだ。
米田は目を潤ませながら再会したすみれの無事を喜んだ後、これまでの事をすみれに尋ねた。

すみれ「これまでの事を語るのはわたくしではなく、こちらの新生帝国華撃団花組隊長の神山誠十郎からお話させて頂きますわ。
わたくしはただ、根回しや調整をしていただけで、一番現場の近くにいたのは彼ですもの」

すみれの紹介を受けて神山はこれまでの事を話しだす。
二都作戦によって前華撃団が幻都に消えてからどのようなことが起こったか。


世界華撃団連盟の設立。世界中の都市の急速な発展、それに伴う新設の華撃団の増加。
降魔皇配下の幻庵葬撤が実は生き残っており、世界華撃団連盟に潜伏し、降魔皇復活を目論んだこと。
世界中に発信されながら発覚したその事件は騒動を呼び、世界華撃団連盟の見直し、その隙を付いた莫斯科華撃団の反乱などを経て
今回の降魔皇討伐および旧華撃団の救出作戦が立案、実行に移されたこと。

また、前華撃団消滅のきっかけになった降魔大戦の裏で、どのような暗躍があり天宮さくらの母、ひなたの命を代償に二都作戦の鍵となる帝剣が作られたか、
そして三つの華撃団とそれに連なる関係者達をその思惑の中で幻都に葬ろうとされたことも包み隠さず話した。

全てを話し終えた会議室には只々重い沈黙だけが広がっていた。

57 :こいこい :2022/12/26(月) 21:10:05.79 ID:s2kZOMWj.net
米田「冗談じゃねぇぞ…」

陸軍の軍服に身を包んだ老境の男性が怒りに震えながら口を開く。
米田は、すみれ、大神一郎の前の帝国華撃団支配人で現在の華撃団の基になった構想を作った大人物だ。
また、かつての日清、日露戦争でも活躍し、その勇名は神山の所属する海軍まで轟いている。

米田「じゃあなんだ?俺たちゃその賢人機関の大馬鹿野郎の思惑にまんまと乗って、
守るべき一般人の命を利用してここまで来たって事かよ…!」

米田の怒りは誰しもが同じようで、横にいる総司令の大神も怒りを隠せない様子だ。各華撃団の面々も怒りや沈痛な表情を浮かべている。

米田「俺達軍人は別にいい。守るべき者の為に命を賭けて戦うのが仕事だ。
しかし、その戦いをするのに守るべき者の命を利用するような事は許されねぇんだよ…!!!」

米田が拳を机に叩きつける。沈黙が支配する会議室に机を叩いた音が響く。

米田「…いや、すまねぇ。怒るのが先じゃ無かったな。…天宮さくらさん」

立ち上がりながら母の命を帝剣に捧げた天宮さくらを呼ぶ米田。大神も米田と同じく立ち上がっている。

天宮さくら「は、はいっ!」

急に名前を呼ばれて跳ねるように返事をするさくら。

米田「申し訳ない。俺達は貴方の母親の命を使ってここに来ちまった。許される事じゃない。本当に申し訳ない…」

そう言って米田は深々と天宮さくらに頭を下げた。

58 :こいこい :2022/12/26(月) 21:10:43.64 ID:s2kZOMWj.net
大神「米田さんの言う通り、許される事では無い。これは総司令である自分の責任だ。
責任が取れるならどんな事でもする。本当に申し訳ない…」

大神も深々と頭を下げる。
それと同じく旧華撃団の面々からも謝罪の意が表明された。

天宮さくら「ちょっ、そんなに皆さん謝らないで下さい!それに母も平和の為を思っての事だと私は十分に理解していますから!」

大神「いや、しかしそれでも…」

天宮さくら「そっ、そんな尊敬する皆さんからそうされると恐縮しちゃいますから!あわわわ。お、お母さん!なんとか言ってー!」

あわあわと懐から小型霊子水晶を取り出すさくら。その小型の霊子水晶から一人の少女の姿が映し出された。

天宮ひなた「あ、どうも。娘がお世話になっております。天宮さくらの母、ひなたです」

59 :こいこい :2022/12/26(月) 21:12:05.38 ID:s2kZOMWj.net
騒然とする会議室。
映し出された少女ひなたは霊子水晶に顕現するようになった経緯を説明した上で、謝罪は受け取った事。
しかし、絶界の力を持つ一族としての定めとして納得、覚悟の上だった事。
自分の力が娘の生きる世界を守ることに繋がるのならば本望とまで言い、それは軍人や世界を守る使命を持った華撃団の人々ならば分かってくれるはずだと、
周りを納得させたのだった。

これ以上、場が沈痛な雰囲気にならないようひなたも映し出された状態で話し合いは続けられた。

ひなた「今までのお話を拝聴していました。幻都の中で十年以上も内側から封印が破られないように頑張っていらした華撃団の皆様には頭が下がります。
賢人機関の一派の思惑に乗せられてしまったとは言え、結果を見ればそれが平和を守る行為になった訳なのですね。
しかし、当時の降魔大戦時の降魔皇は皆さんのお力を持ってしても倒せない敵だったのですか?」

大神「はい…。降魔皇に攻撃をかけるも攻撃をした側から周りから魔となる感情を吸収し、修復されてしまいました…。
我々としても、現実世界で降魔皇を討伐するのは不可能、出来たとしてもそれまでに被害が拡大しすぎる事を考えて、
賢人機関、および政府関係から命令された二都作戦を実行したのです。それが…」

天宮ひなたの命を代償とする作戦だったとは、と大神が続ける前にひなたが遮る。

ひなた「大神さん、それはもうよいのです。その降魔皇が吸収、復元してしまうという状況は幻都に来ても変わっていないのでしょうか?」

ひなたは何か確信があるように話を続ける。

60 :こいこい :2022/12/26(月) 21:12:40.33 ID:s2kZOMWj.net
大神「はい。おそらく降魔皇のその性質は変わっていません。
ですが、お気付きのように降魔皇がこの幻都に封印されてから、現実世界との繋がりは薄れ、魔を生み出す元となる世界で暮らす人々の悪感情も降魔皇の所まで届きにくいようです。
長い戦いの中で降魔皇自身が我々に攻撃を加えてきていないことを考えると、
降魔皇は魔を呼ぶ感情を増幅させ、配下である降魔達を生み出す事に専念しているように思えます。
その考えに至った経緯として、さくらくん…。いや、真宮寺さくら隊員から説明してもらった方がよいでしょう」

大神は旧帝国華撃団花組の真宮寺さくらを見ると一つ頷いた。さくらも大神に頷き返すと説明を始める。

さくら「はい…。幻都での戦いを長く続けていた私達ですが、その戦いの中で何度も危機に陥りました。
その時、私は降魔皇の意思の干渉を受けた事があります。その時は皆さんの救援ですぐに助けられたのですが、
干渉を受けた時に降魔皇の存在、というよりも存在の在り方を感じたのです。
以前帝都、巴里、紐育などを危機に陥れた災害は過去の人物の怨念が具現化し、災厄をもたらしたものでした。
ですが、降魔皇の存在は特定の過去の人物ではなく、ただ純粋な人の持つ悪感情の概念が固まり、具現化しているように感じられました。
それに降魔皇に吸い寄せられる悪感情…。それが降魔皇の核と思われる器のようなもので何倍もの規模に増幅され降魔皇の血肉になり、降魔を生み出していたのです」

真宮寺さくらは新生花組達に視線を向け、話を続ける。

さくら「降魔皇に取り込まれそうになっている時、自分の中の悪い心が際限無く増えていって恐怖を覚えたことをよく覚えています…。
また、自分の中に魔が入り込もうとしていることも。新生帝国華撃団の皆さんが戦ったという私に良く似た夜叉…。
それはきっと降魔皇の干渉を受けた際に私から読み取った情報が降魔皇や幻庵葬撤に利用されて、夜叉という脅威を生み出したのではないかと思っています…。
そして皆さんの助けになったという私の意思…。
取り込まれそうになる中で必死に抗った私の霊力や意思がどこかに残り、それが天宮さくらさんの心に反応した結果だったのかも知れません」

語り終えたさくらは大神の方に視線を向けた。

61 :こいこい :2022/12/26(月) 21:13:06.12 ID:s2kZOMWj.net
大神「さくらくんが体験した出来事を基に推測すると、幻都という環境の中で降魔皇は現実の世界のように無尽蔵に悪感情を利用する事が出来ず、
増幅させる事に注力しているらしい。
そして、その降魔皇の核と思われる増幅させる器。
それを踏まえて、悪感情の概念が具現化した降魔皇の核を打ち砕く事が出来れば降魔皇は倒せるのではないかと我々は考えている」

大神の横に控えていた藤枝かえでが話を引き継ぐ。

藤枝かえで「具体的な方法については私から…。
降魔皇の核を砕くと言っても、砕いた所で悪感情が渦巻く環境ではまた新しい核が出来て、復活してしまうのではないかという危惧から、
まず降魔皇に吸い寄せられる悪感情を全て降魔皇に凝縮させる結界を張り、その中に降魔皇を形作っているものを全て押し込めます。
そして、中心で固まりきった降魔皇を直接攻撃し、打ち砕くことで降魔皇を消滅させることが出来ると考えています」

米田「柔らかくて霧散しちまうなら、押し固めてからぶっ叩いちまおうって話だ」

かえで「はい。結界陣についてはすでに研究済みです。
しかし、結界を張るには三方向から同時に陣を展開しなければならないのと、
霊子甲冑の活動限界の制約もあって結界の作成、降魔皇を直接攻撃する戦力がどうしても捻出出来ませんでした。
そして何より、降魔皇本体を結界によって押し固めるということはそれだけ降魔皇本体も強化されてしまう事が予想されます。
この作戦が失敗してしまうと封印の内側から結界を破ろうとしている降魔皇を止める者がいなくなってしまう。
作戦が失敗した時の事と戦力の確保の困難さから実行が不可能でした」

大神「しかし、今は状況が違う。新生帝国華撃団が来てくれた事により力関係はこちらが有利になっている」

大神が真っ直ぐに新生帝国華撃団を見つめながら言う。

大神「君達はまさに俺達の希望の光なんだ。力を貸してくれないだろうか」

大神のその言葉に新生帝国華撃団の面々は力強く頷くのだった。

62 :こいこい :2022/12/26(月) 21:13:58.15 ID:s2kZOMWj.net
その後も話し合いは続けられる。

霊子甲冑の活動限界に対して、新生帝国華撃団の運用する霊子戦闘機が活動限界の制限を受けないことについて、
新生華撃団の技術部の司馬から、霊子甲冑に比べ霊子戦闘機は少ない霊力でも動かせる設計になっており、
可動に霊力を大量消費しない分、空中から霊力の過給も受けず活動限界を迎えないのではないかという見解が伝えられた。

武蔵がこれまでの道中で見てきた帝都を移したはずの幻都が広大な世界になっていることが話題に上がると、
大神達が幻都に突入した時は確かに帝都程の広さしかなかったという。
おそらく現実世界の都市の発展に伴い、そこから吸い上げられる悪感情に呼応して幻都の世界が広がっていったのだろうという結論に至った。
事実、幻都に存在する街並みには帝都とは似つかない文明、建築物も見られ、その様式は神山とすみれが見て回ってきた都市と酷似していた。

濃密な情報交換の時間が過ぎて行き、肝心な降魔皇を包囲し結界を張り降魔皇を打ち倒す段取りについて話し合っていく。
ここまで広大になってしまった幻都の世界。
現れた複数の都市から特に魔を生む感情が多く漏れ出ていることから、降魔皇が居城を構えていると思われる幻都最初の都市、幻の帝都までにある複数の都市を攻略して行き、
帝国華撃団のもう一つの顔である歌劇団として都市の浄化をしながら敵戦力の増大を防ぎ、幻の帝都への侵攻をしていくという段取りが組まれた。

段取りが決まった後は作戦の行動の開始時期について意見が出されていく。
新生華撃団が大和へ合流する道のりの中で、多くの降魔の軍勢および数体の上級降魔を倒している事を考えると降魔達が弱体化している事が考えられ、
今すぐにでも侵攻を開始するべきという意見と、新生華撃団の霊子戦闘機が連続稼働の制限を受けない設計を既存の戦力にも流用し、戦力の充実を待ってから侵攻を開始すべきという案、
どちらの案も取り入れて並行して作業を行う、というの三つが検討された。

どれも一理ある意見である為、それぞれが頭を悩ませる。
その時、大和のレーダーを監視していた旧帝国歌劇団風組榊原由里から緊急放送で降魔の襲来が告げられる。

63 :こいこい :2022/12/26(月) 21:14:46.02 ID:s2kZOMWj.net
その規模は大神達ですら経験したことの無い大軍勢であり、
合流前の戦闘で紐育華撃団と、新生帝国華撃団の出撃を見ていた降魔達が4つの華撃団のうち2つは稼働限界で動けないと考え、
攻撃をかけてきたのではないかと予想された。

大神総司令の指示の下、大和、武蔵の全周を覆う大軍勢に全華撃団を持って防衛にあたる。
霊子戦闘機が連続稼働出来る事も露見してしまうだろうが、出し惜しみをしている状況ではなかった。

経験したことの無い大規模の戦いを前に天宮さくらが神山に全華撃団への連絡を取りたいと申し出があった。
全華撃団に対して、自分は世界の平和を守る為と華撃団の救出の為に幻都まで来た事。
自分の事を母を犠牲にされた娘としてではなく、志を同じくする華撃団として今ここに立っている事。
正義を信じる華撃団隊員としてみんなと共に行く事を迷いの無い表情で告げた。

天宮さくらの発言に士気を上げる全華撃団の隊員達。戦いは熾烈を極めたが、防衛は成功に終わり、複数の上級降魔も討ち取る事が出来た。

64 :こいこい :2022/12/26(月) 21:15:16.78 ID:s2kZOMWj.net
その後、敵の撃退により降魔の戦力低下を見た大神は敵地への侵攻を決断。
大和と武蔵はその設計段階からドッキング出来る設計になっており、双胴船のような形状となり一つの戦艦となって空を飛んだ。

各華撃団の活躍によって敵の勢力化にある都市を攻略していく。
攻略した都市では都市の浄化の為の演劇、歌劇がそれぞれの華撃団によって行われ、
それまで息抜き程度でしか行われていなかった久しぶりの大掛かりな劇に隊員達は大いに盛り上がる。
紐育華撃団の舞台では見慣れぬ女優プチミントが実は紐育華撃団隊長の大河進次郎が扮した姿である事に新生帝国華撃団の全員が驚く事もあった。

侵攻に並行して、全ての華撃団の技術部が集結。既存の機体が稼働限界を迎えないよう改修作業を行っていく。
旧帝国華撃団花組の李紅蘭など目を輝かせて霊子戦闘機のフレームワークを作った人は天才だと目を輝かせていた。
改修作業により試製桜武、天神も使用可能となった。

次々と都市を攻略し、その度に都市を浄化していく華撃団。
旧帝国華撃団花組の出撃に霊力の復活した神崎すみれが同時に出撃し、
空いた年月を感じさせないチームワークを披露し、新生帝国華撃団の面々を驚かせる一幕もあった。

共に死線を潜り抜けていく中で新生華撃団と以前の華撃団達の間に確かな信頼関係が構築されていく。
艦内の至る所で新旧の区別なく交流が行われ、天宮さくらも憧れだった真宮寺さくらと交友する仲になっていった。

交友していく中でハプニングも少なからず起きた。
男同士の親睦を深めようと大神、大河、神山で風呂に入って語り合う時、女性陣達に対して三人とも何故か身体が勝手に動いてしまったり、
司馬が帝国華撃団薔薇組の丘菊之丞に対し、恋に落ちてしまったかもしれないと相談しにきて、神山も恋の応援をしていたら実は丘菊之丞が男性だったと発覚したり、
紅蘭と司馬の珍妙な発明品合戦が行われ、そのどれもが爆発したり、と過酷なはずの旅路にも笑いがあった。

武蔵が現実世界から幻都に向かう時に託された華撃団へのメッセージも配られ、故郷へ無事帰る気持ちを一層強める事もあった。

65 :こいこい :2022/12/26(月) 21:15:39.95 ID:s2kZOMWj.net
そしてついに降魔皇の居城である幻の帝都まで辿り着いた華撃団。強固な絆で結ばれた全ての華撃団により追い詰められていく降魔皇。

そして降魔皇を打ち砕く為の結界が張られた。高濃度で凝縮された悪感情が渦巻く結界の中に仲間との絆を信じて飛び込む全華撃団の隊員達。
次々と間近で生み出される強力な降魔を打ち払いつつ降魔皇に辿り着く。
そしてついに降魔皇との決戦に挑む華撃団達。

降魔皇「我を形作っているこの感情も、お前達が生み出したものではないか!自分達に都合のいい感情だけを信じ、
都合の悪い事を直視出来ぬお前ら人間に未来など不要だ!」

大神「確かに憎悪も、憎しみも、人の心から出たものだ!しかしそれを乗り越えることで人は強くなれる!」

大河「悪感情を増幅し、乗り越えられない障害にしているあなたは間違っている!」

降魔皇「増幅された悪感情を乗り越えられないのならば人はそれまでの存在だったということ!
これからも貴様達人間は自らが自らを呪い、醜い感情の中で過ごし死んでいくだろう!」

神山「そんな事は俺達華撃団がさせない!人は自分の心の闇とも希望さえあれば共存出来る事をクラーラの件で俺達は知っている!
ここでお前を倒し、世界中の人達に希望を届けてみせる!」

降魔皇の断末魔が幻都の世界の隅々まで響いた。

大神、大河、神山隊長達の攻撃により、降魔皇を打ち倒すことに成功した華撃団。
戦いが終わった戦場で、それぞれの無事と作戦の成功を喜び合う。

十数年にも渡る旧華撃団達の戦いと、長い道のりを経て旅をしてきた新生華撃団の戦いはこうして終わった。

66 :こいこい :2022/12/26(月) 21:16:22.04 ID:s2kZOMWj.net
戦いの終わった後の幻都。
幻都からの脱出の準備の為、各所でリボルバーカノンの弾丸の中に物資、人員を収容していく大和と武蔵。
武蔵の艦橋で霊子水晶を前に天宮さくらと天宮ひなたの別れの会話が行われていた。それを見守る神山。

さくら「降魔皇も倒す事が出来て、後は幻都から現実世界に帰るだけになっちゃった…。
現実世界に帰ったらお母さんとこうして話す事も出来なくなるの…?」

ひなた「そうよ、さくら。私がこの姿を取っていられるのもこの幻都という特殊な環境がそうさせているからだもの。
でもね、私は貴方の持つ帝剣にずっと宿っていたわ。
今まで、貴方が苦しんだり悩んだりしてた時も、楽しかった時や嬉しかった時も、ずうっと、側で見守っていたのよ。
だから心配しないで、私はずっと貴方と共にいるから。そして、降魔皇の脅威の無い世界でいろんな事をして、生きていきなさい。
私は貴方の側にずっといるからね…」

さくら「お母さん…」

さくらの頬に大粒の涙が伝う。

67 :こいこい :2022/12/26(月) 21:16:53.03 ID:s2kZOMWj.net
ひなた「神山くん」

さくらに向けていた慈愛の表情のまま神山に向き合うひなた。

神山「はい」

ひなた「小さい頃も、そして今も、さくらの隣に居てくれてありがとう。
これは私の勝手なお願いだけど…これからもずっとさくらの側に居てくれるかしら?」

そんなお願いをされなくてもさくらは立派に帝国華撃団の仲間だ。華撃団の仲間は家族とさえ思っている。
神山は戸惑う事なくひなたの質問に首肯した。

神山「はい、安心してください。
これからもさくらの側には、俺がいます」

さくら「せ、誠十郎さん…」

何故か頬を赤く染めるさくら。

ひなた「その言葉を聞いて安心したわ。さくらをどうかよろしくね。…さ、もう行きなさい。貴方達の帰るべき場所へ」

後ろ髪を引かれながらもリボルバーカノンの元へ向かうさくらと神山。
そこでは華撃団の隊員達が順番を待ちながら談笑していた。

68 :こいこい :2022/12/26(月) 21:17:33.50 ID:s2kZOMWj.net
さくら「あの時から十年以上たった帝都、きっと様変わりしているんでしょうね…」

マリア「まるで浦島太郎みたいね」

レニ「浦島太郎といえば玉手箱…」

織姫「そうデース!箱を開けたらドロロン!浦島太郎はお爺さんになってしまいマシタ!」

エリカ「ってことは私達もお爺さんになってしまうんですかー?!」

グリシーヌ「いや、お爺さんにはならないだろう。なるとしたらお婆さんだ」

アイリス「えー!やだー!この姿から一気にお婆さんなんて!綺麗な大人のおねーさんになりたいー!」

コクリコ「ボクもやだよー!」

リカ「リカはご飯が食べられれば何でもいいぞ!」

カンナ「みんな心配すんなって、外の時間を考えりゃそんなに年を取ることはねぇって、
ちーっとばかりすみれみたいに目尻にシワが出来るくらいだよ」

すみれ「あのねぇカンナさん…?」

紅蘭「大丈夫やで!すみれはん!すみれはんの目尻には、シワなんてあらへん!!」

グランマ「みんなまだまだだねぇ。一流のレディってもんは年を経るごとに美しくなるもんなのさ。
それが分からないうちはまだまだお子様だよ」

米田「俺なんか一気に十年以上老けたらポックリ逝っちまうんじゃねぇかな」

69 :こいこい :2022/12/26(月) 21:18:12.82 ID:s2kZOMWj.net
大神「米田さんまで…。あ、神山くん、天宮くん、もうお別れは済んだのかい…?」

大神が戻ってきた神山と天宮を見つけて気遣わしげに声をかけた。

神山「はい。後はさくらが帝剣を発動して幻都に再び境目を作り出し、そこからリボルバーカノンで脱出すればこの作戦は完了です」

大神「そうか。君達には本当に助けられたよ。ありがとう」

神山「いえ、華撃団に所属する者として、当たり前の事をしただけです」

大神「…この幻都に十年以上いたけど、それも最後だと思うと何だか変な気持ちだよ。
…この幻都は作戦の後はどうなるんだろう」

神山「この世界に来てからずっと幻都を観測していたひなたさんによると、脱出の時に開けた穴から現実世界に流れるように溶け出て、
最後は完全に混じり合って消えてしまうだろうとのことでした。…その名前の通り、最初から幻だったように」

大神「そうか。この大和、武蔵ともここでお別れだな…」

神山「はい…」

大神も神山も海軍所属だ。
自分の命を預けた船に対する愛着は言葉に出さずとも共有出来ていた。

70 :こいこい :2022/12/26(月) 21:18:35.58 ID:s2kZOMWj.net
全員の収容を確認し、天宮さくらが大和、武蔵の霊子水晶から霊力を吸い上げ帝剣を発動する。
幻都に来た時と同様の光が煌めき、幻都の上空に現実世界との境界が出現した。

大和、武蔵のリボルバーカノンから現実世界に向かう弾丸が発射されていく。
当初の予定では自動発射装置を用いる予定だったが、今は両戦艦とも天宮ひなたが管制して戦いを終えた戦士達をその手で送り出していた。

絶え間無く続くリボルバーカノンの砲声は、長く苦しい戦いが終わったことを祝う、祝砲のようだった。

71 :こいこい :2022/12/26(月) 21:19:06.32 ID:s2kZOMWj.net
幻都の境界を突破し現実世界に帰還した新旧華撃団達。
幻都を抜けた先は幻都に突入した時と同じ場所の東京湾だった。
英雄達の帰還を知り回収船が華撃団の乗るリボルバーカノンの弾丸に幾隻も向かって来ている。

海に浮かぶリボルバーカノンの弾丸から現実世界の空を見上げると幻都との境目から霊力が漏れ出し、空と干渉してオーロラの様な現象を生み出していた。
オーロラは世界中に広がり、全世界の空を三日三晩覆った。
世界中がその光を目撃し、含まれる霊力の作用か、難病が治る人々も続出した。
人々はそれを奇跡の光と呼んだ。

降魔皇討伐、旧華撃団生還の報は世界中を駆け巡り、英雄達の帰還に世界中が沸いた。

旧華撃団の姿は幻都にいた時と変わらず、急激に歳を取るということはなかった。
降魔大戦の時から姿が変わらない事を旧華撃団の姿を知る者達には驚きを持って迎えられた。
姿が変わらない事や幻都に長く居た影響が身体に悪影響を与えていないかを調べる為に、
旧華撃団の全員が世界最高の設備で検査したが問題は見つからなかった。

世界と旧華撃団を救った新生帝国華撃団は世界中の注目を浴び、各国の取材陣の対応にすみれと神山は追われていた。
取材陣の中には幻都に出発する前に神山と話した記者もいた。

旧華撃団の検査が終わった報せを受け、旧華撃団の隊員達を迎えに行く神山。
これから華撃団隊員だけで無事帰って来れた祝いを帝国劇場を使って行う予定だ。

72 :こいこい :2022/12/26(月) 21:19:34.49 ID:s2kZOMWj.net
帝国劇場に着いた旧華撃団達。旧帝国華撃団にとっては十年以上の久し振りの故郷だ。

帝国劇場を眺める旧帝国華撃団の隊員達。

紅蘭「ほんまに、帰って来たんやな…」

マリア「ええ、そうね…」

感慨深く劇場を見上げる旧帝国華撃団の隊員達。
帝国劇場の扉をくぐりロビーを見渡す。

レニ「帝国劇場の、匂いがする…」

レニは傍らに座る犬を撫でながら言った。幻都にも一緒について行っていた犬で名前はフントというらしい。

フント「わん!」

織姫「本当に、懐かしいデース…」

アイリス「うん…」

さくら「ええ、本当に…」

カンナ「このロビーの景色だけで何だか胸がいっぱいになっちまうな」

大神「ああ、本当に帰ってきたんだな…」

そう口々に言う旧帝国華撃団の目は潤んでいた。旧帝国華撃団の風組達などはすでに涙を流しながらお互いを慰めている。
久しぶりの帰郷に感動する帝国華撃団を優しく見守る神山と巴里、紐育華撃団の隊員達。

73 :こいこい :2022/12/26(月) 21:20:01.55 ID:s2kZOMWj.net
神山「では、食堂で宴会の準備が出来ておりますので皆さんこちらにどうぞ」

神山はそういって食堂に旧華撃団達を案内する。
そこには一足先に新生帝国華撃団や幻都にいる間帝都を守っていた伯林、上海、巴里華撃団隊員達もいた。
また幻都から帰還の方を受けた倫敦華撃団の2人も駆けつけていた。食堂のテーブルには所狭しと料理が並べられている。

食堂に入ってきた旧華撃団の隊員達を見て天宮さくらが周りを見渡して言う。

天宮さくら「じゃあ、いくよ?せーのっ」

華撃団隊員達「「「おかえりなさい」」」

そうして宴会は始まった。

74 :こいこい :2022/12/26(月) 21:20:30.37 ID:s2kZOMWj.net
カンナ「うんめぇうんめぇ!久しぶりの帝劇の味だぜぇ!」

カンナはそう言いながら勢いよくご飯を平らげていく。カンナの周りにはすでに空になった器が山となっている。
横のテーブルでは紐育華撃団のリカリッタもすごい勢いでご飯を食べていた。

すみれ「まぁ、カンナさん。久しぶりだというのならもう少しゆっくり味わって召し上がったらいかが?うちの隊員達がびっくりしていますわ」

カンナ「うるせい!こちとら十数年ぶりの帝劇の味なんだ!がっつきたくもならぁ!」

また口喧嘩が始まるかと思いきや、すみれの表情は柔らかく、食堂の椅子に座るカンナを懐かしむように目を細めた。

すみれ「ええ、本当にね…。よく十数年も幻都で無事でいてくれましたわ…。ありがとう、カンナさん」

カンナ「すみれ…。こっちこそ、お前が来てくれて助かったよ。ありがとな、すみれ」

他の場所でも隊員同士の交流が続いている。

幻都の旅路で気が合ったマリアとアナスタシアは同じテーブルで食事をしているし、伯林華撃団創立に関わっていた紐育華撃団のラチェットは伯林華撃団の2人と話している。
巴里華撃団を見ると新生巴里華撃団の隊員達が伝説の先輩達に会えて華やいだ声をあげていた。

楽しんでいる会場で神山もみんなと話していく。

そして最後に大神と大河のテーブルに付き今回の旅路を振り返った後にこれからの事を尋ねた。

神山「華撃団の皆さんはこれからどうされるのですか?」

大神「そうだね…。長い戦いだったから帰る場所のある隊員は家族や故郷に一旦帰ってもらう予定だよ」

大河「そうですね、紐育華撃団も同じです」

75 :こいこい :2022/12/26(月) 21:20:57.73 ID:s2kZOMWj.net
神山「大神さんや大河さんもですか?」

大神「ああ。でもそれが終わったら世界を見て回りたいと思っているよ。降魔皇の脅威が無くなったとは言え、降魔の脅威は無くならないからね。
世界の都市を見てその発展と陰の部分も見て回れたらと思っているよ。
それに、神山くんが言っていた、降魔人間との共存の可能性も探していきたい」

大河「僕もついていきますよ。一郎叔父。神山さんはこれからも帝国華撃団花組隊長として帝都を守ってくれるのでしょう?」

神山「はい。そのつもりです。
それと歌劇団としてもこれまで以上にしっかりと活動をして、人の心に希望を届けられる活動をしていきたいと思っています」

大神「そういってくれると心強いよ。…ん?何やら劇場の外が騒がしいな」

カオル「神山さん…!」

カオルが神山を見つけて小走りで駆け寄ってくる。

神山「どうしたんですかカオルさん」

カオル「劇場の外が、すごい人だかりです…!
どうやら帝国華撃団の皆さんが劇場に入られるところを見た方から話が広まっていったらしくて、
一目かつての帝国華撃団を見たいと人が集まっています!現在は事故が起きないよう警察が交通整理している状態です!」

大河「バルコニーから顔を出してあげたらどうです?一郎叔父」

神山「ええ、そうでもしないと騒ぎは収まらないでしょうし、お願い出来ますか?」

大神「そういうなら…。…新生帝国華撃団のみんなも一緒にどうかな?」

76 :こいこい :2022/12/26(月) 21:21:23.71 ID:s2kZOMWj.net
帝国劇場のバルコニーに出ると劇場前の歩道と道路を埋め尽くしている群衆から歓声が上がった。

大神「凄い人だな…。すみれくんの引退セレモニーのときみたいだ」

すみれ「懐かしいですわね…」

旧帝国華撃団花組と帝国華撃団花組が揃ってバルコニーから群衆に手を振る。
群衆から一層の歓声が上がる。

群衆「おかえりなさーい!!」

群衆「昔も今も、平和を守ってくれてありがとー!!」

群衆「あのオーロラ凄かったぞー!」

群衆「降魔皇討伐ありがとー!!」

群衆が口々に叫ぶ。
きっと、旧帝国歌劇団の活動を実際に見た事がある人はここにはほぼいないだろう。
それでも、世界を駆け巡った奇跡の光と、幻都での活動のニュースが世間の人に知られここまでの人が集まることになった。

バルコニーから手を振る新旧の帝国華撃団。
それはまさに平和の象徴だった。

77 :こいこい :2022/12/26(月) 21:21:57.23 ID:s2kZOMWj.net
時が流れ、旧華撃団の隊員達も里帰りを果たした後の事。
そのまま華撃団を離れ、故郷で暮らす選択肢もあったが全ての隊員が再び隊長の元に集まっていた。
これから旧帝国華撃団、旧巴里華撃団、旧紐育華撃団は大神の言っていた世界の都市をその目で見て回る旅に出る。
一隻の空中戦艦も用意され、今まさに帝都から旅立とうとしていた。

見送りにきていた帝国華撃団花組とすみれ。

大神とすみれは出発前の会話をする。

大神「それじゃあ、行ってくるよ。すみれくん…」

すみれ「ええ。お気をつけて、大神隊長」

別れの挨拶をした大神だが何か迷っているようにその場を立ち去らない大神。
ややあってすみれを真っ直ぐに見つめ大神は口を開いた。

大神「すみれくん、急にこんなことを言うのも何だが…。俺たちと一緒に来ないか?
折角こうしてまた同じ時間を過ごせるようになったんだ。
…君と一緒に世界を見てまわりたい」

78 :こいこい :2022/12/26(月) 21:22:23.05 ID:s2kZOMWj.net
大神の突然のすみれへの誘いにどよめく帝国華撃団。

すみれは誘われた嬉しさに表情を緩めながらもすぐに首を横に振った。

すみれ「いいえ、大神隊長。わたくしは帝国華撃団司令、神崎すみれですもの。
華撃団のみんなを置いてわたくしだけ行くことなど出来ませんわ」

すみれの返答が分かっていたかのように大神はひとつ頷いた。

大神「そうか。急にこんなことを言ってしまってすまない」

すみれ「それでも、嬉しかったですわ。ありがとう大神隊長…。
それに、今回はちゃんと帰ってきて下さるのでしょう?」

大神「ああ。約束するよ。必ず帰ってくる」

すみれ「それまで、帝都の平和はわたくし達が守ってみせますわ。
だから、安心して世界を見て回ってきてください」

大神「ありがとう、すみれくん。それじゃあ、行ってくるよ」

すみれ「ええ。いってらっしゃい。大神隊長」

凛とした姿で大神達を乗せた空中戦艦の旅立ちを見送るすみれ。
空の向こうに旅立っていった空中戦艦が見えなくなるとすみれは帝国華撃団の方に振り返り言った。

すみれ「さあ、帰りましょうか。わたくし達の帝国劇場へ」


終わり

79 :こいこい :2022/12/26(月) 21:35:45.73 ID:s2kZOMWj.net
これで終わりです。
皆様の場所を借りてしまってすいませんでした。

長い文章を書くのも、掲示板に書き込むのも初めてで、至らぬところが多々あると思います。
それでも、初めに書いたように旧シリーズをプレイしたり、毎日のように聞いているサクラ大戦の曲を聞いている時に
過去の登場人物が封印されたまま解決せずにシリーズが放っておかれている現状に我慢ならなく、
拙い文章を投稿してしまいました。

自分なりに掲示板の利用方法も調べたのですが、そもそも書き込む場所が間違っていたりなどしていたら
深くお詫び申し上げます。

もしテキストで欲しいと思ってくださる奇特な方がいらっしゃったら今回の投稿のためにツイッターの新規アカウント@koikoisakurawarを作成しましたのでご連絡ください。

どうかセガさんには長くファンに愛されてきたサクラ大戦シリーズをこのまま終わらせてほしくないと心から願っております。

80 :名無しくん、、、好きです。。。:2023/01/01(日) 23:53:26.25 ID:UGDja24Z.net
 令和の仙台を舞台に真宮寺さくらの子孫の女子高生主人公でキムタクが如くみたいのやればいいよ。
 霊剣荒鷹振り回してヒートアクションで北辰一刀流繰り出して

おまけで太正時代でサクラ大戦の歴代ラスボスラッシュ

81 :こいこい :2023/01/02(月) 17:51:50.36 ID:uJ5+1Pm3.net
>>80
サクラ大戦Ⅴの荒野のサムライ娘みたいな感じになりそう

82 :名無しくん、、、好きです。。。:2023/01/15(日) 22:07:00.75 ID:3mUyCbJb.net
サクライグノラムス第0章『時は乱れ―― Time is disturbed』特設サイト

https://si.marv.jp/lp/ 

83 :名無しくん、、、好きです。。。:2023/02/14(火) 19:05:04.35 ID:Ml98a51/.net
( ゚Д゚)y \_ ポロッ

84 :名無しくん、、、好きです。。。:2023/05/30(火) 17:45:46.51 ID:bN6NJvfQ.net
「ゲームはクソ!ミュージカルが最高!」と叱責… 慶大教授、観劇に興味を示さない子の趣味を否定し炎上
https://lavender.5ch.net/test/read.cgi/gamenews/1530182547/

85 :名無しくん、、、好きです。。。:2023/06/06(火) 07:58:50.36 ID:6Y+3iIar.net
サクラ大戦無双みたいなのでええんちゃう?(´・ω・)

86 :名無しくん、、、好きです。。。:2023/09/22(金) 02:41:48.04 ID:qNh3ZRWL.net
いくら稚拙だからって一人ぐらい読んで感想書いてやれよ

87 :名無しくん、、、好きです。。。:2024/02/23(金) 12:49:09.37 ID:u9cvzmD2.net


88 :名無しくん、、、好きです。。。:2024/04/30(火) 19:40:17.02 ID:XAR17f0F.net
真サクラ大戦

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