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あなたの文章真面目に酷評しますPart80

951 :名無し物書き@推敲中?:2017/02/23(木) 16:24:07.47 .net
『白痴』(85点→94点)

 その家には人間と豚と犬と鶏とアヒルが住んでいたが、まったく住む建物も各々の食物もほとんど一緒くたで違いがない。物置のようなひん曲った建物があって、階下には主人夫婦、天井裏には母と娘が間借りしていて、この娘は相手の分らぬ子供を孕んでいる。
 彼が借りている一室は母屋から分離した小屋で、ここは昔、この家の肺病の息子が寝ていたそうだが、肺病の豚にも決して贅沢すぎるものでもなく、だがそれでも一通り押入と便所と戸棚がついていた。
 主人夫婦は仕立屋で町内のお針の先生などもやり町会の役員などもやっている。間借りの娘は元来町会の事務員だったが、町会事務所に寝泊りしていて、町会長と仕立屋を除いた他の役員の全部の者と公平に関係を結んだそうで、そのうちの誰かの種を宿したわけだ。
 そこで町会の役員どもが身銭を集ってこの屋根裏で子供の始末をつけさせようというのだが、世間は無駄がないもので、役員の一人に豆腐屋がいて、この男だけは娘が妊娠してこの屋根裏にひそんだ後も通ってきて、結局娘はこの男の妾のようになってしまった。
 他の役員どもはこれが分るとさっそく金を集めるのをやめてしまい、それ以降、娘の生活費は豆腐屋が負担すべきだと主張して、ついには支払いに応じない八百屋と時計屋と地主と何屋だかが七、八人でてきて、娘は今に至るまで地団駄ふんでいる。
 この娘は大きな口と大きな二つの眼の玉をつけていて、そのくせひどく痩せこけていた。家畜の世話をしていたのだが、なぜかアヒルを嫌って鶏にだけ食物の残りをやろうとする。それをアヒルが無理遣り横からまきあげるので、毎日腹を立ててアヒルを追っかけている。
大きな腹と尻を前後に突きだして奇妙な直立の姿勢で走る恰好がアヒルによく似ているのであった。(了)

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