よくわからんお題で次の人がSSを書くスレ4
- 1 :名無し物書き@推敲中?:2012/01/29(日) 16:13:19.51 .net
- お約束
・前の投稿者が決めたお題で文章を書き、最後の行に次の投稿者のためにお題を示す。
・お題が複数でた場合は先の投稿を優先。前投稿にお題がないときはお題継続。
・感想・批評・雑談は感想スレでどうぞ。
前スレ
よくわからんお題で次の人がSSを書くスレ3
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1284209458/
関連スレ
よくわからんお題で次の人がSS書くスレ 感想メモ
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/bun/1284739688/
- 318 :名無し物書き@推敲中?:2014/04/04(金) 19:30:02.84 .net
- 弁天池の浮島には、まるで羽衣でも身に付けた様な美しい姿の唯さんが、歌を謳っていた。
それは伸びやかで透明感のある声だったのだけれど、そこ儚げで哀しさをもはらむ様に感じさせた。
僕はその畔に咲く満開の桜の下で、口を大きく開けたまま眺めていた。まるで阿呆のように。
満開の桜から花びらがひとひらふたひら舞落ちたかと思うと、やがて一陣の風と伴に一斉に散り始めた。
それはまるで春霞、いや桜霞とでも表現するのが正しいのかも知れない。
僕はそんな桜霞の中で謳う唯さんをいつも以上にいとおしく感じてじっと見つめていた。
どれくらいの時間が経ったのだろう?酷い寒さに気づくと、僕は薄暗い池の前で1人立ち尽くしていた。
そして僕は、去年の春にこの弁天池の桜を見に来たのを最後に唯さんは手の届かない遠くへ行ってしまっていたことを思い出した。
夢でもうつつでも良いから逢いたいと、毎日願っていたのだ。ふと、顔を上げると空にはぼんやりとした弓張月が浮かんでいた。
まるで僕にそろそろ現実に戻りなさいと、優しく声を掛けてくれているようだった。唯さんのように。
次は「勾玉と古びた鑑」で
- 319 :勾玉と古びた鑑:2014/04/12(土) 22:35:12.30 .net
- 机の引き出しに、勾玉が入っていた。
翡翠でできているのであろうか、淡い緑色をした、ところどころ欠けたところのある
手のひらにすっぽりと収まるおおきさの古びた勾玉だ。
自分で入れた覚えはない。
鍵を掛けていたので他人が入れる事はできない。
夕方の、オレンジ色の日差しが窓から差し込む自分の部屋で、俺はなぜこんな物が
机に入っているのか考えている。
考えているところに玄関のチャイムが鳴った。
「お届け物です」
宅配便の業者は、小さな白い包みを俺に手渡し、帰って行った。
貼ってあった送り札には差出人の名前はない。
包みをあけると、古びた鑑が入っていた。
鑑といっても、ガラスのそれではなく、金属の表面を磨いて顔が映るやつ。
ちょうど俺の顔くらいの大きさで、裏になにやら彫刻が施されている。
リビングに移動しながら考える。これは、誰かのイタズラなのではないだろうか?
リビングの掃き出し窓から庭をみると、石製の棺が見えた。
イタズラにしてもこんなに重さそうな物を運び込むとは。
クレーンかなにかでないと動かせないだろうに。
キッチンから音がした。
侵入者か? 俺はおそるおそるキッチンに向かう。
干涸びた人間の形をしたなにかが、エプロンをして包丁を握っていた。
俺は、逃げた方がいいのだろうか?
次のお題は「春風と制服の短いスカート」でよろしく
- 320 :名無し物書き@推敲中?:2014/06/01(日) 17:06:40.48 .net
- 相模原メディカルサイト歯科日吉サンテラス歯科藤沢なのはな内科スマイル歯科アイ整形外科亀有 リリオ歯科アクロスみなみの歯科足立ハート歯科新宿くろさか歯科熊本ファミリー歯科伊勢原桜台歯科森林公園滑川モール歯科横浜いちょう歯科小田原めぐみ歯科ホワイトスタイル
- 321 :腹黒人形は踊りが苦手:2014/06/30(月) 16:35:03.54 .net
- 生意気そうな若い顔立ちだ。俺の膝頭に届かない背丈で、小さく痩せた体つき。
素晴らしいシルクの背広を着て、俺の足元で、じっと俺を見上げている。にやにや笑っている。
俺はこの生き物に、ぞっとするものを感じて、不快な気分に苛立ちながら、口をモゴモゴと動かし、乾いた唇をぺろっと舐めた。
そして、俺は、彼に抱く動揺を悟られないようにふいと目を彼から反らし、目の前のステージを指さした。足元の人形と同じくらいの背丈の人形が美しい衣装をみにつけて、ステージの上でくるくると回り、踊っている。
「早く君もあそこに登って踊りなさい。みんなが踊る様に君を踊るんだよ」
髭の下から強めの口調で、そういうと、その人形は、あいかわらずにやにや下品に笑って、ちっとも動く気配がない。
「逆らうつもりなら、昨日の人形の様にお前も燃やすぞ」
俺は目をぎらりと見開き、そう脅してやると、人形は激しく笑いながらステージに駆け上がって言った。
俺は人形の動きを黙って目で追っていた。
人形はステージの上によじ登ると、すぐにくるくると回り出した。それはいったい踊りと呼べるものだったか。わかりはしない。
その踊りと言ったらめちゃくちゃで、俺は太股の横で握った自分の拳が震えているのを感じ、腹の底からむしむしとする怒りが込み上げてきた。頭に血が上る。見ていられない。馬鹿げている。
俺はキチガイみたいに笑いだした。そして、懐から拳銃を取り出し、ステージの人形を全て撃ち殺した。だけど、奴だけ俺の弾から逃れていたのだ。後で死んだ人形の数を数えていて気がついた事だった。
次のお題「足の裏の穴」
- 322 :名無し物書き@推敲中?:2014/06/30(月) 20:50:55.52 .net
- 私の足の裏に穴があいていた。
いつからだろう。
違和感がなくて、全然気づかなかった。
お風呂からあがって、足のむくみをとるマッサージをしていて見つけた。
胡座をかくと1円玉ぐらいの真っ黒い穴がこちらを向くのに、足の甲には何もない。
気味が悪くなって、手の親指で揉もうとしたらすっぽりハマった。
足の裏にめり込んでしまった手の親指。
その瞬間、背筋をゾクゾクゾクっと撫でられたような感覚に襲われた。
驚いて抜こうとしたら、また襲ってきた。
走り抜ける得体の知れない感覚。それは、うっとりするような快感だった。
私はゆっくり引き抜き、ゆっくり押し入れる。たまらない。
何度も、何度も、引き抜き、押し入れる。
いつの間にか下着が湿って、絨毯も汚してしまった。
あいつ、喜ぶかなぁ。
私の彼は変態で、私があいつの股間を踏むとすごく喜ぶ。これなら、私も気持ちいいかも。
次は「青色のない信号機」で
- 323 :名無し物書き@推敲中?:2014/07/01(火) 09:51:05.70 .net
- イラストレーターで収入が少ないからと30代後半で漫画家になろうとする、ひきこもりのバカ発見。
足立区に住んでいるそうだ
http://inumenken.blog.jp/archives/6609090.html
- 324 :名無し物書き@推敲中?:2014/07/02(水) 21:15:06.05 ID:5mmvKVsVC
- >>323
関係ないけど絵ウメェ
俺なんてPCのキーボード叩くだけなんだから
横着だよな
- 325 :青色のない信号機:2014/07/06(日) 19:45:00.61 .net
- とある田舎の村のはずれから高速道路へと向かう山道に、赤信号と黄色信号は点灯するのに、青信号だけが点灯しない信号機があった。
日本の高度経済成長期に、成長戦略の一環として設置はされたものの、赤字を垂れ流し続ける地方鉄道の様に、その信号機もまた
誰にも利用されず、誰に見られる事もないままに放置されていた。
勿論何度か整備を試みられたが、ライトを交換しても不調が収まらなかったし、年に数百回程度しか車両が往復しない辺鄙な場所でもあった訳で、ないのは青色だけなのだから。
そんな形で、信号を調整する人々にも青色のない信号機の噂が伝わっていった。
いつの頃からか、その場所で不可解な出来事が起きたのだった。いや、厳密にいえば単なる事故だった。
しかし分かる者には分かってしまう。
年間数百しか通らないその山道での事故が、その年その県で、堂々の二位を飾ったのだ。
まるで目立つのを拒みつつ、しかし数は稼ぐ、そんな狡猾さが滲んでいた。
青色のない信号機沿いのガードレールで、トラックを大破させたものの、山道に身を投げて一命を取り留めたトラック運転手はこう語った。
「あの時には確かに青信号を確認したはずだった」…………と。
そんな新聞の三面記事に興味を持った僕は、その信号機のある場所を調べて早速向かってみた。
ついてみたら、なんてことない。僕の様な馬鹿な若造の考えを見越していて、ガードレールは既に修復された後があった。
信号機もこうして、ちゃんと青が点灯しているじゃないか、僕は少々の落胆を土産にして、停めていた車にキーをかけて、帰りの支度を始めると、アクセルを踏んでその信号を通りすぎようとした。
「ブレーキを押しているはずなのに……」
アクセルメーターは0kmので動かない。それが確かな証拠だった。
しかし、一度アクセルを踏んで信号機に向かうと、それから車が止まる事はなかった。
いや……。それは違った。しかし、まさか。
僕がようやく気が付いた頃には、もう僕の車はガードレールを透過して、空を舞って飛び立っていた。
次は「夢見る少女と悪夢」で
これ、お題もセンスが問われますね。
- 326 :夢見る少女と悪夢:2014/07/07(月) 01:38:54.98 .net
- 最悪の宵闇が今夜もおとずれる。
人々をまとめて締め上げるような狂気の奈落が口を開け、正気の者すらむしばむ太古の悪夢が、敵意と悪意の澱が溜まる小さな街へにじみ出す。
それはまるで異界の魔物たちが囁くがごとく不吉で、惑わすように逆なでるように、静かにゆき渡っては人々を震えあがらせ、一睡も許すことはない。
かつて、この街にいた夢見がちな少女が、太古の悪魔にその身を捧げ、肉も魂も捕らえられたのだ。
敵意と悪意に満ちた小さな街にあって、唯一穢れのない心を持っていた少女は、異質な存在として忌み嫌われ、それがもとで迫害を受けた。
蔑まれ嘲られ、石を投げられ、蹴り倒され、それでも少女は自分と街の者たちが救われると信じ、毎夜毎夜、神に祈り続け、聖なる人がいつか舞い降りることを願い続けた。
しかし街の者たちの醜悪な害意も、底なしの深淵のごとく深く暗く激しく燃えさかり、嘲るかわりにかどわかし、石を投げるかわりに花で誘い、蹴り倒すかわりに己の欲望を少女の体内へねじ込んだ。
囃し立てる声は高く低く、野卑で下劣で、男どころか女も、子供や老人までも、少女を取り囲み黄ばんだ唾と罵声を浴びせ、中には絞り出した膿を少女の体に塗りつけ、投げつけられる糞尿にまみれ、街の男のほぼ全てはその欲望を少女の体に刻んだ。
邪悪な宵闇は、その夜から街を多い尽くし、人々を苛むのだ。
少女は立つこともできず、うめいては咽び泣き、折られた手足のまま地を這い、苦痛の叫びと呪いの言葉を吐き続けながら、手と足と腹と胸の皮膚が破れきっても、太古に閉ざされた深い深い炭鉱に降り、そして帰ってこなかった。
邪悪で醜怪な人々は、今も狂気を孕む夜気の中でうずくまる。
明かりを灯すための蝋燭や油などとうの昔に底をつき、ただ闇夜が過ぎ去るのをじっと耐え続け、睡魔に撫でられては絶叫し、あちこちの家々から響く呪われた叫び声に震え上がりながら一夜を過ごす。
それでも街の者たちは誰も少女を思い出さない、思い出せない、気づく者もいなければ、懺悔など存在すらも知らず、ただただ絶叫と呪いがこだまする街の中に身を沈めてゆく。
次は「踊り狂う歯ブラシ」で
- 327 :踊り狂う歯ブラシ:2014/07/12(土) 17:45:53.06 .net
- 「電動歯ブラシには幾つかのジレンマがある」
博士は助手である僕に向かって蘊蓄を垂れている。いつものことだし、ある意味そのために
しか僕は存在しないので、相づちを打つだけだ。
「はあ」
「つまりな、コードレスが当然だ。だと電池がいるな。他方で、動きの複雑さはあった方がいい。
それにはモータ以外の要素を介入させるべきだ。ここに対立が生じる訳だ」
「はあ」
「そこで、これが解決策だ」
要するに、電池を無くしたのだそうだ。電力は電磁誘導で無線送信できる。だから
そのスペースにモーター複数を組み込み、極めて複雑な運動を可能にしたのだそうだ。
「速度、振り幅の調節はもちろん、プログラムすれば連続的に様々な運動が可能にな
るんだ。これは凄いぞ!」
「はあ」
この辺りで、僕は不安を抱え始める。だが、博士は自信満々だ。
「でだ、これから最大限複雑な動きをするようにして、実働実験をするんだ」
「博士、最初はごく簡単な動きだけにした方が……」
「何を言う! それでは実験にならんだろう。行くぞ」
そして博士は気絶した。電動歯ブラシは博士の手の中で跳ねると、まず彼の顎に命中
したからだ。僕は慌てて博士を引きずって部屋から逃げ出した。ドアを閉めると、ぱちん
ぱちんと音がする。
窓から覗くと、歯ブラシは一人勝手に床の上をはね回り、時には天井に当たり、あるい
は壁に反射し、勝手に踊り狂っていた。
「あーあ。この部屋も『開かずの間』だな」
この研究所には、こんな部屋が既に五つもあるのだ。次の成功まで、あと幾つこんな
部屋が出来ることか。
次、『世界で初めての失敗』
- 328 :世界で初めての失敗:2014/07/18(金) 10:14:10.64 ID:snOyBn00M
- 一人の男がその猿を振り向かせようとして大声で言った。
「おーい、ピテクス!」
その声で、バスの中のみんなが笑った。
猿はバスと平行に歩いていたが、視線の端ではこちらを意識していた。
やはり、知能は高いのだろう。彼の表情には困惑の色さえ伺えた。
さっきの男が振り向かせようとやっきになって、バスのガラス窓を強く叩き出した。
すると猿は、ちょっとだけ足早になった。
猿の緊張が高まっていくのが見ていて分かった。見られている。そんな風に思っているかのようだ。
私は2足歩行のスケッチをとっていたが、ペンを持つ手を止めた。
今までスムーズだった体のバランスが崩れ、動きがぎくしゃくしてきている。
そのうち彼は左右の手足を交互ではなく同時に出して歩き出した。
私は世界で初めての失敗を目の当たりにしたような気になって、「彼は正しく人間である」とスケッチブックに書き留めた。
「ダスキン・ホフマン」で
- 329 :名無し物書き@推敲中?:2014/07/31(木) 05:31:39.41 .net
- タンニは固まっていた。額から汗がしたたり落ちそうになって、素早くのけ反った。タンニは恐る恐る紙に視線をやった。そして叫んだ。
「やってしまったー!」
そしてそのまま気を失って床に倒れこんだ。
「どうするのかね、メラン君」
場はみな厳粛を極めた顔をしている。その中でも立派な髭を蓄えた老人が鋭い視線を一人の男に投げかけた。
メランは答えた。
「この度は私の息子がとんだ粗相をいたしました。崇高なる創造を紙とインクなどという不完全なものでやろうとした。到底許される行為ではございません、タンニを抹消しましょう」
老人はしばし目を閉じていたが、地面に杖を打ち付け、思い切ったように高々と声を発した。
「抹消、そうするしかなかろう」
この世界で抹消とは死を意味する。しかし血も流れなければ亡骸も残らない。抹消は抹消であり、きれいさっぱり跡形もなく消えるのだ。
査問委員会はもう2000年も開かれていなかった。
それが、タンニが父親にそのことを報告して、たった20分の間にすべての神々が集められたのだからよほどの事件だったと言える。
タンニは立ち上がって言った。
「お、お待ちください」
私の犯した過ちは取り返しのつくものではございません。しかしこちらをご覧ください。そういってタンニは壁に一つの映像を映し出した。
「チャームポイントはホクロです」
女性は笑いながら、頬にあるその黒い点を指さした。
今日ではホクロなど珍しいものではない。だが本来は誰の顔にもホクロなどなかった。人間はみな完璧であった。こ
- 330 :続き:2014/07/31(木) 05:34:01.64 .net
- のタンニの失敗以来急きょホクロが書き足された。その時に紙とインクが見直され、神々の創造に愛用されるようになった。当然ミスが増え、不完全な人間が量産された。
次「教頭先生は辞める日に笑ったよ」です。
- 331 :名無し物書き@推敲中?:2014/11/17(月) 00:17:59.68 .net
- 教頭先生が辞める日、6年生のみんなで花束を渡したよ。
「先生、ながいあいだありがとうございました。ぼくらはみんな、先生によくしていただきました」
そしたら先生、すこし涙ぐみながらちょっとお話をしてくれたんだ。
「Aくん、君は1年生のとき、6組だったね。でもクラスメイトの中で、ちょっと輝いていたよ。
あの時私は、よし、この子が6年生になるまでずっと気にかけていよう、そう思ったんだ」
「ありがとうございます、教頭先生」
「さいきんの子供は、態度がわるい。君みたいな子ばかりだったらどんなにいいか」
「ありがとうございます、教頭先生」
「でも君は2年生のとき5組だったね。正直、あぶなかったよ」
「申し訳ありませんでした、教頭先生」
「3年のとき4組、4年のとき3組、5年のとき2組だった」
「ご迷惑をおかけしました、教頭先生」
「いいんだ、ここまで来てくれたからにはみんなと一緒だ。まったく、最近の子供は、
いって聞かせても道理のわからない子ばかりだからね。そういう子は必要ないね」
「はい、ぼくたちもそう思います」
「そうだろうとも。君たち6年1組はいい子ばかりだね」
教頭先生がにっこり笑うと、波止場からおまわりさんが来て、教頭先生をつれて行ったんだ。
そのあと島にはテレビの人とかが来て、しばらくたいへんなことになったよ。
次「100日あくとモノを忘れる」で。
- 332 :名無し物書き@推敲中?:2015/06/01(月) 13:46:25.39 .net
- モノヒデオ
- 333 :モノヒデオ:2015/06/10(水) 22:11:24.74 .net
- 「ピッチャー 江草に代わりまして モノ」
投手交代を告げるアナウンスに球場はざわついた。
「モノだって そんな投手いたか?」「シラネ」
はたしてモノ投手が登場してマウンドに立った。
しかしモノ投手は動かない。
動くはずがないのだ。だって彼はモノ。物体。
オブジェクトなのだから。
モノ投手は動かない。
そして永遠ともいえる時間が流れた。
モノ投手は動かない。
打者も 走者も 審判も動かない。
お客さんも動くのをやめたまま。
そうしてそれがきっかけになって
世界全体すら止まってしまうのですが
かれらは止まっているので
とまっていることを自覚することは
永遠にないのでした……
「わかったわかった
俺がいつまでたっても動かないからって
そんなイヤミな話を聞かせることないだろ。
わかったよ やるよ
今からやろうと思ってたのに ぶつぶつ」
END
- 334 :名無し物書き@推敲中?:2015/06/10(水) 22:13:05.64 .net
- 失礼しました
次のお題は「人違い」で
- 335 :人違い:2015/11/01(日) 19:40:29.08 .net
- 『電磁コンシールメント破損。パーティカル型光学迷彩濃度ダウン。
遠隔視点誘導デバイス全滅。インプリクションバースト残量ゼロ』
骨伝導で戦術統合AIの忌々しい状況確認を聞きながら、俺はクソッタレな戦場をひた走っていた。
戦場と言っても、俺が持ち込んだ武器らしい武器は、工具を兼ねたちっぽけなレーザーカッターだけ。
完全隠密型の潜入工作だったために、装備は全て「隠れる」事に特化した物になっていた。
それが仇になった。
内通者の手引きで職員に変装し、悠々とターゲットのコアシステムに
遅効性のエゲツない電脳ウイルスを注入し、後は誰に咎められる事もなく帰還。
などというスマートで理想的なプランは、内通者が敵の手に落ちていた事で何もかもおじゃん。
何とか敵の初撃を察知し、トップエージェントとしての意地を見せるべく
敵から奪った銃火器で混戦を潜り抜けたはいいものの、その代償として
最先端工学の産物である隠密型装備はどれも使い物にならなくなっていた。
「クソッ、何とかサイバー系の検問ラインは越えたが、
どうやったって一つは警備員のいる詰所を通るしかねぇ。
この装備じゃ、殺されに行くようなもんだぞ」
だが、他にルートは無かった。
装備には頼れない、救援を待っている余裕も無い。
……やるしかないか。
俺は、腹の中で覚悟を決めた。
「あ、検問でーす。IDカードと所属部署の提示をお願いしまーす」
「…………これで」
「ありやーす。……あれ?なんか顔写真とちょっと違くありません?
ていうかあなた、どっかで見たような」
「人違いです」
「あれ、多分緊急警報連絡とかそんな感じのアレで」
「人違いです」
「……あー、人違いっすね。失礼しました」
何事も無かったかのように組織が手配していた車に乗り込み、
俺は寿命五年分ほどの溜め息を吐き出した。
やはりどんな時代になっても、隠密工作からこの最終奥義が消える事はなさそうだった。
- 336 :名無し物書き@推敲中?:2015/11/01(日) 19:41:24.81 .net
- 次のお題は「都会の夜」でどうぞ
- 337 :名無し物書き@推敲中?:2015/11/01(日) 19:41:50.22 .net
- 一応age
- 338 :都会の夜:2015/11/02(月) 23:33:17.95 ID:LaIkc/YwN
- 「ナイトフィーバーだか?」
「んだ、ナイトフィーバーだ」
こんなやりとりが一週間前にあった。
彼はポーカーフェースを気取っていたが、内心ではかなり興奮していた。
地元のファンシーショップ谷本で買ったスパッツが破けるくらいに勃起していたがなんとかバレずにすんだ。
そして今、いたたまれなくなった彼は、一人で都会の夜に足を踏み入れた。
地図であらかじめ歓楽街を調べていたので、比較的スムーズに都会の心臓、歌舞伎町へとたどり着いた。
「こ、これが都会というものだか、もう23時だで、なしてこげに明るい、なしてこげに人が歩いとるんじゃ」
彼は社会人になったばかりで遠出をするのはこれが初めてだった。初任給の全てを財布に詰めてバスを乗り継ぎ、野宿も交え、2日がかりでここまできた。
彼は街ゆく人の洗練されたファッションを見て、自分が浮いているのを感じた。
中綿が完全にくたびれ、ぺたんこになった灰色のダウンと地元ファンシーショップ谷本のスパッツという姿が裸を晒しているように恥ずかしく感じた。
しかしそんな考えも目の前にあったピンク色の看板を見たとたんに吹き飛んだ。
「専属ナース…」
そこに書かれた文字を口内に読み上げた瞬間、彼のモノは勃起した。地元のファンシーショップ谷本のスパッツが激しく盛り上がり、その薄い
生地から中のブリーフが透けていた。
「お兄さんこっちよ」
「いい子がいますよー」
彼には店を選ぶ余裕などなかった。男の誘うママに路地から続く地下の店内へと入っていった。
「専属ナース…」
期待にスパッツをふくらましながら店内に入ると、とたん野太い男の声が響いた。
「そこまで!全員動くな!逮捕状が出ている!」
彼は逮捕された。どうやらその店では、プレイ後にナースが違法なお薬を出していたらしい。
もちろん彼は薬物などしてなかったが、ジャケットにスパッツという姿でラリっていると判断され検査もそこそこ、うやむやのうちに刑務所に収容された。
次「少林寺のボンボン」
- 339 :都会の夜:2015/11/02(月) 23:46:14.25 .net
- 「ナイトフィーバーだか?」
「んだ、ナイトフィーバーだ」
こんなやりとりが一週間前にあった。
彼はポーカーフェースを気取っていたが、内心ではかなり興奮していた。
地元のファンシーショップ谷本で買ったスパッツが破けるくらいに勃起していたがなんとかバレずにすんだ。
そして今、いたたまれなくなった彼は、一人で都会の夜に足を踏み入れた。
地図であらかじめ歓楽街を調べていたので、比較的スムーズに都会の心臓、歌舞伎町へとたどり着いた。
「こ、これが都会というものだか、もう23時だで、なしてこげに明るい、なしてこげに人が歩いとるんじゃ」
彼は社会人になったばかりで遠出をするのはこれが初めてだった。初任給の全てを財布に詰めてバスを乗り継ぎ、野宿も交え、2日がかりでここまできた。
彼は街ゆく人の洗練されたファッションを見て、自分が浮いているのを感じた。
中綿が完全にくたびれ、ぺたんこになった灰色のダウンと地元ファンシーショップ谷本のスパッツという姿が裸を晒しているように恥ずかしく感じた。
しかしそんな考えも目の前にあったピンク色の看板を見たとたんに吹き飛んだ。
「専属ナース…」
そこに書かれた文字を口内に読み上げた瞬間、彼のモノは勃起した。地元のファンシーショップ谷本のスパッツが激しく盛り上がり、その薄い
生地から中のブリーフが透けていた。
「お兄さんこっちよ」
「いい子がいますよー」
彼には店を選ぶ余裕などなかった。男の誘うママに路地から続く地下の店内へと入っていった。
「専属ナース…」
期待にスパッツをふくらましながら店内に入ると、とたん野太い男の声が響いた。
「そこまで!全員動くな!逮捕状が出ている!」
彼は逮捕された。どうやらその店では、プレイ後にナースが違法なお薬を出していたらしい。
もちろん彼は薬物などしてなかったが、ジャケットにスパッツという姿でラリっていると判断され検査もそこそこ、うやむやのうちに刑務所に収容された。
次「少林寺のボンボン」
- 340 :名無し物書き@推敲中?:2015/11/15(日) 08:31:51.27 .net
-
sssp://o.8ch.net/wjo.png
- 341 :少林寺のボンボン:2016/07/13(水) 23:26:20.99 .net
- 「ご主人様、お紅茶などいかがですか」
「いいわね。シーラ、ではあれも一緒に」
「はい」
シーラと呼ばれたアラサーのメイド長は、屋敷で唯一自分から女主人に話しかけることを許された
ベテランだ。なんでも、女主人が上海にいた大昔からのご奉仕らしい。
「メイド長、お茶菓子は新しいビスケットの封を切りましょうか」
台所で部下の小娘が手にしたアメリカ製の缶を一瞥すると、シーラはにこりとして首を振った。
「今日は、懐かしい飴をお出しするわ。……東洋で手に入れた、すごく元気の出るものなの」
シーラはそういうと、抽斗の奥から古いガラス瓶を取り出した。中は透明な液体で満たされている。
「アチョーッ!」
シーラは突然叫ぶと、瓶の蓋を一瞬で回転させた。
「アチョチョーッ!」
気合を入れながらスプーンで中身をかき混ぜる。液体は粘度の高い水飴で、しかし古いものとは
思えないほどの滑らかさをもっている。
「ハーッ!」
メイド長がスプーンを回転させると、気合の塊が水飴にくるみこまれて、あっという間に球系の飴玉になった。
「これはね、フランスの技術と中国の武術をかけあわせた、魔法のお菓子なのよ」
シーラはそういうと、入れたばかりの紅茶とボンボン・ア・ラ・少林寺をトレイに乗せて、女主人にサーブした。
一時間後、小娘メイドは女主人とメイド長の死体を発見した。二人とも紅茶のカップを頭に乗せ、
鶴の構えで直立したままこと切れていた。そして、ボンボンはなくなっていた。
「くっ、なんてことだ!」
若いジャッキーはメイド服を脱ぎ捨てると、巨悪と戦うために山へと消えていったのだった。−劇終−
次「無自覚な太陽」
- 342 :名無し物書き@推敲中?:2016/08/19(金) 23:25:50.54 .net
- 身体中の水分を引きずりながら走り回って、ようやく倒れたら、魔法のヤカンで目を覚ます。
夏のラグビー部にとって日曜日の練習試合は、飯塚コーチの指導に一層の熱を込めるに仕方のないものだった。
無自覚な太陽は燦々と光って山内を殺した
次「椅子にかかったタオル」
- 343 :名無し物書き@推敲中?:2016/08/19(金) 23:57:21.21 .net
- 椅子にかかったタオル。
全裸のアケミがキッチンをウロウロしているのが目に入る。
俺がテレビを見ているというのに気が散ってしょうがない。
アケミは意外と毛深くて、目のやり場に困るというものだ。
まあ、家には俺だけだからいいようなものの、
一言いってやりたい衝動に駆られるが、相手が相手だけに言っても無駄か、とあきらめる。
しばらくして全裸のアケミが俺のところまでやってきた。
風呂上がりのまんまの姿でアケミはこう言って俺の前に皿を出した。
「はい、晩ご飯よ、タマ」
次「その紙じゃない」
- 344 :名無し物書き@推敲中?:2016/08/20(土) 21:37:54.13 .net
- 日曜日の昼下がり、僕は昨日駅で買った短編集を読んでいる。
自分のペースで読めるこの長さが、僕は一番好きだ
この話は主人公は視点が猫だったのか、なるほどなるほど。
でも、猫に裸の概念があるのかな。恥ずかしいからすばしっこいのかな。
本を置いて、そんなことを考えていたら、彼女の朱美がうちにくる音がした
そういえば今日は何枚か書類に判子を押さなきゃいけないんだっけ
「早速やっちゃいましょ」
「まずはこれね」
僕は経理、経営の事はよくわからないので、ぼんやりと判子を押す
「これも、これもお願い」
押す…押す…押す……
「はいこれでおしまい」
「結構あったね。少し腕が疲れちゃったよ」
「じゃあ、ありがとね」
「うん。こちらこそ」
僕たちの関係が仕事だけになって2ヶ月
ようやくスムーズにやり取りできるようになった
あの浮気はもう許してくれたみたいだ
ーーーーーーーーーー
僕は押しちゃいけない紙にも判子押してたみたい
僕のぜーーんぶがなくなっちゃった
朱美。朱美。
次「まさか、ジャックが私を…」
- 345 :名無し物書き@推敲中?:2016/08/24(水) 21:45:30.53 .net
- 怠け者のジャックがまさかりをタワシで磨いている。
ジャックの父は訊いた。その斧を何かに使うのかい?
ジャックは答えた。ああ、近いうちにね。
次の日、タワシでジャックがまさかりを磨いていた。
父は不安げに訊いた。近いうちに何が起こるんだい?
ジャックは答えた。金と自由が手に入るのさ、と。
次の日、まさかりをジャックがタワシで磨いていた。
父はいよいよ何かが起こりつつあるのを感じた。
ジャックはひとりごちていた。あいつの小言ももう終わりだ、と。
父は消え入るような声で呟いた。
「・・・、・・・が・・・を・・・?」
何と言ったかは定かでない。
次「ホームランは橋の向こう」
- 346 :名無し物書き@推敲中?:2016/09/15(木) 16:20:36.62 .net
- あの日、ホームランボールは橋の向こうへと消えていった。
野球を誰と、何人でやっていたのかも忘れてしまったけれど、
夕焼けの空へ消えていくボールの残像だけは、十年経っても鮮明なままだ。
マウンドに立つ、息を吐く。
相方のキャッチャーメットに目配せをして、小さく頷く。
球場を埋める大観衆は、もう誰一人として彼の敗北を疑っていないだろう。
扱いは既に敗軍の将だ。敵陣のファンは決まりきった栄光に舌なめずりをし、こちらのファンは項垂れている。
通路ではマスコミがあちらの監督とMVPに貰うコメントを書き出している。
それでいい、上等だ。
希望が無く、敗色で世界が色褪せるほど、あの日の残像が輝いていく。
消えていったボールは、今も見つからないままだ。
誰にも掴まれないホームランの感触を、僕はまだ覚えている。
グリップを強く握る。バットを立てる。
対岸に立つ投手の瞳をただ見据える。
大きく振りかぶって、ボールが……。
大歓声が、響いた。
次「地獄の釜の湯加減はいかが?」
- 347 :名無し物書き@推敲中?:2016/09/22(木) 14:39:10.08 .net
- 「ただいま」
僕はスーツを脱ぐと妻に預けた。
まずは風呂に入りたい。当然、妻はわかっているから、既にお湯は張られていた。
もうすぐ十年にもなるルーチンワークだ。
吹き出した空気が泡となる。ぶくぶくという音は下品だと分かっていても、癖は抜けない。
肩よりさらに深く、顔の下半分を埋めないことには、どうしても風呂に入った気分にならないのだ。
ただ、今日は少しばかり湯が熱い。全自動だから、温度が変わることなどないはずなんだが……。
不意に、数ヵ月前の「過ち」が、僕のなかで思い起こされた。
あれは、飲み会の帰りだった。部下の女子と……。
ぶくぶく、とまた音が鳴る。一度きりだ。もう忘れなければ。あの子だってもう、忘れてる。
「今日はちょっと湯が熱かったね」
キッチンに立つ彼女に声をかけた。やかんを電子コンロにかけてこちらに背を向けている。
しばらく間が空いて、おや、聞こえなかったかなと僕が思い始めたとき
「……そう? 設定間違えて触っちゃったかな」
と、徐に言った。
不思議なことは続くものだ。夕食はカップラーメンだった。
料理好きな彼女に限ってこんなこと。あまりの珍しさに聞くことすら忘れ、
「……いただきます」
と、手を合わせてしまった。
「ごめんね、買い物忘れちゃって」
嘘だ。普段こんなものを買いためておく性格ではない。なかった。なかったはずだ。
「普段作りなれないと、カップラーメンでも難しいのね。湯加減とか」
汗が出てくる。
「そういえば、お風呂の湯加減どうだった?」
さっき、言ったはずだろ。どうして聞くんだ、君は。
「……熱かったよ。いつもより」
「そう。よかった」
その夜は地獄だった。
次のお題「窓のある夜」
- 348 :名無し物書き@推敲中?:2017/02/06(月) 22:00:33.17 .net
- http://plaza.rakuten.co.jp/thisman/
- 349 :名無し物書き@推敲中?:2017/05/15(月) 03:51:30.98 .net
- 生存確認age
- 350 :名無し物書き@推敲中?:2017/09/01(金) 23:27:08.42 .net
- ピリリ、ピリリリ。ポーン。
安っぽい電子音が暗闇のどこかで鳴り響いた。半日のあいだ何の擾乱もうけずに冷えきった空気が、
そのわずかな振動にわずかな熱を受けたように動揺した。
「20時ニナリマシタ。オハヨウゴザイマス、ミナサン」
がらがらした合成音声が響き、闇の中に2つの黄色い明かりがともった。濁ったガラス越しに希ガスによる
不安定な光源がはなつ、前々々々々々々……時代の頼りなげな光だ。
光は空間を薙いであたりの様子を確認した。コンクリートの壁がある。金属シャッターの天井がある。
そして広く反対側まで光の届かない空間の中には、壁際のわずかなスペースを除いて、
色の薄い何かの植物が無数に植わさっていた。
ウィーン。ジジジ。
どこか調子の悪そうなモーター音が響き、光の主は、壁のある一点に向かって移動した。
光束の中に、機械的なスイッチが浮かび上がる。おもむろに、蛇腹の先に金属球をつけたような手が、
そのスイッチを押した。
ゴゴゴ……。
巨大な機械音とともにゆっくりと天井が割れて、部屋の中に黄白色の光が降り注いだ。
部屋の植物はヒマワリだった。注ぐ光の日食時のような薄さにふさわしく、色に乏しい、どれも華奢な株だ。
それが巨大な部屋のほとんどを占めて、すべて天を向いている。
青い空を背景に浮かぶ、バターのような濃い黄色をした、月を向いているのだった。
「ヨルデス……。ミナサン、ヒカリヲ、タクサンアビマショウ……」
ロボットは天を見上げて腕を広げた。八百年もの間、続けてきた日課だ。地球が太陽に向かって落下し、
気温が上がりはじめると、人類は遠くの宇宙へと旅立った。いまでは昼の光はあらゆる生命にとって強すぎた。
かわりに、月の反射があたかも昼のように地上を照らすのだ。月齢により、月光は時に過去の太陽よりも強く、
あるいはかつての月のように弱く、この従順な子供らを恵んだ。
天井に空いた夜の窓は、これからも毎晩開くことだろう。ロボットが壊れるか、シャッターが動かなくなるか
あるいは夜の光がさらに強くなって、ヒマワリを容赦なく燃やしてしまうまで。
それまで毎晩、みんなは、光に、破滅に向かって、顔を上げ続けるのだ。
アゲ、ツヅケルノデショウ、ネ。
次「長雨の後で一献」
- 351 :名無し物書き@推敲中?:2017/09/23(土) 09:33:03.49 .net
- 盆を過ぎた頃というものは、おおよそ雨が降るものだ。毎年のこととはいえ秋雨は長い。今年も行脚しようにもなかなか外に出れない日が続いていた。
ーーそして、今日になってようやく太陽が顔を出してくれた。天岩戸が開く、というほどのものではないが、ようやく下界を照らす日影はなるほど人が拝みたくなるのもよくわかる美しい輝きであった。
彼女が照らす街の姿は照り映え、意気揚々と遊びに行く子供たちがまるで妖精たちのようにすら見え、この辺境の街がひとつの舞台のようにすら感じさせた。
「今日はお休みだ。昼から飲んでしまおうか」
せっかくの休日で、やけにキレイに見える街がすぐそこから見渡させるのだ。飲まずにはいられない。私は起き抜けに一杯やろうと、冷蔵庫の中を漁る。塩ゆでの豆、酒盗……今回は塩辛いモノでいくとしよう。
テーブルの上に広げたオツマミを見ながら、私は微笑んで窓の外を見た。眼下に広がる森は、きっと涙を流しているようにしっとりとした艶姿を見せているのだろう。安っぽいアパートの窓からでもそれが伺えた。
行きつけの酒蔵から買ってきた日本酒に、キレイな風景。そして塩ゆでの豆とくれば酒の肴には困らない。さあ、一献やろうか。
「うめえ……なんで塩振って茹でただけなのにこんなウマいのかね?」
たしかにしょっぱいのだが、しょっぱ過ぎるということはなくいくらでも食べられる。手軽につまみ、それを酒でグッとやる。なんと甘美なひとときか。
次は酒盗をひとすくい。イカの内臓を使っているのでその臭みを消すためか、非常に塩辛い。ご飯にかけたらこれだけでいっぱいいけそうだ。されど、やはり酒。とにかく酒。美味い。
しっとりとした町並みを見下ろしながら、一人きりの酒宴はまだまだ続く。趣味の少ない独り身としてはこういう日に昼酒やるのはやめられないお楽しみだ。
「ごちそうさまでした。」
私はそう呟くと、ささやかな酒宴の幕を閉じる。しばらくしたら街を出歩いてみよう……そう、思いながらごろりと寝そべって微睡みに身を任せるのであった。
次『戦闘部族の日常風景』
- 352 :名無し物書き@推敲中?:2018/02/08(木) 15:59:21.80 .net
- 僕の知り合いの知り合いができたネットで稼げる情報とか
念のためにのせておきます
グーグル検索⇒『金持ちになりたい 鎌野介メソッド』
9TZEW
- 353 :戦闘部族の日常風景:2018/05/31(木) 17:44:09.93 .net
- 我々にとって「生きる」とは「殺す」と同義だった。
次「謎の哲学者集団ブレインドッヂボール」
- 354 :名無し物書き@推敲中?:2018/10/17(水) 11:14:15.26 .net
- 誰でもできる嘘みたいに金の生る木を作れる方法
念のためにのせておきます
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね
IXL
- 355 :謎の哲学者集団ブレインドッヂボール:2019/02/06(水) 22:43:10.25 .net
- ここは市内の大型体育館のサブアリーナ、一般向けに開放されているスペースだ。僕はその部屋の前にある予約名簿にしばらく釘付けになっていた。
〈ブレインドッヂボールクラブ〉
聞いたことのないスポーツだ。この木製の引き戸の向こうにその謎のクラブが今まさに活動している。
ブレインドッヂボール……もちろん脳みそをボール変わりに投げ合うわけはないと思うが……脳の形のボールを使ったドッヂボール……わざわざ脳みそ型にする理由が分からない。何かの皮肉か……無いこともないがどうもしっくりこない。
チェスボクシングみたいなものか……頭脳と体力を使いながら戦う、みたいな。
長いこと妄想していたがいよいよ我慢出来なくなった僕は引き戸をちょっとだけ開き隙間から中を覗いた。そこには脳型のボールも通常のドッヂボールも無かった。5対5の人たちが互いに横一列になって向かい合い、何か大声で言葉を交わしている。
「中村さんは足がクサイ」
「斎藤さんは空気が読めない」
よく聞いてみると交互に文句を言い合っている。なんだこれは。
「驚いたかい」
ひゃっと声を上げてしまった僕を無視して背後から声をを掛けてきたその男性は饒舌に語り出した。
「あれはブレインドッヂボールといって、僕たちの思想を具現化したものの一つさ。
心のこもった言葉をボールに見立てて相手に思い切りぶつける。避けてもいいがそればかりでは駄目だ。本気の想いを真正面から受け止めて、受け入れてそして相手にもぶつける。それを続けることによって強い人間関係が築かれていくんだ」
何を言っているんだ、明らかに怪しい、普通はそう思うかもしれない。だが意外にも僕はこのクラブに惹かれていた。
メインアリーナで行われている球技大会。同級生達の対して仲も良くないのに上辺だけは楽しそうに振舞っている彼らに嫌気がさして抜け出してきた僕にはうってつけに思えたのだ。
「僕をこのクラブに入らせて下さい」
「君は見た目がキモいから駄目だ」
すでに試合は始まっているようだ。僕はその後本当に嫌そうな顔をする彼と入れろ入れないの押し問答、もといブレインドッヂボールを延々と繰り返したのだった。
次題 「像箱」
- 356 :名無し物書き@推敲中?:2019/02/07(木) 20:16:02.68 .net
- 目の前の男は言った
「像箱の前にあるボタン以外のボタンを押すと君は死ぬことになる。君はどうするかね」
目の前のテーブルの上には2つの物体。
1つ目は木製の人型。2つ目はやはり木製の立方体。そして俺は椅子に拘束され、身動きすらかなわない。
俺は考える。1つ目か、2つ目か。像箱の像を主体に考えると1だ。箱が主体だと2。外れれば死。俺は選ぶ事ができなかった。
「あと10秒だ」
男は苛ついた声で俺を急かす。
「選べない」
俺は力なく答える。
「正解だ。像箱はここにある」
男は飾りのついた箱を両手で俺に差し出す。
「お前にやろう」
そして男は俺から枷を外す。
男に促されて俺は廃墟を後にする。
暫く歩いた所で俺は持っていた箱を見つめる。何が入っているのだろう? くだらない物なら持って歩くのは意味がない。
俺は箱の結び紐を解くと、ゆっくりと箱を開ける。
そして、そのまま固まってしまう。
「やっぱり開けたな」
男は笑いながら身動きの出来ない俺を見下ろす。
「像箱というのは開けた者が像になってしまう箱なのだ。古道具屋から買ってはみたものの自分で試す気にはならなくてな」
男は箱を拾うと何かを俺に言った。
けれども、既に像になった俺にはその言葉を聞くことが出来なかった。
次のお題は、「寒空の下、ビッチがくれた大切なもの」
- 357 :名無し物書き@推敲中?:2019/11/01(金) 22:51:04.84 .net
- tst
- 358 :名無し物書き@推敲中?:2019/11/02(土) 13:11:40.06 .net
- 東欧に位置するその小国には、三つの暖房があるというジョークがある。
金持ちは最新式のガスストーブを。中流階級は備え付けの古い暖炉を。そして貧者は――。
「貧者は娼婦で身を焦がす、ね」
レイラは裸身の背を向けたまま、何でもないことのようにそう口にした。
事を終えた後の気怠い倦怠感と、安宿のシーツが肌に擦れる感触。吐き出した粘液を拭い去る事務的な作業に訪れる沈黙を埋めるように、彼女が持ち出したのは使い古されたジョークだ。
ふん、と私は鼻を鳴らす。まったくその通り。彼女は娼婦で、私は貧者だ。何の暗喩にもなってはいない。自虐的な言葉は、私に対しても錆びた針のように鈍く刺さる。
「それは、貧乏人は後先を考えずに娼婦に溺れ、暖房を買う金もなくいつか凍え死ぬという意味を含んだ侮蔑だろう」
「あら、間違ってた?」
「いいや。合っているから腹が立つのさ」
くすくすと笑みを漏らすレイラは、そんな喩えに持ち出されるようなはした金で買われる程度の容姿ではない。髪はほつれ、化粧も安いが、それでも磨けば光ると誰もが直観する美貌の持ち主だ。
もちろんそれは彼女の左目が痛々しく潰れていることを除けばで、いくら美人であろうと傷物の女を高く評価する娼館はこの国にはない。
物好きも多いのだろう、どこぞの大国へ行けば違うのかもしれないが、少なくともこの小さな北国に、そんな奇特な連中が育つほどの余裕はなかった。
だから私は、この国を出ようと決めたのだ。だが、路銀などいくらあっても足りない片道の旅の前に、馴染みの娼婦に金を落としてしまうような愚かな貧者のやることだ。どうせ、路頭で朽ちるに決まっているが。
「でも、ねぇ、ロレンス。それはそんなに間違いかしら。人が人と触れ合うことが、味気ない炎の熱じゃなく、女の生きた温もりを求めることが。そんなにおかしいことかしら?」
「……さぁね。あんたの温もりとやらは、今やさっさと冷えちまった。だからわからないよ」
「あら、そう。だったら、今度は覚えておいて」
- 359 :名無し物書き@推敲中?:2019/11/02(土) 13:12:29.44 .net
- そう言ってレイラはそっと、私の身体を抱き締めた。覆う布のない肌が触れる。肩口までの髪が私の頬に触れ、じんわりとした熱が心臓に届く。生きている、ということを、温度で感じる。
「貧者に生まれたことは、暖かさを求めてはならない理由にはならないわ。あなたはきっと、温もりを手に入れることができる。だから覚えていて。この温度が、きっと間違いなんかじゃないってことを」
レイラは富裕層に生まれ、けれど父が失脚し、酒に狂って目を焼かれ、今は老いた母をレイラ一人で養っていると聞いた。そんな人生であってさえ、今は貧しい娼婦の身に堕ちてさえ、彼女は確かに気高く、美しく。
そして、温かかった。
二日後、寒空の下で、私は列車の汽笛を聞いていた。
振り返る街のどこかに、彼女の温もりがある。無機質な大国へ辿り着いた後にも、その温度を忘れないように。
私はそっと、コートの裾を引き寄せていた。
次のお題は『夜よりも遠い朝の色』
- 360 :名無し物書き@推敲中?:2020/03/25(水) 22:58:40.92 .net
- test
- 361 :名無し物書き@推敲中?:2021/04/05(月) 00:19:05.65 ID:q3Ysk/p1B
- 26歳で独立して月収150万になった 元引きこもりエンジニアの物語
https://agroro.com/2020/05/06/prof/
【こんな僕が】フリーランスエンジニアで月収100万円を達成した5つの方法
https://takablog358.org/freelance-programmer-income/
ITフリーランスエンジニアの年収|会社員との違いや独立後の案件の取り方
https://boxil.jp/mag/a6287/
月収90万のITフリーランスプログラマー・SEが選んでる在宅案件はこんな案件です
https://arma-search.jp/article/homework
フリーランスの年収は平均いくら?年収1000万円以上の割合とは
https://freelance.levtech.jp/guide/detail/1242/
フリーランスの仕事や職業の種類って何があるの?独立5年目で月収200万の僕が詳しく解説
https://www.buntadayo.com/entry/job-change-freelance
ブラック企業から退職し、独立後11ヶ月で“月収300万円超え”になるまでの軌跡を
デザイナー社長船越良太に聞いてみた!
https://tokyofreelance.jp/interview-funakoshi/
2021年最新版 エンジニアの平均年収はいくら?全体平均と比べて○○円も高い!
https://coeteco.jp/articles/11047
【高すぎると不利】もっともコスパの良い年収は?「最適年収」3パターンについて解説
https://liberaluni.com/optimal-annual-income
- 362 :名無し物書き@推敲中?:2022/03/12(土) 20:07:13.62 .net
- 此のところ悪夢に魘されて目が醒める。寝汗も酷い
呼吸が乱れているのは無呼吸症候群のせいなのか
ムクリと起き出して、洗面所に行きコップ1杯の水を飲むと
上手く口を開けられないのか閉じられないのかは
わからないが唇の端から喉を蛇行し胸まで届き服を濡らした
ふと鏡を覗くと窪んだ目の下のクマのせいなのだろうか
酷く歳を取ってしまった様に見えた
まだ俺は30歳になったばかりだというのに
鏡の中のそいつはまるで老人だ
いっそのことこのまま老衰で死んでしまえれば
幸せなのではないだろうかとそんな事をふと思う
でも命に関わる様な病気どころかここ数年風邪すらひいていない
もう3年も外出どころか家の外に出た事がないので
猛威を奮っているコロナにすら罹患する心配すらない
そして誰も殺してはくれない。殺す価値すらないのだ
いや違う、ネットの向こう側には殺意や罵詈雑言を投げかけて来る奴はいる
しかしそれは安全を約束された悪意であり殺意だ
現実的に殺してくれる人もいないのだ。
窓の外には夜明け前の陰鬱とした雲が立ち込めて
更に心を憂鬱にさせる
もうすぐ夜明けなのだろう東の辺りが紺色のグラデーションを彩る
しかしそれはこれからもう1度寝るまでのほんのひとときの夜明けだ。
そして2度と目覚める事が無いように祈りながら自室のベッドに入る。
目が覚めて夜が来ない様に
『夜よりも遠い朝の色』
- 363 :名無し物書き@推敲中?:2022/03/12(土) 20:08:46.50 .net
- 次のお題
ぴなっくを探せ
- 364 :名無し物書き@推敲中?:2022/03/27(日) 16:08:27.67 .net
- >>1
10年経ったね。日本がより一層劣化したよ。
震災から11年原発再稼働も再エネも進まず劣化して停電祭りさ。今でもな。
衰退国日本!
- 365 :名無し物書き@推敲中?:2022/05/08(日) 19:55:40.63 .net
- https://i.imgur.com/Jepq4Rz.jpg
https://i.imgur.com/AeN8hA6.jpg
https://i.imgur.com/tQDE9wo.jpg
https://i.imgur.com/SlMdzP8.jpg
https://i.imgur.com/4RR7HLb.jpg
- 366 :ぴなっくを探せ:2022/05/26(木) 02:21:09.18 .net
- 「えっほい、えっほい、えっほい、え、あそーれ!」鼓手が歌うのにあわせて、男たちが力いっぱいオールを漕いだ。いや女もいた。性転換中のやつもいた。顔を真っ赤にして荒々しく息を吐く漕ぎ手たちは、イズーから来たキンメダイ星人たちだ。
俺たちは宇宙海賊。そして俺は船長。金がなくて宇宙帆船を買うことができず、やむなく宇宙櫂船をあつらえたが、これで他の宇宙船に追いつくことは不可能だった。んもう、俺のバカん!
しかし、俺たちは情報を持っていた。トウテーレ星のアステロイド帯に、宇宙商船ぴなっく号の残骸があることを。アステロイド帯は危険で、小回りの利く手漕ぎ船でしか近づくことができない。
「あったぞー!難破船だ!」
しかし誰も何も言わなかった。シラース星人の鼓手は相変わらず歌うようにリズムを取り、漕ぎ手は無心にオールを漕ぐ。と、鼓手の体に力が入っていないことに気がついた。
「どうした!」駆け寄って体をつかむと、鼓手の体が崩れ落ちる。尻から血が流れていた。しかし、鼓手はまだ歌っている。
「おい…」俺は恐怖にあたりを見回した。漕ぎ手たちのベンチからも血が流れている。尻子玉だ、尻子玉を抜かれたんだ…。
「ふふふ、これで尻子玉エンジンを動かせる。まんまと罠にかかったわね」
女の声がして俺は振り向いた。そこには読者好みの若い娘が立っていた。
「私はぴなっく。偽装商船長よ。大人しく荷を渡せはあなたは殺さないわ。さあよこしなさい」
俺は乗組員をバラして娘に渡した。これが東テレの昼めし旅にしらすとキンメダイばっかり出てくる理由である。
次「私の第8関節は素晴らしい」
- 367 :名無し物書き@推敲中?:2022/12/23(金) 09:05:23.75 .net
- てすてす
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