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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【234】

792 :ラスヒロ :2022/03/01(火) 22:17:33.66 ID:XunLNJos0.net
>>791の続き

「決断できないソフィアに、魔女は囁くわ。魔法のブルーベリーの効果を打ち消す果実も与える、と。但し、魔法のブルーベリーの効果を一度打ち消したが最後、二度と魔法のブルーベリーは効果を発揮しない、と言い添えた上でね」
「ひゃー! これはソフィアの心も揺さぶられるね!」
 やはり紗月の合の手はオーバーだ。まあいい。
「リセットできるのならと、ソフィアはついにメイに魔法のブルーベリーを食べさせる。その結果、女の子を恋愛対象と見るようになったメイは、ソフィアに恋をするようになる。晴れて、二人は恋人関係に……」
 でもね、と私は続ける。
「……ソフィアは恋人となったメイとの生活に満たされながらも、同時にずっと罪悪感に苦しみ続けるの。そうして……」
「そうして?」
「……続きはまだ考えてないわ」
「えー! すごい、続きが気になるじゃん!」
 紗月は、ガシガシと短く切り揃えた髪を掻く。
「小説を完成させたら、いの一番に紗月に見せるわよ」
「あいあい。早く完成させておくれ。感想くらい言ってあげるからさ」
「感想、ねえ」
 私はチラッと紗月の顔を見る。
「あによ?」
「いえ、どうせ紗月には、私の小説に込められた意図を読み解けないだろうなあ、なんてね」
「あー! 智子、私のことを馬鹿にしてるでしょ! ふーんだ! いいもん、見てなさい! 智子を仰天させるような、それは見事な読解力の発露たる感想をぶち上げて見せるわ!」 
 ふくれっ面になった紗月は、そのような宣言をしてくる。
「ふふ、期待しているわ」
 私は笑い交じりにそう返す。でも分かってる。彼女はきっと、小説の意味に、私の真意に気付きはしないだろう、と。
 安堵と未練がない交ぜになったような、複雑な心を抱いたまま、私は紗月と共に通学路を歩いた。

(完)

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