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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【223】

60 :リレー小説(その3) :2021/07/11(日) 16:27:39.93 ID:RJJqxRgl0.net
 最期の視界は青一色だった。もがくと口に流れ込んでくる。息に重く蓋をし、意識を失うまで気道の領域を責め続けた。
 ゼリーなんかも二度と食べない。
 最期に思ったのはそんな間抜けな言葉だった。
 そして次に意識を取り戻した時。
 これまでの圧迫が嘘のよう。ぽんっと蓋が弾けるように、全てが喉を逆流していた。
「おぼろぼろぼろぶしゃああ」
「わあ!」
 咳き込みながら青いゲル状を口端から拭う。顔をあげると、コックコートの男がトングを持った手で諸手をあげていた。死ぬほど驚いたように目を丸くしている。
「……」
「……」
 しばらく二人で見つめあったあと、男は何かを思いついたように小さく手をうった。
 自分の顔の大きさほどある羽をつまみあげる。
「薄ピンク色。やっぱり……おい、これシヴァの薄氷じゃないよ。不死鳥の羽じゃないか! 食材生き返っちゃったよお! あーあ、なんて初歩的なミスを……どうすんだよ。大臣の注文」
「へ?」
 自分の視線に気付いたコックが、あ、と気まずそうに頭をかく。
「いや、すんません。お客さん。獲物消化中のスライムなんて珍味中の珍味なんで。今日の皿にちょうどいいってことになっちゃって。はは」
「……」
「いやーそれにしても。生き返る確率三十%の羽ですぜ? お客さん、運が良かったですな!」
 誤魔化すような大仰な笑い声を聞きながら、ここがさっきの『ビストロ 異世界』だとようやく気付いたのだった。

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