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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【223】

457 :ぷぅぎゃああああああ :2021/07/20(火) 05:10:25.74 ID:vRs8SXxb0.net
 男の子の喜びはなかなか収まらない。私はいいように振り回された。
 すると背中から一枚の百円硬貨が飛び出した。気付いた男の子は拾ってじっと見る。そのあとで私に目を移して、どうしよう、と聞いてきた。
 豚の貯金箱の私は喋ることができない。円らな瞳で男の子を見つめた。

「そうだね」

 男の子は百円玉をポケットに入れた。私を学習机の端に置くと部屋を元気に出ていった。
 その日を境にして男の子は私をよく振った。要領を得て爪楊枝を使ってほじくり返した。
 お腹の重さが減ってきて軽さを実感した。逆に心は少し重くなる。男の子は取り出したお金で何をしているのだろう。
 そんなことばかり考えるようになった。そんなある日、男の子が部屋に女の子を連れてきた。

「ここに座ってて。なにか冷たいものを持ってくるから」
「ありがとう」

 女の子は用意されたクッションの上にちょこんと座った。男の子が部屋から出ていくと立ち上がり、ぐるりと回りを見る。
 私と目が合った。女の子は椅子に座って優しい眼差しを向けてきた。両手で持つと軽く振って元に戻す。

「軽いんだね。もしかしてお見舞いでお花を買ってくれたから?」

 一層、目が優しくなる。そして私の心を軽くした。そこに足音が聞こえてくる。
 女の子は椅子から立ち上がった。

「お待たせ。オレンジジュースでいいかな」
「いいよ。甘酸っぱいから好きだよ」

 好きの言葉に男の子は反応して顔を赤くした。小さな恋の始まりに私は円らな瞳でエールを送った。

END 〜豚の貯金箱と小さな恋の始まり〜

次はがらりと話を変えてバトル物で!(`・ω・´)短編リレーは続行!

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