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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【223】

263 :セッケン :2021/07/17(土) 13:32:59.56 ID:qH9BIAJE0.net
>>251 続き

「………」

どうやら、声の主は貯金箱になりきってふざけているようだ。
この家でこんな悪戯を働きそうな奴は一人しかいない。――弟のケンジだ。
私は自分の部屋の外に走り出て、すぐ隣のケンジの部屋の扉を勢いよく開いた。

「ケンジ!! お前ふざけんな……よ……?」

私の怒鳴り声は尻すぼみになって消えた。
「……ひゃっ!」
ケンジはベッドの上で、怒鳴り込んできた私を見て情けない悲鳴を上げる。
「お……お願いお願い姉ちゃん、母さんには言わないで、頼むから……」
散らかったベッドには『誘惑の巨乳女教師』と書かれた雑誌が置かれていた。
「………」
居たたまれなくなった私は逃げるように部屋を出ると、そっと扉を閉じた。

「(いや、ケンジではあり得ない)」
あいつは、私が部屋に怒鳴り込んで来る事を予想していながら巨乳女教師をベッドの上に放り出しておくほどバカではない。
「(それに……)」
先ほど命乞いの声が聞こえてきた時の状況を、頭の中で反芻する。
……良く考えるとさっきの声は隣部屋からではなく、もっと近くーーそう、私のすぐ側から聞こえてきた気がする!
私はトンカチを握る手に力を籠め、自分の部屋の前に立つ。
それから勇気を出して扉を開けた。
トンカチを構えて恐る恐る辺りを見回し、中に潜んでいるであろう不審者を探す。
「……ひっく……ぐすっ」
ーーちいさな、ほんの微かなすすり泣きの声がする。
声はどうやら部屋の中心、ちょうど豚さん貯金箱を置いた辺りから聞こえてくるようだ。
「おねがいです。……ぶたないで?」
かわいらしい声がはっきりと、そう言った。

私はピンクの豚さん貯金箱をまじまじと見る。
――その、ぽろぽろと涙をこぼすつぶらな瞳を。

「う……噓でしょ?」

この貯金箱……どうやら最悪のタイミングで魂を宿してしまったらしい!

「どうすんのよ……割れなくなっちゃったじゃん! うわぁあああああん!!
!」


次の方はホラー短編をお願いします!!!

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