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ワイが文章をちょっと詳しく評価する!【223】

11 :この名無しがすごい! :2021/07/10(土) 18:14:59.23 ID:FFAvzp7C0.net
死闘を繰り広げた竜と勇者がそこにはいた。
勇者の盾は焼け焦げて折られ、剣も折られ、鎧は打ち砕かれていた。
一方の竜もあちこちに剣の傷跡があり腹は血まみれ、手の鍵爪と翼は折れ、足は砕かれていた。
「あと一撃でお前を倒す」
「それはこちらのセリフよ・・・」
「なぜここに襲い掛かった、人間」
「仲間を食わせるためだ。私利私欲じゃない。暴君の政治から逃れた難民のためにな」
後ろには竜が集めたであろう宝があった。
「人間よ、宝を持っていくがよい。ただし条件がある」
「なんだ」
「私はここの領地の全てと宝をやろう。ただしお前もすべての物をさしだせ。」
「不幸の連鎖を無くすというその気概、気に入った」
「そうか。」
「この戦いっぷり、気に入った。できれば兄弟の契りを交わしたい」
その申し出に勇者は驚いたが納得した。
「いいだろう、俺もその意見に賛成だ」
「ますます気に入った。では条件だ。共に頭領となろうぞ」
こうして傷だらけの竜は後ろの宝から酒瓶とワインを持ってきた。
「ううう」
傷がいたむのかなんども互いにうめき声を上げる。
「義兄弟の契りだ。互いに酒を酌み交わす」
「俺の名はエリック。俺の世界の全てをお前に与えよう」
「俺の名はザルティス。俺の世界の全てをお前に与えよう」
「こうして世界の半分をそなたに与えるのだ」
こうして戦いは終り1人と一匹は城を去った。竜は宝物をかついで。
「持ちきれない分はもう一回戻るかお前の部下に持ってこさせるとよい」
「ああ」
「皆にこの事を説明して反対しても俺は承知せぬよ」
「大丈夫だ」
町にたどり着いた時、門番はただならぬ姿に驚いた。傷だらけ竜の腕に抱えられた勇者と白旗を上げた魔族らがいたからだ。砦は騒然となった。危うく竜に弓矢が向けられそうになったからだ。エリックの制止によってそれは妨げられた。
いくら手負いの者だらけとはいえ多勢に無勢。こちらが戦えば負ける。そう判断したのかあるいは「勇者は負けた!!」と絶望する人間も。こうして無条件で交戦することもなく門は開いた。「負けたわけじゃない。互いに勝ったのだ」
―こうして勇者エリックとドラゴンザルティスの冒険は始まった

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