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【盗作・複垢疑惑】月島秀一総合スレ9【参考にしました】

473 :この名無しがすごい!:2020/10/06(火) 08:42:13.69 ID:87ATSmR2.net
「大変お待たせいたしました――どうぞ」
 メイドは、グリード氏と俺たちの前に紅茶の入ったカップを静かに、優雅な所作で並べていく。
「おぉ、待っていたぞ(よくやった)! ささっテオール殿、どうぞどうぞ。彼女の淹れる紅茶はまさしく『天にも昇る味』なんですよ!(文字通りな!)」
 『天にも昇る味』……ね。期待させてくれるじゃないか。
「ほぅ……。しかし、俺はこう見えても『味』には煩うるさいぞ?」
 様々な異世界を渡り歩き、珍味からゲテモノに至るまで食べ尽くした俺の舌は、我ながら肥えている。
「ははは、そうですか(ふっ、冒険者風情が……。大した高級品ものも食べたことないくせに何を言うか……)。それでは、少しお手柔らかに頼みますよ」
 グリード氏と共に和やかに笑いあった後、俺はカップを手に取った。
「では、まずは香りから……んん?」
(この鼻腔を刺激する臭い……まさか……)
 チラリとグリード氏とメイドの方に目を向ける。
(……気付かれたか!? い、いや、あり得ん! アレは無味無臭だっ!)
 俺は意を決して紅茶を飲む。――するとなんと体が燃えるような『何か』を訴えた。
(……やはりっ!)
「くっ……これは麻痺毒『テトロドトキシン』か……っ!」
 するとグリード氏がニヤリと顔を歪ゆがめた。
「ふっ、ははははっ! 今更気付いたところで――もう遅いっ!」
「――好物だ」
 俺はそのまま一息に残りの紅茶全てを飲み干した。
「「……え?」」
 テトロドトキシン入りの紅茶を飲み切った俺は、内心で強くこのトーマス=グリードという男を警戒した。
(このグリードとかいう男――できる)
 この短い会合の中で、数ある毒の中でも俺の最も大好きなテトロドトキシンを見抜いた。その上俺に一切悟らせぬようメイドに伝えるとは……。ハンドサインを使ったのだろうか? ……それとも何らかの暗号によるものか?
(ともかく、とんでもない切れ者であることは間違いない……)
「グリード氏よ、感謝する。――まさに全身に電気が走り抜けるような刺激的な一杯だった」
「い、いやはや! さすがはテオールさん! まさかと受け秘伝の隠し味をよもや一口で見抜くとは――まさに天晴でございます!(おい、どうなっている!? ちゃんと適量を混ぜたんだろうな!?)」
 グリード氏の言葉に対し、メイドも『コクコク』と何度も首を縦に振った。
「お、お体の方はいかがですか?(なら、なぜ倒れない! ……まさか、麻痺耐性のある防具を装備しているのかっ!? だとすると最低でも『銀級冒険者』。いや、あの量の麻痺毒を無効化するほどの防具……もしや『金級冒険者』以上か!?)」
「お陰様で、ホカホカしているよ」
「さ、左様でございますか!(何にしても侮あなどれん男だ……) それは何よりでございます(何を考えているのか、全くわからん!)」
 この美味しい紅茶の話題で、お互いの距離がグッと近づいたような気がする。
(これもグリード氏の交渉術の一つなのだろうか?)
 さすがは一代で商会を築き上げた敏腕経営者だ。この俺が手玉にとられるとは……。

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