2ちゃんねる スマホ用 ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

安価・お題で短編小説を書こう!8

837 :この名無しがすごい!:2020/09/06(日) 21:23:50.96 ID:Qrrr9MEz.net
>>823
お題:『マダガスカル』『意味がわかると怖い話』『ご都合主義』『水素水』『もてはやす』

【喫茶in天然系】
 喫茶「マダガスカル」は、この店のオーナーがマダガスカル産のコーヒー『ブルボン』に惚れ込んでソレを出す喫茶店を造りたかった為に開店したと言う趣味性の強いお店だった。

 残念ながら、ブルボン種は、絶滅に瀕した事が有り、今ではほとんど輸出されていないコーヒー豆であり、この喫茶店のメニューには載っていない。
 極めて稀に入手できた時、幸運な一部の常連客が、マスターの厚意で飲ませて貰える事が有るだけだ。
 しかし、ブルボンこそ無いものの、マダガスカル産のジャスミンティーや、別のコーヒーなどは置いてある為、通常はそれらが提供されている。
 店内は、マスターが自ら集めたマダガスカルの品々で溢れており、喫茶店内に流れるBGMもそれに準じていた。

「とにかくすごいんだって!!」
「へぇ」

 そんな喫茶店の一角で、天城 優は恋人の山根 心の話を聞いていた。向かい合う二人の間には幾本のペットボトルが並び、どうやら心は、そのペットボトルに入っている水素水と言う水について絶賛していた。
 『美容に良い』『健康になる』から、『睡眠不足が解消される』『疲労回復効果がある』とほめそやす姿を見ていると、とてもでは無いが優には(胡散臭い)と言う感情しか沸いてこなかった。

「とにかく、試して、飲んでみてよ!」

 そう言って心がペットボトルの蓋を外した丁度その時だった。

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 隣にいた若い夫婦の奥さんが、夫に“何か”をぶちまけたのだ。
 ツンとする臭気に、優は咄嗟に(酸だ)と思い水を掛けるべく周囲に見回す。コーヒーなど論外。コップの水も少なすぎる。次に視線を移した場所には、心が蓋を開けたばかりのペットボトルが目に入る。

「心!! それ!!」
「は、はい!!」

 優は、ソレを旦那さんの方にぶちまけた。

「は、はははははははは!! それ、硫酸だから!! 水なんて掛けたらもっとひどい事に成るから!!」

 硫酸は水と反応すると高熱を発生させる。その奥さんは、旦那さんが焼けただれる事を確信し高笑いをする。
 だが……

「え?」

 ペットボトルの水素水を反応した硫酸は、白いドロリとした物に変化し、完全に中和されたのである。
 そこに居た全員が唖然とした。
 だが、とにかく旦那さんは、一命をとりとめたのだった。

 ******

 騒動の原因は、旦那さんの浮気が原因だった。この夫婦は、何度も「分かれる」「別れない」の言い争いをして来たのだが、この日、奥さんがついに我慢の限界に来てしまったらしい。

 態々硫酸などを用意して来たのも、余程腹に据えかねての事だろう。この日、心が水素水のペットボトルと、趣味の石鹸作りに使う苛性ソーダ水とを間違って持って来て居なかったら、中和など出来なかっただろう。
 果たして、良かったのか悪かったのか。

総レス数 1001
720 KB
新着レスの表示

掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
read.cgi ver 2014.07.20.01.SC 2014/07/20 D ★