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安価・お題で短編小説を書こう!8
- 717 :この名無しがすごい!:2020/08/11(火) 14:20:34 ID:/+n+r04I.net
- >>705
使用するお題→『樽』『ワタリガラス』『相棒』
【あなたは最高の相棒】(1/3)
僕は今、ある者に命を狙われ、追いかけられていた。
「やっと見つけたぞ、小僧。まさかあの町の生き残りがいたとは驚いたぜ」
「ハァ、ハァ…。お、お願いだから殺さないで」
「生かすも殺すも俺の機嫌次第。残念だが今日の俺はスゲー機嫌が悪い、だからお前を殺すことに決めたのさ」
自分の目の前に立つ、ヒゲを生やした大柄な男の名はレイヴン。
残虐かつ狡猾なワタリガラスのような性格から、世間ではその異名で恐れられているガンマンだ。
「さあ、あの世へ逝く時が来たようだ。あばよ」
レイヴンが銃口を向ける。もうダメだ、と最期を覚悟したその時だった。バキュン!と銃声が響き、その弾丸が銃を持つレイヴンの右腕に直撃した。
「グ、グワッ!だ、誰だ!」
「そんないたいけな男の子の命を狙うなんて、器の小さい男ね。見てて哀れだわ」
つばの広いウエスタンハットを目深に被り、長いコートを羽織った一人の女ガンマンがブーツの拍車をチャリチャリ鳴らしながら姿を現した。
「き、貴様は・・・!」
「その汚い口、いい加減閉じてくれないかしら」
その女ガンマンは今度はレイヴンの喉仏に向けて発砲した。口からゲボッと血を吐きながら、レイヴンはそのまま倒れ息絶えてしまった。
「さあ!早く逃げるわよ、坊や!」
女ガンマンは素早く僕を抱き抱えると、急いでその場から走って逃げていった。
「ここまで来ればもう大丈夫よ。ケガはないかしら?」
「う、うん、擦り傷くらいだから平気。お姉さん、助けてくれて本当にありがとう。僕の名はライアン」
「ライアンって言うのね。私の名はレイチェル。さすらいの旅を続けるガンマンよ、よろしくね。レイヴンに狙われてたみたいだけど一体何があったの?」
「実はね・・・」
僕は、レイチェルさんという女ガンマンに自分の過去を全て話した。
4年前、まだ僕が7歳だった頃、生まれ育った故郷の町や大好きな両親や友人達をレイヴンによって全員無残に焼き殺され、そして滅ぼされたのだ。
「ライアン、お前だけでもいいから逃げて生き残ってくれ!」と、みんなは気付かれないように逃げ道を作って、僕を逃がしてくれたのだ。
「そ、そんなことが!」
「あいつに何もかも滅茶苦茶にされたんだ。その事を思う度に涙が止まらなくて!レイチェルさん、仇を討ってくれて本当に、本当にどうもありがとう!」
僕は涙を流しながら、レイチェルさんに思いきり抱きついた。レイチェルさんは僕の頭を優しく撫でた。
「ずっと孤独だったのね。でも安心してライアン」
「えっ!?」
「この私がいるから大丈夫、これから何があってもいつも一緒よ」
これが僕とレイチェルさんの出会いで、ここから一緒に旅がスタートしたのだ。
「まず、ちゃんとした服を着させてあげないとね!」
一番近くの町に立ち寄ると、レイチェルさんは僕のために服屋で新しい服を買ってくれた。
その後、バーで冷たいコーラを飲んで寛ぐ。暑苦しい荒野の中を歩いて渇いてしまった喉を、冷えたコーラの炭酸が一気に潤してくれた。
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