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安価・お題で短編小説を書こう!8
- 708 :この名無しがすごい!:2020/08/09(日) 23:36:19.77 ID:l/A6WIZs.net
- 【今は昔の武勇伝】(2/3)
夏休み明けの教室で、私は意気揚々と研究の成果を提出した。
あの後、データの件数を増やしたり分析を追加したりした結果、レポートはそこそこの分量になっていた。こんなことを言っても意味はないが、私よりも優秀な学友たちの、立派な提出物と比べても遜色ない。
その学友たちが、どんな夏休みを過ごしたか。私の興味はそちらへと移っていった。
真面目に勉強していた者。
どこそこの別荘で優雅な休日を過ごした者。
スポーツで汗をかいた者。
家族で海外の避暑地にステイした者。
誰だかのパーティーに出席したらしい者もいれば、中にはもちろん――本当かどうかは分からないが――庶民的な暮らしを送っていたという者もいた。
誰かが配っていった、きっと有名なのだろう焼き菓子の包みに目を落とす。少女たちのおしゃべり。
私?
私は、祖母の家に引っ張られていったくらいで、他には何もなかったな。
*
そうして無難に情報を集め、帰りのホームルームも終わろうかという時。
「――――それと、西崎さん。ちょっと残ってくれるかしら。他の人は、今日はもう帰りましょう」
私と早苗ちゃんだけが教室に取り残された。
*
「……つまり、その、用水路に落ちていた本を見付けて、魔が差したと」
私は早苗ちゃんから取り調べを受けていた。
「いえ、違います。啓示です。霊感、インスピレーションと言ってもいいでしょう。これは絶対に面白いと、私は確信したのです」
私はそう主張したが、私の正面に座る、制服を着れば生徒と見分けがつかないくらい若くてかわいらしい学級担任は、いぶかしげに眉をひそめるばかりだった。
「あのねぇ西崎さん……。その本は、どんなタイトルだったの?」
ふとそんな風に質問をされたので、私は、ここぞとばかりに、よどみなく答える。
「『ふたなりシスター快楽堕(お)ち〜背徳の淫乱調教〜神様ごめんなさい、私、もう……』です!」
それを聞いた早苗ちゃんは、ゆっくりと机に突っ伏して。
「シスター……よりによって本校の生徒が……怒られる……私……」
ぶつぶつと何かをつぶやいてから、再びゆっくりと身を起こし。
「西崎さん」
張り付いたような笑顔で。
「はい」
それを見た私は、姿勢を正し。
この後そこそこ説教された。
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