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安価・お題で短編小説を書こう!8
- 54 :この名無しがすごい!:2020/04/12(日) 22:03:02.75 ID:mHrRJVc+.net
- >>32
お題:『恐竜』『コネクト』『満月』『カブ』『新生活』
【士官学校の問題生】(1/3)
朝日が窓から差し込み、微睡んでいた意識を覚醒へと誘う。
見慣れぬ天井を眺め、ここが実家ではない事を思い出した。
「あぁ、俺、士官学校に入ったんだっけ」
新生活も始まり、既に数日が過ぎたが、それでも未だに寮生活に慣れたとは言えない。
四人一組で生活するという事で、同年代の友人が増える事を期待していた俺だったが、それは叶わぬ夢と成っていた。
たった1つの事故によって、何故か今、上級士官候補生の寮に連れ込まれていたからだ。
「何をやっているの? 早く起きなさい!! それでも、栄え有るバーケスタ公爵家の従僕なの!!」
「ハイハイ、分かりましたよ!! リンゼお嬢様!!」
朝っぱらからかしましいのが、俺、トウヤ・イチジョウジが仕えているって事に成っているリンゼ・フォン・バーケスタお嬢様だ。
なぜ、“仕えている事に成っている”なんて言い回しをしたのかと言えば、それが全くの嘘だからだ。
******
深紅の髪を靡かせながら、気の強そうな美貌をさらに不機嫌さで染め上げたリンゼお嬢様は、俺の前をカツカツと歩いて行く。
俺は従僕らしく、彼女の鞄も持ち、アクビをしながら後に続いた。
「チッ」
「……公爵家令嬢として、そう言う舌打ちとかどうなんすかね?」
「わ、わたくしは、貴方の事なんて認めてないわ!! お父様が従僕としなさいと仰らなければ、とっとと無礼打ちにしているところよ!! あ、貴方が、ああんな……」
そう言いながら、耳まで真っ赤にするお嬢様。
あぁ、あの時の事を思い出したんだな。
そう、それは俺とお嬢様が始めて出会った時の事だ。
田舎から出てきたばかりの俺は、士官学校の入学式に向かう途中、ちょっとした事故に巻き込まれて、学校への到着が遅れていたんだ。
だから、ショートカットの意味も含めて、学校の周囲に広がる大森林を昼夜を問わず突っ切っていた。
「おっし、これで大分時間短縮できたかな?」
そうやって、もう少しで学校に着くと言う時だった。
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