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安価・お題で短編小説を書こう!8
- 536 :この名無しがすごい!:2020/07/23(木) 23:45:54.42 ID:1vrhRCYl.net
- >>531
お題:『エクレア』『100人の彼女』『タニシ』『編隊』『ペーパー』
【水底の】(1/2)
口の周りをべちゃべちゃにしながら、子供がエクレアを頬張っている。
(汚い餓鬼だ)
そうは思う物の、『子供にやさしいお爺さん』と言う仮面を脱ぎ捨てられずにその感情に蓋をする。
ゴポリ……と肚の底で泥が揺らいだ気がした。
目の前の子供は、別に私の係累と言う訳では無く、近所に住んでいる子供であるらしい。あるらしいと、他人事の様に言っているのは、彼がそう話したからだ。
実の事を言えば、私は彼がどこの誰であるのか知らない。名前ですら聞いた事は無い。
「でな! オレの彼女がな!!」
「そうか、凄いなぁ」
幼い子供にも拘らず、こうして“彼女自慢”をする様は、まるで一人前の人間であるかの様だ。
(親の保護を必要とする子供のくせに)
私はその感情に蓋をしながら他愛もない相槌を打つ。彼の自慢の彼女は色々いる様で、既に100人は越しているかもしれない。
恐らく、ガールフレンドと言うより女友達と言うのがしっくりくる。たぶん、未発達な彼の精神性において、その区別はついていないのだろう。
「そんで、オレがチューしてやったらな!!」
「そうか、凄いなぁ」
性知識と言うのもまだ良く分かってないのだろう。だが、愛情表現としてのそれ等の行為は知っているらしい。
大人の真似なのか、本能の為せる業なのか。
ただ、知識的に疎い為なのだろう、“お互いの違い”が不思議な様で、見せ合いっこをした事も有ると話して来る。
その行為自体に思う所もあるが、それを殊更自慢げに大人に話すのもどうだろうか?
肚の底の泥がゴポリ……と揺らぐのを感じならも「あまりそう言う事は、人に自慢する物では無いよ」と声を掛けておく。
よその家の教育にまで口出しはしたくはないが、良識ある大人としてはこれ位は言っておかなければならないだろうと、そう思ったからだ。
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