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安価・お題で短編小説を書こう!8
- 480 :この名無しがすごい!:2020/07/12(日) 14:36:00.49 ID:2el2mxO+.net
- >459
お題:『はなまる』『ホームビデオ』『天使ちゃん』『幼稚園児』『七夕』
【曇り空の夕べ】
ありきたりな表現だが、家の天使ちゃんの顔は今日は今宵の空と同じ様な曇り加減だ。
出窓の大きくとられたガラス窓から外を眺めてはこれ見よがしな溜息を吐く。
「どうした?」
「んーん、なんでもない」
素っ気ない様に返事はするものの、我が家の天使ちゃんが表情を曇らせている理由は分かって居る。
七夕だと言うのに曇り空だからだ。
幼稚園での七夕会で、園児たちは自分の短冊の付いた笹の枝を貰って帰って来た。さすがにマンションの部屋の中に竹は用意できなかった。
マンションの玄関ホールに用意された竹に、その短冊を付け替えると言う選択肢も有ったにはあったのだが、我が家の天使ちゃんは、ご自宅に飾る事にしてくれたらしい。
朱色の筆ペンで『はなまる』の書かれた短冊には、『くっきーやさんになりたいです』と言う彼女の夢が書かれていた。
クッキー単品のお店か、中々に隙間商売だ。
もっとも、むしろこれは、クッキーをたくさん食べたいと言う彼女の願望由来だろう。
クスリと笑いつつも、窓の外を憂鬱気に眺める天使の姿をホームビデオに収める。
どうやら、天の川が出て居なければ願いが叶わないものだと思い込んでいる彼女が成長し、七夕がどういう物かって事が理解した後、これを見せてやろう。
悪戯好きな悪いお父さんは、真っ赤になって怒る、未来の彼女の姿を思い浮かべながらRECのボタンを押すのだった。
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