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安価・お題で短編小説を書こう!8
- 375 :この名無しがすごい!:2020/06/21(日) 21:32:28.35 ID:ZStpF2RD.net
- >>361
お題:『手抜き』『よさこい』『滑り台』『オリガミ』『原曲』
【反逆世界の呪操者】(1/3)
パンドラの箱と言う物語を知っているだろうか? 少女が誤って開けてしまった箱から、あらゆる災厄が飛び出し、しかし、最後に箱の中に「希望」が残されると言う話だ。
実は、その話には元となった神話があり……
******
ようやっと見つけ出したソレを少年は水晶に転写した。浮かび上がってくるのは、大勢の人々が歌い踊る姿と<2019高知よさこい>と言うタグ。
200年以上も前の『記録』の様だが、良くここまでハッキリとした形で残って居たものだと少年は感嘆の声を漏らす。
街灯すらない夜道は、しかし、仄かに光るビル群によって星空すら見えぬ程度には明るく、たった一人で歩いたとしても問題など無かった。
「……」
警備ドロイドの小さな駆動音に気が付いた少年……阿部 十嘉は、寂れた公園の朽ちたコンクリート製の滑り台の下に身を隠す。
基本的に赤外線で視界を確保している警備ドロイドは、こう言った分厚いコンクリートが間に有れば人間を認識する事は出来ない。
ただし、顔を覗かせる事すら無謀な為、十嘉は警備ドロイドの駆動音が通り過ぎるまで、身を縮こまらせて息を殺した。
完全に駆動音が聞こえなくなった後、十嘉は溜息を吐くと滑り台の壁にもたれ掛かる様に身を預ける。
彼の手元には、タグの付いた<2019高知よさこい>の『記録』。
その中で楽し気に踊る人々を眺め、彼は「人間って、こんなに大勢居た事が有るんだな」と、感嘆と共に呟く。
キュイーーーン。
「…………え〜と、マジ?」
幽かに聞こえた駆動音。その風の騒めきに、恐るおそる音のする方を見た十嘉が見たものは、滑り台の朽ちたコンクリートの穴から覗き込む、通り過ぎたと思っていた警備ドロイドの複合情報収集ヘッドだった。
表情無きドロイドの、その赤外線カメラが、怪しく赤い光を放ったように彼には思えた。
「コン、チクショオオオオオウ!!!!」
刹那に放たれる陽子加速ビームを手に持った札を消費し身代わりにすると、十嘉は、一目散で逃げ出した。
彼の持っている簡易札では、到底、警備ドロイドには勝てなかったからだ。
「うぎゃあ!! 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!! もし死んだら、怨んんで化けて出てやる!! クソ師匠ぉぉぉぉ!!」
警備ドロイドの攻撃の爆風に翻弄されながら、十嘉はこんな危険な指令を出した彼の師匠に恨み言を叫んだのだった。
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