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安価・お題で短編小説を書こう!8
- 208 :この名無しがすごい!:2020/05/17(日) 21:46:07 ID:XqeqbzCz.net
- >>191
使用お題→『マインドコントロール』『百人組み手』
【機知に富んだ達人ドン・タローツ】(1/2)
遠く東洋の神秘薫る地に一人のカラトマスターがいた。
「ではー、次の相手でー、九十七人目ですー」
「残り三……ではないな、四人か……」
広いドージョーの中。観客や関係者がコートを取り囲んでいる。その中心で対戦相手を待つ、この男。
「だが……残り何人であっても……俺に取っては同じことである……」
今は百人組み手と呼ばれる荒行の最終盤である。ここまで九十六人と対戦した男は、とっても疲れて、立っているのもやっとの様子である。
「相手が誰であれ……俺は勝つ……。全員に勝利した暁には……『<マスター東洋>ドン・タローツ』改め『<マスター世界>ドン・タロート』を名乗ろうぞ……!」
*
「モリー! 次はこのモリ、『<ネオヘーケ総統>ドンキー・モリージ』が相手だモリ!」
全身毛むくじゃらの怪人が現れた。顔も体も緑色の、異様な姿である。
「ふっ、モリよ……お前はもう負けている……」
「モリモリ。疲労で頭がおかしくなってるモリ。その回らない頭で、モリの前にひれ伏すモリー」
酔拳もかくや、ふらふらのドン・タローツに対して、元気一杯の怪人だ。これだけを見れば、ドン・タローツに勝ち目などないように思える。
「皇帝はマインドコントロールでモリの言い成りだモリ。モリは『<六波羅大要塞>グリーンヒルコ』も復活させたモリ。これで世界はモリに服従するモリー。世界征服だモリー♪」
普通に聞けば意味の分からない妄想だが、見るからにおかしな風体の人物が自信満々に言い切ると、そこには言い知れぬ説得力があった。
「ふっ、世界征服だと……? ふふふふ……ふははっ……ふははははっ!」
「モリモリ。いよいよ本当に頭がおかしくなったモリ」
観客の中には、モリージ勝利の雰囲気が広がりつつあった。だが、ドン・タローツは動じない。
「モリよ……<マスター東洋>をなめるでない……。タローツ拳法最終奥義『俺の両手から放たれる幻想破壊拳』で、お前のドリームは粉みじんだ……」
「モッ、モリモリ」
「おごれるモリも久しからず……。見よ……大要塞は……緑のジャングルに沈んでいる…………」
「モリモリ……」
「…………爆発ッ!!」
「モリーッ!?」
*
モリージを撃破したドン・タローツ。次なる対戦相手は。
「『<前回世界大会チャンピオン>イマナント』選手ですー」
馬っぽい顔の男である。過去には無敵を誇った大物だが、最近は音沙汰がない。
「これが諸行無常か……イマナントよ……お前はもう負けている……」
「今なんと?」
イマナントの『絶対恐怖反射』。相手は精神崩壊する。
「あらー? イマナント選手、反則負け、一発退場ですー」
最近のルール変更で、イマナントの必殺技、絶対恐怖反射は禁止されてしまったのだ。
「恐ろしい相手であった……」
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