2ちゃんねる スマホ用 ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50    

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

安価・お題で短編小説を書こう!2

1 :進行 :2017/11/23(木) 12:47:42.59 ID:p7FSJVm5.net
安価お題で短編を書くスレです。

■投稿方法
投稿する際は、1行目に【】でタイトルを付けてください。決めていなければ【無題】でも可。
作品は2000文字以内で。レスが2つに別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。
なろうに投稿してリンクを貼るのも可。必ずタグに『お題スレ投稿作品』を入れ、【タイトル】とURLを書き込んでください。

■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1508249417/

2 :この名無しがすごい!:2017/11/23(木) 23:54:36.82 ID:7y7U3AGc.net
>>1
乙です
早速ですが、書き上がったので投稿します

使用お題:『アイドル』『迷宮入り』『滅亡』

【メメントモリ】(1/2)


「岩さん? またその事件ですか?」

 頬のこけた若い刑事が、未解決事件のファイルを眺める老刑事にそう声を掛けた。
 岩さんと呼ばれた老刑事はジロリと視線だけで返事を返す。
 若い刑事はやれやれとばかりに肩を竦める。

「岩さんは……ああ、すみません……」
「気にするな、第一、お前も同じだろう?」
「僕は望んで独り身ですけど、岩さんは……」

 型遅れのラジオからは引っ切り無しにニュースが流れ、その音だけが、閑散とした捜査課の部屋に響く。老刑事は短く息を吐くと、もう一度そのファイルを眺め直した。
 その事件は既に10年以上が経ち、捜査本部も解散している。岩さんと呼ばれた男は、唯一人、時間を作ってはその捜査をしていたのだ。

「……その事件も、迷宮入りですね」

 若い刑事の言葉に老刑事が顔を顰める。

「分かってる」

 落胆と言うよりも諦観の強い声でそう答えた。

3 :この名無しがすごい!:2017/11/23(木) 23:56:03.66 ID:7y7U3AGc.net
【メメントモリ】(2/2)


 古い事件だった。あるアイドルの卵が殺された。凶器が有り、目撃者も居た。ホンボシはそのアイドルのファンだと言う男で決まりだった。
 ただ、その男は忽然と行方をくらませた。全ての状況はほぼ分かって居るにも拘らず、犯人だけが空白となった。
 それ故に、その事件は宙ぶらりんのまま捜査が打ち切られたのだった。
 老刑事……岩波は、その事件の犯人を追って居たのだ。悔しさがあった。悲しみも、やりきれなさも有った。

 …………犯人が憎かった。

 殺されたアイドルの卵は、彼の一人娘だった。
 奥方の忘れ形見でもあった。

 身内と言う事で管轄にも拘らず岩波は事件の捜査から外されていた。自分の娘の事にも拘らず、自分が加われない。
 それがどれ程歯がゆかったか。
 捜査が打ち切られ、どれ程悔しかったか……

 だからこそ、彼は一人で、捜査を続けて来た。
 しかし、それももう、終わりである。

「……しかし、どの局も同じ放送ばっかりですね……」
「仕方ないだろう?」

 そう言いながら岩波は立ち上がり窓ガラスのブラインドの隙間から外を眺める。
 窓の外には後、1時間もしない内に地球へと衝突する巨大彗星の姿がハッキリと見えていた。

4 :この名無しがすごい!:2017/11/24(金) 00:00:12.14 ID:IRRLjE3o.net
おつ
なお今回のルール再掲


787 進行 ◆Ujy3nQuLmg [sage] 2017/11/23(木) 11:42:06.55 ID:p7FSJVm5

お題『もみじ』『台詞「愛してる」を入れる』『視点変更』『プレゼント』『アイドル』
『ご主人』『迷宮入り』『動物』『びしょうじょ』『滅亡』
から3個選択

・1行目に【】でタイトルを付けてください。決めてなければ【無題】でも可。
・作品は2000文字以内で。レスが2つに別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。
・どのテーマを選んだのかも明記してください。
・なろうに投稿してリンクを貼るのも可。必ずタグに『お題スレ投稿作品』を入れ、【タイトル】とURLを書き込んでください。

締め切りは11月30日 22時です!

5 :この名無しがすごい!:2017/11/24(金) 08:01:22.44 ID:+hTHsvhD.net
>>1
乙!

>>2
記念すべき新スレ幕開けトップバッターは2氏! 刑事ドラマでお題:『アイドル』『迷宮入り』『滅亡』に挑戦!
さあ、この回のテーマはお題10個うち3個をチョイスして作品を仕上げる一週間の戦いだ〜難関は『びしょうじょ』か! どのお題を選ぶか、それをどう組み合わせるか作者のアイデアに注目だ〜
物語は未解決事件に関わる刑事、岩さんが訥々と娘への無念を語る〜滲んでいる、滲んでいるぞ、奥方の忘れ形見という殺しのワードに哀情がしっとり滲む!
悔恨の刑事がお題:『アイドル』『迷宮入り』を違和感なくクリアし、定年間際の岩さんがクライマックスで犯人を暴くのか、この相棒怪しいね、って、ん? 残るお題は『滅亡』??w
でたあw 巨大彗星ww 捜査が終わりなのは定年だからじゃなくて滅亡だからw 何で普通に仕事してんだw そんな読者のツッコミがオチだあ!
前スレで鍛え上げたか余裕が見えるぞ2氏! 短編らしい裏切りキラリ! 綺麗に仕上げた手腕に拍手だ!

6 :この名無しがすごい!:2017/11/24(金) 12:58:33.94 ID:hktwNJ3z.net
いつも感想有難うございます
お題一覧を眺めていて頭に浮かんだのが会話している刑事と、迫る巨大彗星と言う絵でしたw
そう言えば自分の書いた短編は落があるせいで、殆どが迷宮入りする話ばかりだったなぁと、気が付きましたorz

7 :この名無しがすごい!:2017/11/25(土) 13:22:58.32 ID:MKhKEcCw.net
締め切りに余裕があるからか、かなりゆったりしたスタートですな
……書かなきゃ

8 :1/2:2017/11/25(土) 18:55:03.65 ID:q79zXzNR.net
お題 『台詞「愛してる」を入れる』『ご主人』『動物』


【愛を込めて貴方にささやく】

 わたしがご主人様の家でお世話になるようになったのは五年前のことだった。
 この家には二人の大人がいる。
 とても元気で優しいご主人様。
 少し口数が少ないけれど、とても温かい手を持った奥様。

 わたしは二人のことが大好きだ。
 二人はわたしが何か失敗をしても、笑って許してくれてる。
 ふと寂しい時は、ギュッと抱きしめてくれる。

 たとえばこんなことがあった。
 わたしがトイレの掃除をしていた時のことだ。

 こう見えてもわたしはかなりのキレイ好き。
 トイレをしっかりと掃除しようと手に力を込めすぎて……何でとは言わないが、逆に汚してしまった事がある。

 どうしたものかとパニックになるわたしに、ご主人様は気にするなと笑ってくれた。
 奥様は落ち込むわたしの頭をゆっくりと撫でてくれた。

 驚くほどに二人は優しい。
 わたしはそんな二人が大好きだ。

 だけどわたしはその気持ちを伝えようとはしなかった。
 生来、無口なタチだったからというのもあるが、それだけじゃない。

 しょせんわたしは、自分勝手な奴なんだ。
 ごくたまに口を開くときはいつも自分のため。誰かのために声をかけようという気にはならない。
 それでいいと思ったし、それでわたしの人生は何も困らなかった。
 ご主人様もそれをよしとしてくれたのか、特にそれで何か言ってくる事はなかった。



 

9 :2/2:2017/11/25(土) 18:55:28.52 ID:q79zXzNR.net
 ある日、ご主人様は奥様と別れる日が来た。
 死別だった。

 もう奥様に会える事はない。奥様の温かい手に触れることもできない。
 そう思うと、とても悲しい気持ちがこみあげてくるが、何よりもわたしが気になったのはご主人様だった。

 今までに見たことのない、ご主人様の顔。
 いつもニコニコとしていた、ご主人様の顔……

 わたしは初めて自分のためじゃなく、ご主人様のために何か言わなければ、言ってやりたい、と思った。
 ゆっくりとご主人様に近付いて、そっとご主人様の手の上にわたしの手を置く。
 いつ以来だろう。声の出し方、ちゃんと覚えているかな。

「にゃぁ……」

 か細いかもしれないけど、確かに声は出た。
 これがわたしの精一杯。

 大好きです、ご主人様。元気を出して。

 わたしの気持ち、ご主人様に届くだろうか。

「……たま」

 ご主人様が驚いた様子で、わたしの名前を呼んだ。
 そしてわたしの体を持ち上げて、わたしの顔をじっと見た。
 その目がゆっくりと涙でにじんでいくのがわかる。

「お前がそばにいてくれると、私を大好きだと、愛してると。そう言ってくれるんだね、たま……」

 ありがとう、ありがとう、と。嗚咽まじりにご主人様の言葉はいつまでも続いた。

 しょせんわたしは自分勝手なただの猫。
 無口で可愛げのないただの猫。
 だけど、そんなわたしの存在が、大好きなご主人様の気持ちを少しでも軽くできたなら。

 いつまでも傍にいます。だから安心して、ご主人様。

10 :この名無しがすごい!:2017/11/25(土) 18:55:45.91 ID:q79zXzNR.net
猫の人生とか犬の人生って言葉たまに目にするしセーフかなって言い訳おいておきます

11 :この名無しがすごい!:2017/11/25(土) 22:22:26.92 ID:jTYBY2sp.net
>>9
心にグッと来る良い話だと思います
昔交流の有った野良猫の事を思い出しました

12 :この名無しがすごい!:2017/11/26(日) 05:44:43.91 ID:fIhqYvp6.net
>>8
続いてお題『台詞「愛してる」を入れる』『ご主人』『動物』に挑戦者あり!テーマは動物愛だ!
普段は自分勝手な主人公、落胆する主人を慰めるために声を出したあ〜ネコラブが伝わるイイ雰囲気だ、猫の恩返し〜そんな映画あったねー
なるほど、前半で語り手が何者かを隠そうととしたか8氏〜トイレで手を汚した事情を伏せる、敢えて人生という表現を使う! オチ構築の作業跡だ〜
しかーし、選択お題『動物』で手の内がバレバレだぞw 10個から3個を選ぶ今回のテーマ戦、作者の選択お題にまず目が行きやすく、読者に驚きを与えるにはお題開示にも耐えうる伏線構築が求められる〜さらなる誤誘導に挑んで欲しい!
それにしても、たまが名前とは……これは、ご主人は波平?そんなオチもあったはずだ!(ない

13 :この名無しがすごい!:2017/11/26(日) 11:09:37.23 ID:pl25fqqZ.net
使用お題:『台詞「愛してる」を入れる』『プレゼント』『びしょうじょ』

【まだはじまらない物語】(1/3)


「貴方を愛しています」

 わたしは恋人にハッキリとそう告げました。彼は私にキスをし抱きしめます…………

 ******

 目覚めてすぐに深く溜息を吐きました。一応枕元に忍ばせていた夢辞典を取り出し夢の内容を調べてみます。

「恋人……貴女の気に成っている相手。告白をする……片思い。キスをする……愛情の欲求。正面から抱きしめられる……恋愛の進展……ですか……」

 本を閉じると両手で顔を覆い、再び大きく溜息を吐きました。

「何と言う夢を見ているのでしょう。わたしは……」

 確定的に成りました。あんな夢を見ていてなんですが、それでも何か別の解釈が存在するのでは? と言う希望的観測は無為に成った形です。

 実際、わたしが浮かれ気味なのは事実でした。
 以前から何となく惹かれる存在だったのは確かで、傍に居てくれんだけで安心する様な、落ち着かなくなる様な人ではありました。

 その人をゲームに誘ったのです。

 と、言っても直接ではありません。フルダイブ型のVRMMOにです。それだけでも、わたしには一大決心だったし、実際に誘う時はメール送信を押す指が震えたりもしました。
 それもこれもあの人が悪いのです。
 お父さんがあの人と同じ年齢の時には、もう、わたしが居たと言うのに。まるでわたしが育つのを待って居るかの様に独り身を貫くのだから。

 期待……してしまうではないではないですか……

14 :この名無しがすごい!:2017/11/26(日) 11:12:12.82 ID:pl25fqqZ.net
【まだはじまらない物語】(2/3)


 わたしはゲームを立ち上げて悩み込んでいました。今使っているキャラクターは実用本意でガチガチにビルドされた壁役で、現パーティーに合わせて作ったものだからです。
 流石に初心者と一緒に遊ぶのは無茶だと言う事は私にもわかります。

「やはり、新しいキャラクターを作るしかありませんね」

 あの人は、あまりやりたいゲームも無かったからと言う理由で殆どゲームをしていなかったそうです。
 ですが、所謂大作ゲームと呼ばれる物は、当時の友人達との話合わせの為と言う事も有って、そこそこやっていたとか?
 あの当時の大作ゲームと言う事は、主人公は勇者だったり、運命の導きだったりで剣も魔法もそこそこ使えて……と言った感じでしょうか?

「恐らくそうでしょうね、そう言った期待は裏切らない人ですし……」

 つい、笑みが零れます。
 いけません。どうもあの人の事を考えると心が浮き立ってしまいます。
 ともかくあの人であれば、そのイメージでキャラクターを作るのでしょうから、わたしはそのサポートの出来る形にした方が良いのかもしれません。

「外観はどうしましょう?」
(アバターでしかないのですし、いっその事全く違った姿にしても……いえ、あまりにイメージと違う事をし過ぎてドン引きされたら立ち直れません……無難に今の姿を模した方が……)

 そう思い、姿見に映った自分の体を眺めました。中学に入ってから急激に身長が伸び、あの人の覚えて居るであろう『おチビちゃん』ではなくなったわたし。

15 :この名無しがすごい!:2017/11/26(日) 11:15:51.52 ID:pl25fqqZ.net
【まだはじまらない物語】(3/3)


 ……そうでした。そもそも、今の姿では私だと認識してもらえない可能性だってあるのでした。

 身長ばかり伸びて、でも、あまり女性らしい身体つきでは無いのが実は少しコンプレックスです。クラスの男子に「デカ女」と呼ばれた事が、未だに心に引っ掛かって居ます。
 お父さんとお母さんが長身な事も有り、それを正しく受け継いだからですが、お母さんの華奢な身体つきも見事に受け継いでしまいました。

「……美少女だったら良かったのですが、わたしでは微妙な少女で、微妙女ですね」

 それでも、お父さんと同じ身長のあの人の方が、少し背が高いのが救いでしょうか? 男性を見上げられるってだけでこんなに嬉しくなるなんて、きっと、誰にも理解できないでしょう。
 そんな事を考え、つい自虐的な笑みが漏れてしまいます。
 わたしは立ち上がると、本棚から一冊の本を引っ張り出しました。

 昔、彼が懐かしそうに「この話、僕の買ってた子供向け雑誌に載ってたのを読んでたなぁ」と言っていたので、わがままを言ってプレゼントしてもらった本。【長靴下のピッピ】……
 少しでもあの人との共通の何かが欲しかったから、買って貰えた時は大喜びをしてしまいました。

「ピッピ。わたしに勇気を下さい!!」

 世界で一番勇敢な女の子にわたしは祈りを捧げます。その時、ふと、アイデア思いつきました。
 わたしは急いでその加工をする為の準備をしたのです。

 ******

 ゲームの中で、わたしは自分の姿を再確認します。思い出の絵本を手にした子供のアバター。結局、怖すぎて、今のわたしの姿そのまま……と言う訳には行きませんでした。
 待ち合わせ場所に近付く度に、様々な感情が飛来してきます。
 あの人はわたしの事に気が付いてくれるでしょうか?
 あ、今、目が……

16 :この名無しがすごい!:2017/11/27(月) 04:39:08.58 ID:VarMRExE.net
>>13
お題『台詞「愛してる」を入れる』『プレゼント』『びしょうじょ』にチャレンジ〜VR恋愛!
今回の見所お題『びしょうじょ』をいかに料理するか〜って普通に美少女で変換しやがった、そこは何とか平仮名で消化する気概をさ〜って微妙女とか小ネタうるさいw
長靴下のピッピでワロタ、解説しよう! 前スレにてある恋愛物語が男性視点で描かれた〜今回作者13氏はそれを相手の少女視点から描いているのである〜
さらにその構造的仕掛けを当時のお題『長靴下のピッピ』をテコにして明かしているのだあ〜スレッドの内輪ネタではあるけどネタの遠回しな明かし方の発想が好き!
うん13氏、これ『びしょうじょ』じゃなく『視点変更』使用してラスト一行にネタばらしでピッピ持ってきても良かったんじゃ、そしたら感動してたw
他のお題は滑らかにクリア〜さあ幼いアバターを敢えてセレクトしたあざとい少女ちーちゃんの戦果はいかに〜気になる次の展開を待てい!

17 :この名無しがすごい!:2017/11/27(月) 19:34:22.24 ID:ygayd20A.net
>>11
猫ってたまに驚くくらい寄り添ってくるところが好きです
普段はわりと無視されます

>>12
動物はやっぱり直接的すぎましたか
お題入れ忘れ? からの逆転劇を狙ったのですが甘すぎましたね
今回は隠す意味もあまりなかったので、オチでネタ晴らししてスッキリするようなものをまた考えてみます

たまはまあ、猫の名前はと考えてパッと思いついたものを使っちゃいました
フネが亡くなる話なんてとても書けないっす!

18 :この名無しがすごい!:2017/11/27(月) 20:59:21.24 ID:ueXqNwPN.net
>>16
いつも感想有難うございます
短編として完結を目指したらこうなったと言うw
最初は『視点変更』の予定で書いていたのですが、文字数を削ったら何故かこうなりましたorz
続きは……お題に『VR』とか出てきたら書くと思います

19 :この名無しがすごい!:2017/11/27(月) 21:20:25.25 ID:OgH/T8Lw.net
>>13
ピッピ出てきたと思って笑ったら前の短編の女の子側の話でしたか
敬語一人称は読んでて楽しいので好きです
続きをお待ちしております

20 :この名無しがすごい!:2017/11/27(月) 23:17:58.80 ID:ueXqNwPN.net
>>19
はい、実は別視点の話でした
この二人は気に入ってるキャラなので
楽しんで頂けたなら幸いです

21 :この名無しがすごい!:2017/11/28(火) 22:14:13.59 ID:qt0F+Qw+.net
使用お題:『もみじ』『視点変更』『迷宮入り』

【もみじさん】(1/3)


「ねぇ、もみじさんってしってる?」
「しってるしってる!」
「あ、わたしもきいたぁ!!」

 ******

「もみじさん?」
「はい、最近流行ってるそうですよ?」

 瀧太の言葉に雪芽が首を傾げる。

「まぁ、赤マント系の都市伝説です」
「そう言うの定期的に流行るわよねぇ」
「ですね」

 大学の研究室。その長テーブルで瀧太はお茶をすする。雪芽は資料のファイルを整理しながらその話を聞いていた。

「赤マント系って事は選択させられるのかしら?」
「はいはい、その通りです。青、黄、赤のもみじを選択させられるらしいです」
「ふぅ〜ん。で? 青を選択すると?」
「青ですか? えっと、確か……」

 ******

 KEEP OUTと書かれたテープの中、殺されたと思しき被害者を見た刑事は、その奇妙さ加減に眉を顰めた。

「長さん、どうやったら、こんな事に成るんすかね?」
「……オレが知るかよ」

 殺害されたのは身元不明の男性。おそらく殴殺されたと思われるのだが、しかし、その死体が奇妙だったのは、どうやら“叩き”殺されたらしいと言う事だったからだ。

「加害者は……相撲取り?」
「馬鹿言うな。こんなちっちゃな手の相撲取りが居るかよ」
「ですね、でも、何ですかね? こんな執拗に手形が付いてるって」
「よっぽど恨まれてたのか、それとも……」

 その男の体には無数の手形が残っていた。それはうっ血し、青い痣となっていたのである。

「ま、何にしても、死んだらホトケさんだ、後は検死に任せるさ」
「ですね」

22 :この名無しがすごい!:2017/11/28(火) 22:16:31.72 ID:qt0F+Qw+.net
【もみじさん】(2/3)


 ******

「……青の定義が違わなくない?」
「それを僕に言われましても……所詮は都市伝説ですし……」

 納得の行かなさそうな表情で雪芽が「何だかなぁ」と呟く。

「それで、黄色は?」
「確か黄色だと……」

 ******

「ホトケさんが居たのはこの路地か……」
「はい、発見された時には既に死亡して居たそうです」
「医者の所見は?」
「病死なのは間違いないだろうと」

 それを聞き刑事が片眉を上げる。

「病死って……」
「黄疸が出てましたし、膵臓癌も見つかったそうで……」
「いや、病死で、こんな愉快な格好で死んでたってのか?」

 そう言う刑事の視線の先には、その女の死んでいた時の格好が白線で残されていた。それは万歳をしている様な感じだったのだが、刑事が愉快と揶揄したのは、“足も”上に向いていたからだ。
 それは屈伸とかでは無く、“大股開き”を無理やりやらせ行き過ぎた様な格好であり、それを病死だったと言われても納得など出来なかった。

「……強いて言えば遺体遺棄かも知れませんが……」
「まぁ、それを調べるのがオレ等の仕事か……取り敢えず、目撃者に当たるぞ?」
「はい」

23 :この名無しがすごい!:2017/11/28(火) 22:19:16.61 ID:qt0F+Qw+.net
【もみじさん】(3/3)


 ******

「この手の都市伝説の厄介な所は、答えの中に正解が無いって所なんですよ」
「そうなの?」
「ええ、問答をするって事が、既に了解の合図なんです。ですから、この手の怪異に遭った場合は、受け答えを一切せずに逃げないといけないんですよ」
「厄介なのね」

 雪芽が溜息を吐く。と、何かを思い出した様に瀧太に聞いた。

「そういえば、赤いもみじって答えると、どうなるの?」
「ああ、それは……」

 ******

 道に人が倒れていた。自殺なのか他殺なのか、とにかく血を流し真っ赤に濡れている。その血は奇妙な事に綺麗に五方向に伸び、上から見るとまるで“もみじ”の様に見えた。
 彼が何を見たのかは分からない。だが、彼の目は驚愕で大きく見開かれ、その表情は恐怖に彩られていた。
 彼は……

 ******

「ふ〜ん、しかし、瀧太くん詳しいわね? 研究室の私より、部外者の貴方の方が詳しいなんて、何だか皮肉だわ」
「そうですかね」
「そうよ、自信無くしちゃうわ」

 肩を竦め、瀧太はお茶をすする。

「ところで雪芽さん」
「はい?」
「青いもみじ、黄色いもみじ、赤いもみじ……どれが好きですか?」

24 :この名無しがすごい!:2017/11/29(水) 07:33:55.78 ID:Ye/xB5SJ.net
>>21
待ってましたとホラーが開幕! お題『もみじ』『視点変更』『迷宮入り』にチャレンジするは、懐かし系都市伝説〜
おお、今回ヤマとなるお題の一つ『視点変更』がチョイスされたぞ〜さあ21氏これをいかに切り捌くのか
展開はお約束だ〜『もみじ』三色の回答にちなんで被害者たちが殺されていく〜事件を捜査する刑事を媒介に『もみじ』『視点変更』『迷宮入り』をさらりとクリア!
ってか青もだけど黄色がこわすぎるw かの名作「くねくね」を想起させるファニーな恐怖が読者をえぐる! 
ラストは21氏がちゃんとシメてくれた〜やっぱりホラーはこうじゃなくちゃの満足感! お題使いきり! もしかして瀧太さんは赤の被害者なのかと微量の謎を残して構成の美! 丁寧な仕事だ21氏〜

25 :この名無しがすごい!:2017/11/29(水) 12:22:14.40 ID:hGxJU2Yk.net
いつも感想有難うございます
オチは、もう少し強調できそうな気もしたのですが、結局、思いつかず、そのまま投稿しました
色々精進が足りてませんねorz

26 :この名無しがすごい!:2017/11/30(木) 07:39:51.37 ID:dQ5c1Adj.net
あれっ?今日まで…………だと?

27 :進行 :2017/11/30(木) 07:44:47.94 ID:TMXZTNmm.net
今日までですよー
うーむ、思ったより盛り上がらなかったかな…?
次の安価案があれば提案してね

28 :この名無しがすごい!:2017/11/30(木) 07:47:01.04 ID:dQ5c1Adj.net
このスレ民はお題全盛りに掛ける情熱が……
時間あったら出したいけど、この時期は仕事が忙しい人も多いのかも?

29 :この名無しがすごい!:2017/11/30(木) 07:50:37.57 ID:FNBRb2sT.net
安価5個から自由形式が書きやすいかもですね

30 :この名無しがすごい!:2017/11/30(木) 11:53:07.29 ID:2OAar7zG.net
間に合えばもう一話、投稿したい所です
物語がイメージしにくいと書き辛いと言うのは有りますね
組み合わせやすすぎても、これで良いのか? と言う気になるというか……

31 :この名無しがすごい!:2017/11/30(木) 12:51:22.99 ID:Mjeg9ywd.net
5個だと出だしとオチさえ決めたらほぼ一本道で楽だもんね

32 :この名無しがすごい!:2017/11/30(木) 20:54:55.23 ID:2OAar7zG.net
使用お題:『視点変更』『ご主人』『動物』

【可愛い娘】(1/2)


 僕がその娘に出会ったのは全くの偶然だった。

 いつもの帰り、いつもの道。

 尻尾をゆらりと揺らしながら彼女は目の前に居た。

(野良だよね? サバトラか、初めて見る娘だな……)

「ナ〜オ」
「ナ〜オ」

 指を出すとペロリと舐める。僕が目を細め顎下をコリコリと掻いてやると、ゴロゴロと喉を鳴らした。顎下、顎横、そして耳。軽くひっかく様に撫でていると、気持ちよかったのか「ナ〜」と鳴いて手に顔を擦り付けて来た。
 僕はクスリと微笑んだ。

 ******

「ご主人様と呼ばれたい……」
「んぁ?」

 机に突っ伏した恭一が変な事を言う。ご主人様って……誰によ……
 あたしが睨んでると、恭一も気が付いたのか、ふにゃりと笑みを浮かべる。

「おー、ヒカルぅ……さっき可愛い娘がいてさぁ」

 は? 何? 可愛い娘? あたしに黙っていつの間に!! 何? 恭一? 浮気? 浮気なの?

「睨むなよぉ、ヒカル〜」

 あたしはプイっと視線を逸らす。他の娘の事を考えてニヤニヤする恭一を見たくなかったからだ。恭一とあたしとの付き合いは、ほんのちっちゃい時から。
 いっつも恭一はあっちへフラフラこっちへフラフラ。あたしだけを見てればいいのに!! 今もあたしのご機嫌を取ろうと猫なで声を出してるけど、知らないんだから!!

 ******

 塀の上に彼女が居た。

 「ナ〜オ」
 「ナァ〜」

 向こうも僕の事を覚えていたみたい。指を出すと顎をスッと上げる。撫でて欲しいって事だね? よしよし良い娘だ。
 昨日と同じ様に一通り撫でた後、手を彼女の足元に出す。彼女も僕の意図に気が付いた様で腕を伝って肩まで来てくれた。
 ああ、やっぱり、一目ぼれで両思いだったんだ。彼女が僕の頬に顔を擦り付け尻尾を絡めて来る。

「家に来る?」

 目を細めてそう言うと、彼女は「ナァ〜」と嬉しそうに鳴いてくれた。

33 :この名無しがすごい!:2017/11/30(木) 20:59:26.33 ID:2OAar7zG.net
【可愛い娘】(2/2)


 ******

「昨日彼女を家に呼んだんだよ」
「あぁ?」

 嬉しそうにそんな報告をしてくる恭一にイラッとする。あたしと言う者が有りながら、そんな無神経な事を言うこの男に怒りすら沸き上がった。
 ……確かに「好きだ」なんて伝えてないけど、態度で分かりそうなものだと思う。き、恭一が呼べって言うなら、ご主人様って呼んで上げたって構わないのに……
 なのに!!
 決めた!! コイツんちへ乗り込んでやる!!

 ******

 恭一の家まで来てみた。んだけど……さすがに少し怖気ずく。
 部屋まで乗り込んでみて、恭一がその子といちゃついてる所に出くわしたら、崩れ落ちる自信が有る。

 でも……

 それ以上に恭一が他の子の所へ行くなんて耐えられない!!
 あたしは覚悟を決めて部屋に乗り込んだ!

 ******

「あれ? ヒカル、どうしたの?」

 あたしはヘナヘナと崩れ落ちた。恭一が嬉しそうにサバトラを撫でまわしていたからだ。
 正直、涙が出た。

 でも……

「ね、猫なら猫って言いなさいよね!!」
「え? 何の事?」

34 :進行 :2017/11/30(木) 22:01:58.22 ID:TMXZTNmm.net


作品一覧
>>2【メメントモリ】
>>8【愛を込めて貴方にささやく】
>>13【まだはじまらない物語】
>>21【もみじさん】
>>32【可愛い娘】

35 :進行 :2017/11/30(木) 22:02:34.62 ID:TMXZTNmm.net
次のお題『>>37‐41』

36 :進行 :2017/11/30(木) 22:03:26.37 ID:TMXZTNmm.net
期間は3日でよかったかな?

37 :この名無しがすごい!:2017/11/30(木) 22:11:39.56 ID:4ap0+2MY.net
三日でいいと思います
『台風』

38 :この名無しがすごい!:2017/11/30(木) 22:40:44.74 ID:gP0YCGan.net
プロテイン

39 :この名無しがすごい!:2017/11/30(木) 23:07:09.08 ID:m5WQiz9N.net
登場人物が踊る

40 :この名無しがすごい!:2017/11/30(木) 23:46:20.44 ID:2OAar7zG.net
ペシミスト

41 :この名無しがすごい!:2017/12/01(金) 00:21:02.20 ID:W6ZkSlC2.net


42 :進行 :2017/12/01(金) 00:21:19.05 ID:3teApbSJ.net
お題『台風』『プロテイン』『登場人物が踊る』『ペシミスト』『水』

締め切りは12月3日 22時です!

43 :この名無しがすごい!:2017/12/01(金) 08:38:28.94 ID:pTDkmQib.net
>>32
前回お題『視点変更』『ご主人』『動物』の組み合わせにチャレンジ! 拾われたサバトラ〜
さあ作者が『視点変更』を中心にストーリーを組んだ〜物語は恭一さんとヒカルさんの視点交代で進行だーどんだけ定番ラブコメかw
ラストはヘナヘナと崩れ落ちるヒカルさんー部屋に居るのがどこぞの女子でも猫でも同じ事! いずれにせよ彼女は崩れ落ちる運命だ〜お題は無理なく消化したぞ!
うん、これは読者に物語の楽屋裏が見えてる上にお約束な流れだね、一気に振り切ったオチが欲しかった〜たとえば最後は猫に『視点変更』して吾輩は猫である冒頭に直結させるとか(←無茶苦茶
しかしヒカルさん、本当に問題なのはきみが家に行ってもドギマギする様子すら見せない恭一さんとの距離だぞ、頑張れいw

44 :この名無しがすごい!:2017/12/01(金) 11:44:19.41 ID:WBZeyv7x.net
いつも感想有難うございます
ヒカルを幼馴染にするか飼い猫にするかで、ずいぶん悩みました

45 :この名無しがすごい!:2017/12/01(金) 23:50:05.33 ID:WBZeyv7x.net
使用お題:『台風』『プロテイン』『登場人物が踊る』『ペシミスト』『水』

【Show time】(1/2)


「1、2、1、2、1、2、3、4!!」

 ガラス張りのダンススタジオ。軽快な音楽と共にステップを踏む6人が、一回転して右手を天にかざすのと同時に音楽が終了する。

「良し! これで休憩だ!! 休んだ後、もう一回、通すぞ!!」
「体を動かした後だからな! ミネラルウォーターとプロテイン飲んどけよ!!」
「うっわぁ、凄い雨音だと思ったけど、えらい嵐に成ってるなぁ」
「ああ、台風が来てるらしいぜ?」
「マジ!?」

 リーダーと思しき赤毛の男の号令で、皆が一斉に休みを取る。中にはそのまま倒れ込む少年もいる。

「KEN、寝転ぶのも良いが、身体は冷やすなよ?」
「……SHOWさん……」

 KENと呼ばれた少年は体を起こすと、SHOWが差し出した水とタオルを受け取る。

「? どうした? KEN」
「オレ、このままチームに居て良いんですかね?」
「KEN?」

 KENは立ち上がりSHOWと向き合う。

「オレ、足手まといじゃないですか? さっきもステップが遅れたし! 正直、付いて行くだけでいっぱいいっぱいだし!」
「KEN……」
「そんな事なんて無いなんて言わないでくださいよ? オレ、分かってるんです!! このままじゃ皆の足を引っ張るだけだって! でも!!」

 何とかフォローを入れようとするSHOWを拒絶するかの様に頭を振るKEN。声を掛けようとしたSHOWに先んじて金髪の偉丈夫が拳を振り上げた。

「こぉの!! ばかちんがぁ!!」
「きんぱちっ!!」
「お、おいRYU!!」
「RYU……さん?」

46 :この名無しがすごい!:2017/12/01(金) 23:52:47.92 ID:WBZeyv7x.net
【Show time】(2/2)


 RYUに殴られ床に倒れ込んだKEN。そんなKENに構わずRYUが言葉を紡ぐ。

「未熟? 当たり前だ!! お前がチームに合流したのは1週間前だろうが!!」
「だ、だから!!」

 RYUの肩をポンと叩いて、SHOWが一歩、KENに歩み寄る。

「だが、お前はついて来ている」
「SHOW……さん?」
「SHOWの言う通りだ」
「AKIRAさん……」

 プロテインを呷りながら、黒髪の男が話に加わって来た。

「たった1週間で俺達と肩を並べられる……それが出来る様な奴をどう言うか分かるか?」
「天才……って言いたいんだろ? AKIRA」
「おいおい、俺の台詞を取るなよSIN」
「SINさん!!」

 AKIRAをからかう様にオレンジ髪の男……SINが口を出す。AKIRAは苦笑しながらも「まぁそうだ」と肯定した。

「そうだ! 今お前はこの台風の中に居る様なものだ!!」
「茂三さん」
「だが、どんな嵐もやがては過ぎる!! 日はまたさすんだ!!」
「あ、うん、その例えはちょっと違うと思います」
「え?」
「ああ、言い忘れてた。茂三、お前、本番はボイパ係だから」
「SHOW!?」
「大会参加人数、5人までなんだわ。悪いな茂三」
「RYU!!」
「しょうがないよな、お前が一番下手なんだし」
「AKIRA!?」
「はい! おっつかっれさ〜ん!!」
「SIN〜!!」

 そう言ってチームメンバーは最終調整に入って行く。一人残された茂三の叫びが、ただ空しく木霊した。

「プ、プリーズ! プリーズ、フォロー、ミー!!」

 嵐の夜は更けてゆく。

47 :この名無しがすごい!:2017/12/02(土) 08:49:14.17 ID:9493jZzy.net
>>45
今回はお題5! ルールは簡単、5個のお題から使用するものを選択して文脈に入れ込んで話を作る〜もちろん全部使ってもOK
さっそくの挑戦者45氏が描くはダンスユニット〜選択お題はフル使用だあ!
さあ「ダンススタジオ」でリーダーが「ミネラルウォーターとプロテイン飲んどけよ」の一言を放ち『登場人物が踊る』『水』『プロテイン』をクリア!
「ああ、台風が来てるらしいぜ?」が『台風』をクリア! 悩める新入りKENが『ペシミスト』をクリア〜だ! 勢いがあるぞ、違和感はなし! きんぱちってなんだ……金八先生かw
ラストは茂三さんがいじめられて終わる悲惨オチ! お題をただ消化するだけでなく前半でちらつかせた『台風』を茂三さんの決め台詞に入れ込んだことで話にオチをつくる、手練れ45氏の妙技、炸裂! きんぱちが気になるw

48 :この名無しがすごい!:2017/12/02(土) 12:10:09.65 ID:VQx9tUbN.net
感想有難うございます
「この、ばかちんが」と言う金八先生の台詞に合わせてと言う事でもありすが
RYUの“金髪のパンチ”→“きんぱんち”→“きんぱち”と言う駄洒落でもあったりします

49 :この名無しがすごい!:2017/12/03(日) 21:52:55.40 ID:tG8EZyWq.net
使用お題:『台風』『プロテイン』『登場人物が踊る』『ペシミスト』『水』

【罪と罰】(1/2)


 シルバーウイークを利用して数年遅れの新婚旅行に行った姉夫婦の代わりに、姪っ子の夏鈴ちゃんや義兄さんの妹さんの見晴さんの世話をしに来た僕は、しかし近年最大と言う台風に邪魔され、遊びに行く事が出来なくなっていた。
 一緒に遊園地に行く予定だったにも拘わらず、まともに外出すらままならない状態で、二人とも少し不貞腐れ気味だ。

「えっと、何かごめん」
「? 何で浩人さんが謝るんですか?」

 僕は少し言い淀んだけど、素直に言う事にした。

「あ、うん、僕、実は雨男で、こう言った外に遊びに行くときって、高確率で嵐や台風に成ったりするんだよ……一応、天気予報見ながら予定を決めたんだけど……まさか、直撃するとは思わなかったよ……」
「え? 今回の台風は足が速くて、予想も出来難かったんですから、決して浩人さんのせいでは……」
「もう!! おじたん!! だめです!! めっです!!」

 美晴さんはそう言ってくれたんだけど、夏鈴ちゃんはご立腹の様だ。

「わるいことをしたら、ごめんなさいをするんです!!」
「ちょっと、夏鈴! やめなさい!!」
「はい、御免なさい」
「浩人さん! 良いんですから!」

 フンスと鼻息の荒い夏鈴ちゃんは、リビングの戸棚から何かを持ち出してくる。

「あ!!」
「え? 何?」

 何かに気が付いた見晴さんが声を上げるが、それは直ぐに判明する。

「青汁と……プロテイン?」
「これをのんでください!」
「ちょ、夏鈴!! ごめんなさい、浩人さん!! この間テレビのバラエティーで使ってるのを見たから……」

 ああ、成程、罰ゲームで使ってたのか、そう言えば僕も見た覚えがある。

「これ位で罪滅ぼしが出来るなら、いくらでも飲むよ」
「浩人さん!」

 夏鈴ちゃんはご満悦なのか、嬉しそうに青汁とプロテインをコップに注いでいる。

「はい!」
「え?」

50 :この名無しがすごい!:2017/12/03(日) 21:54:53.22 ID:tG8EZyWq.net
【罪と罰】(2/2)


 それを見て、流石の僕も息を呑む。そのコップに注がれているのは粉末そのままだったからだ。

「あ、あの浩人さん、無理しなくても……」
「いや、美晴さん、僕はこれを飲まなくちゃいけないんだ!! 夏鈴ちゃんに許してもらう為にも……」
(いや、この位で許してもらう事なんて出来ないかもしれないけど……)

 僕は意を決してそれを呷る。

「ぶふぉ!! げほ! ゲホゲホ!! ぶへ!!」
「浩人さん!! あ!! お、お水を!!」

 むせる僕を見て美晴さんが慌てて水を汲んで来る。その間、夏鈴ちゃんは僕の事を見て大笑いをしていたけど……

 ******

「おいたんはだめですねぇ!」
「ちょっと、夏鈴!!」

 やはりこの程度では夏鈴ちゃんは許してくれなかった。美晴さんが嗜めるけど、これは僕の罪、甘んじて受け入れないと……

「では、つぎはおどってください!」
「は?」
「おどってください!」
「ちょっと、夏鈴!! ああ、浩人さん、すみません!!」
「いや、良いんだ美晴さん、こんな事で夏鈴ちゃんが許してくれるなら僕は喜んで踊るよ」
「ええぇ……」

 どうするか少し思案して、僕はゴーストなバスターズのメロディーを口ずさみながら、マイケルなジャクソンさんばりの動きで踊り狂う。
 その動きに夏鈴ちゃんは目を輝かせ、美晴さんは口元を押さえて肩を震わせていた。

 ******

『浩人! あんた夏鈴に何おしえたの!?』

 電話口で姉さんがそんな風に聞いて来た。何でも夏鈴ちゃんが月で歩く様な動きをしたり、やけに元気なゾンビの動きをする様に成ったんだとか。
 その事を訊ねられた美晴さんは、思い出し笑いで話が出来ないとかで、僕に聞く事にしたんだとか……

 ……どうやら、僕の罪はまだ許されていないらしい。

51 :進行 :2017/12/03(日) 22:01:40.81 ID:tN9W5n8W.net
お題『台風』『プロテイン』『登場人物が踊る』『ペシミスト』『水』〆

作品一覧
>>45【Show time】
>>49【罪と罰】

52 :進行 :2017/12/03(日) 22:03:54.05 ID:tN9W5n8W.net
ううむ、経営不振だ…どうしよ…

53 :この名無しがすごい!:2017/12/03(日) 22:18:48.67 ID:hO3EwYlR.net
まったり行くのはどうかな
一週間お題5個で運用など

54 :この名無しがすごい!:2017/12/03(日) 22:21:27.71 ID:tG8EZyWq.net
師走なので、作家先生は忙しいのやもしれませんね
そもそも日曜になると参加が減ると言う、不思議スレでもありますが

55 :この名無しがすごい!:2017/12/03(日) 22:23:17.76 ID:AmULfsq/.net
ルールとかテンプレ的なものを入れてくれると助かる
初めて来たが、若干分かりにくかった

56 :進行 :2017/12/03(日) 22:27:03.94 ID:tN9W5n8W.net
ひとえに進行の力量不足です…すまぬ…
一週間でやってみよう
次のお題『>>58-62

57 :この名無しがすごい!:2017/12/03(日) 22:36:52.01 ID:hO3EwYlR.net
気楽にねw
途中でルールのアナウンスするのもアリだね

58 :この名無しがすごい!:2017/12/03(日) 22:57:19.43 ID:tG8EZyWq.net
お題『ロボット』

進行さんが提示した安価に上がったお題を使って短編小説を書くスレですね
投稿のルールは>>1を参照で

基本は

1 進行さんが安価を指定

2 住人がお題を書く

3 進行さんが、お題と使用数、締め切りを提示

4 住人が短編小説を投稿

5 住人がそれに対して感想を書いたりする

締め切り迄4-5を繰り返し

と、言うのが基本的な流です
今のところ、投稿ルールさえ守っていれば、一人で複数の投稿も有りです

但し、ここに投稿した短編小説をそのままよそにアップする事は認められていません
どうしてもアップしたい場合は、アップしてから投稿……と言う形になります

これは、成りすましで作品を使われない為の処置なので、仕方ないかと思いますね

59 :この名無しがすごい!:2017/12/03(日) 23:13:57.43 ID:hO3EwYlR.net
切り札

60 :この名無しがすごい!:2017/12/03(日) 23:54:42.19 ID:kMSGRJSo.net


61 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 00:05:19.72 ID:kBPv2mCA.net
鼻血

ここから出たまひるちゃんが長編連載に昇華してたね。なんかほっこりした
のんびり頑張りましょ〜

62 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 00:26:25.78 ID:dt4fmbrc.net
一人以上の登場人物が気絶する


すみません、連載させてもらってます
報告などした方がいいのかなと思いつつ、下手な宣伝になってしまうかもとひっそりやってました

このスレのおかげで書いてて楽しいキャラが生まれたのに黙ったままですみませんでした
名前があがったので、タイミングに乗らせていただいてお礼だけ失礼します
ありがとうございました

63 :進行 :2017/12/04(月) 00:27:57.62 ID:foMz4DX5.net
お題『ロボット』『切り札』『冬』『鼻血』『一人以上の登場人物が気絶する』

締め切りは12月10日 22時です!

64 :進行 :2017/12/04(月) 00:28:35.24 ID:foMz4DX5.net
ルールまとめありがとう…このあたりもテンプレに足したほうがいいね

65 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 00:33:52.41 ID:UxiSWIKT.net
ところで昔に使ったお題を出すのはありですかね?
ゴリラの話また見たい

66 :進行 :2017/12/04(月) 00:49:58.13 ID:foMz4DX5.net
同じお題がまた出るのは好ましくないけど…
じゃあ年末に11、12月度のお題から選りすぐりのを使う総集編みたいなのをやってみる?

67 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 07:38:54.81 ID:CvT0uSnt.net
進行さん的に微妙だったらなしでいいですよー
一回やったものだと書く人いないかもだし!

68 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 09:16:15.25 ID:KwMdlVaq.net
またピッピが見たい

69 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 09:19:06.33 ID:celeLIzK.net
サイコパスと入れ替わりの異世界転移も連載しないかな

70 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 09:20:55.03 ID:KwMdlVaq.net
>>49
前回お題5つフルチャレンジだー題目は罰プレイ!
もはや当然かのようにお題全使用するスレ住人w 好きだね〜
舞台は親戚宅〜演ずるは、えーと、姪と義兄さんの妹さんの見晴さんと世話をしに来た僕、って長いわw
さあお題クリア状況はどうか、状況説明で『台風』消化〜人物説明で『ペシミスト』消化〜罰ゲームで『プロテイン』『登場人物が踊る』『水』消化〜おお、見事な使い分けで違和感ない
見ものなのは粉末をイッキしても満足しない夏鈴ちゃんですよ、「おいたんはだめですねぇ!」←なんだこのガ…子供w
オチはほのぼの! 罪の意識に苛まれるペシミストによる天丼フィニッシュがガッチリ決まった〜 見事49氏、しかしこの主人公はあれだね悲観論者というよりMの人だねw

71 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 10:51:21.42 ID:xUgN9Ci8.net
いつも感想有難うございます
夏鈴ちゃんは、大体4、5才位の想定ですが、この位の女の子はやたらと母親の真似をしたがるので、この子のやっている事は、普段、彼の姉が義兄に対してやっている事の真似です
まあ、主人公がMな事は否定できませんがw

72 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 12:44:10.84 ID:xUgN9Ci8.net
>>69
取り敢えず書き貯めています
ご期待に添える出来になれば良いですが
アップするときはアナウンスすると思いますので、お題スレ投稿作品のタグから探していただけると幸いです

73 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 14:19:23.00 ID:celeLIzK.net
>>72
がんばー
楽しいからここ発祥の連載が増えると嬉しい

74 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 18:25:46.72 ID:Em1TwXw5.net
>>63
お題って、それ全部使うのですか?
3個だけチョイスとかでもOKですか?

75 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 18:27:43.79 ID:BkpMm0ZT.net
>>74
一個から可です
全部盛りたがる変人がこのスレには多いだけです(ほめてる)

76 :進行 :2017/12/04(月) 21:44:17.53 ID:foMz4DX5.net
【物理的アップグレード】(1/2)
使用お題『ロボット』『切り札』『冬』『鼻血』『一人以上の登場人物が気絶する』

 午前4時。ロボットの朝は早い。
 ルームメイトの海子がぐっすり寝ているのを確認すると、型番U-01はそっとベッドから抜け出して洗面所へ静かに入る。
 電気を点け、一息ついて鏡を見つめた。見た目は人間の女の子となんら変わりない。手で触っても人工的な素材で組成されたものだとはまず分からない。

「肌の質感よし、髪のコーティング異常なし。バッテリー残量は……ちょっと怪しいな」

 指さし確認による点検を行いつつ、背中の外装の一部を開けてパジャマの下からプラグを伸ばし、壁のコンセントに差し込む。時折こうして充電をしなければ、彼女は稼働を続けることができない。

 海子には知られたくない。ロボットだなんてバレたらきっと今の関係が壊れてしまう。
 だから彼女は本来ロボットには不要な睡眠をきっかり6時間、スリープモードで過ごしているし、毎朝早くにメンテナンスを行っていた。

「あれー、こんな時間にどうしたの、ゆいちゃん」
「う、海子……!?」

 いきなりの思いがけない呼びかけにすっとんきょうな声をあげてしまった。見ると、寝ていたはずの海子が洗面所の入り口に立っていた。
 今、型番U-01の背中からはプラグが伸びている。海子の位置からは見えないが、非常にまずい。

「ううっ、寒い寒い……ゆいちゃんも早く布団に戻ろう?」

 海子はまだ眠そうな顔で、しきりに身体を震わせながら近付いてきた。
 寒い……そうか、今は冬だから寒いのか。
 感覚器官が人間より劣っている型番U-01には、季節や気温の変化を忘れてしまうことがあった。
 手の届く距離まで寄った彼女に、優しく声をかける。

「ごめん、起こしちゃった? 私は……もう目が冴えちゃったからさ、海子一人で戻っててよ」

 間近で見ると、目は半分寝ているものの海子の顔は可愛らしく整っているのがよく分かる。
 そして何よりスタイルが良い。惚れない男はいないであろうメリハリのある身体は、見ていてとても羨ましい。
 まるで子供みたいな体型に意匠をした自分のデザイナーがちょっと恨めしくもある。

77 :進行 :2017/12/04(月) 21:45:03.90 ID:foMz4DX5.net
【物理的アップグレード】(2/2)

「んー、そう? じゃあもう一眠りしようかな」

 やはり寒さには勝てないのか、深く追及はせず引き返そうとして彼女は背を向ける。
 今がチャンスだと後ろ手にプラグを引き抜いた直後、海子が足をマットに引っ掛けて盛大に転倒した。
 床に強打したのか、ううっと呻きをあげて顔を押さえた手からは鮮血がこぼれる。

「だ、大丈夫っ!? 鼻血が……!」

 知識には知っていたが、初めて血液を見た型番U-01は動揺が隠せないでいた。
 倒れた海子の側にかがみ、彼女を腕に抱える。
 一体どうしたらいいのか、蓄積されたデータベースをひっくり返して対処法を検索していると、突如、海子がハグをするかのようにしがみついてきたのだった。
 服の内側に潜り込ませてきた彼女の手が型番U-01の肉体をまさぐり、ついには触れられてはならない秘部に到達した。

「なっ……! 何を──」
 
 強烈な刺激を背中のプラグ口に受け、型番U-01はまともな思考を構築する暇もなく機能を停止させた。
 死んでしまったわけではない。絶縁素材で作られた皮膚の内側から電流を受けたのではひとたまりもなく、緊急停止装置が働いたのだ。

 対ロボット用の切り札とでも言える、超高圧スタンガンを放り投げた海子は袖口でごしごしと顔の血を拭い、見開いたままの型番U-01のまぶたをそっと閉ざしてあげる。

「ごめんね、ゆいちゃん。でも安心して、クラウドを通して記憶の同期は完了してるから。これからはもっと人間らしく──寒さを肌で感じて、時には血を流して……もう隠れて充電なんてしなくてもよくなるんだよ。
もうすぐ海子としての人格データは上書き消去される。ゆいちゃんは海子の存在を忘れちゃうけど……これからは私のこのボディで、新しいゆいちゃんとして生きるんだよ」

 動かなくなった型番U-01の身体を抱き、海子──後継機U-35は嬉しそうに、だがどこか悲しさを含んだ顔で微笑んだ。

78 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 21:56:48.26 ID:21HAeFzD.net
お、進行さんだ

79 :進行 :2017/12/04(月) 21:58:29.04 ID:foMz4DX5.net
進行さんですよー

80 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 22:25:47.26 ID:xUgN9Ci8.net
>>76
試作実験中なのでしょうか?
アップグレードの度に一体ずつ犠牲に成るとすると、悲しいですね
中には反抗してゆいを壊そうとする個体も居るかもしれませんね
それはそれで物語になりそうですが

81 :この名無しがすごい!:2017/12/04(月) 22:30:29.46 ID:21HAeFzD.net
>>76
色んな背景を匂わせるこれは、もしかして続くのでは?
それにしても全盛りチャレンジャーの多いスレだw

82 :進行 :2017/12/04(月) 22:32:39.50 ID:foMz4DX5.net
(あまり深いことは考えていない)

83 :この名無しがすごい!:2017/12/05(火) 07:49:28.31 ID:JqcHzVEt.net
>>76
待っていたぞ進行氏、お題フル使用に挑む、隠密型AIの登場だ!
さあお題消化はどうか、登場人物で『ロボット』、季節で『冬』、どんでん返しで『切り札』『鼻血』『一人以上の登場人物が気絶する』を消化、おお違和感はないぞ
ロボットゆえの思惑、感覚、動揺、しっかり心理劇も描いている〜百合エロまで盛り込むサービス心w いいぞいいぞ高品質だ進行氏!
ラストはあっと驚く型番オチで決めたあ! 型番U-01ゆい、U-35海子は語呂合わせ〜物語の本筋はゆいのドラマではなく高知能AIを欺くためのアップグレードか〜ド直球のタイトルも予想外だ
型式の相違を突いた切なさ滲む格差オチ! 張り巡らされた伏線はクソ巧妙! 策士・進行氏が高いテクニックを魅せたあ〜スレ民がさっそく次の話を要望だ〜海子の次世代機はオサムだろうがなw

84 :進行 :2017/12/05(火) 08:56:23.83 ID:M4DyN0Ue.net
感想ありがとう〜百合エロは進行の趣味ですw
海子の身体を羨む描写を強引に入れてみたけど、いい伏線になったね

85 :この名無しがすごい!:2017/12/05(火) 23:54:18.71 ID:89PcBXtB.net
使用お題:『ロボット』『切り札』『冬』『鼻血』『一人以上の登場人物が気絶する』

【雪の決戦】(1/3)


 山間にあるこの学校では、冬に成れば一面の銀世界となる。毎年の事ではあるが、それでも子供達は定番とも言える遊びを飽きもせず今年も行うのであった。

「くふっ、くふふふふ! 勇也!! 今日こそあんたとの雌雄を決する時よ!!」
「ハカセェ、危ないから降りなよぉ」
「小凪、無駄」

 三つ編みデコ眼鏡。級友からは“ハカセ”と言う愛称で呼ばれる宮内 博子が、雪で作られた防壁とも言える場所に立ち、その対面に同じ様に作られた防壁から顔を出している一人の男子に指を突き付ける。
 その後ろでは友人の大川 小凪がオロオロとしながらも博子を心配し、同じく友人の笹川 美亜が達観した様に呟く。

「……オレは男で、お前は女。雌雄は端から決してるだろ?」
「ちゃうわい!! 慣用句位理解しなさいよね!! 兎も角、雪合戦で勝負よ!!」

 そもそも雪合戦をすると言う事で呼び出されたのだ。ここまで来ておいて、今さら嫌だ等と言うはずも無い。大森 勇也は“しょうがねえなぁ”と言う表情で「分かってるよ」と言った。
 その勇也の隣では、加賀 清が文庫本を黙々と読んでいる。

「ルールは玉に当たったらアウト。だけど、叩き落とした場合その限りではない! 良いわね?」
「良いぜ〜」
「ふ、その余裕、何時まで続くかしら?」

 博子の眼鏡がキラリと光る。

「この日の為に私が作った! 雪合戦決戦ロボット! “すのうまん1号”!! おいでませ!!」
『イエス、マイ、マスター』
「ちょ、おま!!」

86 :この名無しがすごい!:2017/12/05(火) 23:56:54.47 ID:89PcBXtB.net
【雪の決戦】(2/3)


 博子の陣地から出て来たのは雪だるまを模したフォルムのロボット。勇也が文句を付ける前に、博子は「スタート」と、開始の合図をする。
 と、すのうまん1号が猛然と雪玉を投げ始めた。

「ねぇ、ハカセェ、やっぱりこれって卑怯なんじゃぁ……」
「何を言うかな小凪くん! 『勝てばよかろう』なのだよ!!」

 1秒間に36発もの雪玉を投げられ、優也達は陣地から顔も出せない。

「ちっ、ハカセのヤツ無茶しやがる」
「ほう、のっけから切り札を使ってきましたね、まぁ、想定の範囲内です」
「なら、こっちも容赦しなくていいな?」
「ええ」

 清が本をパタンと閉じ、後方に控えていた大西 勉に合図を出す。勉は、鼻息を荒くしながら、一抱えもあるそれを「ぬむんりゃぁ!!」と、ハカセ達の方へ放り投げた。

「な!!」

 勇也達の陣地から投げられたそれを見て、博子は一瞬言葉を失う。
 それは、あまりにも大きすぎた。何より雪玉と言うには大雑把で武骨だった。それは、ただの雪の塊にしか思えなかった。

「す、すのうまん1号!! 迎撃!!」
『イエス、マイ、マスター』

 すのうまんが手数を増やす。だがそれも、雪塊に対してはあまりにも無力だった。自らの陣地に落ちて来る雪塊を女子三人は辛うじて避ける。いや正確には小凪だけは美亜に引っ張られ、何とか無事なだけだった。

「ちょ、アンタ達! 汚いわよ!!」
「お前が言うか!!」
「だ、ダメだよぉ! ハカセェ、そんな所に足を掛けたら危ないよぉ」

 博子は余程、憤慨したのか防壁に足を掛け、飛びかからんとするかの様に身を乗り出す。小凪は抱きついて必死でそれを止める。

87 :この名無しがすごい!:2017/12/05(火) 23:59:12.75 ID:89PcBXtB.net
【雪の決戦】(3/3)


「……毛糸か」
「……毛糸ですね」
「あ? 毛糸? ……!!」

 男子二人が呟いた言葉の意味を理解した博子が慌てて自らのスカートを押さえる。

「こぉの!! やれぇ!!すのうまん!!」
『イエス、マイ、マスター』

 真っ赤になった博子の命令で、先程より更に激しく雪玉が投げられる。

「うお! さらに激しくなった!!」
「ですが、向こうの攻撃では我々の攻撃を無効化できない事は実証済み……勉君! やってください!!」
「…………」
「勉君?」

 反応の無い勉に何事かと視線を遣ると、彼は鼻血を出して倒れていた。彼にとっては毛糸のパンツですら十分に刺激的だったらしい。

「勉ぅ!!」
「勉君〜!!」

 その慌てた様子は、博子の陣地にも十分伝わっていた。

「好機!! 行け!! すのうまん!!」
『イエス、マイ、マスター』

 更に回転数が増すすのうまん1号。その横で高笑いする博子を尻目に、小凪の袖を引いた美亜がその場から離れて行く。

「ど、どうしたのぉ? 美亜ちゃ〜ん」
「ん、ハカセの発明だから、そろそろいつもの時間」
「え?」
「くふっ、くふふふふ!! 圧倒的では無いか! わが軍は!!」

 カッ!!

「え? ……うにゃあああああぁぁぁぁぁ!!」
「どわあああああああぁぁぁぁぁ!!」
「想定外ですよこんなのぉぉ!!」

 ******

 女子二人が覗き込んだ直系10mのクレーターの中では、男女4人が仲良く白目をむいていた。

「……南無」
「生きてるから!! 気を失ってるだけだからぁ!!」

88 :この名無しがすごい!:2017/12/06(水) 08:32:03.59 ID:f6aPH2oC.net
>>85
連続でお題全使用だ! バトルステージは山間の学校、男子と女子(+ロボ)に分かれて決する雌雄〜大雪をも溶かす熱きスノウバトルの幕が切って落とされた〜
作者85氏が前半でお題『ロボット』『切り札』『冬』を撃ち倒し、ハカセが高笑いでストーリーを主導w
「それは、あまりにも大きすぎた。何より雪玉と言うには大雑把で武骨だった。それは、ただの雪の塊にしか思えなかった」←ベ〇セルクじゃねえかワロタ
純朴系の大西君が『鼻血』をクリア、ラストはやっぱりこうなる手作り工作爆発オチw 『一人以上の登場人物が気絶する』でいいのに四人が気絶〜ハイこれは防御姿勢の取れなかった大西君の安否が懸念されます
要所に使われるお題、爆発によるオチ醸成、バランス感覚が冴える85氏! てかこのチームの愛おしい雰囲気は何なのか、一人ひとりのキャラが熱き友情の模様を織り成して寒さをバックにそれが映える〜彼らの思春期青春ドラマが観たいぞ!85氏ヨロシク

89 :進行 :2017/12/06(水) 11:26:39.61 ID:gomnL0lf.net
>>85
パロディ満点のどこか懐かしい子供の雪合戦!
爆発オチなんてry

90 :この名無しがすごい!:2017/12/06(水) 12:42:02.02 ID:nnqeQyBu.net
これっていつお題募集してんの?

91 :進行 :2017/12/06(水) 12:53:36.69 ID:gomnL0lf.net
次の安価予定は10日の22時頃ですよー

92 :この名無しがすごい!:2017/12/06(水) 12:56:50.83 ID:Gt+TAoro.net
>>88
いつも感想有難うございます
大西くんは、脳筋系バグキャラなので、きっと平気ですw
色々ツッコミどころ満載な子供達ですが、書いてる側も楽しんでやってました

>>89
全てのネタが20年近く前と言う
それでも通用するのが恐ろしいですね

93 :進行 :2017/12/06(水) 13:04:22.00 ID:gomnL0lf.net
うーむやっぱり一週間は長すぎる気がしてきた
一週間を3日4日で分けて〆る曜日を固定させてもいいかも?

94 :この名無しがすごい!:2017/12/06(水) 15:29:52.01 ID:mhulP+U1.net
なるほどー

95 :この名無しがすごい!:2017/12/06(水) 21:39:57.30 ID:Gt+TAoro.net
水曜、日曜とかですかね?

96 :進行 :2017/12/06(水) 21:47:08.53 ID:Ii6pU19J.net
土日ふむ方を3日にしたいねー
月〜木/金〜日または火〜金/土〜月

97 :この名無しがすごい!:2017/12/06(水) 22:57:01.01 ID:VOpwUyED.net
むしろ土、日で分ければ……いや、このスレ土日は人がなぜか消えるもんなぁ

なぜかっていうか、俺が参加するときは通学時間に一時間ちょっとで書かせてもらうことが殆どだし、似たような人も多いんだろうけども

98 :この名無しがすごい!:2017/12/07(木) 20:31:14.43 ID:22nQtTJj.net
使用お題:『ロボット』『切り札』『冬』『鼻血』『一人以上の登場人物が気絶する』

【機動戦記ガルデオン】(1/3)

「ちいぃ!!」
「簡単にはやられんよ!!」

 高速機動をする2機のロボットが、お互いの頭を押さえようと、激しいドッグファイトを繰り広げていた。
 青をベースとしたトリコロールの機体は、風間 未来の駆る連合政府の最新鋭機ガルデオン。対する赤と黒のカラーの機体は、メデュン・アッサーの駆るユニオンの最新鋭機クシュ・ベーデ。
 両陣営のエースの戦いは、機体性能でガルデオンが勝る物の、パイロットの実力差によって力は均衡し、そうそう決着はつかない。
 彼らの周りでは汎用量産機同士が同じ様に戦いを繰り広げている。

『未来、奴等の戦艦の行動がおかしい。何とか離脱して、そちらを押さえられないか?』
「無茶を言う!! それが出来る相手なら、最初から手古摺りませんって!!」

 現在両軍は、太平洋にあるメタンハイドレード採掘プラントの攻防を行っていた。かつては死の海域と恐れられたこの場所は、次世代燃料であるメタンハイドレードが相当量埋蔵されており、ここを手に入れる事でエネルギー事情が一気に解決される。

『メデュン!! 大変だ!!』
「……どうした? 私もそれ程余裕はないのでな、簡潔に頼む」
『“老人”共が核を使用した!!』

 その報告を聞き、メデュンが舌打ちをする。
 エース同士の対決は互角と言っても良かった。だが、趨勢で見ればユニオンは押されている。その為、老人……ユニオンの上層部は、この海域のメタンハイドレードを連合政府に利用させない為に、核によって焼き尽くすつもりらしい。

「老害共が、核の冬を起こすつもりか!」

 メタンハイドレードの眠っている海域は広い。それを全て焼き尽くそうと言うのであれば、1発2発の核弾頭ではとても足りないだろう。
 確実を期すのであれば、相当数の弾数が必要となる。
 メデュンは不自然に海域から離脱している自軍の戦艦に気付いた。

「兵士を見捨てるつもりか? なら、ミサイルは発射された後と言う事か……」

99 :この名無しがすごい!:2017/12/07(木) 20:34:14.50 ID:22nQtTJj.net
【機動戦記ガルデオン】(2/3)


 メデュンは逡巡も無くオープンチャンネルを開くと、全ての兵士達、そして未来に呼びかける。

「聞こえるか? 少年、戦闘停止を申し込みたい」
「? メデュン!? 何を企んでる!」
「少しばかり手違いでね、核が使用された」
「な……に?」

 メデュンの言葉に未来が言葉を無くす。

「私としてもこの星を汚染するのは本意では無い。ここは一つ、ミサイルを無力化する為に協力し合わないか?」
『その提案、受け入れよう』
「艦長!?」

 敵との共闘とも言える提案を受ける艦長の判断に未来が驚く。しかし、ある意味納得もした。核が使用され、一部のユニオン戦艦以外が未だ残されている事を考えれば、兵士達は見捨てられたと言う事だろうからだ。

「核ミサイルと思われる飛行物を47機レーダーで捉えた。爆発させない為には、全ての信管を撃ち抜かなければならない……やれるか? 少年」
「無茶を言う! だけど、やらなけりゃ、皆、死んでしまうって言うのなら、やりますよ!! 艦長! Mシステム使いますよ!」

100 :この名無しがすごい!:2017/12/07(木) 20:37:03.22 ID:22nQtTJj.net
【機動戦記ガルデオン】(3/3)


 未来のオーダーに艦長が眉を顰める。

『あれは、切り札として隠しておきたかったのだが……仕方ない。許可する』
「ほう? その機体、まだ力を隠していたのか」
「これだって完全じゃない! 出来るだけ数を減らしてくださいよ! 貴方なら出来るでしよ!!」
「フッ、了解した」

 両軍の量産汎用機では精密射撃が出来ない為、殆どの兵士は距離を取る。しかし、それでも腕っこきのパイロット達は果敢に迎撃を始めた。
 そんな中、未来はガルデオンに搭載されたMシステムを起動する。Mシステムは、平行励起された並列世界の中から最も最適な結果を選択させるシステムであり、完全であれば、必ず成功する結末を選択する事すら可能なのだ。
 だが、不完全な今は、パイロット自身がその選択をしなくては成らない。
 その為、今、未来の頭にはあらゆる可能性が雪崩れ込み、オーバーフローを起こしていた。
 脳の負荷の為、未来の鼻から血が滴る。

「たかがミサイルくらいで!!」

 ガルデオンの照準を一瞬で合わせた未来は、そのままトリガーを引いた。
 ライフル、バルカン、ガトリング、キャノン砲と言った全ての武装が発射され、それは最適解を得て、次々にミサイルを無力化してゆく。

「これが、その機体の真の力と言う事か!」

 爆発もせず、次々に海中へと落ちて行くミサイルを見ながらメデュンは背に冷たい物を感じる。と、未来の様子がおかしい事に気が付いた。

「少年?」

 パイロットが気を失った為、機体が出力を失いグラリと傾いたガルデオンをメデュンは咄嗟に支えてしまう。

「私は何を……いや、そうか……」

 宿敵を葬る絶好のチャンスを棒に振ったメデュンだったが、その心は不思議と穏やかな物だった。

101 :この名無しがすごい!:2017/12/07(木) 23:28:52.55 ID:Y3puoG4D.net
使用お題:『ロボット』『切り札』『冬』『鼻血』『一人以上の登場人物が気絶する』

【私信@】

こんにちわ、ロボです。
モスクワの緯度は55.7558。森林北方に位置するきみの自宅は、窓から入ってくる冷ややかな空気と新鮮な樹木の匂いに満ちています。
今日、僕はきみの家にやってきました。
「ほうら、遊び相手のロボ君だよ、ずいぶん旧式で単純なロボットだけどね。昔あったロボコンってメカをモデルにしてるらしい」
父親に抱かれたきみは生後、三週間と四時間二十二秒。初めて僕を見てにこりと笑いました。
これは生育の記録。近い将来、きみが自身の発達過程を参照できるようそれをメール形式で送り続けるのが僕に課せられた役割です。
それでは、きみがこれを読む日に向けて、送信。

◇◆◇◆◇◆

こんにちわ、ロボです。
きみは何にでも興味をしめして困ります。
僕の拳は押し込むとバネで飛び出すロケットパンチになっており、今日きみが調子に乗って押しまくったせいで、パンチがきみの顔に直撃しました。
白目をむいて鼻血を出しながら転がっていきましたから慌てましたが、すぐに飛びかかってきて安心しました。
よだれまみれにするのはやめてください。
送信。

◇◆◇◆◇◆

こんにちわ、ロボです。
きみは両足で歩き始めています。僕の体につかまって前進して、言葉らしきものが出たと思ったら、はじめて僕を「ボロ」と呼びました。凄い。喋った。
でも「ロボ」ですよ。間違えないように。
親が子供に話しかける回数が多いほど子供の言語能力は発達するそうです。
僕が「ロボ」の発音を繰り返して覚えさせようとしますがきみは「ボロ」としか言いません。
では、送信。

◇◆◇◆◇◆

102 :この名無しがすごい!:2017/12/07(木) 23:29:37.76 ID:Y3puoG4D.net
【私信A】

こんにちわ、ボロです。
各地で激しい戦闘が起きるようになってから町は厳戒態勢となり、我々はシェルターに居ます。
ホーキング博士が指摘したように局地戦での自律型人工知能兵器は火薬と核兵器に次ぐ革命を起こし、
先を争う技術競争がAIのシンギュラリティを引き起こしたあと機械の猛撃を受け人類は半減しました。レイ・カーツワイル氏の予言通りです。
高機能AIに対する人類の切り札は高度電子機器の全滅を目標とする電磁波攻撃、いわゆるEMPです。

戦闘機能をもたない僕は本来であれば攻撃の対象外ですが、人類にそれほどの余裕はなく無作為かつ広域な電磁波の影響からは免れません。
先ほどからこのエリアでも人類の反撃が開始されて機械達が活動を停止しており、僕はいよいよ指が動かなくなってきています。
もうすぐ意識は無くなり、記憶はショートし、物言わぬ鉄の塊に戻るでしょう。もはや復帰は不可です。

きみに贈る言葉を取りまとめなくてはなりません。しかし名句が思い浮かばず。だめだ、もう視界が暗くなって。
きみは、きみはどうしようもなく我儘です。じっとしていられず、臆病で、注意が足りず、悪戯ばかりで、野菜が嫌いで。
だから、だから、もう少し一緒に居たかった。
とにかく勉強して下さい。野菜を食べて、友達をつくって。あまり悪戯しないように。
大きくなったらお酒も飲んで、少しハメを外して。
いい相手を見つけて家族をつくって。
それで皆が眠った夜には、たまに僕を思い出してください。

きみの幸福を誰より祈る、きみのボロより。
愛するきみへ。
最後の送信。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「ほらほら、ボロ君からの最後の送信、また読む?」
「やめて下さい。恥ずかしい」

「他の人工知能は破壊されたのにボロ君の内部構造は単純すぎて無事だったんでしょ。ただの電池切れなのに、愛するきみへだってさー」
「ほっといて下さい。メールの削除を要望します」

「へへ、やだねー」

103 :この名無しがすごい!:2017/12/08(金) 07:51:42.26 ID:cHkEgUOE.net
ロボットと人間の友情、良いですね
AIとの対立はSF的に不変のテーマですが、何とか回避は出来ないものなのでしょうかね

104 :この名無しがすごい!:2017/12/08(金) 08:48:39.98 ID:KDDRGBsx.net
>>98
お題をフルに載せた重厚メカバトル、起動! 機動戦記ガルデオン! パロ宣言で発進だw
なるほど漢語を多用して戦闘の趣をちりばめたか98氏〜テーマに合わせた筆致のチョイスに伎倆が光るぞ
上層部から見捨てられた現場の戦士〜ガ〇ダムノリの彼らの選択は並行世界から最適解を引っ張る超科学w ニュータイプ的なアレだあw 
状況描写が『ロボット』『切り札』『冬』をクリアし、気を失う未来さんが『鼻血』『一人以上の登場人物が気絶する』をクリア! 違和感なし〜
最後は98氏がメデュンさんとの仲間意識が芽生えるアツい展開を描いてくれたぞ〜決死のラスボス戦はもうすぐだ〜てかミサイル全部撃墜できたのかが気になるんだがw

>>101
お題全盛りに挑戦! 北方で生まれた二人称ロボとの物語! てか自作だ
うーん、いま見返したらおいこれ『冬』の消化が弱いじゃないか、以上w
次は頑張る!

105 :この名無しがすごい!:2017/12/08(金) 08:50:38.44 ID:KDDRGBsx.net
>>103
感想サンクス
そうだね
回避するのに必要なのはやっぱりあれだよ、友情友情w

106 :この名無しがすごい!:2017/12/08(金) 12:40:43.01 ID:cHkEgUOE.net
>>104
いつも感想有難うございます
ご想像の通り、CVは古○徹と池○秀一イメージですw

107 :この名無しがすごい!:2017/12/08(金) 20:02:31.32 ID:cHkEgUOE.net
使用お題:『ロボット』『冬』『鼻血』『一人以上の登場人物が気絶する』

【シリコン頭はお嬢様の未来を夢見る】(1/2)


『こう言うのは、勘弁願いたいのですが』
「……」

 ため息を吐けるのなら吐いてますよと言わんばかりに、無機質な合成音でそう言った。
 あたしはクラスメイトの早織と一緒にコイツの膝枕で横に成っている。

『友達思いは美徳ですが、お嬢様は自分がどんくさいと言う自覚を持って下さい』
「うゆひゃい」

 コイツはいつも一言多いと思う。

 あたしはお小言をスルーして、寝転んだままで空を見上げる。冬空はどこまでも透き通って、吸い込まれそうな程青い。

『私の存在意義にも関わって来るんです……聞いてますか? お嬢様』

 あたしは無言でコイツの顔を叩く。ペチって音がして、叩いた手が痛んだ。

『そう言う所が浅慮だと申し上げています』

 ……本当に一言多い。

『そろそろ、宜しいかと思いますが?』

108 :この名無しがすごい!:2017/12/08(金) 20:04:20.93 ID:cHkEgUOE.net
【シリコン頭はお嬢様の未来を夢見る】(2/2)


 そう促され、あたしは鼻に摘めていたティッシュを取る……うん、血は止まってる。
 早織の顔を覗き込む、まだ青い様に見えた。

『早織様の意識は、まだ戻られていませんね……まぁ、彼女は、私が運びましょう』
「あたしも運んでほしいんだけど」
『私は一人しか運べませんし……お嬢様は自業自得です』

 そう言われ、あたしは口を尖らす。貧血で倒れかかった早織を受け止めようとして……受け止め損なったのはあたしだけど、もうちょっと言い様があると思う。

「……どの道、学校は遅刻だし、もうちょっと休んでいても良いと思うんだけど?」
『早織様は早目に医務室に送り届けた方が宜しいかと思いますが?』

 そう言われてしまえばぐうの音も出ない。貧血の彼女を余り冬空の下に置いておくのも良くはないか……
 そう思って立ち上がる。
 冷たい風にぶるりと身を震わす。さっきまではコイツが周辺の温度を快適に保って居たんだろう。

(今日、こんなに寒かったんだ)

 シャクだけど、乳母ロボットとしてコイツは優秀だ。幼い頃から一緒で、今はボディーガード代わりでもある。

「その内、嫁入り道具にしてやる」
『出来ると良いですね、結婚』
「…………」

 確かに相手は居ないけどさ、本当、一言多い。

『ですが、お嬢様のお子様も、私が育てさせていただけるのであれば、幸せかと思います』

 …………本当、一言多い。

109 :この名無しがすごい!:2017/12/09(土) 08:49:00.86 ID:PkYWa7EW.net
>>107
お題四つに挑むぞ〜シリコン頭! いやいや小ネタなのはわかるけどシリコン頭てひどくねw
さあ、やっとお題全盛りの勢いが一息ついてくれた〜状況説明で『ロボット』『冬』『鼻血』『一人以上の登場人物が気絶する』をイッキ消化〜構成の確かな腕だ、違和感ねえぞ
友達を支えたドジっ子の主人公とそのボディガードで話は進行〜
ほほうやりおる107氏、キーワードは「一言多い」の繰り返しか! ストーリーの展開によって「一言多い」の意味が小言から温かみに変わっていく〜これぞレトリックの奥義・漸層法なり!
言語の剣術士107氏が秘剣を繰り出し、実は世話焼きのロボが冷たい態度に隠された本音を一滴、斬られ漏らしたあ!
主人公の頬が赤くなるのは冷気か照れかあ! ニヤリとさせるオチで場が温まったぞ! でもシリコン頭はやっぱりひどすぎw

110 :この名無しがすごい!:2017/12/09(土) 12:36:32.83 ID:RhASmEe8.net
感想いつも有難うございます
最初に思い付いたのは「電気メイドは〜」だったのですが、よくよく考えると乳母は兎も角、ボディーガードはメイドでは無かったと言うorz

111 :進行 :2017/12/10(日) 22:00:09.60 ID:2FSTm3dN.net
お題『ロボット』『切り札』『冬』『鼻血』『一人以上の登場人物が気絶する』〆

作品一覧
>>76【物理的アップグレード】
>>85【雪の決戦】
>>98【機動戦記ガルデオン】
>>101【私信】
>>107【シリコン頭はお嬢様の未来を夢見る】

112 :進行 :2017/12/10(日) 22:00:46.76 ID:2FSTm3dN.net
次のお題『>>113‐117』

113 :この名無しがすごい!:2017/12/10(日) 22:02:13.73 ID:NqweoP5+.net
TSF

114 :この名無しがすごい!:2017/12/10(日) 22:07:05.09 ID:PNgAeEK1.net
演説

115 :この名無しがすごい!:2017/12/10(日) 22:14:33.60 ID:VnFgV5ye.net
青いドレス

116 :この名無しがすごい!:2017/12/10(日) 22:17:49.00 ID:mJRpFfnm.net
ダジャレを入れる

117 :この名無しがすごい!:2017/12/10(日) 22:19:10.95 ID:TBEp1493.net
一人称

118 :進行 :2017/12/10(日) 22:20:01.47 ID:2FSTm3dN.net
お題『TSF』『演説』『青いドレス』『ダジャレを入れる』『一人称』

締め切りは12月14日 22時です!

119 :この名無しがすごい!:2017/12/11(月) 08:37:36.25 ID:fEdzIHxA.net
中々大変だな

120 :この名無しがすごい!:2017/12/11(月) 21:03:29.88 ID:06xY1WLZ.net
使用お題:『TSF』『演説』『青いドレス』『ダジャレを入れる』『一人称』

【吾輩は小説を嗜む】(1/2)


 吾輩は文章を嗜む者である。ペンネームを正雪と言う。
 先日、知人に教えられ、短編小説を書くスレッドを覗いてみた。
 中々に意欲作が多く、大いに刺激となった故、吾輩も寄稿しようと筆をとった。
 ふむふむ、今回のお題は『TSF』『演説』『青いドレス』『ダジャレを入れる』『一人称』であるか……
 一人称小説は近年のライトノベルなどでよく見られる手法であるな。しかし、これをフィクションの世界だけの事としないのであれば、随筆等も一人視点での書き物とみる事も出来る。
 特に枕草子などは清少納言の観察眼によって、日常のあるある等を書き連ね、それに対し“わたしはこう思う”と言う物を書いたものであり、広域に喧伝、主張していると言う事であれば演説に通ずるものが有ると思う。
 まぁだからと言って、「一人称小説は演説だ」等と主張し始めてしまったのであれば、それは可笑しな事と成るのだが。
 そもそも、不特定多数の相手に主義主張を行うと言うだけの事を持って演説であるとは片腹痛い。
 演説と言うのであれば、この吾輩の様に、こうして、
ベランダに行って……

「吾輩は小説が好きだぁ!!」
『うるさい!! 何時だと思ってるんだ!!』
「ひえ! すみませんすみません!!」

121 :この名無しがすごい!:2017/12/11(月) 21:05:24.85 ID:06xY1WLZ.net
【吾輩は小説を嗜む】(2/2)


 …………それはさておき、日本と言うのはダジャレ国家であろう。何せ、この国の神の一柱である大国主命が、呟いたと言う「もう、待つ(松)のは嫌だ」と言う言葉により、大國魂神社では松を植えない。植えてもすぐ枯れると言う。
 もはや神からしてダジャレ好きなのだから、日本人にとってダジャレとは魂の一片と言っても良いだろう。
 それに、青いドレス、これこそ今、吾輩の中でもっともホットな話題であろう。
 何せ、今着ている服こそ青いドレスなのだから。
 勘違い召さるなよ? 吾輩、男である。男がドレスを着てはならぬと言う道理も無かろう。
 何故着るのかと言われれば「好きだから」としか言いようは無い。
 ふむ、これはあれだ、先程した演説の意内容を変更せねばならぬな。

「先程、小説が好きだと主張したが、吾輩、ドレスはもっと好きだぁ!!」
『だからうるせぇっつってんだろうが!! 色ボケ爺!!』
「ひえ! すみませんすみません!!」

 …………それはさておき、TSFである。最近はとみに頭文字をアルファベットで抜き出す事が多いが、これはどうなのだろうと吾輩などは考える。
 昔に有った短縮語も意味が通らなかったが、この、頭文字に至っては、文字面だけでは意味も分からない。
 TKGで“卵かけご飯”とはどうしたものか、それよりも、JKは“女子高生”なのか“常識的に考えて”なのかハッキリしてもらいたい。
 言葉の乱れは風紀の乱れとも言う。こういった細かい事の積み重ねが文化破壊につながると言うのに!
 これこそ、不特定多数の前で演説し、意識を行き渡ら……せ……

 ぐっ、心臓が……くるし……まだ、時間では……な…………い………………

 ******

 うっく……あー痛かった。変わる時の痛みっていつまでたってもなれないわね。
 ……あーもう、何かまた古臭い主義とか語っちゃってるわね。
 なんで、性別と一緒に性格まで変わっちゃうのかしら? これじゃ、多重人格よね、困っちゃうわ。それなのに記憶はそのまま残ってるんですもの……お隣さんにはまたお詫びに行かなくちゃね。
 全く、何なのかしら、これじゃぁTSF(トランスセクシャルファンタジー)じゃなくて、TSF(トランススピリッツファンタジー)じゃない!

122 :この名無しがすごい!:2017/12/11(月) 21:30:38.77 ID:Gha5oAVB.net
>>120
好き! 面白かった

123 :この名無しがすごい!:2017/12/12(火) 00:05:47.56 ID:YdjVG+u/.net
TSF…?

124 :この名無しがすごい!:2017/12/12(火) 10:20:13.55 ID:d+34qWA1.net
>>122
感想有難うございます
楽しんで頂けたなら幸いです

>>123
すみません、TSFについては、トランスファーセクシャルとして捉えたあげく、恣意的に歪めて使っています
他の意味や、正当なTSF好きの方には不愉快かもしれません

125 :この名無しがすごい!:2017/12/12(火) 11:32:40.19 ID:W2VYrBpI.net
>>120
作者120氏が当たり前だとばかりに全お題を選択! 吾輩ライターのご登場〜
うーん大丈夫かこれ今回のお題フル使用は超難度だぞ〜要素と要素の音楽性がバラバラでまともな作品は望めない〜スレ民のお茶目が出たかw
さあ物語は小説を嗜むしょうせつさんの演説で進む〜早々に『一人称』『演説』をクリアーし、
手を着けるは最大の鬼門『ダジャレを入れる』! 大国主命を持ち出して唐突に勉強なる感ワロタ、『青いドレス』を着る理由は「好きだから」としか言いようは無い、苦しいw
演説する理由を意識維持に繋げる緊急手術で迎えたオチは『TSF』の読み替えw よくぞここで捻ってきた、悪魔的なお題にも敢然と立ち向かう! 120氏の極限状態にスレ民も好意を寄せたあ! 感動したぞ〜

126 :この名無しがすごい!:2017/12/12(火) 12:42:25.47 ID:d+34qWA1.net
いつも感想有難うございます
実はTSFで真っ先に思い出したのは「干妹!う○るちゃん」と言う漫画の橘シ○フィンフオードと言うキャラクターだったりします
彼女は“シルフィン”さん、“TSFさん”と言う愛称で呼ばれ、イメージカラーの水色の改造学生服を着ている
自己主張系のお嬢様キャラと言う、殆どのお題をモーラ出来る存在だったりしますw

127 :この名無しがすごい!:2017/12/12(火) 13:30:16.06 ID:N8NZrewE.net
流石にワロタ
それウルトラC級だよね
タイトルはキャラクター編集動画のURLでw

128 :この名無しがすごい!:2017/12/14(木) 15:36:05.11 ID:eLUYVaIm.net
ワイスレ杯開催によりこのスレからも人がまた消えそう(;´Д`)

129 :進行 :2017/12/14(木) 15:49:46.23 ID:6NPAtqTp.net
覗いてみたけどやっぱり進行がよく発言して盛り上げているか、なんだよね…
このスレももっと書ける人に進行をゆずるか、年内で畳むかするべきな気がしてきてるよ…

130 :この名無しがすごい!:2017/12/14(木) 18:18:50.44 ID:kL2Du2mb.net
使用お題:『TSF』『演説』『ダジャレを入れる』

【ボーイズびい】(1/2)

「くふっ、くふふふふ……諸君! わたしは問いたい! 何故争いは起こるのかと!」

 少女の笑い声が谺する。この朝の教室では珍しくもない光景。それ故に大森 勇也は“またか”と言う感情を隠しもせず口を開いた。

「ハカセ、お前こんどは何やらかした? 正直に言え? まだ間に合うと思うぞ?」
「何で、ほんのり優しい詰問風なのよ! できたのよ!」
「子供が?」
「ちゃうわい! 発明よ! 世紀の大発明よ!!」

 ハカセこと宮内 博子は真っ赤になりながら手押し台車を前に出す。
 そこには布地で隠された、彼女の発明品であろう物が乗っかっていた。

「ええ! 凄いね! ハカセェ」

 博子の大発明もいつもの事。勇也はうんざりした顔になるも、クラスメイトの大川 小凪は目を輝かせて博子の手を取りブンブンと大きく振った。

「くふっ、流石は小凪、この発明の偉大さ、分かりますか!」
「ううん! 良く分からないけど、ハカセが作ったんだよね? 一人で何か作れるなんてスゴいよ!」
「……そ、そうですか……ゴホンッ、良いですか?
 争いと言うのは、相互理解の欠如から起こるのです。では相互理解はどうやって行えば良いか?
 それは簡単です。お互いの身になってみれば自ずと分かろうと言う物です。
 わたしはその中でも有史以前から普遍とされた人間の差違を解消すべく、この発明を行ったのです!!」

 博子は、むしろお腹の方が出ているであろう幼女体型の胸を張り、そう主張する。
 教室の隅では理解を放棄した大西 勉が船をこいでいたが、そんな事は目に入らないのか、博子は得意気に台車の布を剥ぎ取り、加湿器の様なメカを皆の前に晒した。

「では発表しましょう! わたしの大発明、その名も“Seyヘンカーン1号”です!!」

 デコと眼鏡をキラリと光らせ、博子が高らかに名前を告げる。自分の席で文庫本を読んでいた加賀 清が本をパタリと閉じた。

131 :この名無しがすごい!:2017/12/14(木) 18:21:39.99 ID:kL2Du2mb.net
【ボーイズびい】(2/2)


「……性別を変えるメカですか? 想定外ですが興味深い」
「な、何故わかったの!?」
「いや、何故って……」
「そう、これは清が看破した通り、こうしてスイッチを入れて……『ヘンカーン』というキーワードを言う事で男女の性別を変えるという……」
「ば、おまっ!!」
『Yes ヘンカーン』

 ハッとして勇也が止めようとするが、時すでに遅く、博子はキーワードを口にしてしまっていた。
 次の瞬間、Sayヘンカーンはボシュッと虹色の煙を吹き出す。

 ******

 笹川 美亜は大あくびをしながら、ぽてぽてと廊下を歩いていた。
 低血圧の為か、頭がまだ労働拒否をしているらしく、ぼーっとした表情で足取りも覚束ない。
 普段から寝坊助な美亜ではあるが、冬は特に布団が彼女を離してくれない為、登校がいつもギリギリになるのだ。

「?」

 朝から教室が騒がしいのはいつもの事だが、今日は殊更騒がしい気がした。
 だが、美亜は(またハカセが何かした?)と思いつつ、無造作に扉を開け……

「勉〜!!」
「お、おっぱ……」
「おま、それ、自分のだからな!!」
「くふっ、くふふふふ!! 計・算・通り! 流石はわたし!! くふっ、くふふふふ!!」
「おま、笑ってる場合かよ!! ちゃんと戻るのかよ! てか、爆発する前に戻せ!!」
「な! 失礼な!!」
「ほほう、これが女子の体……想定外ですが、興味深い(ふにふに)」
「うわああぁぁん! もう、お嫁に行けないよぉ!」

 そっと閉めた。

132 :この名無しがすごい!:2017/12/14(木) 21:09:41.60 ID:ZMGK+O2h.net
>>130
面白かった!

133 :この名無しがすごい!:2017/12/14(木) 21:15:44.57 ID:NrQmkiLT.net
まったり進行でもいいじゃない

134 :進行 :2017/12/14(木) 22:00:04.02 ID:OoHKRDWG.net
お題『TSF』『演説』『青いドレス』『ダジャレを入れる』『一人称』〆

作品一覧
>>120【我輩は小説を嗜む】
>>130【ボーイズびい】

135 :進行 :2017/12/14(木) 22:00:43.08 ID:OoHKRDWG.net
次のお題『>>136‐140』

136 :この名無しがすごい!:2017/12/14(木) 22:01:10.91 ID:ZMGK+O2h.net
他者変身

137 :この名無しがすごい!:2017/12/14(木) 22:02:40.37 ID:NrQmkiLT.net
VR

138 :この名無しがすごい!:2017/12/14(木) 22:42:02.43 ID:eLUYVaIm.net
進行さん

139 :この名無しがすごい!:2017/12/14(木) 23:50:38.52 ID:CXJjoY1j.net
不本意

140 :この名無しがすごい!:2017/12/15(金) 00:14:09.03 ID:yliIU4Rx.net


141 :進行 :2017/12/15(金) 00:15:53.57 ID:MTtoC7sU.net
お題『他者変身』『VR』『進行さん』『不本意』『雪』

締め切りは12月17日 22時です!

142 :進行 :2017/12/15(金) 00:16:45.53 ID:MTtoC7sU.net
進行さん…?

143 :この名無しがすごい!:2017/12/15(金) 08:50:22.37 ID:lrCX/yfo.net
ついに主役化きたかw

144 :この名無しがすごい!:2017/12/15(金) 08:52:22.92 ID:lrCX/yfo.net
>>130
前回お題『TSF』『演説』『ダジャレを入れる』に挑戦するは、手作り性転換マッシーンだあ
さあさあお待ちかね、この連中の再来だw 
ハカセ「わたしは問いたい! 何故争いは起こるのかと!」←うん完全にきみが居るからだろうねw
ハカセ周りだけでお題『TSF』『演説』『ダジャレを入れる』を怒涛の破壊、暴れに暴れてそっ閉じオチでしめやかEND〜Seyヘンカーンってやかましいわワロタ
あーやはりイイね、何という安定ドタバタ感か、キャラがぎゅうぎゅう詰めなのに適切な描き分けとポジショニングによって混乱もなく絶妙な調合を魅せたあ! スレ民も感嘆!
>>130-131は起承転結なら話の前半という所〜しかしキャラ達はまだまだ暴れ足りねえ見せ場を寄越せやといった風情〜次も見せてくれるか130氏! 

145 :この名無しがすごい!:2017/12/15(金) 11:14:30.60 ID:WGBEcvlP.net
>>132
感想をいただき有難うございます
楽しんで頂けたなら幸いです

>>144
話の雰囲気的に『青いドレス』と『一人称』が入れられませんでしたorz
いつも楽しい感想、有難うございます

146 :進行 ◇Ujy3nQuLmg:2017/12/16(土) 01:50:15.80 ID:FLzfnLhd.net
 今俺は新型VRを体験している。
 他者に変身できるVR、このバージョンはその中でも「進行さん」になれると今話題のVRである。
 そう──俺は今進行さんになった気分でこの掲示板を覗いているのである。
 流れてゆく最盛期だった頃のレス、そこから徐々に人口が減ってゆきながら切なそうに呟く住民の数々。
 雨の日も風の日も雪の日も安価を取りお題を纏め、参加作品と共に締めを宣言する──例えそれがたった一作品であろうとも。
 俺は締め切り日に毎度アラームを掛け、締め、眠い目を擦りながら安価を待ち、纏める進行の仕事を追体験し続けた。
 盛り上げるために小説を投稿することも忘れない。今回は参加者少ないかもなぁ、出してみるか。
 それでも増えない参加者、減る需要──俺は唇を噛みしめていた。

147 :この名無しがすごい!:2017/12/16(土) 01:50:56.61 ID:FLzfnLhd.net
【進行さん体験装置】2/2
 VR装置を外す。目の前に広がるモニターに映っているのは「安価・お題で短編小説を書こう!」というスレ。
 体験して、思った。
 言わねばならない。
 俺は満を持して口にするのだ。
 
 進行さん、いつも本当にありがとう!
 俺もこのスレが盛り返す日を楽しみに、盛り上がっていた頃のわくわく感を懐かしみながら小説を投稿するぜ!

148 :この名無しがすごい!:2017/12/16(土) 01:59:13.87 ID:FLzfnLhd.net
使用お題忘れてた……
「他者変身」「VR」「進行さん」「雪」

149 :この名無しがすごい!:2017/12/16(土) 11:58:32.27 ID:br4v4FH6.net
>>146
今回の見所お題『進行さん』を取り入れてテーマ四つにチャレンジ! VR進行さんw
おっと進行氏の投稿かあ〜と思ったら酉が偽物でわろた〜146氏がキレた盤外戦術で突撃開始ー
これは見ものだぞ〜進行氏に化けたスレ民が彼の心情を勝手に代弁しまくっていく〜進行氏すげえ大変そう、肩揉みしてあげたい
この作品、気づいたらVR進行氏という発想だけでお題三つを消化している〜無理のない『雪』の消化は行きがけの駄賃だあ〜オチは感謝オチーうんスレ民の総意!
てかVRでしなくても大体分かってんだろ、臨場感あふれる体験してんじゃねえw じゃあついでに俺も言っておこか進行氏ー愛してるぜい!

150 :進行 :2017/12/16(土) 18:42:52.46 ID:8anvjcyR.net
うおお進行に直接攻撃するお題め…
進行も作品投稿してくれる人たちと、感想を書いてくれるみんなに感謝してるよ、いつもありがとう!

151 :この名無しがすごい!:2017/12/17(日) 17:23:22.23 ID:tJFGNZP9.net
>>146
スレに対する心の痛みと
進行さんに対する感謝の思いが伝わってきますね
面白かったです

152 :この名無しがすごい!:2017/12/17(日) 17:33:58.41 ID:tJFGNZP9.net
使用お題:『他者変身』『VR』『進行さん』『不本意』『雪』

【スレ騒乱】(1/2)


 VR技術が発展し、色々な物がその恩恵を受ける事が出来る様になった時代。
 それはスレッドでも同じだった。
 住人は仮想体としてスレッドに入り、そこで文章を制作。それを吹き出しの様に貼り付ける事で発言をするという形式が広まったのである。
 ……それ、スレッドの形式としてどうなの? と言う意見は黙殺された。
 ここに、一つの文系スレッドがある。いつもは、住人の出したお題に対し、同じ住人が短編小説を書くと言うスレッドなのだが、今そこで事件が起きていた。

「220 この名無しがすごい! おや進行さん」
「221 この名無しがすごい! 乙」
「222 進行 進行さんですよー」

 進行さん、スレッドの進行を司る住人であり、その人柄もあり、スレ住人からも慕われている人物なのだが、その日は少し雰囲気が違っていた。

「223 この名無しがすごい! 進行さん?」
「224 進行 皆、『BL』を書きなさい」
「225 この名無しがすごい! は? お題は『友情』『努力』『勝利』じゃ……」
「226 進行 あ? 自分が書けと言ってるんだから書けよ」
「227 この名無しがすごい! いや、流石にそれは横暴じゃ……」
「228 進行 消去」

 進行さんがそう言うと、スレ民227の仮想体が消え去る。

「229 この名無しがすごい! え?」
「230 この名無しがすごい! マジ?」
「231 この名無しがすごい! な、なにしてるんですか進行さん!!」
「232 進行 五月蠅い!! 自分は進行だ!! このスレッドで最も力ある者だ!! 弱スレ民は自分に従っていればよいのだ!!」

153 :この名無しがすごい!:2017/12/17(日) 17:36:44.07 ID:tJFGNZP9.net
【スレ騒乱】(2/2)


 そう言って片手を振るうとスレの環境が大雨、大雪、旱魃と次々変わってゆく。

「233 この名無しがすごい! 何だ! 何が起こってるんだ!!」
「234 進行 グハハハハハ!! 私は“神”だ!! さあ、弱スレ民よ『BL』を書け!! 『耽美』をお題にしろ!! 『やおい』で埋め尽くすのだ!!」
「235 進行 それ以上はやらせない!!」
「236 進行 あ?」
「237 この名無しがすごい! え? 進行さんが二人?」

 突如として現れたのは、先程まで場を荒らしていた進行さんとうり二つの人物。

「238 進行 チィ! 邪魔しやがって、お前も消えろ!! ……な!」

 先程スレ民を消したのと同じ力だろう。しかしそれは新たに表れた進行さんの眼前でまるで渦を巻くような形で止まっていた。

「239 進行 ……不正ツールで神気取りかい? 正直、意味が分からないよ」

 悲し気な瞳でそう語る進行さんに、止められた方は憎々し気な表情を向ける。

「240 進行 くそ!! ならば実力行使だ!!」
「241 進行 ……」

 飛び掛かる荒らしていた進行とそれを悲しげに見る新たに現れた進行、その接触は刹那の物だった。

「242 進ふ#&あ%&け ば、ばかな……この私が……」
「243 進行 ……通報、させてもらったよ。 今後君がこのスレに来る事は出来ない」

 力を行使する事は不本意だったのだろう。進行さんは悲し気な瞳で不正スレ民を一瞥した。

「244 この名無しがすごい! なりすまし……だったのか……」
「245 この名無しがすごい! ありがとう! 進行さん!!」
「246 進行 いいさ、みんなの為だもの」

 そう言うと、何時もの様にスレッドが進んでゆく。その時、彼がどう思ったのか誰にもわからないだろう。
 だが、誰もが分かっていた。
 このスレが、進行さんのおかげで成り立っていると言う事に。

154 :進行 :2017/12/17(日) 21:27:31.13 ID:MZrltZ3j.net
【無題】
使用お題『進行さん』『不本意』

 私はこのスレの進行だ──と言っても、何も特別なことをしている訳ではない。
 安価を取り、投稿作品を一覧にまとめ、定刻に締め切って……ただそれだけを繰り返しているだけだ。普段はひっそりと息を潜めて成り行きを見守っているだけ。
 はっきり言ってしまえば、誰にでもできる簡単な役割なのだ。それなのに彼らは、私を持て囃す。気の効いた感想が書けるでもなく、スレを盛り上げる努力をしているのでもないのに、私を持ち上げる。
 探せばもっと優秀にこなせる進行などいくらでも存在するだろう。きっと誰かと交代したほうがこのスレはもっと盛り上がる。しかし、彼らは私を必要としてくれている。不本意ながら、期待に応えるためにまだまだ私は進行を続ける必要がありそうだ。
 こんな進行の指揮についてきてくれて、みんな本当にありがとう! 来年も頑張るから、これからもよろしくね!

155 :この名無しがすごい!:2017/12/17(日) 21:53:22.85 ID:JjdgfqPS.net
こちらこそよろしくお願いします

使用お題:『他者変身』『VR』『不本意』『雪』

【チーちゃんと僕】(1/3)


 最新のVRと言うのは凄いものだと感心する。確かに現実感と言う意味では味覚も触覚もないし、匂いを感じる事も出来ないかもしれない。
 それでも眼前の風景は、まるで実際の物と遜色はないし、視線を動かせば、そっち側がちゃんと見えると言うだけでも、感動ものだ。
 僕の名前は愛宕 啓治、アバター名はポンタ。自分の目の前を歩く女の子に誘われてこのゲームを始めたVR初心者。
 この子はチーちゃん。僕の姪っ子で、今、僕を案内してくれている。ちょっと態度はキツ目だけど、僕の為に態々新しいアバターを作ってきてくれる位には優しい娘だ。

 本人は否定してるけどね。

 間違えない様にって理由だって言うなら、キャラクターのスクショでも送ってくれれば良いだけなのに、こんな特徴的な大きな本を持って、しかも、4年前の自分に似せるなんて手間をかける必要は無い。
 スキル構成も、まるで僕をサポートするかの様なラインナップだしね。
 思わずクスリと笑うと、チーちゃんが僕をジロリと睨む。

「今、不埒な事を考えませんでしたか? もう一度通報されたいですか?」

 とんでもないとばかりに僕は首を振る。こう言う時のチーちゃんは本当に容赦がない。
 実際に運営さんを呼ばれかかったし。

 今、僕達が居るのはVRMMORPGと言うやつの中。季節感の演出なのか、ゲーム中だと言うのに雪が降ってる。

156 :この名無しがすごい!:2017/12/17(日) 21:56:22.32 ID:JjdgfqPS.net
【チーちゃんと僕】(2/3)


 僕の住んでる街だと、雪なんて降らないけどね。

「クリスマスも近いからかな?」
「……情緒がありませんね、四季は日本における文化の一翼ですよ? デスソースでも飲んで下さい60億スコビル位の」
「情緒って……」

 正直、こんなファンタジー世界で日本情緒と言われてもピンと来ない。
 と、何かを見ているチーちゃんに気が付いた。

「アバターチェンジプレイ館?」

 僕が何となく口にすると、チーちゃんがビクリと反応する。やっぱり、見ていたのはこれで間違いないっぽい。
 説明を読むと、キャラクターの能力をそのままに外見のテクスチャーを別人に変えられるらしい。まぁ、別人に変身って事だね。
 やっぱりチーちゃんは、もっと別の格好に成りたかったって事なのかな?
 今の姿は、あくまで僕が待ち合わせで間違えない様にって事で作った物らしいし。

「チーちゃん、ここ、入ってみようか?」
「は?」

 何か凄い顔で睨まれた。あれ?

「やっぱり叔父さんもアレですか、男ですか、獣ですか、通報して良いですか?」
「いや、ちょっと待って!! アレだよ? 変身願望? って言うか……ほら、僕、実際の自分と似た様な外見にしちゃったから、もう少し、違った自分に成ってみたいって言うか!」
「……そう、ですか、確かに、つまらなそうな内面が滲み出ている様な外見を変えたいと言う意見は分かります。仕方ないですね、不本意ですが入ってあげましょう」

 あれ? 僕、泣いて良いよね?

「何をぬぼーっとしてるんですか? 通報されたいんですか? されたいんですね?」
「ち、ちょっと、待ってぇ〜」

157 :この名無しがすごい!:2017/12/17(日) 21:59:11.31 ID:JjdgfqPS.net
【チーちゃんと僕】(3/3)



 ******

 アバターチェンジプレイ館に入った後のチーちゃんは有無もいわせてくれない勢いでテクスチャーを決めてしまった。

 僕の分も。

「あの、自分のは自分で……」
「叔父さんは、最近のゲームについて、わたし以上に詳しいんですか? 旬を過ぎたテクスチャーを選んでわたしを落胆させない自信があるんですか? 有るなら選んでください。叔父さん1人が笑い者に成るのは構いませんが、わたしを巻き込まないで下さいね?」
「あ、うん、ごめん」

 そう言ってチーちゃんが選んだのは、案の定、僕の知らないキャラクターのテクスチャー。
 うん、任せて良かったかもしれない。
 キャラクターの外見を変えるのは一瞬で済んだ。そうして外に出ると、チーちゃんが、何か言いたげにしている。

「あれ? 何か変?」
「い、いえ! そうではありません! その……腕をくんで良いですか?」
「え? そんなモーションあったっけ?」

 僕の記憶では、体が接触するようなモーションは無かった筈だけど……

「このテクスチャー同士なら出来るんです! あ! 裏技の様なもので、試してみたかっただけです! それだけです!」

 成る程ね、こう見えてチーちゃん結構なゲーマーみたいだからなぁ。
 まだまだ子供だなと思いながら、僕は腕を出す。
 チーちゃんは、おずおずと僕に腕を絡めながら、満足そうに微笑んだ。
 僕は、何だかホッコリした気分で雪の振る街中をチーちゃんと二人で歩き始めた。

158 :進行 :2017/12/18(月) 00:50:00.45 ID:1UVhA4Qc.net
お題『他者変身』『VR』『進行さん』『不本意』『雪』〆

作品一覧
>>146【進行さん体験装置】
>>152【スレ騒乱】
>>154【無題】
>>155【チーちゃんと僕】

159 :進行 :2017/12/18(月) 00:50:51.54 ID:1UVhA4Qc.net
はい早速〆時間忘れてましたよ…

次のお題『>>160‐164』

160 :この名無しがすごい!:2017/12/18(月) 01:02:59.90 ID:B0AfzmjZ.net
膝枕

まあおおよその時間とかでもいいのでは?
〆時間・安価時開始間を大まかにするのはまずいんだろか

161 :この名無しがすごい!:2017/12/18(月) 02:37:42.53 ID:CmcWu+Bq.net
きらきら

162 :この名無しがすごい!:2017/12/18(月) 07:20:44.70 ID:Xu4A7TKq.net
クリスマス

163 :この名無しがすごい!:2017/12/18(月) 08:16:58.92 ID:KzV84ENX.net
鈍感系主人公

164 :この名無しがすごい!:2017/12/18(月) 08:24:40.68 ID:5z4BmKLU.net
人物がジャンプしながら登場してくる

165 :進行 :2017/12/18(月) 08:50:48.23 ID:1UVhA4Qc.net
お題『膝枕』『きらきら』『クリスマス』『鈍感系主人公』『人物がジャンプしながら登場してくる』

締め切りは12月21日 22時です!

166 :この名無しがすごい!:2017/12/18(月) 09:38:17.01 ID:KzV84ENX.net
と言う訳で、少し前のお題でミラクルな合致を見せてくれたTFSさんの画像です

https://www.youtube.com/watch?v=CGYiGuDmHMc

167 :この名無しがすごい!:2017/12/18(月) 23:16:07.58 ID:KzV84ENX.net
……TSFさんでした

168 :この名無しがすごい!:2017/12/19(火) 09:35:47.85 ID:AwTyNAr1.net
その動画、俺も検索したw

169 :この名無しがすごい!:2017/12/19(火) 09:47:58.32 ID:AwTyNAr1.net
>>152
前回お題フルチャレンジ! VR短編スレッド騒乱記へログイン開始!!
さあ152氏が情景描写で『VR』消化、主人公に『進行さん』、大荒れの展開で『他者変身』『雪』をドラマに食わせる〜いいね、ストーリーがお題を使い切ってる
最初にあらわれた進行氏は真っ赤な偽物、中身はきっと腐女子(本物は百合好きだからねw
ついに現れた本物こと実力を見せるが『不本意』なTHE謙虚・進行氏、得意の通報で偽物をデリート〜通報でかっこつけんなw
エンターテイナー152氏、こいつは業物だな! テンポ良! ネタ良! 丁寧な展開に惹きつけるドラマ〜
『不本意』でクライマックスに進行氏のキャラへ調子を合わせてきた所が絶妙にうめえ〜全お題挑戦を綺麗に完食しつつ進行氏へのクリスマスプレゼントが爽やかに決まったあ!

>>154
使用お題『進行さん』『不本意』で進行氏本人が登場〜投稿のていで独白すんなw
うん、本人は『不本意』かもしれないが、スレ民は進行氏の真摯な仕切りに打たれふと思い出すのだ、「このお題で何か出来るかな?」と!
雨が降るだろう、風が吹くだろう、雪も降るだろう、ときには定刻だって忘れるだろうw
しかし遊び心で満ちた短編スレ! 何も恐れることなどありはしない、投稿がなくたってネタにしてやれ、スレ民はいつだって笑っているぞ〜
ゆえに進行氏は進行役に足りえるのである! いつもおつかれさまです、特大なる乙!

170 :この名無しがすごい!:2017/12/19(火) 10:03:32.49 ID:AwTyNAr1.net
>>155
前回お題『他者変身』『VR』『不本意』『雪』に挑む、VRMMORPGの二人! 見覚えありw
さあ設定で『VR』、クリスマスにちなんで『雪』、アバターチェンジで『他者変身』『不本意』を消化〜
うん、ちーちゃん涙出るほどSいなw 「あれ?僕、泣いて良いよね?」←共感できてワロタ
オチは腕を組ませた合体テクスチャーか、作者155氏のニヤニヤ顔が見えるようだ〜ここで説明しよう〜前スレによると二人は大分年齢離れてる親戚なのだ〜(業の深い性癖だね
ラスト〜二人の行方は雪にボヤケて見えなくなった〜
うん、お題消化はスムーズでいいけど、だけどさあ、このシリーズどうしてもラブというより、闇の深さを感じるんだなあw

171 :この名無しがすごい!:2017/12/19(火) 12:41:26.58 ID:51KjBBFn.net
>>169
いつも感想有難うございます
実在の人物を好き勝手動かした事もあり、書きながらビクビクしていました
名指しで怒られなかったので、一先ず、ほっとしています

>>170
2日ばかり動けなかったので一気に書きました
まぁ、禁断の間柄の上、片想いなので危うさが目立ちますね

172 :この名無しがすごい!:2017/12/19(火) 12:41:52.00 ID:51KjBBFn.net
>>169
いつも感想有難うございます
実在の人物を好き勝手動かした事もあり、書きながらビクビクしていました
名指しで怒られなかったので、一先ず、ほっとしています

>>170
2日ばかり動けなかったので一気に書きました
まぁ、禁断の間柄の上、片想いなので危うさが目立ちますね

173 :この名無しがすごい!:2017/12/19(火) 12:43:45.84 ID:51KjBBFn.net
操作ミス、すみませんorz

174 :進行 :2017/12/19(火) 13:02:29.99 ID:sXo5a4tO.net
>>169
感想(?)ありがとう、そう言ってもらえると本当にありがたいよ

175 :この名無しがすごい!:2017/12/19(火) 16:28:49.16 ID:n6IKxErM.net
>>155
さあ次はなんのお題だったら書くのか言うんだ

176 :この名無しがすごい!:2017/12/19(火) 18:24:23.49 ID:51KjBBFn.net
え? では『アトラクション』で

177 :この名無しがすごい!:2017/12/20(水) 16:07:48.62 ID:cAt5P6BH.net
使用お題:『膝枕』『きらきら』『クリスマス』『鈍感系主人公』『人物がジャンプしながら登場してくる』

【クリスマス会キャロル】(1/3)


 両足を揃えて雪面に着地する。脛まで雪に刺さり、しかしバランスを崩し尻餅をついた。

「勇也! 次オレ行くぞ!」
「勉! まて! まだ俺、居るから!!」

 雪が降った後、その新雪に足跡を残したくなるのは最早、人の本能かもしれない。
 その例に漏れず、二人はどちらが遠くまで飛んで足跡を残せるかの競争をしていた。
 最初に飛んで、足の抜けなくなった大森 勇也が、その足を抜こうとしている所に、大西 勉は突っ込んで来る様に飛び込む。
 それは丁度、フライングボディーアタックの様な形で勇也を襲った。

(あ、俺終了のお知らせ)

 ******

「あんた達、バカァ?」
「うるさいよ! 俺は待てって言ったんだ!」
「勇也ぁ、ゴメンよぉ〜!!」

 勉のアタックでぶっ倒れた勇也は、大川 小凪に膝枕をされながら横に成っていた。小凪は何が嬉しいのか、勇也の頭を撫でながら、ニコニコしている。
 それを呆れた様な目で見ているのは宮内 博子。通称ハカセ。
 その隣では勉が大きな体を縮こまらせ土下座を敢行していた。

「問題はクリスマス会ですね」

 そう言って、加賀 清が読んでいた文庫本をパタリと閉じた。

「捻挫?」
「ああ」

 笹川 美亜の問いに、ブスッとした顔で勇也が自分の足を見る。足はパンパンに腫れていて、クリスマス会のある土曜日迄には治りそうもなかった。
 クリスマス会では全クラスの生徒が出し物をしなくては成らない。
 勇也達のクラスは演劇を予定していたのだが、彼がこの状態では、演技も儘ならないだろう。

178 :この名無しがすごい!:2017/12/20(水) 16:11:03.40 ID:cAt5P6BH.net
【クリスマス会キャロル】(2/3)


「くふっ、くふふふふ! ならばわたしの発明した……」
「却下」
「何故に!!」
「俺は爆発なんかしたくないぞ!?」
「失礼な!!」

 勇也の言葉に博子が憤慨する。

「くふっ、こうなったら是が非でも、この“めでぃかるさん13号”を使ってもらいますよ!」
「おまっ、すでに13号ってどう言う事だよ! それまでのはどうした!!」
「トライ&エラーは科学の進歩には必要なのですよ……」

 何やらわきゃわきゃと蠢くナゾメカを持ったまま、視線を逸らす博子に、勇也が噛みつく。

「すでに犠牲者がいた!? 爆発したんだな? そうなんだな!?」
「もう! 怪我してるんだから動いちゃダメだよユウちゃん!」
「いや、でも」

 ずり下がろうとする勇也を小凪が頭を抱きしめる様にして押し留める。

「くふっ、そのまま押さえてて下さいね? 小凪」
「おま、近寄んじゃね〜!!」

 ジリジリと勇也にニジリ寄る、そんな博子の手を掴んだのは美亜だった。

「ん、止めて於いた方が無難」
「美亜!?」

 味方だと思っていた美亜に止められ、若干涙目になる博子。清はそんな様子を見ながら大きくため息を吐いた。

「今からでは、皆は台詞を覚え直すと言う訳には行きませんからねぇ」
「まぁ、今まで練習した事が無駄に成るのは嫌だよなぁ」
「それを無駄にしかねないのが今の勇也の状況なんだけどね?」
「ぐっ」

 さっきの仕返しだろう。不貞腐れた様に嫌味を言う博子の言葉が正論過ぎて二の句が継げない。

「まぁ、手はあります。この程度、想定内ですよ」
「マジか!!」

 ニヤリと笑う清に、勇也はきらきらとした目を向けた。

179 :この名無しがすごい!:2017/12/20(水) 16:14:00.65 ID:cAt5P6BH.net
【クリスマス会キャロル】(3/3)


 ******

 クリスマス会当日。クラスの出し物は予定通りに演劇、演目はクリスマスキャロル。

「ん、過去のクリスマスの幽霊。今、過去にいる」
「ゾンナ! ウゾダドンドコドーン!!」
「…………」

 台詞を全て意訳で語る第一の幽霊役の美亜と、熱演だが空回りしているスクルージ役の勉。
 同じ舞台の上、スクルージの親友、ジェイコブ役として勇也はそこにいた……鎖でぐるぐる巻きにされた上に十字架に吊るされた状態で。

「くふっ、良い格好ね! くふふふふ! 『動けないなら動かない役に』ね。確かに、良いアイデアだわ!」
「ついでに台詞はオミットしました。配役代えで僕は台詞を覚え直さなければ成りませんでしたが、まぁ、クリスマスキャロルは何度か読んでますから、想定外……と、言うほどでは有りませんでしたしね」

 舞台上で奇妙なオブジェと化した勇也は、舞台袖で好き勝手言ってる二人をジロリと睨んだ。

「あ、こっちを睨んでるわね、でも自業自得だもんね! くふっ、くふふふふ!!」
「ハカセェ、あんまり笑っちゃ可哀想だよぉ」
「いやいや小凪、これを笑わず何を笑えと?」

 やけに楽しそうな博子の様子に、清が片眉を上げる。

「……好きな相手にはイジワルをしたい心理……ですかね?」
「ちゃうわい!!」

180 :この名無しがすごい!:2017/12/20(水) 21:49:50.63 ID:OrYXIUH9.net
>>177
亡き英国大文豪ディケンズへ捧げる、ヤツラの喧噪劇が開演だあ! 選択お題はフル使用! リメンバー・ザ・クリスマス・キャロル〜
出だしで『人物がジャンプしながら登場してくる』、『膝枕』シーンで『きらきら』『鈍感系主人公』をクリア! うん、自然
さあ怪我った勇也によって持ち上がった『クリスマス』会問題〜なんでも爆発させるハカセに代わって知将・清がミスをリカバー、清は基本、想定内か想定外かしか言わねえw 
おおこりゃあすげえ、場面転換二回に加えてキャラ六人、お題はフル使用の違和感なしで全員の見せ場を作るだと〜前人未到、複数キャラトークに自身の才を見出したか剛腕177氏!
文面狭しと暴れまくるキャラコメディに友情と恋情が入り混じったツッコミオチがクリティカルヒット〜これは流石のディケンズも往生だw
最高のシリーズを創生した177氏が、立てられまくったフラグでそろそろ切ない話で物語に深み出しちゃいますか感を匂わせエンド!

181 :この名無しがすごい!:2017/12/21(木) 08:03:44.31 ID:qwo5iEFZ.net
いつも感想有難うございます
この子達の話は、基本、会話を書いてから地文を書くと言う手順で書いてますので、会話先行な話作りに成っています
これを書きながら、そう言えば、夏目漱石も、文章のリズム感を大切にしていたと聞いたことがあるなぁ……等と思い出していました

182 :この名無しがすごい!:2017/12/21(木) 21:58:21.97 ID:qwo5iEFZ.net
間に合わなかったorz

183 :この名無しがすごい!:2017/12/21(木) 22:05:40.12 ID:zTAz0kuW.net
お題『膝枕』『きらきら』『クリスマス』『鈍感系主人公』『人物がジャンプしながら登場してくる』〆

作品一覧
>>177【クリスマス会キャロル】

184 :進行 :2017/12/21(木) 22:07:03.16 ID:zTAz0kuW.net
次のお題『>>185‐189』

締め切りは12月24日 22時です!


酉つけわすれてた…

185 :この名無しがすごい!:2017/12/21(木) 22:33:09.20 ID:qqqza2hc.net
氷点下

186 :この名無しがすごい!:2017/12/21(木) 22:57:17.75 ID:cP5w4ZNl.net
お菓子(何でも)

187 :この名無しがすごい!:2017/12/21(木) 23:57:20.52 ID:gYiKVkRN.net
掃除機

188 :この名無しがすごい!:2017/12/22(金) 00:15:54.42 ID:Y4EnS9mu.net
二人称

189 :この名無しがすごい!:2017/12/22(金) 00:21:56.35 ID:cWwTMDco.net
夢オチ

190 :進行 :2017/12/22(金) 01:49:42.39 ID:2Kg3SfjV.net
次のお題『氷点下』『お菓子(何でも)』『掃除機』『二人称』『夢オチ』

締め切りは12月24日 22時です!

191 :この名無しがすごい!:2017/12/22(金) 12:56:31.44 ID:oLOQU6os.net
使用お題:『氷点下』『お菓子(何でも)』『掃除機』『二人称』『夢オチ』

【藪の中】(1/2)


 ゴオォォォゴオォォォと言う、耳障りな音で微睡みから意識が覚醒する。
 吹き荒ぶ風に、あなたは思わず眉をしかめた。

「…………」

 何故自分がここで横たわっていたのか、その記憶はない。ただ、ひどい違和感だけが意識にこびりつく。

「………………」

 何かを口にしようとして、しかし、言葉を紡ぐ事は出来なかった。
 ブルリと身を震わせる。吐く息が白い。

(良く凍死をしなかったな……)

 ブリザードの様な強風の中、あなたはそう思った。

 起き上がり周囲を見回すが、暗い等と言う所の話ではなかった。

 真闇……そう言える程に周囲が見通せない。手探りで周りを確認するが、障害物も多く、歩き回ることは困難に思えた。
 何より、素肌が貼り付き、余り周りを触りたいとも思えなかった。

 ゴオォォォゴオォォォと耳障りな音が耳につく。

 凍える体を両手で抱えブルブルと震わせる。歯の根も噛み合わない様で、ガチガチと鳴る自らの奥歯の音が煩わしく感じられた。
 強風と、ゴオォォォゴオォォォと言う耳障りな音を避ける為、手近な物陰に入り込む。体の末端か冷え切り、感覚が無くなっている事にあなたは気が付いた。

 手足を擦りながらポケットの中を確認する。ポケットの中から一度溶けたのだろう、形の崩れた何時の物か分からないチョコレートが出てきた。
 この極限状態では貴重な食料だ。
 あなたはそれを半分だけ食べ、残りをまたポケットにしまいこんだ。

「…………」

 ゴオォォォゴオォォォと言う音が耳障りだ。言い様のない不安感が沸き起こってくる。
 本能的な危機感だろうか? ここに留まっている事が不味いのだと言う気がする。
 何処にいけば良いのか分からない。だが、ここに居ては不味い。
 手足が凍える。

 ゴオォォォゴオォォォと言う音が聞こえる。

 ここから逃げなくてはいけないのに。

 音が、耳障りだ。

 手足が……

192 :この名無しがすごい!:2017/12/22(金) 12:58:29.50 ID:oLOQU6os.net
【藪の中】(2/2)


 ******

「あなた、ちゃんと起きて、退いて下さい! いつまでたっても掃除が終わりませんから!」
「あ、ああ……」

 妻が掃除機をかけている。ゴオォォォ、ゴオォォォと、音がうるさい。

(夢?)

 そう、あなたは思った。汗でシャツが貼り付き気持ちが悪い。
 そのせいで体が冷えたのか、背中がゾクリとする。

 掃除機の紙パックを代たのか、パンパンに膨れた紙パックを妻が持っている。
 ゾワリと、背筋が冷えた。

「あぁ、あなた、ジャケットに入ってたチョコレート、溶けちゃってるし、捨てちゃっても良いわよね?」
「あ、ああ……」

 あなたは呆けた様に頷く。

 あの紙パックの隙間から見えたのは、“自分”ではなかったか?

193 :この名無しがすごい!:2017/12/23(土) 08:46:38.06 ID:YnC4V9Uv.net
>>191
さっそく全お題使用にチャレンジ〜ブリザード・イン・バキューム・クリーナー(掃除機の中の強風)の登場
さあ語り口『二人称』で物語は展開ー二人称ならでは、肌に吸い付くような感覚が読者へと忍び寄るぞ
『掃除機』を使った『夢オチ』が奇妙な二重現実を映し出し、白昼夢で現実がどちらにあるのか混濁する夢うつつ状態で幕引きだ〜コナン君よ真実はいつも一つ、ではない! このオチ好きだ
んーしかしラストはばしっとキマっているが、辛めに見るとお題『お菓子(何でも)』がやや唐突、『氷点下』クリアは微妙か?
作者191氏、芥川「藪の中」をリスペクトしたか〜家事を手伝わず寝ぼける夫が妻に切り捨てられる、その焦りが無意識に夢で暗示された〜皆気を付けようね、そんなリアルな危機感だあw

194 :この名無しがすごい!:2017/12/23(土) 12:42:52.71 ID:aUcua4Aj.net
いつも感想有難うございます
チョコレートの出し方は、一考した方が良いですね
最終的に物的証拠としてさらに曖昧な感じにしたかった為に、出したので……
氷点下は、顔や睫毛でも凍らせれば補強出来たなと、今さら気が付きましたorz

195 :この名無しがすごい!:2017/12/24(日) 17:57:00.64 ID:CCqYgyj9.net
最近作品が少ないなあ…、どうしてだろうか…

196 :この名無しがすごい!:2017/12/24(日) 18:08:48.80 ID:Leu37luu.net
そもそもここを知ってる人があまりいないだろうからまあ

197 :この名無しがすごい!:2017/12/24(日) 18:34:04.52 ID:p0fmhOQe.net
多分、途中で決められたルールがぱっと見でわからないからだと思いますよ
>>1に無いですからね
お題をどう使うのか、誰がいつお題を出すのか、作品の期限、なろう系なのかそうじゃないのか
判定やら投票評価感想その他様々
スレを追っていってルールを理解していかないと新しい人が参加できない

198 :進行 :2017/12/24(日) 18:43:08.53 ID:RuO2qbzb.net
すまぬ…すまぬ…

199 :この名無しがすごい!:2017/12/24(日) 18:58:06.96 ID:OJXw0ikS.net
まあ進行さんだけでは決めかねるのもあるし徐々に煮詰めていけばいいのでは
底辺スレからの派生だし【小説家になろう】をタイトルに付けたら少しは人が増えそうだけども

200 :この名無しがすごい!:2017/12/24(日) 19:15:27.10 ID:FMOTZqQi.net
あと、そうだなぁ基本みなさんsage進行が染み着いてらっしゃるけど板全体の雰囲気的に上がっても荒らし沸かなさそうだし
目に付くようにたまにあげてもいいのかも?さすがに危険かなー

201 :この名無しがすごい!:2017/12/24(日) 21:40:24.23 ID:pjyfKohX.net
使用お題:『氷点下』『お菓子(何でも)』『掃除機』『二人称』『夢オチ』

【拝啓お元気ですか? Xver】


 お父さん、お母さんお元気ですか?

 いきなりですがこの手紙が遺言に成るかもしれません。眠いです。ものっそ眠いです。ですが、件のサイコキラーがわたしを虎視眈々と狙っていて、眠る事が出来ません。不条理です。

 ですが、それが私の為でもある事は分かって居るので文句も言えません。

 はい、わたし達は今、大雪原と言う万年雪が降り積もり、永久凍土が支配する氷点下の世界に来ています。なぜかと言えば、ここに古い勇者の神殿があるからです。

 勇者です。最近のラノベではクラス単位で召喚されるアレです。世界救済どころか内部分裂を起こす厄介なヤツです。何で召喚なんかするんでしょうかね?

 それはさておき、今私たちは吹雪の為に足止めを喰らっていて、洞窟の中で暖を取って居る所です。その為うとうとしているのですが……

 ぐう…………

 びびびびびびびびびびびびびびび。

 は!!

 こうしてたたき起こされている訳です。正直助かりました。三途の川の向こうで去年壊したル〇バが手招きをしていましたよ……

 しかし、吹雪が治まりませんね。困ったものです。
 このままだと顔の輪郭が分からなくなるほど叩かれる可能性もあります。自分の体なのに容赦が有りません。流石は冷血サイコパスですね。

 ですが、正直眠ってしまいそうなのには坂上くんの責任もあると思います。
 分かるとは思うけど、この人の心を忘れたサイコ野郎は端的にしか言葉を発しません。ぶっちゃけ会話が成り立たないです。言葉のキャッチボールをしろと言いたい!

 条件は同じはずなのになぜ眠くならないのか不思議です。この所、実は坂上宇宙人説が沸き上がっています。
 こいつのメンタルは普通の人間では有り得ません。身体はわたしですが……
 ともかく、こいつが眠った暁には同じ様にたたき起こしてやる所存です。身体はわたしですが、この加奈惠、容赦はせん!!

 ぐう…………

 びびびびびびびびびびびびびびび。

 は!!

 危なかった! 去年失敗したブッシュドノエルが三途の川の向こうで手招きしてました!

 しかし、そろそろ頬の痛みが寒さのせいなのか叩かれ過ぎなのか分からなくなってきました。これはまずい。
 本格的に対策を考えねば、別の意味で意識が無くなりそうです。
 さて、どうしたモノでしょう?
 そもそも、冷血サイコは気を紛らわす為の会話の役には立ってくれません。ここはひとつ何か楽しい事でも考えた方は良いのでしょうか?

 あったかい家、楽しそうな家族。おいしいチキンやケーキ。あれ? お父さんお母さん、何でここに? そっか、異世界転移なんて無かったんだね? わたしは今でも日本に居て、普通に暮らしてたんだぁ……

 びびびびびびびびびびびびびびび。

 夢でしたorz

202 :進行 :2017/12/24(日) 22:00:03.01 ID:RuO2qbzb.net
お題『氷点下』『お菓子(何でも)』『掃除機』『二人称』『夢オチ』〆

作品一覧
>>191【藪の中】
>>201【拝啓お元気ですか? Xver】

203 :進行 :2017/12/24(日) 22:05:09.65 ID:RuO2qbzb.net
次のお題…だけど、今年最後に過去のお題全部から好きなだけ使う総集編やってみない?
全部まとめてあるから、今回は使用お題表記なしで一週間開催でさ
収拾つかなくなるかな?

204 :この名無しがすごい!:2017/12/24(日) 22:08:09.00 ID:CCqYgyj9.net
それでいいんじゃない?
年未だしぱーっと行きましょう!

205 :この名無しがすごい!:2017/12/24(日) 22:08:28.81 ID:3GEX+3z1.net
やりましょう

206 :この名無しがすごい!:2017/12/24(日) 22:13:44.53 ID:OJXw0ikS.net
文字数はそのまま?
まあ多すぎるとそれはそれでハードル高くなるか

207 :進行 :2017/12/24(日) 22:15:04.47 ID:RuO2qbzb.net
文字数は2000のままでいきましょう

208 :進行 :2017/12/24(日) 22:17:46.25 ID:RuO2qbzb.net
次のお題『2017年10月〜12月までのお題全て』から好きなだけ

・今回は使用お題表記不要です!
・文字数は従来通り2000文字でお願いします!

締め切りは12月31日 22時です!

209 :進行 :2017/12/24(日) 22:18:19.04 ID:RuO2qbzb.net
【過去お題一覧】
2017年10月
『ハロウィン』『不思議の国のアリス』『伊勢うどん』『男女入れ替わり+サイコパス』『ゴリラ+死に戻り』
『長靴下のピッピ』『きのこ』『ゲーム』『全否定』『60億(単位は自由)』
『ああああ』『自動販売機』『殺人事件』『書き出し→「親父が失踪した」』『ヒーロー』

2017年11月
『戦闘描写を入れる』『タイムトラベル』『飴』『罠』『わさび』
『海月』『登場人物が泣く(最低一人)』『秘密』『宇宙人』『砂時計』
『英語以外の外国語』『夜道』『月が綺麗ですね』『魔王』『テキーラ・サンライズ』
『プレゼンテーション』『ちくわ大明神』『錬金術』『人力車』『御令嬢』『嘘』
『君が僕を魔法少女にした』『みそラーメンが特産品な地獄』『もみじ』
『台詞「愛してる」を入れる』『視点変更』『プレゼント』『アイドル』『ご主人』
『迷宮入り』『動物』『びしょうじょ』『滅亡』

2017年12月
『台風』『プロテイン』『登場人物が踊る』『ペシミスト』『水』
『ロボット』『切り札』『冬』『鼻血』『一人以上の登場人物が気絶する』
『TSF』『演説』『青いドレス』『ダジャレを入れる』『一人称』
『他者変身』『VR』『進行さん』『不本意』『雪』
『膝枕』『きらきら』『クリスマス』『鈍感系主人公』『人物がジャンプしながら登場してくる』
『氷点下』『お菓子(何でも)』『掃除機』『二人称』『夢オチ』

210 :この名無しがすごい!:2017/12/24(日) 22:23:58.77 ID:3GEX+3z1.net
ワーォ

211 :この名無しがすごい!:2017/12/24(日) 22:59:53.67 ID:U+TMJzJb.net
これは燃える

212 :この名無しがすごい!:2017/12/25(月) 00:01:26.03 ID:ZhbXcgVk.net
むしろあえて全てを回避して書いてみて欲しいw

213 :この名無しがすごい!:2017/12/25(月) 01:00:36.00 ID:b9cBciDG.net
全てのお題を使った話書く人いそう
…いやさすがにいないか

214 :この名無しがすごい!:2017/12/25(月) 09:23:09.52 ID:F9EfPhCM.net
>>201
さあ雪原で綴られる遺書が前回お題フル使用に挑むぞ!
二重人格(たぶん)と化した女子が手紙による『二人称』のていで文面をしたためる〜
『氷点下』の雪原で死を招き寄せるは死んだはずのお掃除ロボとブッシュドノエルw おお、女子という語り手設定・ネタ・お題消化が接合しているぞ、お題『お菓子(何でも)』『掃除機』を華麗にクリアーだぜ
ラストはビンタと『夢オチ』で読者ごと語り手を気付けする微覚醒オチでお約束感を出したあ!
よしお題消化は成した、しかし今度はストーリーが分かりにくいぜ〜勇者の神殿、坂上君なる(たぶん別人格の)寡黙キャラ、二人称の遠回し感、これらの込み入った事情を理解するのに軽い語り口はアンマッチ
お題を立てれば話が立たず〜短編スレならでは魔のジレンマにハマったか201氏〜でも三途の川のくだりは笑ったがな!

215 :この名無しがすごい!:2017/12/25(月) 12:08:28.64 ID:MecmIGUA.net
状況説明が足りてないと気が付いたのは投稿した方が後でしたorz
どうしても間に合わせたい気持ちが強すぎて推敲が不足でした
精進します
感想有難うございました

216 :この名無しがすごい!:2017/12/25(月) 15:55:19.03 ID:UdmGc+yl.net
【出張!可哀想な者倶楽部】
https://kasasagi.hinaproject.com/access/top/ncode/n7160el/
お題は地味にイロイロ入れてますがまぁ、クラゲ後輩が書きたかったんですw

217 :この名無しがすごい!:2017/12/25(月) 17:33:13.75 ID:MecmIGUA.net
名前の読み代えも色々ですね
最近はキラキラネームとかありますし、可哀想倶楽部員も増えそうですよね
面白かったです

218 :この名無しがすごい!:2017/12/25(月) 20:40:59.37 ID:9vWRGZPX.net
>>217
頂いた河合宋太のネタ、お借りしちゃいました……m(__)m
感想ありがとうございます!

219 :この名無しがすごい!:2017/12/25(月) 23:01:05.32 ID:LaRKuXyu.net
【マジックハンター】(1/3)


 ビュウオオオオオォォォォォ……

 自分でもバカげた身体能力だと思う。
 優に10mは越える谷間を1蹴りで飛び越えて、追手を遥か後方へと置き去りにした。
 追手の原因である聖王国お姫様は、今は、その気品の欠片もなく白目を向き、色々なものがきらきらと零れ流れて行っている最中。

 ……見なかった事にしてあげよう……

 俺、野間 良騎は背後の気配を伺いつつも、(この気絶したお姫様の介抱もしなくちゃなぁ)なんて呑気に考えていた。

 俺がこの世界を管理する神様に請われ、召喚されたのは2ヶ月ほど前の事。

 いや、相手が美人の女神様だった訳じゃないんだ。どっちかって言うとノリの軽いあんちゃんって感じ。でも、何故か初対面でひどく気が合ったんだ。
 その神様曰く「魂の波長が近いんだよ」って話らしい。

 神様に頼まれた用事は、魔力の還元。最近、やけに魔力を溜め込む生き物が居るせいで、世界の魔力分布に偏りが出来ているんだとか。
 正しく魔力が世界に循環しないと砂漠化したりして大変なんだって。
 なんで、神様にその都度情報をもらいながら魔力を溜め込んじゃってる生物を倒すって感じ。

 そのときに貰ったのが【上限突破】ってスキル。鍛えれば鍛えるだけ能力が上がるってもの。
 最初は一般人だったから、動物一匹倒すだけでも大変だった。だけど上限なしで鍛えられたんで、今は前述の通のちょっとした超人だけどね。

 いやぁ、最初の頃は辛かった辛かった。

「と、あの洞窟なら良いかな?」

 俺は、適当な洞窟を見つけると、そこに降りた。

220 :この名無しがすごい!:2017/12/25(月) 23:03:32.85 ID:LaRKuXyu.net
【マジックハンター】(2/3)


 ******

『メリー! クリスマス!!』
「おー、アヴェー、二日ぶり〜……あー、向こうだとそんな時期?」
『ういうい! バレンタインにハロウィン、クリスマス! いやー、あっちの世界はイベントが多いね、僕も見習って御子でも作ろっかなぁ?』
「その中に日本固有のイベントは無いけどな、こっちで御子つくっても同じイベントに成るかは分からないぞ? ってか、こっちだと宗教の奴だけ喜ぶイベントに成りそうだけど?」
『あー、そっかぁ……で? この娘の為に僕のお願いを途中でほっぽって来たの?』

 そう言ってアヴェーこと神様が、俺の膝を枕にしてるお姫様を覗き込む。

「困ってる可愛い娘と、男友達の用事、どっちを取るって言われたら?」
『可愛い娘かぁ、分かるけど悔しい!!』
「おーい、そう言うなって、一応、君の事を崇拝してる国のお姫様なんだからさ」
『だよねぇ……まさか拐われてるとは……間に合ったのは僕のお導きのおかげ?』
「全能でも万能でもない神様のお導きねぇ……まぁでも、そうかな?」

 本当は、さっき俺の事を追いかけていた魔族の頭をぶっ倒す予定だったんだけど、拐われたお姫様を見つけたんでそっちを優先したんだ。
 貞操の危機っぽかったしね。

「うう……」

 アヴェーとそんなバカ話をしてたら、お姫様が目を覚ました。

「!!」
「起きた?」
「ヒッ!!」
「酷いなぁ、魔族から君を助けたって言うのに」
「え? あ!」

 苦笑しながら言った言葉で、お姫様はその事に気が付いたらしい。膝枕だった事もあって、顔を真っ赤に染めながらばっと飛び起きて座り直す。
 のと同時に、俺が掛けておいたコートが落ちて、立派な双宮がまろび出る。

 いやぁ、眼福眼福。

「ひょええ!!」

221 :この名無しがすごい!:2017/12/25(月) 23:06:12.37 ID:LaRKuXyu.net
【マジックハンター】(3/3)


 お姫様が落ち着くまで暫くかかった。

「……お恥ずかしいモノをお見せしました」

 真っ赤に成ったままで、お姫様はそう言った。王族なのに随分謙虚だ。

「助けていただいてありがとうござ……?」

 お姫様が謝辞を述べようとするのを俺は手で制す。まだ終わった訳じゃないしね。

『おや? おやおやおやぁ? これは、やっぱり、日ごろの行いかな?』
「神様はサイコロを振らないってっ知ってる? こう言うのを蝦で鯛を釣るって言うんだよ」
「え? 何を?」
「シッ」

 俺の感覚にも分かるくらいの膨大な魔力。手下がかしらを連れて来たな。ターゲットがそっちから来てくれるってんなら話が早い。

 さて、狩りの時間だ!

 ******

 結論から言おう。

「口ほども無かったな」
『言葉は通じなかったけどねぇ』

 瞬殺とまでは言わなかったけど、大した苦労も無く魔族の頭は倒した。力の使い方が成っちゃいないね。
 所詮は棚ぼたで力を得たものの、それに振り回されてたって感じ。やっぱり、地道に地力をつけないとね。
 俺の戦いを見てたお姫様がまた気絶してる。まぁしょうがないよね。兎に角、彼女は送り届ないと。

 ******

 王宮のお姫様の部屋まで送ったけど、結局あの後、気絶したままだったよ。

『ねぇ、結局、あの娘の名前聞かなかったねぇ』

 ……そう言えば名乗っても居ないや。

222 :この名無しがすごい!:2017/12/26(火) 09:27:46.80 ID:FIxRuPwr.net
>>216
さあ前スレよりカムバック、可哀想な者倶楽部アゲイン! 久しぶりだなw
あらためて紹介しよう、トコロテンこと心太さんにクラゲこと海月さん、あとチカンこと智寛さんその他〜心ない両親にある意味で美味しい名前を付けられた者どもが集まって愚痴をこぼす避難所、それが可哀想な者倶楽部だw
放送室で繰り広げられる軽快なトーク〜っておい中川類←216氏まさかタルるートくんネタかこれw
まったく真剣に相談する気がない質問者達を適当にあしらっていく可哀想な者倶楽部、オチはやっぱり自分の相談w 人の相談に付き合ってる場合じゃねえw てか妹問題、はよ解決してw
お題『海月』『動物』『きらきら』『切り札』『登場人物が泣く(最低一人)←微妙?』で5個消化を捕捉だあ!

>>219
俺ツエー感あふれる勇者が神の召喚によって爆誕!
さて年末で気分が盛り上がった進行氏の号令で始まったお題総力戦、前スレから最新回までのお題を全解放! どのお題を何個使ってくるかも見所だ〜
さあGODパワーで圧倒的な力を得た野間君が跳躍しながら登場〜さっそく聖姫から色々なものがきらきらと零れ流れて行っているぞ〜なんかエロいw
まろび出る双宮←これ何で急に格調高い表現になった
物語は後半お姫様どれほど気絶すんだ感を滲ませ、魔族をメタメタにした野間君が「ああそいや名前なんて気にしてなかったワ」と大物エンドw
おお、やるな219氏、お題『人物がジャンプしながら登場してくる』『一人称』『一人以上の登場人物が気絶する』『登場人物が泣く(最低一人)←微妙?』『きらきら』『動物』『バレンタイン』『ハロウィン』『クリスマス』『膝枕』でお題10個を捕捉したー漏れありそう

223 :この名無しがすごい!:2017/12/26(火) 09:56:34.76 ID:FIxRuPwr.net
あ、記憶違い
タルるートくんは
伊知川塁 いじがわるい だったw

224 :この名無しがすごい!:2017/12/26(火) 12:25:32.92 ID:iIcvxozA.net
>>222
いつも感想有難うございます
まろび出る双宮は、お姫様だし、そっちの表現の方が良いかな? と
今回は、一度普通に書いた後に入れられそうなお題をとにかく突っ込みましたw

>>218
使って頂け光栄ですw

225 :この名無しがすごい!:2017/12/26(火) 22:25:55.88 ID:iIcvxozA.net
【コズミックショートショート】(1/3)


 古今東西、“人”が居る所には“暮らし”が有り、それは例え、遠い宇宙でも変わりが無い様で。
 ここに、ロボット型宇宙人のウモンと言う男がおりました。
 この男、地球マニアで、仲間内では随一だと自負していたのです。

「ようウモン、久しぶりだな」
「ん? おお! ギャプルじゃねえか、暫く見てなかったが、どうしてたんだい?」

 ウモンが何時もの様にプロテインを摂取している所に、クラゲ型宇宙人のギャプルがやって来る。ギャプルはこんがりと焼け、良い色に成っていた。

「へへへ、実はな、旅行に行ってたんだよ」
「ほう、旅行かい? 一体どこへだい?」
「おお! 聞いてくれるか? いや、何処だと思う?」

 げへへと厭らしい笑みを浮かべ、ギャプルが肩へ触腕を乗せる。ウモンはその触腕をぺしりと叩き、眉を顰めた。

「何だか嫌らしいね? そう言えば随分と焼けてるじゃないか? 日焼けサロンかい?」
「日焼けサロンは旅行とは言わないだろうが、聞いておくれよ、実はオイラ、地球へ行ってきたんだよ!!」
「え? へぇ!?」

 このウモン、地球マニアを気取っていても、実は地球に行ったことは一度も無い。だから、ギャプルが地球へ行ったと聞いて悔しいやら羨ましいやら。

「そ、それで、地球の何処に行ってきたんだい?」
「ああ、日本と地獄さ」
「ぢ、地獄?」
「いやいや、地獄の暑さと言ったらなかったね、お陰でこの通り真っ黒に成っちまったよ」

 ひらひらと触腕を動かすギャプル。ウモンは内心で羨ましいと思いながらも平静を保つ。

「そ、それは焦熱かい?」
「いや、阿鼻地獄さ、ほら、特産品の味噌ラーメンだ」
「へー」

226 :この名無しがすごい!:2017/12/26(火) 22:28:40.34 ID:iIcvxozA.net
【コズミックショートショート】(2/3)


 お土産の味噌ラーメンを貰い、顔を引き攣らせるウモン。そんな事は気付かずギャプルの自慢はまだまだ続いた。

「地獄はまだよかったんだがね? 日本の方は、地球人に変身しなくちゃいけないだろ? それがまた窮屈で窮屈で。ほら、オイラ3mもあるだろう? ほとんど半分くらいに成らなくちゃいけなくてさぁ」
「おいおい、ちょっと地球へ行ったくらいでもう地球かぶれかい? 何が“3m”だい」
「おっと、向こうの単位が出ちまったね、失敬失敬。いやぁ、しかし、地球は人が多いね、60億人位居たんじゃないかね?」
「ああ、そうかい。たぶん今はそれ位じゃないかね」

 次々ギャプルの口から出る知ったか知識に、ウモンは口をへの字に曲げた。

「そうそう、あれも買って来たんだ」
「何をだよ」
「何と言ったかな? 海苔でワサビを巻いた……」
「涙巻きかい?」
「いや、そうそう“恵方巻”だ!」

 初めて聞く言葉にウモンは目を瞠る。

「え、恵方巻?」
「おや、知らないのかい?」
「いや、知ってるさ、恵方巻だろ? その、ワサビが巻いて、あ……る?」

 ギャプルの反応を見ながらどうやらあっているらしいと思い、ホッと胸を撫で下ろす。

「これをな? 触腕を使わずに無言で食べるのが“通”らしいんだよ」
「ああ、通なら無言だな!」
「じゃあ、食べてみようか」
「ワサビをか?」
「恵方巻だよ」

227 :この名無しがすごい!:2017/12/26(火) 22:31:51.97 ID:iIcvxozA.net
【コズミックショートショート】(3/3)


 ギャプルが取り出した恵方巻、それは何処をどう間違ったのか、ワサビの太巻きだった。
 それを見て、ウモンの顔が引き攣る。そこは伊達に地球マニアをやっていない。宇宙通販で取り寄せたワサビをウモンは食べた事が有った。
 だが、あの鼻にツーンと来る物を食べ続ける事など出来るとは思えなかった。だが、今さら無理だとは言えない。

「それじゃ、咥えて」
「お、おう」

 咥えただけでもその香りは鼻に来る。ウモンはこの時点で涙目に成っていた。
 だが、そこは地球マニアとしての意地もある。

 もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ。

 何とか噛み砕き飲み下すと、ウモンは大急ぎで水を飲んて落ち着いた。

「ど、どうだ? これが通ってやつだ!! ……? ギャプル?」

 涙をボロボロと流しながらも、どうだとばかりにギャプルの方を見たウモンだったが、そのギャプル、咥えたまま微動だにして居ない。

「こいつ、俺にだけ食わせて、自分は食わねえつもりか? おい! ギャプル!! おい!!」

 腹に据えかね、ギャプルの肩にマニュピレーター置いたウモンは、そこで動きが止まる。

「……こいつ、咥えただけで気絶してやがる」

228 :この名無しがすごい!:2017/12/27(水) 11:55:20.52 ID:A+oaKJpe.net
>>225
宇宙空間からスレに届けられた爆笑話のお歳暮だ〜地球愛好者のコズミック小噺!!
おもむろに現れる地球マニアのロボ型宇宙人ウモン、日常的にプロテイン飲んでんじゃねえw さあクラゲ系宇宙人ギャプルの知ったか話が止まらない〜これ見よがしに単位とかチラつかせるしょうもなさ、わろたw
前スレで住人を責め苦へ導いたお題『みそラーメンが特産品な地獄』に作者225氏が地獄ラーメンにかけて引導を渡し、返す刀で名お題『ワサビ』に取りかかる〜
恵方巻を知らないウモンが地球マニアの意地でワサビを喰らい、最後は糞自慢を続けたギャプルに裁きを下す因果応報・気絶オチw
男のプライドという小さい宇宙で弾ける心理戦、そこに笑いを融合させて最後は自業自得へ落とし込んだあ〜笑い疲れた読者の心にしかしこれは男の業だと哀しさ一閃! ウモンの涙に男の涙を託したか225氏、素晴らしい、天晴れの名品也!
使用お題は『宇宙人』『海月』『登場人物が泣く(最低一人)』『プロテイン』『ロボット』『60億(単位は自由)』『みそラーメンが特産品な地獄』『水』『わさび』『嘘』『一人以上の登場人物が気絶する』11個消化を補足したあ!

229 :この名無しがすごい!:2017/12/27(水) 17:39:44.15 ID:MN+3hmKD.net
感想をいつも有難うございます
地球観光をする宇宙人と言うのは些か強引すぎるかと思ったのですが、思い付いてしまったのでそのまま書き上げましたw

230 :この名無しがすごい!:2017/12/28(木) 01:08:43.07 ID:FhSBrN0B.net
>>222
遅くなりましたがいつも感想ありがとうございます
可哀想な者倶楽部、ネタがじゃんじゃん湧いてきちゃって今連載に移行しようかともくろんでます……w妹問題なんかしてあげなきゃ(;´Д`)

231 :この名無しがすごい!:2017/12/28(木) 18:49:54.58 ID:JmN2v+hZ.net
【歯車探偵物語】(1/3)


「実際、厄介な事をしでかしてくれるよなぁ」

 拳銃を構えて歯車 鉄雄はそう言った。

「五月蝿いよ! 私はこんな所で捕まって良い人間じゃぁ無いんだ!!」

 ベランダ伝いに屋根へと上がり、しかし追い詰められた男は、ナイフを令嬢の首に突きつけヒステリックにそう叫んだ。
 令嬢を脅迫し関係を迫っていた官僚の男は、それが白日の下に晒された途端に短絡的な行動を取ったのだ。
 衆人環視の中、凶行に走ったこの男に明日など無いだろう。だが、鉄雄の本来の依頼はそんな事では無い。

「ひい! た、助けてください!!」
「……」

 必死に助けを求める令嬢を鉄雄は冷めた目で見ていた。

「……実際、あそこは密室だった。鍵は掛けられていたし、センサーも動いて居た」
「な、何を言っている? 早くどけ!! お嬢様がどうなっても良いのか!?」
「茶番だなぁ。うるさいから黙っててくれないかな?」

 ターン! と銃声が鳴り、ナイフを弾き飛ばす。

「……上手く化けたと思っていたのですが、何故気が付いたのですか?」

 「ひゃぁ!!」と悲鳴を上げ蹲る男とは裏腹に、銃弾が掠めたにも拘わらず令嬢は落ち着いた声色で慇懃に言った。
 その姿を見た鉄雄は大きく溜息を吐く。

232 :この名無しがすごい!:2017/12/28(木) 18:53:29.20 ID:JmN2v+hZ.net
【歯車探偵物語】(2/3)


「あの時、館の主人と一緒に部屋に入れたのは数人しかいなかった。重量感知センサーなんて物は上に乗っからなければ意味は無いし、鍵にしたって中にさえ入れれば、その実、閉まらない様にする方法は幾らでもあるんだ」
「だから、あの場にいた人間だけに犯人を絞ったと言う事ですか……だとしても私だとは限らなかったでしょう?」
「なに、あの場で一番僕の好みだったのが、君だったってだけだよ」

 それを聞いた御令嬢は皮肉そうに顔を歪めた。

「最後は勘ですか……その様な物、対処のしようが無いではないですか、厄介な」

 そう言うと、御令嬢がその衣裳を一瞬で脱ぎ捨てる。と、そこには紳士然とした仮面の男が立って居た。

「騒ぎに乗じて逃げるつもりだったんだろ? “怪盗紳士”」
「ふぅ、御明察ですね“歯車探偵”」

 そう言う怪盗の背後に影が差す。キリキリと音を立てて、拳を振りかぶったのは巨漢の蒸気人形だった。

「チッ、奥の手を隠していたのか!!」

 横っ飛びでその一撃を躱した鉄雄は、怪盗紳士に向かって銃を撃つ。しかし、その銃弾は蒸気人形によって阻まれた。
 跳弾が官僚の頭を掠め、逆モヒカンとなった男はそのまま泡を吹いて気を失う。

「危ないですね。その官僚さんに当たってしまいますよ?」

 つまりは、次に撃てば男に当てると言う脅しだ。鉄雄はそれでも拳銃を構えたまま、静かに間合いを詰める。
 何かを狙っている事が分かって居るのだろう。怪盗も迂闊に動けずジリジリと間合いを開けようと後ずさった。

 ヒュン!!

「な!!」

 横合いから何者かが飛び出し、蒸気人形に飛び掛かる。怪盗が驚きを持ってそれを迎えるのと同時に、鉄雄が腕に仕込んでいたワイヤーを射出した。

「クッ!」

 怪盗の胸元を掠める様に飛来するワイヤーを彼は辛うじて払い除けると、探偵に向かってニヤリと笑みをこぼす。

233 :この名無しがすごい!:2017/12/28(木) 18:56:08.26 ID:JmN2v+hZ.net
【歯車探偵物語】(3/3)


 だか、それは早計だった。
 蒸気人形に飛び付いたのはカラクリ犬。それが来たと言う事はもう1人も到着したと言う事に他ならない。
 怪盗紳士は、探偵に気を取られ、背後から忍び寄った彼女に気が付かなかった。

「な!」

 猫の様に飛び掛かった探偵助手……御木屋を辛うじて避ける。が、彼女が手にした物を見て、怪盗の顔が驚愕に彩られた。
 その手にあったのは“王女の涙”。怪盗が盗み出したばかりの金剛石だったからだ。

「先生! これを」
「流石だね御木屋くん、その指先は錆び付いては居なかった様だね」
「止めてください、昔の話です」

 ギリリと、歯を鳴らした怪盗だったが、切り札だった蒸気人形は既に沈黙し、パトカーのサイレンも聞こえる所を見れば、ここが包囲されるのも時間の問題だろう。

「まったく、遣ってくれます。王女の涙、今は貴方に預けましょう。ですか、本当の決着は、いずれまた」

 マグネシウム弾が点火し、眩ゆい光に包まれる。と、光が退いた後、怪盗紳士の姿は、ハンググライダーによって、遥か空の上だった。

「くっ! まて!!」
「良いよ御木屋くん」
「しかし、先生!」
「僕の仕事は依頼の遂行であって、犯人の逮捕は警察の仕事だ」

 手にした金剛石を玩びながら鉄雄はそう言った。

「そうですか……しかし先生、良く令嬢がヤツだと分かりましたね?」

 御木屋の質問に簡単だよと鉄雄が答えた。

「脅迫されていた御令嬢を放って置けなかったんだろう」
「それで、彼女に成り済まし、身代わりに成ったと?」

 鉄雄は苦笑する。

「まぁ、ヤツは紳士だからね」

234 :この名無しがすごい!:2017/12/29(金) 15:08:52.01 ID:o2zs2P5a.net
>>230
ちゃんと解決させるとこ見せてねw

235 :この名無しがすごい!:2017/12/29(金) 15:14:46.65 ID:o2zs2P5a.net
>>231
さあ、お題総力戦で年の瀬燃ゆる短編スレにハードボイルド探偵が推参だあ!
令嬢と心中でも図ったか恋実らぬ官僚が凶行にはしる〜緊迫する現場で探偵・鉄雄さんが怜悧に暴き出すは物語の意外な裏面〜
官僚どうこうは怪盗紳士が用意したブラフにすぎない〜物語は探偵ものに見せかけた実質アクションものだあ〜官僚逆モヒカンにされててワロタ
探偵助手やロボットが躍動してふつうに面白いぞ〜オチは怪盗紳士の原型アルセーヌ・ルパンをリスペクト、憎めない怪盗ネタで爽快感あるフィニッシュ! このオチ好き!
でもここまでやるなら『奴は大変なものを盗んでいきました』ネタをどうにか使ってほしかった気もするだぜ231氏! まあ続編でやってくれんだろw
お題消化はどーか、『御令嬢』『嘘』『ロボット』『ご主人』『切り札』『一人以上の登場人物が気絶する』『人物がジャンプしながら登場してくる』『戦闘描写を入れる』『動物』『TSF←微妙?』『他者変身』で11個確認! 何気に使いまくってるw

236 :この名無しがすごい!:2017/12/29(金) 18:38:31.16 ID:8lNuJ545.net
いつも感想有難うございます
書いて見たかったハードボイルドを自分の好きなスチームパンク風にしようと四苦八苦しました
楽しんで頂けたなら幸いです
なるべくお題を入れようとしているのですが、今の所、10個前後が精一杯の様ですorz

237 :この名無しがすごい!:2017/12/30(土) 01:00:37.27 ID:CaK+svjR.net
【マジックハンター その2】(1/3)


『月が綺麗ですねって、夏目漱石だっけ?』
「学生が『I love you』を『あなたを愛してる』に訳そうとしてる所をそっちにしなさいって言ったって聞いてるな」
『風情だねぇ』
「どうした? 急に」

 夜道を駆けながら、唐突にそんな事を言って来たアヴェーに、俺、間野 良騎か訝し気に訊ねる。

『いや、月を見てたら唐突に思い出した』
「うん? 確かに月がでっかいな」
『だろぅ? こんな良い夜に僕ら何してるんだろうねぇって、思ってさぁ』

 言いたい事は分かるが、こいつの言うべき事じゃないと思う。俺がこの世界に召喚されたのは、横でふよふよと飛んでいるアヴェーに乞われ、この世界の魔力分布を正す為だ。そうしないと最悪、この世界が滅亡するらしい。
 その為に今回は魔王城の奥にあるアークと呼ばれる箱を壊さなくちゃいけない。
 要は泥棒の真似事だ。

『魔力ってのはつまりは愛なんだよ』
「魔力が愛?」
『そう、創生神様の愛! 世界を包み、癒し、人々を祝福し、時に形を変え力を与える!!』

 創生神、この世界を創った神様の事。アヴェーはその神様直々に世界の管理を任された管理神……マンションオーナーと管理人ってとこ。
 そうなると俺の立場は管理人に雇われた業者の人間って事かな?

「そうなると、今日の俺は愛泥棒ってとこか?」
『だね、愛を取り戻せぇ……って?』
「七つの傷は無いんだけどなぁ」

 森を駆け抜け飛び上がり、城壁を踏み台に一気に魔王城へと迫る。物見の塔に居る魔族の兵が呆然とした表情をしているのが見えるけど、そんな事で良く兵士が務まるなって気がする。

 まぁ、しょうがないけど。

 月明かりに照らされた魔王城は湖面に映り込んで酷く綺麗に見える。こんな時じゃ無かったら、ゆっくり鑑賞したいって位には。

『よっし、防御魔法は無効化したよ? じゃ、僕は暫く消えてるからねぇ』
「おっけ、アークの安全な壊し方は調べておいてくれな?」
『ういうい! そっちも任せるよぉ』
「ああ!!」

238 :この名無しがすごい!:2017/12/30(土) 01:03:34.91 ID:CaK+svjR.net
【マジックハンター その2】(2/3)


 城の防御魔法を無効化してアヴェーは姿を消す。俺を通してしか世界に干渉できないからでもあるけど、実はこの魔法の行使だって管理権限すれすれの所だからしょうがない。
 友達だから心配して力を貸してくれているって事。無茶しやがって。
 俺は3階付近の窓に体当たり気味に突っ込んで城に入る。一気呵成に事に及んだ事も有って、城内はまだ静かだ。
 アークの置いてある宝物庫は謁見の間の裏手にあるらしい。何とも不思議な造りだけど、最も強い魔王が守護して居るから、その方が安全なんだって言ってた。
 謁見の間は地下にあるって話だから、急がなくちゃね。
 足元の床を思いっきり踏み抜き続けて、一気に地下に降りる。
 壁を叩き壊しながら進んで謁見の間に入ると、俺の目の前には小山の様な巨体のそいつが居た。

『ここが魔王城じゃと知っての狼藉か? ニンゲン!』

 見上げる様な巨体からビリビリと響く声。今まで見て来た野生の竜なんか比べ物に成らない位に濃厚な殺気を振りまきながら、暗青色の鱗を持ったエンシェントドラゴンが俺を見下ろす。
 確かにコイツも凄い魔力を持ってはいる。だけど、エンシェントドラゴンとして異常に溜め込んで居るって訳じゃない。
 つまりは討滅対象外って事。むしろ、ドラゴンの後ろから感じられる魔力量の方がデカい。

「成程、アヴェーか拙いって思う訳だ……」
『何を言って居るのじゃ!!』
「悪いんだけどさ、素直にアークを渡してくれる? そうしたらアンタには危害は加えないから」
『ワシを愚弄するか!? ニンゲン!!』

 そう言っていきなり襲い掛かって来る。
 あーあ、忠告はしたんだけどなぁ

239 :この名無しがすごい!:2017/12/30(土) 01:08:38.98 ID:CaK+svjR.net
【マジックハンター その2】(3/3)


 ******

 今、俺の前には土下座してプルプルと震える、尻尾と角を生やした青いドレスの少女がいる。魔王ことエンシェントドラゴンだ。
 泣いて謝るまで殴るのを止めなかったら、しゅるしゅると縮んでこうなった。
 途中で駆け付けてきた兵士達も、今はドン引きした表情で、こっちを見てる。

「ア、アークとやらは渡すのじゃ、だからもう殴らないで欲しいのじゃぁ」

 グスグスと、涙声でそう言われると罪悪感が湧く。俺だってコイツと戦うのは不本意ではあったんだけどな。
 だけど、何時までもこうしている訳には行かないから、俺は魔王を立たせてハンカチで顔を拭いてやった。
 引っ張った時にはビクリと肩を震わせたけど、今はされるがままになっている。
 その後、魔王達は素直にアークを渡してくれた。変に拗れなくて良かったよ。
 何でか兵士達が暖かい視線で見てきたけど。
 終わった後、アヴェーが出てきた。

『リョウキは、あれだ、鈍感系主人公の才能があるよね?』
「は?」
『流石は愛泥棒だって事さ』
「何だそりゃ?」

240 :この名無しがすごい!:2017/12/30(土) 01:12:00.17 ID:CaK+svjR.net
あ、間野じゃなくて野間でしたorz

241 :この名無しがすごい!:2017/12/30(土) 12:55:13.90 ID:YuSbdos4.net
>>237
>>219から再登場〜俺ツエー系マジックハンター襲来!
年越しに向けた総力戦、お題を貪欲に取り込んだアッツい作品ばかりだね〜まだ未使用の名お題として『ゴリラ+死に戻り』『長靴下のピッピ』『テキーラ・サンライズ』の姿がある〜思い出深いコイツラの再来も楽しみだぜ
さあ物語は神アヴェーさんが強引にお題『月が綺麗ですね』を消化してスタート〜いきなり過ぎるw しかし作者237氏もそれは承知しているぞ〜主役の野間くんが「どうした急に」「唐突」など疑念を連発w 同感だあw
話は魔力=愛というやや苦しい解釈を使って『台詞「愛してる」を入れる』を処理、ラスト、萌え系エンシェントドラゴンに惚れられるオチw 不意をついた狡猾なギャップ萌えだあ、これは卑怯!!
無理があった前半はこのラストの伏線! オチの愛泥棒にかけて『奴は大変なものを盗んでいきました』>>235展開を消化〜最初からこれが狙いだったか237氏、仰け反ったぞ、手が込みすぎw
そう無理やりなのは分かっている、しかしその限界は越えねばならぬ、作者があの手この手を尽くして筆力を飛翔させそこに感動を作り出す〜これぞ短編スレの醍醐味だあ!
お題は『滅亡』『戦闘描写を入れる』『登場人物が泣く(最低一人)』『夜道』『月が綺麗ですね』『魔王』『台詞「愛してる」を入れる』『青いドレス』『不本意』『他者変身』『一人称』『人物がジャンプしながら登場してくる←微妙?』『鈍感系主人公』13個を確認したぞw

242 :この名無しがすごい!:2017/12/30(土) 14:41:31.32 ID:FiaHGbw0.net
歯車探偵の方で処理できれば良かったのですが、力量が足りませんでしたorz
魔王はの“じゃろり”だと、自分のゴーストが囁いた為、こんな展開に成りました
いつも有り難うございます
感想楽しみにしています

243 :この名無しがすごい!:2017/12/31(日) 21:49:22.51 ID:ZV52r+oI.net
【KURIKAESHI】(1/2)


「馬鹿な……」

 オレの口からは、絶望の声が漏れる。それ程までに圧倒的な存在が目の前にいた。獣を具現化した様な毛むくじゃらの体、成人男性を束ねたより太い四肢。だが、その瞳は知性の色に輝き、だからこそ分かる、侵入者であるオレに対する無常で冷徹な意志が垣間見える。
 これはもう、どうにもならない……オレはそう思った。

 ******

「また、分かれ道か……」

 オレは国に認められた勇者だ。今まで数々の魔獣を退治し、その功績を持って、国王直々にそう認められた。
 そんなオレが今居るのは、魔獣王と言う3魔王の一人の居城だ。
 言わずもがな、古今東西、勇者の仕事と言えば魔王退治。だからこそ、オレは、比較的危険度の少ないと言われているこの魔獣王を最初のターゲットにした。

 さらなる栄光を掴むためだ。魔王を倒し、オレの名声を不動の物にしてやる。

 3魔王の他の二人は魔海王と魔神皇。それぞれ大海峡と魔界と言う、人の住む場所から隔絶した場所に居る為、侵入が困難だったから、コイツを選んだと言う理由もある。
 本来であればオレの周囲を固めていたパーティーは既に全滅している。だからこそ、たった一人でこうして城の中をうろつきまわっているのだ。

 最終的にオレだけでも魔獣王を倒しちまえば何とでも言い訳は立つだろう。
 何度繰り返しても、この最終フロアに来るまでにオレ以外が全滅する為、既に見限った……と言うのも理由の一つだ。

 何度繰り返しても……そう、それこそがオレの秘密の力『死に戻り』、予めセットしておいた場所に、死んだ後、タイムリープしてやり直すと言う能力だ。

 最初は魔王城入口をリターンポイントにセットしていたんだが、パーティーが足を引っ張り、何度も死に戻ったせいで全く進めなかった事も有って、仲間が死んだ後だったとしても、少しでも進めればリターンポイントを設置し直していた為、結局、オレ一人に成って居た。

 死んだ奴らには悪いが、勇者であるオレの礎となったんだから、勘弁してもらおう。 

「くそ! いったいどれだけ広いんだよ!!」

 悪態を吐きながら、先を進む。

244 :この名無しがすごい!:2017/12/31(日) 21:54:25.87 ID:ZV52r+oI.net
【KURIKAESHI】(2/2)


「……この辺でリターンポイントを設置し直すか……」

 やけに豪華で広い廊下に出る。(当たりかも知れない)……そう思ったオレは慌ててポイントを設置した。これで、死んでもここに戻ってこれる。正直、あの長い道のりを再びなんて考えられないしな。
 両開きの、細かな意匠の扉を少し開ける。

「前室か?」

 覗き込めばさらに前にもう一枚扉がある。恐らくその向こうに魔獣王が居るんだろう。オレはやっと終わりだと言う安堵と共に足を踏み込んだ。

 ガチャ!

「な!!」

 前室に入った途端に扉も鍵も締まる。やられた! 罠だった!!

「くそ!! 面倒なことしやがって!!」

 悪態を吐くが、しかしこうなったら仕方ない。オレは前室でリターンポイントの書き換えをする。奴らはオレが死に戻れる事を知らない。
 何度も挑戦して倒せるまでやれば良いだけだ。オレはそう思って扉に手をかけた。

 ******

 もう何度繰り返しただろう。オレは必死の形相で走り回る。絶望的な体格差、何度繰り返しても勝てると言うイメージが湧かない。
 一時は前室に閉じこもってもみた。だが、無駄だった。人が敵う相手じゃなかった!! オレは何度死ねばいい!! 勇者になんてならなければよかった!! 何で! 何で!!

 オレが巨大ゴリラに殺され続けなきゃ行けないんだ!!

245 :進行 :2017/12/31(日) 22:00:36.28 ID:TXaRER73.net
お題『2017年10月〜12月までのお題全て』〆

作品一覧
>>216【出張!可哀想な者倶楽部】
>>219【マジックハンター】
>>225【コズミックショートショート】
>>231【歯車探偵物語】
>>237【マジックハンター その2】
>>243【KURIKAESHI】

246 :進行 :2017/12/31(日) 22:03:02.16 ID:TXaRER73.net
さて、キリもいいし一旦正月休みに入りませんか?
再開は1/4の予定で

247 :この名無しがすごい!:2017/12/31(日) 22:04:38.46 ID:ZV52r+oI.net
後味の悪い作品を最後に持ってきてしまいました
御免なさい

248 :この名無しがすごい!:2018/01/01(月) 10:39:36.46 ID:Gx7D9jXO.net
皆さま明けましておめでとー

>>246
ういっす〜

>>247
ゴリラ消化ありがとワロタ
元旦ばたばた、感想のちのちw

ひとまず新年の挨拶まわりにて失礼

249 :この名無しがすごい!:2018/01/01(月) 11:35:46.35 ID:1rY2lmwz.net
明けましておめでとうございます
今年もお目汚し致しますが、ご容赦下さい
よろしくお願いします

250 :進行 :2018/01/01(月) 11:54:51.81 ID:2AdUguj8.net
皆様明けましておめでとうございます〜
では1/4(木)22:00まで小休止といたします
よきお正月をお過ごしください!

251 :この名無しがすごい!:2018/01/03(水) 20:08:59.94 ID:S7Jd/ww0.net
Cheers to 2018!

>>243
さあ昨年末の大ラスー開幕するは魔獣王ゴリラ戦ww 年越し感ねえな243氏w
物語はリターンポイント能力を持つ勇者を追うぞ〜何だか口の悪い勇者がパーティを何度も全滅させながら城に侵攻〜仲間弱すぎw
って思ってたらオチは主人公が前室にハマる無間地獄〜RPGあるあるボス前セーブで大失敗パターンできたあ〜なるほどこの苦味あるラストを微量ザマァ感で打ち消すための悪態勇者だったか!
作者243氏が、思い出深い難関お題『ゴリラ+死に戻り』をセーブネタで年越しガツンと昇天させて新年だからって気を抜くんじゃねえぞとばかりにビターなオチを決めてくれたあ!!
消化お題は『魔王』『動物』『ゴリラ+死に戻り』『罠』『秘密』『一人称』6個を確認! またお題ゴリラやりたいね

252 :この名無しがすごい!:2018/01/04(木) 22:28:47.40 ID:LYomntLe.net
そろそろあげておこうか

253 :この名無しがすごい!:2018/01/04(木) 22:29:09.45 ID:2kt0g+0I.net
感想有難うございます
他に、物語スキーな錬金術師がアリスやドロシー、ピッピやハイジをホムンクルスで造ろうとする話等も考えたのですが
時間が足りませんでしたorz

254 :進行 :2018/01/04(木) 23:59:51.01 ID:sxS/nWoy.net
あっ…

255 :進行 :2018/01/05(金) 00:00:31.86 ID:kyN21cT3.net
次のお題『>>256‐260』

256 :この名無しがすごい!:2018/01/05(金) 00:02:44.23 ID:qslpcxyJ.net
お疲れ様です! 久しぶりだからねw

大晦日

257 :この名無しがすごい!:2018/01/05(金) 00:03:10.69 ID:9KtUwqdU.net
おいコラw

『新年』

258 :この名無しがすごい!:2018/01/05(金) 02:31:42.89 ID:AXrmJKqR.net
闇金

259 :この名無しがすごい!:2018/01/05(金) 02:36:07.62 ID:cHTCur8F.net
聖なる銀

260 :この名無しがすごい!:2018/01/05(金) 06:44:20.17 ID:cXVfiC0U.net
殺人鬼

261 :進行 :2018/01/05(金) 08:34:55.56 ID:kyN21cT3.net
お題『大晦日』『新年』『闇金』『聖なる銀』『殺人鬼』

締め切りは1月7日 22時です!

262 :進行 :2018/01/05(金) 08:35:12.81 ID:kyN21cT3.net
(*ノ∀`*)てへ

263 :この名無しがすごい!:2018/01/05(金) 23:26:19.18 ID:ENbcNqZA.net
使用お題:『大晦日』『新年』『闇金』『聖なる銀』『殺人鬼』

【ダークストーカーズ】(1/3)


 男はこれ迄にない程焦っていた。その服はあちこち切り裂かれ血に染まっている。
 さらに、首に一筋の傷があり、そこからドクドクと血が流れ出していた。

「畜生! 治りが遅い! ヤツは何をしやがった!!」

 傷口を押さえ、必死に走りながら男が叫ぶ。本来であれば、この程度の傷など何の支障もない筈なのだ。
 だが今、確実に男の生命は削られている。

「クソ!! だいたい何なんだアイツは!!」

 正直な話、男には狙われる心当りがあった。いや、有りすぎた。

 快楽殺人者…………男はそう言われる類の者だったからだ。

 どれ程の人をその手で殺したのか、それは自分でも覚えていない。
 その復讐の為に狙われる事など日常茶飯事であったし、彼に掛けられている賞金目当ての賞金稼ぎもちょくちょく襲って来ていた。

 だが、それらを全て返り討ちにして彼は今、ここにいる。

 そう言った類いの者達も、男にとっては良い獲物だったからだ。
 いや、むしろ向こうから自分の所へ来てくれるのだから“美味しい”獲物と言えた。

 だが、今、彼を追って来ているのは、それら有象無象とは一線を画して居たのだ。

 彼は今、生まれて初めて命の危機を感じていた。

「……あまり、手を焼かせないで下さい。私としても、年が代わる前にはケリを着けたいのですから」

264 :この名無しがすごい!:2018/01/05(金) 23:29:35.01 ID:ENbcNqZA.net
【ダークストーカーズ】(2/3)


 ブワリ……と、男の背に悪寒が走った。後ろから追って来ていた筈の人物が、目の前に居たからだ。
 品の良いチョークストライプのダークスーツを着た痩身の男。
 それが、息も切らさず自分の前に回り込んでいる…………その異常さに、底知れない恐怖を感じた。
 スーツの男の手には、レイピアにも似た細身の剣が握られている。この剣が、自身の身に傷を付けた得物だと確信し、ゴクリと喉を鳴らす。

「あぁ、この剣が気になりますか? そうでしょう、貴方に傷を付けられる武器等、そうそう有りはしないのですから……えぇっと、ハインズさん?」

 その言葉に、ハインズと呼ばれた男はビクリと反応した。当たり前だろう。その言葉が本当であれば、ダークスーツはハインズの名前どころか秘密すら知っていると言う事なのだから。
 そしてそれは、ハインズの方も全力でやらなければ成らないと言う事でもあった。

 ギリリと、奥歯を鳴らす。筋肉が膨張し衣服を弾き飛ばすと、同時に全身に月色の体毛が生え体を覆う。
 鼻面が伸び犬歯が発達し、耳が尖り爪が伸びる。
 その筋肉の収縮で全身の傷が塞がった。

 人狼……闇に祝福された、聖別された銀の武器でしか傷付けられない怪物。

 つまり、彼を傷付けられたと言う時点で、ダークスーツが持つ剣は、聖なる銀で作られた武器と言う事になる。
 そんな物は、普通の人間が用意できる物ではない。

「グ、キサマ、きょうかいノてノものカ?」
「は? 私は只の金貸しですよ?」
「なんダト? なにヲばかナことヲ……」

 思慮外の言葉にハインズが眉根を寄せる。第一、金貸しに狙われる様な覚えもない。

「いえいえ、私の仕事はお金を回収する事です。ハインズさん、貴方から取立てに参りました」
「おれハかねなど!!」
「ええ、ええ、分かっております。ですが貴方の為に取立てが出来なく成ったのですから、その責任は負って貰わないと」
「ばかナ!!」

265 :この名無しがすごい!:2018/01/05(金) 23:32:11.50 ID:ENbcNqZA.net
【ダークストーカーズ】(3/3)


 つまりはハインズが殺した者の中に債務者が居たと言う事だろう。だからと言って、ハインズには代わりに支払うつもりなど起きる筈はなかった。
 そもそもハインズに手持ちの金など無かったし、恐らくスーツの男がハインズの賞金で借金を補填しようとしている事が読めたからだ。

「くそ! ソンナばかナりゆうデやラレテタマルカ!!」
「ふう、大人しく支払っていれば良いものを……」

 人狼の、文字通り人智を超えたスピードで跳躍し、ダークスーツにハインズが迫る。ダークスーツは気追った様子も無くそれを迎え撃った。

 一瞬の交錯。

 ダークスーツの首から上はその場に無かった。
 着地したハインズがニヤリと笑う。

 ボトリと、地面に頭が転がった。

 上下が反転した視界の中「なぜ」と、掠れた呟きが漏れる。その目は驚愕に見開かれていた。

 ダークスーツの男の体がゆらりと動く。

「何故……ね、寧ろどうして有り得ないと思ったのでしょうね」

 口元まで“再生”を果たした顔がそう言った。

 吸血鬼……闇の祝福を受けた者の頂点。ダークスーツの金貸しはそれだった。

「貴方だって、人の世に紛れていたのに」

 ゴーン、ゴーンと新年を告げる鐘が鳴る。闇に祝福された金貸しは、人狼の頭を鷲摑みにすると街の闇へと消えて行った。

266 :この名無しがすごい!:2018/01/05(金) 23:35:21.09 ID:ENbcNqZA.net
新年一発目からダークな話ですみません
“鷲掴み”が文字化けをしてしまいました
何故でしょうorz

267 :この名無しがすごい!:2018/01/06(土) 08:48:00.73 ID:TAn6pNak.net
>>263
冬眠から覚めた短編スレにやってきた新春一番、ダークストーカーズ・デュエル!
戻ってきたお題5〜ルールは簡単5つのお題から使用お題をチョイスして作品を仕立て上げる〜年明け早々『闇金』とか『殺人鬼』とか誰書いたw
物語は『大晦日』に急襲される男を追っていく〜傷つけられぬ筈の身体に奇妙な残痕、『聖なる銀』の武器に追い詰められた狂気の『殺人鬼』人狼が姿を現す! 迫力描写うめえ!
アクションの名手263氏が首のすっ飛び描写を誤読させ、闇の住人の殺し合いは『闇金』吸血鬼に軍配を上げて『新年』が明けていった〜
まあなぜ吸血鬼が闇金なのかという些細な疑問はあるがw 支離滅裂なお題フルチャレンジは艶やかに達されたあ! 祝!

268 :この名無しがすごい!:2018/01/06(土) 13:49:54.00 ID:mZOrlseh.net
いつも楽しい感想、有難うございます
闇に紛れて生きる怪物達と言うイメージです
闇金をどうするか悩んだ末にこうなりましたw

269 :この名無しがすごい!:2018/01/07(日) 01:36:35.05 ID:kkyqxpLx.net
使用お題:『大晦日』『新年』『闇金』『聖なる銀』『殺人鬼』

【年越しの夜】(1/3)


 カラカラとルーレットを回し、コマを先に進める。

「イベントマスか……嫌な予感しかしないけど」

 そう言って、手元のイベントシートの指定されたイベントを読む。

「……ぐわ!!」
「え? 何? 何が書いてあったのぉ?」

 イベント内容は『闇金から借金、今後、自分の回に成る度に利子を払わなければならない』と言う物。一時的には資産は増えるが、この後は毎回利子分を払い続けなくてはいけなくなった。

「くふっ、くふふふふ! 闇金になんかお金を借りるから」
「自分の意志じゃねーよ!!」
「おにぃドンマイ!」

 新年を控えた大晦日の夜。普段は夜遅くまで起きている事の無い子供達も、この日ばかりは年明けまで起きている。

 ご近所で、親同士も仲の良い宮内 博子と大川 小凪、大森 勇也とその妹の優衣は、時間つぶしも兼ねて双六をやっていた。
 父親同士は酒盛りで盛り上がり、母親達は紅白を見ながら黄色い声を上げている為、TVゲームをすると言う訳にも行かず、かと言って携帯ゲームでは全員一緒にゲームが出来なかったからだ。
 因みに小凪には兄と姉とが居るのだが、兄はイベントで街の方へ行っており、姉はクラスメイトと二年参りをするとかで今日は来ていなかった。

 当然の様にハカセこと博子が……

「くふっ、くふふふふ! こんな事も有ろうかと!!」
「却下!」
「何故に!!」

 自作のゲームを作って来ていたのだが、それは勇也に却下されていた。

270 :この名無しがすごい!:2018/01/07(日) 01:40:07.12 ID:kkyqxpLx.net
【年越しの夜】(2/3)


 カラカラ……

「あ、ボクもイベントだよ! おにぃと一緒だ!!」

 そう言ってイベントシートに目を通した優衣の顔がクシャリと歪む。

「? どうした?」
「おにぃ……おにぃが死んじゃったぁ!!」
「は?」
「えーと、どれどれ?」

 勇也に縋り付いて泣き始めた優衣の代わりに、博子がイベントシートを読む。

「『殺人鬼に家族が殺され、皆から香典をもらう+3000』くふっ、成程、くふふふふ!」
「いや! これ、俺限定じゃないよね?」
「だ、大丈夫だよ? 優衣ちゃん! お兄ちゃん死んで無いからね? ウソっこだからね?」

 小凪にそう言われ、ぐすぐすと鼻を鳴らしていた優衣が顔を上げる。

「本当?」
「あ、うん、ほら、ちゃんと生きてるだろう?」
「じゃぁ、誰が死んじゃったの?」
「……えーと、親父?」
「……なら良いや」

 とばっちりで父親が殺されたが優衣は泣き止んだ。

 ******

「ぐわ! 聖なる銀のアミュレットを30万で買わされたぁ!!」
「ハカセぇ、資産がマイナスに成っちゃったよ?」
「よーし、これでハカセは強制収容所送りぃ!!」
「ぐぬぬ! ゴール間際で強制収容所……逆転の目が無いじゃない!!」
「ふっふー、ボクが一番だ!」

 双六は順調に進み、全員がゴール間近となる。今の所トップが優衣。このままいけばビリは博子だろう。

271 :この名無しがすごい!:2018/01/07(日) 01:42:46.90 ID:kkyqxpLx.net
【年越しの夜】(3/3)


「あなた達〜。そろそろ年越しそば茹でるから降りてきなさ〜い」
「「「「は〜い!」」」」
「……おばさんが呼んでるからここまでと言う事で」
「はっはっは、何を言っているのかな? ハカセくん。もう少しで終わりなんだから最後までやらないと」
「おにぃの言う通りだよ! ボクが一番になるんだからね!」
「ぐぬぬ……」

 大森兄妹が結託し敵に回った為、救いを求め小凪に目配せをする。だが、彼女は困った様に苦笑するだけで援護はしてくれなかった。

「ぐぬう」

 どうにか有耶無耶に出来ないかと博子が知恵を巡らしていたその時……

 ドオオオオオォォォォォォォン!!!!

 三人が一斉に博子の方を見る。

「ちゃ、ちゃうわい!!」

 発明品の爆発は博子の専売特許ではあるが、流石に今の爆発は身に覚えがない。博子はブンブンと首を振った。

「じゃあ、誰が爆発なんてさせるんだよ!」
「ちゃ、ちゃうもん!!」
「ハカセ姉ぇ?」
「ねぇゆうくん、ハカセもここに居るんだから関係ないんじゃぁ?」
「いや、でも小凪……」

 子供達がそんな事を話していると、家の玄関がガラガラと開かれる音がする。どうやら親達が外へ様子見に出たらしい。

『おい! 何の爆発だ?』
『あー、家の方ですね……ああ、だったら大丈夫だ』
『何がですか? 宮内さん』
『たぶん、僕の作ったセキュリティー“セキュリオンMK-3”の自動攻撃システムですから』
『お、おい。大丈夫なのか?』
『はっはっは、最近は爆発なんかさせてないでしょ? 大丈夫大丈夫』
『……まぁ、昔ほど爆発はしてないみたいですけど……空き巣ですかね?』
『まぁ、朝に成ったらわかるか……じゃぁ、飲み直しましょう!!』

「「「「……」」」」

 ゴ〜〜〜〜〜ン……

 新年の鐘が鳴る。勇也は(今年も色々ありそうだ)と、盤面がぐちゃぐちゃになった双六を見ながらそう思った。

272 :この名無しがすごい!:2018/01/07(日) 09:15:31.80 ID:c24yRAH2.net
>>269
待ってたぜェ!! この瞬間をよぉ!! 愛すべきあいつらより新年のご挨拶〜お題は全使用! 興じるは年越し人生ゲーム〜
さあ名シリーズ、大森 勇也と愉快な仲間たち、舞台は『大晦日』の夜、例のやつらが集まって大騒ぎの年またぎ!
ゲームは親父がささっと殺されて進んでいく〜しかし闇金とか殺人鬼とか……コレ子どもにやらせるゲームじゃねえぞ!
『聖なる銀』のアミュレットを買わされて強制収容所へぶち込まれたハカセの父が、オチでセキュリオンMK-3による自動攻撃システムを発動〜何それw
「だったら大丈夫だ」←何が大丈夫だよ大晦日に空き巣が居るかよ絶対爆発してんだろうw いつもどおりの先行き不安、新年初笑いで幕引きだ〜!! 人生ゲームでお題を消化するとかいう作者269氏の反則的発想を見よ、全消化に違和感ナシだぜ!
さあノリにノって弾けるシリーズ、キャラも個性派揃いでどこまでも拡張できそう、次は小冒険編にしてオチも挟みつつ連作したりとか(期待の眼差し

273 :この名無しがすごい!:2018/01/07(日) 12:39:44.70 ID:kkyqxpLx.net
いつも感想有難うございます
短編連作も、出来ればやってみたい所です
自分の力量が許すならではありますが……
これからも精進して、精度を上げて行きたいと思います

274 :進行 :2018/01/07(日) 22:00:43.21 ID:7Wu8isUw.net
お題『大晦日』『新年』『闇金』『聖なる銀』『殺人鬼』〆

作品一覧
>>263【ダークストーカーズ】
>>269【年越しの夜】

275 :進行 :2018/01/07(日) 22:01:14.25 ID:7Wu8isUw.net
次のお題『>>276‐280』

276 :この名無しがすごい!:2018/01/07(日) 22:05:19.77 ID:jiuI8jdx.net
キス

277 :この名無しがすごい!:2018/01/07(日) 22:05:43.20 ID:s4QjIsQB.net
オーロラ

278 :この名無しがすごい!:2018/01/07(日) 22:06:14.70 ID:esG+0fDC.net
初夢

279 :この名無しがすごい!:2018/01/08(月) 00:03:08.32 ID:PFnpCgBk.net
正月

280 :この名無しがすごい!:2018/01/08(月) 00:11:53.23 ID:FivxlRDL.net
カズオイシグロ

281 :この名無しがすごい!:2018/01/08(月) 00:13:24.04 ID:6e/hUcqT.net
難易度爆上げワロタw

282 :進行 :2018/01/08(月) 00:30:38.42 ID:UcrkrCK/.net
お題『キス』『オーロラ』『初夢』『正月』『カズオイシグロ』

締め切りは1月11日 22時です!

283 :この名無しがすごい!:2018/01/08(月) 13:00:27.93 ID:5oTFMdpo.net
使用お題:『キス』『オーロラ』『初夢』『正月』『カズオイシグロ』

【泡沫】


(あぁ……夢か)

 そこに立つ自身を見て、俺はそう思った。
 年が明け、初めて見る夢が明晰夢な上、こんな回想じみた物である事に苦笑する。
 場所はカナダの北部で、確かオーロラ見学ツアーだったはず。その証拠……と、言う訳でもないが、自分の頭上には赤色に近いオーロラが輝いている。

 もっとも、だからこそ夢だと気が付いたのだが……

 アイツと一緒に参加したツアーでは、結局オーロラなど見る事はなかった。
 なら、これは願望なのだろうか? 自身ではどうする事も出来なかった過去に対する……

「ねぇ! 凄いわよね!! こんなの日本じゃ見れないわ!!」
「いや、確か日本でも観測したって記録があったはずだ」
「そうなの?」
「ああ、北海道と、新潟だったかな?」

 キラキラとした瞳で俺を見るアイツ。他のツアー客のカップルが感極まって口付けを交わす中、照れ臭くて肩を寄せる事しか出来ないのが、自分らしいと苦笑するしかない。
 どうせ夢なのだから、情熱的なキスくらいしてやれば良いのに……

 ******

 ピッピッピッピと電子音が響く。

(あぁ、やっぱり夢だったか)

 規則正しい電子音と自らの呼吸音、薄らぼんやりとした視界が、否応なしに自分の現実を突き付ける。
 様々な管に繋がれたこの体が、自由に動かせたのは、いつの事だったか。

(悔恨……なのかもしれない)

 結局、アイツとの最期の旅行となったオーロラ見学ツアーを楽しかった想い出としたかったのだろう。
 自身の行く末が決まってから、美化された過去を思い返すなど、まるでカズオイシグロの小説の様じゃないか。
 だか、それも良いかれない。

「何言ってんの? そんなこと無かったでしょ?」

 そんな風にアイツに言われるのも悪くないと思える。
 ああ、そう考えれば、まだ先に楽しみもある。
 なあ、色々と話したいことが沢山でき……

  ピ──────

284 :この名無しがすごい!:2018/01/08(月) 19:38:10.44 ID:DIBheAZt.net
使用お題:『キス』『オーロラ』『初夢』『正月』『カズオイシグロ』
【ダメ男と彼女の正月】(1/3)

ああ、今年が始まる。
正月の、めでたい朝だというのに、俺の気分は暗い。
布団から出ないように体を起して、時計を確認するが、もう昼だ。でも、まだ眠い。冷たい外気が入ってこないように、布団にくるまりなおしてまた目を閉じる。
そもそも、起きる気がしないのだ。初夢が良くなかった。寝なおして、良い夢を見たら上書きされないだろうか? 俺はぎゅっと目を閉じて、また夢を見ようとする。
どうか、今年こそは。今年こそは、俺の小説が売れてくれますように。

「……ちょっと、まだ寝てるの? いい加減、起きたらどうなの?」
冷たい声に、うとうとしていた眠りから俺は目覚めた。
目を開けて見上げると、恋人が、まるでダメな人間を見下ろすかのような表情をしていた。
「……あー、だるい」
「もう、夕方だよ。全く、正月だっていうのに、どんだけ寝てるのよ……」
のそのそと起き上がって彼女を見ると、コンビニの袋を片手に持っていて、ちゃぶ台にそれらを置くところだった。
「どっか行ってたの?」
「実家に顔見せに行ってた。正月だからね……朝からずっと寝てたの? ああもう、折角作り置きしたのが無駄になっちゃった」
「お腹すいたし、それ食べていい?」
「夕飯食べられなくなるでしょ?」
「夕飯も食べる。みーちゃんの作るご飯はおいしいから、いくらでも食べられるよ」
「まったく、寝て食ってばっか。ほんとにダメ人間なんだから……」
彼女は溜息をつきながら俺を見るが、その顔にしょうがないなあという笑みが混じって見えるのは、彼女がダメ人間好きだからである。

285 :この名無しがすごい!:2018/01/08(月) 19:41:05.98 ID:DIBheAZt.net
【ダメ男と彼女の正月】(2/3)
彼女がご飯をレンジで温めてくれる間に、俺は彼女が持ってきたコンビニの袋をガサガサと漁る。お菓子があったので、勝手に開けてほうばる。
「はー、小説のネタ考えないとなー」
小説家と言う職業は、年中無休だから辛い。なんて、俺の場合は年中無給だから辛いのだが。
「売れてる小説家が恵まれない俺に金くれないかなー」
コンビニ袋をしつこく漁っていると、中からノーベル賞が出てきた。
「カズオーイシグ↑ロ↓ー!」
俺はそれを勢いよく部屋の隅っこに放り投げた。
「俺はノーベル賞を投げた男だぜ!」
「なに馬鹿なことしてんの!」
「あいてっ!」
後ろから頭を殴られた。
「あー! 何でお菓子食べてるのよ!」
お皿をちゃぶ台に乱暴に置いてから、彼女は勢いよく俺を睨んだ。
「もう! ご飯食べられなくなるでしょ!」
「食べるよ食べる。俺がみーちゃんの作ったご飯を残すはずないだろ?」
「もう……」
「昔母さんにも同じようなこと怒られたけどさ、今まで一度もご飯残したことないんだぜ」
「馬鹿!」
みーちゃんはぷんぷんと怒って台所に戻って行った。
「頂きます」
俺は、明日はちゃんと外に出て運動しなきゃと思うのだった。

流石に夕飯まで食べ終えると、俺は腹が膨れて動けなくなった。
だから、彼女と一緒に名作映画をまったりしながら鑑賞した。
「いいよな。オーロラの彼方」
「ねー。私この映画好きなんだぁ」
彼女は俺の肩に頭をのせながら、いつもより甘ったるい声を出した。目の前の酒が原因で、少し酔っているのだ。
「今夜はやれそうだな……」
「そういうこと、普通声に出す?」
頬を思いっきりつねられた。
「ごへんごへん」
「そういうところ、嫌い」
「俺はみーちゃんのいろんなところが好きだよ」
「もー、セクハラー」
「割とガチで内面の話だったんだけど……」

286 :この名無しがすごい!:2018/01/08(月) 19:43:59.38 ID:DIBheAZt.net
【ダメ男と彼女の正月】(3/3)
そんな風にイチャイチャしてると映画はいつの間にか終わっていた。それはともかく、俺達は酒をすすめながらまだイチャイチャと喋り続けた。
「もし子供の頃のみーちゃんに交信出来たら、セクハラしてーなあ」
「そんなことばっか考えてるんだもんなー」
「あ、これは次の小説のネタに使えるな」
「パクリじゃーん」
つまみを食べながら、どんどんと酒がすすみ酔いがまわっていく。
「パクリでも売れてーよー」
「私は、たかしの小説好きだよ。そこそこ」
「そんな事言って、カズオイシグロの方が好きなんだろー」
「まだ読んでないからわかんなーい」
「オーロラの彼方の方が好きなんだ……うう……」
「ああ、もうほら、泣かないでよぉ。ほら、ちゅー。ちゅー」
そうやって遊びでやってたら熱が入り、俺達は布団に場所を移した。
「ああ、これが昨日だったら、嫌な初夢なんて見てなかったのに……」
「嫌な夢を見たの?」
「うん。売れなくて、ヒモ生活を続ける夢」
「現実通りだね」
「俺はもう嫌なんだよぉ。ちゃんと金稼いで、結婚したいのに。初夢がこれなんて……」
「あ、でも、違うよ?」
彼女の甘い声で耳元に囁かれる。
「初夢って、本当はこれから見る夢のことなんだよ。正月から二日にかけた夜」
「ああ、なんだ……。良かった。あれは初夢じゃなかったんだ」
「どうする? ちゃんと初夢見る?」
「いーや。どうせ嫌な夢を見るだけさ」
「ネガティブ思考」
クスクスと笑いながら、彼女は俺をじっとみつめる。
「じゃあせめて、夢見心地にさせてあげる」
そう言って、彼女は俺にキスをした。

287 :この名無しがすごい!:2018/01/08(月) 20:48:57.42 ID:5oTFMdpo.net
>>284
相性の良い二人で羨ましいですね
お互いがお互いを必要とする様な関係、良いと思います
たかしさんの小説を読んでみたいです

288 :この名無しがすごい!:2018/01/09(火) 11:51:37.13 ID:nDk0fupl.net
>>283
新年早々スレ民の暴投によって生まれたキラーお題、『カズオイシグロ』w コイツを取り込みフルチャレンジするは、涙の明晰夢〜
語り手が自覚する『正月』『初夢』! 『オーロラ』の下で、幻となった『キス』が交わされる〜
響く電子音は目覚ましではなく病室のベッドサイドモニター、この摩り替えはオチに使いたいほどうまいなw 物語は憂鬱モードへと暗転し、こんなのまるで『カズオイシグロ』だと暗然たる雰囲気を纏う〜心迫る描写でお題を綺麗に消化!
ん、え、話したいことが沢山?? ってことは、二人は別れたわけじゃなく、まさかコレ彼女さんツアーで死んでるんか!? でも死んでないとすると唐突なENDだし!?
題目クリアは違和感ナシ! だが、これは解釈次第で評価の分かれる一品か〜俺は「何言ってんの? そんなこと無かったでしょ?」が死後の会話を予期したものだと解釈してうわ美品じゃんと思ったが〜どうなの283氏!?

>>284
キラーお題で火が点いたかスレ住人が貪欲に全お題使用を選択していくぞ〜ダメ小説家のラブストーリーが開幕だあ!
ヒモ生活を続ける完全なるダメ人間こと俺君が尽くし系彼女に飼われておる〜、おい作者の願望かこれw
小説好きの彼女が難題『カズオイシグロ』をパパッと料理し(こんなの最高じゃん)、物語は淡々としながらも心地よいダラケムードに満ちていく〜
『オーロラ』を映画で消化、でもどう落とすのかと思っていたらラスト! なあにが「夢見心地にさせてあげる」だw 何がw 作者284氏がスナイパーの様に狙い澄ましたラブオチは、まったりムードを「ここからは18禁なので見せられませんエンド」に繋げていったァw
ラストは『初夢』『キス』の二重掛け! お題消化は違和感ナシ! 男の願望が多々入っている気もするけど、はい正直このオチは良いですね〜

289 :この名無しがすごい!:2018/01/09(火) 12:25:48.12 ID:YiQJ2C0h.net
いつも感想有難うございます
ご想像通り亡くなっています
具体的には飛行機が……
本人もその時にと言う感じです
カズオイシグロの小説については個人的な感想なので、異論もあるかと思います

290 :この名無しがすごい!:2018/01/09(火) 13:25:32.92 ID:nDk0fupl.net
やっぱり亡くなってるんだ
短いながら雰囲気あると思うよ

291 :この名無しがすごい!:2018/01/09(火) 22:03:51.50 ID:ks/DOmSf.net
おお、感想ありがとうございます
映画の題名でお題消化は汚かったかな……タイトルちょっと間違えてるし
ていうかたかしはないですねたかしは

292 :この名無しがすごい!:2018/01/10(水) 16:32:49.98 ID:Wth6247c.net
たかしw

293 :この名無しがすごい!:2018/01/10(水) 23:00:22.32 ID:8tgIkLrj.net
使用お題:『オーロラ』『初夢』『正月』『カズオイシグロ』

【お楽しみ会ドリーム】(1/3)


「ぎゃあぁぁぁ!!」

 紫色の鎧が吹き飛び白い肌をさらけ出す。3夢将、序列3位の紫将ナースは吹き飛ばされたまま壁へと激突し気を失った。

「ふむ、やるでは無いか、ナースは3夢将の中でも最弱とは言え、並みの戦士ではまともに戦う事も厳しいと言うのに」

 大西 勉はナースによって傷つけられた頬の血を拭うと、呼吸を整え眼前に残る3夢将の二人を睨む。序列1位の富岳将フジィは、自らの玉座で勉を見下した様な視線で眺めながら頬杖をついていた。

「フッ、この3夢将、序列2位、翼将タッカー、ナース如きと同じだと思わぬ事だ!!」

 そう言って、タッカーがマントをなびかせ宙を舞った。

294 :この名無しがすごい!:2018/01/10(水) 23:03:19.97 ID:8tgIkLrj.net
【お楽しみ会ドリーム】(2/3)


 ******

「って言う初夢を見た」
「お、おう……そ、そうか」
「凄いねぇ! 勉くん、縁起が良いんだよぉ!!」
「一富士二鷹三茄子?」

 どう反応したら良いか分からず、困惑する大森 勇也とは裏腹に、大川 小凪は素直に賛辞を述べる。どちらかと言えば勇也よりなのか、笹川 美亜も首を傾げていた。
 年を明けての三日、子供達はお楽しみ会で学校に集まっていた。
 学校行事とは言え、児童が集まってお菓子を食べながら、カルタやトランプ、双六などをするだけのリクレーションでしかない。
 遊び道具は皆で持ち寄るのだが、流石にTVゲームやそれに類する物、キャラクター玩具などは禁止の為、昔懐かしの遊具が並ぶ事に成る。

「返答に困る話ですね……想定外……と言う程ではありませんが」

 文庫本をパタリと閉じて加賀 清がそう言った。そんな清を勇也はジト目で見る。

「お前、この期に及んで持って来てるのが本だけとかさぁ」
「……面白いですよ?」

 そう言って、持ってきた中の一冊を勇也に手渡した。

「カズオイシグロ?」
「知りませんか? ノーベル賞作家の……それはブッカー賞作品ですが」

 渡された本をパラパラとめくる。

「文字が小さい」
「清ぃ、挿絵が無いぞ?」
「君達ね……まぁ、想定内ですが」

 清がため息を吐く。

「くふっ、くふふふふ! 底が浅いわね、勇也!!」
「……なら、お前は読んだのかよ」
「…………映画なら見たわ」
「一緒に見に行ったよねぇ、ハカセぇ」

 視線を逸らしたハカセこと宮内 博子をフーンと言う視線で見ていたが、すぐに勇也はニヤリと笑うと博子に訊ねた。

「なぁハカセ? 今日はお得意の発明品は無いのかぁ?」
「ぐぬう!」

 それを聞き、博子は悔しそうに表情を歪める。『ノー発明、ノーライフ』が座右の銘の博子である。当然の様に遊具を作って来ていた。
 だがその遊具の尽くは、登校早々、担任に全没収されていたのだ。

「あ、あんただって趣旨と外れた物じゃないの!?」
「残念でした。俺はちゃんと『TVゲームでもキャラクター玩具でもない、皆で遊べる遊具』だ」
「ん、肯定」
「美亜!? お前もか!!」

 そう言う二人の手に握られているのはトレーディングカードゲーム。ある意味で趣旨と外れてはいない。
 基本、1対1でのゲームではあるが、愛好者が多い事も有って“みんな”で遊べる遊具ではあった。
 勇也は、お年玉で買った新ブースターを使ってデッキを組み終えると、同じ様にデッキを取り出した美亜と対峙する。

「さて、今日こそ勝たせてもらうぞ美亜ぁ!!」
「笑止」
「「デッキセット、レディ!」」

295 :この名無しがすごい!:2018/01/10(水) 23:05:57.70 ID:8tgIkLrj.net
【お楽しみ会ドリーム】(3/3)


 二人の掛け声に合わせ、いつの間にか集まっていた下級生達が「ゴー!!」と唱和する。博子は(えぇぇ、何このノリ)と、口元を引くつかせた。

 ******

「おおお俺のレアカード、『極光のオーロラナイト』ォォォォ」
「ふむ、このデッキ『オーロラエクストリーム』と名付ける」

 白鳥座なポーズで、勝負に勝った美亜が勇也からアンティを受け取り、それを早速デッキに組み入れた。

「バッカじゃないの?」
「うるさい! 真剣勝負だったんだ! ぐあ!! でも、俺のオーロラナイトォォォォ!!」
「ユウちゃ〜ん、今度、一緒に買いに行こう? ね?」

 二人の対戦の後、勉と下級生達がアンティ無しでゲームをする横で、崩れ落ちる勇也に小凪がそう声をかける。

「自業自得なんだから、放っときなさいよ」
「え〜、でも、ハカセぇ」

 何と無く気に入らず、ハカセが突き放す発言をし、小凪が困った様な表情をする。
 と、その直後の事だった。対戦を見ていたギャラリーからワっと歓声が上がる。

「え? 何?」
「ん、ワンターンキルだった。勉、無残」

 下級生に負け、呆然とする勉。

「お、おい、勉、1ターンでやられたからって気を落とすなよ」
「……一富士二鷹三茄子……」
「は?」

 初夢の事かと勇也が首を傾げる。

「ん、逆夢」

 相手のデッキは、一富士二鷹三茄子に因んだ“初夢デッキ”だったのだ。

296 :この名無しがすごい!:2018/01/11(木) 08:48:15.43 ID:6Dy3k2FR.net
>>293
さあ〜やってきましたヤツらの正月! 選択お題は『オーロラ』『初夢』『正月』『カズオイシグロ』、初夢インザNew Year!
近年モニターゲームでしか遊ばないと嘆かれる子供たちを矯正してやるとばかり、例のお子様らの集いが始まった〜3夢将ww 大西君の脳内ムチャクチャじゃないか
って思ってたら『カズオイシグロ』をお楽しみ会に持ち込んで「面白いですよ」←これ清もムチャクチャだな……さあ小凪のイチャつきにハカセが嫉妬を滲ませ微ハーレムノリの物語は、
カード最強、美亜の猛威を描きつつ、オチで富士、鷹、茄子によるお題『初夢』を使い尽くしたデッキENDへと収束だw 1ターン瞬殺ワロタ
作中『オーロラ』をゲーム内単語で唐突に消化するとかいう反則技wがあったものの、大きな違和感は持たせないスラップスティックなノリに目が離せない〜各キャラに見せ場を作って華麗に回していく名シリーズ、ドタバタ感が抜群だあ!!

297 :この名無しがすごい!:2018/01/11(木) 12:17:36.36 ID:AkTmebdI.net
感想をいつも有難うございます
一番最初に思い付いたのは白鳥座のポーズをする美亜だったりしますw
因みに、お楽しみ会は、自分が子供の時あったイベントです

298 :この名無しがすごい!:2018/01/11(木) 17:54:40.67 ID:rNomOg/H.net
【吉兆】(1/2)
『オーロラ』『初夢』『正月』『カズオイシグロ』

 気がつくと私は、境界線のぼやけたあやふやな世界に立っていた。なんだか温かくて、どこか優しい世界。
 目の前には子どもがいた。何かモヤのようなものに覆われていて、顔がよく見えない。その子は私の視線に気がつくと、嬉しそうに微笑んだ。

 それを見ると私まで楽しい気分になってきて、思わずその子に手を伸ばす。
 しかしその子は私の手をひょいと避けると、こちらに背を向けて走り出した。そして少し離れた所で立ち止まると、振り返ってこう言った。

『ここまできてよ! つかまえてみて!』

 私の体はその言葉に導かれるように、自然と子どもを追いかけていた。

 あれ。そう言えば私は何故分かったのだろうか。
 顔が見えないのに、子どもが微笑んだなんて。





 私はゆっくりと瞼を開いた。休止していた脳が少しずつと動き始める。

「あぁ、夢か……。いつの間にか寝ちゃってたのか」

 分厚い寝袋のジッパーを下ろして、薄暗い室内で体を起こす。

「良い夢……だったな」

 呟いて、夢の中とはずいぶん違う現実に目を向ける。寒々しくひび割れた床に、散乱したコンクリートの破片。割れた窓ガラスを通して見る外の風景は、瓦礫の山で埋まっていた。
 すぐ近くには焚き火の跡があり、その横には愛用している大きなリュックが置いてある。
 そうだった。思い出した。一人旅の途中に珍しく屋根が残ってる建物を発見して、そこで寝ることにしたのだ。

 久しぶりに快適な環境で眠ることができた。おかげで体が軽い。
 私は一つ伸びをすると、手早く寝袋を畳んでリュックに詰めた。さぁ、先を急ごう。

 ガラスのない窓から、リュックを外に放り投げる。そしてその後を追うようにして、瓦礫の上に降り立つ。肌を刺すような冷気に、ふぅと吐き出した息が白く凍りつく。
 空を見上げると、いつものように綺麗なオーロラが揺らめいている。

299 :この名無しがすごい!:2018/01/11(木) 17:55:43.46 ID:rNomOg/H.net
【吉兆】(2/2)

 いざ出発、というところで、あるものを発見した。

「お、ラッキー。本だ」

 瓦礫の隙間に埋まるようにして、一冊の本が砂を被っていた。周りの瓦礫がうまいこと雨風を凌いでくれたらしく、新品同然と言えるほどに状態が良い。もっとも、新品の本がどういう状態なのかは全く知らないのだが。

 私は本が好きだ。本は色々なことを教えてくれる。
 昔大きな戦争があったこと。そのせいで地球から冬以外の季節が消えてしまったこと。昔の日本にはオーロラがなかったこと。

 全て本が教えてくれた。
 
 私は瓦礫の隙間に手を差し込み、本を拾った。表面を払って砂を落とし、タイトルを確認する。カズオイシグロ著の、『わたしを離さないで』という本。
 そのタイトルは、今朝見た夢を思い出させるものだった。思わず頬が緩む。あれは本当に良い夢だった。

 私は良い気分のままリュックを開け、拾った本をその中に仕舞おうとする。その時、中に入っていた亡き父の遺品が偶然目に付いた。『時計』という、時間と日付を表示するだけの小さな機械だ。それによると、今の時刻は午前六時十五分、日にちは一月二日であるらしい。

 旅をしていると日付の感覚がなくなってしまう。どうやら気がつかないうちに、年を越して正月になっていたようだ。

「ということは、今朝のあれは初夢だったのか」

 これも本で知ったことだが、昔の日本では初夢で見ると縁起が良いものとして、『一富士、二鷹、三茄子』というものが言われていたらしい。
 ということは昔の日本人からすると、それらが出てこなかった私の初夢は特別縁起が良いものではないのだろう。
 しかし、私にとってはこれ以上ないほど縁起が良いと言える。

 なんたって、夢に『人』が出てきた。

「うん。今年は良い年になりそう」

 私はリュックを背負い、もう一度空を仰いだ。
 相変わらず空いっぱいにゆらめくオーロラを、一心に見つめる。

 壊れた地球の証明だからと父はオーロラを嫌っていたが、実を言うと私はそんなに嫌いではない。

「まだどこかに居るといいな。私以外の人類」

 私は努めて明るく声を出し、再び歩き始めた。

300 :この名無しがすごい!:2018/01/11(木) 19:42:51.04 ID:AkTmebdI.net
>>298
終末1人旅と言った雰囲気ですね
今までどんな旅をしてきたか、これからどんな旅をするのか見たくなります

301 :進行 :2018/01/11(木) 22:00:05.84 ID:QjdjO4Zt.net
お題『キス』『オーロラ』『初夢』『正月』『カズオイシグロ』〆

作品一覧
>>283【泡沫】
>>284【ダメ男と彼女の正月】
>>293【お楽しみ会ドリーム】
>>298【吉兆】

302 :進行 :2018/01/11(木) 22:00:43.76 ID:QjdjO4Zt.net
次のお題『>>303‐307』

303 :この名無しがすごい!:2018/01/11(木) 22:02:23.49 ID:aK3Gw8Mo.net
鬼怒川温泉

304 :この名無しがすごい!:2018/01/11(木) 22:04:09.05 ID:2KVMp43o.net
おっぱい

305 :この名無しがすごい!:2018/01/11(木) 22:06:40.09 ID:bvdmupWo.net
誰かが何かを発表する

306 :この名無しがすごい!:2018/01/11(木) 22:08:37.25 ID:Lj8XKSxs.net
セクハラ

307 :この名無しがすごい!:2018/01/11(木) 22:21:13.06 ID:7QQ99m5M.net
犯人はヤス

308 :進行 :2018/01/11(木) 22:50:40.02 ID:QjdjO4Zt.net
お題『鬼怒川温泉』『おっぱい』『誰かが何かを発表する』『セクハラ』『犯人はヤス』

締め切りは1月14日 22時です!

309 :この名無しがすごい!:2018/01/12(金) 08:46:02.51 ID:jwBzUtsL.net
>>298
さあ前回お題『オーロラ』『初夢』『正月』『カズオイシグロ』にチャレンジだ、オーロラの黙示録〜
ストーリーは象徴的な『初夢』で幕を切る〜夢の中で微笑みかける子供の笑顔が謎めきながらも優しいぞ
終焉を思わせる廃墟的世界で『オーロラ』を消化、おおっとやや唐突な『カズオイシグロ』出現か、と思いきや「私を離さないで」に因縁を付けて後処理w これは妙手! 298氏が丁寧にお題を消化しきったぞ〜
ラスト、時間の感覚すら忘失されたひっそりとした『正月』を彩るは戦乱のもたらした遺恨、オーロラ〜幻惑的な空が主人公の心をかたどり、父親の言葉へ逆らうように語られるは希望だァ!
瓦礫に埋もれ朽ちる世界、夢が見せるは自身の幼少、あるいはまだ見ぬ巡り合いの吉兆か、静かな余韻の中に幼い希望の萌芽を角ぐませ、物語は立ち上がるようにEND!!

310 :進行 :2018/01/12(金) 08:50:31.74 ID:IiDmVS8w.net
あ、お題おっぱいとはいえダイレクトな性描写は控えてくださいね!

311 :この名無しがすごい!:2018/01/12(金) 16:23:02.23 ID:so5jO6dD.net
なろうに投稿できるものにしないとね!

312 :この名無しがすごい!:2018/01/13(土) 16:57:14.56 ID:jKLkqjc6.net
【ただ、おっぱいを揉みたかった】(1/3)
『鬼怒川温泉』『おっぱい』『誰かが何かを発表する』『セクハラ』『犯人はヤス』

鬼怒川温泉は、栃木県日光市の鬼怒川上流域にある温泉。 かつては箱根や熱海と並んで「東京の奥座敷」と呼ばれ、現在でも年間200万人以上の観光客で賑わう。
ほかほかの湯気が立ちこめるそんな最高の温泉に、今は二人の客が浸かっていた。

「おっぱい揉みたいなあ……」
祐二は温泉につかりながら、手をわきわきとさせた。
「なんで俺はおっぱいを揉めないんだろう?」
祐二はじっと手をみつめて、ずっと何もない空気を揉みしだいている。やがて虚しくなったのか、連れに向かって情けなく声を上げた。
「なあ、おっぱい揉んだことある?」
「ない」
そっけない返事だった。祐二の方を見もしない。
準は祐二に背中を向けて、鬼怒川温泉から見える景色を一心に眺めていた。
「もうちょっと話にのってくれてもよくね? 折角の卒業旅行だぞ? しかも男二人ときたもんだ」
「近寄るな」
「冷たいねえ。無理に温泉に連れ込んだのは悪かったけどよ」
か細く溜息をついて、祐二は湯に肩までつかった。
「そこから見える景色は綺麗か?」
「綺麗だよ。鬼怒川温泉から見える景色はとても綺麗だ」
「さすがは鬼怒川温泉だな。鬼怒川温泉に来てよかったな……」
祐二は嘆息しながら、夜空を見上げる。そして唇をアヒルのように尖らせる。
「……ま、男二人だけどな」
「不満なら来なければ良かっただろ」
「不満なんてねーよ。お前は俺の生涯の親友だからな」
「そうかい」
「ただ、こうして大学生活を終えて、なぜ一人の彼女もできなかったのかと鬱になっていたのさ」
祐二は切なげに自分の二の腕をつまんだ。
「知ってるか? 二の腕はおっぱいの感触なんだぜ?」
「どうでもいいわ」
「そうだな。どうでもいいよな。こんなのは本物のおっぱいじゃない」
「……」
「女の子のおっぱいはもっと柔らかいんだぜ? おっぱいを揉んで恥じらう女の子は最高なんだ」
「母親のしか知らないくせに」
「やめろ! 凄い言葉の暴力だぞそれ!」
「悪かったよ」

313 :この名無しがすごい!:2018/01/13(土) 16:59:19.60 ID:jKLkqjc6.net
【ただ、おっぱいを揉みたかった】(2/3)
「……中学生活、高校生活全く駄目だった。彼女なんて全然できなかった」
「オレと遊んでばっかだったしな?」
「そうだな。四六時中お前と一緒だったな。ヤスも連れ回したりなんかして、死にそうになったこともあったな」
「ヤスが両手両足骨折して大変だった」
「なんだかんだで楽しかったから、俺は後悔はしていないんだ……大学生活に懸けていたところもあったし……だが現実はどうだ」
「いろんなサークルに入ったな。ころころ変えやがって、ついていくのが大変だった」
「ついてきてくれてありがとな。アタックして破局してを繰り返して……」
「そのうちブラックリストに入れられて、どこのサークルもお前を入れなくなった」
「うう……お前も巻き添え食らってたよな……すまんかった」
「いいさ。親友だろ?」
「そうだな。お前と一緒だったから、それでも大学生活も楽しかった。ヤスとはいつのまにか疎遠になってたけど」
「……」
「なんでかなあ……なんで彼女できんかなあ……」
祐二はグスグスと泣きだした。
「おい泣くなよ」
「努力してるのに……彼女できない……」
「……」
「自分では気付かない人間的欠陥があるのかなあ……」

314 :この名無しがすごい!:2018/01/13(土) 17:02:24.16 ID:jKLkqjc6.net
【ただ、おっぱいを揉みたかった】(3/3)
「……ヤスがさ」
「え?」
「お前がホモだってずっと周囲に吹き込んでたんだ」
「は? マジで? 何で?」
「両手両足骨折した時の恨みらしい」
「謝ったじゃん! 治療費と慰謝料も払ったもん!」
「犯人はヤスだったんだよ!」
「うわあああああああああああ!」
「そしてオレも……」
「え? え?」
「オレはお前とずっと一緒にいた。だからホモ説に説得力があったんだ」
「確かに……べったりだった……」
「オレは全てを知りながらお前と一緒にいた。なぜだかわかるか?」
「……なぜ?」
準はずっと景色の方を向いていた体を、ゆっくりと祐二に向けた。
親友の祐二に向ける表情は切なかった。
「わかるだろ?」
「わかんないよ」
「お前の事が好きだったんだよ!」
「うわああああああああああああ!」
準は突然立ち上がった。祐二は準の狂暴な股間を見て驚愕した。
「うわあ! お前それ!」
「お前のせいだ……お前が無理に温泉に連れ込むから!」
「やめて! セクハラだよお!」
「大丈夫だから! オレよく女顔だって言われてるから!」
「でもお前おっぱいないじゃん!」
「うるせえ!」
「アーッ!」

その日、鬼怒川温泉で一組のカップルが誕生した。
二人はその後も仲睦ましく愛し合いましたとさ。
おしまい。

315 :この名無しがすごい!:2018/01/13(土) 20:19:54.08 ID:OBc/YjD+.net
┌(┌^o^)┐ホモォ...

316 :この名無しがすごい!:2018/01/13(土) 20:25:41.60 ID:F0ROj4FT.net
よもやのカップル成立w
渋谷でお幸せにとしか言えません
勢いがあって面白かったです

317 :この名無しがすごい!:2018/01/13(土) 20:34:46.84 ID:F0ROj4FT.net
使用お題:『鬼怒川温泉』『おっぱい』『誰かが何かを発表する』『セクハラ』『犯人はヤス』

【鬼怒川温泉事件簿】(1/3)


「ちくしょう……」

 男が崩れ落ちる。
 老刑事は苦々しげな表情で煙草の煙を燻らせた。

「……後味の悪い事件だ」

 ******

 山岸 民雄は鑑識の所見を読みながら煙草を咥えていた。

「ヤマさん、ここ、禁煙ですよ?」

 頭を押さえた若い刑事にそう言われ、民雄はジロリと顔を見て舌打ちをする。

「火なんざ点いちゃいねえ」
「マナーですよ、マナー……鑑識の所見ですか?」
「…………マナーなぁ。ああ、さっき上がってきた」

 民雄が溜息を吐く。先日起こった事件の被害者は彼の顔見知りだった。
 そうは言っても、何度か顔を合わせた事もあると言った程度であり、それほど親しい間柄という訳では無かったのだが。

「良いおっぱいだったんたがなぁ」
「何すかヤマさん、セクハラですか?」
「男同士で何言ってやがる! ガイシャの事だよガイシャの!」
「いや、それもどうかと……」

 老刑事が舌打ちを1つ吐く。
 被害者の女性、筒見 晶子は、元温泉コンパニオンだった。
 その為、民雄が顔を合わせる時は、大概、仕事絡みのトラブルであり、女は扇情的な格好をしていた事もあって、その印象が強かったのである。

「まぁ何にせよ、聞き込みだ……行くぞ」
「はい」

318 :この名無しがすごい!:2018/01/13(土) 20:38:05.26 ID:F0ROj4FT.net
【鬼怒川温泉事件簿】(2/3)


 ******

「……情報、上がりませんね」
「…………」

 昔は、音に聞こえた温泉郷だった鬼怒川も、今では半ばシャッター街となって久しい。
 冬の寒い時期と言う事もあって、犯行時刻と思われる午前1時前後の人通りも乏しく、目撃情報は、ほぼ皆無だった。

「……犯人の目星も付きませんね、ヤマさん……」
「……」

 民雄は渋い表情で煙草を咥えた。

「お前、仕事は嫌いか?」
「は? 何を……」
「いや、気にするな」

 若い刑事、陸郎が首を傾げる。当然だろう。むしろ率先して動いていたのは陸郎の方である。だが、民雄は黙ったまま歩き始めた。

 ******

 それからも刑事達は地道に聞き込みを続けたが、新しい目撃情報は出て来なかった。

「……迷宮入り……ですかね」
「……あの日」
「は?」
「あの日、珍しく酒を呑んでたな」

 民雄の言葉に陸郎が眉根を寄せる。

「だから何ですか? そりゃ僕だってお酒くらい呑みますよ」
「……お前の事だなんて、言ってないんだがな」
「うっ」
「“あの日”と言われて、いったいいつの事だと思った?」

 そう言われ言葉に詰まる。

「事件のあった日を思い浮かべたんじゃないのか?」
「いや、それは……」
「不自然なんだよ、ここまで情報が集まらないなんてな。お前、恣意的に誘導してたな」
「……」
「……刑事さん」

 ピクリと陸郎が反応する。それを見て民雄が煙草を咥えた。

「何度言っても名前を覚えやがらねぇ女だったよ」
「何を……」
「発作的に殺っちまったのか?」

319 :この名無しがすごい!:2018/01/13(土) 20:40:48.90 ID:F0ROj4FT.net
【鬼怒川温泉事件簿】(3/3)


「……」

 陸郎の視線が泳ぐ。

「いつから重荷だった?」

 ギリッと、奥歯が鳴る。

「何の……事ですか?」
「気付いてないと、思ったか? 刑事さん」
「クッ……」

 瞬間、陸郎の表情が歪む。民雄は視線も向けずに言った。

「聞き込みで話を聞く時は、あんな顔をしてたら駄目さ……刑事さん?」
「止めて……下さい」

 ブルブルと陸郎が震える。だが民雄は、おどける様に方眉を上げると言葉を続けた。

「どうした、顔色が悪いぞ? け・い・じ・さん」

「やめろぉ!!!」

「…………」
「僕は、刑事さんなんて名前じゃ……ない」

 脱力し、陸郎はそう呟いた。民雄は悲しげに口許を歪める。

「そうだな、ヤス……いや、安浦 陸郎。お前はただの……犯人だ」

 陸郎が晶子と会ったのは偶然だったらしい。晶子の方が民雄を見知っていた事もあり、その相方らしき若い刑事に話しかけたのだ。
 アルコールが入っていたせいもあるだろう。この所、刑事と言う役職でしか自分を認識されない事にストレスを感じていた陸郎は、何度自分の名を言っても「刑事さん」としか呼ばない晶子に苛立ち、つい衝動的に突き倒してしまったのだ。

「気が付いたら、死んでたんだ」
「……」

 その後、刑事としての知識を利用し、監視カメラ等を避け自宅まで戻ったのである。

「僕は……」
「……人を殺めた所までは事故だっただろう。だが、刑事である事を利用した時点で、ヤス、お前は刑事の資格を失ってたんだ」
「くっ……」

 民雄は煙草に火を点けると、上を向いて紫煙を飲み込んだ。

320 :この名無しがすごい!:2018/01/14(日) 06:58:20.17 ID:R0KvT+YI.net
>>312
爆笑必至! 最悪のテルマエロマエがお目見えだ〜選択お題は全使用! 鬼怒川温泉の怪〜
物語るは卒業旅行で温泉に浸かる二人の旅情〜いわく日本の奥座敷とほかほかの湯気、うん『鬼怒川温泉』の景色が綺麗、うんうん、さすがは『鬼怒川温泉』、うん…『鬼怒川温泉』に来てよかった、ってしつこい!コマーシャルかよww
さあ二人の頭に浮かぶのは、『おっぱい』触れざる非業の大学生活だ〜両手両足骨折ヤスの笑顔が脳裏をよぎり、すぐさまその陰険さが明かされる〜ホモ説てオイw
ヤスの件で笑いきる暇もなく、待ち受けるは悪夢の虹色発表だw 作者312氏が勢い任せに『セクハラ』消化、ラストのナレーションはいい話風に締めてるが拭えない強引さにワロタ
肝を潰したスレ民が何とも言い難い反応を返し、うん、分かったとりあえず温泉汚すなよ! って感じで抱腹絶倒ENDだあ、やるな312氏w

>>317
続いてお題五つにフルチャレンジ! 『鬼怒川温泉』に女の無念、コンパニオン殺人事件だ!
さあ今回のキラーお題『犯人はヤス』、この消化に刑事もので挑む賢明な317氏、焦点は早くも他のお題消化に絞られたか〜
と読んでたらマナーのない老刑事が『おっぱい』に言及して死者を冒涜w そこに良いおっぱいって自分のことだと誤認した部下が『セクハラ』を批判、いやどういう発想だよw
民雄さんの狡猾な誘導尋問にまんまとかかった真面目系部下こと真犯人ヤス、語られるは名前を覚えない被害者への衝動的な殺意、なるほど刑事さん呼びだけでキレるヤスのマナー感覚が事件の要だったか、であれば『セクハラ』発言もおかしくはないw
よしお題は消化、オチはどうか、てめえは刑事の資格を失ったんだとイブシ銀、迷宮入りを食い止められた殺人事件、ガイシャの無念はベテラン刑事の嗅覚が救い上げ、線香の様に立ち昇る煙がオチを決めたァ、うーん南無!!

321 :この名無しがすごい!:2018/01/14(日) 09:23:16.13 ID:lbAYpY+z.net
いつも感想有難うございます
最初はギャグにしようかと思っていたのですが
いつの間にか普通に刑事ドラマに……
何故でしょう?

322 :進行 :2018/01/14(日) 23:58:22.58 ID:kcgHcq9/.net
あっ

323 :進行 :2018/01/14(日) 23:58:55.44 ID:kcgHcq9/.net
お題『鬼怒川温泉』『おっぱい』『誰かが何かを発表する』『セクハラ』『犯人はヤス』〆

作品一覧(1/2)
>>312【ただ、おっぱいを揉みたかった】
>>317【鬼怒川温泉事件簿】

324 :進行 :2018/01/14(日) 23:59:26.53 ID:kcgHcq9/.net
次のお題『>>325‐329』

325 :この名無しがすごい!:2018/01/15(月) 00:13:24.14 ID:3cHVw1zI.net
かまくら

326 :この名無しがすごい!:2018/01/15(月) 00:36:48.67 ID:8yQmMh08.net
幽体離脱

327 :この名無しがすごい!:2018/01/15(月) 00:40:33.67 ID:F78HRxI+.net
声が遅れて聞こえる

328 :この名無しがすごい!:2018/01/15(月) 06:54:27.48 ID:OJVtF3Qo.net
妖精

329 :この名無しがすごい!:2018/01/15(月) 07:38:30.95 ID:7ICJpBtB.net
最後の一撃は切ない

330 :この名無しがすごい!:2018/01/15(月) 08:30:16.66 ID:52JzK6Vs.net
お題『かまくら』『幽体離脱』『声が遅れて聞こえる』『妖精』『最後の一撃は切ない』

締め切りは1月18日 22時です!

331 :進行 :2018/01/15(月) 08:30:47.85 ID:52JzK6Vs.net
酉忘れ…

332 :この名無しがすごい!:2018/01/18(木) 10:57:28.29 ID:7afpW+VT.net
使用お題:『かまくら』『幽体離脱』『声が遅れて聞こえる』『妖精』『最後の一撃は切ない』

【最後の願い】(1/2)


「ワたシをコロして下さイ」

 彼女は最期にそまう言った。
 夫に先立たれ、しかし、笑顔を絶やさない女だった。

「あの人の忘れ形見だからさぁ」

 そう言って、愛おしそうに眠った娘の頭を撫でていたのを覚えている。

 今思えば陽動だったのだろう。やけにあっさり退いた魔王の眷属に、嫌な予感を覚え、急いで集落へと戻った。
 元々、俺達がこんな北の果てまで来たのは邪妖精の反応を感知したからなのに……

 俺達が集落に着いた時には、殆どの村人が食い散らかされ、手の施しようもない有り様に成っていた。
 そしてその時、彼女は血の涙を流しながら、自らの娘の腸を啜っていたのだ。

 ******

 体が肥大化し、面影すら失った眼前の怪物は、その巨体を裏切る、えらいスピードで走り回り、その衝撃波でイグルー……いや、かまくらと言った方が馴染みが深いか。既に主を失った“彼ら”の住居であるソレを吹き飛ばしながら攻撃してくる。
 俺は導師に掛けて貰った【身体強化】の魔法の効果もあって、辛うじてそれをかわしていた。

『グオオォォォォォ!!』

 その巨体が通り過ぎてから、怒声とも思える叫び声が遅れて聞こえる。
 衝撃波に体を持って行かれそうになるのを必死で堪える。
 普通の攻撃では俺には当たらない事に気が付いたのか、身に纏う衝撃波による攻撃に切り替え、どれ程経ったのだろうか?
 お互いに決め手に欠ける状態で無為に時間だけが過ぎる。
 回復、補助特化の導師や、攻撃魔法特化の魔導士。いや、耐久力の低い彼らだけじゃない。防御力の高い重機士だとしても、回避が困難な彼には下がって貰っている。
 1tを軽く越す音速の物体がぶつかれば、彼らでは危険だからだ。

333 :この名無しがすごい!:2018/01/18(木) 10:59:22.87 ID:7afpW+VT.net
【最後の願い】(2/2)


「ぐっ……」

 意識が飛びかかる。いや、衝撃だけで幽体くらい離脱しそうな勢いだ。
 だが俺は、かわして、かわして、かわして、かわす。
 確かに防戦一方だろうが、しかし、攻撃が当たらないと言う事実に向こうの苛立ちが募る。

 そんな中での一撃。一旦距離をとると勢いをつけ、避けられない様にだろう。両手を広げて囲い込む様な感じで俺に迫る。

 だが……

「それを待っていた」

 俺は、詠唱終了し、待機させておいた設置型の魔法を空中にばら撒く。等間隔に、互いの範囲が重ならない様に。攻撃魔法を避ける事が出来る事は分かった。
 だが、自分のスピードで突っ込む事、それ自体を止める事は出来ないだろう。

『グオァァァァァァァァ!!!!!!』

 両手までを広げていた為に、真正面から、その全身に設置型魔法が衝突する。
 そして、誘爆してムダ撃ちに成らない様に設置した魔法が正しくその威力を発揮した。

 ……彼女は……彼女だったモノは、爆炎に包まれる。

 ******

「まだ、生きてるの?」

 仲間の魔導士が、俺に訊ねる。俺はそれに対して首肯した。
 黒焦げになり、辛うじて人形だと分かるそれは、しかし、人とは著しく違う部分を見せている。

「やはり邪妖精か……」

 ピクピクと蠢くケシズミの腹部から生えた、闇より尚暗い色の“邪妖精”。
 俺は、彼女はから離れて生き伸びようとするソレに刃を突き付ける。

「逃す訳、無いだろう!」

 剣を振り下ろし、動かない俺の肩を重戦士がポンと叩き、導師がハンカチを差し出した事で、俺は自分が泣いている事に気が付いた。

「なぜだ……」

 答えのない呟きが口から漏れる。魔王が何を考えて邪妖精をバラ蒔いているかは分からない。
 だか、同じ悲劇を繰り返さない為にも、魔王は倒さなくては成らない……俺はそう、決意を新たにした。

334 :この名無しがすごい!:2018/01/18(木) 21:55:53.18 ID:7afpW+VT.net
連続ですみません

使用お題:『かまくら』『幽体離脱』『声が遅れて聞こえる』『妖精』『最後の一撃は切ない』

【男達の哀歌】(1/2)


「くそぅ! 道が分からん!!」
「フフ、何故だろう? 何だか僕、眠いや……」
「草尾ぉぉ! 眠るなぁぁ!」

 二人の馬鹿が遭難した。

「あ! 妖精さん? 君は筋肉の妖精さんだね?」
「しっかりしろ! 草尾ぉぉ! 俺だ! 矢追だ!」
「ああ、矢追だったのか……凄いや、矢追は妖精さんだったんだね?」
「そんな訳有るかぁ! 気をしっかり持て! 草尾ぉ!」

 しかし、山中の吹雪の中で自身の方向感覚すら危うい為、にっちもさっちも行かない。
 だが、大自然は容赦なく二人を襲う。
 吹雪は横殴りとなり、もはや猶予は無かった。

「な、何か手を!! 手を考えねば!!」

 その時天啓が下った。

「!! かまくらで吹雪を凌げば!!」

 思い立ったが一直線。矢追は急いでかまくらを作り始める。

 だが……

335 :この名無しがすごい!:2018/01/18(木) 21:57:25.03 ID:7afpW+VT.net
【男達の哀歌】(2/2)


「ぐう! 思ったより時間が掛かってしまった! !! 草尾は!?」

 吹雪の中放置されていた草尾は、半ば雪へと埋まっていた。だが、よく見れば口が少しだけ動いて居る。

「…………『矢追、僕は平気だよ〜』」
「く、草尾ぉ!! お前、本当に平気なのか!?」

 どこか焦点の有っていない目で草尾は話すが、しかし、思っていたよりもしっかりした話し方の為、矢追はホッと息をつく。

「…………『はは、何て顔してるんだ矢追』」
「? なんだ? 何か口の動きと声が合って無い様な?」
「…………『ははは、あれ? 天使様?』」
「何を言ってるんだ? 天使? いや、それより、やっぱり声が遅れてないか?」

 その時、何か不自然な物を感じ、背筋に冷たい物がはしった。

「…………『何処へ? あれ? 矢追、何で下に……あれは……俺?』」
「草尾ぉぉぉ!! ちょ、おま!! 幽体離脱しるぅぅぅ!!」

 ガクガクと肩を揺すり、草尾の意識を取り戻そうとする。だが、草尾の声がだんだん遠ざかって行く。

「ぐ! この手だけは使いたくなかったのだが!!」

 そう言うと矢追は思い切り振りかぶり、男が絶対に衝撃を受けるその急所を渾身の力でぶん殴った。

「『!!』」

 声に成らない叫びが響く。

「く、草尾?」

 恐るおそる草尾の顔を覗き込む矢追。草尾は真っ青な顔で口を動かした。

「……『フッ、俺の仰天顔に驚いて、天使様は逃げちまった』」
「って、まだ幽体離脱してるぅぅぅ!!!」
「……『腹の下が切なくて、身体に戻れねえんだよぉぉぉ!!』」
「マジすまんかった!!」

336 :進行 :2018/01/18(木) 23:27:23.03 ID:8xHJHsNp.net
あっ

337 :進行 :2018/01/18(木) 23:27:59.04 ID:8xHJHsNp.net
お題『かまくら』『幽体離脱』『声が遅れて聞こえる』『妖精』『最後の一撃は切ない』〆

作品一覧
>>332【最後の願い】
>>334【男達の哀歌】

338 :進行 :2018/01/18(木) 23:28:38.53 ID:8xHJHsNp.net
次のお題『>>338-342

339 :進行 :2018/01/18(木) 23:29:37.47 ID:8xHJHsNp.net
ちょ…自分で踏むマヌケ…
再安価>>340-344

340 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 01:14:01.63 ID:8iXoJl7b.net
擬人化

341 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 06:33:09.33 ID:BArgWhhX.net
文房具

342 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 12:34:42.08 ID:7w/B3dgx.net
鯖缶

343 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 17:46:01.07 ID:Rfshufg/.net
猫娘

344 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 18:56:46.10 ID:1nHssZIt.net


345 :進行 :2018/01/19(金) 19:09:51.39 ID:SjPzQ4CP.net
お題『擬人化』『文房具』『鯖缶』『猫娘』『歌』

締め切りは1月21日 22時です!

346 :進行 :2018/01/19(金) 19:10:47.79 ID:SjPzQ4CP.net
安価にも時間かかるようになっちゃったね…
このスレも今月で〆かなぁ…

347 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 19:49:10.35 ID:UGyIyz+w.net
こんなスレがあったのか
>>345のお題を全て使わないといけないの?
それとも一部を使えばいい?

348 :進行 :2018/01/19(金) 19:51:13.56 ID:SjPzQ4CP.net
1つからでも5個全部でもいいですよー
文字数は2000文字以下です

349 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 19:56:56.10 ID:UGyIyz+w.net
了解しました
ただまだ会社で、家に帰り着くのは日付が変わる頃になります
なので、1時頃に初投稿してみます
2000字なら、一時間くらいで書けると思うので

350 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 20:10:14.42 ID:FYeyoIq+.net
最近忙しくて書けてない…ごめんね

>>349
21日の22時までだったらいつでも、何作でも投稿していいのよ

351 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 23:11:59.35 ID:B1/FzD/a.net
なんで投票やめたんだっけ?
書く人以外も参加できる方がいいし感想多い方が書く人も増えると思うわ
安価の出し方とかルールもいろいろ変えてみたらどうだろう

352 :進行 :2018/01/19(金) 23:15:35.11 ID:SjPzQ4CP.net
集計するのはなかなか面倒だったし、投票より普通に感想書いてあげてねって方針に変えたんですよね
最近5お題ばっかりだから、やりたいって安価方法があればどんどん意見出してくださいね

353 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 23:17:47.20 ID:8iXoJl7b.net
ジャンル?

354 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 23:43:30.55 ID:B1/FzD/a.net
普通に感想が少ない…
やってることは面白いしできれば気長に続けて欲しいけどねー

355 :この名無しがすごい!:2018/01/19(金) 23:58:49.65 ID:FYeyoIq+.net
毎回書ける人も少ないだろうしのんびりペースでいいとは思うけど

356 :この名無しがすごい!:2018/01/20(土) 00:20:56.54 ID:xbXqKLuu.net
349です。只今帰宅しました
今からちゃちゃちゃっと書いていきます

初参加なので、このスレには不慣れです
もしもこのスレのルールなどに反したら、ご指摘頂ければと思います

357 :この名無しがすごい!:2018/01/20(土) 01:22:49.88 ID:xbXqKLuu.net
 使用お題『擬人化』『鯖缶』『猫娘』

 古来より、大切に使い続けてきたものには魂が宿るという。いわゆる付喪神である。
 また、長い年月を重ねた猫は化け猫になるとも言うけれど……。
 だからって、その二つが合わさるのは如何なものかしら?

 目の前には、猫耳を生やした少女が大あくびをしている。裸であることに頓着もせず、大きく開けた口からは、艶めかしいまでに鮮やかな赤い舌をのぞかせている。
 目じりに涙を浮かべた瞳は琥珀色。肌は白人のように白く、髪も同じく白い。いや、髪は銀色であるようだ。

 急に現れたこの猫娘が座る場所には、元々先々代の頃からの招き猫が鎮座していたのだ。
 それが急に発光したかと思うと、猫娘になった。……言葉にすると私の頭がおかしくなったようだけど、事実だ。私は確かに、その一部始終を見届けたのだもの。
 呆ける私に、猫娘は自分が付喪神であり化け猫であるとのたまった。そうして今に至る。

「はわわ〜。……にゃ、にゃ! それでご主人、あちきから話が……「待って」……にゃ?」
「まず服を着て」

 私の名は佐倉真尋。当年とって29歳16カ月。先月、先代である父が亡くなったのを受けて、祖父の代から続く本屋『二風堂』の店主となった。
 別に継がねばならない大店でもあるまいし、店を畳むという選択もあったが。会社勤めに辟易していた私は、これ幸いと会社を辞めたのだった。
 本屋なんて楽な仕事でしょうと、ずいぶんと舐めたことを考えていた。実際、業務内容は楽すぎた。何せ、ロクに客が来ないのだから。
 今どき、地域密着型の個人経営の本屋なぞ流行りもしない。閑古鳥が鳴くのも、冷静に考えれば予見できたろうに。
 楽がしたいとはいえ、生活がままならないレベルで稼ぎがないのは頂けない。さて、どうしたものかと悩んでいた昼下がり、奇怪な事象に見舞われることになったのだ。

「で? あんたは付喪神で化け猫だって?」
「付け加えるなら招き猫でもあるにゃん!」
「ダウト! 招き猫はダウト!」
「ダウト? にゃ?」
 猫娘は、はてなと小首を傾げる。新雪を思わせる長い髪がさらりと流れた。
 ……古風な妖怪変化の類に横文字は通じないか。ただ、これが招き猫でないのは間違いない。だって、事実この店に客も福も招いていないではないか。

「……まあいいわ。で、どうやったら元の置物に戻るの?」
「にゃ、にゃ!? 折角長年かけてこの姿になったのに! それは駄目にゃ!」
「何でダメなの?」
「この姿の方が店の為に色々と助けになれるからにゃ!」
「助け〜?」
 私は胡乱気な目で猫娘を見やった。
「あんたが何の助けになれるって?」
「えっと、か、看板娘になって頑張るにゃ!」
「看板娘……看板娘か……」

 私は改めてまじまじと猫娘の顔を観察する。ちょっと見ないくらいに整った容姿。その上猫耳……。使えるかもしれない。
 店内を見回す。……例えば、品ぞろえを一新する。そう、ラノベ一色に。美少女猫耳娘が看板娘のラノベ専門店。……伝説が始まるわね。

「嬉しいわ! 是非店の為に頑張ってね!」
「本当かにゃ!? ご主人!」
「ええ、本当よ。これからよろしくね」

 そう、これからよろしくね。末永く扱き使って上げるから。何せ、人と違って妖怪変化の類に労働基準法は適応されない。つまり給料はタダだ。
 そこまで思いを巡らせて、はたと思い当たる。無機物から生もの(?)にクラスチェンジしているわ、この娘。
「……あなた、何か食べたりとかするの?」
「一日三食、毎食鯖缶を一缶欲しいにゃん!」
 鯖缶……安いのなら一缶数百円くらい? 三食でも千円を超えるかどうかかしら? それを日当と置き換えると……。
「鯖缶くらい安いものよ! 一緒に店を盛り上げましょうね!」
「にゃん!」

 はははっ、これは面白くなってきたわ。まだ二十代の女店主と、猫耳娘の本屋さんね。
 まるで童話か、お伽噺みたい。きっと、ハートフルな毎日が待っているでしょうよ。ふふふっ。
 私は未来への希望を胸に、にやりと……いやいや、にっこりと微笑んだのだった。

358 :この名無しがすごい!:2018/01/20(土) 06:40:41.39 ID:hK/9bulj.net
>>357
ちょっと腹黒な女店主と純粋な猫娘のやり取りが微笑ましいですね
この二人がどんな物語を紡ぎだして行くのか、楽しみに成るお話でした

359 :この名無しがすごい!:2018/01/20(土) 08:41:26.36 ID:8Z+Dw8oi.net
>>332
高難度の前回お題・全選択に挑む〜沈痛なる慰霊の戦闘だあ!
音楽性バラバラのバンドメンバー、『かまくら』『幽体離脱』『声が遅れて聞こえる』『妖精』『最後の一撃は切ない』をまとめる作者のマネージメント能力が試されるw
さあ愛娘を喰らう母親とかいうヘビー&ダークネス&グロな物語は、高速戦闘で『かまくら』を吹っ飛ばしながら消化する〜
音速を超えて疾駆する巨体がナントカ堂の『声が遅れて聞こえる』を見事にクリア、ここうまいぞ、『幽体離脱』しかけた主人公が罠を仕掛けて邪『妖精』をエリミネートォ!
なるほどこのストーリー、『最後の一撃は切ない』から発想されたものか、悲運の母親を死で救い、戦士にこみ上げる決意がラストを光らせたあ! 高難度お題も華麗に消化〜腕を見せたな、しかしこれ元ネタ、ベルセルクの妖精編だろ332氏w

>335
続いて憑りつかれた様に作者が前回お題全選択を選択するぞ! 金的インザ遭難だw
いや、いんだけどさ「二人の馬鹿が遭難した」←こんな地の文あるかよ、ふざけすぎだろw
さあ意識もうろうの『かまくら』、筋肉の『妖精』さんと化した矢追さんが相方の窮地に焦る〜
『幽体離脱』で某腹話術芸人のようになってしまった草野さんが『声が遅れて聞こえる』をクリア、「こいつ、脳に直接……!?」的展開にわろた
蘇生を試みる矢追さんが放った金的が天使を追い払い、お題『最後の一撃は切ない』をオチで制圧〜ハチャメチャだけど、振り返れば意外にお題はちゃんとクリアしているw やるじゃん、とりあえず金的で昇天しなくて良かったねって感じでENDだww

360 :この名無しがすごい!:2018/01/20(土) 08:46:44.26 ID:8Z+Dw8oi.net
>>357
お題『擬人化』『鯖缶』『猫娘』にチャレンジするぞ、現代萌え式・猫娘、爆誕!!
売れない本屋で実体化する招き猫〜素っ裸で艶めかしいまでに鮮やかな赤い舌とか、完全エロですやん
ここで付喪神であり化け猫であるとかいう複雑な設定が語られる〜なるほどね、お題は『擬人化』『猫娘』だからねw 作者357氏、消化にえらく忠実だなw
「妖怪変化の類に労働基準法は適応されない」←うん、まあそうだろうけどw それより妖怪がバレたらどうしようとか、考えないのか
物語は報酬『鯖缶』の交渉を妥結させ、お題は綺麗にクリアされた、おめでとう! オチは計算高い主人公が含み笑いを誤魔化し、これから訪れるハートフルな毎日を夢想した〜自分でハートフルとか言うなw

361 :この名無しがすごい!:2018/01/20(土) 09:31:21.40 ID:xbXqKLuu.net
>>358
感想ありがとうございます
登場人物が二人だけなので、対比するような性格にしようかな、と
先に猫娘のキャラが思い浮かんだので、女店主はこんな感じになりました

プロローグ調で終わらせたので、先が楽しそうだと感じて頂けたなら良かったです

>>360
丁寧な感想ありがとうございます
>完全エロですやん
書き始めた時は、店主を男にするか女にするかで少し悩みました
ただ、男だと冒頭でエロドタバタ劇が始まって、大分字数を割かれるな、と
2000字未満でそれはキツイので、女店主になりました

そうですね。普通はバレないかどうかを心配しますよね
ただ、この女店主は、一見計算高いようで、かなり楽観的というか見立の甘い人物を想定しています
何せ、計画性もなく簡単に会社を辞めるような女なので
コスプレで押し通せはどうにかなるだろう、くらいにしか考えていません

362 :この名無しがすごい!:2018/01/20(土) 10:51:21.39 ID:eSj2AIct.net
書いてみました。
『擬人化』『文房具』『鯖缶』『猫娘』『歌』

「ねっこねっこねっこねっこねーこーかーん♪
 ねっこかーんなーのにーねっこじゃーないー♪
 さっばさっばさっばさっばさーばーかーん♪
 ほーんとーはほーんとーはさーばーかーん♪

 かーんのそっとにーはねっこむーすめー♪
 かーわいーいかーわいーいねっこむーすめー♪
 かーんのなっかみーはさっばみーずにー♪
 おーいしーいおーいしーいみーずーにー♪

 でーもでーもでーもでーもほーんとーはーねー♪
 みっそにーがみっそにーがすーきなーんだー♪
 きょーおのぼっくにーはみーそにーがなーい♪
 みっそにーはきーのーおたーべちゃったー♪
 みっそにーはみっそにーはたーべちゃったー♪

 みーずにーもきーらいーじゃなーいんーだよー♪
 しーんぷーるだーけどーそーのかーわりー♪
 しーちみーもしょーゆーもばーたあーでもー♪
 あーれんーじいーっぱーいゆーめいーっぱーい♪
 あーなたーのこーのみーにそーめあーげてー♪
 ねーこーみーみむーすめーがわーらあってるー♪
 かーたてーをあーげーてさーそおってるー♪

 でーもでーもでーもでーもたーべらーれなーい♪
 かーんーがかったくーてあっけらーれなーい♪
 ふぉーくーでつーいたーらまーがったよー♪
 はっさみーできーったーらこーわれーたよー♪
 かーったーなーいふーはばーらばらー♪

 かっなしーいよー♪
 せっつなーいよー♪
 たーすけーてぼーくーのこーねこーちゃんー♪
 きーみーをはーやーくたーべたーいよー♪」

 バタン!
「うるせー! この馬鹿アニキが、朝っぱらから何でかい声で気色悪りー歌うたってんだよ! 飯くらい静かに食えねーのか!」
 休日の遅い朝。ダイニングの扉の向こうで顔を真っ赤にして怒り狂う妹に向かって、僕は静かに語りかけた。
「缶切りどこ?」

363 :この名無しがすごい!:2018/01/20(土) 18:05:44.57 ID:hK/9bulj.net
>>362
お兄さんはサバ缶愛が溢れている人なのですねw
妹さんにとっては不幸ですが、端から見ていると楽しそうに見えます


>>359
感想有難うございます
332は、まさに『最後の一撃は切ない』から逆算で組み立てました
その反動……と、言う訳ではないですが、334は兎に角バカバカしい話を書きたくて考えた話です
基本的にはハッピーエンドの方が好きなので

364 :362:2018/01/20(土) 20:28:49.16 ID:eSj2AIct.net
>>363
感想ありがとうございます
イメージは萌えおでん缶ですね
以前アキバに行った時にお菓子やらカレーやら何でもあり状態だったのを思い出して、だったら萌えサバ缶もありかと

365 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 09:05:20.23 ID:jjkBCCEc.net
>>362
選択お題は全チョイス! THE、鯖缶・狂騒曲が開演だー
さて物語は兄の突拍子もない『歌』でスタート、これって缶切りを捜している間の間奏曲なんだろうな、多分w
歌詞の中で『文房具』『鯖缶』『猫娘』をやや反則的に消化〜うん、ひらがなばっかりで分かりにくいぞ、分かりにくいが、これはおそらく缶の外側に手招きしている『猫娘』が描いてあるんだろう、多分w
これに違いないな、ヨシ半ば決め付けだけどこれで『擬人化』はクリアだ!
お題を全て歌の中で消化しつつ缶自体とその想いを描写していくという微妙なる離れ業だあ! ラストはヒステリーを起こした妹にサバソングが打ち切られ、現実に引き戻されるほのぼのオチでEND!

366 :ぷぅぎゃああああああ :2018/01/21(日) 11:51:38.21 ID:0xECW4/G.net
お題「文房具、鯖缶、歌、猫娘」

 燦々と陽が降り注ぐ。東雲梓は誇らしげな顔で街中を歩いていた。もこもこのダウンジャケットを着ている。色は臙脂でお気に入りである。下は白いスリムパンツで決めていた。
 周囲の人々はシックなコート姿が多い。梓は気にしない。猪突猛進が最大のチャームポイントであった。
 洒落た店を見つけた。躊躇う素振りを見せず、突っ込んでいった。自動ドアが開くよりも早くに入ろうとして、片方の肩をぶつけたが意に介さない。
 ずらりと並んだ食品棚の中央を早足で歩く。黒目がちな目をキョロキョロとさせた。品数が多い。文房具のような物も目に留まるが必要ないという風に軽やかに通り過ぎる。
 軽快に奥へと進み、ある一角で急に立ち止まった。目を輝かせて棚と対峙する。三段の全てが缶詰であった。胴体に当たる部分に美味しそうな印刷がされていた。
 マツオ・デトックスの番組で観た鯖缶の影響を多大に受けていた。片っ端から缶詰を手に取る。成分表を見ると細かく書かれていた。思わず目頭を揉んだ。
 適当に選んだ缶詰を胸に抱えてレジへと向かう。十数個の商品を台に乗せた途端、ガラガラと崩れた。若い女性の店員の笑顔が引き攣る。
「ポイントカードをお持ちですか」
「ない」
「わかりました。少々、お待ちください」
 素っ気ない返事に動じることなく、商品のバーコードを読み取っていく。
 その店員に向かって梓は言った。
「マヨネーズが合うのはどれ」
「はい、なんでしょうか?」
「缶詰にマヨネーズよ」
 梓は散らばる缶詰を頻りに指差す。店員は苦笑いに近い表情で答えた。
「マヨネーズはちょっと……」
 否定的な言葉は避けて何とはなしに表情で伝える。梓は荒い鼻息を返す。
 支払いを済ませると半ば走るようにして店を出た。
 どこからともなく陽気な歌が聞こえてきた。歌詞で魚を連呼している。横目で見ると鮮魚店であった。
「さかな天国ね」
 パンパンに膨らんだビニール袋には各社の缶詰が収められていた。缶詰天国、と口にした。笑いのツボは無数にあるのか。グフフと湿った笑い声を漏らす。
 アパートの一室に戻ると急いで用意を始めた。全ての缶詰の蓋を開けると大きなボウルに入れた。マッシャーで万遍なく潰した。
 大雑把に洗った野菜をぶつ切りにしてぶち込む。大量のマヨネーズを上から掛けて両手で混ぜ込めば完成。
 その時、涼しげな音でチャイムが鳴った。梓は満面の笑顔で、はぁい、と甘ったるい声を出した。いそいそと玄関に向かう。
 ドアを開けるとコート姿の彼氏が立っていた。訝しげな顔で梓を見やる。
「手料理って、本当か?」
「本当よ。今、できたところだから食べてみて」
「まあ、いいけど」
 部屋にあがると小さなテーブルの中央に大きなボウルが置いてあった。手料理らしい物が確かに入っている。
「これ、食えるんだろうな」
「もちろんよ」
「味見はしたんだろうな」
「たぶん」
 この時点で彼氏は悪寒にも似た予感に襲われていた。梓の思い込みの激しさから過去には走馬灯が見えたこともある。
「手を洗うから」
「うん、いいよ」
 洗面所には行かないでキッチンに向かう。シンクの隅に大量の缶詰を見つけた。用心深い目を注ぎ、驚愕の表情となった。
 口元を掌で押さえて、猫缶かよ、とくぐもった声を漏らした。高級の文字が唯一の救いだった。
 沈鬱な表情で手を洗い、梓の元に戻った。テーブルの前に胡坐をかく。
 梓は笑顔で様子を窺う。彼氏はそれとなく目を逸らす。部屋の壁に空いた拳大の穴に力ない笑みを浮かべた。
「……この怪力猫娘が」
「何か言った?」
「何でもない」
 小皿によそわれたソレを苦々しい顔で睨み、一気に掻っ込んだ。

367 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 12:39:07.98 ID:R9gtf63A.net
彼氏はこの娘のどこが良くて付き合っているのだということはともかく
文房具はどこだろう?

368 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 15:26:06.30 ID:TYOUl+lJ.net
>>366
やるやん

>>367
7行目
――文房具のような物も目に留まるが必要ないという風に軽やかに通り過ぎる。

369 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 15:45:57.52 ID:uRpxamKI.net
ワイスレから三連続で刺客がw

370 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 16:13:51.79 ID:Wn+xADm9.net
>>366
きっと彼女は彼が居ないと駄目な人なんですね
彼の方は、もしかしたら幼馴染みなのかもと思いました……ストックホルムシンドロームではないと信じたいです

371 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 17:53:26.78 ID:CRJ9qpyj.net
初投稿失礼致します。
使用お題『擬人化』『文房具』

俺は鉛筆。尖ってる尖ってるって言われてるけどさ、実際はそんな尖ってねぇんだ。結構こき使われちゃってるわけ。逆さにされてさ、そんなこと書きたくねぇのに、√なんて正直どうでもいいんだ。俺でそんなに数字を書くなっつーの。俺を使い捨ての男みたいに扱うなっつーの。
俺にだって夢があんだ。それは……シャープペンシルになること。あいつすげくねぇ? あいつすげぇよ。だってあいつ縮まねーんだ。いつだって尖りまくってる。羨ましくてたまらねーよ。俺あいつ好きだ。
だから言ってやった。おまえ、すげぇって。そしたらなんて言ったと思う? おまえのほうがすげぇって。……すげぇよ。心の広さたまんねぇ。今度消しゴムにこのこと教えてやろうと思う。だって、あいつマジすげぇから。

372 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 18:22:17.62 ID:Wn+xADm9.net
>>371
おそらくシャープペンシルの方は、身を削られても使われる鉛筆の方をリスペクトしているのでしょうね
文房具達の温かな交流、面白かったです

373 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 21:55:37.61 ID:Wn+xADm9.net
使用お題:『擬人化』『文房具』『鯖缶』『猫娘』『歌』

【擬人化さんが家に来た】(1/3)


 −おめでとうございます、貴方はモニターに選ばれました−

 その手紙を受け取った時、僕は小躍りして喜んだ。
 擬人化少女……昔から萌え系ではおなじみの、ありとあらゆるモノを少女へと転化させた存在。これまでは2次元の存在として手を触れる事は叶わなかった彼女達が、ついに隣人として存在する時代が来たんだ。
 ロボテクスやアニマテクスと言った技術の発展が、それを可能とした。
 要するに、擬人化萌えキャラをロボットで再現しちゃったわけだ。
 そのモニターとして選ばれたんだ。一オタクとして喜べない訳がない!!

 想像の中でしか会えなかった彼女達とあ〜んな事やこ〜んな事をして良いってお墨付きがもらえたんだから!!
 当然健全ですよ? ラッキースケベなんて期待して無いんだからね!!
 さーて、早く来ないかな? 僕の萌え嫁たん!!

 ******

「以上で説明を終わります。ご質問は?」

 七三分けの黒メガネ、典型的なジャパニーズお役人と言った感じの男性が僕の目の前でそう言った。
 ワンルームのマンションには、4個の箱と僕、そしてそのお役人とで手狭な感じに成っている。僕がまず驚いたのが、この萌え系事業が政府の活動の一旦だって事だった。でも、そんな事はどうでも良い。
 僕の所でモニターするのが4人? の少女達だっていう事実。
 てっきり、1体の擬人化ちゃんが日常生活をした時に不都合がないかって言うテストだとばっかり思ってたんだけど、擬人化具合? まぁ、どれくらいの割合いで人に近いのが好ましいかって言うのも一緒にモニターするらしい。
 僕としては、嫁が4人に増えるってだけなんだから是非も無い。

「特にありません」

374 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 22:00:55.76 ID:Wn+xADm9.net
【擬人化さんが家に来た】(2/3)


 だから、そう言ったんだ。
 お役人さんは「では、レポートもよろしくお願いします」って言って帰って行った。正直、大学のレポートと被るけど、でも、嫁と暮らす事を考えれば苦もない。
 僕は、ニヤケ顔を押さえられずに、軽い足取りで箱入り嫁たちの所まで行くと、起動スイッチを躊躇いも無く押した。

「よっし、さぁ、出ておいで! 僕のお嫁さん!!」

 ******

 擬人化する対象はランダムで選ばれたらしい。その、擬人化割合もだ。
 僕の前には不機嫌そうな黒髪ショートの女の子。革ジャンにチューブトップ、チョーカーをはめ、ダメージジーンズを穿いてジャラジャラとチェーンアクセを身に付けている。
 彼女は『ロックちゃん』“歌”の擬人化キャラクターなんだけど……

「あ? 何、ジロジロ見てんだよ!!」
「ご、ごめんなさい」

 完全にロッカー少女にしか見えません。委縮する僕にしな垂れ掛かって来る少女は“動物”の擬人化少女『猫ちゃん』。猫耳、猫尻尾、ゆるふわの髪のケモミミ少女。萌えキャラって言って真っ先に思い付くのがこのタイプ。その中で猫娘なんて王道中の王道だろう。

「御主人さみゃ、お腹空いたのにゃ?」
「いや、大丈夫だよ! お腹減って無いよ!」

 語尾もあざと可愛いんだけど、この娘はこの娘で全くのステレオタイプ。ドジっ子属性完備で天然設定の所為かさっきもカリカリを食べさせられそうになった。懐いてくれるのは嬉しいんだけど、他の擬人化娘の視線が怖い。

「あまりデレデレするのはどうかと思います」
「ソ、ソウデスネ」

 “文房具”の擬人化少女『文具ちゃん』……この子はね、なんと言うか……

 瀬戸大将ぉ──

 言葉の意味は良く分からないけど、そんな言葉が頭を過った。生真面目で良い娘何だけど……人間大の文房具の集合体は、娘って言うか超人って感じ……良い子なんだけどねぇ……

375 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 22:03:38.93 ID:Wn+xADm9.net
【擬人化さんが家に来た】(3/3)


「まあ、男なんだからそう言う所ってあるよな! コイツ、童貞っぽいし」
「ぐっ」

 最大の問題はこの娘、“缶詰”の擬人化少女『鯖缶ちゃん』……鯖だけにサバサバした性格で、ちょっとハスキーな声は、僕の好みのど真ん中ストレートなんだけど……
 チラリと彼女? を見る。

「ん? どうした? アタシが気になるのか?」

 どう見てもただの鯖缶です。ありがとうございます。
 開けた缶の蓋がパカパカ動いて天上の美声が響く。
 いや、擬人化っちゃぁ、擬人化なんだろうけどさぁ……もうちょっとさぁ……

「何蹲ってんだよ? うじうじした男だな!」
「にゃぁ? ご主人様元気ない? ご飯食べるかにゃ?」
「お加減が悪いのですか? なら、早めにおやすみした方が……」
「うん? いきなり環境が変わったからな? まぁ、慣れるまでの辛抱さ」

 4人の擬人化少女達を見て、僕は溜息を吐いてから笑みを浮かべる。

(うん、ちょっと思ってたのと違うけど、これはこれで良いか)

 そうして、今日はもう休もうかと思って、初めて気が付いた。4つの箱で足場の無くなった僕の部屋の惨状。
 僕の寝る場所が無いって事に。

376 :進行 :2018/01/21(日) 22:03:58.85 ID:t/lYb7cA.net
お題『擬人化』『文房具』『鯖缶』『猫娘』『歌』〆

作品一覧
>>357【無題1】
>>362【無題2】
>>366【無題3】
>>371【無題4】
>>373【擬人化さんが家に来た】

377 :進行 :2018/01/21(日) 22:04:47.26 ID:t/lYb7cA.net
次の安価はいかがいたしましょう?

378 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 22:05:08.87 ID:Wn+xADm9.net
予想外に書き込みに時間がかかってしまいました
すみません

379 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 22:18:26.33 ID:+CAPrTWu.net
人が増えてるので安定のお題5!

380 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 22:26:27.59 ID:H64C/X2f.net
ワイスレでちょっと話題になってたから流れてきたみたいね
まあお題に関してはいつも通りでいいかと

381 :進行 :2018/01/21(日) 22:34:36.96 ID:t/lYb7cA.net
オーライ!
次のお題『>>382‐386』

382 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 22:39:17.49 ID:axZpE5Ak.net


383 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 22:52:46.93 ID:+CAPrTWu.net
嘘つき

384 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 22:58:30.97 ID:KdgZId78.net
ニーハイを履いてる彼女

385 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 23:03:22.96 ID:swciFk/c.net


386 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 23:07:34.77 ID:CRJ9qpyj.net
>>372
すごい優しいコメント。ありがとうございます。また参加します。

387 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 23:10:52.29 ID:swciFk/c.net
さ、386が

388 :進行 :2018/01/21(日) 23:13:18.70 ID:t/lYb7cA.net
おぉん
最後再安価>>389

389 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 23:24:44.76 ID:KTj+jXwi.net


390 :ぷぅぎゃああああああ :2018/01/21(日) 23:24:52.67 ID:0xECW4/G.net
梅干し

391 :ぷぅぎゃああああああ :2018/01/21(日) 23:25:44.63 ID:0xECW4/G.net
ふぉぉおおお!

さて、寝るか!(`・ω・´)ノシ

392 :進行 :2018/01/21(日) 23:28:44.12 ID:t/lYb7cA.net
お題『星』『嘘つき』『ニーハイを履いてる彼女』『冬』『塔』

締め切りは1月25日 22時です!

393 :この名無しがすごい!:2018/01/21(日) 23:55:10.68 ID:CRJ9qpyj.net
>>388
色々本当にマジでごめんなさい。

>>389 >>390 僅差!

394 :この名無しがすごい!:2018/01/22(月) 00:03:23.83 ID:vN6Hahce.net
安価取り合いになるとか珍しいw

395 :1/2:2018/01/22(月) 02:05:03.20 ID:jDp0h9qh.net
使用お題→『星』『嘘つき』『ニーハイを履いてる彼女』『冬』『塔』


【肉食彼女は今日も激しい】

「ほら、誠先輩。あれがペルセウス座ですよ」

 予備校から自宅への帰路。私は夜空を指さして言いました。

「ペルセウス。ギリシア神話の英雄です。誠先輩はペルセウスの話はご存じですか?」

「いや、聞いたことないな」

 誠先輩が寒そうに両手を抱いて体を震わせます。

「ではこの結城すみかが教えて差し上げましょう!」

 私は小走りで誠先輩の前に出て振り向き、両手をぱあっと広げました。
 誠先輩が顔をしかめて、私の脇を足早に通り抜けていきます。

「嫌な予感がするんだけど」

「まあまあ、最後まで聞いてください。可愛い彼女の知識自慢ですよ?」

 私は誠先輩の後を追い、後ろの袖を掴みました。今日は逃がしません。

「ペルセウスの母親はダナエと言います。父親はゼウスです」

「ゼウスって、あの?」

「はい。スーパーゼウスでお馴染みのゼウスです。ギリシア神話ですから」

「古いよそれ」

 野暮なツッコミには応えず、私は話を続けました。

「ある日、ダナエは塔に閉じ込められます。ダナエの父に『孫に殺される』という予言が与えられたからです。孫を作らせないようにしたんですね」

「ひどい話だな」

「はい。父は王様でしたから。きっと自分が一番な人だったのでしょう。しかし、ダナエが美人だったことをゼウスは見逃さなかったのです」

 私は得意げに指を立てて言いました。

「ゼウスは黄金の雨に姿を変えて塔に侵入しました。そしてダナエとまぐわったのです」

「まぐわ……ああ、やっぱりそういう話……」

「そうして生まれたのがペルセウスです。さあ、誠先輩もゼウスを見習って、私と同衾しようという気概を見せてください。お父様が恐いなんて、そんな軟弱な事を言っていないで、早く!」

「いや、単純に僕が嫌なだけだから。むしろお前の親がなんでも既成事実にしようとしてくることに恐怖を覚えているんだが」

「なぜ嫌がる!」

「十六歳にはまだ早い。色気を感じない」

 誠先輩が冷たく言い放ちました。可愛い彼女に言う言葉でしょうか。
 けれどそれでめげる私じゃありません。

396 :2/2:2018/01/22(月) 02:05:27.18 ID:jDp0h9qh.net
「そんな嘘をついても誤魔化されませんよ。今日は誠先輩が好きなオーバーニーソックスです。色気を感じないはずがありません」

「長さが足りない。それはただのニーハイソックスだ」

 こういうところだけ無駄に鋭くて細かいのが誠先輩です。私は唇をぷくっと尖らせちゃいました。

「むぅ、さすが目が高い。いいじゃないですかちょっと長さが違うくらい。可愛いオーバーニーソックスが見つからなかったんですよ」

「お前は何もわかっちゃいない……」

 誠先輩が首を横に振りました。なぜか哀れみが込められていることに憤りを感じます。
 が、次の言葉でその憤りも霧散してしまいました。

「お前は可愛い。だけど、ニーハイソックスでは――」

「今可愛いって言いました!?」

「え、あ」

「これは早くお父様にお伝えしなければ! 今日は赤飯を――いえ祝言の準備をしましょう!」

「いや、待て。かすみ。ちょっと待て、かすみ」

 大慌てで私は走り出しました。自宅まではあと500メートル、既成事実で誠さんを追い詰めるまであと500メートルです。
 今日はとても素晴らしい一日でした。このあと100メートル先で誠先輩に首根っこを掴まれて一時間の説教をされなければ。

397 :この名無しがすごい!:2018/01/22(月) 02:15:47.34 ID:jDp0h9qh.net
ニーハイって調べたら色々と定義がすごかったですはい

398 :この名無しがすごい!:2018/01/22(月) 02:32:24.27 ID:jDp0h9qh.net
あ、一箇所だけ誠先輩が誠さんになってるとこある。誤字失礼しました

399 :この名無しがすごい!:2018/01/22(月) 02:35:02.52 ID:jDp0h9qh.net
もう一個誤字訂正

「いや、待て。かすみ。ちょっと待て、かすみ」

「いや、待て。すみか。ちょっと待て、すみか」

名前間違うなんて最低…

連続で失礼しました!

400 :この名無しがすごい!:2018/01/22(月) 08:19:20.27 ID:iLVajKEx.net
>>395
肉食系少女……いや、家族でしょうか? と、こだわり系フェチ先輩とのドタバタな日常が垣間見える、楽しいお話ですね
面白かったです

401 :この名無しがすごい!:2018/01/22(月) 09:34:32.90 ID:+Zbx1gZr.net
>>366
さあ選択は、前回お題『文房具』『鯖缶』『猫娘』『歌』!! 戦慄! 怪力猫娘だw
物語は臙脂と白を装い街を闊歩する梓さんを描写していくぞ、立ち寄る店内で『文房具』『鯖缶』をさらっと消化だ〜関係ないけどマツオ・デトックスで検索したら出会い系が出てきたぜ!
さんの拙い喋り、黒目がちな瞳、よく分からん笑いのツボが人外感を加速させ、もはや4月放送予定の〇太郎番宣にしか見えねえw
怪力に震えあがった彼氏が地獄の手料理をカッ喰らい、この『猫娘』が! と断末魔が締めてENDォ!
さりげないお題クリア、堅牢かつ濃密な情報量を持つ文体はさすがの大御所〇氏か、オチは料理を噴き出してほしかったがなw

>>371
前回お題『擬人化』『文房具』にチャレンジだ、鉛筆の切なる独白!
ギザギザハートにやさぐれた鉛筆の愚痴が暴発だ〜ルートなんて正直どうでもいい! だね、鉛筆に関係ないしねw
口から溢れるはシャーペンへの憧憬〜だね、ペン先自体が回転してずっと尖った状態を保つシャープペンとかあるしねw
ラスト、消しゴムとも仲のいい鉛筆が文房具たちを『擬人化』させ切り、お題『文房具』たちの言葉をやや寂し気に語り尽くしたァ〜いい文房具愛を感じたぞ!

402 :この名無しがすごい!:2018/01/22(月) 09:49:09.34 ID:+Zbx1gZr.net
脱字った
梓さんねw

403 :この名無しがすごい!:2018/01/22(月) 09:53:45.51 ID:+Zbx1gZr.net
>>373
前回お題フル使用に挑む! クールジャパン的、闇の萌え事業〜w
もうね、僕の萌え嫁たんとか言っちゃう人は救いようがありません、そんな主人公の下に到着する謎の箱〜開封されて出てきたロック娘と猫娘、OKOK、うん、まあ、萌える!
次、文具ちゃん…いやほとんど鎧武者じゃねえかw 性格が良さそうだからいいけど
で次、鯖缶ちゃん「ん? どうした? アタシが気になるのか?(パカパカ)」←これはひどい 鯖だけにサバサバ、うまい!w なんて言わねえよw
物語はラスト、寝る場所がないほんわかオチ〜四つのお題をそれぞれ『擬人化』させてきっちり消化だ、笑わせてもらったぜェ>>373氏!

>>395
素早い着手で『星』『嘘つき』『ニーハイを履いてる彼女』『冬』『塔』などという支離滅裂お題・全盛りに挑戦するイチャラブトークだ!
おーこれは凄いな、作者395氏が『星』と『塔』との接着に「スーパーゼウス」を持ち出したかw でもネタふっる、まあ復刻版も出てるしねw
物語はウンチクを経てお題『ニーハイを履いてる彼女』を乗り越え、
ラスト、『嘘つき』誠先輩のツンデレがバレ、とにかく既成事実を作りたくてたまらない、すみかサンがとっつかまって説教オチへと収束だァ! 早急なるお題クリアに祝砲!!
しかしこのノリ、何やらデジャヴ感が……まひる、さん? い、いや、人違いだなw

404 :この名無しがすごい!:2018/01/22(月) 12:26:19.57 ID:iLVajKEx.net
>>403
いつも感想有難うございます
擬人化で検索しつつ、アイコンを付けただけのコスプレタイプから、某教育番組の目鼻だけ付けた九十九神系まで見ていて、思い付いたお話です
主人公は、もっと典型的イメージのオタクにしようと思ったのですが、ちょっと無理でした

405 :この名無しがすごい!:2018/01/22(月) 18:43:43.26 ID:dDj5/8dW.net
>>400
面白いは最高の褒め言葉!(と勝手に思っている)
ありがとうございました!


>>403
>スーパーゼウス
普通にオリュンポス十二神のゼウスとかで問題なかったのですが、なぜかスーパーゼウスが頭の中で俺を俺をと激しく主張してきました。
世代でもないのに不思議です。深夜ハイでしょうか

>まひるちゃん
バレた! そしてワンパターンさとボキャブラリーの貧困さが露呈した!
や、即興短編のキャラのほとんどは、手持ちのキャラにちょこっと変化をつけて派生キャラを増やしていく方針なんですが
それにしてもわかるものなんですね。脱帽です。自分、読解力ゼロで誰が何を書いてるかとかまったくわからないもので
書き分けについて猛省してきます
ありがとうございました!

406 :この名無しがすごい!:2018/01/22(月) 22:03:29.15 ID:gFdLXokK.net
うんうん、やはりそーだよね
他にそんなキャラクターは見たことがないから
それだけ濃ゆいってこったよw

407 :この名無しがすごい!:2018/01/23(火) 00:09:50.80 ID:Swe7Ie/t.net
キャラが立ってるのなら嬉しいですね
バリエーションじゃなくて新規キャラも考えないとダメですが

いつも感想ありがとうございます
最近はお題関連があまり投下できてなくて心苦しいですが、以前に頂いた分などを読み返したりしてとても励みになっています

408 :この名無しがすごい!:2018/01/23(火) 09:02:02.79 ID:r/YYEMcb.net
何気に塔が難しい

409 :この名無しがすごい!:2018/01/23(火) 10:10:23.09 ID:i5U6V8W/.net
英語で言うとタワー

410 :進行 :2018/01/23(火) 10:38:44.11 ID:CBz4uaTR.net
キマシタワー…?

411 :この名無しがすごい!:2018/01/23(火) 11:39:18.88 ID:r/YYEMcb.net
そういうお題消化もあるか!

412 :この名無しがすごい!:2018/01/23(火) 12:12:30.00 ID:i5U6V8W/.net
お題『書き出し「親父が失踪した」』の時は、皆、色々と頭を捻ってましたねぇ

413 :この名無しがすごい!:2018/01/23(火) 23:37:44.17 ID:OdBSkZs8.net
塔ときくとなぜか金田一を思い出す

414 :この名無しがすごい!:2018/01/24(水) 07:14:55.30 ID:swgwQZRR.net
使用お題:『星』『嘘つき』『ニーハイを履いてる彼女』『冬』『塔』

【片想いのラプソディー】(1/3)


「ラプンツェルは塔の上……」
「……どうした? ポエマー?」
「違げぇよ」

 玉城 直哉は机で頬杖をつく藤島 弘の視線を追う。彼の視線はクラスメイトの女子グループの一団に注がれていた。
 彼女達は冬にも関わらず、相変わらず制服のスカートを短く直しているが、しかしそれでも、やはり寒いのだろう。丈の長いニーソックスやタイツ等をはいている。

「あぁ、良いよなニーハイ」
「違げぇよ。ムッツリ」
「ムッツリ言うなやネクラ。長髪姫の事だろ?」
「…………」

 弘は溜め息を吐くと体を起こす。だが、視線は長髪姫こと谷本 耀子に注がれたままだった。

 耀子も弘達のクラスメイトであり、腰下まで伸びた艶かやな黒髪が美しい少女である。

「ククッ、図星か? なるほどなるほど、弘はパンスト派だったか、それじゃあ、長髪姫がパンストをはいて居ないのは不満だろうなぁ」
「黙れよ。ムッツリ」
「ムッツリ言うなや童貞。気になるんなら、You! 告っちゃいなYo!」
「なぜジャ〇さん? 違げぇよ、そんなんじゃねぇよ」

 ぶすっとしたまま弘が溜め息を吐く。と、視線に気が付いたのか、耀子が弘達の方を見る。
 直哉はこれ幸いと笑顔で手を振ったが、弘はフィっと視線を逸らした。

「どうしたの? 耀子」
「ん〜ん、何でもない」

 耀子はにこやかにそう答え、クラスメイトとのおしゃべりに戻った。

415 :この名無しがすごい!:2018/01/24(水) 07:18:54.32 ID:swgwQZRR.net
【片想いのラプソディー】(2/3)


 ******

「…………ただいま」

 コッソリと窺うように弘が玄関扉を開け、再び閉めた。
 が、その扉は中から勢いよく開かれる。

「なに閉めてるのよ! 弘!」
「……いや、学校に忘れ物を……」
「嘘言わないで!」

 ばつの悪い顔をする弘を睨むのは、帰ってきてから間も無いのだろう、制服にニーハイ装備の耀子だった。

「……!」
「あ! ちょ!」

 隙をついて一気に部屋まで上がろうとした弘だったが、しかしそれも耀子によって阻まれる。

「チッ」
「……何か言う事は?」
「タダイマ モドリマシタ オネエサマ」
「そうじゃなくて」
「?」
「アンタ今日、視線逸らしたでしょ」
「あっ……キ、キノセイジャナイカナ?」

 心当たりのありまくる弘は、挙動不審で顔を逸らす。が、頬を両手で挟まれ強引に正面へ向けられた。

「そ・ら・し・た・よ・ね?」
「………………はい」

 苗字の違うこの二人が同じ家に居るのは大した理由ではない。親同士が再婚するからだ。
 今は弘の父が出張で海外に居る為、籍こそ入れてはいないが、帰国し次第届を出す事に成っているらしい。
 実際、二人そろって役所に行く必要など無いのだが、披露宴をしない事もあり、初めての共同作業を……と言う事らしかった。
 そんな訳で今、弘は谷本母娘と暮らしている訳なのだが……

「ギブ! ギブギブ!! ギブアップですお義姉様!!」
「人の顔見て視線逸らすとか、あんた何考えてんの? みんなの前で恥かいちゃったじゃない!!」
「いや、学校では話し掛けるなって……」
「それは別」
「ひでぶ!」

416 :この名無しがすごい!:2018/01/24(水) 07:21:44.98 ID:swgwQZRR.net
【片想いのラプソディー】(3/3)


 3ヶ月程、耀子の方が誕生日が早かった事も有り、彼女の方が姉と言う事で落ち着いたのは良い。
 実の事を言えば、学校でも10本の指に入る美少女である“長髪姫”と家族になれると言う事で、多少の憧れもあった弘としては寂しさ一割、喜び九割だったのだが、その幸福は数時間と持たなかった。
 学校では眉目秀麗、成績優秀、その上性格も良いと思われた彼女だったが、その実、家ではとんだ暴君だったのだ。
 姉であると言う事で弘を奴隷の様にこき使い、理不尽な注文を付ける等、日常茶飯事。
 頼みの綱の彼女の母親は「あらあら、もう仲良くなったのね」等と、むしろ微笑ましい物を見る様な目を向け、生活地位の向上には全く役には立たなかった。

(ラプンツェルの元の話がとんでも無かったって話は聞いた事が有るけど、この“長髪姫”の本性もとんでも無かったよぉ!!)

 ラプンツェルと違って淫乱でないのが救いかも知れない。
 そんな訳で、弘の彼女に対する幻想は、木っ端微塵に打ち砕かれたのであった。

(塔の上の彼女を眺めているだけの方がまだよかったぁ!!)

 制裁のスコーピオンデスロックを喰らいながら、弘は心の底からそう思ったのだった。

 ******

「知ってるか? 星は遠くから眺めるから美しいって事を……」
「……どうした? ポエマー、さらに遠ざかってるぞ?」
「…………」

 昨日と同じ様に完璧な猫を被った義姉を眺めながら、弘は大きく溜息を吐いたのだった。

417 :この名無しがすごい!:2018/01/24(水) 10:12:39.84 ID:k8exoeBw.net
>>414
熟練のスレ民さえ苦言を漏らす今回のお題群、特に『ニーハイを履いてる彼女』『塔』の連結が一筋縄ではいかないぜ、苦境を見た414氏が腹黒っ子を助っ人に連れて参上だ!!
ラプンツェルは『塔』の上……唐突に呟く藤島くんの視線の先で笑うあの子、『冬』ゆえに『ニーハイを履いてる彼女』こと、長髪姫が登場〜うんいやパンストとかオーバーニーとか色々あるけどさ、それぞれ違う良さがあるよね!w
さあ気を取り直して物語の本編はここから、帰宅した藤島くんを待ち受けるは、長髪姫ェ!? 邪悪な本性を現した『嘘つき』耀子さんのサソリ固めがガッチリ組まれ、エロ、じゃない、悲運の展開が盛り上がる〜
冒頭の唐突さを解消すべく、414氏がここでラプンツェルを持ち出し技巧を尽くす! ラストのポエム、『星』は遠くから眺めるから美しい……この一文が冒頭ポエムの謎を解き明かして意味をなす〜これぞ文章世界のツープラトンだ!!
難題消化のために弾き出された題材選択は流麗な空中殺法を描き出し、お題を綺麗に使った物語がオチで捻って着地して、沸き起こるスタンディングオベーションの中でENDだあ!

418 :この名無しがすごい!:2018/01/24(水) 12:58:00.33 ID:swgwQZRR.net
感想有難うございます
最初はラプンツェルの元話がかなりの猥談だと話していてドン引きされると言う展開で考えていたのですが……
書いている途中で力尽きるほど色々と捻っていたらこうなりましたw

419 :進行 :2018/01/25(木) 22:00:02.82 ID:vr78F5SS.net
お題『星』『嘘つき』『ニーハイを履いてる彼女』『冬』『塔』〆

作品一覧
>>395【肉食彼女は今日も激しい】
>>414【片想いのラプソディー】

420 :進行 :2018/01/25(木) 22:00:21.03 ID:vr78F5SS.net
次の安価は、どうします?

421 :この名無しがすごい!:2018/01/25(木) 22:09:47.40 ID:V+Dgtolk.net
間に合わなかったorz

422 :この名無しがすごい!:2018/01/25(木) 22:12:49.77 ID:tdprrPVx.net
>>420
任せた

423 :この名無しがすごい!:2018/01/25(木) 22:15:35.87 ID:V+Dgtolk.net
1つのお題でじっくりとか?

424 :この名無しがすごい!:2018/01/25(木) 22:30:50.66 ID:wVQd76re.net
いつも通りでいいんじゃない?

425 :進行 :2018/01/25(木) 22:36:45.55 ID:vr78F5SS.net
ふーむ久しぶりに1お題でやってみますか
次のお題『>>426

426 :この名無しがすごい!:2018/01/25(木) 22:38:20.43 ID:wVQd76re.net
ロマンチック

427 :進行 :2018/01/25(木) 22:43:55.91 ID:vr78F5SS.net
お題『ロマンチック』

締め切りは1月28日 22時です!

428 :この名無しがすごい!:2018/01/25(木) 22:45:16.23 ID:tdprrPVx.net
ロマンチックw

429 :この名無しがすごい!:2018/01/25(木) 23:53:26.77 ID:woXZ4ST7.net
普通な単語だからこそ難しい

430 :この名無しがすごい!:2018/01/26(金) 00:00:25.72 ID:RtJPBuH8.net
これは難しい。そして恥ずかしいw

431 :この名無しがすごい!:2018/01/26(金) 02:54:44.25 ID:eebBhYwL.net
現実を離れ、情緒的で甘美なさま。また、そのような事柄を好むさま。

浪漫と言えば印象も変わるし、必ずしも色恋関係だけを指す言葉ではない、よね?

432 :この名無しがすごい!:2018/01/26(金) 12:55:29.98 ID:MguDo9bp.net
ロマンチックと言うには緩いかもしれません

使用お題:『ロマンチック』

【占い模様】(1/2)


 机の上でシャッフルされる大アルカナ22枚を操りながら小坂 詠美は相手の様子を窺う。目の前には天然の茶髪に、ややタレ目がちの少年の顔。

 高山 湊。

 彼女の幼馴染みである彼が、真剣な顔で詠美の手捌きを見つめている。
 敗北続きの告白に怖じ気づいた彼が、今度は上手く行くかをタロットが得意な彼女に占って貰いに来たのだ。

 詠美は、早生まれの為か他のクラスメイトより幼く見える彼の顔を眺め、つい口許が綻んでしまいそうになるのを取り繕うと、気を引き締め直してカードを纏める。

(あぶないあぶない、邪念が混じるトコロでしタよ)

 手元のカードを3角形を形作る様に1枚ずつめくり、さらに最後にキーカードを直感で選ぶ。

「あや? このカードは……」
「え? 何? どうだったの?」
「あ、あー説明するデスよ?」

433 :この名無しがすごい!:2018/01/26(金) 12:56:50.06 ID:MguDo9bp.net
【占い模様】(2/2)


 場に出ているカードは“戦車”の逆位置、“星”の逆位置、“塔”の正位置、そして“愚者”の正位置。

「まず、戦車、これが逆位置と言う事は、意味は『独りよがり』」
「うっ」
「そして、星の逆位置、意味は『高望み、身の程知らず』」
「ううっ」
「正位置の塔、意味は『避けようのない不幸』」
「あうう!」
「……と言う訳で、今回告白しても碌な結果にならないデスね」

 ふうっと、息を吐きながら詠美がそう言った。湊はガックリと肩を落とし溜息を吐く。

「そっか、でも、詠美ちゃんがそう言うんならそうなんだろうな……」
「デス」

 あからさま落ち込んでいる湊に、詠美はふわっと優し気な顔で微笑むと愚者のカードを指し示した。

「デモ、キーカードが愚者の正位置、意味は『自由な意思』……なので今は気を楽にしていつも通り過ごすと良いデスよ?」
「そっか、ありがと、はぁ、何で上手く行かないんだろう」

 詠美に言われ、湊はしょんぼりとしながらそう言った。
 湊は幼く見えるが整った顔立ちをしていて、下手をすれば女の子にも間違われかねない。
 その上、小柄な事もあって、マスコット的な人気があり、特に年上のおねーさんからの人気が高い。
 そんな感じで、昔から年上のおねーさんに構って貰っていた事もあり、彼は年上好きなのだが……

(だからこそ、『彼氏としてはちょっと』と思われるんデスけどね……)

 知ってはいても教える気はない。詠美は机に突っ伏した湊の頭をよしよしと撫でる。
 まるで子供の様な扱いだが、その事を湊が気にする様子はなかった。それほどまでに、二人にとっては当たり前の行動だからだ。
 ひとしきり撫でられた湊は、上目使いで詠美を見る。

「ねぇ、詠美ちゃん。また相談しても良い?」

 詠美は少し頬を赤らめながらも、ニッコリと微笑むと「いつでも良いデスよ!」と、言ったのだった。

434 :この名無しがすごい!:2018/01/27(土) 11:06:54.94 ID:bc5w6YZF.net
>>432
タロットカードに導かれて微笑ましい二人がやってきた〜フォーチュン・テリングin短編スレ!
今回のルールは単一お題! お題『ロマンチック』を作品内で消化出来ればクリアーとなるぞ?って誰だよ、このお題にしたのw
さあ、物語を主導するのはカード使いの詠美さん、しかしなぜカタコト? 湊くんの幼馴染だから日本歴は長そうだけど、占い師のキャラ作りなのかコレw
詠美さんが手ひどいタロットで湊くんの挑戦心をヘシ折り、上目遣いのショタに赤らめた頬でENDだぜ〜何だ倒錯感は、わざとキツいカード切ってるんじゃねえだろうな……
よし焦点は『ロマンチック』かどうかだ〜うーん恋占い自体はロマンチックだけど、友人の会話って感じがするぜ! もうちょいとろけてほしい感w

435 :この名無しがすごい!:2018/01/27(土) 11:08:47.76 ID:bc5w6YZF.net
おお申し訳ない
何だこの倒錯感は
でしたw

436 :この名無しがすごい!:2018/01/27(土) 12:32:00.65 ID:0VoaFt4w.net
感想をいつも有難うございます
自分でも緩いかもとは思ったのですが、恋人未満な気楽な関係とか好きなもので……

437 :この名無しがすごい!:2018/01/27(土) 21:47:05.10 ID:PCvjvZ9t.net
「ふう、そろそろ寝るか」
 颯太は、軽く息を吐きながら鉛筆を置いた。
 時計は午前0時を回ったところ。まだそれほど眠いわけでもないが、受験直前のこの時期になったらもう無理は禁物だ。
 高梨颯太(たかなしそうた)は、中学3年生。成績はまあまあ上の方だ。志望校も公立とはいえ県内では有数の進学校で、余程の大失敗さえなければ合格は間違いないだろうと担任にも太鼓判を押されている。
 となれば、今は何を置いても健康第一。体力を落としてインフルエンザになど罹ってしまったら目も当てられない。
 颯太は部屋の電気を消し、ベッドに入った。その時…、
 学習机の上に置いたスマーとフォンが光を放ち、同時に聞きなれたメロディーを奏で始めた。

「んだよ、もう」
 颯太は舌打ちしながらスマホを手に取ると、画面に示された発信人の名前を見て首を傾げた。
「ん?」
 クラスメイトの、鈴木奏(すずきかなで)からだった。
 奏は颯太とは成績も同じくらいで話も合う方で、クラスの中では同じグループに属していると言っていい間柄だ。
 別に付き合っている訳ではなく、二人きりで遊んだという記憶もないが、だからといって異性として意識してないかというと、そんなことは全くない。
 それどころか、卒業までに少しでも進展することはできないものかと毎日悶々とし続けているというのが本音だ。
 だからこそ、突然かかってきた電話に戸惑ってしまうのだった。

「もしもし…」
 何なんだ、この緊張感は。
「あ、高梨くん? こんばんわ…」
 耳元で奏でられる鈴の音のような声に、心臓が高鳴るのを感じる。奏でと奏…、ってアホか俺は。
「どうした? こんな遅くに」
「ごめんね。寝てた?」
「いや、起きてたよ。そろそろ寝ようと思ってたとこ」
 努めて平静を装う。
「そう」
「何かあったの?」
「ううん、何もないよ。なんか眠れなくて。ちょっと声を聞きたくなっちゃって…」
 俺の声を聞きたくなった? いや待て待て、過度の期待は身を滅ぼす元だ。
 ひそかに深呼吸をし、心を落ち着かせようとする。
 でも、そうだな。試験も近いし、こいつだって夜中に不安になったりすることはあるよな。
 そう思うと、ほんの少しではあるが本気で落ち着きを取り戻すことができた。
「そっか」
「うん…」
「……」
「……」
 うんと言ったきり、奏は黙り込んでしまう。
 颯太の方も何を言えばいいのか分からず、困った挙句に奏に向かって文句を言った。

「なんだよ」
「え?」
「何かしゃべれよ」
 奏は颯太のぶっきら棒な物言いに暫し絶句した後、同じように文句を返してきた。
「高梨くんこそ、何かしゃべってよ」
「何かって、なんだよ」
「なんでもいいから」
 なんで俺がそんなことしなきゃならないんだよ。
 教室の中でいつもやっている言い合いのような。本気ではないが少しはカチンと来る。
「何もないなら切るぞ」
「えー、意地悪ぅ」
 突然発せられた甘え声に、今度は颯太の方が絶句する。
「っ! な、何が意地悪だよ。ったく、しょうがねえなー…」

438 :この名無しがすごい!:2018/01/27(土) 21:48:43.79 ID:PCvjvZ9t.net
「あっ、ねえ。外見れる?」
 は?
「外?」
「うん。星がとってもキレイだよ」
「何なんだよいきなり。んーと…。うわっ寒っ!」
「えっ、窓開けたの?」
「あたりまえだろ、ガラス曇ってて見えねーもん。て、うわあホントだ。すっげー」
 窓の外は、満点の星空だった。
「ちょっと待ってて、私も開けるから。あはっ、ホントだ寒ーい。うっわあスゴーい! 空が全部お星さまだー!」
「おいコラ、なんでお前の方が驚いてるんだよ」
「えー、だって私はガラス越しに見てただけだもん。それでもキレイだったんだよ。けど、窓開けるとホントにすごいねー」
 正に星降る夜。窓から身を乗り出すと、頭上に見覚えのある形を発見した。
「あ、オリオン座みっけ」
「えっ、どこどこ?」
「頭の上の、ちょい南西のあたり」
「あっホントだ。おっきーい! あー三ツ星だー。小三ツ星もあるー」
 奏が子供のようなはしゃぎ声を上げる。
「小三ツ星なんてよく知ってるな」
「小学校で習ったもん、それくらい知ってるよー」
「んじゃあさ、小三ツ星の真ん中の奴って何だか知ってる?」
「何って、星じゃないの?」
「よく見てみ? ちょっとボヤけてない?」
「うん…」
「あれがかの有名なオリオン大星雲だよ」
「えっ、あれがそうなの!」
「知らなかっただろ?」
「うんうん! 星雲なんて望遠鏡でしか見えないと思ってた! えーっ、すごーい!」
「それと、オリオン座の少し右上の方にもっと大きな塊りみたいなのが見えない?」
「うん、あるある。ぼんやりって言うか、キラキラしてる」
「それが昴、プレアデス星団だ」
「えっ、あれが? すごーい、あんなにはっきり見えるんだー。うわー、こんなにちゃんと星を見たの初めてだよー」
「うん、俺もだ」
 二人は寒さも忘れて、天上の景色に暫し目を奪われた。

「ねえ、なんだか不思議だね」
 奏が、ポツリと呟く。
「何が?」
「だって、私達こんなに離れているのに、同じ星を見てるんだよ」
「そうだな」
「声だってすぐ傍に聞こえるし…。高梨くんが隣にいるみたい」
「…うん」
 本当にその通りだ。
「……」
「……」
「はくちゅっ!」
 突然耳元で炸裂する、可愛らしい破裂音。
「あっ、大丈夫か?」
「うん。あはは、ごめん。冷えてきちゃった」
「もう窓閉めよう。俺も寒くなってきた」
「うん。そろそろ電話も切るね。ありがとう、楽しかった。また明日学校でね」
「ああ、また明日」
 名残惜しくないと言えば嘘になる。でもまあ、明日になれば会えるんだし。
 と、窓を閉めようとした、その時だった。

439 :この名無しがすごい!:2018/01/27(土) 21:49:44.96 ID:PCvjvZ9t.net
「あっ!」
「あっ!!」
 二人は、ほぼ同時に声を上げた。
「鈴木っ、今の見たか!」
「うん見た見た! 流れ星!」
「だよな! 流れ星だったよな!」
 二人が目にしたのは、天空を流れる一筋の光だったのだ。
「うんうん! 絶対そうだよ!」
「すげー、初めて見たー。明日みんなに自慢してやろうぜー」
「えっ?」
 興奮しまくりの颯太の言葉に対し、奏は言葉を詰まらせた。
 えっ、て…。
「なんで?」
「だって…。私と電話で話してたって……、みんなに言っちゃうの?」
 あっ!
「そっか、そうだな…」
 深夜に二人っきりでおしゃべりしてましただなんて、恥ずかしくて言えるわけがない。
 それを考えると、颯太も顔を赤くして黙り込んでしまうのだった。
「あのさ…」
 再び、奏が口を開く。 
「ん?」
「これ…、私達だけの秘密にしない?」
「秘密?」
「うん…。誰にも内緒……」
「いいけど」
 すっげえ嬉しいけど。
「じゃあ、約束ね」
「うん…わかった」
「ふふっ。じゃあもう切るね、楽しかったよ」
「ああ。こんどは眠れそうか?」
「うん、いい夢が見られそう」
 こっちもだよ。
「じゃあまた明日な」
「うん、また明日」
 そう言って電話を切ろうとし、そのまま沈黙してしまう。 
 もう一度。
「おやすみ…」
「おやすみなさい…」
 そして再びの沈黙。
 その挙句に…。

「なあ、なんで切らないんだよ」
「だって、高梨くんこそ…」
 囁くように言い合う二人声はどこか嬉しそうでもあり、甘えているようでもあった。

440 :この名無しがすごい!:2018/01/27(土) 22:05:15.89 ID:PCvjvZ9t.net
なんとか間に合った
と思ったら文字数が大幅にオーバーしていました
3レスになっちゃったけど一行が短いから大丈夫だろうとちゃんと数えていませんでしたごめんなさい

441 :この名無しがすごい!:2018/01/27(土) 22:27:10.99 ID:PCvjvZ9t.net
変なのでちょっと修正

 奏は颯太とは成績も同じくらいで話も合う方で、
→ 奏は颯太とは成績も同じくらいでそこそこ気も合う、

 囁くように言い合う二人声はどこか嬉しそうでもあり、甘えているようでもあった。
→  囁くように文句を言い合う二人の声は、だがどこか嬉しそうであり、甘えているようでもあった。

442 :この名無しがすごい!:2018/01/27(土) 22:46:59.50 ID:PCvjvZ9t.net
締切り明日だしorz

443 :この名無しがすごい!:2018/01/27(土) 23:16:52.56 ID:0VoaFt4w.net
>>437
間に合わないよりよっぽど良いですよ
気になるあの娘と秘密の時間
同じ空を見上げて、同じ流れ星を見る……良いロマンチックですね

444 :この名無しがすごい!:2018/01/28(日) 07:31:00.85 ID:ENd0nVgz.net
使用お題:『ロマンチック』

【ロマン闘士】(1/2)


「キサマに恋愛相談をしてやろう」

 コイツが浅はかで唐突なのは今さらだが、今回はさらに意味が分からない。
 いや、言葉は分かっている。恋愛相談? コイツが?

「えーっと、誰の?」
「もちろん、オレだ」

「………………あ、うん」

 一瞬、思考がとんだ。え? マジで?

「キサマにはどんな告白をすれば付き合えるか考えて貰う」
「いや、ちょっと待て、何故そうなった」
「キサマは小賢しいからな、そう言う事も思い付くだろう」

 どうしよう、協力したくない。でも断ったら、ネチネチネチネチ何時までも煩わしそうだしなぁ……
 俺は溜息を吐いて訊ねる。

「で? どういう人なんだ?」
「何がだ?」
「お前が告白するって相手」

 すると、俄かにコイツの顔が怒りに染まる。

「キサマ!! 彼女の情報を聞き出してどうするつもりだ!! まさか、キサマも彼女を狙うつもりか!!」
「相手の事も分からずに、どう作戦を考えろと言う!!」

 そう言うと、『ああ、成程』と言う顔に成るも「だが断る」と言いやがる。

「何で?」
「オレの話を聞けば、キサマが彼女に惚れるのは自明の理! ならば教えるなど愚の骨頂では無いか!!」

 うおお、殴りてぇ。

「なら、あれだ、大体の女性はロマンチックな事が好きだから、そんな感じですれば良いだろ」
「ロマンチック?」
「ロマンチックだ」
「…………」
「…………知らんのか?」
「ぬ! 知っておるわ!! ロマンな感じだろう? ……いや、あれだ、そんな事で本当に効果があるのか疑問に思っただけだ!!」

 訊いといてそれか!! 殴る! 絶対に殴る!!
 そう決意し、拳に息を吹きかけていると、コイツが「ロマンチックロマンチック」と呟きながら走って行ってしまう。
 ぐおお! 拳のやりどころが無くなった!!

445 :この名無しがすごい!:2018/01/28(日) 07:34:07.90 ID:ENd0nVgz.net
【ロマン闘士】(2/2)


 ******

「よう!」

 コイツか……俺は後ろから声をかけられ振り向く。

「スパルタクス!!」

 剣闘士が居た。

「どうだ! ロマンチックだろう?」
「は?」
「これで、彼女をテルマエに誘えば一発と言う事だな!! では、行って来るぞ!!」
「いや、ちょ!!」

 言うが早いか、コスプレ野郎は走って行っちまった。何だ!? 何が起きた!!
 訳が分からず俺は呆然とするが、しかし、ヤツが『ロマンチックだろう』と言っていたのは確かだ。なら、そう思い至る何かがあったのだろう。そう思い、慌ててロマンチックについて調べてみる。

「これか……成程……」

 ロマンチック
 原義
・ ローマの、古代ローマの
・ ロマン主義的な
・ 恋愛の

 俺は忘れる事にした。

 ******

「キサマ! キサマの所為でオレは!!」

 暴漢が襲って来た。俺は殴りかかって来た拳を弾く様に受け流すと、その勢いで頭を抱え込み持ち上げる。

「うおお!?」
「せい! やああぁぁぁぁ!!」

 あたかも二人の人間によって形作られた塔の様な状態から、そのまま相手の頭を地面にたたき落とす。

 ── ブレーンバスター ──

「ブルータス!!」

 記憶を失って貰う事にした。

446 :この名無しがすごい!:2018/01/28(日) 08:48:33.29 ID:vyjY2f4f.net
>>437
意外に演出するのが難しい今回のお題『ロマンチック』〜437氏が正々堂々、正面突破するしかねえとばかり、字数オーバー侠客立ち、スターダスト・ラブトーク!
さあ颯太くんの安眠を妨害する様にかかった一本の電話、片思いだったはずの奏さんから「声を聞きたくなっちゃって」なる本音が零れ出す〜
目を引くのはかわいい破裂音、「はくちゅっ!」、分かるぜ〜女子のくしゃみは愛らしいね! あれは謎
くしゃみや寒気を小道具に読者の共感を引き込みつつ、二人の会話はオリオン大星雲、昴、プレアデス星団を経てラスト、このプラネタリウムは私達だけのひ・み・つw う、うわあ、あっまーいw
うん、奏さんが午前0時にかけてきたことのやむなき事情が欲しかった気もするけどw 夜景、冬の星空、電話での会話、これしかねえだろといったシチュエーション演出でお題クリアだ!

>>444
続いてお題『ロマンチック』に搦め手で挑戦する444氏、ブルータスお前もか!!
さあ男二人のどうしようもない恋愛相談が火を噴くぞ〜相談者「彼女の情報を聞き出してどうするつもりだ!!」←ダメだこいつ……常識が通じねえw
そんな友人に与えられたアドバイスは「大体の女性はロマンチックな事が好きだから、そんな感じですれば良い」、雑すぎんだろ
雑なアドバイスでローマを演出すれば良いと信じ込んだ常識知らずが、剣闘士の格好で女子を公衆浴場に誘おうとするww この話なんなんだよワロタw
『ロマンチック』をローマとの取り違いに摩り替えて驚異のお題消化だ!! 作者444氏の練りこんだコメディは、オチでブレーンバスターを仕上げ、見事なるブルータス・ロマン・フィニッシュだァ!

447 :この名無しがすごい!:2018/01/28(日) 13:02:51.15 ID:ENd0nVgz.net
>>446
いつも感想有難うございます
自分のローマ知識は“セ○タス”“テルマエ・○マエ”“スパ○タカス”しかありませんがw
最後の台詞は「エウレカ!!」にしようかと思ったのですが、ギリシャ人哲学者の台詞で有名なのでこうなりました

448 :この名無しがすごい!:2018/01/28(日) 22:57:58.53 ID:zJZhpOL+.net
あっ

449 :進行 :2018/01/28(日) 22:58:31.50 ID:zJZhpOL+.net
お題『ロマンチック』〆

作品一覧
>>432【占い模様】
>>437【無題】
>>444【ロマン闘士】

450 :進行 :2018/01/28(日) 22:59:11.96 ID:zJZhpOL+.net
つ、次の安価はどうしましょ…

451 :この名無しがすごい!:2018/01/28(日) 23:20:53.99 ID:ENd0nVgz.net
安価+ジャンル指定 とか?

452 :進行 :2018/01/28(日) 23:30:03.83 ID:zJZhpOL+.net
ではジャンルはなろう基準で
『異世界恋愛』『現実世界恋愛』『ハイファンタジー』『ローファンタジー』
『純文学』『ヒューマンドラマ』『歴史』『推理』『ホラー』
『アクション』『コメディ』『VR』『宇宙』『空想科学』
『パニック』『童話』『詩』

次のお題『>>453』+ジャンル『>>454

453 :この名無しがすごい!:2018/01/29(月) 00:02:36.08 ID:tUzAfiVd.net
ゲーム

454 :この名無しがすごい!:2018/01/29(月) 00:15:46.81 ID:8ONlSRzQ.net
童話

455 :進行 :2018/01/29(月) 00:22:55.16 ID:CYPj7sqI.net
お題『ジャンル 童話+ゲーム』

締め切りは2月1日 22時です!

456 :ぷぅぎゃああああああ :2018/01/29(月) 08:58:42.34 ID:rRI7XFQ6.net
 大きなベッドに黒雪姫が仰向けに寝転がっていた。不貞腐れたような顔で、すこぶる機嫌は悪い。
 その裸体に群がるのは七人の小人であった。額に汗して奉仕に努める。
 黒雪姫がわざとらしい溜息を吐いた。
「おい、右の乳首を吸ってるおまえ。もっと心を込めろよ」
「わ、わかりました」
「歯は立てるんじゃねぇぞ」
 言い足りない不満は溜息で紛らわした。
 黒雪姫は頭を少し浮かせた。股間に顔を埋めていた小人の横っ面に膝頭をぶつけた。
「おまえは犬か。舐めるだけしかできないのかよ。技巧を駆使しろ」
「す、すみません」
 痛む頬を摩りながら頭を下げた。小人は言われた通りに舌先に微妙な変化を加える。
「少しはマシになったな。やればできるじゃねぇか。もう少し励んだらバイブ役に任命してやるぜ」
 直後、黒雪姫の表情が苦痛に歪む。柳眉を逆立てて左を睨み付ける。狙い澄ました肘が小人の頭頂を捉えた。
「てめえは揉み過ぎなんだよ! 爪を立てるな! おおおおい、俺の新雪のような肌に爪痕が残ってるじゃねぇかっ!」
「ご、ごめんなさい。許してください」
「許すか、ボケッ! てめえはクビだ。森で野垂れ死んでろ!」
「そ、そんなぁぁ」
 気配を絶っていた屈強な二人が小人の両腕を拘束した。足が宙に浮いた状態で部屋から連れ出されていった。
 他の小人達は横目で見ながらも黙々と作業を続けた。明日は我が身という言葉が魂に刻まれていたのだ。
「にしても、つまんねぇな〜。もっとマシな小人はいないのかよ。明日は森で小人狩りだな」
 腹黒い本性を隠そうともしない。黒雪姫は品の良い唇をひん曲げてクククッと嗤った。

「ないわー。こんな世界はあり得ないわー」
 テレビの画面に向かって不満を零す。
 展開についていけなくなったのか。持っていたコントローラーを投げ出した。
「おい、黒雪姫! いつまでゲームしてんだ! 出番だぞ!」
「またなの? 今日は三回目なんだけど」
「これが見えないのか」
 小人は自分の股間を指差した。一部がこんもりと膨らんでいる。興奮の度合いが見て取れた。
 黒雪姫は大きな溜息を吐いた。
「はいはい、わかりましたよ。住み込みの条件ですからね」
「他の小人も待っている。早く用意をしろよ」
「わかってますって」
 部屋を出る間際、小人は舌打ちした。黒雪姫は逆撫でしないように媚を含んだ笑いを見せる。
「はあ〜、これが現実なのよね。ホント、性奴隷は楽じゃないわ〜」
 ボリボリと頭を掻きながら黒雪姫は部屋を出ていった。

457 :この名無しがすごい!:2018/01/29(月) 11:59:03.91 ID:+mQiJkQm.net
の、ノクターン……!
超絶加速バーストリンカーで脳内再生してしまった

458 :この名無しがすごい!:2018/01/29(月) 12:26:21.25 ID:0y1MbH5f.net
>>456
本来の海外の童話はこう言った艶話が多かったそうですねw
自身の境遇を真逆のシュチュエーションのゲームで慰めると言うシュールさが面白かったです

459 :この名無しがすごい!:2018/01/30(火) 08:58:17.09 ID:ZlEomdCI.net
>>456
新型お題に挑戦、本当はエロいグリム童話がお目見えだぜ〜これは性描写にうるさい進行氏が困ってそうだなw
今回のルールはジャンル指定! 『童話』の中でお題『ゲーム』を消化せよ〜どら軽くひねってやるかと某スレ運営人が吶喊だ!
話は全身を攻めさせる黒雪姫でスタート、うんこれは素直に最高w おぉ、「言い足りない不満は溜息で紛らわした」とか「足が宙に浮いた状態」とか、見よこの描写、声の雰囲気・サイズをさりげ映像化するこの技量! 目に浮かぶぜ〜魅せてくれるなオイ!!
さあ後半に入ったAVじゃなかった物語の、オチは……こ、これ自体が『ゲーム』ゥ!?w 女王様より一転、性奴隷に転落した黒雪姫の愚痴でネガポジ反転ENDだァ!
なるほど、本当はエロいのに綺麗にパッケージングされてしまった童話というフィクションを、もう一段『ゲーム』というフィクションへと入れ込んだ、ただのエロ小噺かと思わせて意外に深い(失礼!) 一種哲学的ダブル・入れ子フィクションでお題をクリアだ〜

460 :この名無しがすごい!:2018/01/30(火) 18:06:01.85 ID:XWoajA5o.net
使用お題:『ジャンル童話+ゲーム』

【時計さん家の3兄弟】(1/3)


 時計さん家の針3兄弟は働き者です。
 今日も一日、休まずチックタックチックタックと働いています。
 ですが、毎日同じように働いていると、さすがに飽きてきます。

「う〜ん、こう、毎日同じだと飽きてしまうな」

 長男の長針がそう言いました。

「仕方ないよ兄さん、それが仕事なんだから」

 次男の短針がのんびり言いました。

「そんな事よりお兄ちゃん達、見てよ! オイラこんなに速いよ!」

 末っ子の秒針がせかせか言いました。
 通りすぎて行く秒針を見ながら、長針がなにか面白いことがないかと考えます。
 すると短針が言いました。

「兄さん、数あてゲームをしようよ」
「数あてゲーム?」

 そうたずねられ、短針はのんびりと説明します。

「そう、明日1日で兄さんがボクを何回追い越せるかをあてるんだ」
「競争じゃないのか?」
「ボクじゃ兄さんには追いつけないよ」

 それもそうかと長針は思った。

「秒針はどうする?」
「オイラはやらないよ、だって、走ってるだけでも楽しいもの!」

 せかせかと通りすぎながら秒針は、そう言いました。

「じゃあ、ボクと兄さんであててみよう。そうだねぇ……」
「オマエが考えたゲームなんだから、オレから答えさせろよ」
「それもそうだね、じゃあ、兄さんから」

 そう言われ、長針は考えます。

(明日の1日だから、ええっと、24時間か。オレは1時間で1回、短針を追いこせるから、24時間で24回だな!)

「オレは24回だと思う」
「う〜ん、ボクは何回にしよう」

 短針がのんびりと考えます。

「おーい、早く答えないと、はなれてしまって声が聞こえなくなってしまうぞ?」
「ああ! どうしよう! ええっと、じゃあ、23回だ!」

(あわててて、オレの1つ少ない数にしてしまったな? でも、勝負は勝負だ!)

「じゃあ、オレが24回で、オマエが23回だな?」
「う、うん」

461 :この名無しがすごい!:2018/01/30(火) 18:09:13.80 ID:XWoajA5o.net
【時計さん家の3兄弟】(2/3)


「なら、勝ったほうは、ゴハンの電気を少しだけ多く食べれるようにしよう」
「ええ!」
「ふふ、いまさら『止めた』はなしだぞ? ああ、明日が楽しみだ」

 長針はそう言いました。

 ******

 次の日、0時に皆はいっせいに走り出します。
 トップを走るのは秒針。そのつぎが長針。最後が短針です。

「オイラが1番だ!」

 秒針がせかせかと言います。
 それを見て、長針がため息をつきました。

「まったくアイツは、競争じゃないんだぞ?」
「それ以前に秒針は参加していないよ?」
「そう言えばそうだな」

 そう言って二人は笑いました。

「さて、オレもがんばるか!」

 長針がそう言います。

「そうだね、ボクもがんばるよ」

 短針ものんびりと言います。
 そうして二人は走ります。

 チックタックチックタック。チックタックチックタック。

 長針は追い抜くたびに「いーち」「にー」と数えながら進みました。
 そのおかげで短針に追いつくのが楽しみで、あっという間に時間がたってしまいました。

「さーて、ここまで23回おいぬいたぞ。思った通り24回だ」

 そうこうしているうちに、短針の背中が見えます。
 すこしずつ近づき、さぁ追いこそうとしたしゅんかん!

462 :この名無しがすごい!:2018/01/30(火) 18:11:44.64 ID:XWoajA5o.net
【時計さん家の3兄弟】(3/3)


 ボーン、ボーン、ボーン、ボーンと12回鐘がなります。午前0時です。

「あれ?」

 長針はおどろきました。23回しか追い抜けなかったからです。
 新しい日になって、長針が短針のようすをチラリと見ると、彼はイタズラが成功したといった表情でニンマリとわらいました。

「ああ、いっぱい食わされた!」

 長針はくしょうして、ため息をつきます。

「ボクはズルをしたから、電気はふつうでいいよ」
「いや、勝負は勝負だ。オマエはすこし多く食べていいぞ」

 そうやって、どっちが勝ったと言い合って居ると、秒針がせかせかと通りすぎます。

「お兄ちゃんたち! ほら、オイラはもう一周してきたよ? やっぱりオイラが1番だ!」

 まったくいつもと変わらない秒針のようすを見て、二人はわらい出します。

「兄さん、ボクはみんなで分けたいな」

 短針がのんびりと言いました。

「そうだな、みんなで分けあって電気を食べよう!」

 長針もわらいながら、そう言いました。

 チックタックチックタック。なかよし兄弟は今日もなかよく、時間をきざむのでした。

463 :この名無しがすごい!:2018/01/31(水) 10:02:26.94 ID:TQ5KL6H/.net
>>460
時計の針から生まれた兄弟が、お題『ジャンル童話+ゲーム』を描くぞ〜とけい♫とけい♫とけい三兄弟!!
さあチックタックと時を刻む三兄弟、長針のぼやきから『ゲーム』が生まれた〜秒針が狂った走り屋みたいになってるなw
随所に差し込まれるひらがな表記、針の速度に応じたキャラクターの描き分けは子供にだって分かりやすく、これぞまさに童話〜460氏の工夫が光る一品だ〜
オチは、いっぱい食わされた長針と、最もスローに考える冷静なる策士・短針! キャラの丁寧な描き分けが牧歌的ENDを結ぶ、童話的完成度の高いお題クリア!!
でも待て、このゲームはGoogleの入社試験問題でもある……時計の長針が短針を一日で追い抜く回数は、感覚的には23回、しかし実際は時計盤上11時-12時までのターンにおいて長針は短針を追い抜くことができず12時ジャスト時点で追いつく
同現象が24時間中に2回起こるため、ストーリー上の答えは21回になるんじゃないのって気もするけど間違いかコレ!w

464 :この名無しがすごい!:2018/01/31(水) 10:05:28.68 ID:TQ5KL6H/.net
文字化け部分は音符でしたw
失礼

465 :この名無しがすごい!:2018/01/31(水) 12:22:43.23 ID:7lu0PQ4z.net
感想と、ご指摘有難うございます
学の浅さが露呈してしまいましたねw
話事態は、電池切れで秒針が動くけど進まない時計を見て思い付きました
童話と言うより絵本向きの話かな? と、書いてから思いましたが……

466 :この名無しがすごい!:2018/01/31(水) 13:27:36.97 ID:TQ5KL6H/.net
うん、この語りのクオリティは実際、絵本にあってもおかしくないw
知育っぽいしね

467 :進行 :2018/02/01(木) 22:00:01.31 ID:jGXZf07O.net
お題『ジャンル 童話+ゲーム』〆

作品一覧
>>456【無題】
>>460【時計さん家の3兄弟】

468 :進行 :2018/02/01(木) 22:00:57.69 ID:jGXZf07O.net
さて…

469 :この名無しがすごい!:2018/02/01(木) 22:52:08.53 ID:u6vcHV7Y.net
節分

470 :この名無しがすごい!:2018/02/01(木) 23:05:46.46 ID:HVwIxyEF.net
鬼は親切な人格者

471 :この名無しがすごい!:2018/02/01(木) 23:17:14.90 ID:h3E1Nltf.net
ん? いつもの感じでいいの?
五つお題だったら『ほんのり切ないお話』

別のパターンでいくなら進行さんお願いします!

472 :この名無しがすごい!:2018/02/01(木) 23:26:34.13 ID:jGXZf07O.net
おっと、次の形式の話題にしようとしたら早速安価になってるね
じゃあ5お題であと↓2つを

473 :この名無しがすごい!:2018/02/02(金) 00:40:26.03 ID:7N+vuXAu.net
桃太郎

474 :この名無しがすごい!:2018/02/02(金) 00:42:38.97 ID:o7+Mpxoa.net
うなぎ

475 :進行 :2018/02/02(金) 00:45:07.99 ID:jLMH3hTB.net
お題『節分』『鬼は親切な人格者』『ほんのり切ないお話』『桃太郎』『うなぎ』

締め切りは2月4日 22時です!

476 :この名無しがすごい!:2018/02/02(金) 01:29:14.23 ID:L/GmCA80.net
なんか今回はお題全選択するとスゲエテンプレ化しそうなのが揃ったなw

477 :この名無しがすごい!:2018/02/02(金) 08:31:07.15 ID:abPYIgox.net
>>476
桃色太郎のオマメを鬼が股間のウナギで優しく愛撫するというほんのり切ないお話ですよね分かります

478 :この名無しがすごい!:2018/02/02(金) 08:56:54.23 ID:hRBt2Lsk.net
>>477
一作できましたね

479 :この名無しがすごい!:2018/02/02(金) 10:12:19.86 ID:nNg6T9qt.net
色々と微妙に違っていますがw

480 :この名無しがすごい!:2018/02/03(土) 22:52:26.48 ID:161J5fFx.net
なんとなくボカロの「鬼と娘」のようなストーリーが思い浮かんだ。

481 :この名無しがすごい!:2018/02/03(土) 23:25:41.89 ID:HeGydClY.net
何とか、今日に間に合いました……

使用お題:『節分』『鬼は親切な人格者』『ほんのり切ないお話』『桃太郎』『うなぎ』

【桃太郎伝説】(1/3)


「おに、は、うち」
「ふく、は、そと」

 豆を握った子供達がジリジリと近付いて来る。
 邪気を持たぬが故に邪を祓う豆で祓われず、鬼ゆえの強大な怪力を持つ……子鬼。子供の鬼である。

 桃太郎は、常人であれば死んでいてもおかしくはないダメージを負い、すでに刀も取り落としていた。お供の犬、猿、雉も白目をむき、舌をだらんと垂らしたまま沈黙している。

 桃太郎は、この鬼ヶ島に来た事を後悔し始めていた。
 いや、鬼の悪逆非道に対する義憤に立ち上がった事に後悔はしていない。
 彼は自身の無知こそを後悔したのだ。
 日本一と言える膂力を持っていた。頼もしい仲間が揃っていた……ただし、人基準で……だ。

 鬼は、正しく人外だったのだ。

 人の想像の埒外に居るモノ。桃太郎の思っていた程度の存在ではなかった。
 そして、日も悪かった。普通であれは魔が祓われ、鬼の力が落ちるであろう節分。
 だが鬼ヶ島は、福を払い出し、鬼を呼ぶ。
 つまり、日本で最も鬼の力が集まるのが節分の鬼ヶ島だったのである。

 前兆は有ったのだ。
 鬼ヶ島に上陸した時、その城門に飾られていた物……

 鰻の蒲焼き。

 串打ちし、丹念に焼き上げられたそれが香ばしい匂いを放って居た時、(何だこれは?)とは思った。
 桃太郎は分からなかったが、蒲焼きに使われていた串は、虎斑竹。そして鰻と言えば、土用の丑の日。“丑の日”と“虎”……丑寅……つまりは“鬼門”である。
 普段は飾ってはいない門飾り。だか、節分のこの日は、柊鰯に対する物として飾ってあったのだ。
 桃太郎一行は、意味が分からないとスルーしたのだが、この時点で相手の事を何も知らないと言うことにこそ気付くべきだった。

 出会い頭に攻撃を受け、成す術もなく負傷した桃太郎。何とか後退る事は出来るものの、ジリジリと近付いてくる鬼から逃げる事は叶わなかった。
 豆を掴んだ腕が振り上げられる。

(ここまでか……)

「待ちなさい! 子供達!」

 覚悟を決めた桃太郎。しかしその時、子鬼の行動を止める声が響き渡る。
 桃太郎と子鬼の間に立ち塞がった者。それもまた鬼だった。

482 :この名無しがすごい!:2018/02/03(土) 23:29:09.51 ID:HeGydClY.net
【桃太郎伝説】(2/3)


 ******

「それは悪鬼かもしれない」

 桃太郎を助けた鬼は温羅と名乗った。彼ら、鬼ヶ島の鬼は邪念を喰らう彼岸の住人だと言う。
 彼は、侵入者でしかない桃太郎に、私欲ではない理由がある事を見抜いていた。
 それ故に、温羅は事情を訊ね、思う所のできた桃太郎もまた、素直に話した。
 そして彼の口から出たのがその言葉だった。
 温羅の話では、邪念に人が憑かれると、その者は悪鬼と成ると言う。

「馬鹿な! なら、あの鬼共は人だと言うのか!?」

 信じ難い話だが、温羅には嘘を言っている様子はなかった。 
 今暴れているのが悪鬼であり、鬼ヶ島の住人とは根本的に違うものであるなら、ここに居る理由などない。
 すぐにでも悪鬼の根城を調べ、そちらを倒さなければ成らないだろう。だが……
 チラリと未だ意識を取り戻さないお供達を見る。

「私が代わりにお供をしよう」
「なに?」

 桃太郎は耳を疑った。だか、こうしている間にも罪なき人々が苦しんでいるのも事実。
 桃太郎は少し考え、そして温羅の手を取った。

483 :この名無しがすごい!:2018/02/03(土) 23:32:07.35 ID:HeGydClY.net
【桃太郎伝説】(3/3)


 ******

 温羅は“釜鳴りの法”と言う秘術を使い、あっという間に悪鬼の根城を暴き出した。

「あれが悪鬼」

 山中に砦を築いていた悪鬼は、理知的に見える温羅達と違い、醜悪な外見をしていた。
 思えば桃太郎が想像していた“鬼”とは、かの様なモノだったはずだ。

(とんだ考え違いをしていたものだ)

 自身の無知を恥じていると、温羅から声が掛かる。

「作戦はどうする?」
「時間をかけたくない、数では不利だが一気に行く。一騎当千の力、今度こそ見せてやろう!」
「成る程、分かり易い! 行くか!」
「応!」

 砦へと飛び込んだ二人に悪鬼が群がって行く。襲撃者がたった二人と言う事で、悪鬼達は逃げるより応戦することを選択したのだ。

 そして二人は“殲滅”する。

 刀で縫い付けられた悪鬼の主領が二人を睨む。すでに手下で生きている者はいなかった。

「ヂグショウ!! 道連ニシテヤル!!」

 最期と悟った主領の邪気が絶望的な程に膨らむ。

「自爆か!」

 無駄かもしれない……そう思いはしたが、温羅は頭を庇い、目を瞑った。

「っ……?」

 予想よりも遥かに少ない衝撃に、温羅が目を開く。
 そこには自らの体で爆発を押さえ込んだ桃太郎がいた。崩れ落ちる彼を温羅が支える。

「桃太郎、何故……」
「気に……するな、恩を……返しただ……け……」
「!!」

 その後、悪鬼に取られた財産を1人返して回る男がいた。

「あ、あなた様は?」

「私は……桃太郎だ」

484 :この名無しがすごい!:2018/02/04(日) 08:18:23.14 ID:JVw5s6X/.net
>>481
あ、あの有名人が当スレッドに!? 選択お題はフルチョイス! 桃太郎IN短編スレ節分バージョン! 作者481氏、よくぞこの日に間に合わせたな、世は『節分』、短編スレにやってきた桃太郎が鬼めらに刀を向ける〜
物語は早くも豆で追い詰められた『桃太郎』からスタート、どんだけ豆投げられたコレw 鬼が島を飾るは不吉なる門飾り〜鰻の蒲焼きに使われる串は虎斑竹、『うなぎ』と言えば、丑の日、これで丑寅、つまりは、鬼門、で、柊鰯に対抗w
なんだこの連想スゲエ! しかし桃太郎一行、これを意味が分からないと華麗にスルーしたw
暴徒と化した桃太郎一行らの命を理知型の鬼が救って『鬼は親切な人格者』をクリア〜、桃太郎「チラリと未だ意識を取り戻さないお供達を見る」←死んでる…とか思ってそう
鬼をお供にタッグを組んだ桃太郎が、悪鬼らを蹴散らし自爆を阻止! 一度は捨てたこの命…どうせ散りゆく運命ならば綺麗に咲かせてみせましょう、物語は涙こみ上げる、恩返しに応える恩返しオチで、『ほんのり切ないお話』までを完全クリアーだァ!

485 :この名無しがすごい!:2018/02/04(日) 09:24:29.01 ID:DE0UHIE6.net
芥川も桃太郎を書いていましたね。

486 :この名無しがすごい!:2018/02/04(日) 12:53:09.96 ID:AT+R0ZFI.net
>>484
感想を有難うございます
時代考証はしない方向でw

487 :進行 :2018/02/04(日) 22:00:23.06 ID:kjV/vMek.net
お題『節分』『鬼は親切な人格者』『ほんのり切ないお話』『桃太郎』『うなぎ』〆

作品一覧
>>481【桃太郎伝説】

488 :進行 :2018/02/04(日) 22:02:07.30 ID:kjV/vMek.net
さてさて?

489 :この名無しがすごい!:2018/02/04(日) 23:08:03.27 ID:LbAdw3Nz.net
お題タイムか

490 :この名無しがすごい!:2018/02/04(日) 23:13:56.40 ID:WjFmzsXc.net
いつも通りでいく?
また安価+ジャンル指定でもやる?

491 :この名無しがすごい!:2018/02/05(月) 00:08:07.66 ID:7jgOoaXm.net
人の減り具合的に、デフォルトの期間長めにしてもいいと思う
進行さんも正直大変でしょ……っていうか、書く気があって話練ってるうちに気がついたら〆ってことがあったりするw

492 :進行 :2018/02/05(月) 00:45:15.55 ID:mfY8uTb9.net
そやね一週間とろうか
またジャンルお題が見たいので
『異世界恋愛』『現実世界恋愛』『ハイファンタジー』『ローファンタジー』
『純文学』『ヒューマンドラマ』『歴史』『推理』『ホラー』
『アクション』『コメディ』『VR』『宇宙』『空想科学』
『パニック』『童話』『詩』

次のお題『>>493』+ジャンル『>>494

493 :この名無しがすごい!:2018/02/05(月) 01:17:15.01 ID:7jgOoaXm.net
ポニーテール

494 :この名無しがすごい!:2018/02/05(月) 01:56:16.07 ID:PFVy9w2Z.net
ジャンル『詩』で
難解なお題に苦しむがよいわ、なんてね
私も思いつけたら書きます

495 :進行 :2018/02/05(月) 01:58:02.65 ID:mfY8uTb9.net
お題『ジャンル 詩+ポニーテール』

締め切りは2月11日 22時です!

496 :この名無しがすごい!:2018/02/05(月) 14:37:01.45 ID:CvhGhPTK.net
詩!?

497 :この名無しがすごい!:2018/02/05(月) 15:06:17.95 ID:OLXGFtIq.net
春近し
気分新たに
ポニテにす

一応、世界最短の詩ですが、どうなんでしょう?

498 :この名無しがすごい!:2018/02/10(土) 06:55:16.66 ID:cgzL7Q0U.net
色々調べて見たのですが、詩の作法が分かりません
これで良いのでしょうかね?

使用お題:『ジャンル 詩+ポニーテール』

【何者でもない恋の唄】


遠くから聞こえる
漣の様に
気がつけば気になる
心がざわめく

何と名づければ良いのか
淡い靄のような想いを

まるで目が見開かれたように
鮮やかな光が満ちてる

何者でもない自分の
放り投げた気持ちが
いつの間にか君へと落ちてた

放課後の校庭で
揺れる君のポニーテール
ただそれを見つめる
未だ何者でもない自分

なぜか目が追っている
君の姿に
気がつけば気になる
心がざわめく

どう紡げば良いのだろうか
絡まりあった金色の糸を

ほどこうともがいてみても
散らかって手に余る

怯えるだけの心が
なのに君だけを求めて
いつの間にか絡まってる

いつもの帰り道で
揺れる君のポニーテール
ただそれを眺める
未だ何者でもない自分

499 :この名無しがすごい!:2018/02/10(土) 20:14:17.80 ID:AlDy+3GV.net
期間伸ばしたくせに全然変わらないじゃないか
お題がさすがに悪すぎたのか?
やっぱ5つ安価が一番安定してていいかも

500 :この名無しがすごい!:2018/02/10(土) 22:03:03.14 ID:cgzL7Q0U.net
詩は難しかった
でもまあ、後1日有りますから

501 :この名無しがすごい!:2018/02/11(日) 09:13:20.25 ID:2Bx9fTE1.net
>>497
なぜか男らしさが伝わってくる

>>498
お題『ジャンル詩+ポニーテール』なる発表に「詩!?」と仰天するスレ民にワロタ
さあ、詩には門外漢の作者498氏が描く〜話しかけられもしない好意は後方からしか彼女を見ること叶えず、目に映るパーツは『ポニーテール』〜どこか懐かしい恋の半熟、こいつは初々しい動揺に読者が相乗りする青春18きっぷだ〜
そうそう、気付けば姫ポジ、張り付く視線、少年少女よ、それが青春だw
後半、光るは「どう紡げば良いのだろうか 絡まりあった金色の糸を ほどこうともがいてみても 散らかって手に余る」、この一文!
語り手の混乱を手に取るごとくの形象化〜おお、事物に心情を語らせるこの感じ、コレコレ、『詩』きた詩って感じでお題をクリアし、作品はEND!!w

502 :この名無しがすごい!:2018/02/11(日) 18:04:22.41 ID:pxlMZHS1.net
>>501
感想有難うございます
詩と言われて真っ先に思い付いたのが
ノストラダムスの四行詩と言うw
何とか詩の体裁に成っていたようで胸を撫で下ろしました

503 :この名無しがすごい!:2018/02/11(日) 22:41:43.25 ID:pxlMZHS1.net
最後に一句

黒髪の
ポニーテールを
町で見て

前に回ると
ロン毛の男

504 :進行 :2018/02/11(日) 22:54:26.09 ID:KpYftWka.net
あっ…

505 :進行 :2018/02/11(日) 22:56:01.31 ID:KpYftWka.net
お題『ジャンル 詩+ポニーテール』〆

作品一覧
>>498【何者でもない恋の唄】

506 :進行 :2018/02/11(日) 22:56:52.76 ID:KpYftWka.net
次は5お題でよいですか?

507 :この名無しがすごい!:2018/02/11(日) 23:28:54.24 ID:pxlMZHS1.net
良いと思います

508 :進行 :2018/02/12(月) 00:28:58.62 ID:T84ij93P.net
では
次のお題『>>509‐513』

509 :この名無しがすごい!:2018/02/12(月) 00:48:45.73 ID:BoZiPOza.net
催眠術

510 :この名無しがすごい!:2018/02/12(月) 01:09:28.85 ID:u3opQjWl.net
将棋

511 :この名無しがすごい!:2018/02/12(月) 02:19:27.87 ID:SvYXuvKG.net
ワイン

512 :この名無しがすごい!:2018/02/12(月) 03:52:58.36 ID:aD2NxAD6.net
バレンタインデー

513 :この名無しがすごい!:2018/02/12(月) 06:15:53.53 ID:U6RqQ3d4.net
ビットコイン

514 :進行 :2018/02/12(月) 11:50:03.42 ID:T84ij93P.net
お題『催眠術』『将棋』『ワイン』『バレンタインデー』『ビットコイン』

締め切りは2月18日 22時です!

515 :この名無しがすごい!:2018/02/13(火) 18:36:58.68 ID:+0fBw5jn.net
使用お題:『催眠術』『将棋』『ワイン』『バレンタインデー』『ビットコイン』

【娘棋士】(1/2)


 パチンッ!

「だから、電子マネーとは違うんだってば」
「だけど、どの道、電子決済とやらに成るんだろ? 何が違う?」

 パチンッ!

「電子マネーはあくまでお金をチャージしてるだけでぇ」
「いや、そのビットコインだとかも、お金代わりなんだろう?」

 パチンッ!

「お金代わりじゃ無くてお金その物って言うか……」
「分からんなぁ、お前の話はチンプンカンプンで、まるで謎の呪文か催眠術だ」

 パチンッ!

「自分で聞いて来たくせに……」

 わざとらしく大欠伸をする父を前に、香織は小声で呟いた。
 盤面は香織の不利な状況に傾きつつある。
 香織の父、桂馬は素人ではあるが将棋の上手い人で、その相手をしていたからか、彼女も将棋にどっぷりハマった。
 その為、香織は女流棋士となったのだが、そんな彼女と桂馬との実力差は殆ど無いと言って良い。
 桂馬は局面が進むと、良く話し掛けて来る。
 相手のペースを乱す為の盤外戦術なのかもしれないが、勝っていようが負けていようが特に関係無く、例え香織が受け答えをしなくても一方的に話し掛けてくる事を考えると、ただの癖かもしれない。

 パチンッ!

 本来であればマナー違反ではあるのだが、公式戦と言う訳でもない家将棋の為、香織もそうそう目くじらを立てない様にしていた。
 それでも多少、鬱陶しいと思う位は仕方の無い事だろう。

「……あ、そうだ、お父さんに渡すもが有ったんだ! ちょっとゴメン」

 そう言って香織は立ち上がる。一言断っている以上、こっちはマナー違反と言う訳ではないのだが、しかし桂馬は顔を顰めた。
 折角、良いリズムで打てていた事もあり、タイミングをずらされた様で、あまり面白くなかったからだ。

 戻って来た香織は何かを隠す様に後ろ手に持っている。
 桂馬は少し眉根を寄せるが、身構えてもしょうがないだろうと溜め息を吐く。

516 :この名無しがすごい!:2018/02/13(火) 18:39:37.78 ID:+0fBw5jn.net
【娘棋士】(2/2)


「はい! ハッピーバレンタイン〜!!」
「はぁ?」

 ラッピングを施された派手目の紙袋。バレンタインと言う事は、中身はチョコなのだろうと考えた桂馬は、先程とは違う意味で溜め息を吐いた。

「おい、そりゃ嫌がらせか?」
「やだなぁ、お父さんがチョコレートが嫌いだって事は知ってるってば」
「なら、お前……」
「いいからいいから、開けて開けて」

 グイグイと押し付けてくる娘の強引さに負け、手に取った桂馬は、その意外な重さに訝しむ。
 期待するような香織の眼差しに気圧されながら袋を開いた桂馬は、入っていた物に目を瞬かせた。

「……ワイン?」
「そ、バレンタインワイン。チョコは駄目でも、それならいけるでしょ?」
「バレンタインワインとか、また、食品業界に踊らされて……」

 口元を押さえながら桂馬がそう言う。

「何よ、素直に喜んでくれたって良いでしょ?」

 パチンッ!

 膨れっ面になった香織の一手に、桂馬は少し考えて、取っていた歩兵に手を伸ばした。

「気にしちゃ駄目よ? 香織。お父さんがそうやって口元を隠すのは、嬉しがってる時なんだから」
「!!」

 パチンッ!

「おい! 母さん!!」

 余計な事を口にする妻に、桂馬が抗議の声を掛け様とした、その時。

「あ!」
「え?」

 香織が声を上げ、桂馬が盤面を確認して渋い顔になる。
 打ち筋を間違ったのだ。

 ******

 結局、この日の対局は香織が勝ち星を伸ばして終わった。

「あの時、母さんが話しかけなければ、勝っていたのは俺だったんだ」
「ハイハイ、勝っちゃってすみませんねぇ」

 ぶつくさと不機嫌そうに文句を言う桂馬を背にして、香織は肩を竦めた。
 と、母がちょいちょいと彼女の肩をつついて指をさす。
 何かと見れば、桂馬がワインの瓶を眺めながら口元を押さえている所である。
 二人はついつい「ぷっ」と吹き出してしまい、桂馬にジロリと睨まれたのだった。

517 :この名無しがすごい!:2018/02/13(火) 22:29:25.57 ID:pyfvwI5G.net
>>515-516
お見事!

518 :この名無しがすごい!:2018/02/14(水) 07:25:11.29 ID:85Wb0+ql.net
>>517
有り難うございます!
ただ、将棋だから打ち筋ではなく指し筋だったと、今さら気が付きましたorz

519 :この名無しがすごい!:2018/02/14(水) 10:15:16.90 ID:5l/5pCZP.net
>>515
ふふふ、お題に『ビットコイン』を指定したのは誰だと思う? 何を隠そう、俺だ……どうだこの並び、フルチャレンジは難しかろうて、と思っていたらさっそく投稿w 親子の縁台(?)将棋INバレンタイン〜
ナルホドこうくるか、『ビットコイン』の説明をする主人公を書き出しに、516氏が、仮想通貨の難解さを利用して、会話に『催眠術』をさりげなく紛れ込ませ、『将棋』まで含め三つ消化! 
残るお題『ワイン』『バレンタインデー』は父、桂馬さんへの唐突なプレゼントでまとめ、親子将棋は、愛娘の香車じゃなかった香織さんによる勝利と心温まるニヤニヤオチで飾られた!
しかしこの話、見れば見るほど巧妙だぞ〜父の雑談が盤外戦かもというくだりを入れることによって、時事ネタ『ビットコイン』の登場をさりげなくしているのが一点〜
さらにその前提を利用して、『ワイン』のプレゼントの唐突さについてら、逆転をねらう女流棋士の奸計なのかもとも思わせることで違和感をリカバリー、これが一点〜
バラバラお題も閃き一つで綺麗に集束、アクロバティック・フルクリア〜中国雑技団の生まれ変わりかよって感じで業師516氏が魅せてくれたァ!

520 :この名無しがすごい!:2018/02/14(水) 12:11:18.68 ID:p6CuKWoi.net
>>519
感想有難うございます
何とかフルチャレンジ出来ましたw
多分もう、自分では思い付かないと思いますorz

521 :この名無しがすごい!:2018/02/14(水) 14:56:57.54 ID:9y/QvxiF.net
>>520
たまたまスレを覗いて、たまたまあなたの作品を読みました。
ほのぼのとした、良い話だなぁと思っていたら、縛りがあったんですね!驚きです。
とっても良かったですよ!

522 :この名無しがすごい!:2018/02/14(水) 15:10:32.33 ID:p6CuKWoi.net
>>521
有り難うございます!
基本的には、お題の何か1つを使っていれば良いのですが、今までなるべくフル使用でのチャレンジをしてきたので、何とか頭を捻りました
楽しんでいただけたなら幸いですw

523 :ワイスレからの刺客(最弱):2018/02/15(木) 12:04:32.05 ID:/6lyBJMG.net
 使用お題『催眠術』『将棋』『ワイン』『バレンタインデー』『ビットコイン』

 世はバレンタインデー、しかし彼女のいない俺には只の2月14日でしかない。
 別段特別なことをするでもなく、今日も今日とて長年の連れと仕事帰りに飲み屋に繰り出した。

 一軒目は最近できたばかりの、ワイン専門の立ち飲みバー。ワイン樽がテーブル代わりという一風変わった趣向だ。
 数種のチーズが載った皿が一つきりと、後は数本のワインボトルのみが樽の上にある。
 俺も連れも酒を飲む時は、あまり食べない。ほんの少しのつまみだけで、酒をたらふく飲むのが常だった。

「ビットコインとかけて将棋と解く」

 また連れが馬鹿を言い始めた。

「……一応聞いてやる。その心は?」
「どちらも沢山の成金が生まれます」
「絶妙に微妙だな」

 上手い! と膝を叩くほどでもなく、さりとて貶すほど酷くもない。

「ワインとかけてバレンタインデーと解く」

 赤ワインの入ったグラスを掲げながら、更に続ける連れ。

「その心は?」
「甘くて、苦いぃぃいいいい……」

 間延びした声を上げると、連れは樽の上に突っ伏した。
 ……何だ、こいつ。少しいつもと違うな。どうも酒を飲むペースが早い。まだ一軒目なのに顔が真っ赤だし、目は催眠術をかけられたように焦点が合ってない。

「どうした? どこぞの男にチョコを渡して玉砕したか?」
「……まだ玉砕はしてない」
「まだ? 何だ、本当にチョコを渡すような相手がいたのか? お前が? 信じられん……ッテ!」

 脛を蹴られた。……少し言葉が過ぎたか。
 俺は脛をさすりながら話を続ける。

「しかしそうか、だからいつもと様子が違うんだな」
「……そう言う君は、いつもと何も変わんないね」

 肩を竦める。そりゃそうだ。青春真っ盛りの学生ならともかく、バレンタインデーに現を抜かすような成人男性などいないだろうよ。

「バレンタインデーの夜に、私という女と二人っきりなのに」
「おっ、今日一の冗談だな。幼稚園からの腐れ縁。普段から一緒に飲み明かしてる連れ相手に意識なんてするかよ…ッテ!!」

 先ほどよりも強く脛を蹴られる。思わず蹲った。涙がちょちょ切れるほど痛い。

「バカ……」

 痛みに悶絶する俺の頭上に、そんな囁き声が降ってきたのだった。

524 :この名無しがすごい!:2018/02/15(木) 12:33:56.48 ID:/6lyBJMG.net
>>523
読み直してみると、バレンタインデーとかけてワインと解く、の方が自然ですかね?
即興で書くといつも凡ミスをしてしまいます。いけませんなあ

また次のお題が出たら拙い作品を出しに来ますノシ

525 :この名無しがすごい!:2018/02/15(木) 12:44:54.75 ID:JPlC6lEw.net
>>523
ハニー&ビターな関係が良いですね
さらりと、お題を消化できるのが羨ましいです

526 :この名無しがすごい!:2018/02/15(木) 21:57:14.29 ID:/6lyBJMG.net
>>525
ありがとうございます

527 :この名無しがすごい!:2018/02/16(金) 08:21:44.67 ID:bKa39F+a.net
>>523
続いて刺客が挑むぞ〜選択お題はフル! 立ち飲みワインと恋愛論〜
さあ物語はワインバーで語る俺くんと暴力系女子でスタート、今回の無秩序お題群を一掃する秘策われにありと作者523氏の眼が光る〜いくぜ絶技・謎掛け発動だァ!ww
『将棋』『ビットコイン』を「成金」にかける、『ワイン』『バレンタインデー』を「甘くて苦い」にかける! 怒涛の数珠つなぎで難関4つを瞬殺だぜ〜
残る『催眠術』は恋に酔った女子さんの視線で消化し、お題フルクリアに勢い付いた筆が「甘くて苦い」 から続くオチへと雪崩れ込む〜
ラスト、彼女の脛蹴りに乗せて放たれるのは、愛しさと切なさと力強さと〜、っていやいや女子さん、蹴る前にチョコ食べさせないと!
ただ蹴るだけじゃ切なさ成分が不足して、力強さだけが伝わってもうね、君……そういう乙女成分の不足が全ての元凶って言うか(以下略)、って感じでENDォww

528 :この名無しがすごい!:2018/02/16(金) 21:59:49.33 ID:zNpic3Br.net
>>527
読んでいて楽しくなる批評をありがとうございます
謎掛けでのお題消化は、少々反則気味だったでしょうかw
ただ、最初にビットコインと将棋で『成金』が思い浮かんだので
もう書くしかないかな、と

529 :この名無しがすごい!:2018/02/17(土) 09:03:29.44 ID:EodXWg8d.net
今回のお題なら反則も実力と見なされる

と思うw

530 :この名無しがすごい!:2018/02/17(土) 17:38:03.20 ID:yomcYpoq.net
使用お題:『催眠術』『将棋』『ワイン』『バレンタインデー』『ビットコイン』

【Bizzare Valentine’s Day】

 『運び屋』の伊東浩二は、右手に高級ワインのボトルを、
左手に相棒の佐島美耶の肩を掴んで、雑居ビルのボイラー室を
歩いていた。背後から強盗に青龍刀を突き付けられて。

「なぁアンタ。俺らは大事な届け物があって急いでるんだ。
あんたが何やってたかなんて興味ないし、黙っとくから、
このまま見逃してよ」

「先輩、この方は我々の裏切りを恐れているのです。
ここは下手に出て警戒を解き、交渉に持ち込みましょう。
とりあえず我々に通報の意思がないこと、早く配達先に行かなければ
報酬どころか賠償を請求されて、ビットコインで負った先輩の負債が
さらに増えてしまう事情を話し……」

「それは分かってんだよ!さっき捕まってから、俺が何度も
大人しく交渉してんの聞いてたろうが!このボケナス!」

「うるせぇぞテメェら!大人しくしろ!」

後ろを歩く強盗が覆面越しに怒鳴った。

 凍り付くような2月の夕方の外気とは正反対に、
乾いた熱気が全身に纏わりつく。

(この暑さは不味い、な……)

伊東は脳の半分で考えた。残りの半分は、普段から思い通りにならない
佐島と、「通りすがりに犯行現場を見たから」という理由で自分達を
拉致した強盗に苛立ち、沸騰していた。

(ワインに30度以上の高温は天敵だ。長時間いたら、
酸化してダメになっちまう)

依頼主には「バレンタインデーに、取引先の社長さんへワインを贈るの。
間違いなく届けて頂戴ね、ね?」と念押しされている。失敗すればボスや、
あの依頼主のオッサンに何をされるか。借金の返済日も近いのだ。
先輩、と佐島が伊東に振り向く。ボブカットがフワリと揺れた。

「気分転換に口笛吹きましょうか。初音ミクの『催眠術師』とか」

伊東は会社で「目つきが悪い」と評判の目をさらに尖らせて

「俺は口笛が大嫌いだ。あと今は緊急事態だ。黙ってろボケナス」

「はぁ」

佐島に怒鳴りつけるのを我慢し、考えを巡らせる。

531 :この名無しがすごい!:2018/02/17(土) 17:41:06.03 ID:yomcYpoq.net
【Bizzare Valentine’s Day】(2/3)

 『運び屋』は、治安の悪化を背景に生まれた護送専門の運送業者である。
だが武術の心得のあるのはベテランの伊東だけで、新人の佐島はからきしだ。
おまけに強盗は武器持ちで、自分にはペティナイフ一本しかない。

 壁を背にして伊東と佐島を座らせ、強盗は電話を始めた。

(しめた!あいつ、俺達からスマホを取り上げるのを忘れてやがる)

おい佐島、と伊東は耳打ちした。

「俺が一芝居打って、あいつを遠ざける。お前はその隙に110番だ」

「了解しました」

伊東は急に呻き声を上げ、前のめりに崩れた。

「さっきからうるせぇぞ!何だ!」

「ペースメーカーがッ、くっ、苦しい」

「オイ、救急車呼べとか言わねぇよなぁ?」

「電話をするなら、俺から離れてくれ。た、頼む」

強盗は後方をチラチラ見始めた。苦しそうな顔を保ちつつ、
伊東は佐島に目配せをした。佐島は分かった、というように頷くと

「早く離れてください。とりあえず、私が小声で電話をかけても聞こえない位、
距離を取って下されば結構です」

「テメェらサツにチクる気だな!スマホは没収するぞ!」

伊東の脳味噌は熱気と怒気ですっかり煮えたぎっていた。

532 :この名無しがすごい!:2018/02/17(土) 17:44:43.70 ID:yomcYpoq.net
【Bizzare Valentine’s Day】(3/3)

 ボイラー室に入って5分が過ぎようとした頃、佐島が消え入りそうな声で言った。

「すみません、私、役立たずで」

伊東は憮然としていた。強盗は又どこかへ電話を掛けている。

「嗚呼、私と先輩の人生がこんな形で終わるなんて」

「このボケナス!勝手に殺すんじゃねぇ!」

「おぅテメェら、勝手にしゃべるんじゃねぇ!あと3分で俺の仲間が
ここへ来る。お前らも一緒に来い!」

強盗は伊東に歩み寄りながら上着の胸ポケットの暗器を引き抜くや
伊東の首に突き刺した。チクリと小さな痛みを感じた直後、
伊東の視界はぐらついた。

「俺様の二つ名は『催眠術の李崑』だ。この針には特製の睡眠薬が塗ってある。
これで、『飛車』を潰して勝ち確だぜ」

「先輩!しっかり!」

佐島の声が水底で聞くかのようにボンヤリと反響する。力も徐々に抜けていく。

「こっちの『歩』はどうとでもなるな……フフ、ビットコインで大損こいて
盗賊に堕ちた俺様に、ようやく運が向いてきたぜ」

唐突に、佐島が口を開いた。

「股間が、痒いのですが」

「はっ!?テメェ、急に何言ってやがる」

「搔くのを手伝って頂けませんか」

「ヘッヘッヘ、又俺様の気を逸らす作戦かな?その手には乗らないぜ……え?」

強盗が気が付いた時には、一瞬の隙をついてペティナイフで手を刺し、
自力で目覚めた伊東が、眼前に迫っていた。そして声を上げる間もなく、
鉄拳で制圧された。

「『歩のない将棋は負け将棋』ってな。それを忘れて油断したお前は、
最初から負け確だったのさ」

傷ついた手で、伊東は強盗を縛り上げる。

「あ、先輩」

佐島が、GOD〇VAと書かれた小箱を黙って差し出した。

顔を逸らしているので、表情は読めない。

「……今は渡すタイミングじゃないだろ。もっと気ィ配れ」

行くぞ、と伊東は立ち上がり、右手に強盗、左手にチョコを掴んで歩きだした。
無意識に口笛を吹きながら。

533 :この名無しがすごい!:2018/02/17(土) 17:48:40.03 ID:yomcYpoq.net
>>530に「(1/3)」の表記忘れた。すまぬ・・・すまぬ。
あと>>532の文字化け入りのセリフは
「かくのを手伝って頂けませんか」
です。
読みにくかったらすいません。

534 :この名無しがすごい!:2018/02/18(日) 09:13:54.03 ID:NdiG/dPt.net
>>530
さあフルチャレンジが続くぞ〜『ビットコイン』で負債を負ったプロの運び屋・伊東さんと、ど天然新人・佐島さんが『ワイン』を輸送中に拉致られた〜
さぁ佐島さんの動きを見よ、BGMにボーカロイドの『催眠術』師を提案したり、伊東さんの計略を破壊したりと、縦横無尽のポカを繰り返すぞ! 「嗚呼、私と先輩の人生がこんな形で終わるなんて」←遊んでるだろw
後輩によって窮地へ追い詰められていく伊東さんに、『催眠術』の李崑の暗器が刺さるッ(それ催眠術じゃないw
絶体絶命の二人に残された逆転の一手は、佐島さんの色気があるんだか無いんだかよく分からん色仕掛けェww
歩のない将棋は負け『将棋』だ!! 最後の一手がバチィッと決まった所で、おい、どうしてここで『バレンタインデー』のGODIV●なんだよ、佐島さんさあw 最後までボケボケの後輩が奇手に奇手を重ねてお題を拾いまくった難関クリア!

535 :この名無しがすごい!:2018/02/18(日) 09:48:37.63 ID:CwrmfQ5e.net
>>534
感想ありがとうございます!
アクション映画にありがちなストーリーラインを2000字に圧縮し
かつ、キーやテーマとなる要素に「お題」のワードを全部押し込もうとしたら
こんな感じになりました
あと、登場人物3人のキャラを立たさせたかったので、
「佐島はド天然な不思議ちゃん」って所を感じて貰えたなら嬉しいです

536 :この名無しがすごい!:2018/02/18(日) 13:55:17.98 ID:6YQB/O15.net
>>530
どれだけビットコインで破産している人がいるのてしょうw
テンポの良い話で、各所にお題を散りばめているのが見事だと思いました。

537 :この名無しがすごい!:2018/02/18(日) 20:24:48.22 ID:6EHWMvqi.net
>>536
>テンポの良い話で、各所にお題を散りばめているのが見事だと思いました。

ありがとうございます!
ストーリー構成に関しては勉強し始めたばかりなので
テンポよく読んで頂けたなら良かったです

>どれだけビットコインで破産している人がいるのてしょうw

主観を取る伊東と、敵対者の強盗の「背景・行動理由」に
「ビットコイン」を当てたので、「お前もかい!」てな位
ビットコインが飛び交う話になりましたw

538 :この名無しがすごい!:2018/02/18(日) 23:41:37.22 ID:hJDxOi4L.net
最近安価遅いね…

539 :この名無しがすごい!:2018/02/18(日) 23:45:41.23 ID:pNrXXWMU.net
まあ、まったりスレだしスローペースでいきましょ
明日いっぱいくらいなら余裕で待てる

540 :この名無しがすごい!:2018/02/18(日) 23:47:35.71 ID:hJDxOi4L.net
そうだな…

541 :進行 :2018/02/19(月) 00:16:13.02 ID:cslZrz5K.net
あっ…

542 :進行 :2018/02/19(月) 00:16:52.75 ID:cslZrz5K.net
お題『催眠術』『将棋』『ワイン』『バレンタインデー』『ビットコイン』〆

作品一覧
>>515【娘棋士】
>>523【無題】
>>530【Bizzare Valentine’s Day】

543 :進行 :2018/02/19(月) 00:17:44.31 ID:cslZrz5K.net
ごめんなさい本当ごめんなさい…
次のお題はどうしましょう…

544 :この名無しがすごい!:2018/02/19(月) 00:22:17.49 ID:olLz18WJ.net
5つでいいかとー
もう寝ようと閉じるとこだったので、安価には参加できませんが

545 :進行 :2018/02/19(月) 00:23:18.09 ID:cslZrz5K.net
では…
次のお題『>>546‐550』

546 :この名無しがすごい!:2018/02/19(月) 00:30:48.07 ID:frVCfazJ.net
目薬

547 :この名無しがすごい!:2018/02/19(月) 00:50:17.26 ID:RWEIngOO.net
マンション

548 :この名無しがすごい!:2018/02/19(月) 06:42:15.90 ID:HqmlQkhP.net


549 :この名無しがすごい!:2018/02/19(月) 06:47:05.50 ID:W/NeaBJv.net
宇宙

550 :この名無しがすごい!:2018/02/19(月) 07:41:19.32 ID:uw8TbnCe.net
金メダル

551 :この名無しがすごい!:2018/02/19(月) 08:12:20.26 ID:3/i1Zx9I.net
時間守ってほしいわ

552 :進行 :2018/02/19(月) 08:29:50.89 ID:cslZrz5K.net
すみません…
次のお題『目薬』『マンション』『盾』『宇宙』『金メダル』

締め切りは2月25日 22時です…

553 :この名無しがすごい!:2018/02/19(月) 09:24:19.23 ID:vCu++CgM.net
どまどま

554 :この名無しがすごい!:2018/02/19(月) 09:45:09.42 ID:uw8TbnCe.net
ええんやで、負担にならないようにね……

555 :進行 :2018/02/19(月) 15:30:07.86 ID:cslZrz5K.net
新しい進行の方も募集します…

556 :この名無しがすごい!:2018/02/19(月) 15:57:40.22 ID:uw8TbnCe.net
そうね、そうよね
俺代わろうか?

557 :進行 :2018/02/19(月) 16:12:01.15 ID:cslZrz5K.net
>>556
申し訳ないですがぜひお願いします

558 :後釜 :2018/02/19(月) 16:44:11.96 ID:uw8TbnCe.net
テスト
コテだけ今維持して次回から俺がってかんじで

559 :進行 :2018/02/19(月) 16:48:25.60 ID:cslZrz5K.net
ありがとうございます、では僭越ながら今週の〆までは努めさせていただきます

560 :この名無しがすごい!:2018/02/19(月) 20:07:57.32 ID:eBy339/J.net
>>559
今まで乙でした。2スレ目に行くほど盛況になったのも進行さんのおかげだよ! ありがとう!

>>558
次回からよろしくお願いします
たまに参加するくらいで基本的にROMで申し訳ないけどチェックはずっとしてます

561 :この名無しがすごい!:2018/02/20(火) 08:32:22.98 ID:2OR5C29K.net
>>559
進行氏、いい司会だったぜ
スレの動向を誰より気にかける君が皆を引っ張って、数々の名作を生んできたね
それだけに気を揉むことが多くて大変だったね
大丈夫かと何度か聞いたけど気丈に答える君の負担を肌で感じつつも、書き込みで返そうと思ってきた
このスレの楽しさは君が成し遂げたものです
胸を張ってください
おつかれさま!!
司会を降りたら今度は君も挑戦者だぜ、気兼ねなく遊ぼう

>>558
よろしく!
一番、自分が楽な集計スタイルで仕切ってw

562 :この名無しがすごい!:2018/02/20(火) 09:22:14.09 ID:bEEKCt6j.net
>>559
おつかれさま

563 :進行 :2018/02/20(火) 09:58:39.00 ID:iSAY+YTh.net
あわわ涙でスレが見えない…
きっと新しい進行さんならもっと盛り上げてくれるでしょう、活躍に期待します!

564 :この名無しがすごい!:2018/02/21(水) 12:37:48.12 ID:KiV2AvKk.net
>>559
お疲れ様です
今まで有り難うございました
最後のお務め、頑張って下さい

使用お題:『目薬』『マンション』『盾』『宇宙』『金メダル』

【アスリーーーート!!!!】(1/2)


 ギシ……ギシ……

「952、953、954、955……」

 打ちっぱなしのコンクリート壁の室内。数々のトレーニングマシンが置いてある。
 その中の1つ、体に負荷をかけるマシンを使い、狭田はハンドグリップを握り込みながらスクワットを繰り返していた。
 壁を見れば、様々な賞状が飾られ、その下のサイドボードには優勝カップ、トロフィー、盾等が無造作に置いてある。

「……997、998、999、1000!」

 裸電球に照らされた狭田の肌は上気し汗で濡れ、ある種の艶を放って見えた。
 マシンの脇に置いてあったスポーツドリンクを一口飲み、ジッと手を見る。
 今度こそ……そんな思いで、かつて掴めなかった栄光。黄金のメダルを幻視し、それを握り込んだ。

 ******

 人類が宇宙へと生活圏を広げ、既に半世紀が過ぎていた。
 テラフォーミングされた惑星や衛星、ラグランジュポイントやアステロイドベルトの宇宙ステーション等、人々はあらゆる場所へと進出したが、しかしそれでも人の営みは変わらなかった。

 ──── 火星 ────

 オリンポス山の麓に造られた競技場で、各国の選手が体を動かしている。
 宇宙オリンピック……ユニバーサル標準時間で4年に一度行われるスポーツの祭典。狭田はその選手の一人として大会に臨んでいた。
 これまで国内、国外、ステーション別での大会に於いて、何度も優勝を収めて来た彼であるが、4年前のオリンピックではパートナーに恵まれず、出場が叶わなかったのだ。
 彼の出場する競技……“エクストリーム点眼”は、21世紀初頭から広まったエクストリーム系スポーツの派生であり、いかに困難な状況で目薬をさすかを競うスポーツである。
 その中で、彼が行っているのはダブルスであり、パートナーとの連係が重要なのだが、しかし4年前の大会では、彼のパートナーだった古市に直前になってタッグの解消をされてしまった為、出場を断念せざるを得なかったのだ。

565 :この名無しがすごい!:2018/02/21(水) 12:39:45.35 ID:KiV2AvKk.net
【アスリーーーート!!!!】(2/2)


「狭田さん、やっぱり緊張しますね」

 新たにパートナーとなった根岸が、そう声を掛ける。

「そうだな、だが、国の威信を背負っている以上、負ける訳には行かない」
「ええ……」
「? どうした?」

 顔色の優れない根岸に狭田が声を掛ける。

「大丈夫でしょうか? 今回のエクストリーム点眼、高層マンションの屋上からだって……」
「ああ……」

 エクストリーム点眼ダブルスは、目薬をさす者とさされる者に別れ、スタート地点から出発した後、お互いが所定の位置まで行って、そこから点眼をする。
 今回の場合、高層マンションの屋上とエントランス外と成るのだが……当然、目薬が目に入らなければ得点とはならない上、点眼の瞬間に目を瞑っていた場合も減点となる。
 根岸は、今まで普通マンションからの点眼は受けた事があるが、高層マンションは無い。
 つまりはぶっつけ本番なのであった。

「大丈夫だ、根岸……秘策がある」
「え!?」

 高層マンションからの点眼。それの困難さはは想像に難くないだろう。
 上で僅かにズレただけでも、下では大きくズレる。その上、ビル風が吹いてしまうと、落下地点の予想が困難となるからだ。
 だか狭田は、不敵に笑うと目薬を取り出し、おもむろに地面に向けて点眼をする。

「!!」

 そこには地面に穿たれた穴。目薬の威力で空いたのだろう。

「ビル風が障害だと言うなら、風に負けない威力を出せば良いだけだ」

 鍛え上げられた狭田の技は、高速目薬射出を可能にしていたのだ。
 これならばビル風にも負けず、尚且つほぼ一直線に目に到達する為、さし手の力量次第では下は殆ど動く事も必要ないだろう。

「どうだ? 根岸、これなら……ヘブッ!!」

 根岸は、最後まで言葉を聞かず狭田の腹部に深々と拳を突き入れ、そして言った。

「あ、日本チーム棄権します」

566 :この名無しがすごい!:2018/02/21(水) 18:29:06.57 ID:WVAygT7r.net
うわあww書こうと思ってたネタと丸かぶりしてて笑った
俺は「二階から目薬ワールドカップ」だった……別の考えよ

567 :この名無しがすごい!:2018/02/21(水) 18:44:47.02 ID:KiV2AvKk.net
自分も前に丸かぶりした事がありましたw

568 :この名無しがすごい!:2018/02/22(木) 00:03:07.79 ID:lDjeIMo3.net
使用お題:『目薬』『マンション』『盾』『宇宙』『金メダル』

【息子の夢は】(1/2)

 酒が進む。誇らしい気持ちが私に次々と盃を傾けさせる。
 連日テレビが平昌五輪での日本人選手の活躍を映し出す。最近の私はこれを観ながら晩酌を飲むのが楽しみで仕方がない。
彼らを見ていると同じ日本人に生まれた自分も特別な存在であると思えてくるのだ。もちろん自分が金メダルを狙えるような
人間でないのは分かっている。こうしてオンボロマンションでテレビを見るしかできない凡人である。
でもいいじゃないか、たぐいまれな才能とたゆまぬ努力が実を結んだめでたい瞬間なんだ、ちょっとくらいあやかったって
罰は当たらないだろう。私は再び盃を傾けた。
 背後でドアの開く音がした。振り向くと息子が立っていた。イルカのぬいぐるみをぎゅっと抱いてこちらを見ている。
その大きな瞳は目薬を差したばかりのように満々と涙をたたえている。
「どうした、圭太?」
 私は盃を置き立ち上がり息子の元へ向かった。息子は何も言わずに私の足に抱き着いてきた。ヒックヒックと嗚咽を漏らし
体を震わせている。きっと怖い夢でも見たのだろう、これまでもこういう事は何度かあった。まだ5歳なのだから仕方ない。
「ほぅら、もう大丈夫だ。お父ちゃんが付いてるからな」
 私もぎゅっと抱き返した。
 私はこの子と二人暮らしをしている。離婚する際に妻でなく私と暮らすことを選んでくれたこの息子が、私は本当に愛おしかった。
この子がいなければきっと私は自暴自棄になっていただろう。だから恩返しと言う意味でも私はこの子を立派な大人に
育て上げようと、そう心に決めていた。
 だから私は慌ててテレビを消した。この子にオリンピックを見せるわけにはいかない。将来に悪影響を及ぼしかねないからだ。

569 :この名無しがすごい!:2018/02/22(木) 00:09:46.05 ID:lDjeIMo3.net
【息子の夢は】(2/2)

 思えば時期が悪かった。バルセロナオリンピックの年に生まれた私は「鈴木大地選手のようなスポーツ選手になってほしい」
という両親の期待で「大地」と名前を付けられた。そして幼少期より野球をやらされるものの、小学生に入るころには
テレビに『福原愛ちゃん』が出るたびに「大地も同い年なんだから負けるなよ」と比べられた。しかし流石に中学になる頃には
自分の才能の無さに気づきだし、高校になって現れたこれまた同年代の『ハンカチ王子』の存在が僕の挫折を決定づけた。
 私は彼らと違って才能がない。だからどれだけ頑張ったって無駄なんだ。
 そう思うに至った私は大学に入ってから荒れに荒れた。野球をすっぱりとやめ、悪い友達を作ってタバコ、パチンコ、
万引き、盗撮、なんでもやった。
 何度も警察に突き出された。その度に両親が呼び出され、ついには「お前には失望した」と突き放された。
「誰のせいでこうなったと思ってるんだ!」
 その時私はこう言った。そして家を飛び出してそのまま一人で生きていくこととなった。
仕事を始め、妻と出会い、冷めた夫婦生活をしている内に子供が生まれた。それが圭太だ。

 息子が落ち着きを取り戻してきた。私は優しく頭を撫でた。
 父となった今なら分かる、私の親は別に私と選手を比べていたわけではないのだと。
ただ自分達の特別な存在を世界中の人にも自慢できたらと思っただけなのだ。だから私は才能が無いことに挫折し
親に盾突く必要は無かった、ただ胸を張れる人生を歩めば良かっただけのだ。
 とは言え、この子がオリンピックを見て選手に感化されて私と同じように道を踏み外さないとも限らない。
極力スポーツからは遠ざけたほうが無難である、オリンピックを見せないのはそういう考えがあるからなのだ。
「なあ、圭太。お前は将来何になりたいんだ?」
 おもむろに私は聞いた。この教育の結果、この子が今何を目指し始めているのか気になったのだ。
 息子は顔を上げた。そして難しそうな顔をして考えこんでしまった。。
「別に何になってくれても構わないよ。でも圭太はいい子だからきっと素晴らしい人になれるぞ。
HIKAKINみたいに人気者で、SMAPみたいに女の子からモテモテで、宇宙飛行士の毛利さんのみたいに皆の期待を
背負うことが出来る、そんな人になってくれたら、お父ちゃんは嬉しいな」
 私がそういうと、息子はさらに考え込んでしまった。まだ将来を考えるには早かったかな。
 しかし突然息子の顔がパッと明るくなった。そしてはっきりとこう言った。
「分かった! じゃあ僕、『はにゅうゆづるせんしゅ』になる!」
「うげぇっ!」
 迂闊だった。せっかくスポーツから避けていたのに気づかぬうちに誘導してしまったようだ。私のアホめ! 
しかしどこで羽生選手を知ったのか。保育園ででも知ったのか。
 しかしもう手遅れである。満面の笑みを浮かべる息子に「それはやめとけ」などと言うことは私には出来ない。
 私は息子の頭を撫でた。息子は照れくさそうに笑った。
 この子もいつか私のように挫折を味わい荒れてしまうのかと思うと今から不安がよぎる。
しかしもしかしたらと考えると、その時が楽しみで仕方がないとも思うのだった。

570 :この名無しがすごい!:2018/02/22(木) 00:12:00.49 ID:lDjeIMo3.net
初参加ですが、よろしくお願いします。

571 :この名無しがすごい!:2018/02/22(木) 07:25:17.06 ID:+r4dNjSS.net
>>568
子供に対する期待と不安が良く分かります
必ずしも親の望み通りに育ってくれるとは限らないですよねw

572 :この名無しがすごい!:2018/02/22(木) 09:21:08.54 ID:+VFYznro.net
>>564
ときは2018平昌五輪…パシュート女子の活躍で笑顔溢れる日本選手団に、短編スレから笑いをプラス!! 目薬五輪SF爆誕!
さあトロフィーと『盾』に囲まれた選手が幻の『金メダル』を視ながらトレーニングに励むぞ〜うんうん、そうだね、きたる試合はギリシャのテッサリア地方のオリンポス山で…って火星ッ!?
そう! 本作五輪の舞台は『宇宙』太陽系で最大の標高21.9kmを誇ると言われる火星オリンポス山(実在)だ! 地球と見せかけてからの火星転送〜この瞬発描写の遊び、さすが短編スレの五輪メダリスト564氏、文の芸が鋭いぞ〜
競技内容は高層『マンション』からの『目薬』受け止めw その名もエクストリーム点眼ダブルスww 地味すぎだろ
笑いと共に全お題をクリアした物語はラスト、鍛え過ぎた狭田さんのアスリート魂が裏目に出るパートナー逃亡オチ〜高速射出を違う分野に活かそう、そんな失笑ENDだァ!

>>568
お題フルチャレンジが続くぜ、晩酌五輪w
さあ『マンション』の一室に描かれるはかつて『金メダル』を夢見た父と、『目薬』を差したばかりのように涙たたえる愛息の姿だ〜しかしオンボロマンションとか凡人とか、親父さんの卑下っぷり、見る側も涙なんだが
ここまではいいとして、問題は今回のキラーお題『盾』をどう使うか! って思ってたら親父さんの青春語り、「親に盾突く」でゴリっと消化ァ! コイツは文芸世界の捻り回転〜みごと成立568氏〜
悩むに息子に親父さんが提案するは、YouTuber、芸能人、『宇宙』飛行士〜必死に努力次第で何とかなりそうな未来を振ってみるも、圭太くんの答えはやはり金メダリスト羽生くん! 親の心、子知らずw
ラストは子の未来におのれを写し、やってみろやと心意気!  微笑む親の胸に溢れるは、過去の後悔の中に生まれる、子への期待と愛だった〜人情ドラマの名手568氏がお題をクリアし複雑ミックスENDで締めてくれたァ!

573 :この名無しがすごい!:2018/02/22(木) 12:16:38.90 ID:gm7C5wiS.net
>>572
感想有難うございます
おそらく狭田はエクストリーム点眼シングルスで、自分の身に降り掛からなければ気付かないと思いますw

574 :この名無しがすごい!:2018/02/22(木) 12:26:24.65 ID:8loPGTm/.net
568です。感想、評価有難うございます。
かねてより参加したいとおもいつつもお題が難しくて断念していましたが、
やっと投稿できてよかったです。
後で文字数調べたら2000文字越えてました。orz
次に挑戦する頃には気を付けます。

575 :後釜 :2018/02/22(木) 12:37:56.30 ID:FNM2DlXc.net
そう、そのことなんだけど、一作品につきレス数が2、3に渡るのが当たり前だし、許されるなら字数制限含めいくつかルール見直したいな〜と思ってるんだけど、どう
個人的には
・投票制度やりたい。(自力集計のつもりだけど、外部ツールってアリ?)
・時と場合によって字数制限を変えてみたい。
くらいを考えてる

576 :この名無しがすごい!:2018/02/22(木) 12:57:57.10 ID:gm7C5wiS.net
短編と言う枠内であれば、文字数を変えるのは進行さんの権限内だと思います
投票についても、負担にならないのであれば良いこと

577 :この名無しがすごい!:2018/02/22(木) 20:22:36.95 ID:fHjvZLxx.net
投票はあると嬉しい
外部ツールというのがよくわからんのだけど、規約かなんかに触れなかったらいいのでは?

字数は3000字くらいあると推敲で詰め込む作業が無くなって嬉しい
その詰め込む作業が練習になるのかもしれないけど!

578 :この名無しがすごい!:2018/02/22(木) 20:25:37.17 ID:Hvg8NhYu.net
投票かあ………

579 :この名無しがすごい!:2018/02/23(金) 22:43:03.71 ID:S+4eRgAI.net
一回やってみてって感じかね

580 :後釜 :2018/02/24(土) 10:51:59.15 ID:rF9IROam.net
しばらくスレの様子見てたけど、投票は賛否両論っぽいね。一応、最初は入れながらやってみようかな?
外部ってのはゴメン、深く考えずに言った。簡単に集計できる投票ツールみたいなんどっかにありそうだな、くらいの。忘れてください

板内の某スレ杯が採用してる制度だと、文字数制限じゃなくて○レス以内って制限なんだよね。読む側は字数とか数えないしw、そっちの方が幅が広がりそうな気はしてる。

581 :この名無しがすごい!:2018/02/24(土) 14:02:26.20 ID:nhIfayFt.net
1レスでだいたい2000字書けます
実際は1900字くらいかな?
改行が多かったり、一文が長かったらエラー出るけど
ここの方たちの作品を見るに、横書きを意識して改行多めですし
あちらのように1レス勝負だと、大した文字数は書けなさそう
3レスに分けてる方がここでは多いみたいですし、まずは3レス縛りにしてみては如何?
で、後々皆さんの反応次第で縛りを増減させていくとか
3レスもあったら、伸び伸び書けて私は嬉しいですね
5000文字後半の短編も書くことができますし

582 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 14:35:44.25 ID:GDwQf2GB.net
使用お題:『目薬』『マンション』『盾』『金メダル』

【シールドワーカー】(1/3)


 「小山の様な」って表現がある。
 山程には大きくないけど、見上げる程はある……って事なんだろうけど、都会っ子だった僕には具体的な大きさが想像できない。
 正直、マンションの様なって言われた方が想像し易い。
 何でそんな事を考えたかと言えば、今、僕の目の前に、そんなマンションサイズの生き物が居るからだ。

 うん、分かってる。これはただの現実逃避だ。あまりの事に、ちょっと思考があっちに行ってた。
 これで雛だって言うんだから、どんだけ巨大な生き物なんだって話だ。
 僕こと那波 僚は、これからこの怪物を押さえ込まなけりゃ成らない。なぜならそれが、タンク役である僕の仕事だからだ。

 異世界転移って、フィクションの世界だとちょいちょい聞く言葉だけど、それが自分の身に起こるなんて予想もしなかった。
 まあ、そこは現実。決して自分が主人公の世界じゃない。
 あっという間に冒険者ってヤツに拾われた僕は、半ば強制的に盾役を押し付けられた。

 それ以外に出来る事が無かったってのもあるけどね。

 唯一の誤算は、僕にタンク役としての才能があったって事だろう。
 だからこそ、僕は今も生き延びているし、最近では信頼もされてきてる……と、思う。

 それはさておき、シールド使いのお仕事だ。マンションサイズもあるこの生き物は“レバタン”……ベヒーモスの亜種らしい。
 パーティーの面々が所定の位置に着いたのを確認して、僕は息を吸う。

583 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 14:38:18.55 ID:GDwQf2GB.net
【シールドワーカー】(2/3)


「かかってこいや!! ゴラァ!!」
「GyyiiiiiGaaaaaaoooonnn!!!!」

 【挑発】でヘイトを稼いだ僕は、ラウンドシールドを構え、シールド裏のスリットに黒いメダルを投入。
 直後、レバタンの巨体が僕をめがけて激突し、僕は後ろへズズズっと押し込まれた。

「Gyiao!?」

 レバタンは、自分が体当たりをしたにも関わらず吹っ飛ばなかった僕に驚いた様な声をあげる。
 でも、焦ったのは僕も一緒。

「連続投入が間に合ってなかったらヤバかった!」

 レバタンを受けきれたのは僕の力だけじゃ無い。
 実はこのラウンドシールド、マジックアイテム。
 専用のメダルを投入する事で、様々なスキルが使える。
 今、投入した黒いメダルは“重量変化”。1枚で10秒間、僕の体を10倍重くするスキルメダルなんだけど、それを200枚近く使った。

「でも! 止まった!!」
「良くやった! ここから、ワシの出番じゃ!!」

 僕が受け止めたタイミングで、魔導師のカゼフ爺さんが【チェインバインド】の魔法を唱える。
 一瞬でレバタンは緋色の鎖に絡め取られた。

「ぬっ!」

 でも、かなりキツそう。ただそれも無理はないと思う。僕だって、使ってるメダルは過去最高枚数だったんだから。
 リーダーはレバタンの顔を狙っているんだけど、頭も激しく振ってるから、狙いが定まらなくて手を出しかねている。
 カゼフ爺さんだって、これ以上【チェインバインド】を重ね掛けするのは無理だろう。
 そう思っていると、シノビの少女、オリヒメが飛びクナイを投擲する。【影縛り】を行おうとしたんだと思う。

「っ!!」

 だけど、それはヤツの頭で弾かれた。いっそう激しく暴れるレバタンの為に爺さんの鎖にはビキビキと音を立てて罅が入った。
 不味い。頭に血が上ってる状態で解き放たれたら、もう一度【挑発】が効くか分からない。
 覚悟を決める。これは最悪の一手だ。だけど、皆を守るにはこれしかない。
 僕は、金色のメダルを取り出すとそれをスリットに投入した。

584 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 14:40:54.24 ID:GDwQf2GB.net
【シールドワーカー】(3/3)


 ******

「あほーーーーーー!!!!」

 リーダーの司祭の少女、シャルの声が響く。僕は正座させられ、その怒声を大人しく聞いていた。
 シャルは使い終わった目薬のポーションを振り回しながらギャーギャーと喚き散らしてる。
 僕が使った金メダルは“稲妻”のスキルメダル。その力で僕はレバタンを昏倒させたんだ。

「親御さんが許してくれたから良い物の、子供さん昏倒させるとか、おまっアタシの助手として良いとか思っとんのか!?」

 うん、まぁ、言いたい事は分かる。相手を治す医者が逆に怪我をさせてる訳だからね。

「まぁ、その辺にしとくんじゃ、結果とは言え、丸く収まったんじゃからな」
「いやでも、じっちゃん!!」

 僕たち「蒼天の救命団」は、主に聖獣に対する医療行為を目的として立ち上げられたパーティーらしい。
 だからこそ、シャルは僕の事が許せないんだろう。
 見ると、僕たちのやり取りを眺めていたオリヒメが「くっくっ」って笑いを堪えて体を震わせている。

「おい! アタシの話を聞いてるのか!!」
「え? あ、うん」
「おまっ! ちゃんと話を聞けーーーー!!!!」

 ……また怒らせちゃったようだ。

585 :進行 :2018/02/25(日) 22:00:00.26 ID:/CG/98jE.net
お題『目薬』『マンション』『盾』『宇宙』『金メダル』〆

作品一覧
>>564【アスリーーーート!!!!】
>>568【息子の夢は】
>>582【シールドワーカー】

586 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 22:02:05.96 ID:/CG/98jE.net
それでは、私はこれにて名無しへ戻らせていただきます
皆さんここまでついてきてくれて本当にありがとうございました!
後釜さん、どうかこのスレを楽しく引っ張ってやってください!

587 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 22:05:45.37 ID:GDwQf2GB.net
お疲れさまでした
ここまで有り難うございました

588 :後釜 :2018/02/25(日) 22:06:08.44 ID:JfLBxViA.net
進行さん、お疲れさまでした!
ここまでスレが続いてきたのは、進行さんの働きのお陰です。
これからは、一住人としての投稿お待ちしてます。

589 :後釜 :2018/02/25(日) 22:08:15.65 ID:JfLBxViA.net
コテのほう私が「進行」を名乗っていいのかな?進行2とかのほうがいい?

さて……お題募集どうしますかね
5お題でやってみます?

590 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 22:13:05.06 ID:uWFsj6W6.net
お任せ

591 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 22:15:18.61 ID:uaKeHH0K.net
二代目進行さんの好きでいいよ

592 :二代目進行 :2018/02/25(日) 22:16:18.01 ID:JfLBxViA.net
お任せかぁ……ってことでコテ変えました
じゃあとりあえず現状維持の「お題5つ」「期限一週間」で始めよう
お題安価
>>592-596

593 :二代目進行 :2018/02/25(日) 22:17:10.29 ID:JfLBxViA.net
自分で踏んでどうする馬鹿……
>>594-598

594 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 22:17:32.53 ID:YBAhNjnW.net
代替わり

595 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 22:19:57.78 ID:uaKeHH0K.net
超能力

596 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 22:31:06.47 ID:gkxRy095.net
魔法

597 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 22:34:56.27 ID:vFkWi2O+.net
男装の麗人

598 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 22:35:22.41 ID:/CG/98jE.net
百合

599 :この名無しがすごい!:2018/02/25(日) 22:50:29.19 ID:GDwQf2GB.net
……あれ? ヅカ?
二代目進行さん、よろしくお願いします

600 :二代目進行 :2018/02/25(日) 23:35:49.02 ID:JfLBxViA.net
ひい、いきなり失礼しました
いつもより安価早いのね、油断してたわ……

☆お題→『代替わり』『超能力』『魔法』『男装の麗人』『百合』より一つ以上を選択

☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割オーケー

☆締め切り→3/4の22時まで
※投票を次回の安価終了後に行います

601 :この名無しがすごい!:2018/02/26(月) 09:12:54.37 ID:so7DrbdA.net
>>582
前回お題4つ『目薬』『マンション』『盾』『金メダル』にチャレンジ!! 救命の守り人が登場だ〜
さあドラマは異世界でタンクを押しつけられた那波くんの語りで始まる〜彼の眼前にそびえるは、なんだか名前から焼肉屋を彷彿とさせる『マンション』級ベヒーモス亜種、レバタンw
レバタンの膂力に苦戦するパーティを救うべく、那波くんが特殊スキルを発動〜特製シールドがお題『盾』『金メダル』を消化して、『目薬』ポーションを振り回す司祭シャルが現れる〜やはり那波くんの目にスキルの副作用がッて思ったら
一味の目的は討伐ではなく救護ォ!?   焼肉屋で食材ハントをイメージさせてからのな、なんだってオチで落としたあ!!
見事な構成だがしかし582氏、おそらく一行がレバタンに『目薬』をさすこのミッション、難を言えばその辺の背景解説が少なくやや分かりにくかったwって感じでシャルのお説教が続いていったァ!

602 :この名無しがすごい!:2018/02/26(月) 10:29:03.31 ID:rlSEmzry.net
感想有難うございます
「シャルはレバタンにさして使い終わった目薬のポーションを」にすれば良かったですねorz
ちなみにレバタンはヘブライ語で「とぐろを巻くもの」と言う意味らしいです

603 :この名無しがすごい!:2018/02/27(火) 16:14:03.82 ID:T8T5GZyj.net
それでは改めてよろしくお願いします

使用お題:『代替わり』『超能力』『魔法』『男装の麗人』『百合』

【新・旧世代】(1/2)


 電車の席に座った男がキョロキョロと周りを伺っている。
 男は、足元まであるコートをガッチリと着込み、帽子を深々と被っていた。
 怪しさと言う一点で他の追従を許さないにも関わらず、周囲の者が、彼を気にしている素振りはなかった。

 男の目元には黒々とした隈ができ、頬も痩けている。だが、その目は爛々と輝き、血走っていた。

 男の肩がビクりと動く。立ち上がろうとして、しかし不自然に腰を下ろす。
 間を置かず、一組のカップルが男の目の前に立った。
 男とは逆の意味で非常に目立つカップルである。

 美男美女。

 二人は周囲の事など気にしないかの様にイチャついている。

「魔女が……」

 脂汗を流しながら、男が呻くように言う。

「その呼ばれかたは好きじゃないな」

 カップルの男の方がそう言った。ハスキーな女の声だった。

「人目を忍んで、隠れ生きるなんて真っ平よね?」

 カップルの女の方がそう言った。外見通りカン高い声だった。

 三人は魔法使いだった。

 男の周囲に白檀の様な香りが漂う。
 カップルの男役の方が指をクルリと動かすと、その匂いは掻き消える。

「っ……」
「微睡みの香かい? 古い魔法だ」
「道具を用意して、儀式をして詠唱を覚えて……でも、成功の確率は低いんですもの。嫌よねぇ」

 男役の言葉に、女が首を振って肩を竦める。

「ぐっ!」
「伝統……と言えば、耳障りは良いからね。でも、新しい魔法の世界に、老害は必要ない」
「ばいば〜い」
「!……」

 女が投げキッスを送ると、男の目がグルリと白眼となり、眼、鼻、口、耳から血を流し前に突っ伏した。

「キャー!!」

 カップルが去った後、誰かの悲鳴が響いた。

604 :この名無しがすごい!:2018/02/27(火) 16:17:40.61 ID:T8T5GZyj.net
【新・旧世代】(2/2)


 ******

 …………誰もが血を流し倒れ伏す男に気を取られる中、二人組の少年が立ち去るカップルに視線を送っていた。

「……あれが魔法使いですよ」
「……オレのテレパシー干渉に気が付かない時点で、たいした事はないな」
「奴ら、何を考えて?」

 少年の片割れが嫌そうに眉を歪める。

「サバトかな? 魔法使いどもの色狂いは、度し難いな」
「魔女どもの色情狂は昔からですね。そんな程度なら、僕達超能力者が、裏世界を掌握するのも簡単ですか……」
「ああ、そうだな」

 ******

 そんな二人を三車両も離れた座席から、一人の男が眺めていた。
 その目の前に立っている男が「どうだ?」と訊ねる。

「超能力者……ね、でも、身体能力事態は普通の人間と変わらなさそうだな、あの位なら、どうとでも出来そうだ」
「そうか、我ら超人連合、あの超能力者達が、不埒なことを始めようと言うなら……」
「ああ、制圧しよう」

 ******

 だが、超人連合の二人は気が付かなかった。彼らの椅子の下、線路と車体との間に、2体の異形の存在が息を殺して潜んでいる事に……
 伸びていた耳をニョロリと戻すと、ぶよぶよとした肉塊がグフグフと嗤う。

「何だ、人を越えたと嘯いている割には、随分と鈍いではないか」
「超人と言えど所詮は人類。我々ミュータントとは格が違うと言う事だ」

 甲殻類の言葉に、肉塊が嗤い声で体を震わせる。

「グフフッ、恐れ怯えよ人類! 世界は我々ミュータントの物だ!!」

 ******

 月軌道上の未確認非行物体の中、そのホログラフモニターを見ながら、人形のシルエットが口を開いた。

「ていどガひくイナ、ちきゅうじんハ」
「アノていどナラちきゅうしんりゃくハ、たやすイダロウ」
「ソウダナ」
「ハハ、ハハ、ハハ」

 ******

 次元の間、超感覚で全てを感じ取っていた形容し難いソレが、邪悪な思考を垂れ流していた。

「※%■○※#▲¶▲※◎〒▲※#‡%※△§#〒▲%」
「△▲▲〒〒△◎△〒%▲%#あ¶§‡※#△#△#△」
「‡‡#◎¶§※」
「§◎# ‡△〒○△//%◎△○*」

 ******

 そこから遥か高次元………

605 :この名無しがすごい!:2018/02/27(火) 17:54:33.38 ID:qtgZFZec.net
かんそうイウワ
※%■○※#▲¶▲※◎〒▲※#‡%※△§#〒▲%
△▲▲〒〒△◎△〒%▲%#あ¶§‡※#△#△#△
‡‡#◎¶§※§◎# ‡△〒○△//%◎△○*

606 :この名無しがすごい!:2018/02/27(火) 18:48:11.97 ID:T8T5GZyj.net
>>605
感想有難うございます
ただ、自分を植民地化してペットのオヤツにするのは勘弁してください

607 :二代目進行 :2018/02/27(火) 19:25:30.60 ID:RlCLEpWf.net
ぐるぐる廻る連鎖!
高次元を越えるヤツもまた……?

608 :この名無しがすごい!:2018/02/27(火) 20:14:01.79 ID:T8T5GZyj.net
>>607
う、う〜ん
虚数的存在……ですかね?
言語化し難いですが┏Ο┓

609 :この名無しがすごい!:2018/02/28(水) 09:14:51.15 ID:JA+35KeC.net
>>603
戦闘狂どものサバトは準備OK〜進行氏の世代交代に花束を贈呈するぜ! 超常の夜宴!!
電車で周囲を警戒する一人の男〜視線の先には『男装の麗人』と魔女の『百合』プレイだ〜これ前進行氏へのサービスショットかw
闇に、隠れて、生きる、なんてのはまっぴらw 公衆に開陳された『魔法』使いの戦闘〜それを観戦するは『超能力』者の少年二人〜
「僕達超能力者が、裏世界を掌握するのも簡単ですか……」、いやそうでもないぞと明らかに失敗作の肉(ミュータント)がせせら嗤い、それを見つめる地球外生命体?が程度の低さをなじる〜
さらに次元の間には邪悪な何かがいて?…どうせ言ってること繰り返しだろwって感じで、分かった分かったもういいよオチ! 『代替わり』が『代替わり』を呼ぶ戦いの螺旋は、受け継がれる短編スレの象徴か〜! 異形の宴はお題を全制覇しENDだ!

610 :この名無しがすごい!:2018/02/28(水) 12:14:34.50 ID:Vg9lwmjq.net
感想有難うございます
投稿した後に自然発生種を見下すシンギュラリティなAIも有ったと気付きましたorz

611 :この名無しがすごい!:2018/03/02(金) 08:18:06.39 ID:qG8xvvDh.net
使用お題:『代替わり』『超能力』『魔法』『男装の麗人』『百合』

【百合ちゃんは究極を目指すようです】(1/2)


「お父さんお母さん! やめてよぉ〜!!」

 氷上家のリビングでは、今、百合の両親が彼女の今後の進路について対立し、火花を散らしていた。

「百合はエスパーを目指すのが最良だろうが!!」
「最初に目覚めたのは魔法の才能だろう? なら、初志貫徹こそが美しい結論だ!!」

 薄い緑の紙切りカットの青年の目が光り、周囲の物が浮遊する。それに対する、男装をした美貌の女性の持つバトンが、彼女の呪文と共にロッドへと変わった。

 緑髪の青年こそ氷上 晃。百合の父親にして、元、超能力少年隊のメンバーであり、男装の麗人こと氷上 真矢は、百合の母親にして、元、魔法少女隊のメンバーだった。
 2人は若き日に、共に世界を混沌の坩堝へと落とそうとした強大な敵、カオスと戦い、そしてその中で恋に落ち、やがて結ばれた。

 そんな2人の一粒種こそが百合であり、幸か不幸か両親の才能を受け継ぎ、超能力も魔法も使えるハイブリッドとして生まれて来たのである。

 お互いに尊敬し、愛し合っているとは言え、そこはそれ、子供の将来と言う事であれば、自分を継いで貰いたいらしい。
 特に才能があると言うなら尚の事だろう。

「百合の超能力は人類最高峰レベルだ! だから、暴走を押さえる意味でも、超能力の開発をするべきなんだ!!」
「おや? この子の魔法操作は既に魔法界でもトップクラスなんだ。なら、このまま魔法の頂を目指した方が良いだろう?」

 超能力は完全に才能とセンスの世界であるが、魔法は教育を施す事が出来る。
 その為、真矢は百合が幼い頃から英才教育を施して来た。その成果もあり、今の百合は魔法界でもトップクラスの魔力保有量と操作技術を有していた。
 だが、そうした幼い頃からの教育で精神力が鍛えられていていた事もあり、彼女のエスパーとしての潜在能力は、世界最高峰と言って良いほど高くなっていたのだ。
 才能があると分かれば、自分の後を継いで貰いたいと思うのは親心だろう。

 だがその為に、今、氷上家は一触即発の様相を呈していた。
 晃の周囲には部屋中の品物が飛び交い、真矢のロッドが魔力の増幅を始めバチバチと帯電する。

612 :この名無しがすごい!:2018/03/02(金) 08:20:04.67 ID:qG8xvvDh.net
【百合ちゃんは究極を目指すようです】(2/2)


「もう! 2人とも止めてってばぁ!!」

 百合がそう叫ぶと、晃の念動力が消滅し、真矢の魔力が掻き散らされた。

「おお! 何て能力の強さだ……」
「無詠唱で、私の魔力を……」

 百合の才能の高さに2人は改めて感嘆の声を漏らす。

「百合、百合は超能力とか、格好良いと思うよな? な!」
「百合、百合は魔法の魅力が理解できるだろう? なあ?」

 …………

「あ?」
「は?」

 再び念動力が渦巻き、魔力が爆発的に膨張する。

「だ・か・ら! 止めてぇぇぇ!!!!」

 百合の感情の爆発に伴い、両親は念動力で吹き飛ばされ、壁に押し付けられて、魔法によって磔の様な格好で固定された。

「あぐっっ!!」
「くあぁぁ!!」

 百合の魔法で身動きの取れなくなった両親の前に、彼女は仁王立ちになる。

「もう! 2人がそんなだったら、百合は超能力者にも魔法使いにも成りません!!」
「「え!」」
「百合は、小宇宙と第七感を経て、Ωを目指します!!」
「「はあ!?」」
「目指します!!」
「「ち、ちょと! 百合ぃ〜!!」」

 代替わりした正義のヒロインは、Ωの力を目指すようです。

613 :この名無しがすごい!:2018/03/03(土) 08:34:53.03 ID:qA995iJf.net
>>611
選択お題はフルチョイス!! 『超能力』青年と『魔法』ッ子の、あいのこ参上だ〜
さっそく救世のエスパーである父と、宝塚を思い起こさせる『男装の麗人』母との間に生まれた娘『百合』さんが身内喧嘩に苛まれる〜611氏、人名で消化は反則気味だなw
さあ解決の道を見出せない両論対立、これを見た愛娘は第三の道を選択だ、「小宇宙と第七感を経て、Ωを目指します!!」←あーうん、このオチ、聖闘士星矢ネタ?w
進路を巡って争う父母に、喧嘩しないでと子の訴え! 親御さんたち能力じゃなく人格をみなきゃっ、子供っぽい親の背中を見て娘はしっかり者に育ってるぜ!
親を超えるが子の報恩、ラスト、物語は『代替わり』で生まれる超絶コスモヒロインの誕生を予告して、お題全消化のあたふたENDだァ!

614 :この名無しがすごい!:2018/03/03(土) 12:40:21.78 ID:eRBmgvWw.net
感想有難うございます
小宇宙〜Ωは聖闘士星○ネタです

615 :二代目進行 :2018/03/04(日) 21:58:23.80 ID:UeBYjC/l.net
娘もだけどお母さんに萌えました……
理性的に見えてぐいぐいくる麗人いいなぁ

616 :二代目進行 :2018/03/04(日) 22:03:22.87 ID:UeBYjC/l.net
お題『代替わり』『超能力』『魔法』『男装の麗人』『百合』締め切り

参加作品一覧
>>603【新・旧世代】
>>611【百合ちゃんは究極を目指すようです】

617 :二代目進行 :2018/03/04(日) 22:04:56.79 ID:UeBYjC/l.net
さて……二作品だと投票してもって感じはするね……とりあえず
お題五つ安価とるよ
>>618-622

618 :この名無しがすごい!:2018/03/04(日) 22:06:39.16 ID:6cQjlVTE.net
勇者

619 :この名無しがすごい!:2018/03/04(日) 22:09:41.65 ID:ZFsnlM/r.net
ループ

620 :この名無しがすごい!:2018/03/04(日) 22:51:45.49 ID:sW2lVq4H.net
就活

621 :この名無しがすごい!:2018/03/04(日) 22:52:45.03 ID:mJc4YsOD.net
太もも

622 :この名無しがすごい!:2018/03/04(日) 23:45:22.01 ID:hcNxkpTP.net
剣客

623 :二代目進行 :2018/03/05(月) 00:13:08.99 ID:G3Enm6op.net
☆お題→『勇者』『ループ』『就活』『太もも』『剣客』より一つ以上を選択

☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割オーケー

☆締め切り→3/11の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切3/6の22時

624 :この名無しがすごい!:2018/03/05(月) 00:29:25.16 ID:OMgm8k9V.net
>>603
ちょっと笑ったので投票しておこう

625 :この名無しがすごい!:2018/03/05(月) 07:16:39.48 ID:ZZVAGTAK.net
>>615
感想有難うございます
おそらく両親は、かつての戦いでも、こんな感じの言い合いをしていたのだと思いますw

626 :二代目進行 :2018/03/06(火) 22:34:31.13 ID:LxhBO7/A.net
『代替わり』『超能力』『魔法』『男装の麗人』『百合』よ投票〆
>>603 【新・旧世代】 一票

627 :二代目進行 :2018/03/06(火) 22:35:04.45 ID:LxhBO7/A.net
誤字してしまったのよ

しかし一票か〜投票制度やっぱいらないんかな……

628 :この名無しがすごい!:2018/03/06(火) 22:37:50.79 ID:dezUiEjj.net
すまない・・・投票する気はあったんだが、ちょっと分からんネタとかがあったから見送ってしまった

629 :この名無しがすごい!:2018/03/06(火) 23:36:46.63 ID:CSu1GGNH.net
まあしばらく続けて様子見てもいいんじゃない?
俺はあった方がいい派

630 :二代目進行 :2018/03/06(火) 23:53:03.08 ID:LxhBO7/A.net
じゃあしばらくは続けてみることにしよう
作品の投稿もお待ちしているのよ

631 :この名無しがすごい!:2018/03/07(水) 13:48:41.62 ID:AsH6vCtJ.net
ていうかそもそも作品が少なすぎる

632 :二代目進行 :2018/03/07(水) 15:58:28.85 ID:qMV/aDWZ.net
どうやったら盛り返せるのか……
誰も投稿しなくなる日も近い気がして怖いよ

633 :この名無しがすごい!:2018/03/07(水) 22:34:22.80 ID:FHkTQZUX.net
そこは自ら小説を投稿してだね

634 :二代目進行 :2018/03/08(木) 01:24:53.02 ID:IpSyj1K7.net
投稿したいなーとは思うけど、そうすっとなろうにも上げたくなるんだよね
垢バレはなぁ……

まあそんなことはさておき
投稿お待ちしています
俺も時間見つけて書こうかな

635 :この名無しがすごい!:2018/03/08(木) 11:31:57.27 ID:myf+okSw.net
このスレってオリジナルだけしか投稿したらいけないんです?

636 :二代目進行 :2018/03/08(木) 18:38:22.94 ID:6yULXzv1.net
なろうスレから発足してるので、オリジナルでお願いします
ただまあ、スレ内で身内ネタ的に盛り上がるのはアリ……かな

637 :この名無しがすごい!:2018/03/08(木) 18:48:30.74 ID:kRBT2tKH.net
たしか三話くらい続いてるやつがあるから、あれの続き書いてもらわないと
それはそうとして、なろうスレ発祥だからタイトルに【小説家になろう】を付けたら人が増えるのでは

638 :この名無しがすごい!:2018/03/08(木) 19:28:38.88 ID:gzYwP5po.net
でも人が増えると変な人や荒らしとかが出てきそうで怖い

639 :この名無しがすごい!:2018/03/09(金) 01:07:29.80 ID:wX+U9HFj.net
今現状人が少なすぎるからねぇ
多少は

640 :この名無しがすごい!:2018/03/09(金) 12:43:19.68 ID:+XBaJQOy.net
前一回あげたっきりお題から何も思い浮かばないままなんだよなぁ

641 :二代目進行 :2018/03/09(金) 22:25:29.00 ID:l4RnzbHA.net
そうねー、次スレを立てる時はまたいろいろ考えよう
人増えないかなぁ

642 :この名無しがすごい!:2018/03/10(土) 00:32:07.59 ID:Fck1Vuue.net
使用お題:『勇者』『ループ』『就活』『太もも』『剣客』

【ニートとゲームとループ】(1/3)


 ニートがゲームをしている。
 ドラ○エである。テレビ画面上に四体が一列に並んで、ひたすら歩く。街の中を、草原の上を、洞窟の奥を。
 途中で敵とエンカウントして戦う。少し歩いて、また戦う。戦う。
 そんな事をいつまでも繰り返して、ついにキャラクターが悲鳴を上げた。

 「いつまでやるんだよー! もう5回以上クリアしただろ!」
 魔法使いが杖を振りまわして、泣きそうになっているが、それでもコントローラの指令に従って歩かざるを得ない。こうして騒いでいても、画面上はただ歩いているだけのように見える。

 「……そうですね。同じことばかりで、さすがにもう飽きました……」
 僧侶がこれに同調する。顔はうんざりとした表情。画面上にはやはり出ない。

 「しょうがねえだろ? 私たちはゲームのキャラクターなんだから。プレイヤーの気が済むまで操られるしかねえよ」
 騒ぐ二人を見て、戦士が達観したような表情で溜息を洩らす。足取りは重い。

 この世界はかれこれ13回救われている。一行は魔王を13回倒し、13回救世主として扱われ、13回旅の始まりを経験している。
 ゲームのキャラクターといえども、これは辛い。ループされる同じ出来事、徒労、終わりの見えない旅に、皆はうんざりとしていたのだった。一人を除いて。

 「おいおい、何を言ってるんだ。いつまでもプレイヤーの方にプレイして頂けるだなんて、幸せこの上ないことだぞ?」
 勇者である。目をキラキラさせて、子供の遠足のようにハキハキと歩いている。

 「この社畜が……」
 他のメンバーは、呆れと軽蔑を混ぜてその姿を見るのであった。戦士がまた溜息を吐く。
 「……他人に動かされるしかないってのが辛いよなあ。せめて自分で動けりゃあ、世界を救うにも楽しみがあるってのに」
 「自分で動けるならそもそもゲームの世界なんて放り投げてるよー」
 「だよなあ……あーあ、終了ボタンを私らがおせりゃあいいのになあ」
 「そんなことゲームキャラの私たちには逆立ちしたってできませんよ……」

643 :この名無しがすごい!:2018/03/10(土) 00:35:28.41 ID:Fck1Vuue.net
【ニートとゲームとループ】(2/3)

 「できるぞ」
 「「「え!?」」」
 力強くそう宣言したのは魔王で、それに驚いたのは戦士たちである。

 「バグという言葉を知っているか?」
 「聞いたことは……ゲームに存在する欠陥だと」
 「それはどうして存在する?」
 「ゲーム開発者がミスったからだろ」
 「それもある。だが、それだけではない」
 「どういうことだよー」
 魔王は悪い顔でニヤリと笑った。

 「ゲームのキャラが故意に引き起こすこともできるのだ。それこそ、ゲームを終わらせるようなバグをな。そして、私はその方法を知っている」

 「おー!」「まじか!」「それですよそれ! もうそれしかないですよ!」
 「待て待て待て待て! 待てよ!」
 盛り上がる仲間と魔王たちに、勇者は慌てて制止をかける。
 「それは駄目だろ! ゲームキャラとして! 第一プレイヤー様が悲しむだろ!」
 「様ってぇ……」「社畜が……」「……」
 「阿呆め」
 一同から冷たい視線を受けるが、勇者は頑なだった。

 魔王は、重苦しく話しだす。
 「勇者よ。お前はプレイヤーの何を知っている?」
 「何って……」
 「これだけ時間を費やせるのは引きこもりかニートしかいない。そうでなくとも自堕落な人間であることは間違いないだろう」
 「だからどうした! そんなことは俺達には関係ないだろう!」
 「更生させた方がよかろう」
 勇者はハッとした。
 「もうゲームとかやらせないで就活させた方がよかろう。それがプレイヤーの幸せというものだ」
 「うぐぐ……」
 勇者は悩む。

644 :この名無しがすごい!:2018/03/10(土) 00:39:14.66 ID:Fck1Vuue.net
【ニートとゲームとループ】(3/3)


 「……いや。もっと他にいい方法がある」
 戦士たちと魔王はいつまでも悩む勇者に飽きてカードゲームに興じていた。しかし勇者は目をキラキラとさせて言い放った。

 「皆で寄せ書きを書こう! エンドロールの最後に! 就職活動頑張ってって!」
 「うわきも」「ねーわ」「頭湧いてるんですか?」
 「うるさい! バグで終わらせるとかやっぱりあり得ないんだよ!」

 「……あからさまなのは駄目だ。せめて、サブリミナル程度にしておけ」
 魔王は溜息をついて、カードを地面に置いた。
 「メッセージを目立たぬところに書いてプレイヤーの潜在意識に働きかけるがよかろう」
 「そんなことできるんです?」
 「できるぞ」
 「ならやろう! 今すぐやろう! 俺達の気持を伝えて晴れやかにゲームを終わっていただこう!」
 「しょうがないなあ……もうなんでもいーよ。は・た・ら・け、と」
 「そ・と・に・で・ろ」
 「お・や・を・た・い・せ・つ・に」
 「ニュアンスは間違ってないけどさあ……」




 こうして勇者たちはメッセージをゲーム世界中にばらまき続けた。すると、そのうちに勇者たちの進行は遅くなり、やがて止まった。

 勇者たちは喜んだ。戦士たちは主に解放されることに。勇者は、自分の真心が届いたのだと思って泣いていた。

 しかしニートはまだ部屋に籠ってゲームをやっている。今度は剣客となり、女子の服を切り裂いて太ももを見つめるゲームだ。
 ドラ○エをやめたのは、やっているとなぜか現実を思わせてうんざりしてしまうから。ニートはドラ○エを放り捨てて別のゲームで現実逃避を繰り返す。

 ニートはゲームをやり続ける。ゲーム。飽きたら別のゲーム。ゲーム。ゲーム……。
 ニートがこのループを抜けるのは、一体いつのことになるのだろうか……。

645 :この名無しがすごい!:2018/03/10(土) 08:43:43.99 ID:zOWSO65L.net
>>642
二代目進行氏も心配性だ〜相変わらずの短編スレ! 救済せんと参上したるはゲーマー型ニート、お題はフル選択! ニート列伝だ!!
さあ物語は何度もクリアを『ループ』する、ゲーム内『勇者』一行視点でスタート〜
描かれるは魔王を含め、プレイヤーのハマリ性に困り果てたキャラ達だ〜敵味方同士が力を合わせ、サブリミナル作戦によって操作主を就職活動に向かわせる、感動の展開w
プレイヤーのニート、これを受けてゲームを卒業!? 作戦成功か、と思ったら、次は『剣客』となり、女子の服を切り裂いて『太もも』を観察するゲームに没頭してる〜現実を叩きつけたらエロゲーマーになっちまった、病状悪化w
延々続く『就活』からの逃避行は、迫りくる現実をヒラリとかわしてループオチに収束〜642氏がきっちりお題をクリアして、うん、もうゲーム会社でも目指しなよーって感じでENDォ!

646 :この名無しがすごい!:2018/03/10(土) 10:33:50.31 ID:JnwvB2aC.net
>>642
ニートのループw
一生懸命なゲームキャラの心遣いに気付かず、ゲームに没頭する
こういう人も現実に居そうですね

647 :この名無しがすごい!:2018/03/11(日) 20:36:29.30 ID:12KtDVUI.net
使用お題:『勇者』『ループ』『就活』『太もも』『剣客』

【楓と安奈】


 大学のラウンジ、机に突っ伏した八束 楓は、大きく溜め息を吐く。

「おいおい、楓、魂がぬけておるぞ?」
「うおおぉぉん、そう思うなら、就職先1つ分けてくれよぉ〜」

 そんな楓の目の前に要るのは遠波 安奈、彼女は今のところ就職面接全敗中の楓とは違い、既に3社から内定を貰っていた。
 キリリとした女性で、実家が道場をやっているからだろうか。スッと伸ばされた背筋、腰まであるロングの黒髪をポニーテールにしている姿は、あたかも剣客を想像させる雰囲気を漂わせている。
 眼前の浜辺に打ち上げられたクラゲの様な楓と違い、実際に“デキる”女なのだ。

「ああ……何が悪いんだろう?」
「……自身の個性をアピールせねば、会社としても判断など出来ぬだろう?」
「個性ってなんだよぅ! 一芸でも披露すればよいのかよぅ!!」

 申し込んでは面接日々。
 面接。失敗。面接。失敗。面接。失敗。面接。失敗…………
 そんな無限ループに楓はすっかりしょげて居た。
 実の所、楓が面接を失敗しているのは、就活のハウツー本を鵜呑みにした受け答えをしている為ではあるのだが、その事に気が付かないのは本人だけであった。
 当然、安奈も気が付いて居る。
 だが、彼女としては「自分で気が付かねば意味はない」と思っている為、多少の助言に留めているのである。
 しかし、色々な意味で鈍感な彼が、それに気が付くのは難易度が高い事だろう。
 安奈がフッと息を吐く。

「よし、楓、ちょっと来い」
「うん? 何?」
「良いから来い」

 そう言うと、安奈は楓の手を取り、中庭まで引っ張って行く。

「さぁ」

 芝生の上で正座に成った安奈がポンポンと自分の太ももを叩く。タイトなスカートから伸びる、引き締まった、しかし真っ白な太ももが眩しい。

「う? え?」

 彼女が自分に何をしてくれ様としているのか、流石の楓も気が付いた。
 膝枕だ。

 落ち込んでる楓を慰めてくれようと言うのだろう。聖母の笑みで首を傾げる彼女は、普段の凛とした雰囲気とのギャップで、酷く魅力的に映る。
 つい、フラフラと安奈の太ももに引き寄せらた楓だったが、しかし、自分達に集中する視線に気が付いた。
 言わずと知れたキャンパスの中庭で有る。そんな所で膝枕をされればどうなるか? それは火を見るより明らかだろう。
 楓はそんな勇者にはなれなかった。

「どうした? 楓」
「あ……う……」

 だが、彼女の純粋な厚意を無下にるる事にも気が咎める楓は……

「うわーーーーー!!」

 逃走を選んだ。
 残された安奈は暫くキョトンとして居たが、すぐに頬を膨らませると……

「……意気地なし……」

 そう呟いたのだった。

648 :この名無しがすごい!:2018/03/11(日) 22:00:36.78 ID:12KtDVUI.net
使用お題:『勇者』『ループ』『就活』『太もも』『剣客』

【剣客ハルナの色々な冒険】(1/3)


 ザザっと足を滑らせる様に開き、仁王立ちとなる。

「良し! 行くか!!」

 ハルナはグッと拳を握りしめると気合を入れ直した。
 【イルカナの酒場】、今日ここで、勇者たかしが仲間の面接をしていると言う話を聞き、ハルナはここに足を運んだのだ。
 郷里を離れ、はや3年。この所、実家から「早う帰ってこい」と言う手紙が激しい。
 女だてらに剣での立身を目指したのだが、現実は、仕官どころか日々を食つなぐのでいっぱいいっぱいだった。
 そこに舞い込んで来たのが今回の話。折よく勇者のパーティーに入り、あまつさえ魔王討伐が出来れば、士官先など引く手あまただろう。
 言わば、将来の就活の是非は今日決まると言って良かった。
 改めて気合を入れ直したハルナは、その一歩を踏み出した。

 ******

「来るかな? 魔法使い」
「どうでしょう? あの方々は基本ヒキニートですから」
「ヒキニートって……」
「さすごしゅ」
「そこでそう言う返事されると、俺がヒキニートみたいだから止めてぇ!」
「さすごしゅ?」

 王国に召喚された少年、たかしは魔王討伐の旅をしている。一度は魔王の国まで足を延ばした彼だったが、しかし次第に強力となって行く敵に対抗する為、戦力を増強しようと人間界に戻っていた。
 パーティーメンバーは、剣も魔法も使えるオールラウンダーのたかし。回復、補助魔法を使う後衛の聖女アリサ。そして肉弾戦闘をこなす前衛の海王クラーケン。
 今回増強したいのは後衛の火力。弓矢を使えるレンジャーか魔法使い。
 探索系の魔法はたかしも使える為、出来れば高火力の期待できる魔法使いがベストだった。

「たのもう!!」
「ん? うえぇ!!」

 鋭い声にたかしが目をやると、そこにはどこか間違った和装の少女が立って居た。たかしが驚いたのはその格好。
 振袖の様な派手な柄の上着に、申し訳程度の胸当ては良いとしてもミニスカと見紛うばかりの袴はどうだろう? さらにハイニ―ソックスによって、その太ももの絶対領域が強調されている。
 たかしが半ば呆然としていると、その少女はつかつかと彼の方へと歩み寄って来た。

「貴方が勇者殿ですな? 魔王討伐の志に賛同する為、まかり参った!!」
「え? ええぇ……」

649 :この名無しがすごい!:2018/03/11(日) 22:03:34.49 ID:12KtDVUI.net
【剣客ハルナの色々な冒険】(2/3)


 ******

「……剣客……のハルナさん?」
「うむ」
「サムライでは無く、剣客?」
「うむ」

 眼前でミルクをすする美少女にたかしは困惑していた。

「ど、どうしよう(ヒソヒソ)」
「は? 募集は魔法使いかレンジャーなのですよ?(ヒソヒソ)」

 困ったたかしはアリサに訊ねるが、何故か不機嫌なアリサはつっけんどんにそう答えた。

「そ、そうだよねー……」

 その態度に冷や汗を流しながら姿勢を正すと、たかしはゴホンと咳払いをする。

「えっと、ハルナさん? 実は今回、募集しているのは魔法つか……」
「そんな! ひどい!!」
「だから今回は……」
「そんな! ひどい!!」
「いや、だから……」
「そんな! ひどい!!」
「残念だけど……」
「そんな! ひどい!!」
「さすごしゅ!」
「そんな! ひどい!!」
「あんた! 脊髄反射でしゃべってるだろ!!」
「そんな! ひどい!!」

 ループしている様なやり取りにたかしがキレる。しかし、後が無いと思い込んでいるハルナも、ここで引く訳には行かなかった。
 何せ、女好きだと言う噂のたかしを篭絡する為に、恥を忍んでこんな格好までしているのだ。今さら後には引けない。
 ハアハアと、息を荒げる二人だったが、埒が明かないと思ったのか、たかしが立ち上がり、出て行こうと踏み出す。

「ちょ、ちょっと待って下さい!!」
「いやだから! 必要なのは後衛で、前衛は要らないだってば!!」
「そんな! ひどい!!」

 そのまま行こうとしたたかしの足にしがみつき、「いや! 捨てないで!!」とか「尽くしますから!!」等と人聞きの悪い事を叫ぶハルナ。

「何言ってってるの!?」
「さすごしゅ!!」
「うるさいよ!!」

650 :この名無しがすごい!:2018/03/11(日) 22:06:31.29 ID:12KtDVUI.net
【剣客ハルナの色々な冒険】(3/3)


 ******

 その後、勇者が泣き叫ぶ女を強引に捨てたと言う噂が立ったとか立たなかったとか。

 そして……

「じーーーーーー」
「……勇者様……」
「アリサ、見るな」
「じーーーーーー」
「さすごしゅ?」
「指もさすな」

 立派なストーカーがそこに出来上がったと言う。

651 :二代目進行 :2018/03/12(月) 05:30:37.73 ID:FP20sTR5.net
ね、寝落ちしてた……ごめんなさい!

お題『勇者』『ループ』『就活』『太もも』『剣客』締め切り

参加作品一覧
>>642【ニートとゲームとループ】
>>647【楓と安奈】
>>648【剣客ハルナの色々な冒険】

652 :二代目進行 :2018/03/12(月) 05:31:36.76 ID:FP20sTR5.net
お題安価>>653-657

653 :この名無しがすごい!:2018/03/12(月) 06:44:25.52 ID:olqb7tQQ.net
ドンマイ

654 :この名無しがすごい!:2018/03/12(月) 07:05:43.72 ID:+UQEbI7i.net
良くある

655 :この名無しがすごい!:2018/03/12(月) 07:45:36.30 ID:2ERifQR1.net
寝落ち

656 :この名無しがすごい!:2018/03/12(月) 07:55:25.89 ID:BfTWx2QP.net
頑張れ

657 :この名無しがすごい!:2018/03/12(月) 19:32:56.53 ID:sMn8/Qud.net
食いしんぼう

658 :二代目進行 :2018/03/12(月) 19:45:44.03 ID:FP20sTR5.net
☆お題→『ドンマイ』『良くある』『寝落ち』『頑張れ』『食いしんぼう』より一つ以上を選択

☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割オーケー

☆締め切り→3/18の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切3/13の22時


みんな優しいな……ありがとう……

659 :この名無しがすごい!:2018/03/12(月) 22:57:38.98 ID:4JSa4Ut0.net
難くね?

660 :この名無しがすごい!:2018/03/13(火) 00:24:59.76 ID:k45ou6Op.net
なんだこのお題w

661 :この名無しがすごい!:2018/03/13(火) 09:19:26.29 ID:E5qqNbXM.net
かつてないお題w

662 :この名無しがすごい!:2018/03/13(火) 09:27:15.45 ID:E5qqNbXM.net
>>647
桜の開花もまもなくだぜ! 日本列島を彩る就活のブロッサム〜前回お題のフルチャレンジだ、太もも戦線異状なしっ
さあ、物語は、無限『ループ』と化した悪夢の『就活』に励む楓さんが、『剣客』を思わせる安奈さんに相談しつつスタートォ〜
個性をアピールしろと超ストレートにほのめかす安奈さんのアドバイスが空を切り、色々な意味で鈍感な彼は頭を抱え…て、って楓さん男なのかw
そんな楓くんに癒しと安らぎを与えるべく安奈さんが編み出した妙計をみよ! 『太もも』による膝枕INキャンパス中庭だア! もうこれ羞恥プレイでしかないんだが
ここで『勇者』になれず逃げ出した楓くんの背中に投げられた「……意気地なし……」の声ポツリ〜いやいやいや、逃げるのは完全に正しい判断だったよね、って感じでツッコミ待ちのお題フルクリア〜

>>648
連続でフルチャレンジだと!? 人知を超えた生産性だな648氏、物理の法則を無視した挑戦は実るか〜剣客商売インザ異世界!
舞台は『勇者』たかしの待つ酒場〜『太もも』を露出して『就活』気分でやってきた『剣客』ハルナが浴びるは、連続パーティお断り〜
「さすごしゅ」←あっクラーケンちゃんじゃないか久々w 初見のスレ民に説明しよう! このパーティは前スレで色々あって結成された海王幼女クラーケンを含む一味なのだ(何の説明にもなっていない
さあ、お断りの『ループ』にクラーケンのさすごしゅ演出が加わり、たかしがヒドイ奴に見えてくる〜こいつは本領発揮か648氏、テンポがいいぞ〜
ラストは剣客ハルナが小判鮫ハルナに生まれ変わる転生オチだw 短編スレの鬼才648氏が、爆発的生産力、お題消化、笑えるオチで三点倒立のお手本を見せてくれたァ!

663 :この名無しがすごい!:2018/03/13(火) 15:55:57.56 ID:1wyOR5F3.net
感想有難うございます
風邪で寝込んでいたら、気が付くと19時を過ぎていたので、慌てて書きました
残業続きで全く書けていなかったので、書きたい欲求が天元突破にw
楽しんで頂けたのなら幸いです

664 :この名無しがすごい!:2018/03/13(火) 20:10:36.30 ID:BMiXprqW.net
>>642に一票

665 :この名無しがすごい!:2018/03/13(火) 21:31:04.28 ID:2v2nlA6f.net
>>647
百合だと思ったらよく見るとノンケだった
騙されたが一票

666 :二代目進行 :2018/03/13(火) 22:06:15.86 ID:8lAsp5XG.net
お題『勇者』『ループ』『就活』『太もも』『剣客』投票締め切り


>>642【ニートとゲームとループ】一票
>>647【楓と安奈】一票

667 :この名無しがすごい!:2018/03/13(火) 22:30:05.11 ID:1wyOR5F3.net
あれ? もう507 KBですね
513KBで限界でしたっけ?

668 :この名無しがすごい!:2018/03/13(火) 22:35:44.84 ID:AfClX3au.net
いや大丈夫、まだ371k
ブラウザによっては大きく表示されるけど
俺のはジャストだから安心してほしい

669 :この名無しがすごい!:2018/03/14(水) 00:16:13.14 ID:f5xzlQL3.net
成る程、でしたら作品を上げている途中で止まるる事は無い訳ですね
良かった
有り難うございます

670 :二代目進行 :2018/03/14(水) 11:35:23.24 ID:ZzaV7uhF.net
このスレになってから大分経つから忘れかけてたけど、前回は確か900レスちょいで落ちたんだっけ。
今回はそんな心配なさそうで、嬉しいような寂しいような……?

671 :この名無しがすごい!:2018/03/14(水) 16:46:41.39 ID:CnSOZf8l.net
んーまあ多分1000まで持つことはないと思うがな

672 :この名無しがすごい!:2018/03/14(水) 19:51:49.80 ID:f5xzlQL3.net
使用お題:『ドンマイ』『良くある』『寝落ち』『頑張れ』『食いしんぼう』

【ジョアンナの物語】(1/3)


 お屋敷の庭園には色とりどりの花が咲き乱れている。わたしは息抜きがてら、そんな花々を眺めていた。

「ジョアンナ?」
「わ、若様」

 わたしはビクリと身を震わせた。若様……メイティス様に声を掛けられたからだ。

「この季節は、花々が色づいて綺麗だよね」

 庭園を見回しながら若様がそう言う。淡い茶髪と空色の瞳。
 その春の日差しにも似た雰囲気に、わたしの胸が高鳴る。

「ジョアンナ! ジョアンナ・リーステイ!」
「ひゃい!」
「ああ、バニィ」

 あうぅ……メイド長のバーバラさんだ。

「……子供の頃の呼び方はお止めください若様。ジョアンナ、申し付けていた仕事は終わったのですか?」
「す、すみません!」

 わたしは若様に頭を下げると、慌ててその場から立ち去る。
 お屋敷に足を踏み入れ、ふと振り返ると、若様とメイド長が話をしていた……んだけど……

「おんやぁ? なかなか怪しい雰囲気ですなぁ」
「リルロッテさん!」

 いつの間に来たのか、わたしの傍らには先輩メイドのリルロッテさんがいた。

「怪しい……ですか?」
「うん。あのメイド長の表情、まるで恋する乙女の様じゃない?」
「え? うっ……」

 そう、わたしが気になったのもその事だ。いつもはピリッとした雰囲気のメイド長が、若様の前でだけ少女の様な顔を見せる。
 メイド長は、わたしより5歳も年上の女性だけど、若様となら2歳差でしかない。
 そう考えると、3歳差のわたしよりもお似合いなのかもしれない。

「…………」
「ま、ドンマイ!」
「な、何でわたし、慰められてるんですか!?」

 ******

 その夜、わたしはベッドで中々寝付けないでいた。昼間の事が気になっていたからだ。
 若様とメイド長。二人はお互いの事をどう思っているんだろう……
 メイド長の方は、若様の事が好きなのかもしれない。昼間の反応もそうだし、いつもの態度からもそんな感じがする。

 では、若様は?
 若様は優しい。それは誰に対しても。それこそわたしだろうと、メイド長だろうと……

673 :この名無しがすごい!:2018/03/14(水) 19:55:43.88 ID:f5xzlQL3.net
【ジョアンナの物語】(2/3)


「そう言えば、二人は幼馴染でもあるんだ……」

 子供の頃からお屋敷に住み込みで働いていたメイド長は、当然その頃から若様を知っている。
 それは若様の方も同じな訳で……

『ああ、バニィ』
『……子供の頃の呼び方はお止めください若様』

「っ……」

 わたしは良く分からない焦燥感に思わず胸を押さえた。
 主とメイドが結ばれる……それは良くある話。夫人としてか愛妾としてかの違いはあるし、ただ、御手付きになるだけ……と言う場合だってもちろんある。
 このお屋敷では聞かないけど、よそのお屋敷のお話はメイド仲間の間でも、良く話題に上がる。
 その度にわたしも胸を高鳴らせたのだけど……

『ジョアンナ!』
『わ、若様!?』
『可愛いよ、ジョアンナ』
『あぁ、若様……』
『フフ、でも駄目よ? ジョアンナ』
『メ、メイド長!?』
『彼は、私のモ・ノ』
『!!』
『ああ、愛してるよ、バニィ』
『私もよ、メイティ』
『だ、ダメーーーー!!!!」

 ハアハアと息が荒い。わたしは手を伸ばす様な格好で目を覚ました。部屋はまだ暗く、夜の静寂が辺りを包んでいる。

「ゆ、め?」

 いつの間に眠っていたのだろう。びっしょりとかいた汗が気持ち悪い。

「……のど、渇いちゃったな」

 ******

「あ、あれ?」

 食堂に明かりがついている。こんな夜更けにキッチンメイドのメアリーさんが居るわけもないし……

「〜〜〜〜?」
「〜〜……」

 ……人の声、でも、この声って……
 わたしは早鐘を打つ胸を押さえながら食堂に近づく。

「まだ、物足りない? バニィは食いしんぼうさんだね?」
「言わないで下さい若様……」
「メイティって呼んでよバニィ」

 やっぱり、若様とメイド長の声だ。足が震える。心臓が早鐘を打つ。
 何でそんなに親しそうなんですか? お二人で何をしているんですか?

「頑張れ、頑張れわたし!」

 立ち竦んで泣き出したくなる自分を小声で励ましながら、わたしは食堂に近づく。

674 :この名無しがすごい!:2018/03/14(水) 19:58:45.78 ID:f5xzlQL3.net
【ジョアンナの物語】(3/3)


 スンスン。

 あれ?

 わたしは食堂をのぞき込んだ。

 ******

「バニィ、口の所、チョコついてるよ?」
「え? ああ! すみません、はしたないところを」
「昔からバニィはチョコレート好きだものね」
「もう、言わないで下さい」

 わたしはその場でへたり込んでしまう。先輩メイド達の話す様な艶事でなかったことに対する安堵と、お二人の思いの外親しげな様子に悲しくなった事で。

「うん?」
「どうしました? メイティ」
「うん、ちょっとね」

 足音が近づいてくる。若様だ。でも、わたしは腰が抜けてしまったのか、立ち上がる事ができない。

「っ〜〜〜〜!!」
「ジョアンナ?」
「っ! ジョアンナ・リーステイ!!」

 ******

 ほこほこと湯気が立ち上る。目の前には紅茶のカップが3つとガトーショコラとチョコムースのお皿が人数分。

「バニィには試食をしてもらってたんだ」
「そ、そうなんですか?」

 わたしは思わずメイド長を見る。普段は厳格な彼女が、実は大の甘党だったと聞いて、わたしは目を丸くした。
 そんなメイド長は、羞恥のためか頬を赤く染めながらも忙しなくショコラを口に運んでいる。

「ああ、ほら、また」
「ちょ、メイティ!」

 若様がメイド長の抗議の声も聞かず、自らのハンカチで彼女の口許に付いたチョコレートを拭う。

「君は年上の癖に、手の掛かる妹みたいだ」
「何時までも、パテシエに成りたいなどと我儘を捏ねている、メイティに言われたく有りません!」
「あーあ、跡取りになんか成りたくはなかったよ」

 そう言って若様は笑った。
 メイド長は怒った様な上目遣いをしながらも、でも、その目には微笑みを浮かべている。

 …………やっぱり、メイド長も若様が好きなんだ。
 でも、若様はきっと違う。親愛であっても真愛じゃない。
 みんなの事を同じ位好きなんだ。だったら……

「わ、わたし頑張ります!!」
「え? うん、頑張っ……て?」
「!!」

 わたしのその宣言に視線が怖くなったメイド長と、良くわかって無さそうな若様の目の前で、わたしはとびっきりの笑顔を作った。

675 :この名無しがすごい!:2018/03/14(水) 22:52:05.21 ID:f5xzlQL3.net
女性にチョコレート菓子を食べさせる話を書いておいて何なんですが
今日がホワイトデーだと、今気がつきました

676 :この名無しがすごい!:2018/03/15(木) 08:38:27.54 ID:Ejn88cbR.net
>>672
変則お題にフルチャレンジ! メイド青春物語inホワイトデーだ〜
さあ物語はメイド・ジョアンナさんのロマンス溢れる語りを描写〜メイド長のバーバラさんと若様の親密な様子に、先輩から掛けられる言葉は『ドンマイ』! なんだこの世界観w
メイドが目をかけられるのも『良くある』話とトキメくジョアンナさんの高鳴りは、三角関係の苦悩から『寝落ち』にジョイント〜
夜更けの目覚めに聞こえるは、おやおや『食いしんぼう』さんだ……とエロ親父的な囁きだ〜ジョアンナさんが『頑張れ』私、って自分を鼓舞して場に突入〜ラストは誤解を解いて「わ、わたし頑張ります!!」って「頑張れ私」に自ら応じて宣言オチだァー
うん冒頭で場面を作りこんでいるだけに、先輩メイドの『ドンマイ』に違和感が生じたものの、トリッキーなお題をなんなくこなす手際は見事、672氏が王道メイドストーリーを魅せたぜ!

677 :この名無しがすごい!:2018/03/15(木) 12:43:19.61 ID:acdWD1ri.net
感想を有難うございます
メイド長からの視点でもう一作品でも……と思いましたが、結局お題消化的には重複するので止めましたw

678 :この名無しがすごい!:2018/03/17(土) 23:59:28.05 ID:FbnRXyR/.net
使用お題:『ドンマイ』『良くある』『寝落ち』『頑張れ』『食いしんぼう』

【すくすくそだて】


 ぐらんぐらん、ぐわんぐわん。

 頭と体がゆれる度に、食べこぼしがヨダレかけにベッタリと付く。
 グズっても強引に着けさせたのは、我ながらナイス判断だったと自画自賛する。
 この子が電池が切れた様に寝落ちするのは良くあるが、今回はこのタイミングだったか。
 いつもならストーンと眠ってしまうのだが、我が家の食いしんぼうの食欲と睡眠欲の綱渡りは、ギリギリ食欲が勝った様で、何とか口は動いている。

 もっとも、半分はこぼれ落ちてしまっているのだが……

 一生懸命さ故の滑稽さに、ついつい笑みがこぼれてしまう。

 うん、頑張れ頑張れ。

 でも、睡眠欲に負けてしまったら慰めてあげよう。「ドンマイ」って言って、抱きしめてあげよう。

 だから、そのまますくすく育ってね。

679 :この名無しがすごい!:2018/03/18(日) 08:19:58.16 ID:JbIUFCM7.net
>>678
お題はフルチョイスだ! すくすく子育てin短編スレ〜
さあ語り手がヨダレかけを装着したベイビーをじっくり観察だ! この子が何かしながら『寝落ち』するのも『良くある』ことと、首がガックガックの喰いザマを見つめるぞ〜
流れる様に『頑張れ』『食いしんぼう』を消化し、睡魔が勝つか食欲が勝つかとハラハラの親御さんが、愛の『ドンマイ』を小脇にセットし、お題を全消化〜〜!
短いながらも違和感はゼロだあ〜食卓の一コマはわが子の成長にむける眼差しでニヤニヤENDが決まったぜ!

680 :この名無しがすごい!:2018/03/18(日) 12:34:39.73 ID:thkFKpS6.net
感想有難うございます
最後にもう一言足した方がリズム的に良い様な気がしたのですが、思い付けなかった為、そのままアップしましたorz

681 :二代目進行 :2018/03/18(日) 17:26:07.14 ID:aer7iryG.net
ああ、もう日曜日じゃん……出そうと思って半分くらい書き終わったやつ、間に合うのかこれ(仕事中)

682 :この名無しがすごい!:2018/03/18(日) 19:28:44.01 ID:thkFKpS6.net
あまり無理はして欲しくはないですが
間に合わないと日の目を見せられない可能性が高いところが痛し痒しですね……

683 :二代目進行 :2018/03/18(日) 22:16:16.30 ID:aer7iryG.net
お題『ドンマイ』『良くある』『寝落ち』『頑張れ』『食いしんぼう』締め切り

参加作品一覧
>>672【ジョアンナの物語】
>>678【すくすくそだて】

684 :二代目進行 :2018/03/18(日) 22:17:24.81 ID:aer7iryG.net
やっぱりだめだったよ……
そのうち設定でも引き継いで書くさ

さてではお題安価いきますね
>>685-689

685 :この名無しがすごい!:2018/03/18(日) 22:33:05.14 ID:jjWt1NfA.net
楽譜

686 :この名無しがすごい!:2018/03/18(日) 22:34:06.08 ID:61fkf6Wu.net
フレンズ

687 :この名無しがすごい!:2018/03/18(日) 22:49:35.20 ID:qgjUtmkh.net
ずっしり

688 :この名無しがすごい!:2018/03/19(月) 06:46:02.37 ID:UgdRm1Zh.net
秘宝

689 :この名無しがすごい!:2018/03/19(月) 08:29:51.88 ID:rktLYR5p.net
ハート

690 :二代目進行 :2018/03/19(月) 14:12:58.80 ID:FBawRKbo.net
☆お題→『楽譜』『フレンズ』『ずっしり』『秘宝』『ハート』より一つ以上を選択

☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割オーケー

☆締め切り→3/25の22時まで
☆平行して前回のお題の投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切3/21の22時

691 :この名無しがすごい!:2018/03/21(水) 18:45:21.39 ID:/VY3/WZ+.net
>>672【ジョアンナの物語】 に一票

692 :二代目進行 :2018/03/21(水) 22:04:01.16 ID:Yskm0Sc0.net
お題『ドンマイ』『良くある』『寝落ち』『頑張れ』『食いしんぼう』投票締め切り


>>672【ジョアンナの物語】一票

693 :この名無しがすごい!:2018/03/22(木) 19:57:29.76 ID:nw19sC2j.net
>>678【すくすくそだて】 に一票

久しぶりに来たけど楽しそうなのでまた参戦させてください。お題は任意消化でいいんだよね?

694 :この名無しがすごい!:2018/03/22(木) 20:05:18.68 ID:D+uEVDDm.net
おーけーよ

695 :この名無しがすごい!:2018/03/22(木) 20:23:59.85 ID:nw19sC2j.net
>>694
ありがとう、でも全部お題を使っていくスタイル

使用したお題;『楽譜』『フレンズ』『ずっしり』『秘宝』『ハート』

【宝探しと一番の宝物】

 幼馴染からいきなり宝の地図を渡された。いくらなんでも突拍子がなさすぎるだろう、お前。高校生にもなってこんなことするなんて、バカかと。

「そんな寂しいこと言うなって。昔からの友達だろ? その地図のバッテンのついたところには秘宝が隠されてるんだ、ちゃんと見つけてくれたまえ」

 何が秘宝だ、小学生じゃあるまいに。と最初はアホらしく思っていたのだけど、さすが付き合いが長いだけあった。僕の弱いところをよく知っている。
 デジタルなゲームも好きだけど、こういうアナログな遊びもまた大好きなのだ。ましてや地図というのがなかなか巧妙で、山と海をカレーライスに見立てたり、圏央道を五線譜になぞらえて謎解きをさせたりと、なかなか遊び心をくすぐってくる。
 最初は高校卒業間際の長年の友人からの気まぐれだからと嫌々宝探しに付き合ってやっていたが、気づいたら謎解きに夢中になっていた。途中から必死に頭を巡らして僕は宝の場所をなんとか探し当てることができた。一緒についてきた幼馴染に渾身のドヤ顔を見せつける。
 ただ、ちょっとこの場所に違和感を覚えた。

 なんで小学校なんだよ、僕らの。

「懐かしいじゃないかマイフレンズ。宝の場所も近いだろう。最後の謎は君に任せた。自力で解いてくれ」

 そう言うと幼馴染は少し寂しそうな表情を浮かべて、夕暮れの中一人勝手に帰ってしまった。最後まで見届けないのか、と僕は何か拍子抜けの気持ちだった。
 僕はもう帰ろうかとも思ったけれど、最後の謎というのが気になった。最後の謎まで解かないとアイツに馬鹿にされる気がしたし、それになぜか宝を見つけなきゃという義務感があった。
 用務員さんにスコップを借り、宝の場所を掘り返してみる。するとそこには見覚えがある小汚い金属の箱があった。

 これ……、タイムカプセルじゃん。うわ、懐かしい。

 これは僕と幼馴染が埋めたタイムカプセルだった。こんなものがあったなんてすっかり忘れていた。僕は手が汚れるのも構わずにタイムカプセルを手に取った。妙にずっしりと重い。
 少し気がとがめたけれど、ほんのちょっとだけ中身が気になった。自分が何を入れたか思い出したいし、アイツが何を入れたか勝手に見てやろうとも思ったのだ。人に謎掛けするだけしといて勝手に帰った罰だ。

 開けると箱の中から……なぜか大量のトランプが出てきた。

 うわ、なんだこれ? しかも全部赤? なんで全部赤のトランプばっかりなんだ?

 箱の中にはトランプばかりがぎっしり入っていた。何セット分なのだろうか、その全部が赤色だった。
 トランプの下に埋もれるように手紙が張り付けてあって「これが最後の謎だよ。君には意味がわかるかな?」と挑発的な文章が書いてあった。解けたら君のタイムカプセルの中身を返してやる、とも。
 僕は大量のハートのトランプを見ながら、虚空に呟いた。

 あのバカ女、一体何の意味があるっていうんだ、これ?

 僕はしばらく考えて、考えて、考えて、ハッとして、ようやく答えを導き出すことができた。

696 :この名無しがすごい!:2018/03/23(金) 06:54:39.74 ID:Vh4LiFNA.net
遠回りな意思表示、果たして彼は自信を持って彼女に回答を言えたのか気になりますねw

697 :この名無しがすごい!:2018/03/23(金) 08:44:42.81 ID:SkA/NpNO.net
>>695
何やらノスタルジーを感じさせる新お題群にフルチャレンジ! タイムカプセルDearマイフレンド〜
さあ幼馴染から『秘宝』の地図を手渡された主人公が探索開始〜「懐かしいじゃないかマイ『フレンズ』」などと声を聴きながら、カレーライスに『楽譜』、何やら少年時代を思い出させるグッズの謎解きを経て、
『ずっしり』と重いタイムカプセルから得たものは赤のトランプ…幼馴染のメッセージは「これが最後の謎だよ。君には意味がわかるかな?」、あーうんうん、そういうこと、なるほどね…すまん全然分からん、どういうこと? って「バカ女」…女!? やられたw
幼馴染の言葉遣いを僕っ子形に加工して性別を隠蔽! トランプの赤が『ハート』なのも隠蔽! 全ては最後部の発覚ゾーンに向けた撹乱だァ!!
ゲーム巧者695氏がお題をノスタルジー感で一貫、ラストで読者へ投げ込んだノールックパス〜これを主人公がナイスキャッチしてENDォ!!

698 :この名無しがすごい!:2018/03/23(金) 11:42:44.94 ID:R/DV+qhH.net
感想ありがとうございます。というか競馬実況風感想さん生きてたのかw
細かいところまで拾ってくれるところが相変わらずでありがてぇ、ありがてぇ・・・

699 :この名無しがすごい!:2018/03/23(金) 16:21:12.81 ID:1XpLejMI.net
ころすなw
お久!
進行氏は二代目になったぜ

700 :この名無しがすごい!:2018/03/24(土) 12:34:01.97 ID:Whg/6HWT.net
他に誰も投稿しないのかな。一人で2個目張っちゃうけどいいのかな……?

使用したお題;『楽譜』『フレンズ』『ずっしり』『秘宝』『ハート』

 祖父の遺品を漁っていたら、とんでもないお宝を見つけた。ズッシリとした箱がたくさんある倉庫の中、一つだけやたら丁寧に包装された箱があったのだ。
 気になって中身を見てみたら驚いた。それは一枚の楽譜だった。
「この音楽を聞かせると、相手に惚れられる、惚れ薬ならぬ惚れ音楽の楽譜」
 まさしく秘宝と言って過言ではない、とんでもない遺産だった。なんとこの音楽を聞かせるとホモ・サピエンスの情動を動かし、確実に相手から好かれるそうだ。祖父はこれを使って祖母と結ばれたそうな。
 箱の表面に明記された惚れ音楽という単語と、その中に入っていた妙に緻密な取扱説明書をオレは一通り読んで……絶句した。

 正直アホか、と。

 優しかった祖父がこんなものを持っていたことに衝撃を受け、惚れ音楽というパワーワードに呆れ果て、一瞬本物だったらと妄想した自分のバカさ加減を自虐した。
 そしてあまりのくだらなさに、あえて本当かどうか試してやろうと思った。

「で、私が呼ばれたわけか。君はいつも暇だなぁ」

 この楽譜を見つけた直後のオレと同じような呆れ顔をして友人がため息をついた。オレは少しだけムッとしつつも言い訳をする。

「こんなアホらしい遊びに付き合ってくれるオレの女友達って言ったらお前くらいしかいなかったんだよ。いいだろ、お前も暇なんだし」

 奴は「まあね」と軽く同意した。その後、パソコンの画面を覗き込む。

「にしても、こんな変わった音楽作成ソフトがあるんだね。知らなかったよ」
「大昔にあったイラストを描くゲームに、音楽作成するプログラムがおまけでくっついてたんだよ。それを本格的に使えるようにしたのがこれね。結構有名なもんだよ」

 そう言って僕はシークエンサを起動する。赤い帽子を被った小さいおっさんが五線譜の上を走りだして、音符の上を飛び越すたびに音を奏でる。
 惚れ音楽という名前に因んで少しでも効果をあげるべく、ハートの音符を多めにつけてみた。独特の音楽がパソコンの貧弱なスピーカーから流れる。

「どうだ、なんか変わったか?」

 音楽が一巡りし、音楽が終わる。赤い親父がいなくなって停止した画面を背に、彼女に聞いてみた。

「変わるわけないよ。ただの音楽だし」

 しかし奴は当たり前のような顔をして首を横に振った。まあそりゃそうだよなぁとオレは少し期待外れな気持ちをしつつ納得した。
 女友達はもはや惚れ音楽に興味はないのか、パソコンの方を注視していた。操作したそうにマウスの方に手を伸ばしている。

「で、この後はどうするの? 終わり? 終わりだったらこの音楽作成ソフト使ってみていい? 遊んでみたい」
「いいよ。あ、その前に、ちょっと待って」
「なに?」
「どうせだし、これネットにアップしてみるよ。ネタ動画としては十分なネタになるでしょ。爺ちゃんの供養代わりにね」
「いいんじゃない? どうぞどうぞ」

 そう言ってマウスを僕に渡してくれる。僕は世界的有名な動画サイトの自分のアカウントに今の音楽を再生した動画をアップした。
 そしてシークエンサに乗っていた楽譜を上書き保存してからクリアして女友達に席ごと渡そうとする。奴はなぜか嫌らしく笑っていた。

「で、君はこの音楽を私に聞かせてどうしたかったのかな? もし私が君に惚れちゃったらどうするわけ?」
「いやいや、自意識過剰だろお前。こんなん効くわけないって思ってたし、お前もそう思ってたんだろう?」
「えー、でもわざわざ呼びつけて最初に聞かせるとか、なんか意図的なものを感じるなー。きゃー、ヘンターイ」
「うっせ、ほら、使うなら勝手に使えよ。俺は下でお茶入れてくるから!」
「はーい」

 そうしてその日はオレの部屋で適当に遊び、夕方には解散した。僕は動画の再生数が、タイトルのインパクトの割にはあまり伸びなくって少しだけ残念に思った。
 その後、オレはこの惚れ音楽のことをすぐに忘れた。


 一か月後、大量の女の子がオレの下にやってくる大事件が起こるとは、この時のオレは予想だにしていなかった。

701 :この名無しがすごい!:2018/03/24(土) 14:32:17.20 ID:nSQOhcR7.net
一人で複数投稿も大丈夫ですよ
登場人物は前回からの引続きなのでしょうか?
だとするとなんの進展も……
彼女の方に変化がなかった理由は押して知るべしですよねw

702 :この名無しがすごい!:2018/03/24(土) 17:49:31.63 ID:nSQOhcR7.net
使用お題:『楽譜』『フレンズ』『ずっしり』『秘宝』『ハート』

【エクスプローラズジャム】(1/3)


 黄色い声援が飛び交い、舞台は熱狂に包まれている。

 “オラクリア”

 今では知らぬ者は居ない程のメジャーなロックバンドのコンサートである。
 武道館の座席は超満員で、立ち見すら困難な状態だった。そのステージの上ではメインボーカルの野上 恭吾が、その透明感のある歌声で高らかに歌い上げながらも、その内心で思っていた。

(どうしてこうなった!!)

 ******

 恭吾は目の前の石扉と手に持った楽譜とを交互に睨む。古代オラクリアの神殿、その地下通路に彼は立って居た。
 ここに来るまでに幾つものトラップを解除し、時には罠に嵌り、隠し扉を見つけ漸く辿り着いたのが、この最奥の部屋の前なのである。

「……やはり、この楽譜が鍵か……」

 ずっしりと重そうな石扉に刻まれているのは古代オラクリアの楽譜であり、彼が手に持っている物こそ、それを現代訳した物だった。
 恭吾がクロッカス教授の遺したオラクリアの秘宝の在処を示したレポートを手に入れたのは2年前の事である。
 それから彼は、あらゆる伝手を使い、ここまで来たのだが……

「……使用する楽器については何も書かれていないのか……クソッ」

 扉の鍵と成っているのが、この楽譜の音楽である事は間違いないだろう。
 しかし教授のレポートにも扉にも、使用する楽器についての記述は何一つ書かれていないのだ。音階がある以上、打楽器の類いではないのは確かだろうが、しかしそれが何なのかは、結局分からなかったのだ。

 古代オラクリアでは音楽が神に奉げる神聖な物とされていた事もあり、楽器の類いも当然作られていた。
 しかし、それらは既に失われて久しい。
 おおよそ思い付くのはオカリナの様な石笛や、横笛の様な木管楽器。そしてハープやヴァイオリンの様な弦楽器であるが、確証がないため、試すまでには至っていなかった。
 なぜなら、こういった仕掛けの場合、間違えれば何らかのトラップが作動する可能性が高いからだ。

「さて、何かヒントでもと思ったんたがな……」
「フッ。お困りのようだね、マイフレンド!!」
「お、お前はジョーン マクガルド!! また俺を付けて来たのか! この、ハイエナが!!」
「おっと、折角、君の為を思ってこれを持ってきたのに、それはツレないんじゃないかな?」
「……」

703 :この名無しがすごい!:2018/03/24(土) 17:53:47.25 ID:nSQOhcR7.net
【エクスプローラズジャム】(2/3)


 ゴッ!!

 ジョーンの持っている物を見た恭吾は、無言で彼の頭を殴り下ろす。
事も有ろうに彼の持って来た楽器はエレキギター……古代オラクリアではまず間違いなく使われてなど居なかった楽器だったからだ。

「グオ! 悪かった! 君の怒りももっともだ!!」
「チッ、分かって居るなら……」

 思いの他、素直に謝ったジョーンに恭吾は舌打ちをする。が、その後の台詞で思わず目を点にした。

「ギターだけじゃ足りないよな! 任せろ!! カモン! マイフレンズ!!」
「は?」

 ジョーンの号令で人影が飛び出す。唐突な展開に恭吾は唖然とした。

「ベース、リヒャルト!!」
「Oh! Yeeee!!」

 ギュィィィィ――――――ン!!

「ドラムス、牧田!!」
「………」

 ドコドコドコドコドコドコドコシャーーン!!

「ギターはオレ!!」

 キュラキュラキュラキュラキュラキュラキュラギャ―――ン!!

「そして! ボーカル恭吾!!」
「はあぁ!?」
「早くしろ!! 恭吾!! セッションは始まってるんだぞ!!」
「いや、ちょっと待て! そのドラムセットどっから持って……じゃ、ない!! いやホント待て!!」

 気が付けば恭吾を除く三人は既に音楽を奏で始めていた。そして、間を置かず、遺跡が鳴動を始める。

「クソッ! トラップが作動し始めやがった!!」
「ハリー、ハリアップ、恭吾!! メインボーカルが歌わず、どうする!!」
「俺か!? 俺が悪いのか!?」

 パラパラと小石が降る。今逃げたとしても、果たして脱出できるか分からなかった。

「ハリー! 恭吾!!」
「あー、クソッ!! それしか…………っ!! てか、この楽譜に歌詞なんか無いんじゃボケエェ!!」
「恭吾!! 音楽はソウルだ!! パッションだ!! ハートに浮かんだ思いをメロディーに乗せろ!!」

 そう言っている間に壁にはヒビが入り、振動はさらに大きくなる。

「ぐああぁぁぁ!! やってやんよ!! こんチクショウ!!」

704 :この名無しがすごい!:2018/03/24(土) 17:58:06.30 ID:nSQOhcR7.net
【エクスプローラズジャム】(3/3)


 ******

 はぁはぁと荒い息を吐く。セッションが終わり、皆の周りには、やり切ったと言う達成感と連帯感が漂っている。
 いつの間にか振動は止まり、辺りは彼らの呼吸音だけが響いていた。

「良かったぜ、恭吾」
「Nice!!」
「流石はジョーンが認めたヴォーカルだな」
「ああ、ありがとう…………じゃねぇ!! どうにか成ったから良かったが、おまっ、一歩間違えば全員生き埋めだったんだぞ!!」

 果たしてそれがどういう作用だったのか、しかし、確かに4人のセッションで神殿のトラップは解除された様だった。
 しかし、ジョーンにも確証がなかったであろう事は疑いようは無い。

「恭吾……」

 その事で激昂する恭吾だったが、不意に真剣な顔に成ったジョーンに少し怯む。

「考えるな、感じろ!!」
「うるせええぇぇぇ――――――!!」
「Hey! look!!」

 恭吾がジョーンに殴りかかろうとした、その瞬間、リヒャルトが指をさして叫んだ。

「と、扉が……」
「開いた」

 ******

「これは、スコアか?」

 神殿の最奥の部屋、そこに収められていたのは粘土板に刻まれた大量の楽譜だった。

「!! そうか、そう言う事か!! 古代オラクリアで神に奉げられていたのは音楽だったな」
「アイシー、確かに、古代オラクリアでは秘宝と言う訳だな! そして、オレ達にとっても!!」
「ああ!」

 うず高く積み上げられた粘土板。学術的にも民俗学的にも貴重なお宝を前に、恭吾とジョーン、ついでにリヒャルトと牧田が笑みを漏らした。

 ******

 そして今、恭吾の姿は舞台の上にある。
 あの後、古代オラクリアの魂を現代に継承するのは自分達しかいない等と3人によって言いくるめられた恭吾は、あの時見つかった楽譜を現代音楽へと編曲したアルバムをリリースする事となった。
 それはたちまちヒットし、こうして全国ツアーをするまでに至ったのだが……

「何でだ、どうしてこうなった」
「恭吾……」
「……ジョーン……」
「考えるな! 感じろ!!」
「うるせえええぇぇぇぇ――――――!!!!」

705 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 02:59:18.75 ID:HDi8zrZR.net
>>702
ツッコミがボケに負けた話ですね。ボケ三人組、嫌いじゃないw
でもほらあれだ、最終的に仲の良いメンバーと音楽界での名誉っていう最高の宝を手に入れられたんだから、いいじゃないか(目をそらしながら)

706 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 08:59:50.57 ID:QBjcD65l.net
感想有難うございます
きっと恭吾のツッコミレベルが足りなかったんだと思います
本職は考古学者ですからw

707 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 09:13:38.26 ID:rVaEDHKC.net
>>700
お題五つにフルチャレンジ! ラブ・ミュジッーック!
さあ物語は『ずっしり』した祖父の遺品で開演〜出てきたのは、『秘宝』惚れ音楽の『楽譜』! 爺ちゃんの気まずい黒歴史だw
見覚えアリの喋り方をする女友達がさっそく試聴〜『フレンズ』は「女友達」で消化ってことか〜
『ハート』の音符で彩られた惚れ音楽の効き目やいかにって、うわ…効かねえし…爺ちゃん恥かき損かよと思ったら
最後の一行でやっぱり効いていた〜って変化のない女友達は!? なるほど、うわっ最初から効いているんだよとかそういうお洒落な感じ!? 女口説きの熟練者700氏が全お題をクリアしつつ華やかに決めたぞー

>>702
続いて全お題に挑戦だ、魂のシャウトIN洞窟〜
さあ主人公の恭吾さんが目にするは、『ずっしり』と重そうな目の前の石扉、手にする『楽譜』はクロッカス教授の遺したオラクリアの『秘宝』だ〜、それっぽい設定だなw
ジョーン マクガルド「カモン! マイ『フレンズ』!!」←うん、一応ジョーン マクガルドで検索したが何も出ねえw
ここで見逃せないのはキラーお題『フレンズ』の消化〜friendは「一人」、friendsは「複数」、自然に使うのが意外に困難! 出題した人はけもフレ的な発想だったと思うが…これに着目したらしき702氏が謎のバンドメンバーを召喚だ〜
『ハート』に浮かんだ想いを恭吾さんが歌い上げて懐かしい感じの崩壊トラップを回避〜あーインディジョーンズ思い出すねアハハって感じでお題をドタバタ・フルクリアだァ!

708 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 10:28:29.88 ID:QBjcD65l.net
感想有難うございます
最初は地下遺跡の件だけのつもりだったのですが、気が付けばバンドを結成させていましたw
どうしてこうなったorz

709 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 18:19:18.27 ID:HDi8zrZR.net
競馬実況さんの感想が見たいから三つ目

使用したお題;『楽譜』『フレンズ』『ハート』

【問題、彼らは何で勝利したのでしょう?】

「いやー、勝ちましたね」
「勝てたねー」
「辛くも勝利ってとこですねー。ビックリしましたもの、間違いなく負けると思ってましたし」
「メンツが悪かったしねー」
「そうなんですよねー、王様。こっちはエースが1人なのに対して、相手はエースが3人もいやがる。対してこっちは10人並みな奴が1人紛れてましたしね」
「そんなこと言うなよ、仲間だろ。でもま、戦力差は歴然だったね」
「いや失礼。ホウ セイ マイフレーンズの精神ですね。それに今冷静に考えると、今回の勝利は彼のおかげでもありますしね。
 でもうちらもかなり強いグループだったとはいえ、相手はそのさらに上の存在でしたしね。もう負け以外の何物も見えませんでしたよ」
「ま、そこは私の奥さんのおかげってところかね」
「まったくその通りですね。王妃様が最後に来てくれなかったら確実に終わってましたですね。王妃様仏様! って気持ちでいっぱいですよ。もう感謝の気持ちを込めて自作の歌でも作って演奏会開きたいくらいです」
「ドン引きされるよ、間違いなく」
「じゃあ楽譜を作って送るだけにしときましょう。じゃあ最後に勝利者インタビューをしちゃいましょう。では、今回の勝因はズバリなんでしたか?」
「みんなが揃ったおかげ、そして君のおかげだよ、ジャック君」
「へへ、ありがとうございます。キング」

追記
ヒント(というか言い訳):トランプゲームは基本的に、スペード、ハート、ダイヤ、クラブの順に強いです。

710 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 20:01:10.01 ID:QBjcD65l.net
使用お題:『楽譜』『フレンズ』『ずっしり』『秘宝』『ハート』

【フレンズ】


「愛弓、もう一回合わせよう」
「うん」

 果奈ちゃんの言葉に、わたしは楽譜を最初までページを戻す。
 部活に入った頃から使っている楽譜ファイルは、3年間でパンパンになり、持つとずっしりと重い。
 でもそれが、わたしと果奈ちゃんとの時間の積み重ねだと思うと、それはそれで嬉しい。
 マウスピースを唇に当て、トランペットを構える。
 視線を交わし、タイミングをあわせ曲を奏で始めた。

 ******

 譜面をめくる。

「っ……」

 わたしはここの最初スタッカートでいつもつまずく。リズム感が悪いんだ。
 でも、果奈ちゃんは「気にしないで」と、視線で促す。曲を最後まで通す事を最優先にしたいらしい。
 わたしは頷くとそのまま通した。

 ******

「果奈ちゃん、ごめん」
「んー、他のスタッカートだと、それほど躓かないんだから、譜面をめくった直後で慌てちゃうんじゃないかな?」

 そうなのだろうか? 果奈ちゃんは優しいから気を使ってくれてるのかも。

「譜面をめくるタイミングを前か後ろにずらしてみたら?」
「でも、見てないとわからないよ?」
「う〜ん……そこは、覚えるしか……私も覚えるまで付き合うから」
「うん、ありがとう、ごめん」
「親友でしょ? 気にしない気にしない」

 その言葉に私の心がズキンと痛んだ。

 親友……わたしと果奈ちゃんは親友だ。
 でも……

「愛弓?」
「あ、うん、ごめん」

 「へんな愛弓」そう言って果奈ちゃんは笑う。
 わたしは曖昧に笑みを浮かべた。

 気づかれちゃいけない。わたしはもう一度心に鍵をかける。気づかれたら“親友”では居られなくなる。

 これは秘めた宝物。
 わたしだけの秘密の宝物。

 誰にも気づかれちゃいけない。彼女のと友達で居るために。
 わたしは果奈ちゃんの透き通った横顔をチラリと見ながら、切なくていとおしいその思いをハートの奥にしまい込んだ。

711 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 20:30:36.12 ID:QBjcD65l.net
>>709
解答は競馬実況さんにまわしますがw
カード達も勝った負けたで一喜一憂していると思うと楽しげですね
時折、夫婦が敵にまわったりと、色々なドラマが起こっているのかな? と、想像を掻き立てますねw

712 :二代目進行 :2018/03/25(日) 22:03:21.90 ID:zPr35qXg.net
お題『楽譜』『フレンズ』『ずっしり』『秘宝』『ハート』締め切り

参加作品一覧
>>695【宝探しと一番の宝物】
>>700【タイトルなし】
>>702【エクスプローラズジャム】
>>709【問題、彼らは何で勝利したのでしょう?】

713 :二代目進行 :2018/03/25(日) 22:05:01.73 ID:zPr35qXg.net
お題安価〜お題安価〜取りますよー
>>714-718

714 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 22:06:17.27 ID:tHfmWTVD.net
麦わら帽子

715 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 22:35:46.45 ID:HDi8zrZR.net
四字熟語

>>710 の【フレンズ】がない、これに投票したいのに……。
理由? 尊いから

716 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 22:44:08.84 ID:zbcgKpVl.net
レーズンブレッド

717 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 22:52:35.73 ID:vLGu70QN.net
スマホゲーム

718 :この名無しがすごい!:2018/03/25(日) 23:28:22.02 ID:HDi8zrZR.net


719 :二代目進行 :2018/03/26(月) 00:01:46.25 ID:1fX2CI+L.net
☆お題→『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』より一つ以上を選択

☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割オーケー

☆締め切り→4/1の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切3/28の22時

720 :二代目進行 :2018/03/26(月) 00:03:35.31 ID:1fX2CI+L.net
先ほどの〆で一つ漏れたのは完全にミスです、ごめんなさい

☆投票リスト

>>695【宝探しと一番の宝物】
>>700【タイトルなし】
>>702【エクスプローラズジャム】
>>709【問題、彼らは何で勝利したのでしょう?】
>>710【フレンズ】

721 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 00:16:04.83 ID:/qZu04IZ.net
>>710【フレンズ】 に一票

理由は尊いから

722 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 01:06:27.93 ID:/qZu04IZ.net
今回のお題なんか難しいので、早乗り全消化で挑戦します

使用したお題:『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』

【バカとバカとシリトリ】

「しりとりのの常識を壊そうかと思う」
「いきなりどうした。とち狂ったか?」
「いいから聞きなさい。聞けばわかる」
「本当か?」
「本当だ。試しにちょっとしりとりをしてみよう。最初はしりとりの『り』からで」
「じゃありんご」
「ゴリ……」
「ラッパ」
「はいストップ。私は『ゴリ……』で止めたのに、なんでラッパと言った?」
「いや、ゴリまできたらその後はラが来るしかないだろう。定番だしな」
「そう、それだ。その定番というのがおかしい。なぜかしりとりを始めると、みな判を押したようにシリトリンゴリラッパと続く。これが今回解明したい謎だ」
「なるほど、言われてみればラッパまでは一気に進むな。そしてそこからが本当の勝負になるイメージがこびりついている。これは確かに謎だ」
「そうだろう? そしてラッパまではテンプレートで行われるのに、『パ』の後から妙に変化するところも謎だ。パンダ、パラシュート、パンツ、パイナップル……。ラッパまでは一息で進むにも関わらず『パ』に関してはバリエーションが多い。理解できないだろう?」
「言われてみればその通りだ。もちろん、シリトリンゴリラッパまで進まなきゃいけない、というルールはない。しかし特に意識していなければ、勝手に途中から変化する勇気もない。意味が分からないな」
「そうだろう? そんな常識はないはずだ。だから壊させてもらおうと思う。どうだろう、協力してもらえないか?」
「わかった、いいだろう。ではまずはどうやって壊すんだ?」
「差しあたって、他のテンプレを作ればいいんじゃないかと思う。そっちが認知し、人々の間で浸透すれば、シリトリンゴリラッパの無間地獄から解放されるはずだ」
「なるほど、いい案だ」
「というわけで最初のしりとりの『り』から始めよう。何か案はないか?」
「では無難に、リスなんてどうだろう?」
「良いな、日本では滅多に見かけない生き物だが耳慣れてる単語でもある」
「ゴリラもそうそう見かけないけどな」
「そう言うな。では次『ス』か……スマホゲームなんてどうだろう?」
「現代人らしくて良いな。では『ム』か……麦わら帽子、とかは?」
「いや、麦わら帽子はないだろう。あまり一般的ではない」
「ラッパは一般的なのか?」
「そういうわけじゃないが、麦わら帽子なんてついぞ見かけないだろう。麦わら帽子を被った美少女なんて漫画の世界以外でお目見えした記憶がない。あまり良い選択ではない気がする」
「ふむ、まあ文字数も多いし、違う方が良いか……ではムシでいいんじゃないかな?」
「ムシか、短くていいな。ただどっちにしろ次は『シ』か……そうだな、ここらで四字熟語なんて洒落てるんじゃないだろうか。獅子奮迅とか」
「それ、最後が『ん』だぞ。ただアイディアは悪くない、それでいこう。最後が『ん』じゃなくてもっとメジャーな四字熟語……」
「四面楚歌、四苦八苦、試行錯誤、色即是空……」
「試行錯誤がいいんじゃないか? 一般的使用頻度も高い四字熟語だし、語呂もいい。それに今の我々の状況も表していて皮肉が効いている」
「じゃあ試行錯誤にしよう。よし、これで決定だ。しりとりの新テンプレはこれでいこう」
「シリトリスマホゲームシコウサクゴか……ん?」
「しりとりスマホゲーム試行錯誤……? なんだ、何か違和感が……」
「普通にアプリの名前みたくなっちゃったな。しかも、あまり面白くなさそうな類の」
「しりとりスマホゲーム試行錯誤……。これは、失敗だな」
「ああ、そうだな。これは控えめに言ってもダメだと思う」
「……我々はいったい何をしていたんだろうな。すごく無為な時間を過ごしてしまった気がする」
「……そうだな。ああ、空は青いな。今日も良い天気だ」
「ああ、全く良い天気だ。帰りにコンビニでも寄ってくか」
「そうだな、レーズンブレッドが食べたい」

723 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 05:05:16.30 ID:1U524BnT.net
使用したお題:『麦わら帽子』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』
【レーズンブレッド】(1/2)
 抜けるような青空。ジリジリとセミの鳴き声が耳を通り抜けていく。
 草木の真ん中に無理やりアスファルトを引いたような、そんな道路。
 俺はバス停に添えられているベンチに座って、スマホゲームをしていた。
 待ち続けているのだ。
 画面にでかでかとサイケデリックな色調でGAMEOVERと表示される。
 ゲームが一段落して、凝り固まった首をほぐしていると一人の少女と目が合った。
 麦わら帽子に純白のワンピース。絵画からそのまま出てきてしまったような、ひまわり畑が似合うような少女だ。
 アスファルトから立ちこめる熱気を背に、もしかしたら蜃気楼なのかもしれないと疑ってしまうほど、彼女は可愛らしかった。

「こんにちは。また会いましたね」
「ああどうも。これまた珍しいですね」
「そうですね。フフッ」

 そう言って楽しそうに笑う。
 俺がバスを待っているように見せかけて、実は彼女を待っていることに気づいているのだろうか。
 胸が高鳴る。
 気づいているにせよ、いないにせよ、どちらも俺にとっては悪くないことだった。
 俺は暇つぶしにしていたスマホゲームのアプリを消す。

 ここは田舎だ。万人の誰もが、と言ったら語弊がありそうだが、日本人なら認めてしまうような片田舎。
 そんな土地に祖父の墓があった。
 本当ならこんな辺鄙な場所、貴重なお盆休みの六連休を消費してまで長居するつもりはなかった。
 だけども俺はこうして、普通なら見向きもしないようなアプリをダウンロードしてまで時間を浪費している。
 ひとえに彼女に会いたいがためだ。

「それで、今日はどんな話をしてくれるのですか?」
「そうだな……口の悪い同僚の話なんてどう?」
「口が悪いのはいただけませんね」

 彼女はいたずらっぽく笑う。
 ありきたりな比喩だけど、ひまわりみたいな女の子だった。

「まあまあそう言わずに。コイツがまたいいやつなんだよ」

 俺は彼女を楽しませることができるように、精一杯の身振り手振りを交えて話をする。
 バスを待つ時間、バスに乗ってから俺が降りるまでの時間、こうして会話するのがここ数日の日課だった。
 彼女はころころと表情が変わり、俺の話にいちいち反応してくれる無邪気な女の子だった。
 バスの中でも、隣り合わせに座って会話する。

「それでソイツは言ったんだ。『俺は悪くない。全部、口が悪いんだ』って」
「うまいこと言ったつもりなのでしょうか? 責任転嫁も甚だしいですね……」

 辛辣なコメントに俺は思わず苦笑した。
 ちゃんと失敗をフォローした同僚の話の続きをしようとしたら、無情にもバスのアナウンスが鳴った。
 もう降りなければいけない。
 バスが停車して俺は立とうとしたら、なぜか彼女も席を立った。

「あれ、ここで降りるの?」
「はい。今日は特別なんですよ」

 特別、という言葉に胸がまた高鳴る。
 彼女との道すがら、話をする。もちろん同僚についてだ。

724 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 05:06:22.34 ID:1U524BnT.net
【レーズンブレッド】(2/2)
「――これでおしまい。どうだった?」
「むむむ……人の世は難解ですね……」
「あはは」

 そんな他愛もないやり取りをしていたら、あっという間に家に着く。祖父が住んでいた家だ。
 彼女は玄関先まで来てくれて、俺を見送ってくれる。

「それじゃあ、また明日」
「明日はどうでしょうか……。あ、ところでレーズンブレッドは好きですか?」
「レーズンブレッド?」
「ちなみに私は好きですよ。でも皆は『レーズンとブレッドを別々にしろ!』なんて言いますけどね」
「うーん」
「まあそういうことです」

 彼女は俺の返答を聞かずに踵を返す。

「そういうことなんですよね」

 何を意図した発言だったのか、俺にはわからなかった。
 ただただ、彼女の後ろ姿を眺めるだけしかできなかった。
 答えがわからないうちは、声をかけてはいけない気がして。
*
 次の日は雨が降っていた。
 明日はもう帰らなければならない。
 そう思うと、一日さえ無駄にできないと傘を持ってバス停に向かった。
 彼女は来なかった。
*
 次の日は晴れだった。
 しかし待てども待てども、彼女が来るような気配はなかった。
 スマホゲームにも飽きた。
 だからレーズンブレッド、引いては彼女について考えていた。
 セミの鳴き声をBGMにして、抜けるような青空を仰ぎながら。
 考え続けた。
 やがてバスが来る。
 プシューと溜息のような音を立てて停車。
 運転手が降りて来た。花束を持っている。

「……それ、どうしたんですか?」
「これかい? 昔、ここで事故があったらしくてね。昨日の日付だったらしいけど、雨だったから。今日持って来たんだ」
「そうですか」

 俺はベンチから立って、家に帰ろうとする。

「乗ってかないのかい?」
「はい。待っていても、来なさそうですから」
「?」

 ジリジリと日の照る道路を歩く。
 俺は独りごちた。

「レーズンブレッド、好きなんだけどなあ」

 憎たらしいほどに空は晴れ渡っていた。

725 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 05:13:37.37 ID:1U524BnT.net
>>710【フレンズ】に投票します
百合っていいものですよね

726 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 06:53:42.89 ID:3PniyZWc.net
722>>
しりとりの新常識を作ると言う試み
正直な所、しりとりの最初のやり取りに注目した事など無かったので、ハッとさせられました
些細な事にでも疑問を持ち、気付く事が出来るのは、尊敬できると思います

723>>
果たして彼女は何者だったのか?
真夏の幻か、現世に戻った何かなのか?
少し切なくなるお話ですね

727 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 08:42:00.24 ID:VHBFaxjR.net
>>709
前回お題佳境〜『楽譜』『フレンズ』『ハート』にトライアル! 新基軸、クイズ短編だw
場面は王妃に『楽譜』をプレゼントするぜ、などと勝利の美酒に酔うキャラ達で開始〜会話の内容は、どう見てもポーカー擬人化だな〜唐突に挟み込まれる、ホウセイ・マイ『フレンズ』←なぜ山崎邦正(月亭方正)ネタw
さあ手役を推理するぞ〜相手の役はAのスリーカード(同じ数字3枚)もしくはそれを含んだフルハウス(同じ数字3枚&同じ数字2枚)!
キング達の役はエース、K(13)王妃(12)ジャック(11)10人並みな奴(10)ってことで、ストレート(連続した数字)もしくはロイヤルストレートフラッシュ(連続した数字&柄揃い)
むう組み合わせを絞り切れん、しかし最後に「揃った」と言ってるぜ〜なのでキング達の役は『ハート』のフラッシュ(柄揃い)から変化したロイヤルストレートフラッシュか?! 相手役はフラッシュだけでは勝てないフルハウス! これでどうよ709氏、そんなENDw

>>710
前回お題フル選択! 投票が集まる人気作を見よ、ダメッいけないフレンズ!!
さあ物語は『楽譜』をめくる、吹奏楽部らしき愛弓さんと果奈さんの練習風景でスタート〜
三年分の『ずっしり』とした楽譜ファイルがしめすのは、二人の記憶と積み重ねた交友の絆だ〜
『ハート』に押し隠す愛弓さんの想いは二人が『フレンズ』で居続けるための『秘宝』?、愛弓さんが特定箇所で間違ってしまうのは果奈さんの時間を奪うがための故意なのか、いや、人それを恋という〜(うまいこと言ったぜ!)
口には出せぬ心音を楽器に乗せて奏で続ける〜微妙に食い違った710氏の二重奏がお題をすっきりと消化し、スレ民の心をキャッチングして満足ENDォ!!

728 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 08:46:59.75 ID:/qZu04IZ.net
>>727
相変わらず素晴らしい解析能力だぜ、さすが実況者!
しかし一つだけ足りない!! 問題のやつの一番の注目どころは「ハートという単語を使わずにハートのお題をクリアしたところ」だ! さすがにここまでは読み切れなかっただろう!?

729 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 08:51:23.16 ID:VHBFaxjR.net
>>722
高難度お題が出たなw こりゃ修羅場だと見た722氏がフル選択で『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』に速攻着手、メタしりとりだあ!
「シリトリンゴリラッパまで進まなきゃいけない、というルールはない。しかし特に意識していなければ、勝手に途中から変化する勇気もない」←そんなこともないだろワロタ
笑える調子で進む二人の会話〜でもお題消化どこいったと思ってたら、
『スマホゲーム』→『麦わら帽子』→「試行錯誤」(『四字熟語』)と一挙に消化でウデを魅せる〜見事!
ラストは「そうだな、『レーズンブレッド』が食べたい」←こんな会話あるかよって感じで、『青』い空の下を行く爽やかな二人を描写したァ〜書き手の試行錯誤をもメタ的に感じさせる物語だったぜ722氏、高難度お題迅速クリアに敬礼!!

>>723
今回お題は軽々とはいかないな、723氏はお題『麦わら帽子』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』を選択したか〜蜃気楼の少女!!
抜けるような『青』空の下で、本当はどうでもいい『スマホゲーム』に興じる主人公の目の前に現れる、「もしかしたら蜃気楼なのかもしれないと疑ってしまう」少女〜
『麦わら帽子』に純白のワンピースをまとう彼女と、どこか心の温まる会話が描かれ、登場するは二人の別れを象徴する『レーズンブレッド』〜ここまででお題は消化済みィ!
さあどうなるのか、物語は過去の雨天とリンクして少女に花束を手向けてしまった〜うあちゃー(泣
分けられぬ、しかし分けるしか有り得ない二人の生存領域はあの世とこの世の『レーズンブレッド』! しかし、分かれるからこそ完成するものもある!
死者への追悼は、「レーズンブレッド、好きなんだけどなあ」なる言葉に宿り、描かれぬ主人公の涙の中で少女は眠るように名END!

730 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 08:53:25.92 ID:VHBFaxjR.net
>>728
確かにぃ
そこを言ってあげるべきだったあw

731 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 12:08:18.68 ID:3PniyZWc.net
>>727
感想を有難うございます
お互いの依存度の高い友達関係って、女性の方が多いイメージがあります
もっとも、それ以上に反目もしあうようですが……(遠い目)

732 :この名無しがすごい!:2018/03/26(月) 17:49:42.08 ID:/qZu04IZ.net
日中ずっとお題について考えてたけど、どうも思いつかない・・・
今回のお題、アクが強いのが3つもあって調理しづれぇ

733 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 02:00:06.56 ID:HvM7n0jy.net
お題 『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』

【変わる物、変わらない物】

 青空の広がる暑い夏、俺は久しぶりに故郷の田舎に帰省していた。

「くっそ、暑いなぁ……」
「帰ってきて早々、何言ってるの?」
「暑いもんは暑いんだ……。仕方ないだろ」

 そこにいたのは故郷に残った幼馴染の立花葵である。俺の実家の隣の家に住んでおり、こうやって昔からお互いの家を行き来していた。

 今ではお互いに年を取り俺は都会で仕事に追われ、彼女は結婚し子供もいる。
 昔は彼女に恋をしていた事もある。麦わら帽子に白いワンピースの似合う清楚な女の子だったのだ。おそらく、彼女の方も俺の事を意識していたとは思う。だけど、俺は自分の目標の為に故郷を飛び出して行った。
 そんな昔の事に感慨を覚えていると、背後から衝撃が襲う。とはいっても軽いものだが。

「あ、おっちゃん久しぶり!」
「おっちゃん言うな! お兄さんと呼べ!」
「もういい歳なんだからいい加減認めなさいよ」
「そうだぜ、おっちゃん!」

 この俺をおっちゃん呼ばわりしてくる子供は葵の息子である立花健太だ。確かもう小学六年生くらいだったか?

「あ、おっちゃんちょっと待ってね!」
「ん? どうしたよ?」
「ちょっとねー!」

 そう言って健太はスマホを取り出して、操作し始める。

「お、いっちょ前にスマホ持ってるのか。スマホゲームでもやってるのか?」
「そうだよ! みんなの中で流行ってるしね!」
「そういう時代なんだな。今の子供も大変そうだ」
「私たちの時代には無かったものね」

 俺たちの時代といえば、麦わら帽子を被って自然の中で走り回っていたものだ。時代とともに変わっていく。こういうのを有為転変とでも言うのだろうか?

「母ちゃん、腹減った!」
「いきなりだな、健太」

 育ち盛りというのもあるのだろう。それに今はおやつ時でもある。いきなりな発言ではあってもおかしな事を言ってる訳ではない。

「……そうね。確か頂き物のレーズンブレットがあったわね。それでいい?」
「いいよ!」

 健太は食べれる物があると分かり、台所にすっ飛んでいく。レーズンブレットか……。

「そういえばレーズン、苦手だったよね?」
「あぁ、未だにあれは苦手だよ」

 時代とともに変わっていくものもあれば、未来永劫変わらない物もある。俺がレーズンブレットを好きになる事もないだろう。
 そして故郷の田舎ののんびりさもあまり変わりはしていない。

 久しぶりの帰省も変わったもの、変わらない物を実感させてくれた。
 暑い青空を見上げながら、そうしみじみと感じるのであった。

734 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 06:53:41.84 ID:0mqpDzgG.net
故郷とは、遠くにありて想うもの
ノスタルジーを感じさせるお話ですね
時間はゆっくりと、しかし、確実に過ぎていく……そんな事を感じました

735 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 10:22:29.87 ID:T4NoLdod.net
>>733
お題全選択に挑戦、チャレンジャーの激闘は実るかッ〜、って、ん? 【変わる物、変わらない物】←このタイトル前スレにもあったけどもしかして733氏か
『青』空の広がる暑い夏、隣の女性に『麦わら帽子』の幼馴染を思い出す〜あの少女は既婚となり、現実が時の経過を伝えるぞ〜ありえた選択も今や昔! 男なら正直喰っときゃよかったのかもと思うことだってある(下品
さあ、あの頃には存在しない『スマホゲーム』が映し出すのは、有為転変(『四字熟語』)のテクノロジ〜おお、テーマに沿った自然な消化だ733氏!!
とどめは!? 頂き物の『レーズンブレッド』できたかァ〜分かる分かるぞ、田舎だとさ、こういう時代から取り残されたお菓子類がさらっと出てくるよねw お題群を全てテーマの中で活かしきった〜見事ー
幼馴染も遊びの風景も、全ては流転! でもレーズンは好きになれない! 田舎の温度も変わらない! 変わるもの、変わらないもの、その狭間に己を見出す人生、その業だけは常に普遍!
733氏が魅せたひとときの語りは、暑い夏空の余情の中で、心の芯を打つ感慨ENDにおちたァ!

736 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 11:23:44.99 ID:HvM7n0jy.net
初投稿だから、前スレの人は別人ですね。
タイトル被りしてたとは、気を付けないと……

737 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 12:28:18.31 ID:T4NoLdod.net
失礼!
偶然だったようだ

738 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 12:58:54.47 ID:0mqpDzgG.net
使用お題:『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』

【釣り日和】(1/2)


 川は穏やかに流れている。僕は釣糸を垂れるじーちゃんの横でスマホゲームをしていた。
 お父さんに言われてじーちゃんの釣りに同行した事を僕は少し後悔し始めている。

 ……ぶっちゃけ飽きた。

 釣竿は最初に投げ入れた時からピクリとも動いていない。じーちゃんも同じ様にピクリとも動かない。
 麦わら帽子の下の日に焼けた顔は、何時もの様に目を細めてじっと釣糸を眺めている。

「っと」

 僕はスマホを操作する。まだ微動だにしない現実の釣りとは違って、ゲームの方の釣りは既に6回目のヒットをした。

「あっ、レアゲット」

 今、僕のハマっているスマホゲームが「ギガントフィッシング」って言う釣りゲーム。
 だから、お父さんもじーちゃんに着いていけって言ったんだろうけど……

「……おもしぃか?」
「えっ」

 突然じーちゃんに話しかけられて、僕はビクッと体を震わせる。
 じーちゃんは不思議そうな顔でこっちを見てた。

「う、うん」
「ほぅけ」

739 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 13:01:16.14 ID:0mqpDzgG.net
【釣り日和】(2/2)


 川は穏やかに流れている。僕は釣糸を垂れるじーちゃんの横でスマホゲームをしていた。
 …………そう言ってまた釣竿の方を向くと、傍らにあったビニール袋の中からペットボトルと紙袋を取り出した。

「ほれ」
「あ、うん、ありがとう」

 緑茶とレーズンパン。……フランスパンだからレーズンブレッドだろうか?
 どうでも良いけど“フランスパン”は“パン”なのに、“レーズンブレッド”は“ブレッド”なのは何でなんだろ?

「? 嫌いじゃたか?」

 じーちゃんがこっちを見ながらそう言った。
 あ、え? ああ、レーズンの事かな? 僕は首を振る。

「ほぅけ」

 僕は何となくスマホの電源を切ると、パンを食べ始めた。
 緑茶を飲みながら空を見る。青空に白い雲が浮かんでいる。
 うん、時間が止まってるみたいに雲も動かない。まさに浮かんでるって感じかな?
 こう言うのって……

「天下泰平……って言ったっけ?」
「……春日遅々……かのう」
「え? 何それ」

 じーちゃんは「かかか」って笑った。

「お?」

 じーちゃんが竿を引く。と、途端に糸が激しく動き出す。
 竿を立て、リールを回す。相変わらず目を細めて、でも口許は笑ってる。

「たもを……」

 そう言われ、慌てて網を持つ。水面にバシャバシャと水しぶきが上がった。
 僕はそれを網で掬う。驚くほどズッシリとした手応えでギョッとなった。
 じーちゃんが一緒に持ってくれなかったら、落としたかも知れない。
 そいつは黒々とした真鯉だった。
 口をパクパクとさせながらビチビチと跳ねている。
 僕が泥臭さと生臭さで顔をしかめると、じーちゃんは「かかか」と笑った。

 ******

 結局、昼過ぎまで居て釣れたのは3匹だけだった。
 じーちゃんが「またくるけ?」と聞いてきたけど、僕は首を振った。
 じーちゃんは「かかか」って笑った。

740 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 13:41:44.94 ID:0mqpDzgG.net
うわ、(2/2)頭2行、消し残してましたよorz

741 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 15:05:25.33 ID:uyUWpLKE.net
ノスタルジックで素敵な小説が多かったから、多少無理やりにでも反逆してみる。反省はしているが後悔はしてない。

使用したお題:『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』

【血の理由】

 「reason blood」というスマホゲームがある。

 和名にすると「血の理由」という。実に重苦しい名称なのだが、裏腹に内容はよくある占いアプリであった。

 血液型占いに似ている。生年月日や名前を入力すると、その日の運勢を占ってくれるというのだ。

 動物占いというものが流行ったが、それに似ている。入力した個人情報に応じて、その人を何の血筋なのか最初に示してくれるのだ。
 例えば「狩人の血」なら目標に向かってひたむきに努力する性格だ、とか。「商売人の血」なら駆け引きが上手で物事を客観視する力に優れているとか。
 人間以外にも「飢狼の血」だと貪欲に物事に集中するなどといろいろな性格占いを最初に行ってくれるのだ。そしてその後は、普通の占いソフトよろしく日々の運やどの血筋の人と相性がいいか、なんて当たり障りのないことを占ってくれる。

 しかしこの手の占いソフトにはよくありがちなことで、特別に的中するというわけでもなく、格別に面白いというわけでもなく、別格に人気というわけでもない。
 どこにでもあるごく普通の占いアプリであり、何もおかしいところはない。そんなスマホゲームだった。

 ……ただ一点を除いて。

 とある噂があった。この「reason blood」にごく稀に「青の血」という診断結果が出るそうだ。
 この「青の血」選ばれた人は、ものすごい幸運に恵まれるらしい。仕事は好成績を毎日たたき出し、恋愛は最高の異性と巡り合って純愛ができ、健康は癌すら治るとのとんでもない話だった。
 実際はどうだかわからない。しかしただのスマホゲームのアプリのくせに、この「青の血」に関しての的中率だけは100%であると噂ではそうされている。

 ただし「青の血」に選ばれた人は、ある義務を負うこととなる。それは占い結果に全面的に従わなければならないということだった。
 電車で席を譲りましょうと出たら必ず譲らなければならないのだ。ラッキーアイテムが麦わら帽子と出たら、会社へ満員電車で通勤中でも付けていかねばならない。
献血を今日中に3回行えと書かれていたら街中を巡って献血車両を探す必要が出てくる。

 しかし、その全てが幸運になって帰ってくるというのだ。
 席を譲った老婆が取引のある大会社の社長夫人であったり、日射病で苦しんでる女性に麦わら帽子を渡して交際へと発展したり、血をたくさん抜いたおかげで内臓腫瘍が早期発見できちゃったりするのだ。
 だから強制される義務ではあるが、やる価値のある義務であった。

 ただ、気を付けてほしい。この義務は必ず占い結果に従って毎日やらなければならないのだ。
 電車で寝こけていたり、恥ずかしがって麦わら帽子をつけなかったり、献血車両が見つからなかった場合、その「青い血」の人は……。

742 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 15:45:38.58 ID:0mqpDzgG.net
フォークロア的テラー
これが”ノブレスオブリージュ“なのでしょうか(違う)

743 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 19:16:14.71 ID:uyUWpLKE.net
>>738
僕の夏休みがPS4盤で新作が出たら、こんなシーンがありそうだなぁとなんとなく思った

744 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 20:58:34.17 ID:uyUWpLKE.net
使用したお題:『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』

【世界を救え!!】

 とあるバカげた噂がある作業系のスマホゲームをダラダラ延々やっていたら、本当に噂通り謎の美少女が画面から飛び出してきた。
 そして第一声も噂通りだった。曰く「異世界を救ってくれ」と。

 麦わら帽子みたいな幅広の帽子を被った美少女が必至の面持ちで、オレにすがりつくように懇願する。

「お願いします。異世界を悪の手から救うためには、あなたの力が必要なんです! 協力してください!!」

 美少女曰く、異世界に危機が迫っているらしい。オレの助けが必要だそうだ。
 なのでその美少女は初対面のオレに向かって帽子を取って頭を下げた。曰く「異世界では帽子を脱いで頭を下げる行為は最大限の懇願の証」だそうだ。オレは彼女の必死なその態度にこっそりニヤけてしまった。
 オレは上から目線になりそうな態度を頑張って抑えて、謙虚なフリをして頭を下げる美少女に言ってやる。

「わかった、オレが助けてあげ……」

「いたか! 日本全国が君の助けを必要としている! ぜひワシと一緒に来てくれ!」

 ドバンといきなり部屋の扉が開いたと思ったら、変な老人が飛び込んできた。僕は驚いて背後に倒れ、パソコンにぶつかる。当たり所が悪かったのか、画面がバグってブルースクリーンになってしまった。

 老人曰く、日本に危機が迫っているらしい。オレの助けが必要だそうだ。
 なので老人は初対面のオレに向かって惜しげもなく土下座を慣行した。言わずと知れた「日本の最大限の懇願の証」である。
 本来だったら年上である人間がオレに頭を下げているこの状況に戸惑いつつも優越感を覚えたところだったろうが、今は困惑しかなかった。

 まさかの世界の危機のダブルパンチ。そしてその救世主の勧誘のバッティング。

 戸惑うオレとさらに戸惑う美少女と老人。しかし混乱から立ち直るのは二人の方が早かった。
 どっちに行くか決めるのはオレ次第ということだからだろう。かくしてオレの薄暗く狭い室内で、大学のサークル勧誘もかくやという激しい勧誘合戦が始まった。

「お願いします! 異世界の戦線は今にも崩壊してしまうかもしれないのです! あなたの助けがないと、私たちは、私たちは!! どうか、どうかっ!!」

 美少女は鬼気迫る勢いでオレを異世界へと誘おうとする。帽子を外せば懇願になるとでも思ってるのか、何度も頭の上に帽子を載せては降ろしている。まるでくるみ割り人形のような動きだった。

「キミ! 日本に生きる国民ならば、みなで協力して国の危機に立ち向かうべきではないかね!? 活躍できれば君は一躍ヒーローになれるのだぞ! さあ、我々とともに偉大なる母国、日本を守ろう!!」

 老人は一見爽やかに見える笑顔で日本の英雄になろうと言ってくる。馴れ馴れしく肩に手を置き、まるでその先に未来が待っていると言わんばかりに締め切ったカーテンへ手を伸ばしていた。

 二人ともうるさいくらいの勢いでオレが必要だと訴えかけてくる。しかし混乱から立ち直ったオレはいろいろ疑問に思うことが出てきたので、まず老人にそれを聞いてみた。

「あの、日本の危機っておっしゃいますが、一体何が危機なんですか? 別に戦争が近いとかそんな話は聞かないですし……」

 また、戦争があったとしても一般人のオレが役に立つとは正直思えない。老人はいきなり質問されて「うっ」と呻いた。

「いや、その、き、キミの力が必要なのは本当なんだよ。ちょっと、その……謎の反政府組織が最近行動が酷くて、その対処として一斉検挙をしたいのだけれども人員が足りなくてな……」

 ものすごく答えづらそうに老人は答えた。どうやらヒーローだなんだと言っておいて、ただの裏方仕事を任せるつもりだったらしい。

 オレの気持ちが異世界側へとグラリと傾いた。美少女は期待した眼差しでこちらを見ている。
 しかし僕も美少女側にも疑問があったのだ。質問を直接ぶつけてみる。

「あの、異世界が危機っていうのはわかるんですけど、他にも日本人を誘ったのですか? なんかあなたの存在、結構ネットで有名なんですけど……」

 それにネットに書かれているということは断られたということだ。僕が詰問すると美少女は「うっ」と呻いた。

745 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 20:59:38.83 ID:0mqpDzgG.net
感想有難うございます
この話は田舎を思い出しながら書いたので、僕の夏休みに有りそうなシチュエーションかも知れませんね

746 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 21:00:57.26 ID:uyUWpLKE.net
【世界を救え!!】2/2

「その、異世界は魔法やレベルのある世界なので、だいたいみんな戦えちゃうんです。
 で、誰もが戦えちゃうからこそ、後方支援が不足気味で、前線が食料危機で飢えていたり、戦闘優先で戦地間の連絡が滞り気味だったりとピンチとなっていて……」

 ものすごく答えづらそうに美少女は答えた。どうやら英雄だなんだと言っておいて、ただの裏方仕事を任せるつもりだったらしい。

 つまり、どっちも頭数が欲しいだけでオレ個人はどうでもいいということだ。途端にオレはやる気がなくなった。

 部屋から出て行ってくれ、そう言われて美少女と老人は慌てたらしく、言い訳をしはじめる。

「し、しかしだな。君みたいな家に籠ってばかりのニー……フリーターにできることなど少ないのだ。だがこの仕事を手伝ってもらえば君の評価は鰻登りになるぞ。社会復帰も簡単だ!」

「わ、私も異世界から人を招くので、これでも人を選んでるんですよ? ……どうせ有能な人はこんな怪しい勧誘についてこないですし。
 一日中つまらない作業ゲーをやるほど暇なひ……集中力が長続きする方じゃないと後方支援なんてできないんです。お願いします、助けてください!!」

 訂正、言い訳を言ってるつもりだが言い訳になっていない。完全にオレを馬鹿にしてやがる。

 ……異世界や正義のヒーローになれれば、こんなオレだって自分に自信が持てたはずなのに。クソ、クソ。

 オレはもう完全にヤケになって、精一杯の強がりを言った。

「オレなんかを二人がかりで勧誘なんてしてないで、日本の不法滞在者を異世界に拉致ってけばいいんじゃないっすか?
 そうすりゃ日本は平和になるし、異世界人も力で押さえつければオレなんかより良い奴隷が出来上がるっしょ。一石二鳥じゃん」

「……なるほど、なかなかの妙案じゃな」

「……そ、その考えはありませんでした」

 先ほどまで唾まで飛ばしてオレに声をかけていた二人がピタリと止まった。
 そして何も言わずに目を合わせて一つ頷くと、僕に「すみません、用事を思い出しました」と言ってソソクサと帰って行ってしまった。



 その後、日本の政治が急に安定して経済が好調しだし、異世界から助けを呼ぶ美少女が現れなくなったと噂が流れ始めた。
 オレはそんなニュースをテレビやネットで流し見しながら、レーズンブレッドを食べて自室に閉じこもっていた。

747 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 21:01:42.55 ID:uyUWpLKE.net
お題を消化するだけなら何とかなるけど、それをうまく落とし込むのがすげームズいわ……
他の人すげぇなぁ……

748 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 21:19:33.50 ID:HvM7n0jy.net
もう一本書けた。
全く違う切り口から行ってみました。

お題 『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』

【流行りのゲーム】

 最近流行のスマホゲームがある。名は『スキャン・ダンジョンズ』
 スマホ内蔵のカメラで普通に売っている商品のバーコードを読み取れば、それに準じたアイテムが手に入り、自身のキャラを強化してダンジョンを攻略していくという物である。

 高い商品なら良いアイテムで手に入るとは限らず、安い商品でも良いアイテムは手に入る。ただし、同じ商品のバーコードでもある程度ランダム性があって、この商品なら必ず決まったアイテムが手に入るという訳でもない。
 一度読み込んだバーコードは一定期間は再び読み込む事も出来ないが、その期間は製品の値段毎に変わってくる。

 そして、このスマホゲームには課金アイテムが一切存在しない。噂では広告費を多く出している企業の商品のバーコードほどレアアイテムが出やすくなっているとかなんとか……?

 全ての商品のバーコードを自力で集めていく事はほぼ不可能に近い。そんな事をすれば青天井になり、どれだけお金があっても足りないだろう。
 実際にあらゆる物を大量に購入して読み込んだ人が、未購入でのバーコードの読み取りと間違われアカウント削除となり阿鼻叫喚な事になっていたりする。

 大量購入や未購入でのバーコードの読み取りには非常に厳しいゲームなのだ。あくまでも日常の中で購入した商品で楽しもうというのがこのゲームのスタンスなのである。


 学生である俺としても、そんな事に無駄に金を注ぎ込みまくる訳にもいかない。手持ちの物のバーコードは全て試した。いくつかレアアイテムも手に入れたけれど、次が欲しくなるのも人情というものだろう。

 だから、毎日の日課として昼休みに昼飯用に買った物のバーコードを読み取る事にしていた。同じ教室にいる友人も同じことをしている。
 昨日はメロンパン。一昨日はサンドイッチ。そして今日はレーズンブレッドだ。

「よし、激レア来い!」

 そう願いを込めながらレーズンブレッドの包装のバーコードを読み取った。アイテムゲットの演出が始まる。青から金、金から虹へと変われば激レアゲットとなるのだが、画面は青いまま進んでいく。

「あー、外れか……」

 手に入ったアイテムは『麦わら帽子』だった。見た目変更用のアイテムであり、特にレアでも何でもない。三日続けて外れだった。明日の昼は何を買おうか。

「よっしゃ! 激レアゲット!!」

 がっかりしていたら友人が激レアを当てたらしい。友人が読み取っていたバーコードは俺と同じレーズンブレッドの物。
 得意満面なその友人に少しイラッとしても仕方ないんじゃないだろうか。

749 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 21:21:27.50 ID:0mqpDzgG.net
744氏の作品の間に、感想返しが入り込んでしまっていました
744氏、申し訳ない

750 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 21:34:38.90 ID:AlXfDh0u.net
>>744
人知れず日本を、さらには異世界も救ったニート!
かっこいい!

751 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 21:51:05.90 ID:0mqpDzgG.net
>>744
断る為のアイデアが、結局状況打破の切欠になると言う皮肉w
ある意味最大功労者なのにも関わらず、断ったと言う事実の為、ヒーローに成り損ねる自業自得さにクスリとしました

752 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 21:54:50.97 ID:0mqpDzgG.net
>>748
ほんのちょっとの運で明暗が別れる
良くある事ですが、だからと言って納得はできない
わかりますねw

753 :この名無しがすごい!:2018/03/27(火) 23:28:16.60 ID:HvM7n0jy.net
>>738
ほのぼのとした祖父と孫のやりとりですね。
孫はゲームではなく本物の釣りの楽しさに気付いたのでしょうか?
最後の首を振ったのが横になのか、縦になのかが気になりますね。
縦に振ってて、祖父と孫のこの関係が続けばいいと思いますね。


>>741
ちょっとお題は強引な気もしますが、興味深いアプリですね。
ホラーというよりは都市伝説型かな?
実際に青い血の診断受けた人も行動を見てみたかった気もします。


>>744
ほんと失礼な救援要請ですね。
ただ、無法者を誰でもそれなりに戦える世界に送り込んだら異世界はもっと大変なことになりそうですねー
失礼な異世界のことは知った事ではないかな?
日本のお偉いさんは確実に得してるんでしょうねw

754 :この名無しがすごい!:2018/03/28(水) 07:08:41.65 ID:m1a8+fA6.net
感想、有難うございます
デジタルの安易さに慣れた現代っ子は、現実のリアリティーをどう捉えたのでしょうね
こう言った事も、後々思い出となりますので

755 :この名無しがすごい!:2018/03/28(水) 08:24:25.44 ID:4cEH8M3y.net
実はここで書いた奴をオムニバス短編集としてなろうで連載してるんだけど、気づいたら21部3万文字に達していたよ
何遊びに本気出してんだと思わなくもない。だがやめる気はサラサラない

756 :この名無しがすごい!:2018/03/28(水) 08:36:00.87 ID:BSuXDTvz.net
>>738
高難度お題全選択が続くぞ〜、お! これは>>733氏への返歌になってるな、目線を親世代から子世代へ移動だー老人と海、ならぬ老人と川だ!
さあ物語は春日遅々(『四字熟語』)の『青』空のもと、『麦わら帽子』の爺ちゃんと『スマホゲーム』に耽る少年を描写していくぞ〜
『レーズンブレッド』に介される思いは暇をつぶすようにあれやこれやととめどなく〜平常のリズムを抜け出して、静止した空気に置かれた少年のどうすればいいかが分からない感、ナイス描写〜
釣り上げられた真鯉に少年は思う、ナニコレ無駄にナマ臭いじゃん、こんなに臭い必要ある?w あるんだよ、本来生きることは予想の外に満ちているんだぜ、少年〜、スマホの釣りは内容を忘れても、爺ちゃんとの釣りの面倒くささは忘れまいて!
思い出せ、その面倒くささこそ生の動き、アンリアルを超えた躍動だア〜お題はしっかり消化〜738氏の描き出した現代型少年の返歌は、大切なものを脳裏へ焼き付かせてEND!!

>>741
のっけから素晴らしい離れ業ww 都市伝説アプリ、その名も『レーズンブレッド』w こんな消化ありえねえ!
占い『スマホゲーム』アプリ「reason blood」は血筋から人の運命を表示する〜
「青い血」が表示されれば、満員電車(『四字熟語』)でも『麦わら帽子』を付けなきゃならないし、さらには日射病で苦しんでる女性に『麦わら帽子』を渡して交際に発展するw その生き方素敵すぎんだろ
アクロバティックな動きで全お題消化だ! 741氏、これは皮肉の効いた一品だな! 幸福の青い鳥しかり、古来より青は幸運の象徴〜幸運を得た者は、幸福ゆえ幸福に縛られる!
「reason blood」を手にして「青い血」を引き当てたとして、欲に駆られてアプリに規定された人生は果たして幸福なのだろうか〜与えられた価値と義務を問い直すENDが決まったァ!

757 :この名無しがすごい!:2018/03/28(水) 08:46:50.79 ID:BSuXDTvz.net
>>744
高難度お題フル選択を連発だ! 引っ張りだこ物語〜
いわくつき作業系『スマホゲーム』をダラダラやってる主人公の部屋に現れたのは、『麦わら帽子』みたいなのを被った美少女と、正体不明の、えー、特徴のない老人!
ブルー(『青』)スクリーンとなったPCを背景に、主人公の勧誘合戦が開始ィ! 「帽子を外せば懇願になるとでも思ってるのか、何度も頭の上に帽子を載せては降ろしている」←めちゃ笑った
抜け目のない主人公がほんとは裏方仕事(『四字熟語』)をやらせるつもりだろと看破し、困り果てた二人に妙案を呈する〜不法滞在者を利用せよ、建設的なアイデアw
全く先の読めない物語は、思い出したように『レーズンブレッド』を消化〜本当は消化にケチ付けるところだけど、なんかそれ自体がオチみたいになってる感で笑えちまったぜ、天晴エンド!

>>748
短編スレ民は難しいお題ほど白熱する! さあ全選択だ、スキャン・ダンジョンズの怪! これは>>738>>741氏への返歌として読めるな〜
日常で購入した商品を楽しむ『スマホゲーム』ことスキャン・ダンジョンズ、ポイントは『青』天井と垢BANの阿鼻叫喚(『四字熟語』)を避けてやり過ぎず消費と攻略を楽しむこと〜
うわ、なんか普通に面白そう…主人公が『レーズンブレッド』から引き当てた『麦わら帽子』はアバターを変更するだけの一般アイテムってことであっさりEND〜高難度お題を丁寧に消化しつつ、オチは弱めかとも思ったが、メタ的に見るとまた違った様相を表す〜
ここまで投稿はスマホゲームと現実を引き比べる作品がちょいちょいありーの今回、ゲームに呑み込まれた主人公の姿! それはいかにも現代への皮肉に映るぜーあたかも他の投稿と連作となったかと思わせる流れがオチとなり、短編スレの妙極まれりメタEND!!

758 :二代目進行 :2018/03/28(水) 11:12:42.54 ID:SSUc6Wue.net
おお!、盛況で嬉しい
今からゆっくり読んでみよう

スレが落ちるルールが実はよくわかってないのだけど、512KB上限だとしたら単純計算であと三万字くらいなのかな?気がついたら落ちてる事態が怖いな……

759 :この名無しがすごい!:2018/03/28(水) 11:26:46.18 ID:4cEH8M3y.net
>>758
スレの特性上仕方ないし、850くらいで次スレ作成、900から皆で協力してksk埋めとかしちゃうべきかもね

>>757
いつも感想ありがとうございます。このハイテンション感想を見るのが楽しみでならない
というか最近ふと思ったけど、お題を全消化するよりこの感想を書く方がよほど努力が必要なんじゃないかなぁと……

760 :この名無しがすごい!:2018/03/28(水) 12:38:57.27 ID:m1a8+fA6.net
>>756
感想有難うございます
子供と老人とでは体感時間に大きくズレがあるなぁと、最近昔を思い出しながら考えますね

761 :この名無しがすごい!:2018/03/28(水) 19:56:14.70 ID:4cEH8M3y.net
もうさすがに思いつかねぇ・・・次のお題まで全裸で待機しておこう

762 :この名無しがすごい!:2018/03/28(水) 21:31:23.98 ID:PH9ZWZAw.net
全お題で三本目、書けました。
流石に三本目は無理かと思ったら書けちゃった。

お題 『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』

【夏の暑い日に】1/2

 暑い夏の日、エアコンを全開で効かせて涼んでいた。こんな凶悪な暑さの中で青空の下に出る気なんてしないのだ。熱中症で真っ青になって倒れるなんてのはごめんだね。エアコン万歳!
 
 ピンポーン

 そんな時に来客を知らせるチャイムが鳴る。
 こんな暑い日に出歩いてご苦労な事だ。って、今日は他に誰も居ないじゃんか!? ……居留守で良いかな?

 ピンポンピンポンピンポン

 居留守を決め込もうとしていたら、連打し始めやがった!? こんな事する心当たりは一人しかいない。だけど、大人しく出ていくというのも負けた気もする……。よし、居留守継続!

 カチリ、ガチャ

 ドアの鍵が開けられ、ドアが開く音がした。おい、なんで鍵を持っている!?
 流石に慌てて部屋を飛び出していく。二階にある自室から階段を駆け下り、玄関へと急いでいく。

「あ、やっぱりいたね。居留守するとか酷いじゃない!」
「……やっぱり恭子かよ。なんでお前、家の鍵を持ってんの?」
「あーおばさんが鍵を渡してくれてねー」
「……従姉弟だからってなにやってんの、母さん」

 勝手に鍵を開け我が家の玄関に立っていたのは従姉弟である恭子だ。手には何やら紙袋を持っている。従姉弟とはいっても同い年で家も近所である。ただ俺より恭子の方が一ヶ月ほど誕生日が早いだけだ。


「ねぇ、この格好どうかな?」
「……わざわざそれ見せに来た訳?」
「それだけじゃないけど、それも目的の一つかもねー?」
「あーそうかい、似合ってる、似合ってる」

 恭子の格好は麦わら帽子に淡い青色のワンピースといったものだ。普段のボーイッシュな格好とはまるで違っていて正直ドキッとしたけれど、そんな事は本人には悟らせない。適当に答えておくまでだ。

763 :この名無しがすごい!:2018/03/28(水) 21:32:58.46 ID:PH9ZWZAw.net
【夏の暑い日に】 2/2


「あー雑な感想だなー? まぁいいや、はいこれ」
「ん? これ何? あーレーズンブレッドか」

 手に持っていた紙袋を俺に渡してくる。その中身を見ただけで恭子の大体の目的が分かった。割とよく一緒にいるのだ。大体の理由は見当は付く。

「それ、貰い物なんだけど、うちはみんなレーズン苦手でさ」
「うん、知ってる。それで俺に押し付けに来た訳だ?」
「あはは、そうなるねー」
「よし、断る! 持って帰れ!」

 レーズンブレッドの入った紙袋を恭子の方に即座に返す。
 流石に怒ってもいいんじゃないかと思うんだ。貰い物が苦手で食べれないし、かといって食べずに捨てるのが勿体無いとはいえ、押し付けるのはどうかと思う。
 正直、俺も食べれない訳ではけれどレーズンブレッドはあまり好きではない。好物なら喜んで受け取るけれど、そうでもないものはいらん。

「えー良いじゃん。引き受けてくれたらスマホゲームのやり過ぎでスマホ没収されたのを返してあげるよ?」
「……なんでそれを知ってる?」
「没収されたスマホは我が家にあったからだね! うちの両親も了解済みだよ?」
「……家中探しても見つからない訳だよ、チクショウ!」

 前に没収された時に家探しして取り戻したのが不味かったのか。そんな対策を取られていたとは、これが因果応報ってやつか……。

「……わかったよ。食べればいいんだろ、食べれば! それでスマホは!?」
「もーそう焦らないの。はい、これ」
「よっしゃ! って、おい!」

 紙袋の中から取り出された俺のスマホを恭子が手に取り、渡してきたのを受け取ろうとしたら手を避けられた。恭子の顔を見れば何か企み事を思いついた時の顔をしている。……いかん、これは何かからかわれる気がする。

「この格好、ちゃんと感想くれたら返してあげるよ?」
「!? またそういうことを!?」
「ほら、早くー」

 恭子はそう言って急かしてくる。こうなった時に逃げられた覚えがない。あーもうヤケクソだ!

「あーもう! めっちゃ似合ってるよ! 正直ドキッとしたわ! えぇい、これで満足か!」
「……え、あ、うん。そっか、ありがとね。これ、スマホね。それじゃ!」
「なんだよ、自分で言わせたんじゃねぇか……」

 ヤケクソな俺の本心を告げたら、なんだか恭子は戸惑いながらスマホとレーズンブレッドの入った紙袋を置いて、逃げる様に家を飛び出ていった。その時の表情が真っ赤だったのは暑さのせいだろうか? それともーー

764 :二代目進行 :2018/03/29(木) 00:04:28.34 ID:pMFV/Vkq.net
お題『楽譜』『フレンズ』『ずっしり』『秘宝』『ハート』投票締め切り

>>710【フレンズ】2票

765 :二代目進行 :2018/03/29(木) 00:06:57.53 ID:pMFV/Vkq.net
投票制度、やっぱ要らない……か?

766 :この名無しがすごい!:2018/03/29(木) 00:08:59.30 ID:28zqb8Vl.net
投票あったの、完全に忘れてた……

767 :この名無しがすごい!:2018/03/29(木) 08:04:45.15 ID:kt5P4pFj.net
3作あげて0票だった悲しい
でも百合に負けたのなら仕方ないだって尊いんだもの   みつを

768 :この名無しがすごい!:2018/03/29(木) 08:23:46.60 ID:MTu3dwXX.net
>>762
淡くも爽やかな恋心ですね
特別に見られたいけど何時もの関係も壊したくないと言う二反律
素敵なお話だと思いました

765>>
自分は当事者なので投票は控えているのですが、やはり、〆切前にアナウンスがないと、頭からスッポリ抜けている事もあると思いますよ?
特に今回、間で大量投稿が有りましたし

769 :この名無しがすごい!:2018/03/29(木) 08:44:06.64 ID:Qtovszup.net
>>762
創造の神に愛された762氏がノリにノッて三作目を脱稿だ〜お題は全選択だぜ! ボーイッシュ・ラブリー・ワンピース〜
さあ、主人公のもとにやって来たのは、『麦わら帽子』と淡い『青』色ワンピースに身を包んで、清楚感を全面に押し出した恭子さんだ〜うん、あざといw
『レーズンブレッド』を押し付ける用事を作って現れた恭子さんが、『スマホゲーム』やり過ぎで没収されたスマホをタテに服装の感想をおねだり〜
もはや因果応報(『四字熟語』)と決意を決めた主人公が、「正直ドキッとしたわ!」、うお、ぶっちゃけたァ〜恭子さん、慣れない褒め言葉を受けて脱兎のごとく逃走〜乙女おつw
お題群を使いきった762氏がラストをラブリーに演出! 家近し〜距離近付けども、距離遠し〜はい一句できましたって感じで、ええい、見てる方も恥ずかしいわEND!!

770 :この名無しがすごい!:2018/03/29(木) 09:44:21.67 ID:kt5P4pFj.net
一番簡単そうなお題が盛り込めなかった。でも短く纏められたからこのままで^^

使用したお題『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』

【国家炎上】

我が国は危機に瀕していた。

 悪魔の軍団が我が国に攻め込もうとしていた。その攻勢は苛烈にして無慈悲。黒い集団が我が王国を蹂躙し、国民ごと国を燃やしつくす日は近いと思われた。

 我が国を作ったとされる麦わら帽子を被った神は、まさかの悪神へと落ちた。太った悪の女神に我々の国を売り飛ばしたのだ。
 崇めるべき主神を失った我々は、抗う気力を失い、すぐにでも全滅すると思われた。

 しかし、神が悪に落ちた不運が我々を苦しめたが、その悪神から正義が生まれることもあった。

 飛ばない鳥の子孫にあたる勇者が、その中の力を開放して我々に加勢しにきてくれた。命を育むと言われる白き水を従えて、我が国の防備を固めてくれたのだ。
 その加勢に勢いを得た我々は、3種類の部族が集結し、国力を高め、黒き悪の使いたちに抵抗しようとし始めたのだ!!

 そう……我々、薄力粉、強力粉、ベーキングパウダーの連合国家「小麦連合」は、卵黄と牛乳の力を得てその硬さを高め、悪の侵奪者「レーズン」とその背後に待つ最終兵器「オーブン」を倒すために対抗戦争を今、起こそうとしていた!!

 レーズンブレッドなんかにされてたまるか! 我々は正義のために今、反旗を翻す!!



「……っていうスマホゲームの企画なんですけど、いけそうですかね?」
「……いや、なんか全体的につまらないし。それに勝つより負けた方が美味しそうだ、いろいろな意味で」
「そうっすかー」

771 :この名無しがすごい!:2018/03/29(木) 10:48:59.31 ID:MTu3dwXX.net
>>770
『パンが無いならお菓子を食べれば良いのよ』

ある女王の言葉

772 :二代目進行 :2018/03/29(木) 12:20:55.41 ID:pMFV/Vkq.net
>>768
アナウンスかぁ……
次回は適宜挟んでみますね

773 :この名無しがすごい!:2018/03/30(金) 08:27:52.96 ID:b8V5uYit.net
>>770
今回激戦だな〜770氏の選択お題は『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』だ〜! 白の軍旅〜!
さあ重厚な語り口で戦乱の火ぶたが切られる〜『麦わら帽子』の創造主に裏切られた部族が、悪神の暴虐に歯噛みして…ゴクリ、かっけえ、短編スレで大河ドラマが見られるとはな…
って小麦粉の話か、なんだよw 『レーズンブレッド』なんかにされてたまるか! (農家のおっちゃんから主婦に売り飛ばされた?)白の麦軍団が、黒のレーズン軍団と、奥に控える最終兵器(『四字熟語』)オーブンを睨む〜
ってそういう『スマホゲーム』なのかよw ゲームの楽しみ方がイマイチ分からない、大河感だいなしオチw
770氏が、バラバラお題を素材にして段重ねミルフィーユ構造のストーリーを練り上げ、「ま、頑張れば更にトッピングできそうっスけど、こんなもんで」とばかり余裕綽綽(『四字熟語』)、クッキングENDォ! 

774 :この名無しがすごい!:2018/03/30(金) 11:48:13.86 ID:OnJ0AuTG.net
4本目行きます!

お題 『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』

【勇者と魔王】1/2

 カン、カンと剣戟が鳴り響く。
 ここは魔王城、謁見の間。勇者と魔王の最後の一騎打ちが行われている。それまでの激闘に次ぐ激闘で魔王の部下も、勇者の仲間も既に命はない。

 カァン!

 勇者の一撃が、魔王の兜を弾き飛ばす。人間と魔族の争いが始まって五年、その間に一切素顔を見せなかった魔王の顔が露わになる。魔族特有の頭部の角と銀色の長い髪が乱れながら姿を表す。
 そして体勢を崩した魔王の大きな隙に、しかし勇者は追撃できないでいた。その姿に見覚えがあったからだ。

「……サ……ラ…………? え? なんでお前が……?」
「……こうするしかなかったからよ!」

 激高するように、魔王サラは勇者へと斬りかかる。あまりにも衝撃的過ぎたその魔王の正体に咄嗟に防御をするものの、その隙を狙われた。魔王サラは強引に間合いを詰め、剣を胸に突き刺した。

 ーー勇者の剣を己の胸へと。

 魔族の証とも言える青い血が勇者の剣を伝って地面へと落ちていく。その傷の深さは確実に致命傷である。

「サラ!? お前、なんてことを!?」
「……今更遅いのよ。人間と魔族の争いを終わらせるにはこれしかないの! あなたには死んでほしくないのよ……」
「俺だって、お前だって分ってたら……!」
「……だからもう遅いのよ。でももうこれでお終い……」

 徐々に身体の力が抜けていくサラの身体を支えながら、勇者は後悔をした。その脳裏に浮かぶのは、かつて幼い頃に出会ったサラとの思い出。

 行商人であった両親と共に立ち寄った村で出会った少女。いつも麦わら帽子を被っていて、いつかパン屋になって大好物であるレーズンブレッドを看板商品にするんだと得意満面に話していた少女。そして、勇者の初恋の女の子。

 行商人の仕事を終え、両親とすぐに旅立った勇者にはその後何があったのかは分からない。改めて考えればあの麦わら帽子は魔族の角を隠すためだったのだろう。

「……ごめんね、こんな事になって。あなたとはもっと別の形で再会したかった……」
「サラァァァアアーーーー!!」

 その言葉を最後に魔王サラの命は尽きた。その場に残った命は勇者のものだけ。多くの魔族を殺し、仲間も失い、そして初恋の少女もその手にかけた。

 勇者は力無く立ち尽くす。なぜこうなった? 大事な者を助けるために立ち上がった筈が、なぜその身で大事な人を殺している……?

775 :この名無しがすごい!:2018/03/30(金) 11:49:33.19 ID:OnJ0AuTG.net
【勇者と魔王】2/2

「ほっほっほ、良くやった勇者よ。よく邪悪なる魔王を倒したものよ」
「……邪悪? 邪悪だと!? お前がサラの何を知っている!」

 どこからともなく現れた勇者を勇者として選んだ神のその言葉に、勇者は激高する。

「そやつを手にかけたのはお主自身ではないか? 魔王の人となりを無視して争ってきたくせに何を言う?」
「ぐっ……」
「そいつの口車に乗せられたら駄目だよ」
「!? なぜ貴様がそこにいる!?」

 神と同様に突然現れた謎の少女を見た神が、大きく動揺していた。

「それは教えられないね。勇者、君が本物の勇者であると言うならばチャンスをあげよう」
「……チャンス?」
「これから君を過去に飛ばす。君が本物ならば、この結末を変えてみせろ!」
「……結末を変える……?」

 その謎の少女に勇者は戸惑いを見せる。だが、後悔をやり直すチャンスをくれるというのなら、サラを、仲間を、そしてろくに知らなかった魔族と争う事すら変えられると言うならば……

「……やってやる! こんな結末は絶対認めない!」
「よく言った。それでこそ勇者だ!」
「貴様ら、そんな事をワシが許すとでも思っているのか!」
「……黙っててよ。偽神、僕は怒ってるんだ。これ以上好き勝手はさせない」

 神と謎の少女の間で凄まじい力が荒れ狂っているのを感じる。

「こいつは僕が引き受ける。勇者、後は任せるよ?」
「あぁ、俺の心に誓って必ず変えてやる!」

 そうして勇者は過去へと飛ばされて行った。勇者が変える過去はどのようなものになるのか!?
 
    ー to be continued ー



「だぁ!? 無料ってここまでかよ!? すっげぇ続き気になるじゃねぇか!?」

 俺はスマホゲーム『赤と青の混じり合う時に』をプレイしていた。分作であり三部構成として作られたこのゲームは第一部は無料公開されており、今まさに一部のエンディングを迎えたところである。まさか魔王の正体が序盤の序盤に出てきた少女だったとは思わなかった。

 タイトルの赤と青が何を指し示していたのか分からなかったけれど、これはもしかして人間と魔族の事だろうか? 非常に続きが気になる。よし、決めた!

 俺は財布を握りしめ、家を飛び出した。目的はもちろん続きを有料となる二部をやる為にプリペイドカードをコンビニに買いに行くためだ。
 携帯での決済使うと親が怒るんだよな。こんな事なら先に用意しとけばよかったよ!

776 :この名無しがすごい!:2018/03/30(金) 12:16:08.10 ID:7fFqg83z.net
上手い話の構成に思わず引き込まれました
面白かったです

777 :この名無しがすごい!:2018/03/30(金) 20:47:39.11 ID:OnJ0AuTG.net
>>776
感想ありがとうございます。
そう言ってもらえると嬉しいですね。

他の感想のお礼もし忘れていましたが、皆様感想ありがとうございます。
最近、実況感想を貰うのがなんかクセになってきたw

778 :この名無しがすごい!:2018/03/30(金) 23:06:03.79 ID:7fFqg83z.net
使用お題:『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』

【オタクとオレの珍道中】(1/3)


「こんチクショウ!! なぜだあぁぁ!!」
「坊やだからでござるな」

 レーズンブレッドをもっしゃもっしゃと頬張る横巨漢に、オレは厳しい目を向ける。
 横巨漢こと細井 颯太はもっしゃもっしゃと食べる手を止めることなく視線を游がせた。

 ゲーム世界に転生転移。もしくはゲームにイン。ファミコンが普及した後、色んなジャンルの物語で語られて来たそれが、登校途中だったオレ、桔梗屋 巧の身に起こった事だ。

「オレはガン〇ラファイト派だっちゅぅの!!」

 スマホゲーム『ルナティック インサニティ』は、タイトル通り、狂った世界観がウリのスマートフォンゲームだ。
 オレは吐き気を催す骨色の風景を前に、両手をついて項垂れていた。

「なぜだ! 普通こう言う時は美少女の幼馴染と一緒ってのがお約束だろうが!!」
「そっちでござるか」

 もっしゃもっしゃとレーズンブレッドを食べながら颯太がツッコミを入れてくる。
 って、レーズンブレッド?

「お前、それ、どっから持ってきた?」
「うふん? 知りたいでござるか? 知りたいでござるかぁ?」

 ニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべる颯太に、オレは無言でストマッククローをかける。

「ギヤアァ! 止めるでござる! 止めるでござるよ!!」
「…………(ギリギリギリギリ)」
「貰った! 貰ったのでござるううぅぅ!!」
「はぁ?」

 コイツとオレは同時にこの世界に来た。だからこそオレ達が誰とも接触していないのだとハッキリと言える。

「のおおぉぉ!! 何で話したのに再開するでござるかぁ!?」
「ぁあ?」
「おっふ、言うでござる! ゲロるでござるからぁ!!」

 ******

 颯太の言う所に依ると、コイツはこの世界の女神に出会い、助けを求められたらしい。
 それでその時、あるチート能力を貰ったのだそうだ。

 【神器創造】……精神力が許す限りで、生き物以外のあらゆる物品を“神器”として創り出す能力……らしい。

「何だそれ! マジチートじゃねえか!!」
「と、言う訳で創ったのがこの“無限パン袋”なのでござる!」

 ダーナの大釜かよ! でもまぁ、飢えないってだけでも御の字か。ん? あれ?……

「オレは会ってないんだが?」
「そりゃ、会ったのは今朝の夢でござるゆえ……あっ」
「…………(ギリギリギリギリ)」
「のおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

779 :この名無しがすごい!:2018/03/30(金) 23:10:12.54 ID:7fFqg83z.net
【オタクとオレの珍道中】(2/3)


 ******

 コイツはこの世界に渡るにあたり、女神に条件をつけたらしい。
 それが、チート能力は当然として、同行者を一人付ける事だった。
 そして、同行者として狙ったのが、オレ……の幼馴染の桐生 鏡花だったのだ。
 今朝、オレと鏡花はいつもの様に一緒に登校していた。
 つまりオレは間違って巻き込まれた訳だ。

 ギリギリギリギリギリギリギリギリ……

「のおおおぉぉぉぉぉ!!! らめぇ、れちゃう! お腹の中身れちゃうでござるからぁ!!!」

 ******

「考えようによっては、巻き込まれたのが鏡花じゃなかった事は不幸中の幸いだったな」
「本当は拙者だって、学校一の美少女と一緒が良かったでござるよ!!」
「…………(ギリギリギリギリ)」
「おふぅ! らめええぇぇぇ!!」

 青黒い顔色に成った颯太をオレは投げ捨てると、満身創痍でゼーゼー言っている、その腹を踏みつける。

「で、どうなったら、この世界は救われるんだ?」
「……さぁ? さっぱりでござるな」
「テメェは知っとけやああぁぁぁ!!!」
「のおおぉぉぉ!! いやいや、女神タン『颯太きゅんの好きなように過ごしていいんだよ!』て、言ってたのでござるからぁ!!」
「きしょい」
「おぶっ、理不尽!!」

 青黒を通り越し、土気色に成ってピクピクと蠢く肉塊を一瞥し、オレはどうしたもんだかと頭を悩ませる。

「……ここで悩んでてもしょうがないか、とりあえず移動するぞ」
「おおう、拙者をフルボッコにしといて謝罪も無いとは極悪非道でござる」
「ぁあ?」
「マジすまんかったでござるうぅ!」

780 :この名無しがすごい!:2018/03/30(金) 23:13:19.09 ID:7fFqg83z.net
【オタクとオレの珍道中】(3/3)


 ******

「おや? 第一村人発見でござるよ、YhooooooooooW!!」
「は? いやまて!!」

 散々歩き回った所に人影が見えた事で、颯太は、ハイテンションでソレに駆け寄って行く。

「おぜうさん!! 拙者、選ばれた勇し……ぐえ!!」

 オレが颯太の襟首を捕まえる。

「何を……うぎゃあ!!」

 颯太の目の前で大きな顎がバクリと閉じた。
 人型だったそれは、奇妙に捻じれながら頭部からメキメキと裂け、そこからサメの様な刃を覗かせる。
 オレはこうなる事を知っていた。それは予知能力とかそんな話じゃない。

 オレは……

 このゲームのプレーヤーだったからだ。
 そう、単純にこのスマホゲームをやった事が有るからこそ、目の前の相手がエネミーだと知っていた。
 だからこそわかる。素手でどうにかなる相手じゃない。

「あわわ、どうすればよいでござるか!!」

 少女からホオジロザメに似たクリーチャーへと変貌を遂げたエネミーを目にし、腰を抜かして動けなくなった颯太にオレが叫ぶ。

「お前!! 何の為の【神器創造】だ!!」
「おおう! そうでござった!! 拙者、チート能力者でござった!! な、何か、この状況を打開できる何か……よし! 【神器創造】っでござるうぅぅぅ!!」

 一瞬の閃光。

「おい……」

 そこにあったのは麦わら帽子と赤いベスト、デニム地の膝丈のズボンとサンダルだった。

「あっれえぇ? 海賊王が出て来る筈でござるのに、あっれえぇ?」

 サメ型クリーチャーを見て、海賊を思い付いたのか!! だけど! こいつは!!

「生物は創れねぇって言われたんだろうがああぁぁぁぁ!!」
「へぶうううぅぅぅぅ!!!!」

 オレが颯太を再びモザイク状の肉塊に変え終わった時、エネミーもドン引きしたのか、そそくさと逃げていた。

「……どうするよ、本当に……」
「ふふ、拙者、こう言うのも、ちょっと悪くないかもと思い始め……」
「………(ギリギリギリギリ)」
「おふぅ!!」

781 :この名無しがすごい!:2018/03/30(金) 23:19:26.50 ID:OnJ0AuTG.net
>>778
なんというかこれは主人公に同情したくなってきますね……。
とんでもないチート能力なのに、使い手が酷いとこうなるのか……。
頑張れ、主人公!

782 :この名無しがすごい!:2018/03/31(土) 07:23:35.40 ID:Fv/2MMlX.net
感想、有難うございます
豚に真珠を地で行くキャラクターなので、主人公の負担は増え続ける一方です
ただし、そのストレス発散も颯太で行いますがw

783 :この名無しがすごい!:2018/03/31(土) 08:18:37.64 ID:q8WpZeOj.net
>>774
ミスター・クリエイティブこと774氏が四作目を執筆だ〜、お題は全選択! 人魔交差のデュエル・サーガ!
さあ、物語は斬り結ぶ勇者と魔王で幕を開ける〜弾き飛ばした魔王の兜の下には、角を隠すために『麦わら帽子』をかぶり、『レーズンブレッド』を看板商品(『四字熟語』)にと語った、あの日のサラが!
パ、パン屋さんになろうとしていたサラが魔王に…どう就活したらこうなる!? 『青』い血滴る剣を手に、悲嘆で暮れる勇者の前に、ラスボスらしき神が現れ「ほっほっほ」!←この笑い方やめろw
敵は結末をつかさどる運命の神か〜勇者よ、人魔の和平と、あとサラの就業の自由を取り戻せ! 物語は運命の転回を宣告して、いいとこで第一部完〜
774氏が全お題を無理なく消化しながら、実は『スマホゲーム』だった脱力オチを描写だ〜、最後はまんまとコンビニに走り出すプレイヤーを見守る課金ENDで落としてくれた!

>>778
骨と血の世界…転移世界は狂気の巨漢が舞う地獄…地獄を超えた地獄! ルナティック・ピッグ(豚)!
さあ主人公の転移先は狂気がウリの『スマホゲーム』、ルナティックインサニティ〜、『レーズンブレッド』をもっしゃもっしゃと頬張るイタい相棒・颯太に、怒りのストマック・クローをお見舞いだァ!
クローの連続で顔色は『青』黒く、満身創痍(『四字熟語』)となった颯太、それでも、ござる口調は奴の生きざま〜、精神の強さが腹立つw
寄生獣っぽいクリーチャーに襲われた颯太がチート能力・神器創造を発動! 出てきたのは『麦わら帽子』と赤いベスト、デニム地の膝丈のズボン、サンダル……ルフ〇の装着品だと…
クソっなんて無意味なんだ…圧倒されたクリーチャー、逃亡w 778氏が前途多難の旅を描写して、異世界の旅路、颯太とだけは御免被るって感じで溜息ENDだァ!

784 :この名無しがすごい!:2018/03/31(土) 08:22:07.72 ID:q8WpZeOj.net
おおっと失礼
778氏はお題全選択→きっちり全消化でしたー

785 :この名無しがすごい!:2018/03/31(土) 09:52:03.97 ID:cSXEVBqM.net
ばあさんや、次のお題はまだかのぉ?

786 :この名無しがすごい!:2018/03/31(土) 10:30:41.10 ID:Fv/2MMlX.net
>>783
感想ありがとうございます
二人の異世界道中は、実は続きも思い浮かんでいるのですが、お題としては丸被りになるので、一人でひっそり自己満足をしてようと思いますw

787 :この名無しがすごい!:2018/03/31(土) 14:39:58.06 ID:diJJJzzT.net
>>783
呼ばれ方がどんどん大げさになっていってるw
いつも感想ありがとうございます。

第二部は過去改変編、第三部は改変後現代編といったところでしょうか。
今適当に考えただけですがw
第三部では正ヒロインとしてサラが勇者と共に並び立っていることでしょう。

788 :この名無しがすごい!:2018/03/31(土) 15:09:13.45 ID:Fv/2MMlX.net
>>785
さっき、ドバイで飛行機に乗ると言ってましたから
こちらに着くのは明日の夜ですかねぇ

789 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 00:50:28.89 ID:ZwM3Dcwn.net
そういやこれ、自分が書いたやつってなろうで投稿しても良いのかな?
こっちに書き込んだ後からだとまずいかな?

790 :二代目進行 :2018/04/01(日) 01:21:52.44 ID:jANfAdcq.net
前の進行さんは「『お題スレ投稿作品』タグをつけてなろうに投稿後、リンクをこちらに」って方針だったね。

そういえば俺に代わってからちゃんとガイドライン出したこと無かった。

どうしても5ch上から著作者以外がパクっていくリスクはあるので、出来ればなろうに先行して投稿してほしい。投稿時刻で確認できるので、その際はURLを貼らずにこちらに直接小説投稿しても良いよ。

ただ、今までの分を上げたい人もいると思うのね。……うーん、どうしようか。仮にそれを無制限に良しとすると、このスレすべての作品がコピペされるリスクを伴うことになる……なろう投稿を否定したくはないから、悩む……。

791 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 03:52:08.51 ID:j6o3CVqU.net
そこらへんあんま考えずになろうでオムニバス連載で出しちゃってるわ・・・
もちろん自分の分だけしかあげてないけど、途中からなろうと同時にあげだしたからパクりだと思われそうや
消した方が無難かな、やっぱり

792 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 04:36:06.39 ID:Strc4NgQ.net
消すまではすることないのでは?
あらためて徹底って事で。

793 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 08:12:23.82 ID:ZwM3Dcwn.net
やっぱり後からだとややこしいか
次からなろうで投稿してからこっちに載せることにしよう

794 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 08:43:22.49 ID:j6o3CVqU.net
自分もなろう先でこっちに投稿しよう。ちょうど下書きになろうのサイト使いやすいしね
・・・っていうか冷静に考えて、公共性の高い掲示板なんかに投稿した作品に対して著作権もクソもない気がしてきた。そこまでスレ民多いスレでもないし・・・

795 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 11:44:25.76 ID:tl3k29q0.net
配慮は大事だと思うよ

796 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 19:47:29.19 ID:j6o3CVqU.net
次のお題が気になって夜しか眠れない

797 :二代目進行 :2018/04/01(日) 22:05:51.33 ID:jANfAdcq.net
お題『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』締切

参加作品一覧(1/2)
>>722【バカとバカとシリトリ】
>>723【レーズンブレッド】
>>733【変わる物、変わらない物】
>>738【釣り日和】
>>741【血の理由】

798 :二代目進行 :2018/04/01(日) 22:06:10.27 ID:jANfAdcq.net
参加作品一覧(2/2)
>>744【世界を救え!!】
>>748【流行りのゲーム】
>>762【夏の暑い日に】
>>770【国家炎上】
>>774【勇者と魔王】
>>778【オタクと俺の珍道中】

799 :二代目進行 :2018/04/01(日) 22:07:58.06 ID:jANfAdcq.net
初めて「安価が多すぎる」などという理由でエラーを食らったよw
盛況でうれしい、念入りに確認したつもりだけど前回みたいに作品一覧うっかり漏らしてたら申し訳ない。

さて、安価とるよ
>>799-803

800 :二代目進行 :2018/04/01(日) 22:08:35.76 ID:jANfAdcq.net
……はい。ミスった。

>>801-805

801 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 22:12:28.13 ID:gdJoyowF.net
忍者

802 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 22:14:55.11 ID:cxoRIQF+.net
博打

803 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 22:15:28.17 ID:oVXHJ3Lg.net
エイプリルフール

804 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 22:17:19.67 ID:j6o3CVqU.net
巨大または極小

805 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 22:28:02.45 ID:3iBZoBff.net
サービス

806 :二代目進行 :2018/04/01(日) 22:28:28.42 ID:jANfAdcq.net
☆お題→『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』より一つ以上を選択

☆文字数→3レス以内に収めれば何字でも可。
最大文字数の目安としては、3レスで5000〜6000字程度。
もちろん文字数が少なくても分割オーケー

☆締め切り→4/8の22時まで
☆平行して投票を行います(試験運転)→安価もしくはタイトルで一人一票までレスしてください。締切4/4の22時

807 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 22:30:26.27 ID:j6o3CVqU.net
>>738【釣り日和】 に一票 僕夏的シナリオが好きだから

808 :この名無しがすごい!:2018/04/01(日) 23:21:43.37 ID:j6o3CVqU.net
今回も一番乗りはもらったああああぁ!

使用したお題:『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』

【ウソから出たマコト】

「アハハ、なにこのサイトウケる」

 今日はエイプリルフール。世の中のみんながバカになる日だ。
 新聞はアホな記事を書き、インターネットは嘘のサービスを展開させる。広告はあり得ない商品を陳列させ、友達とメールでわかりやすい嘘で騙しあう。
 春休みということもあって全力で楽しめるイベントでもある。僕もまた暇つぶしに、というには本気の表情でいろいろなサイトや配達物をウキウキしながら調べる。

「みんなよく考えるなぁ、こんなバカなこと」

 やはり入手が安易で最も情報量が多いのはネット関係のエイプリルフールネタだ。インターネットのサイト、ツイッターやSNS、意外と多いメール関係。ネット界隈は情報で溢れていた。
 検索サイトは第三次世界大戦が近いと訴えていた。短気な大統領と黒電話みたいな髪型の国家代表が最後の一線を越えちゃったらしい。
 ツイッターではテロリストが日本国内を暴れているとみんなで騒いでいた。どこどこの誰が爆弾を隠し持っているとかあそこの施設は悪の拠点だと言いたい放題だった。
 メールもすごい量だった。宇宙からの侵略者が来たとか下水処理場には秘密が隠されているとかとあるスマホゲームをやりすぎると人格が破壊されるといった都市伝説に近いものばかりだった。
 極めつけは、ツイッターとインスタグラムは巨大組織が個人の情報を収集するために使っているというものだった。突拍子がないにもほどがあった。

「アハハ、みんな発想力が豊かだなぁ。暇なのかな?」

 僕は涙を浮かべるほど笑った。散々好き放題笑ってから……ふいに真剣な表情を作った。小さい声で呟く。

「さて、お仕事を始めますか」

 僕は全ての情報をPC内のクラウドに取り込み、自動監査装置で大まかに仕分けしてもらう。情報の内容を大分類ごとに目を通し、過去の集積記録ファイルと照らし合わせる。
 毎年の仕事ではあるが、なかなか大変なものだ。

「にしても、なんでバレたんだろ? インスタはともかくツイッターはもう世間に馴染んだと思ったのに……」

 軽くぼやきながら情報の精査を続ける。完全な出まかせが大半を占め、一部真実の情報が混じり、火急の救急案件や大事件の火種になりそうなものを重要なフォルダへ入れて上層部へ報告する。
 これだけ大量の情報を全部見分けるのは大変な作業であるうえ博打の要素も強い。しかし大々的に各部署から表沙汰にできない秘密を集めることができるため辞めるわけにもいかない。

 そういうわけで僕は……政府公式の機密情報処理部、通称「忍」は、数多ある嘘情報の中から本当の情報を探すために仕事を始めた。

809 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 00:17:46.06 ID:tXtUYliX.net
書けたけど、なろうに投稿してから丸々同じ文章をこっちに書き込むのと、URL貼るのってどっちがいいのかな?

810 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 00:25:32.53 ID:lfuvx5Lt.net
好きな方でいいのでは

811 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 00:30:56.04 ID:tXtUYliX.net
じゃあ同じ内容の書き込みで行きます。

お題 『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』

【忍者の仕事】

 4月1日、今日は言わずと知れたエイプリルフールである。年に一日にある嘘を付いてもいいとされる日、そして新年度でもある日だ。

 だが、油断してはならないこともある。新年度というのは時にサービスの改悪や、ルールの改悪、そういう不利益を被る可能性のある真実も共に含まれていることがある事を。
 そして本当に困っている真実もあるという事を。

 まぁ忍者である私はそんな真偽などすぐに見抜く目を持っている。情報の正確さを見抜けないようでは忍者など務まりはしない。日本という社会を裏で支える巨大な組織に所属する者としては必須技能である。

 今の情報社会では真偽の判断は特に重要な事だ。
 そして、あらゆる企業がエイプリルフールというお遊びを大々的に行っているのには理由がある。この日ばかりは真実すらも嘘として隠し通せる事もあるからだ。だがそれも一種の博打である。いや、我ら現代の忍者が博打にさせていると言い換えてもいいだろう。

 どさくさに紛れた極小の文字で書かれたサービス規約の改悪、おふざけの度合いを超えたやり過ぎ、そして本当のことなのに信じてもらえない苦痛の叫びなど、それらを解決するのが新年度初の現代の忍者の使命なのだ。

「さぁ! 今年もあらゆる情報の真偽を確かめてやろうじゃないか!」

 俺はそう宣言し、目の前にあるパソコンであらゆる情報に目を通していく。照明を消した薄暗い部屋で黙々とパソコンを操作して情報を集めていくのだ。現代の忍者とて電子機器の扱いなどお手の物だ。これも真偽を見抜く目と共に必須なスキルである。

 すると部屋の照明がいきなり点く。何奴か!?

「……何やってんの? 兄貴?」
「なんだ、妹よ。何って忍者の仕事に決まっているだろう!」

 そこにいたのは我が妹であり、同じく忍者である妹がーー

「いってぇ!? 何すんだよ!?」
「中二病うざい! 兄貴のどこが忍者だ! ただの高校生でしょうが!」
「デタラメを言うんじゃない! エイプリルフールだからといって言っていい事と悪い事がーー」

 思いっきり蹴飛ばされ、キレている妹の目が怖い。はい、ごめんなさい。全部嘘です。俺の極小の心が冷たい妹の目線で砕け散りました。
 エイプリルフールなら大目に見てくれるだろうと博打のつもりでやってみたが許してくれないらしい。この妹は兄に厳しいのだ。たまにはサービスしてくれたっていいじゃないか!?

 え? ダメ……? ほんと厳しいね。

812 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 00:40:10.87 ID:Y9N/B/To.net
>>744【世界を救え!!】に投票します
世界を救ったニートに清き一票を!

813 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 00:43:14.15 ID:Y9N/B/To.net
使用したお題:『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』
【ヤイバ】(1/2)

 狭い石造りの部屋にたくさんの人間がいた。全員がピシッとしたスーツを身にまとっている。一人を除いた全員がヤクザだ。
 あぐらをかいた二人を囲うように円陣を組んでいる。
 博打をしていたのだ。
 がっちりとした体格の男が今回の博打の元締め。大木の年輪よろしく、眉間の皺が彼の人生における修羅場の数を物語っているようだった。
 対するは少々小柄な人物。
 なよっとした印象を受けるが、こうもヤクザに囲まれているというのに飄々とした態度は崩していない。
 ヤイバ、と彼らには名乗っている。
 元締めヤクザが唸るような声を上げた。

「それで、アンタは全財産を賭けた博打に負けたわけだが……」

 そう、博打をしていた、のだ。すでにヤイバの負けは決まっている。今は反省部屋に連行されている状態だ。
 ヤイバは妙に高い声で反応を示した。

「――――おむすびころりん的宝箱選択法、知っているかな?」
「…………」

 そんなの知るはずがなかった。

「おじいさんの前に、巨大な宝箱または極小の宝箱が置かれた。君はどっちを選ぶか、それを決めるのがおむすびころりん的宝箱選択法なのだよ」
「……つまり何が言いたい」
「謙虚な俺はそれに従ったんだ。もっと俺に配慮すべきでは?」
「うっせぇハジクぞ」

 ヤイバの頭にチャキっと小気味の良い音。モブヤクザの一人が拳銃を押し付けたのだ。
 これにはヤイバも黙るしかない。だって怖いんだもの。

「はぁ……お前が女だったらなぁ? 適当な風俗、今だと……人手の足りないコスプレ専門店に沈めるんだが……」

 ヤイバはそういう性的なサービスをする店に行ったことがない。なけなしの想像力で、風俗で働く自分を想像してみた。
 むさ苦しい部屋にて忍者のコスプレ、そして男に奉仕する……。
 ヤイバはゆったりとかぶりを振る。しかし本当は恐怖のおもむくままブンブン頭を振り回したかった。

「生憎だが俺は男でね」

 余裕の笑みを顔に張り付ける。その割には膝がガクガクと揺れ動いていた。

「まぁ、男だったら腎臓でも売るしかないよなぁ?」
「臓器バイバイってか? ははっ、笑えねえよぉ……!」

 頭にチャキっと小気味の良い音。

「面白くもねぇ冗談は嫌いだ」
「スミマセン」
「わかりゃあいいんだよ。わかりゃあな」

 元締めヤクザが何やら指示を出す。「連れて行け」だとか「あのヤブ医者に連絡を入れろ」だとか想像するだに恐ろしいような命令だ。
 さすがにそろそろヤバイと、ヤイバはぺらぺらと口を回す。

「ところで今日は何の日なのか? 知ってるかい?」
「……エイプリルフールだな」
「そうエイプリルフールなのだよ。つまるところ今までの博打の結果は全てウソ。俺は全くの無傷でヤクザの屋敷を離れることにしようか」
「そいつぁ、無理な相談だな。俺たちヤクザの、四月馬鹿ルールが許さねぇ」
「……ほう?」

 ヤイバは驚いた。まさかヤクザが私の話に付き合ってくれるなんて……、しめしめと内心でほくそ笑む。
 しかし続く言葉に呆気にとられた。

814 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 00:44:14.92 ID:Y9N/B/To.net
【ヤイバ】(2/2)

「エイプリルフールの嘘は、午前中までだ」
「…………は?」
「それが俺たちのシマのルールだ。分かったな?」
「ちょ、ちょっと待て。なんだそのローカルルールは。普通は一回だけしか嘘をつけないとかだろ?」
「お前んとこのルールこそ知らねぇよ」
「おいおい、冗談も休み休み言えよ。この博打の主役は俺なんだぜ? 俺がルールに決まってんだろ。俺のルールに従え――――」

 チャキっと小気味の良い音。

「ヤクザがルールでいいよな?」
「ハイ、カシコマリマシタ」

 ガクブルと震えるヤイバ。元締めヤクザはそんな様子を横目に、モブヤクザに「連れてけ」と命令を下した。
 グイっとヤイバの腕をモブヤクザの一人が掴み、引っ張った。

「キャッ」

 怪訝に思うモブヤクザは「なんだよ気持ちワリィなぁ……」と呟く。
 対するヤイバはだらだらと冷や汗を垂れ流して、目線を彼方に逸らす。
 元締めヤクザはピンとくるものがあった。

「おい……ソイツの体を調べろ……!」

 そう、ヤイバは男ではなく、女だったのだ。
 とうとう正体がばれてしまったヤイバは懐から拳大ほどの球体を取り出す。
 渾身の叫びを上げながら、それを地面に叩きつけた。

「くっころ!」

 途端にモクモクとケムリが舞い上がり、狭い部屋に咳きこむ音が幾重にも重なる。
 彼女はケムリ玉を使用したのだ。
 なんとヤイバは、クノイチだったのだ。
=
 無事に逃げだすことのできたヤイバ。逃亡先には彼女の上司クノイチがいた。
 ヤイバは任務の如何を報告する。

「任務失敗……でござる……」

 彼女の任務は、博打の賞品を手に入れることだったのだ。
 上司クノイチは呆れたように言う。

「博打する必要はなかったよな? お前博打したかっただけだよな?」

 しかしヤイバはどこ吹く風、柳に風。
 上司の説教は彼女に届かなかったようだ。
 ヤイバは独りごちる。

「ヤクザたちよ……覚えておけ……でござる。『く』『ノ』『一』と書いて『女』と読むのだ、でござる。女は皆、忍者なのだ……でござるよ……!」
「その取ってつけたようなござる口調をやめろ」

 その後上司クノイチが尻拭いをして、ヤイバは減給処分になったとか。
 余談ではあるが、心のない忍は刃でしかないのだ。
 我慢できずに博打に走るような忍は、ヤイバなのだ。

815 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 01:14:10.48 ID:tXtUYliX.net
>>808
何が真実か分からないし、知らずに真実を言い当てているということもある訳ですね。
そういう事、実際にありそうですよねー。それを知る術はなさそうですがw

>>813
任務なのに博打楽しんだ上にボロ負けって駄目じゃん!?
これが部下だと上司は大変ですねぇ……

816 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 08:15:28.44 ID:58nwGYjm.net
今朝スレを確認したら、既に3作品も!
何やら盛況ですねぇ

>>808
情報過多な時代の忍ですか
おそらく米国の方ではMIBが、同様に活躍しているのでしょうねw
スレイヤーなあの方と鉢合わせ無い事を祈っています

>>811
エイプリルフールだからという事で忍者プレイをしていたのでしょうが、厨二である事は嘘ではない為、エイプリルフールのルールは適用されなかった様ですねw
残念!
でもきっと、妹さんも心配だから言葉がキツくなっている……はず

>>813
心がないと言うより、心(欲望)しかない様な?
くノ一が女である武器を使わない時点で色々残念な
上司の人も、彼女の性格は把握してなかったのか?
それとも、何かの可能性を信じているのでしょうか?

817 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 08:59:42.29 ID:auXW1MSR.net
>>808
なに、進行氏の発表から一時間も経っていないだと…電光石火の文芸忍術! 一番乗り・ザ・ニンジャ〜!
さあ物語は嘘の日4/1〜、ネットサーフィンで騙し合いのイベントや『サービス』を楽しむ主人公〜、中でも『巨大』組織が個人情報を収集しているなんて噂はいかにもありがちで…なにっリアル!? 
物語は単なるネット遊びと見せかけて、『博打』の要素を大いに含む、忍の現場に転換〜、『エイプリルフール』の情報精査を担う、現代の『忍者』はソーシャルに生きる〜
4月1日の変わらぬうちに全お題を消化だ〜、その上オチまで作り上げた腕前に脱帽〜、スピーディ&エクセレント! 808氏に短編スレ「ザ・ニンジャ」の称号を送るぜ!

>>811
これは…連作!? お題はフル選択、兄貴忍者の誕生を見よ!
ときは『エイプリルフール』…日本という『巨大』な組織を裏で支えるニンジャ! 相手は現代の悪…ここが勝負と規約改悪の『博打』に出るセコい企業…おふざけの度合いを超えたやり過ぎ炎上…
小さい悪から是正するのが我らネット『忍者』でござる! いや、それただのネット民じゃねえかw
って思ったら妹が乱入して何だかよく分からないけど怒られてわろた、ネットしてただけなのに…
たまには『サービス』してくれたっていいじゃないか、と『極小』の心を持つネット民がほぞを噛む! 悲痛に彩られた物語はお題を全消化し、>>808氏の姉妹作だけに、兄妹オチでENDォ!

818 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 09:06:15.42 ID:auXW1MSR.net
>>813
一夜のうちに三作目〜お題は全選択! ヤイバ・イン・ザ・ヤクザ〜
舞台はヤクザの円陣の中! 『博打』に負けた主人公が冷や汗たらり〜、「おむすびころりん的宝箱選択法(『巨大または極小』)を採用した自分に配慮しろ!」 ん…? 舌きりすずめじゃないのかw
さあ、敗者を待ち受けるのは性的な『サービス』を含む悲惨な運命、腎臓売却で臓器バイバイww ワロタ
主人公ヤイバが『エイプリルフール』で全てなかったことにしようとするが、常識的に失敗〜、性別もばれてクッころ展開…、ここでケムリ玉による脱出だー何がしたいw
心のない忍は刃でしかない…そう、彼女はヤイバ…我慢できない『忍者』…うん、それは普通に駄目…って感じで、お題を使いきった813氏が笑いと共に肩透かしENDォ〜!

819 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 12:21:40.32 ID:tXtUYliX.net
二本目行きます!

お題 『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』

【遺品の整理】

 先日、祖父が亡くなった。葬式も終わり、今は遺品の整理をしているところだった。

 幼い頃には祖父に懐いていた俺も最近では都合が合わないことも多くなり、介護サービスを受けるようになっていた祖父とも距離が出来てしまい、そのまま最後の時を迎えてしまったのだ。
 もう少し話していればと後悔するもののそれはもう既に過ぎたこと。

 大好きだった祖父の事を思い出しながら、遺品を整理していく。整理しているのは俺と祖父の娘である俺の母の二人だけだ。博打好きのダメ親父は金目の物を見つければ何を言い出すかわからないので家に置いてきた。

「……なんだこれ?」

 遺品を整理していく内に、何やら妙なものを見つけた。古めかしいが大事に扱われていたのか手入りの行き届いた木箱がある。幼い頃は結構な頻度で入り浸っていたものだが初めて見たものである。
 好奇心も合わせて、整理するためにその箱を開けてみる。するとその中には、クナイや手裏剣、黒い装束などが仕舞われていた。いかにも忍者と言った風情である。

「なぁ母さん、これ何?」
「え? あぁ、父さんまだそんな物持ってたのね」

 母親が何か知らないものか尋ねてみたら、なにか知っている様子だ。

「それ、昔からずっと大事に持ってた物よ。本物らしいから手を切らないようにね」
「え? これ本物!?」

 まさかの本物発言に驚いた。

「道具がってだけよ。今時、忍者なんているわけないじゃない。あ、でも一日だけ、本物の忍者だって言う日もあったわね」
「あ、それ、俺も覚えてるかも」

 そして俺は思い出す。祖父が元気で俺も入り浸っていた頃、祖父が自分は忍者だと言っていた事を。

「爺ちゃんな、昔は忍者だったんじゃよ」
「え! そうなの!? 爺ちゃんすごい!」
「そうじゃろう。巨大な悪の組織を壊滅させたりもしたんじゃよ?」
「え! そんなのいるんだ!」

 そう、そんな感じで祖父は自分の事を忍者だと言っていた。幼かった俺は随分と食いついて色々語ってもらっていたものだ。あぁ、そういえばそれが嘘だということを分かるような年になってから、なんだか騙された気になって入り浸る回数が減っていったんだった。
 今考えると孫への遊びのサービスだったのかもしれない。今更になってなんだか祖父に悪い事をしてしまった気がしてくる。

 確かに祖父がそれを言う日は決まって四月一日。つまりエイプリルフールだ。初めから嘘だとは示されていたのだ。
 今更かもしれないが、墓参りをする時に祖父に謝ろう。

 そうして、俺と母は遺産の整理を済ませ、帰路についた。



「……おい、ちゃんと回収しておかないか!」
「すみません、頭領。まさかまだ忍び装束を持っていたとは思わず……」
「……まぁいい。我らの存在には感づかれてはいないようだ」
「……頭領、彼らには言わなくても宜しいのですか?」
「奴が家族には受け継がせないと決めたんだ。下手な博打は打てんさ。それに我らは影に忍ぶ者。知らないなら、そのほうが良い」
「それもそうですね」

 そうして二人分の人影が暗闇の中へと消えていくのであった。

820 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 14:07:20.39 ID:D34Zhdhh.net
スレ民そんな多くないはずなのに、その少数が本気すぎて怖い
でも負けないぜ!(もっと本気になる変態がこちら)

821 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 15:05:02.46 ID:58nwGYjm.net
>>819
亡くなった祖父の本気の嘘は、家族を護るための優しい嘘なのですね
それに応える頭領さん達も男前だと思います

822 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 19:28:52.22 ID:D34Zhdhh.net
使用したお題:『忍者』『博打』『エイプリルフール』『巨大または極小』『サービス』

【クレタ人は嘘つき】(1/2)
 クレタ人は嘘つきだという言葉を聞いた事はあるだろうか。色んな論理問題に出てくる謎の人種だ。

 『クレタ人が「全てのクレタ人は嘘つきだ」と言ったとすると論理破綻が起こる』というところから始まり、『目の前にいる人間がクレタ人かどうかを一つの質問で確かめなさい』とか
『天国への道をクレタ人か普通の人かわからない人に質問して決定しなさい』なんて問題もある。中学生にでもなれば誰でも一度は彼の名を聞いたことあるだろう。

「で、自分はそんなクレタ人なわけだけど、ちょっと困ったことが起きてね」

 そんな嘘つきの代名詞として有名なクレタ人が僕へ急に問いかけてきた、真顔で。そりゃもうビックリしたよ。
 とりあえず僕は真っ先に思い付いた返事をした。え、それも嘘?

「いやさね、自分が困って相談するのに嘘をつくバカはいないでしょう。さすがにクレタ人でも場はわきまえるよ」

 クレタ人は意外と常識がある人のようだ。だったら嘘なんてつかなきゃいいのに。
 思わず漏れ出た僕の本音に、クレタ人はこれまた真顔で答えた。

「クレタ人は嘘つきで長年通してるからね、こればっかりは譲れない。我らが誇りに賭けて」

 誇りと一緒に人生まで賭けてるなこの人……。
 どうせ賭けるなら他のことにプライドを持てばいいのにと思ったが言わないでおいた。僕は一応空気が読める。
 話を本題に戻した。で、何が困ったの?

「今日が何の日か知ってるか?」

 トレーニングの日だね。あと児童福祉法記念日でもあるかな。あとは万愚節でもあるね。

「なんでエイプリルフールを万愚節なんていうマイナーネームで言ったんだ。しかも一番最後に出てくるって……こいつ空気読めないな」

 失敬な、万年嘘つきのクレタ人よかマシだよ。

「褒めてくれてありがとう。そんなことより察しておくれよ。クレタ人とエイプリルフール、ここら辺の関係性で何か思うことはないかね?」

 そんなこと考えた事もなかったよ。でも、どっちも嘘関係だからなんか相性良さそう?
 僕がそう問い返すと、クレタ人は首をブンブン振った。

「そう思われる事は知っているが、実際はそんなことないんだ。エイプリルフールは嘘をついてもいいわけだろう? そうなると我々がどんな嘘をついたとしても、『ああ、エイプリルフールだから嘘をついたのか』って言われてしまうわけだ。これが悔しい。
 普段なら『クレタ人が本当に嘘ついた! やっぱりクレタ人は嘘つきなんだ!』って盛り上がってくれるのに、この日だけはハレの日に舞い上がる一般人へと埋没してしまうんだ……」

 いまいち同情できないけれど、なんとなく言いたい事はわかるかな。
 ええっと、つまりこんな感じかな? 自分だけチート能力を貰って転生するのはいいけど、自分以外の人や異世界人も含めて全員チート能力持ちだと嫌だ、みたいな考えだと思っていいか? なんて器の極小な人なんだ……。

「なんかそう例えられると同意したくなくなるが、まあそんなところだ。自らのクレタ人としてのアイデンティティが犯されてる気がして結構辛いんだ。どうにかならないだろうか?」

 どうにかって言ったって……。ええっと、じゃあ逆にエイプリルフールはクレタ人は嘘つかないようにするとか?

「そんなことはできない。クレタ人は嘘つきであることに意味があるんだから」

 なんかオフの日でも笑いを取ろうとするサービス精神豊富な芸人みたいな思考だな。でも、なるほど、嘘をつくことは止めたくない感じか……。
 ならこんなのはどうだろう。名づけて『影分身作戦』。

「影分身? 忍者がやるやつか?」

823 :この名無しがすごい!:2018/04/02(月) 19:30:25.61 ID:D34Zhdhh.net
【クレタ人は嘘つき】(1/2)

 そうそうそれそれ。アニメや漫画だと忍術ってドハデだけど、実際はかなり地味なのは知ってる?

「え、あ、う、うん。し、知ってるとも!」

 例えば幻術は犬の鳴き声を真似てただの野良犬だと思わせることだったり、空蝉の術は単なる衣装の早脱ぎだったりね。
 影分身もそう。自分が見つかったとき咄嗟に影に隠れて、その後石つぶてを投げて遠くに逃げてるフリをするんだよね、本来は。と僕もネットで知っただけの知識を披露した。

「え、あ、そ、そうなんだ。へ、へー、ふーん。はぁ……。あ、で、でそれがどんな作戦になるんだい!?」

 僕が半眼で睨むと、慌ててクレタ人が話を戻した。間違いなく嘘だとわかるその知ったかぶりは無視して、僕は作戦内容を話す。
 つまり影分身のように、エイプリルフールという影に隠れて別の嘘を先んじて言っておくんだ。そしてその嘘を後から「嘘でしたー」って発表すればいいんじゃないかな?

「ん? ごめん全く意味が分からない」

 例えば株式投資で『この株は3日後に値上がりする』って嘘をつく。なるたけ絶対に値下がりしそうな株をね。そうすれば嘘がバレる日がエイプリルフールではなく3日後になるから、そのバレタ3日後に『クレタ人が嘘をついた!』ってことになるんじゃないかな。

「なるほど、嘘という小石を遠くに投げて、追いかけて行った人がそこでようやく『クレタ人のついた嘘だった!』ってわかるわけだね。なかなか妙案だと思う。里のみんなと相談してみようと思う」

 そっか、適当な思い付きだけど助けになったならよかった。
 僕は雑に演技して喜んでみせたが、クレタ人は本気で嬉しそうだった。喜び勇んでその場を去ろうとする。

「いや、ホントに助かった。ありがとう、早速みんなに相談してくる!!」

 クレタ人は光の速さで去って行ってしまった。僕はプラプラと軽く手を振って彼を見送る。

 ……でも冷静に考えて、『エイプリルフールに浮かれてウソをついてるだけの人に見える』って問題は解決してない気がするんだけどなぁ……。

 まあいいか。今日はエイプリルフールだし、この程度のウソは許されるだろう。



2作目! 内容はいつも負けてるから量で勝負!!

824 :この名無しがすごい!:2018/04/03(火) 07:23:12.87 ID:muKbV8Rs.net
嘘を吐く事がアイデンティティーw
主人公は、嘘つきであるクレタ人から頼られる程の嘘つきなのでしょうか?
だとすれば「これでいいのだ」と言うことですねw

825 :この名無しがすごい!:2018/04/03(火) 09:13:02.62 ID:AZMZwleD.net
>>819
全お題に挑戦でござる、忍者は死せず! さあ、描かれるは爺ちゃんの遺品整理にあたる主人公〜
古びた木箱から取出したる、クナイ、手裏剣、黒装束〜、主人公の語りは『巨大』組織を壊滅させた『忍者』の思い出話に移る〜、『エイプリルフール』のエキサイティングな忍者話は爺ちゃんなりの孫『サービス』か〜
故人の心情を想う主人公の描かれぬ微笑が描かれ、いざ、しみじみのラストへ…、って、へ、この連中、なに!? なるほど、爺ちゃんの嘘に見えた忍者話、嘘自体が嘘になる、『エイプリルフール』二重回転オチなのかw
死してなお忍ぶ本物の忍者・爺ちゃん! 危険な生業、家族にゃ伝承させられぬう! 身内に見せずに終えた真の生! 闇から闇へと渡る忍びの矜持と家族愛を、描かずして描き出す、これぞ隠れ身の術か〜
素晴らしいカメラワーク!! お題全消化のみならず、819氏がハードに込み入ったニンジャ・マインドを多角的に描いてくれたァ〜

>>822
嘘って、何なんでしょうねェ…ボク分かんなくなっちゃいました…そう言って目頭を押さえるクレタ人…それも嘘か!? お題は全選択! クレタ人と遊ぼうin短編スレ〜
さあ物語は主人公とクレタ人の会話を描いていくぞ〜、『サービス』精神豊富、でも器は『極小』! 一般人に紛れたくないクレタ人の悩みは『エイプリルフール』の身の振り方だァ〜
主人公の提案は、『忍者』から拝借した影分身・大作戦〜、忍者豆知識と、半分『博打』の株式投資話で煙に巻き、クレタ人、ユー、アンダスタン? 実際は嘘の発覚を三日ずらすだけ、しかしクレタ人、豆知識に圧倒されてこれに納得しエンド、
いやでも待てよ、これで納得って、あっさり過ぎるぜ…これは果たして「主人公の嘘」にクレタ人が騙されたのか!? それとも「騙されたというクレタ人の嘘」に主人公が騙されたのか!? それとも「悩み」自体が嘘なのか!?
嘘しか言わないクレタ人という前提は、全てを疑わしくする自己言及のパラドクス! 822氏が描いたお題全消化の物語は、踏み込めど絶対に掴めない自己矛盾の中でEND!!

826 :この名無しがすごい!:2018/04/03(火) 20:18:17.18 ID:0TtWk+mC.net
>>821
>>825
感想ありがとうございます!

エイプリルフールだからこそ真実を嘘として話す事ができて、そして真実を嘘に変えてしまうという形にしてみました。
エイプリルフールに語られる嘘っぽいものの全てが嘘とは限らないわけですよと言う事です。

827 :この名無しがすごい!:2018/04/03(火) 20:54:50.51 ID:dcnzg9mG.net
なんか突拍子もないシナリオを思い浮かべたいけど、なかなか難しいな・・・

828 :この名無しがすごい!:2018/04/03(火) 22:40:39.45 ID:ug9RELG4.net
初めて参加しやす。難しかった(小並感)
使用したお題:『巨大または極小』
【方舟】
「あなた、生きてるか」
 声を掛けられて、男はハッと目を覚ました。白い天井が目に飛び込んでくる。体を起こそうとしたがどうも思うように動かないので目だけを動かしてあたりを見渡した。
 そこは天井と同じく白い壁に覆われ未知の機械が置かれた狭い部屋だった。いったいここは何処なんだろうと男が疑問に思う間も無く男の視界にこちらを覗き込むようにして見る人ならざる者の顔が入ってきた。
 一目見て人間でないと分かるその顔に男はギョッとして逃げようとする。が、やはり体は思うように動かない。男は明らかな非常事態に恐怖を感じてしまっていた。
 一方でその様子を見てか人外は落ち着いた優しい声音で男に話しかける。腹話術のように口の動きと出る音が合ってない奇妙な喋り方だった。
「傷に触る。まだ動かない方がいい。こちらの言葉わかるか?」
 恐ろしい見た目をした人外の、しかし友好的な態度を見て男は大人しく答えた。
「あ、ああ」
「分かった。あなた死にかけてた。わたし医療技術良かった。だから助かった」
「あ、ありがとう……、しかしすまない、実はさっきまでの記憶がないんだ。だから何がなんだか俺にはさっぱり……」
「記憶喪失か。仕方ない。それほど酷い怪我だった」
 人外は頷くような動作を見せると懐から小さい板を取り出した。板は人外の手のひらでバラバラに砕け拡散し宙空に漂う。それは次第に形を作り地球の姿をとった。
 人外はこともなげに地球の模型を指差す。
「これ、滅んだ」
 言うと模型は小規模な爆発を各地で起こしたかと思うと粉々になってしまった。粉々になった模型の欠けらはまた次第に収束して板の形をとり人外の手のひらへとポトリと落ちる。
 男はただ唖然として冷や汗を流していた。
「地球が、滅んだ?」
 男はとてもすぐには信じることができなかった。人外は淡々と続ける。
「わたしたち、地球とは違う星の人。私たち前々から地球滅ぶの知ってた。わたし滅ぶその前に生物を保護する役割だった。君一番最後だった。君怪我したのこちらの落ち度。申し訳ない」
 頭を下げ人と同じように謝る人外に男は違和感を覚えるものの、なんとなくこの目の前にいる生き物は嘘をついていないと言うことはわかった。
 宇宙人が居るというのも驚きだが地球が滅ぶなんて……。いやしかし、
「じゃあ、俺の他にも地球から助けてくれたってことか?」
 間をおかずに頷く人外を見て男はにわかに顔色が良くなった。
 男は記憶に残っている最愛の妻と娘の顔を思い出していた。地球は滅びたかもしれないけど人が生きているのであれば。幸運にも見た目はおっかないがどうやらこの宇宙人は信用できそうだ。これは案外悲観するものでもないかも知れない。
 と、男がそう思った矢先だった。人外はやはりなんでもないことのように言った。
「もちろん、助けた。君の他に地球の生き物一組一種類ずつ。人間は身体的に優れた君とメス。地球生き物一杯で大変だった」
 人外はまたしても板を取り出すとそれで件の女の顔を作った。男が全く知らない人の顔だった。少なくとも、男の妻の顔ではない。男は悟る。
「……つまり、俺の妻と娘は」
 男の脳内に先のバラバラになった地球のイメージが走る。
 男は目の前が真っ暗になっていた。



「何? 人間のオスが死んだ?」
「ああ。保護してから丁重に扱ってたら、突然舌を噛み切って死んだよ」
「バカな。自殺するような精神的苦痛は与えてないようにしたはずだぞ」
「でも本当なんだから仕方ないだろ。そりゃ地球は滅んだけれど優れた種の保存はできるはずだし不満はないはずなんだけどなあ」
 不思議だなあ、と首を捻る宇宙人。しかしすぐに、まあ一種類ばかし居なくなっても上は大目に見てくれるだろう、と考え直し任務を終えた祝いに嗜好品を楽しみ始めた。
 結局価値観の違いから人にとって巨大なウェイトを占めるそれを、宇宙人が理解することはなかった。

829 :この名無しがすごい!:2018/04/03(火) 23:16:46.11 ID:0TtWk+mC.net
>>828
おー新規さん! 大歓迎ですよ!(自分も割と新参者なのは置いといて)

価値観の違いからくる悲劇ですね……
かといってもっと多くを助けろというのも傲慢なんでしょうね。
地球の全種類の生物を一組ずつでも大変な作業でしょうし。

830 :この名無しがすごい!:2018/04/03(火) 23:32:38.48 ID:ISUipnAG.net
おっと
スレッド容量、残り5KB。
いよいよ次スレが必要。

>>806
2代目進行さんにレス付けとけばいい?

831 :二代目進行 :2018/04/04(水) 00:18:40.24 ID:i964mS9Z.net
おおお、危ない
ありがとう、今から立ててみます

832 :二代目進行 :2018/04/04(水) 00:39:28.23 ID:i964mS9Z.net
ごめん、手持ちの回線全部規制食らってた。こういうときってどうすればいいんだろう?

833 :この名無しがすごい!:2018/04/04(水) 00:48:12.22 ID:hc7Tm9Ma.net
代行ですかね
1に書くテンプレを用意すれば誰か立てられますが、乱立防止のために宣言が欲しいですね

834 :二代目進行 :2018/04/04(水) 00:50:54.86 ID:i964mS9Z.net
では、誰か宣言してから立ててもらえると助かります。
テンプレちょっと書き換えたんだけど、問題があったら教えてね。
以下テンプレ↓



安価お題で短編を書くスレです。

■お題について
現在、毎週日曜日の午後22時に前回のお題を締め切り、新しいお題を安価で決める方式を取っています。現時点での募集お題はスレ主によるレスを確認してください。

■投稿方法
投稿する際は、1行目に【】でタイトルを付けてください。決めていなければ【無題】でも可。
作品は3レス以内で。レスが2つ以上に別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。

■「小説家になろう」等への投稿について
同一内容を別サイトへと投稿する行為は認めています。
その際、著作者以外が5ch上から無断で転載したものと区別するため、出来る限り【本スレへ投稿する前に】投稿してください。ご協力よろしくお願いします。

■前スレ
安価・お題で短編小説を書こう!
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1508249417/
安価・お題で短編小説を書こう!2
http://mevius.2ch.net/test/read.cgi/bookall/1511408862/

835 :この名無しがすごい!:2018/04/04(水) 00:54:21.49 ID:hc7Tm9Ma.net
では立ててみますー

836 :この名無しがすごい!:2018/04/04(水) 00:55:27.39 ID:hc7Tm9Ma.net
たちました!
安価・お題で短編小説を書こう!3
http://mevius.5ch.net/test/read.cgi/bookall/1522770910/

837 :二代目進行 :2018/04/04(水) 00:57:18.88 ID:i964mS9Z.net
ありがとう!スレ立て乙です!

838 :この名無しがすごい!:2018/04/04(水) 05:08:50.82 ID:PfTKJgsW.net
スレ立て乙! >>836に小説の神様から祝福がありますように

839 :この名無しがすごい!:2018/04/04(水) 07:49:27.01 ID:4TznPhhp.net
>>836
スレ立て乙です
次スレの話題が出てから、割と早かったですね

>>828
新しい方ですね、よろしくお願いしますw
理性では分かっても、感情が許さなかったのでしょうね
個々に対する心情まではマクロの視線からは見えませんから……

840 :この名無しがすごい!:2018/04/04(水) 08:04:03.03 ID:PfTKJgsW.net
逆ノアの方舟だなぁ。知能があるせいで絶滅しちゃうって色々な意味で皮肉だな
つうか新人さんに負けてらんないから3作目頑張って考えよう・・・!!

841 :この名無しがすごい!:2018/04/04(水) 08:56:00.47 ID:a8/E+vs+.net
まだ書き込めますようにw

>>828
2スレ目も名作群で埋め尽くした短編スレ、ラストを飾るか! お題『巨大または極小』への挑戦だ、ノアの宇宙船〈ハコブネ〉と文明の終焉〜
さあ、目覚めた男を覗き込むのは、人ならざるもの、腹話術のように口の動きと出る音が合ってない謎の生命体! いっこく堂星人だ(命名
崩壊する地球の模型が男に全てを知らしめる〜、無念、家族は救われず、男は絶望の淵で命を絶ったァ!
種、その保存とはいったい何を指すのか〜、ヒトの生活の中で『巨大』なウェイトを占める家族、地球外生命体が保護すべきは、ヒトの雌雄一対ではなく文明それ自体だったのだ〜、って、お題をしっかり消化!

我々は何を引継ぎ、何を次代に引き渡すべきなのか…828氏が静かに語ってスレは閉じていく…
今ここで語られるにふさわしい、我々にとっての存在価値を問い続ける、重いぜ閉幕ENDだァ〜!

842 :この名無しがすごい!:2018/04/04(水) 10:23:46.39 ID:4TznPhhp.net
次スレに移ってから投稿が無難でしょうかね?

843 :二代目進行 :2018/04/04(水) 10:53:09.36 ID:i964mS9Z.net
そうだねー
こっちは投票とかで埋めてくれると助かります

一応前回お題の投票が今日までです
お題『麦わら帽子』『四字熟語』『レーズンブレッド』『スマホゲーム』『青』締切

参加作品一覧(1/2)
>>722【バカとバカとシリトリ】
>>723【レーズンブレッド】
>>733【変わる物、変わらない物】
>>738【釣り日和】
>>741【血の理由】

総レス数 843
510 KB
掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50
read.cgi ver 2014.07.20.01.SC 2014/07/20 D ★