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暗黒の時代があった

1 :この名無しがすごい!:2017/01/26(木) 06:29:41.48 ID:IAAutq1x.net
 暗黒の時代があった。力の弱い者が強い者に蹂躙される、そんな時代だ。
 不幸にも、そんな時代に生まれ育ってきた1人の少年がいた。彼の名は、テレマウ・ク
アイサ。暗黒の時代と呼ばれる現代で比較的安全で治安のいい町、ラフテルに住む15歳の
少年だ。
 クアイサは今、同い年ほどの少年達3人から虐めを受けていた。
「早く金よこせっての!」
 うずくまるクアイサに蹴りを入れる虐めっ子のリーダー、パンダ・ジョン。
「無理ー! これ買い物に必要な金!」
 うずくまりながら、そう必死に訴えるクアイサ。
「俺達が使ってやるっての!」
「ほら渡せ!」
 次々と虐めっ子3人から蹴りを浴びせられるクアイサ。しかし、どんなに痛めつけられ
ようと、握り締めたお札だけは決して放さなかった。
 「何が安全安心の町ラフテルだ……」とクアイサが心の中で皮肉る。
 安全安心の町、ラフテル。間違ってはいない。首都から大分離れているお陰もあり、凶
悪組織であるガバンの手が届き難いのだ。そのため、ラフテルだけでの治安維持が成り立
ち、犯罪発生率も低くなっている。しかし、いくら町の治安がよくとも、今は力が物を言
う暗黒の時代。治安部隊の目の届かない所では、今もこうして日常的に犯罪が横行してい
るのだ。
「こいつしぶといな。なあ、魔与(まよ)でとっとと終わらせようぜ」
「そうだな」
 仲間の提案を聞き入れたジョンは、魔与と呼ばれる特殊な力を使って、クアイサを宙に
浮かせ始めた。
「何する気だよ……? やめろよ……」
「大人しく金渡してれば痛い目見ずに済んだのにな」
「…………」
 楽しそうに話すジョンを見て、クアイサは恐怖する。

2 :この名無しがすごい!:2017/01/26(木) 06:30:10.56 ID:IAAutq1x.net
 クアイサの左腕を両手で掴むジョン。
 ジョンが両手に力を入れると同時に、クアイサの表情が歪む。
「ぐっ……! あっ……、あ……うわああああああああ!」
 左腕に走る激痛。あまりの痛さに、クアイサは叫ぶ。
「どうだ? 痛いだろ? もう少し力を入れればポッキリだぜ?」
 暗黒の時代。そんな時代を招いた最たる原因である力、魔与。力の弱い者は強い者に蹂
躙されるしかない。クアイサは今、この暗黒の時代というものがどんなものなのかを、改
めて思い知った。
「ずいぶん胸糞悪い事してんのね」
「あ?」
 突如響き渡った大きな女性の声に、ジョンの注意がそれる。そのお陰で、クアイサを苦
しめていた魔与の行使が止まり、クアイサはようやく地面に付く事ができた。
 そして、4人の視線の先には、長くも綺麗な銀髪をした少女の姿が。
「誰?」
「さあ?」
 ジョンもその仲間も、銀髪の少女には見覚えがなかった。
 そんな彼らに構わず、少女は口を開く。
「痛めつけるだけだなんてまったくクールじゃないわ。魔与っていうのはね、こう使うの
よ!」
 4人から少し離れた所で爆発が起きる。
「どう? 派手でかっこいいでしょ?」
「おい……、あいつの魔与強いぞ。ヤバくねえか?」
「ああ!?」
 突如、ジョンの仲間の1人が、驚いたように大きな声を上げた。
「いきなりどうした?」
「あいつ……腕に赤いバンダナ付けてる……。あれって、ガバンが付けてるのと似てるよ
うな気が……」
「なに!?」
 赤いバンダナのことを聞かされたジョンは、顔色を変えて驚く。
 無理もなかった。凶悪組織であるガバンに属する者は、どちらかの腕に赤いバンダナを
巻くからだ。

3 :この名無しがすごい!:2017/01/26(木) 06:30:45.64 ID:IAAutq1x.net
 しかしジョンは、まだ完全に信じる事ができなかった。自分達と同じくらいの歳の少女
が、ガバンに属してるとは思えなかったからだ。
「おい、お前! その赤いバンダナ、ガバンの証なのか?」
 ジョンは恐る恐るも少女に尋ねる。
「口の聞き方に気をつけなよ。あんた私が子供で女だからってなめてる?」
「なんだと?」
「このシンボル見ればわかるでしょ? 私がどういった人間なのか」
 鎖に巻きつかれた赤い丸と、それを囲むように描かれたギザギザの円。汚れた太陽を意
味すると同時に、世界を照らす太陽のように世界を支配するという意味が込められたそれ
は、紛れもないガバンのシンボルだった。
「あいつやっぱりガバンの人間だよ。もう行こうぜ。関わったらヤバいよ」
「…………」
 仲間から関わることは危険だと告げられるジョンだったが、何を考え込んでいるのか、
ジョンはただ黙るだけだった。
「おいジョン!」
「…………わかってる。行くぞ」
 この場を離れていくジョンとジョンの仲間2人。
 この場にいるのは、クアイサと銀髪の少女だけとなった。

4 :この名無しがすごい!:2017/01/26(木) 06:31:07.93 ID:IAAutq1x.net
「あんた、運が良かったわね」
「…………こ、殺さないで……」
「え?」
 銀髪の少女にしてみれば助けたつもりだったのだが、危害を加えられると勘違いしたク
アイサは逃げ出してしまう。
「ありゃりゃ……。まっ、無理もないか」
「ん?」
 突如鳴り出す電話の呼び出し音。
 「もしもし?」と銀髪の少女が応答する。
「報告はどうした? 見つけたのか?」
「あーごめん、まだ。というか、本当にこの町にいるの? 可能性が高いってだけなんで
しょう?」
「僅かな可能性でも、『あれ』は必ず見つけ出さなければならない。引き続き捜索を続け
ろ。報告を忘れるなよ」
「はいはい」
 そこで電話は切れた。
「ふう……。さて、探さないとね」

5 :この名無しがすごい!:2017/01/26(木) 06:31:37.36 ID:IAAutq1x.net
第1章 出会い

 クアイサは走っていた。少しでも、あの銀髪の少女から離れたくて。
「……っ!? 商店街……。あそこまで行けば……!」
 クアイサがいつも買い物で訪れる商店街。それが見えてきた事でクアイサは一先ず安心
する。商店街は人通りも多く、治安部隊も頻繁に見回りをしている。あそこならさすがの
ガバンも襲ってはこれない、そうクアイサは思ったのだ。
 残りの体力を引き出し商店街の大通りに出たクアイサは、そこでようやく足を止める。
そして、予定に入っていた買い物を済ませるのであった。
 買い物を終えた帰り道、クアイサは橋の下に奇妙な物を見つける。
「なんだあれ?」
 それは倒れている人影にも見えた。
 気になったクアイサは橋下へと下りていく。
「……っ!?」
 クアイサは驚く。人のように見えたそれは本当に人だったのだ。
「大丈夫ですか!? しっかりして!」
 うつ伏せになって倒れていたのを仰向けにして起こすクアイサ。
 倒れていたのは茶髪の少女だった。
 服は汚れ、濡れてもいる。
「……お……な……か」
 目を覚ました茶髪の少女は、小さな声で呟き始める。
「え?」
「……お腹……すいた……」
「あっ……! わかった、ちょっと待ってて」
 持っていた買い物袋から、先程買ったばかりの食べ歩き用チキンを取り出すクアイサ。
クアイサはそれを茶髪の少女に差し出し、食べられるかどうかを尋ねた。

6 :この名無しがすごい!:2017/01/26(木) 10:43:30.36 ID:IAAutq1x.net
 すると少女は、勢いよくチキンにかぶり付いた。余程お腹がすいていたのか、よく噛み
もせず次々と喉に流し込んでいく。チキンはあっという間に小さくなっていった。
 そして、チキンが残り僅かとなったところで、ある出来事が……。
「痛ッ!」
 なんと茶髪の少女は、勢い余ってチキンを持っていたクアイサの指にまでかぶり付いて
しまったのだ。幸いにもクアイサの指に怪我はなかった。
「ごめんなさい」
「あっ、うん、大丈夫……。はい、これ」
「ありがとう」
 残りのチキンを手渡された少女は、それも食べ終え見事にチキンを完食した。
「具合はどう? どこか痛かったり気分悪かったりする?」
「平気だよ」
「そっか。でも一応病院で見てもらった方がいいかも。今救急車呼ぶから――」
「いい」
「え?」
「救急車、呼ばなくて、いい」
「え、でも……………………」
 救急車を呼ぶ事を即答で拒否されてしまったクアイサは、どうしていいかわからず戸惑
ってしまう。

7 :この名無しがすごい!:2017/01/27(金) 05:30:48.64 ID:cfdV7Pbi.net
「もう行くね。ありがとう」
 立ち上がった茶髪の少女は、それだけを言い残し歩き出す。
 本当に平気なのか心配するクアイサだったが、立ち去ろうとする少女に掛ける言葉が見
つからなかった。
 少しずつ離れていく茶髪の少女。しかし、少し歩いた所で茶髪の少女は足を躓かせコケ
てしまう。
「なっ!? ちょ、大丈夫!?」
 すぐに駆け寄るクアイサ。
「……大丈夫」
「全然大丈夫に見えないんだけど……。やっぱり病院で見てもらった方がいいって!」
「病院はダメ」
「ダメって……。じゃあどうすれば……」
 病院へは行きたくない様子の少女。かと言ってこのまま1人にするわけにもいかないと
思ったクアイサは、茶髪の少女の家族か知り合いに迎えに来てもらおう、と思いつく。
「ねえ君。家の電話番号か、誰か家族の、知り合いでもいいけど、その人達の携帯の番号
とか知らない?」
 その質問に、茶髪の少女は首を横に振る。
「……まいったな。じゃあ住所は?」
 その質問にも茶髪の少女は首を横に振った。
「住所も!? …………」
 八方塞がりであった。
 クアイサは深い溜め息をつく。

8 :この名無しがすごい!:2017/01/27(金) 21:13:38.75 ID:cfdV7Pbi.net
「あとは、治安部隊に任せるしかないかなぁ。ちょっと待っててね」
 治安部隊に保護してもらうしかないと考えたクアイサは、携帯を取り出し連絡を取ろう
とする。
「………………あれ? おかしいな……」
 どうしたことか、いつまで経っても呼び出しが始まらない。
 クアイサはもう一度番号を押し、掛け直した。
「……………………。駄目だ、やっぱり繋がらない。故障か?」
「ヘクシュッ!」
 寒かったのか、茶髪の少女はクシャミをした。
「そのままじゃ寒いよね。とりあえず俺の家が近くにあるから、温まっていくといいよ。
服もあげるからさ。治安本部にはそれから向かおう」
 クアイサは茶髪の少女を家に連れて行くことにした。
「ごめんね。女性用の服ないんだ。もし嫌だったら言ってね。他のも用意するから」
 着替え用の服を置き終えたクアイサは、そのまま洗面所を出る。
 茶髪の少女には、風呂に入ってもらう事にしたのだ。服だけでなく、体も汚れていたた
め。
 茶髪の少女が風呂に入っている間、クアイサは何度も治安部隊への連絡を試みた。しか
し、一向に繋がらない。家の電話を使っても繋がらない。
 クアイサは困り果てた。

9 :この名無しがすごい!:2017/01/28(土) 09:20:32.68 ID:h0yFPkOG.net
 それならばと、治安部隊勤めの叔父に直接連絡を取ろうとするが、それすらも繋がらな
かった。
「叔父さんとも連絡つかないし、やっぱり直接行くしかないか……」
 しばらくして、風呂から上がった茶髪の少女がリビングに入ってきた。
「お風呂終わったよ」
「あぁ……、服、大丈夫?」
「うん」
「そっか、よかった」
「…………1人?」
 リビングを見渡しながら茶髪の少女が尋ねる。
「今はね。叔父さんと一緒に住んでるんだけど、叔父さんは仕事中だから」
「お父さんとお母さんは?」
「…………」
 両親について聞かれた瞬間、クアイサの表情が曇る。
「お父さんとお母さんは俺が2歳の時に死んだよ」
 まさかの答えに、茶髪の少女は驚いた。
「叔父さんが言うには、ガバンの人間に殺されたんだって」
「……そうだったんだ。ごめん」
 辛い事を思い出させてしまった事に申し訳なく思ったのか、茶髪の少女は謝る。
「気にしなくていいよ。まぁ、仕方なかったんだと思う。両親は魔与に恵まれてなかった
みたいだから」
 魔与と呼ばれる特殊な力が猛威を振るう暗黒の時代。魔与を扱える者とそうでない者と
では、5年以内の死亡率が大きく違った。力の強弱の差によって死亡率も変わるが、最低
限魔与を扱える者で約7パーセント、そうでない者で約30パーセントにも及ぶ。この暗黒
の時代では、魔与を扱えない者・魔与の力が弱い者は、長生きできないのだ。誰が調べ誰
が付けたのか、世間ではこの死亡率を「暗黒死亡率」と呼ぶ。

10 :この名無しがすごい!:2017/01/29(日) 07:26:20.63 ID:tVhg6Qvk.net
「魔与が全ての世界……。最悪の時代……だよね」
「……そうだね。あ〜、俺もいつまで生きられるかな〜。なるべく長生きしたいもんだ
よ」
 少し湿っぽくなった空気を変えるためか、クアイサは冗談っぽく話しながら、笑ってみ
せた。
「貴方も魔与には?」
「あー、うん。俺も両親と同じ。遺伝とかはないって言うけど、ここまで恵まれてないと
そういうの疑っちゃうよね。あっ! そうそうそう! 貴方って言われるとなんか変な感
じするからさ、クアイサって呼んでよ」
「……クアイサ」
「そっ。テレマウ・クアイサ。よろしくね」
 クアイサの自己紹介に対し、茶髪の少女は微笑んだ。そして少女もまた、「よろしく」
と返すのであった。
「そういえばさ、君の名前まだ聞いてなかったんだけど……」
 照れくさそうに、名前の事を切り出すクアイサ。
 茶髪の少女は、こころよく名前を明かした。
「レイフォール・ロカリス」
「レイフォール・ロカリス……か。いい名前だね! 改めてよろしく!」
「うん」
「それにしても……、夕方から随分ヘリが飛んでるな。気づいてた?」
 ロカリスは頷く。
「何かあったのかな……」
 ガバンの銀髪少女、橋の下に倒れていたロカリス、繋がらない電話、頻繁に飛んでいる
ヘリ。普段なら起きないような事の数々に、クアイサは不安になる。

11 :この名無しがすごい!:2017/01/30(月) 21:37:47.10 ID:udD1q13g.net
「とりあえず、そろそろ治安本部に向かおう……って、どうしたの?」
 ロカリスは鬱陶しそうに、長い前髪を両手で何度も掻き分けていた。
「私このままじゃ前見えづらくて事故起こすかも。ハサミある?」
「ええ!? まさか、切るつもり……?」
「だって邪魔だもん」
「冗談じゃ……ないよね……?」
「失礼な。真面目な話だよ」
 出会った時から変わらないロカリス独特の少し気の抜けたような喋り。そのせいもあり、
一瞬冗談とも思えたクアイサだったが、ロカリスは本気だったと知る。
「自分で切るのはやめた方がいいと思うけどなぁ。見栄え悪くなるかもしれないし」
 クアイサはハサミを手渡す。
「大丈夫! 上手くやるから!」
 やけに自信満々なロカリス。
 しかし、いざ切ろうとなった時、ハサミを持ったロカリスの手は止まってしまう。
「…………あの、ロカリスさん?」
 鏡に向けていた顔をゆっくりクアイサの方へと向けるロカリス。ロカリスの顔は、ガチ
ガチに引き攣っていた。
「切れない……」
「いやさっきの自信はどこに!?」
「なんかね、鏡に、前髪が変になった自分のビジョンが映った気がして……」
「要するに、自信を無くしたってことか(1分もしない内に)」
「うん……」
「はぁ……」
 あまりにも早すぎる自信喪失に呆れ、クアイサは溜め息をつく。

12 :この名無しがすごい!:2017/01/31(火) 22:01:17.87 ID:WOBVDvlW.net
「ええっと、前髪が邪魔にならず、尚且つ、前髪が変にならなければいいんだよね?」
「うん」
「母親の使ってたやつでいいなら髪留めがあるけど、使う?」
「いいの?」
「いいよ。またコケられても困るしね」
 細長いU字型をした黄色の髪留め。ロカリスはそれを使って、目の邪魔にならないよう
前髪を留めた。
「ありがとう。スッキリした」
 束ねられた前髪は右目の横付近で留められ、左眉毛上から綺麗な曲線を描いていた。邪
魔にならないように留めただけにしては、結構似合っている、とクアイサは思った。
「うん。じゃあ行こうか」
 クアイサとロカリスは家を出た。そして、ロカリスを自転車の荷台に乗せ、治安本部へ
と向かう。
 途中、クアイサは違和感を覚えた。
 治安本部へと続く道が大渋滞を起こしていたのである。
 夕方の車の込む時間帯とはいえ、いつもなら、例え事故を起こしていたとしても、ここ
までの渋滞は起きない。クアイサは、「おかしい……」と思った。
 ようやく治安本部の建物が見えてきた頃、クアイサの目に驚きの光景が飛び込んでくる。
 なんと、治安本部の建物から火と煙が上がっていたのだ。
「なんだあれ……!? 火事?」
「あれが治安本部?」
「うん。何が起きたんだろ……」

13 :この名無しがすごい!:2017/01/31(火) 22:02:40.19 ID:Id7k0i3i.net
これ感想言っていいの?

14 :この名無しがすごい!:2017/01/31(火) 22:10:43.42 ID:WOBVDvlW.net
>>13
どうぞ

15 :この名無しがすごい!:2017/01/31(火) 22:24:06.96 ID:eimGhwOs.net
>>14
じゃあちょっと
暗黒の時代ってゆうから中世ヨーロッパみたいな感じなのかと思ったら
普通に電話とか救急車が出てきてあれって思った
テクノロジー的にどんな世界なのか冒頭でもう少し街の描写とかがあるとわかりやすい気がする
文章はあっさりで読みやすいけど字下げがへんなとこがあったよ
あとパンダって名前は可愛くて笑ってしまう要素だと思う
話はまだ始まったばかりでロカリスと仲良くしてるだけでバトルもないので
あんまり暗黒な感じはしないかな
話が進んだらまた違うのかもしれないけど
連載がんばってください

16 :この名無しがすごい!:2017/01/31(火) 23:17:05.47 ID:WOBVDvlW.net
>>15
ありがとうございます
物語が進んでいく内に世界の様子などが描ければと思っていたので、世界や街についてはあまり描いてませんでした
でも確かに、気になる人がいることを考えれば、もう少し描写してもよかったですね
今後の、情報・描写のバランスに注意したいと思います

17 :この名無しがすごい!:2017/02/01(水) 19:59:22.17 ID:HgIgcxX1.net
 治安本部のそばへと到着した2人。
 辺りには、治安部隊の物ではない戦車やトラックなどが何台も停まっていた。
「ここ、離れた方がいいかも……」
 危険を感じたのか、ロカリスは険しい表情でそう言った。
「…………」
 クアイサは迷う。火事が治まるのをここで待つか、一旦家に帰るか。
「おいそこの2人! 何をしてる?」
 突然、クアイサとロカリスの背後から、男の人の声が。
 2人が振り向くとそこには、白い作業着のようなものを着た男の姿があった。男は20代
半ば程で、左腕には、ガバンの証である赤いバンダナを付けていた。
「どうしてここに!?」
 クアイサは驚く。ガバンといえば、犯罪行為を平気で起こすような凶悪組織。当然、犯
罪を取り締まる立場の治安部隊は警戒しており、発見されればすぐさまマークされる。ガ
バンの人間からすれば、ここは好き好んで来たい場所ではないはずなのだ。にも関わらず、
今こうして2人の目の前にガバンがいる。クアイサが驚くのも無理はなかった。
「……っ!? まさか!?」
 クアイサに続きガバンの男も驚く。どうやら、ロカリスの顔を見て驚いたようだ。
 ガバンの男は、急ぐようにトランシーバー(無線機)を手に取る。
「こちら赤い鎖1、3(あかいくさりいちさん)! たった今、目標を――がっ!」
 ガバンの男がどこかに報告をしている最中、突如現れた何者かによってガバンの男は蹴
り飛ばされた。
「丁度よかった。お前の所に行こうと思ってたんだ」
「叔父さん!」

18 :この名無しがすごい!:2017/02/01(水) 21:32:47.40 ID:Jyfio0GZ.net
パンダ以上にサイアクとロリカスが酷い
最悪の反対で希望の星みたいにするにしてももう少しなんとかならなかったのか…と

19 :この名無しがすごい!:2017/02/01(水) 22:37:14.93 ID:HgIgcxX1.net
>>18
クアイサ、ロカリス、って呼んであげて><

20 :この名無しがすごい!:2017/02/02(木) 18:07:50.11 ID:cxmO9j9z.net
 突如現れた人物、それはクアイサの叔父だった。
「クアイサ、今すぐ通帳と印鑑を持ってこの町を出るんだ」
「どうして?」
「ラフテルはもう危険だ。恐らく、近い内に大勢のガバンがラフテルにやってくる。そう
なればこの町の治安を維持するのは難しくなる。だからだ」
「…………」
 突然のとんでもない話。クアイサは絶望するしかなかった。
「いいかクアイサ? 通帳と印鑑を持ったらすぐに駅に向かえ。そしたら電車に乗って
モーフィルに向かうんだ。そこで一週間俺からの連絡を待っててほしい。万が一、俺から
連絡が来なかった場合……」
「ああ……でも叔父さん……」
「なんだ?」
「携帯使えないみたいなんだ……」
「なに? 壊れたのか?」
「全然呼び出さなくて……」
「ならモーフィルで修理するか交換してもらえ。それだけの金は入ってる」
「……わかった」
「とにかく、モーフィルに着いたら、一週間俺からの連絡を待つんだ。万が一、連絡が来
なかったり連絡がつかなかったりしたら、その時は、遠すぎるかもしれないが、イルカロ
スにいる俺の友人を訪ねろ。事情を話せばきっと助けてくれるはずだ」
 そう言って叔父は、ポケットからメモ帳を取り出した。そしてメモ帳から一ページを破
り取ると、その一ページをクアイサに差し出した。

21 :この名無しがすごい!:2017/02/04(土) 00:35:18.25 ID:SLKDu+9x.net
「メモだ。これからどうすればいいか全て書いてある」
 クアイサはメモを受け取った。
「叔父さんは……? どうするの?」
「俺はこの町とこの町の人達を守らなきゃいけない。だから先に避難しててくれ」
「…………」
 クアイサは不安そうな顔をする。
 そんなクアイサに対し叔父は、「心配するな。死んだりしないから。一週間後には連絡
する」と言ってクアイサを励ました。
 しかしそれでもクアイサの不安は晴れないようで、クアイサは俯くだけだった。
「できるな?」
 叔父に言われた事をできるかどうか、クアイサはその確認を迫られる。
「…………うん……」
 自信のないクアイサではあったが、危険が迫っている以上仕方ない、と思い、とりあえ
ず返事をした。
「よし。ならすぐ行動だ。……ところで、そっちの子は?」
 ロカリスについて尋ねる叔父。
「レイフォール・ロカリスって名前の子。ラフテル小橋の下で倒れてたんだ。で、家族や
知り合いに連絡取ろうとしたんだけど、電話番号も住所も知らないみたいで……。それで
ここに来たんだけど、なんとかならない?」
「んー……。悪いが、今は調べてる余裕がないな。その子については後で調べておくから、
お前達は早くこの町から出るんだ」
「……わかった」
「ごめんね」
 力になれなかった事をロカリスに謝るクアイサ。それに対しロカリスは、「大丈夫だ
よ」と返すのであった。

22 :この名無しがすごい!:2017/02/06(月) 04:20:37.55 ID:QYY/jtDx.net
「気をつけて行くんだぞ。目立つような行動はするな。それと、ガバンを見かけてもけっ
して目を合わせちゃいけない。奴らは野蛮だ。ちょっとした事でもすぐ因縁を付けてくる
からな」
「わかった」
「よし行け!」
 叔父と別れたクアイサは、ロカリスを荷台に乗せ、再び自転車を走らせる。
 しかし、家へ向かっていた道中、クアイサの前方からある人物達が。
「そんな……。なんでこんな時に……」
 クアイサはあからさまに嫌な顔をする。
 無理もなかった。前方から現れたのは、パンダ・ジョンとその仲間2人だ。
 無視して通り過ぎようとも考えるクアイサであったが、3人は並列して自転車に乗って
いるため、この歩道での通り抜けは難しかった。
 クアイサは仕方なく自転車を止める。
「おいジョン。あそこにクアイサいる」
「気づいてるよ」
 3人はクアイサに近づくと、そこで自転車を止めた。
「まさかお前が女を連れてるとはな。彼女か?」
 からかうようにジョンが尋ねる。
「…………違うよ」
「この人達、誰?」
 ジョン達とは初対面のロカリス。気になったロカリスはクアイサに尋ねた。

23 :この名無しがすごい!:2017/02/07(火) 20:28:13.87 ID:dsVuVkwq.net
「…………。クラスメイト」
「へえ。じゃあ一応私も自己紹介しとくね」
 そう言ってロカリスは自己紹介を始めた。
「レイフォール・ロカリスです。残念ですが、今から逃げるところなので長話はできませ
ん」
「……………………は?」
 自己紹介と共に、今から逃げるところ、と伝えられた3人はキョトンとしていた。
 なんとも言い難い微妙な空気が流れる。
 クアイサは頭を抱えていた。
「なんでもいいけど、こいつ結構可愛くね?」
 仲間の1人が言い出す。
「ロカリスだっけ? 俺達と遊ばない?」
 ジョンの仲間2人から目を付けられるロカリス。
 クアイサは焦った。何故なら、今までジョンとその仲間2人は、力の弱い女性に対し、
酷い行為をしてきているからだ。ロカリスが危なかった。
「遠慮しておきます」
 一礼しながら、丁寧に断るロカリス。
「残念だけど拒否権はないんだよね〜。なっ? ジョン」
 ジョンを頼るように、仲間の1人が話を振る。
「くだらね」
「ええ!?」
 てっきり、話に乗ってくれるものだと思っていたジョンの仲間は、ジョンの予想外な返
答に驚く。

24 :この名無しがすごい!:2017/02/09(木) 12:37:17.34 ID:l+jqykRJ.net
「おいおいおい、どうしちまったんだよジョン? やりたくねえのか?」
「そんなことより、早く治安本部見に行くぞ」
「なんだよつまんねえなぁ……」
「文句あんのか?」
 脅すようにジョンが睨みつける。
「いや……別にねえけど……」
「なら早く行くぞ」
 ジョンは話を切り上げると、クアイサに「じゃあな」とだけ言って、その場を後にしよ
うとした。
 しかし、ジョン達が出発しようとしたその時、クアイサが口を開く。
「治安本部の方は……!」
 勇気を出して絞り出したような大きな声。その声に、ジョン達の動きが止まる。
「あ?」
「治安本部の方は……、ガバンがいて危ない……」
 放っておけば良かったものの、人のいいクアイサは、治安本部の方は危険だと教えてし
まう。
「ええ?」
「マジか?」
「うん……」
 ジョンは微動だにしなかったが、仲間2人は明らかに動揺していた。
「どうするジョン?」
「どうするもこうするも、俺はそのガバンに用があんだよ」
「はあ!?」

25 :この名無しがすごい!:2017/02/09(木) 12:41:32.12 ID:ntzkVYXK.net
なろうとかSS速報のほうが見てくれる人多いと思うよ
台本形式嫌ならなろう、レスほしいなら速報

26 :この名無しがすごい!:2017/02/09(木) 13:26:30.19 ID:l+jqykRJ.net
>>25
ありがとうございます
そちらでの展開も考えてみます

27 :この名無しがすごい!:2017/02/09(木) 20:37:28.12 ID:WX1l7Q5C.net
小説家になろうで書いたら?
仲間がたくさんいて楽しいよ

28 :この名無しがすごい!:2017/02/10(金) 20:24:31.29 ID:kL0yNwC2.net
>>27
はい、そちらでの展開も考えているところです
ありがとうございます

29 :この名無しがすごい!:2017/02/10(金) 20:24:55.67 ID:kL0yNwC2.net
「ビビッたなら帰ってもいいんだぜ?」
「う……うぅ……」
 ジョンの言葉を受け、仲間は迷った。付いていくべきか、帰るべきか。
「忠告のつもりだったんだろうけど、要らない心配だったな」
 迷っている仲間を横に、ジョンがクアイサに言った。
「…………」
「忠告のお礼に、俺も一つお前に忠告しといてやるよ。あまり人が良すぎると生き残れな
いぞ。特にこの暗黒の『時代』じゃな」
 最後にそう忠告したジョンは、自転車を走らせ行ってしまう。
「あ……! ちょ待てよ! やっぱ俺も行く!」
 ジョンの仲間もその後に続いた。
 なんとか事なきを得たクアイサは、一先ず安心する。
「……はぁー……」
 安心からか、クアイサは深い溜め息をつく。
「大丈夫?」
 心配するロカリス。
「あぁ……うん……なんとかね……。吐きそうな気分だけど、大丈夫だよ」
「私、あの人達嫌いかも」
「ハハ……、俺も……」
 極度の緊張から解放されつつあるクアイサであったが、この時、新たな脅威が2人のそ
ばまで来ている事に、彼はまだ気づかない。

30 :この名無しがすごい!:2017/02/12(日) 13:07:16.77 ID:m4aO2JpT.net
「ようやく見つけた!」
 聞き覚えのある気高い少女の声。
「君は……!?」
「どうも〜」
 長く黒いコートをなびかせ、右手に大きな鎌を持ち、クアイサ達に微笑みかけている人
物。それは、あの銀髪の少女だった。
「…………」
 クアイサは、最悪だと思った。ジョン達が去って安心していたところに、今度は銀髪の
少女である。
「こんな所でまた会えるなんて奇遇よね。もしかして私達、運命の赤い糸で繋がってたり
して?」
「…………」
 二度と関わりたくないと思っていたクアイサにとっては、笑えない冗談だった。
「……ちょっと〜。話しかけてんですけど?」
「…………俺になんの用ですか……?」
「え? 違う違う。私が用があるのは後ろの子よ」
 そう言って銀髪の少女は、ロカリスを指差す。
「ロカリス!?」
 クアイサが振り向く。
 ロカリスは、敵意を向けるような眼差しで、銀髪の少女を見ていた。

31 :この名無しがすごい!:2017/02/12(日) 16:47:13.44 ID:Hk6omFV4.net
総合評価 30pt
ブックマーク登録:15件    【全作品は官能】男はビンビン・女はクチュクチュ
71,201アクセス
【義母特別編・早漏VS遅漏】      晒し中  商社【1】 晒し中

性転換【]】                晒し中  商社【2】 晒し中
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『309,154アクセス』         【全作品は官能】

【なろうサイト内で検索OK】       晒し中
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【ヤフーで検索OK】           晒し中
【縄奥で検索OK】               
                             
【高校生】                   晒し中
誘拐【W】                   晒し中
生まれ変わり                 晒し中
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畜生!!                   晒し中
正月帰省                   晒し中
性転換【]T】                晒し中
義母Z【白鳥千里と息子の俊介】     晒し中
【強姦魔・杉山郡代と被害者・小池夏美】 晒し中
真行寺由真と誘拐された新田佳織    晒し中
河野博史と姉の美沙             晒し中
鮎川麻里子と達也              晒し中
中村健二と妹の美歩             晒し中
柿崎純子と沢村一樹             晒し中
大杉健三と木山順平             晒し中
お仕事                      晒し中
義母VS義息                  晒し中
性同一性障害【U】         晒し中    
性転換【]U】            晒し中
大家                  晒し中
ブラジャー【Z】           晒し中
性同一性障害            晒し中
義母【番外編】            晒し中
義母【Y】               晒し中
発端                  晒し中
心と身体は別物…          晒し中
女装男と侵入者           晒し中    
お兄ちゃんダメエェー! U     晒し中
【お兄ちゃんダメェ…】T      晒し中
本日も客足なく【サバイバル】   晒し中
お兄ちゃんダメエェー…【V】   晒し中
鬼畜の美食家【総集編】      晒し中
鬼畜の美食家【下巻】        晒し中
鬼畜の美食家【中巻】        晒し中
鬼畜の美食家            晒し中   
性転換]V              晒し中
中堅商社・島崎部長         晒し中
義母監禁そして調教・其の二   晒し中
義母の小保方晴美と俊二     晒し中
義母監禁・調教そして折檻     晒し中
性転換]U【エクストラ】      晒し中
義母監禁そして調教         晒し中
【タブー・心と身体は別物・U】   晒し中     
ザッ! 監禁そして調教      晒し中
【タブー】                晒し中

32 :この名無しがすごい!:2017/02/14(火) 00:53:12.47 ID:tO+exMqe.net
「まったく迷惑な話よね。こんな超とーい所にまで逃げたりしてさ。まぁでも、これでよ
うやく帰れそう。思ってたよりは、時間かからなかったわね。というわけで、一緒に来て
もらうわよ? レイフォール・ロカリス」
 銀髪の少女の呼びかけに対し、ロカリスは何も答えない。ただ静かに目を瞑り、俯くだ
けだった。その姿は、何か深く考え込んでいるようにも見える。
 そして、ロカリスは何を思ったのか、閉じていた目を開けると、突然、自転車の荷台か
ら降りだすのであった。
「ロカリス?」
 何故降りるのかわからなかったクアイサは、思わず声をかける。
「チキンありがとね。美味しかった。あと、服と髪留めもありがとう。絶対大切にするか
ら」
「……いきなりどうしたんだよ?」
 別れ際が来たかのように語るロカリスに、クアイサは戸惑う。
「もしかしたら、逃げ切れるかなって思ったんだけど、やっぱり無理だった。クアイサは
早く逃げて」
 それだけを言い残し、ロカリスは歩き出す。銀髪の少女の方へと。
「ロカリス!」
 クアイサが強く呼びかけるも、ロカリスは止まらなかった。
 クアイサは迷う。このままロカリスを行かせてしまうか、引き止めるか。本心では、引
き止めたい、と思っているクアイサ。しかし、ロカリスを引き止めるという事は、ロカリ
スを探していた銀髪の少女の邪魔をするという事になる。そして、銀髪の少女はガバン。
邪魔をすればただでは済まされない。
「…………」
 クアイサの頭の中で、思考がグルグルと回り出す。引き止める? 引き止めない? 引
き止める? 引き止めない?
「………………っ!」
 散々悩んだ末に、クアイサの答えは決まった。そして、クアイサは動き出す。

33 :この名無しがすごい!:2017/02/14(火) 13:02:14.64 ID:wzPW5ECm.net
スレ主何がしたいの?

34 :この名無しがすごい!:2017/02/15(水) 08:58:10.62 ID:nuCADRyO.net
キモい

35 :この名無しがすごい!:2017/02/15(水) 11:07:22.80 ID:HdZ3QHuB.net
スレで連載したいんやったら、コテつけろよw

36 :裕之 ◆xF9n26I4ZA :2017/02/15(水) 23:15:27.11 ID:de0bPcjX.net
>>35
それじゃ一応

37 :裕之 ◆xF9n26I4ZA :2017/02/15(水) 23:17:02.53 ID:de0bPcjX.net
 乗っていた自転車をなぎ倒し、ロカリスの下へと走り出すクアイサ。
「ロカリス!」
 クアイサが右手を伸ばすと、その右手は、振り向いたロカリスの右腕を掴むのであった。
「どうして……!?」
 危険だとわかっていて尚、自分に関わろうとするクアイサを見て、ロカリスは驚いてい
た。
「一緒に逃げよう!」
「……!?」
 クアイサの言葉に、ロカリスの心が揺さぶられる。しかし、クアイサと一緒に逃げる訳
にはいかなかった。クアイサに危険が及ばないためにも。
「無理だよ。大体、この状況でどうやって逃げるの? 魔与も使えないのに……」
「方法は……一応ある……!」
 魔与も使えないのにどんな方法があるというのか、ロカリスには、強がってるようにし
か見えなかった。
「仮に逃げられたとしても、ガバンはどこまでも追ってくる。私と一緒にいたら、殺され
ちゃうかもしれないよ?」
「そうならないように逃げるんだよ!」
「無理だよ……」
「無理じゃない!」
「…………」
 こんな状況下で見せる、クアイサの根拠のない自信。しかし、少しだけ、少しだけだが、
ロカリスの心の中で、消えていた希望がその姿を見せ始める。

38 :この名無しがすごい!:2017/02/16(木) 03:04:03.40 ID:LiKp9U1Y.net
感想

・徒歩以外で唯一の移動手段をなぎ倒すぐらいなら一旦逃げた振りして追っ手の娘に後ろから突撃するぐらいじゃないと血迷ってるようにしか見えない
・右手で右腕掴んだら直ぐには走り出せない
・これほど根拠のない自信を見せ付けられると逆に「コイツに任せると状況悪化するだけだ」と絶望する

以上

39 :裕之 ◆xF9n26I4ZA :2017/02/16(木) 22:07:08.30 ID:3ZpPZC8Q.net
>>38
ありがとうございます
予想外な角度からの感想に驚きましたw

40 :裕之 ◆xF9n26I4ZA :2017/02/16(木) 22:08:02.68 ID:3ZpPZC8Q.net
「怖くないの?」
 小さな希望。その希望にすがっていいものか、その確認をしたくてロカリスは尋ねる。
「そりゃ……怖いよ……。今だって物凄く手が震えてる。でも、そういう問題じゃない。
放っておけないだろ!」
「…………」
 クアイサの本心を聞いたロカリス。ロカリスは思った。クアイサと一緒なら、諦めずに
逃げ切れるかもしれない、と。ロカリスの答えは決まった。
「あのさぁ! あんたなんのつもり?」
 ロカリスを引き止められた銀髪の少女が、不機嫌そうにクアイサを睨みつける。
 しかし、クアイサはそれに動じず、ロカリスを庇うかのように、前に出た。
「話があります!」
「……?」
 すると突然、クアイサは土下座を始めた。膝と両手を地面に付け、腰を丸め、深々と頭
を下げている。
「お願いです! 俺達を見逃してください! お願いします!」
 土下座をしながら必死にそう訴えるクアイサ。これはクアイサの秘策だった。とはいえ、
100パーセント成功する保証もない秘策。だが、銀髪の少女にこそ、この方法が有効だ
とクアイサは考えた。
「……はあ? そんな事できるわけないでしょ。バカなの?」
「お願いします!」
「…………はぁ……。……暗黒死亡率って恐ろしいわね。力が無くても、バカじゃなけれ
ばもう少し長生きできたでしょうに」
 呆れた銀髪の少女は、クアイサをガバンの障害と見なし、排除するため歩き出す。
「君は本当は優しい人だ!」
 しかし、クアイサが発したこの言葉が、銀髪の少女の足を止めた。
「勘違いしてるようだけど、あの時、別にあんたを助けたくて助けたわけじゃないから。
私は、あのつまらない魔与の使い方してた男をビビらせたかっただけ。だから、優しいと
かそういうの関係無いの。ただの偶然。わかる?」
「で……でも……! 俺は助かったんだ……! 感謝してるんだ……!」
 もしかしたら、銀髪の少女を勘違いしていたかもしれない。そんな不安がクアイサの脳
裏をよぎる。
「……あっそ。でも残念ね。ここで死ぬんだから」
「……!?」
 顔を上げたクアイサが見たもの、それは、両手で鎌を持った彼女が、その鎌をクアイサ
に振るおうとする死神のような姿だった。

41 :この名無しがすごい!:2017/02/18(土) 08:28:43.62 ID:KzhY684r.net
だから何がしたいんだ?

42 :裕之 ◆xF9n26I4ZA :2017/02/18(土) 09:42:30.13 ID:nGrI1f3p.net
第1章その2 ジョンの憧れ

 黒くて大きなヘリが飛んでいる。そのヘリは、徐々に高度を下げると、治安本部近くに
ある、大きな建物の屋上へと着陸した。
 ヘリの扉が開く。
 降りてきたのは、4人の男たち。
 彼らはガバンだ。今回、ロカリス捜索の任のために、このラフテルの地へやってきた。
「制圧に時間がかかりそうだな」
 火と煙の上がる治安本部を見てそう語るのは、ガバンの幹部である、ドレッド・ダステ
ィン。無精髭を生やした壮年の男で、その身には、肩から胴体を覆うように、紫色のマン
トが着用されている。そしてマントの下部には、先端の尖った赤い六角柱型の小さな飾り
が無数に付いていた。
「伊達にこの町を守ってきたわけじゃないという事でしょう」
「治安部隊って名も、ただの飾りじゃないってことか」
「ドレッドさん!」
 突然、部下の1人から呼びかけられたドレッド。
「ん?」
 ドレッドが振り向くと、部下はある方向を指差していた。その方向は黒いヘリの近くで、
そこには3人の人物がいた。
「ここは子供の遊び場じゃないぞ! 帰れ!」
 ドレッドが3人に言い放つ。
 3人の人物は、ジョンとジョンの仲間2人だった。
「ガバンの偉い人って、オジさん達?」
 ジョンが尋ねる。
 ドレッドは、呆れたように溜め息をつくと、ジョン達の方へ歩き出し、こう言った。
「聞こえなかったのか?」と。

43 :裕之 ◆xF9n26I4ZA :2017/03/01(水) 05:38:11.67 ID:q7ynF8A0.net
 その瞬間、ジョンの横を何かが高速で飛んでいった。
 倒れるジョンの仲間の1人。
「……っ!? おいダン!? どうしたダン!?」
 異変に気づいたもう1人の仲間が、倒れたダンに呼びかける。
 そんな中、ジョンだけは微動だにしなかった。ただ静かに、ドレッドを睨みつけている。
「そいつみたいに死にたくなかったらとっとと帰れ! こっちは忙しんだ!」
 ジョンの仲間であるダンは絶命していた。口や胸から血を流しながら。
 しかし、ジョンの口から出た言葉は、とんでもないものだった。
「…………俺をガバンに入れてくれ!」
「……何?」
 なんとジョンは、自分をガバンに入れるよう要求したのだ。
 その言葉に、ジョンの仲間が黙っていなかった。
「おいジョン……! お前何言ってんだよ……!? ダンが殺されてんだぞ!?」
 殺されたダンを気にもかけず、そればかりか、ガバンに入れてくれとまで言い出すジョ
ンに、仲間が切れた。
 しかしジョンは、何も答えず振り向きもしない。
「おい!」
「…………」
「……くっ……! なんなんだよ……。何がしたいんだよ……? なんなんだよこ
れ……!」
 怒りと恐怖と不安でいっぱいになったジョンの仲間の瞳には、涙が滲み出ていた。
「…………」
 そんな仲間の悲痛な声を聞いていながら、何も答えないジョン。それもそのはず。何故
なら、もはやジョンにとって仲間の事などどうでもよかったからだ。今のジョンが気にし
ているのは、ガバンに入れるかどうか、ただそれだけ。仲間が死んでいようが泣いていよ
うがどうでもよかった。

44 :この名無しがすごい!:2017/03/08(水) 22:40:31.62 ID:03eRSWGO.net
更新止まったな
構ってもらえないとやっぱツライか?

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